読切小説
[TOP]
とあるサバト本部の一日



「ええい!暇なのぢゃ〜〜〜!!」


サバト本部。


その中にある自身の執務室にて、両腕を伸ばして叫ぶバフォメット。


彼女の名は、ジルバ。


このサバト本部を仕切っている一応お偉い方?らしい。



「ええい!ワシはこれでも偉いのぢゃ!そもそも、お主はさっきから何を言っておるのぢゃ!?エメリーよ!」



そう言ってジルバさん、指差しながら、目の前に居る、一枚の紙を持った魔女を指差した。


この魔女の名はエメリー。


ジルバに仕えている魔女なのだが、結構苦労人・・・・


「ジルバ様?人を指差すの止めれ〜?今度やったら、オヤツ無しだからね〜?あぁ、それと、コレはカンペっていうらしいです。読め!って大きく書いてましたから、その通りに読んだだけです」



・・・苦労人なんだろうか?



「うぅ・・・またエメリーがいぢめるのぢゃ・・・だって暇なんぢゃもん・・・」



ジルバさん、涙目。



「そう言う事は、目の前の書類を片してから言ってくださいよ・・・まだ未処理の書類が山積みなんですから・・・」



はぁ〜、とため息をつくエメリー。



机の上に置かれている《未処理!》のラベルが貼られた木製の盆に書類が山積みになっていた。



「今日はやりたくない気分なのぢゃ!アレは明日からやるのぢゃ!」



「はぁ〜、“また”ですか?しょうがないですね。その代わり、明日はキッチリやってもらいますからね?」



ジルバはこう言い出すと絶対聞かないので、エメリーは大人しく諦める事にした。



「わ〜い!早速、暇つぶしするのぢゃ!」



はしゃぐジルバさん。このお方、ホントに偉いんだろうか?



「でも、暇つぶしって言っても、何をするんですか?今、本部には私とジルバ様しか居ませんけど?」



「・・・へ?」



固まるジルバさん。この方(以下略)



「というか、“お主らに休暇をやるのぢゃ!”って言ったのはジルバ様でしょ?その所為で書類が山のようになんたらかんたらうんぬんかんぬん・・・」



エメリーのお説教が始まった!



「ぐ、ぐはぁ!?」



※クリティカルヒット!ジルバに65535の精神的ダメージを与えた!




〜数分後〜





「―とまぁ、それはさておき、私が誰か呼んできましょうか?・・・って、ジルバ様〜?生きてます〜?」



「・・・・・・・・・・」



精神的なダメージによって、真っ白くなって口から魂がコンニチハ状態のジルバが、そこに居た・・・・・


















−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−






「―で、私が呼ばれたっていう訳ね?」



「はい・・・すみませんシア様。ご迷惑でなかったら、ジルバ様のお相手をして頂けませんか?」



エメリーが呼んだのは、本部のある街で領主をやっている、リリムのシアだった。





「まぁ、そういう事なら仕方が無いわね。ジルバがどういう相手かは、よ〜く知ってるから。でも残念だったわ、折角これから旦那と・・・・・・」



「だ、旦那と!?なんぢゃ!?」



口から魂が飛び出ていたジルバが、魂を仕舞って目を見開きながら、シアに尋ねた。




「・・・・・・・・フフフフ」



※シアは意味深な笑みを浮かべた!



「な、なんぢゃ!その意味深な笑みは!?」



「ジルバ様、知らなくていい事もあるんです・・・この世の中」




「のう、エメリーよ。ワシ、泣いてもいいかの?」




「ええ、どうぞお好きに。私には関係ありませんから♪」




※エメリーはあっさり言い放った!




「がぁ〜んばれぇ〜・・・まけぇ〜んなぁ〜・・・ちか〜らの〜かぎ〜り〜い〜きてやれぇ〜・・・ううぅ・・・」



ジルバ、泣く。



「あなたがッ!シア様宛てにッ!“SM女王プレイセット”なんて送るからいけないんだッ!」



エメリー、涙目でキレる。



「良かれと思ったんぢゃ〜・・・うぅぅ〜・・・」








−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−






「―で、暇つぶしって言っても、何をするの?」




脱線したが、ジルバも泣き止んだので、気を取り直してTAKE2。




「アレぢゃ!ババ抜きしたいのぢゃ!」




ぱっと笑顔になって答えるジルバ。




だが・・・




「じ〜・・・」



※シアはジルバを見つめた!



「じじぃ〜・・・」



※エメリーはジルバを見つめた!






