読切小説
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ぐーたら八月蝿
暑さで目を覚ました。
視界には、いつも通りの真っ白な天井。
背中には、いつも通りの体温でぬるくなった布団の感触。
右半身から伝わる、いつも通りの自分以外の体温。
日差しが容赦なく部屋の中に侵入し、生暖かい空気が俺の顔をなめるように流れる。
天井を見つめたまま枕元を探り、目覚まし時計を探す。
それっぽい感触の物体を掴み、目の前に持って来る。
時計の針は、午前六時を示していた。
くそう、バイトがない日に限って早起きだな、俺……
「あっつぅー」
思わず口から小言が漏れてしまった。
その音で目を覚ましたのか、右隣の彼女がもぞもぞと動く感触がした。
「ああ、すまん、起こしちゃったな」
彼女の方に視線を移し、謝る。
可愛い可愛い、俺の彼女。寝起きで機嫌が悪いのか、彼女は俺を睨み付けるようにして見つめてきた。
ぶぅん。
彼女は背中の羽をせわしなくはためかせ、ふわりと宙に浮かんだかと思うと、素早く俺の腹の上に乗っかってきた。
「お腹すいた」
彼女は不機嫌そうにそうつぶやくと、俺のTシャツを首までめくり上げ、汗ばんだ腹や胸をちろちろとなめ始めた。
「うぅん……姫子ぉ……よけいにべたべたになるから勘弁してくれよ……先に風呂に入らせてくれぇ……」
俺は彼女の名を呼んで拒否の意を示すが、「いやだ」の一言で却下された。
「れろ……ちゅぱ……ぬろぉ……」
彼女は無言で俺のべたついた体をなめ回していく。
だが、彼女の羽は、ぶぅんと音を立てていまだに激しく羽ばたいている。彼女が嬉しい時の反応である。
今日も、俺の汗は彼女好みで臭いのであろう。喜んでいいのやら。

昔々、魔物娘が大好きな一人の天才プログラマーがいた。
彼は様々な魔物娘関係のサイトを巡回し、自らも魔物娘を主人公にしたゲームを趣味で開発していた。
魔物娘の小説やゲーム、絵に触れるたびに、彼の中の「魔物娘に会いたい、触れたい」という欲求が高まっていった。
そして、彼にはそれを実現させるほどの力を持っていた。彼は黒魔術にも造詣が深かったのである。
彼はある日突然行方不明になった。
彼の部屋に残された、電源がついたままのパソコンのモニターには。
ペイントソフトで作成した魔方陣と、ブラウザに表示されたクロビネガのトップページ。
その日以来、世界中、特に日本で魔物娘が現れるようになったのである。
このような経緯を、ベルゼブブの姫子に体中をなめられている彼、瀬田彰(せだ しょう)は知らない。

「腕、上げて」
いまだ不機嫌そうな姫子に言われ、渋々両腕を持ち上げると、彼女は俺の脇の下に舌を這わせた。
体中をなめられるのは余り好きではないが、特にここをなめられるのは嫌である。何より恥ずかしい。
だが、彼女はここの汗が一番好きなのである。
時々「ふふっ」と笑いながら、猫がミルクをなめとるようにちろちろと舌を動かす。
恥ずかしいが、彼女の機嫌が良くなるならそれでいい。
脇の下をなめ尽くすと、両手の指を一本ずつ丹念にしゃぶり尽くし、最後に俺の唇にむしゃぶりついた。
「んっ……ちゅっ……じゅるぅ……」
舌を口内にねじ込ませ、舌と唾液が蹂躙する。
俺の汗の塩辛さが混ざっていて、あまり気持ちのいいものではないが、彼女のディープキスはとても上手であった。
あまりの気持ちよさに、むくむくとペニスが持ち上がるのを感じる。
そのふくらみが彼女の太ももを圧迫し、それに気づいた彼女は唇を離した。
「まだお腹空いてるから、今日は最後までしたいな」
彼女はそう言って、微笑んだ。心臓が高鳴る。彼女の幼い笑顔は、凶悪なくらい可愛らしい。
正直言って、この笑顔に抵抗することは、並大抵の男ではとてもできない。
しかし、今はとにかくべたついた体を綺麗さっぱり洗い流しておきたかった。
「ごめん……先に風呂に入っておきたい。それとも、風呂の中でヤるか?」
