読切小説
[TOP]
貴方の望みを聞かせて?
週末の短い休みが終わり、なんとなく気だるさを覚えながら出社したのは今朝のこと。
彼が背中に痛みを感じたのは昼過ぎだっただろうか。
体調が良くないと感じ始めてはいたが、社会人になってからは弱音は容易く吐くことは出来なくなっていた。
やがて寒気すら感じるほどになるころ、漸く今日の業務が一段落する。
いそいそと帰り支度をし、帰る直前で漸く体調不良を上司へと告げる。
幸いにも社内で流行病が蔓延している所為か、渋い顔をされながらも翌朝病院へ向かうことを許される。
残り本数の少ない電車に揺られながら自宅へと戻る頃には、もはやふらつき歩くことすらままならない程になっていた。
自宅にあった市販の解熱剤を飲み、倒れるようにベッドへと横になる。
寒気と暑さにうなされながら、少し寝ては起きてを繰り返し、気がつけば外が明るんできていた。
熱を再び測れば40度近くまで上がっており、視界は歪み吐き気と頭痛まで襲うようになっていた。
もはや病院に行くことすら困難な状態となっていながらも、社会人としての悪しき風習が身に染み付いた結果、会社への連絡だけはなんとか済ましていた。
もはや死という文字すら脳裏に浮かび始めるころ、彼の口からは小さく救いを求める言葉が無意識に出ていた。

「誰か…誰か助けて…」

荒い呼吸が、彼の状態が非常に危険であることを物語っていた。
虚空に手を伸ばし、自分が何を呟いているのかも理解していないままに、呟く。

「神様…助け…駄目なら…までも…い…から」

何故手を伸ばしていたのかは分からなかった。
縋るような思いがそうさせたのか、それとももっと別の何かを感じていたのかもしれない。
やがて手を伸ばす力すら無くなり、重力に従い落ちる彼の腕。
その腕は、ベッドに当たることはなかった。
熱で全身が火照っているせいか、少しひんやりとした、心地よい感触を腕に感じていた。
熱で働かない頭をその感触の方へと向けると、そこには自分以外の存在があった。
ぼやける視界では上手く見ることが出来ない、青い何か。
必死にそれが何であるかを理解しようとしている時、彼の耳に声が届く。

「んー…なんか呼ばれたと思って来たんだけど…随分と大変な感じね、大丈夫?」

まだ幼さを含む、少女を思わせるような声。
彼の顔を覗き込むように、首を傾げながらその顔を近づける。
ぼやける視界の中で漸く、その青い何かは人に近しい、人とは全く異なる生き物であることを理解する。
熱のせいで声を上げることも何も出来ない彼を他所に、それは己の額を彼の額に重ねる。
腕に感じた感触と同じ、すこしひんやりとする心地よい温度。

「あらら…凄い熱ね。大丈夫?私の事わかる?」
「ぅ…お願…助け…」
「……ふふ、分かったわ。良い物取ってきてあげるから、ちょっとだけ待っててね」

嬉しそうに笑った後、その青い何かは彼の額に優しく口づけをすると、彼の視界から消える。
視界から消えたそれを追いかけようと動かせる範囲で首を動かすが、その姿はどこにもなかった。
熱が見せた幻だったのかもしれない。
そのまま彼は力尽きたかのように、視界は闇に閉ざされ、意識は彼方へと吹き飛んでいた。

…………

目を覚ましたのは、頭部に心地よい冷たさを感じたからかもしれない。
額に手を伸ばせば、冷たい水で絞られたタオルが乗せられていた。
枕はいつの間にか氷枕へと変えられており、先程よりも幾分頭痛や吐き気も収まっていた。
蹴飛ばしていた掛け布団はきっちりと彼の身体にかけられている。
一体誰がやってくれたのか、そう思っていた時だった。