「む・・・?なんぢゃ、お主ら、2人してワシを見つめて?」



理由が分からず、キョトンとするジルバ。




「ババ・・・」(シア)



「抜き・・・」(エメリー)




「・・・・・・!!?」(ジルバ)



ジルバ、2人に見られていた、その理由に気付く。



「・・・のう、ワシ、また泣いてもいいかの?」



ジルバ、2度目の涙目。




「で、ジルバ。ババ抜きでいいのね?」



シア様、華麗にスルー。





「うぅ・・・がんばれ、ワシ」



心の中で滝のような涙を流すジルバであった・・・




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−






「で、使うトランプなんぢゃが、デザインが3種類あるんぢゃ、どれがいいかのぅ?」



ジルバ、机の3番目の引き出しから3つのケースを取り出し、持って来る。



「・・・?どれも同じように見えるのだけど、何が違うのかしら?」



「良くぞ聞いてくれた!一つは普通のトランプなんぢゃが、あとの2つは絵柄が入っておるんぢゃよ!一つがお兄ちゃん印のトランプ、もう一つが魔物娘トランプぢゃ!」



※何故か誇らしげに言うジルバさん。



「ふ〜ん・・・この魔物娘トランプっていうの、何だか面白そうね?これって要するにカードに私達のうちの誰かが描かれているって事でしょう?」



「そうぢゃ!で、ちなみにワシのオススメは―」



「あ〜!?シア様、ハートのQじゃないですか!いいな〜」



「あら、アナタはクローバーの5なのね?」



※エメリーとシア、カードの絵柄に夢中。(ジルバの話を全く聞いてない)




「のう?もうそろそろ、泣いてもいいかの?」







しかし、その言葉もあっさりスルーされるのであった・・・











−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




「では、始めるとするかの!」



早速、魔物娘の絵柄入りのカードを配ろうとするジルバだったが・・・





「ん〜、3人だけだと味気ないわね・・・ちょっと待ってて、友達を連れて来るわ」



突如シアがそう提案し、移動魔法の魔法陣を展開して、早速その中へ消えていった。




「一体誰を連れてくるんかのう?」



「さぁ?まぁ、シア様が連れて来てくださるんですから、大丈夫でしょ?」








〜数分後〜






「お待たせ。遅くなってごめんなさい」




「おお、帰ったか」



「お帰りなさいシア様・・・え〜っと、後に居る方は?」




「あぁ、この子はアリシア。私の友達よ。さぁ、アリシア、自己紹介して?」



「あ、はい・・・初めまして。ワーウルフのアリシアです」



首に緑色の首輪と、右腕に首輪と同じ色のバンダナを巻いているワーウルフ、アリシア登場。




「ご丁寧にどうも。私、魔女のエメリーです」




「ワシはバフォメットのジルバぢゃ!よろしくの」




「はい!宜しくお願いします!」



ジルバ、エメリー、アリシア、握手を交わす。





「さて、自己紹介も終わったところで、始めましょうか?ババ抜き」




「うむ!」





―カードをシャッフルして、均等に配り終えていざ、戦いの幕が切って落とされた!















−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−






お互いあらかじめ揃ったカードを捨て、ジャンケンして順番を決めた。



アリシア→ジルバ→エメリー→シア



※ここで、それぞれの手持ちを確認。(ここでは絵柄は省略)


アリシア→3、5、6、8、10、Q、A 

ジルバ →2、3、7、8、J、K、A

エメリー→2、5、4、6、9、10、J、JOKER

シア   →4、7、9、Q、K





「じゃあ、ジルバさん、早速引かせてもらいますね!」



「うむ!かかってくるのぢゃ!」



スッ―



アリシアは“2”アルラウネの絵柄入りのカードを引いた!



「あちゃ〜・・・まぁ、そううまくも行かないか〜」



アリシアの手持ちが増えた!



「エメリー!覚悟するのぢゃ!」



「ふふ、返り討ちにしてあげますよ?」



スッ―



ジルバは“2”マンドラゴラの絵柄入りのカードを引いた!




「んなッ!?」



悲しいかな、それはさっきアリシアが引いていった数字だった・・・




「ぐぬぬ・・・・・・・・・・」



「それじゃあ、シア様。失礼しますね?」



「ええ、どうぞ」




スッ―


エメリーは“4”ミノタウロスのカードを引いた!



「よ〜し!まずは一組っと!」



エメリーは“4”ホルスタウロスとミノタウロスのカードを捨てた!



「あら、良い感じね?コレは負けていられないわね・・・っと」




スッ―


シアは“10”狐火の絵柄入りのカードを引いた!



「あら、残念だわ」



2巡目。




アリシア→2、3、5、6、8、Q、A 

ジルバ →2、3、7、8、J、K、A

エメリー→5、6、9、10、J、JOKER

シア   →7、9、10、Q、K









スッ―


アリシアは“2”マンドラゴラの絵柄入りのカードを引いた!



「えへへ♪やった〜」



アリシアは“2”アルラウネとマンドラゴラのカードを捨てた!



「あ〜っ!?ぐぬぬ・・・やりおるな・・・そおい!」



スッ―


ジルバは“J”リザードマンのカードを引いた!



「うしし、やったぞい♪」



ジルバは“J”リザードマンとサラマンダーのカードを捨てた!