俺がそう言うと、初めは彼女は唇を尖らせて抗議をしたそうな表情になったが、すぐに諦めたかのようにこくりとうなずいた。
彼女は風呂嫌いなのである。

「ふぅー。やっぱり夏の水風呂は気持ちいいなぁ」
浴槽に入ると、俺の体にまとわりついていた彼女の唾液やら汗やらが、一気に剥がれ落ちるのを感じた。
姫子は眉間に皺を寄せながら、嫌々水風呂に入っている。
二人とも、全裸である。すでに何度も肌を合わせた仲なので、そういった遠慮は必要ない。
といっても、彼女は元々胸を隠す程度の大きさの布と、股間部分しか隠れていない紐パンしか着用していないので、脱いでも露出度は余り変わらないのだが。
俺がまず浴槽内に座り、その膝の上に彼女が乗っかっているという何とも狭苦しい体勢で風呂に入っている。
腰から生えている虫っぽい部分は、邪魔にならないように魔法で隠されているようだ。ビバご都合主義。
ぺちぺちと彼女の羽が、俺の腹を叩く。
彼女は浴槽に入ってからずっと、無言である。思った以上に風呂が嫌いなのだ。
さて、機嫌を直すにはどうすればいいだろうか。
どうしようかとぼんやりと考えながら、彼女の肩ごしに彼女の裸体を眺めていた。
すべすべとした肌、柔らかそうな控えめな胸、薄桃色の乳首、そして、毛が生えていない股間のスリット。
それらとアンバランスに共存する、そして人間ではない事を強烈にアピールする、外骨格に囲まれた三本指の腕。
風呂嫌いでほとんど入浴しないのに、何故か甘くいい匂いがする彼女の体臭。
何度も見て、味わって、嗅いで、毎夜抱いているのに、いつまでたっても飽きない彼女の裸体を見ていると、俺のシンボルがはちきれんばかりに勃起してしまった。全くもって節操がないな、と我ながら思う。
「すまん、我慢できん。挿入れていい?」
包み隠さずに俺は言った。彼女とこれまで生活してきて分かった事は、彼女との会話はストレートであるほどいいという事だ。
彼女は、首を横に振った。
「その前に、こっちで飲みたい」
彼女は俺の方へ振り向くと、口を開け舌を出した。

「うっ、くっ……お前、本当に……うぅ、なめるの好き、だなっ」
「じゅぽっじゅぼっじゅぷっ、じゅぅるるるるる……」
姫子は俺を浴槽の縁に座らせると、俺のペニスの前にしゃがみ、一心不乱にそれをしゃぶり始めた。
俺の声には一切耳を傾けず、ひたすら顔を上下に動かし、舌を亀頭やカリに這わせる。
「れろっちゅぽっ……あまり、美味しくない……じゅるぅ……」
彼女は風呂に入る前の、汚れたペニスが好物である。なので、風呂で汚れが落ちてしまった今の状態に不満のようだ。
だが、フェラチオは止まらない。むしろ、早く大好物の精液を飲もうと、動きが激しくなってきた。
「じゅっじゅっじゅっはむっれろじゅぽっじゅるるるるるるる!」
そして、必殺技の強烈な吸引。たまらずに、朝一番の精液を思いっきり彼女の口内に発射してしまった。
「ん……ごくっ、ごくっ、ごくっ……」
発射した瞬間、彼女は俺の目を見て、にぃと目を細めて笑った。そして、喉を盛大に鳴らし、精液を一滴も残さず飲み干していく。
発射された分を飲み終えると、今度は亀頭にちゅうちゅうと吸い付き、人差し指と親指で作ったリングで、竿を牛の乳絞りのようにしごく。そうやって、尿道に残った精液も綺麗に飲んでいった。
一秒でも長く、俺の快楽を長引かせるための、完璧な精飲。そのプロフェッショナルな技術に、俺の腰はがくがくと震えて喜んだ。
「こくっ……こくっ……甘い」
彼女の言葉に、俺は驚いてしまった。
「え、何だよ、甘いって……もしかして糖か?糖が出ちゃってるのか?」
甘いものはあまり好きではないので、糖尿病になる事はないと思うのだが……
うんうんと悩んでいると、彼女は小さく首を横に振って言った。
「多分、違うと思う。しょーの事を好きになればなるほど、精液甘くなるから……」
その時、俺の理性はぷつんと切れた。
「きゃん!」
無言で姫子を立たせ、浴槽の縁に両手をつかせると、彼女の幼い女性器を後ろから乱暴にペニスで貫いた。