「あら、良かった。目が覚めたみたいね」
「え…?」

額のタオルを落とさないようにしながら、声のした方へと向くと、そこには彼女が居た。
人とは異なる青い肌。
幼い少女を思わせる風貌だが、身に纏う衣装は膨らみかけの胸と秘部を申し訳程度に隠す程度の高い露出。
腰からは【悪魔】という単語を聞いて思い浮かぶような羽と尻尾が生え、彼女の動きに合わせて動いている。
赤い瞳から感じる力強い視線は、どこか肉食獣を思わせるような、身震いするような視線。
ツインテール調のすみれ色の髪の毛と、頭部から生える翼に似た角。
所々にある髑髏を象った装飾が、一層【悪魔】という思いを強くする。

「ひっ!」
「あっ!人の顔見て驚くなんてひっどーい!失礼しちゃうわ、まったく」

思わず声を上げてしまった彼に対し、手を腰に当て頬を膨らませて怒っていることをアピールする彼女。
だが、すぐに笑顔に戻ると彼の首元に己の手の甲を当て、彼の体温を確認する。

「んー最初のときより、ほんの少しだけ良くなったかしら?」
「あ、あの、君は…」
「ん?私?……そうね、まだ自己紹介もしてなかったわね、ふふ」

口元を隠しながら、どこか大人びた笑いを浮かべ、彼女は自分のことを彼へと伝える。

「私の名前はヘルマ、デビルのヘルマよ。宜しくね♪」
「で、でびる…?」
「そ、デビル。くすくす…貴方のお名前は?」
「え?ぁ…えっと祐也…です」
「そう、祐也ね、うふふ♪」
「あの…君は、悪魔なの…?」
「んー少し違うと思うけど…概ね間違ってないんじゃないかしら?魔界から来てるし」
「ひぃっ!」
「もー…そんなに怖がらなくてもいいじゃない…大体貴方が呼んだから私は来たのに」
「え…?」
「あ、そんなことより」

ふと、何かを思い出したかのように彼女は何やらゴソゴソと、足元にあった蝙蝠をモチーフにした小さなバッグから何かを取り出す。
差し出されたのは、ハートの形をしたピンク色の錠剤が3錠。

「こ、これは…?」
「元気になるお薬だよ♪ちゃんと飲めるかな〜?くすくす」
「……飲んで大丈夫…なの?」
「大丈夫大丈夫、これ飲んだらすぐに元気になっちゃうんだから!」

そんな怪しげな薬を飲むよりも、市販の解熱剤を飲んだほうがまだ良いのではないかと思っていたが、熱で正常に働いていない頭と、彼女の屈託のない笑顔に根負けした結果、渋々その錠剤を飲むことにした。
どうせ白昼夢の様な出来事なのだ、と己に言い聞かせる。

「大丈夫?飲み込める?…あっそうだ、飲ませてあげようか?」
「いや…普通に飲めるから…」
「くすくす、遠慮しないでいいから、ね♥」
「…じゃあ…ヨロシク…」
「むぅー投げやりな感じ…ちゃんとおねだりしてくれたら飲ませてあげる♪」
「辛いから早くしてほしいんけど……あーもう…わかったからそんな目で見ないでって…君に飲ませて欲しい……これでいい?」
「えへへ、了〜解♪」

そういうと、彼女はあろうことか彼に飲めと言った錠剤を自分の口の中へと放り込む。
彼女の行動を全く理解できないままその行動を見ていると、彼女は次に水を口に含む。
最初から飲ますつもりのない、悪ふざけだったのか、そう彼が思っていた時だった。
急に彼女の顔が近づいて来たと思った瞬間、彼女が両手を彼の両頬にそっと添える。
驚く彼に有無を言わさず、彼の唇に自分の唇を重ねる。

「っ!?ん、むぅ…」
「んっ…んぅ…ふふ…」

突然のことに目を見開き驚く彼を押し倒すようにしながら、少しずつ口に含んだ水を口移しする彼女。
柔らかく小さな唇は、口に含んだ水と錠剤を零してしまわないようにしながらも、器用に彼の唇を攻め立てる。

「ん…ぇぅ…むぅ…ちゅ♥」

ゆっくりと彼女の口内から彼の口内へと水が移るにつれ、驚きながらも彼は彼女の意図を汲み取る。
28年間の人生の中で初めて味わう異性との口づけの快感と、甘く優しい匂いのする彼女に酔いしれながら、彼女からの口移しをし易いように口を開ける。