「やってくれましたね・・・それ!」



スッ―



エメリーは“7”エンジェルの絵柄入りのカードを引いた!




「むむむ〜・・・」




「まぁ、こういうのは運だから、仕方が無いわね・・・えいっ」



スッ―



シアは“6”ゴブリンの絵柄入りのカードを引いた!




「だからこそ、おもしろいのよ」





3巡目。




アリシア→3、5、8、Q、A 

ジルバ →3、7、8、K、A

エメリー→5、6、7、9、10、JOKER

シア   →6、9、10、Q、K





「ん〜・・・これかな?」



スッ―



アリシアは“K”ドラゴンの絵柄のカードを引いた!



「残念・・・」




「むむむ・・・これぢゃ!」




スッー



「な、なんぢゃこりゃ〜〜〜!?」



ジルバは“JOKER”あっかんべーをしたバフォメットの絵柄のカードを引いた!




「プ〜ッwwwククククwwww」




「ええい!エメリー!笑うでないわ!」



(ジルバ、手持ちシャッフル中)



「(ああ、引いちゃったのね、JOKER・・・)ジルバ、どうかしたの?」



「ナ、ナンデモナイゾイ?」



「そう?」





「じゃあ、引きますよ・・・っと」




スッ―



エメリーは“10”狐火の絵柄のカードを引いた!



「やった♪」



エメリーは“10”狐火と狐憑きのカードを捨てた!




「やるわね、エメリー」



スッ―



シアは“K”ドラゴンの絵柄のカードを引いた!



「私も負けてられないわね!」



シアは“K”ドラゴンと龍のカードを捨てた!




4巡目。








アリシア→3、5、8、Q、A 

ジルバ →3、7、8、A、JOKER

エメリー→5、6、7、9

シア   →6、9、Q




「そろそろ、揃えないとまずいかも・・・」



スッ―



アリシアは“A”ヴァンパイアの絵柄のカードを引いた!



「よし!この調子♪」



アリシアは“A”ヴァンパイアとダンピールのカードを捨てた!



「そりゃ!」



スッ―



ジルバは“7”ラミアの絵柄のカードを引いた!



「やったぞい♪」



ジルバは“7”ラミアとメドゥーサのカードを捨てた!



「それ!」



スッ―



エメリーは“6”インプの絵柄のカードを引いた!



「うんうん、良い感じ♪」



エメリーは“6”インプとアークインプのカードを捨てた!



「みんな調子良いわね〜」



スッ―



シアは“Q”サキュバスの絵柄のカードを引いた!



「どうやら、私が一番に上がるみたいね?」



シアは“Q”サキュバスとリリムのカードを捨てた!




5巡目。



アリシア→3、5、8

ジルバ →3、8、JOKER

エメリー→5、9

シア   →9




「あぁ!?シア様があと1枚です!?」



スッ―



アリシアは“8”ゴブリンの絵柄のカードを引いた!



「よし♪」



アリシアは“8”ゴブリンとホブゴブリンのカードを捨てた!



「ぐぬぬ・・・ワシだって・・・!」



スッ―



ジルバは“5”グールの絵柄のカードを引いた!



「ぐぐぐ・・・」





「あ、私とシア様が上がりですね♪」



エメリーは“9”アカオニの絵柄のカードを引いた!



エメリーは“9”アカオニとアオオニのカードを捨てた!



エメリー、シアの2人は上がった。



「そのようね。さ、後は2人の戦いを見ていましょうか♪」



6巡目。




アリシア→3、5、

ジルバ →3、5、JOKER

   


「それ!」




アリシアは“5”グールの絵柄のカードを引いた!



アリシアは“5”グールとスケルトンのカードを捨てた!



「ふふ。勝負あり、ですね」



「ぐ、ぐぐぐぐ・・・」



ジルバは“3”マーメイドの絵柄のカードを引いた!



「ぐあ〜〜!?負けたのぢゃ〜〜〜!!」



ジルバは“3”マーメイドとメロウのカードを捨てたが、手元に“JOKER”が残ってしまった・・・・




「あらら・・・・負けちゃいましたね、ジルバ様」


「まぁ、そういう時もあるわよ?ジルバ」



「ビリになってしもうたが、それでも面白かったのぢゃ!と言う訳で、もう一回やるぞい!」





「いいですよ」


「ジルバ様、次は頑張って下さいよ?」


「望むところだわ!」












その後、暇つぶしに行われたババ抜きは、日が暮れるまで続いたのであった―



13/01/19 11:51更新 / 四爺麓参

■作者メッセージ
ということで、久々に登場しましたジルバとエメリーのコンビ。

やっぱりこうなった・・・


※登場キャラについて


アリシアは、“狼の恩返し”の最後に出てきたあのワーウルフです。
(登場作品からは15年後のアリシアです)

シアは“リリムの出逢い”に出てきたリリムです(登場作品では名無しでしたが…汗)


おかしなところがあるかも・・・・(汗)

では ノシ

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33