彼女の脂肪の少ない細いお尻を両手でがっしりと掴み、骨盤が音を立てて軋みそうなほどの激しい腰振り。
反り返ったペニスが、ちょうど彼女の最も弱い箇所を乱暴に突く。
そして彼女は、そのたびに全身を震わせ、高く甘い声を上げる。
腰を押すとにゅるりと膣肉が押し広げられ、溢れた愛液がぴゅっと噴出す。
腰を引くとペニスを逃すまいと膣壁がきゅっと締まり、カリと肉襞がごりごりと擦られ強烈な快感をもたらす。
「くんっ、きゅんっ、あんっあふっ、んっんっんっ……」
「はっ、はっ、……ごめん、出るっ」
俺が射精の合図を送ると、彼女は首をぶんぶんと縦に振って、同意の意志を示した。
「んっ、ぐっ!出る!」
「ひきゅんっ!」
二人は同時に絶頂した。射精に合わせて彼女は背筋をブルブルと震わせ、強烈な快感に戸惑いぶるぶると首を横に振る。
しかし射精が終盤に差し掛かった頃には、浴槽の縁に両肘をつき、
「あぁ……んぅ……ふぅぅぅん……」
腹の底から唸るような、快楽に負けきった声を上げて全身をだらしなく弛緩させた。
俺が肉壷からペニスを抜き取ると、支えを失った彼女は膝からがくりと地に落ち、荒い呼吸で体を上下させながら、肉穴から精液を垂れ流した。

「あーっついー、ハッスルしすぎたー……」
遅めの朝食を終えると、彼女を膝の上に乗せ、ネットサーフィンを楽しんだ。
入浴直後に激しい運動をしてしまったので、また全身が汗まみれになっている。
彼女は俺のペニスをがっちりと対面座位でくわえ込みながら、新たに俺が流した汗を、美味しそうになめている。
「あー、暑い。姫子の体温で熱い。人肌はぬくいとか言うけど、それより前に熱い」
ぺろ……ぺろ……
「あっついなー。なあ姫子、プール行かね?町民プール、今年から魔物娘も入場可だってさ」
右手でマウスを操り、左手でうちわを扇ぎながら問いかけた。
「ぺろ……やだ、めんどい。れろぉ……」
「即答かよ」
「じゅるぅ……それに、私を連れて行ったら、しょーの部屋が汚いってみんなに言いふらしてるようなものだよ?ぺろろ……」
「うっ」
確かに、悔しいがその通りだ。
姫子のような魔物娘が出現して何年か経った現在、色々な所から様々な魔物娘ガイドブックが出ている。
生物学者がまだ正式な発表をしていないので、話題性重視でかなり誇張した紹介をさせられているのだが、姫子と同じ種類の「ハエ娘」は、どの本にも共通して「汚い部屋に住んでいる人が好かれる」と大きく書かれているのだ。
俺は片付けが大嫌いな上に、埃アレルギーなのだ。一度掃除をすると、三日間はくしゃみ鼻水が止まらない。
おまけに、姫子はそんな汚い環境が好きなので、いつまでたっても部屋のごみが片付かない。
さすがに生ごみは捨てるが、空き缶や空きペットボトルが溜まっていく一方なのである。
ぺろ……ぺろ……
「ん?何だこれ」
とあるネット掲示板を覗いていると、気になるURLを発見した。
「魔物娘ハァハァ」というどうしようもないタイトルのスレッド。
「俺も魔物娘とイチャラブしたいな」
「隣のやつがサキュバスと毎日セックスしててうるさいやらうらやましいやら」
といった、魔物娘と出会えてない住人のレスが目立つ中。
「モテない俺らはしょうがないから二次元で我慢するしかないな」
というレスとともに、そのURLが貼られていたのだ。
それをクリックしてみると……
「クロビネガ?何だこれ」
そこには、濃い青色のバックのサイトが映っていた。
左上には「Since 04/4/25」と書かれている。
俗に言われている「魔物娘大発生」よりも何年も前のサイトである。
「ふむ、ふむ……ん?エロ魔物娘図鑑?」
レス書いた人が見せたかったのは、これだろうか。そう思いながらクリックしてみた。
そこは、俺にとってはパラダイスだった。ありとあらゆる魔物娘の紹介が、図解入りでされているという、俺にとっては夢のようなサイト。
とりあえず、上から順番に魔物娘の項目をクリックしてみた。