「ん…んむ…れぅ…んふふ、全部移ったね、良い子。ちゃんと飲み込める?」

口内の物が全て彼に移ったことを確認した彼女は、彼の頭を優しく撫でながらゆっくりと顔を離す。
口の中に広がる甘さは、彼女の甘さなのか、それとも錠剤の甘さだったのか。
分からぬまま、だがそれを飲み込む。

「もう少しお水飲もっか。さっき寝てる間に随分汗かいてたみたいだし」

そういうと彼女は再び水を口にする。
彼の返答を待つ前に、もう一度先程のように彼の両頬に手を添えると唇を優しく重ねる。
人間で言えば10歳かそれに満たない程度の少女との口づけは、あまりに背徳的で、あまりに甘美だった。
先程錠剤を口移しした時よりも、彼女は更に時間を掛けて口内のものを彼へと渡していく。

「んっ…んむぅ…ちゅ、んふ…むぅ…んはぁ…くすくす♥」

ほんのり蕩けたような表情で、彼女は彼に顔を近づけたままの状態で止まる。
ほんの少しどちらかが動けば再び唇が触れる距離で、嬉しそうな表情で舌を出したまま少しだけ荒い呼吸をする彼女。
出したままの舌からは、つぅっと彼女の涎が垂れ落ち、それは半開きのままの彼の口の中へと消えていく。
彼女の甘い涎を飲み込む頃には、頭はもはや熱のせいではなく、もっと別の理由で正常に判断できなくなっていた。

「はぁ…はぁ……んふふ…まだ、お水のおかわり、いる?」
「ぁ…ほ、しいで…す」
「くすくす、素直な子♥…それじゃあもう一回あげるね♪」

そういうと彼女は再び水を口に含む。
彼女のなすがままに、先程よりもさらに時間を掛けて行われた口移しは、もはや恋人同士のする甘いキスのようになっていた。
口移しされた水を彼が飲み込んでも、甘い背徳の口づけは彼女が満足するまで続けられていた。
やがて長い長い口移しが終わり、彼女の顔が離れ始めた頃、急な眠気が彼を襲う。

「ぁ…なん…だ」
「くすくす…お薬が効いてきたみたいね、少しゆっくり寝るといいわ」
「ぅ…」
「大丈夫よ、貴方が寝てる間もちゃーんと傍に居てあげるから、安心して寝なさい」
「…ありが、と」
「どういたしまして♪」

その言葉を最後に、再び彼の意識は暗闇の中へと落ちていった。

……………

再び目が覚めた時は、体調は大分良くなっていた。
少なくとも頭痛や吐き気、寒気は感じなくなるほどには回復していた。
ただまだ熱が残っているのだろう、ほんのりと全身に火照りのような暑さを感じていた。
そんな目覚めた彼は、きょろきょろとあたりを見渡すも彼女の姿はなかった。
一瞬、全て夢の中の出来事だったのではないかと思い込むも、すぐにそれが勘違いであると理解する。
部屋にほんのりと漂ういい匂いと、かすかに聞こえる聴いたことない音調の鼻歌。
若干ふらつく身体を何とか動かしながら、今いる部屋とキッチンと隔てる扉を開けると、そこに彼女は居た。
彼女の私物であろう、黄色い、胸元にデフォルメされた蝙蝠の小さなアップリケが付けられているエプロンと、葡萄に似た何かの柄の黄色い三角巾を身に着けて。
驚いた表情を浮かべたあと、パタパタと彼の元へと彼女は駆け寄る。

「もー起きてたなら呼んでくれたら良かったのに!」
「あ、いやごめん…」
「もう立って大丈夫なの?ふらつかない?寒かったり気持ち悪かったりはしない?」
「少しふらつくのと…ちょっと暑いかな?クスリのお陰で大分良くなったよ、ありがとう」
「…んふふ、どういたしまして♪…って、ふらつくなら寝てないと駄目じゃない!ほらほらベッドに戻って」
「あ、ちょちょっと」

彼女に押されるがままにベッドまで戻り、横になった彼に彼女が優しく掛け布団をかける。
なんだか何から何までされてしまって申し訳ない気持ちになってくる彼だが、
その気持を伝える前に彼女はキッチンへと戻っていく。
そういえば、何を作っていたのだろうか。
そんな疑問はすぐに彼女が持ってきてくれた器の中身で判明する。

「まだあんまり食欲ないと思ったから、軽く食べれるものを作ったんだけど…食べれそう?」
「おじや、か」

ベッドから半身を起こして見た先にあったのは、温かな湯気が立ち上るおじやだった。
昔まだ幼い頃、よく風邪を引いた時に母親に作ってもらったなと、ふと懐かしさがこみ上げる。
じっとそれを見つめる彼に少し不安になったのか、彼女が心配そうに声を掛ける。

「…まだ食べれなそう?」
「あ、いや食べるよ。最近あんまり食べた記憶が無いな―って思っただけだよ」
「そっか♪ なら、冷めないうちに…ってアツアツじゃ食べれないわね」
「まぁ、ゆっくり食べ…」

ゆっくり時間をおきながらなら食べれるだろう、そう思っていた彼を尻目に、彼女は適量をスプーンで掬う。
一瞬、彼女が自分で食べようとしているのかと、そう思った時だった。

「ふーっ…ふーっ……んふふ…はい、あ〜ん♥」
「えっ、あの…」
「どうしたの?猫舌だったかしら?」
「いや、そうじゃなくて…なんでそんな、その色々と世話というか…尽くしてくれるというか…」

きょとんとした表情を浮かべる彼女だが、すぐに笑みを浮かべると優しく彼の疑問に答える。

「どうしてって、貴方が強く望んだから、かしらね」
「望んだって…」
「貴方の助けを求める声が聞こえたから、だから私はここへ来たのよ。貴方を助けるために」
「確かに…ちょっとやばかったけど…」
「んふふ、分かってくれたかしら?」
「でも…君はその…悪魔なんだろう…?その…」
「……?あっ、もしかして助けたお礼として魂でも取られるとか思っちゃった?」
「あ、ぅ…まぁその代償というか、その…」
「あはは、おっかしー♪そんなこと気にしてたんだ…くすくす」
「…そんな笑わなくてもいいじゃないか…」
「あはは、ごめんごめん。でもまさかそんなこと不安に思ってただなんて…うふふ♥」
「……ふん」
「あーごめんごめん。でも確かに悪魔って聞いたらそう思っちゃうかもね…でもね」

そういうと彼女は、手にしていたスプーンを器に戻し立ち上がると、すっと彼に顔を近づける。
優しい笑みを浮かべたままの彼女と、その真っ直ぐな瞳にどこか吸い込まれる様な感覚を味わい、目を離せなくなる。
そんな彼へ投げかけられる優しい言葉。

「私は貴方の為にここへ来たの。貴方を不安にさせるためじゃなくて、貴方のことを想ってここへ…」
「ぅ…」
「もしどうしても信じられないなら、今すぐにでも私はここを出ていくわ。それが貴方の為になるなら」
「あ、いや…その、別にそういう意味で言ったわけじゃなくて…」
「何も代償なんていらない…ただ貴方の傍に、せめて貴方が元気になるまでの間だけでいいからお世話をさせて欲しいの」
「……」
「それだけ、ふふ」

少しだけ悲しげな優しい笑みを浮かべた彼女の言葉に、嘘は感じなかった。
少なくとも彼女が来なければ、確実に今よりも状態は悪かったに違いない。
そう考えると、彼女は信頼に値するのではないか、そんな思いが彼の不安を消し去る。

「わかったよ…君を信頼する。疑って、そのごめんね」
「ふふ、謝ることなんてないわ」
「その…風邪が治るまでの間、えっと…よろしく」
「こちらこそヨロシクね、くすくす♪」

そういうと彼女は再び嬉しそうな笑みを浮かべると、器に戻したスプーンを再び彼の前へと差し出す。

「それじゃあ改めて…あ〜ん♪」
「いや、流石に自分で…」
「だ〜め♪」
「うぅ…」
「あ〜ん♪」
「あ、あーん…」
「うふふ、美味しい?」

正直な所、顔から火が出そうな程恥ずかしく、ろくに味わうこともできなかった。
醤油ベースの味付けに、卵と小さく刻まれた鶏肉、玉ねぎのシンプルなおじや。
だが、熱で体力を消耗していたからか、それとも単純にお腹が空いていたからか。
どこか全身に染み渡るような温かさを感じる、優しい味だった。