「うーむ、どれもこれも可愛いなぁ」
そんな紹介絵達の中で、一つ気になる項目があった。
ベルゼブブ。
その絵を見た時、俺は椅子から転げ落ちんばかりに驚いた。
「あれ、これ……姫子?ほら、ほら、この絵、これ姫子だよ」
俺が画面を指差しながら言うと、彼女は器用にペニスをくわえ込んだまま、体を反転させた。背面座位の形になる。
彼女はしばらくその画面を眺めていたが、首をひねりながら、うんうんと唸っていた。
「あれ、どうした?」
「漢字、読めない」
あ、そうですか……そういえば、彼女は日本人どころか、地球人である事すら疑わしいのである。そもそも、日本語で意思疎通できる事自体が奇跡なのである。
しょうがないので、俺が読んで聞かせてあげる事にした。
「えーと、ベルゼブブ……生息地、魔界。魔界ってどこだよ……気性、凶暴。ははは、凶暴だってさ」
俺が笑うと、彼女は頬をぷくっと膨らませて、思い切り膣肉を締め付けてきた。
「ぐぅっ、ちょっ、それ、反則だって!無理、無理、ギブッ!ギッブゥ!」
彼女の体をぎゅっと抱きしめると、思い切り膣内に射精してしまった。あっけない。
彼女の肉壷は、精液を受け止めながら、さらに肉をぐにぐにと蠢かせる。
「あ、うぅぅぅぅ……姫子、お前、気持ちよすぎ……」
耳元で囁くと、ようやく彼女の機嫌が戻ったのか、ぷひゅるると口内の空気を吐き出し、にやりと笑った。
勝ち誇った笑みだ……でも、悔しいけど気持ちよかったから仕方がない。それに、俺は彼女の笑顔はどんなものでも好きだ。
そして俺はしばらくベルゼブブの項を彼女に読み聞かせた。
「この絵のベルゼブブの尻尾、結構大きいな、姫子のはこんなに大きくないよなぁ」
「お前、食べ物くれたっけ?」
「聞く耳持っていない、は当たってるな。搾りたい時に搾るもんな、お前。気持ちいいからいいけど」
俺が文章や絵に対してそう突っ込みを入れるたびに、姫子は笑ったり、怒ったり、膣肉を締めて精液を搾り取ったりした。

昼。太陽が一番天高く登る時刻。
図鑑の本読みをしている間に何度も精液を搾り取られたので、そんな時間なのに眠たくなってしまった。
まあ、今日はバイトもないし、夏休みだし、今から眠っても咎められる理由はない。
むしろ、今までバイトのシフトが詰まったり、テストやら集中講義で忙しかったので、今日は昼寝しても神様は許してくれるだろう。
つながったままの姫子を抱っこしながら、布団へと向かう。
一歩進むごとに、眠気が強くなる。
ようやく布団にたどり着き、いざ寝転がろうとした時。
部屋のチャイムが鳴った。
「はい、はい……」
脳内を満たしていた睡眠欲を何とか沈め、インターホンに急いで歩く。
ああ、タイミングが悪すぎるぞ……
「はい」
インターホンを手に取り、来訪者に応える。
「こんにちはー。宅配便です」
宅配便?ネット通販を使った記憶はないのだが……
しかし、来たのだから仕方がない。
「宅配便だってさ。ちょっと待ってろよ」
さすがにつながったまま応対するのはまずいので、姫子を引き剥がそうとする。
しかし、
「やだ」
腕と足の締め付けを強め、意地でも離れようとしなかった。
「ちょっと待ってくれよ……さすがに人前でつながったままってのは」
「しょーのおちんちん気持ちいいから離れたくない」
ぷるぷると首を振った。あーもー、嬉しい事言ってくれるじゃないの。
そこまで言われちゃったら、離すのが可哀想だ。仕方ないからこのまま応対しよう。
「じゃあ、せめて目をつぶって何もしゃべるなよ。寝た子を抱っこしてるって事にしておくから」
そう念を入れると、彼女はうなずいて悪戯っ子のように微笑んだ。その笑顔も可愛いぞ。
「すいませーん。今行きますからー」
ドア越しに大きな声を上げて、彼女を抱えたまま玄関に向かった。
「はーい」
ドアを開けると、配達員さんがけっこう大きなダンボールを抱えて立っていた。
「あ、すいません。待たせてしまって。重かったでしょ」