「…おいし」
「くすくす、よかったぁ♪ ふーっ…ふーっ…あーん♪」
「…あーん」

2度3度と繰り返されていく内に、次第に羞恥心は薄れていくものの、完全に消えることはなかった。
同時に、まるで恋人のような甘い歯の浮くような感覚は、回数を重ねるほどに大きくなっていく。
そんな悶々とした中で、不意に彼女が冷ましたものを自らの口へと運ぶ。

「んふふ…貴方が美味しそうに食べるから私も食べたくなっちゃった」
「ぁ…」
「自画自賛みたいであれだけど…美味しく出来たわね、ふふ……ん?」

咀嚼している口元をじっと見つめる彼の目線に彼女が気がつく。
彼女がその視線に気がついたことを察すると、彼はすぐに気まずそうに目線を逸らす。
だが、彼女は一瞬で彼の思いを理解すると、艶めかしさを覚える笑みを浮かべる。

「くすくす…そんなに見つめてどうしたのかな〜?」
「あ、その…なんでもな、い…」
「ねぇ…♥」

器を置いた彼女は、再び彼に顔を近づける。
先ほどと違うのは、額同士がくっつくほどに、鼻と鼻が触れ合うほどにまで彼に密着したことだろう。
気まずそうに逸していた目線も、密着した彼女のせいで逸らすことも出来ず彼女と目が合う。

「何を恥ずかしがっているのかな〜?」
「別に…何も…」
「くすくす…私は何でもお見通しだよ…ね?」
「ぅ…その…」
「ここに居るのは私と貴方だけ…何も恥ずかしがることも遠慮することもないわ…」
「あ…あぁ…」
「ねぇ…聞かせて?貴方が思っていたこと…貴方の望みを…私だけに聞かせて、ね?」

彼の荒い吐息とつばを飲み込む音が彼女の耳に入り、彼女は更に嬉しそうに笑みを浮かべる。
決して急かすこともせず、ただ優しく彼の欲望がその口から放たれるまで、彼女は笑みを浮かべたまま彼を見つめていた。
やがて震える声で彼の口からその望みが放たれる。

「さっきみたいに…その」
「さっきみたいに?どうして欲しいかちゃんと言わないと分からないわ、くすくす♥」
「ぅ…その…ぁ…く、口移し…で」
「んー?」
「く、口移しで、食べ、食べさせて欲しい!」

その言葉を聞いた彼女は、一番の、それでいて最も魔物らしい嬉しそうな笑みを浮かべる。

「くすくす、ちゃんと言えたね…えらいえらい♪」
「ぅぅ…」
「ちゃんと言えた子には…ご褒美をあげないとね♥」

そう告げた彼女は再び器の中身を掬うと、自らの口へと運ぶ。
ゆっくりと見せつけるように何度も何度も咀嚼し、己の唾液と十分に絡めながらペースト状へとしていく。
彼女が咀嚼しているその姿を見ているだけで彼の興奮は高まり、呼吸が荒くなることを抑えることが出来なかった。
そして嬉しそうな笑みを浮かべながら、ゆっくりと顔を近づける彼女。
両手が彼の両頬に触れ、そっと彼をベッドへと押し倒すようにしながら、優しく口づけをする。

「んっ…ちゅ…ぇぅ…れぉ…むんぅ…れぇ…んふ♥」

ゆっくりと彼女から口移しされるおじやは、先程と同じもののはずなのに全く異なる味わいだった。
一口毎に理性を蕩けさせるような、それでいて目の前の彼女が愛おしくて堪らなくなるような甘い恋の味。
彼女の唾液という禁断の調味料が添えられたそれは、彼の心を奥深くまで蕩けさせる。

「んふぅ…へぉ…ちゅ…んぅ、んっ…ぢゅ…れぅ…ちゅぅ♥」

彼女の口内が空になっても、彼女は口づけをやめることはなかった。
彼女の小さな舌と、彼の舌が重なり合うたびに快感が生まれ、思考は削げ落ちていく。
気がつけば彼女を抱きしめ、彼女も彼のことを抱きしめ返すような体勢へと変わっていた。

「んっ、ちゅ…ぢゅぅ…ぢゅる…れぉ♥…くすくす、美味しい?」
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…」
「蕩けちゃってるね…あはっ♪とても素敵な顔になってるよぉ♥」

言葉を発することも出来ないほどに蕩けきった彼の顔をみて、彼女も満足そうな笑みを浮かべる。
少しだけ出された舌からは、彼と彼女の唾液が混ざりあって出来た蜜がトロリと垂れ落ちる。
彼と同じように顔を赤く染めた彼女は再び彼との口づけを行う。

「んんぅ…ちゅ…ぇお…ふぅっ…ちゅ…ぢゅる♥」
「んむぅっ…!」
「んはっ…はぁ…はぁ、いい顔…もっと蕩けて…貴方の快感に染まった顔を見せて♥」
「あ、あぁぁ…」

だらしなく開いた口は、餌を待つ雛鳥のように、彼女の口づけを待っていた。
そんな彼の思いに応えるように、彼女は嬉しそうに顔を近づける。

「ほら…もっと気持ちよくなろう?…もっと甘いトロトロになるキスをしよう…ね♥」
「ぅ…する…するぅ…」
「くすくす…とっても良い子ね…うふふ♥」

それから何度も何度も彼女のとの甘い背徳的な口づけを繰り返す。
思い出したかのように残ったおじやを口移ししては、その何倍もの時間を掛けて口づけをしていた。
快感で頭が完全に染まる頃、風邪で低下していた体力のせいか、彼は力尽きたかのように眠りにつく。
眠ってしまった彼を確認した後も、愛おしそうに彼の寝顔を暫く見つめては、口づけを繰り返していた。


……………………………………………

彼女の世話になってから早くも3日目になろうとしていた。
熱もほぼ微熱程度にまで下がり、気だるさは残るものの少なくとも命の危険は無くなる程に回復していた。
一方で彼女の世話焼きは、もはや彼の生活の全てを抑えるほどにまで手広くなっていた。
食事、掃除、洗濯は勿論のこと、ゴミのぶん別、ゴミ出し、靴磨きも完璧だった。
どうやってバレずにすんだのか彼には分からなかったが、買い物からスーツ、Yシャツのクリーニング出しまで。
何から何までを彼女がやってくれたおかげで、彼の身の回りは今までにないほどに整っていた。

「貴方は体調が悪いんだから、寝ててい〜の♪」

何を言ってもこの一言で却下され、ひたすらに彼は横になっていることしか出来なかった。
だが、嬉しそうな笑みを浮かべる彼女がすぐ傍にいることは決して悪いことではなかった。
何より、暇な時間を過ごしているからこそ、もはや当たり前になった口移しでの食事は尚の事美味しく、楽しみであり、甘美な瞬間であった。
そんな楽しみである食事の、次のメニューは何かなと想像を巡らせて居た時だった。
ふと横を見ると、彼女が何かを抱えて彼の方へとやってくる。
もはや見慣れたエプロン姿の彼女だったが、一瞬何とも言えない違和感を感じた。
しかし、彼女が持ってきた物に気を取られ、その違和感の正体には気がつくことはなかった。
彼女が手に持っていたのは、タオルとぬるま湯が張ったプラスチック製のたらいだった。
ニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべながら、彼女はぬるま湯に漬けたタオルをギュッと絞る。

「身体、綺麗にしてあげるね♪」

何度かシャワーを浴びさせて欲しいと訴えたが、風邪が治りきってないから駄目だと断られていた。
ただ、いい加減汗をかいた身体を綺麗にしたいという思いだけは伝わったようだった。
ベッドから身体を起こすと、パジャマを脱ぐように言われる。
恥ずかしさから戸惑いがあったものの、最終的には彼女の笑顔に負けてしぶしぶ脱ぐことにした。
上半身を晒した後は、彼女に言われるがままにベッドの真ん中あたりへと移動する。
タオルを持った彼女もベッドへと上がると、彼の背中側へ周り、ゴシゴシと強すぎず弱すぎずの力で彼女は彼の身体を拭き始める。