「大丈夫です。意外と軽かったので。あ、すいませんね。お取り込み中に失礼してしまって。起こさないように、すぐにお渡ししますね」
彼は姫子の方を見て言った。ほっ……どうやら彼の中では、俺が姫子を寝かしつけている最中に配達に来てしまったという事になっているみたいだ。
配達員さんは、伝票の点線でできた丸の部分を指差して、ボールペンを渡してくれた。
「よっと……」
姫子のお尻を、ずり落ちないように片腕で抱え、示された部分に「セダ」とサインをした。
「はい、ありがとうございます。あ……っと、荷物はどうされますか?」
抱えられた姫子を見て、彼は困ったような声を上げた。
「あ、ああ。えーっと。じゃあ、ここに置いて下さい」
配達員さんに靴置き場にダンボールを置いて貰った。
「それじゃあ、失礼します」
帽子を外し、深々と礼をして彼は去っていった。帽子に隠れていて分からなかったが、彼の顔は汗でびっしょりになっていた。こんな暑い中待たせてしまって、何か悪い気分だな。
部屋に戻り、ダンボールを開けると、そこにはポテトチップスの詰め合わせが!
ああ、思い出した。そういえば何ヶ月か前に買ったパズル雑誌を見て何となく応募した懸賞があったな。
正直、学生にとってタダで貰える食べ物ほどありがたいものはない。
「これが、ベルゼブブの力か?」
そう言うと、いつの間にか目を開けていた姫子が、両手に腰を当てて、胸を張って偉そうなポーズをとった。マジかよ……

さて、もう邪魔をする者はいない。今度こそ眠れると思い、のっそりと布団の上で仰向けに寝転んだ。当然つながったままである。
「おやすみ」
と一言つぶやき、目を閉じようとすると、彼女がくいくいとTシャツの裾を引っ張った。
「どうした?」
正直もう眠りたくて仕方がなかったので、わざと眠そうな声を上げる。
「動いていい?」
彼女はとんでもない事を言った。
朝っぱらからあれだけ俺の精液を搾り取ったのに、まだ足りないと言うのかこいつは。
「勘弁してくれよ……」
俺は正直に拒否の意を示した。
しかし、さすが図鑑に「傲慢、わがまま」と書いてあるだけはある。問答無用に腰を上下に動かし始めた。
いくら眠くても、彼女の肉壷は極上の名器である。生理的反応は抑える事は出来ない訳で。
悔しい事に、また見事に勃起してしまった。
「ごめん。私の子宮が、しょーのおちんちんとキスしたいって言ってるから……」
何でこうも俺を欲情させるワードを的確に突いてくるのかな、こいつは。
「分かった。分かったから、一発だけだぞ?」
その言葉を聞くと、彼女はこくこくとうなずいた。
腰の動きを上下のものから、前後のものへとシフトさせていく。
「奥に届いて、ごりごりする」
そう言って彼女は嬉しそうに微笑んだ。彼女は奥をぐりぐり責められるのが一番好きだ。
既に瞳は快楽に蕩け、頬を赤く染め、口からは荒い息と共に喘ぎが漏れる。
「あっ……んっ……動きにくいからっ……手を握ってて……」
彼女が両手のひらを俺の目の前に突き出して見せた。
彼女の指の間に自分の指を絡め、ぎゅっと握ってあげる。それに応えて、彼女も優しく手を握り返してきた。
胸の横につないだ手を移動させると、彼女は俺に支えられた両腕に体重を乗せ、腰を前後左右に動かし始めた。
円形に腰をグラインドさせると、カリが肉ひだにこすれ、電流が走るように快楽が流れる。
前後に激しく揺さぶると、裏筋が肉壷の出っ張りに刺激され、無意識に声が漏れる。
上下にピストン運動をすると、膣肉がぎゅっぎゅっと亀頭と竿を握り締めてくる。
「はっ!はっ!はっ!ひめ、こ……本気出しすぎっ……」
「んふぅ……だって、しょーがとっても、あふっ……眠そうだったから、あうぅ。早くっんっ、終わらせようと思ってぇ……んっんっんっ!」
言葉を発している途中で、姫子は感極まってしまったらしい。俺が射精する前に、彼女は体を丸め、ぶるっぶるっと二度三度体を大きく震わせて絶頂した。
「あっ……んんん!んふっ、ふぅぅぅ!はふっ、かひゅっ……」
涎をだらしなく垂らし、湿った瞳はとろりと快楽に蕩け、甘い痺れに震える。
ああ、姫子のイキ顔マジエロいなぁ……
「くっ……締まる……」
絶頂時の強烈な締め付け。まるで、牛の乳絞りのような、根元から先へ握るような締め付けに、俺も大量の精液を漏らして絶頂を迎えた。
「はぁ……はぁ……」
絶頂の余韻に浸り、二人で荒い息を整えた。
肩のすぐ下に頭を乗せた姫子が、俺の方をうっとりと眺める。
ああ、目がきらきらしてる……これは「キスしたい」のサインだ。
「まったく、仕方がないな」
ため息と共に呟いて、俺は彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた。
「んっ……ふぅ……」
今回は舌を絡めてこない。唇を重ねると同時に、彼女は全身の力を緩め、俺に体重を預けてきた。ああ、この重みが気持ちいい。
しばらく軽いキスを味わっていると、彼女は目を閉じ、すうすうと寝息を立て始めた。
起きている時はあんなに淫乱なのに、寝顔は本当に年相応で幼いな。ま○こはがっちり俺のちんこくわえ込んでるけど。
彼女の寝顔を眺めていると、疲れがどっと押し寄せてきた。
幸せに包まれながら、俺はそっと目を閉じた。

うん、眠れない。
布団に寝そべりながら、もう何度彼女の肉壷に射精したか分からない。
それに引き換え、姫子はもうぐっすりと眠っている。天使のような笑顔である。
だが、魔物娘の本能なのか、眠ったまま腰を動かし続けるのだから恐れ入る。あまりの気持ちよさに、気絶と覚醒を何度も繰り返しているうちに、もう夕方になってしまっていた。
すやすやと眠っている姫子が愛しくなって、彼女の背中に両腕を回しながら、肩甲骨や背骨の辺りを撫で回していく。
はぁー。すべすべ。気持ちいい……
彼女が来てから、俺は危ない性癖を開発されっぱなしだと思う。
彼女と出会う前は、幼女に欲情する事なんか一度もなかったのに。
つつつ……と人差し指で背骨をなぞり、肉付きの少ない、幼いお尻を両手で撫で回す。
よくよく考えてみると、こんな幼女と一日中セックスをして、興奮しながらお尻を撫で回すなんて、人間相手にやったら社会的に抹殺間違いなしであろう。
姫子は俺より長生きらしいから、まあ、問題ないとは思うけど……それでもこんな姿を見られたら誤解されかねないであろう。
でも、ロリ尻気持ちいいなぁ。もっちりしてて、かといってぽっちゃりなわけでなく。すべすべで、上質な絹を撫でているかのような……
上質のロリボディに浸っていると、俺の心の中に、彼女の体を味わいつくしたいという欲望と、自分は全然眠れないのに、彼女だけぐっすり眠っているという不公平に対する怒りがふつふつと沸いてきた。
くそう、何か仕返しをしてやりたいな。
そう思いながら、相変わらず彼女の桃尻を撫で回していると、俺は名案を思いついた。
両側の尻肉をぐいっと押し広げると、俺は右手の人差し指を彼女の肛門に挿入した。
指はまったく濡らしていなかったが、問題はない。
まるで指を挿入されるのを待ち焦がれていたかのように、彼女の腸内は溢れんばかりの腸液に満たされていた。
今まで、彼女がトイレに入ったのを見たことはないので、彼女は一切排泄をしないのであろう。
まさに、アナルセックス、アナルプレイのためだけに作られた腸と肛門なのである。
すんなりと入った人差し指。それを鈎爪状に折り曲げると、彼女の腰がびくっと震えた。
彼女の顔を覗く。反射で眉をひそめたが、起きた気配はない。
じゃあ、遠慮なく……
人差し指を更に折り曲げると、今度は指の腹でごしごしと腸壁をこすった。
腰の震えが強くなる。もっとこする。腰が快楽を求めて、無意識にグラインドを始めた。
まったく、姫子は全身が性感帯なんだなぁ。こんなに気持ちよさそうに腰を振っちゃって……
こんな幼い体で、快楽を貪ろうと一生懸命になっちゃって……
「んぅ……むぅ……」
ああ、そんなに気持ちよさそうな声を上げちゃって……
ぐっ、また膣壁の締め付けがきつくなってきた……!
やばい、姫子のスイッチが入っちゃったか!?
でも、この刺激は……正直性欲を抑えきれない……!
我慢できなくなった俺は、彼女を仰向けにし、覆いかぶさるような体勢になった。いわゆる正常位である。
そして、その体勢のまま彼女の美味しそうなつやつやの唇にむしゃぶりついた。
「ちゅぅ……ちゅっ。んん……」
姫子の瞼が開いた。さながら白雪姫を起こす王子様の気分である。
汚い和室の布団の上なので、ロマンチックの欠片もないが。
「あぅん……ふぁ……おはよう……」
姫子は俺の顔を見て、何とも場違いな挨拶をした。
「お前なぁ……寝てる間中ずっと腰振りやがって……全然眠れなかったぞ!しかえしだ!食らえ!」
俺はそう叫ぶと、彼女の背中をぎゅっと抱きながら、渾身の力で腰を振り続けた。
いつもの姫子ならば、俺が責め上げると、可愛い声を上げて感じてくれるのだが、今回はどうも違う。
俺の腰に脚を回し、背中にぎゅっとしがみつくのはいつもと変わらない。しかし、声を上げない。
目は虚ろで、口は半開き、肺からそのまま漏れてきているような息遣いで、首が据わらない赤ん坊のように、頭がかくんかくんと重力に従って揺れている。
先程のアナル攻撃で、いつも以上に脳内が桃色に染まりきっているのだろう。
いつもと違う彼女の反応に、俺の心は更に情欲に燃え上がった。
「好きだ、愛してる」
彼女に愛の言葉を囁きながら、唇同士が触れ合う程度の軽いキスを嵐のように降らせる。
キスをするたびに、彼女の淫肉の動きが高まり、目には光が戻ってくる。
何度も何度も、愛の言葉を雨のように降らせ、何度も何度も、唇と唇を重ね合う。
目の光がいつも通りに戻った頃、彼女は微笑んだ。
快楽と愛を一気に受け、惚けたような淫らな笑顔。
その快楽漬けになった表情に、俺のハートは見事に射抜かれてしまった。
「その顔……反則っ、だろう……」
俺はそれだけを呟くと、ぎゅぅっと強く彼女を抱きしめながら、彼女の子宮口に思い切り射精をしてしまった。
ポルチオを精液で叩かれ、彼女は目を閉じて喘ぐ。彼女の腕の力を強め、俺の胸板に頭を沈めた。

「ねぇ、しょー。夏休みって、いつまで?」
すっかり夜も更けた頃。仰向けになった俺の上にうつ伏せに乗っかりながら、彼女は問いかけた。当然、つながったままである。
「あー、9月終わりまでずっと夏休み。ただ、明日昼からまたバイトだよ」
「ふーん」
俺が正直に答えると、彼女は少し残念そうに呟いた。
「あ、でも明後日はまた一日中休みだ。だから、明日は我慢して、明後日またいっぱいしような」
頭を撫でながら言うと、姫子は素直に喜んで俺に抱きついた。
やっぱり、その笑顔は反則だわ……
10/07/22 01:07更新 / 川村人志

■作者メッセージ
こんな夏休みを過ごしてみたい。
姫子→ヒメコバエ
瀬田彰→セダカショウジョウバエ

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