「気持ちいい?」
「うん…散々汗かいてたからね、気持ちいいよ」
「ふふ、良かった♪」

もしも、自分に娘がいたとしたら、きっと彼女と同じようにしてくれるのだろう。
そんな、もしもの世界のことを想像している内に彼女が優しくポンポンと背中を叩く。
どうやら背中を拭くのが終わったようだった。

「ありがとう、生き返った様な気分だよ」
「うふふ、よかった。じゃあ次は前ね」
「え…?」

疑問符を上げている間に、彼女は彼の対面へと座り込む。
相変わらず満面の笑みを浮かべながら、彼に両腕を広げるように指示する。

「いや、流石に前くらいは自分で…」
「くすくす、いいからいいから、ね?」
「でも…その、流石に」
「んふふ…恥ずかしがっても、だぁ〜め♪」

結局、彼女の押しに負けた結果、前面も彼女の手によって拭かれることになる。
右手の指先から腕、肩から脇と、先端部から順に拭いていく彼女を為す術無く眺める彼だった。
一生懸命彼女が拭こうと動く度に、ふんわりと香る彼女の甘い、今までに嗅いだことのない匂いに頭がぼぅっとしていく。
右腕が終わると、一度タオルを絞り直すために彼女がベッドから降りていく。
何気なく彼女のことを目で追っていた彼は、彼女の後ろ姿を見た瞬間あることに気がつく。

「(あれ…?背中…何もない!?あれ?なんで?…え?もしかして今…)」

元々かなり際どく要所のみが隠れるような衣服だったが、背中に見えるのは羽とエプロンの紐だけだった。
よくよく彼女の姿を思い出してみれば、最初におじやを作って貰った時に見えていた胸元の髑髏の装飾はどこにも無かった。

「(エプロンの下って…何も付けてな…)」

頭の中で結論を出そうとする前に彼女は振り向き、先程のように彼の前へと座ると今度は左腕を拭き始める。
だが、もはや彼が見つめる先は彼女の胸元だけだった。
厚めの生地のせいか、彼女が本当に下に何も付けていないかはわからなかったが、彼の中ではもはや確信へと変わっていた。

「(何も…付けてない…)」

ドクンドクンと心臓が脈打ち、同時に湧き上がる劣情が徐々に膨らんでいく。
必死に考えないようにしないよう顔を背けるも、彼女の発する甘い香りが更に劣情を掻き立てる。
どうか彼女にバレないように、そう必死に考えていた時だった。

「くすくす♥」
「っ!」

彼女は嬉しそうな、蕩けたような、それでいて恍惚とした笑みを浮かべながら嬉しそうに笑う。

「どうしたの、そっぽ向いちゃって…拭く力が強すぎたのかな〜?」
「あ、いや…大丈夫、気持ち…よかったよ」
「あはっ、良かったぁ♥」
「あ、あはは、あ、ありが」
「じゃあ今度は身体を綺麗にしてあげるね…くすくす」

そう彼女は告げると、手にしていたタオルをベッド下へと落とす。
一瞬彼女が何をしようとしているのか理解できなかった彼だが、彼女の次の行動に思わず声をあげる。

「んっ…れぉ〜…ちゅ…ぢゅぱ」
「ひっ…あ…あぁっ!」

突然彼女が抱きついて来たかと思えば、小さく柔らかなその口で彼の乳首を優しく吸い、舐め始める。

「ぁむ…ちゅぅ…ぢゅ…れろぉ…んっ…ぢゅ♥」
「くっ…あが…ひぅっ!」

他人に乳首を舐められるなど、彼の人生の中で初めての経験だったが、その口からは快感のあまり声が漏れ出ていた。
小さな唇で優しく吸い付かれるくすぐったさと、小さな舌で舐められるゾクゾクとした未知の快感。
何よりも、幼い少女に性的な行為をされているという背徳感が、彼の興奮と感度を底上げしていた。
そんな彼の反応に彼女も満足げな表情を浮かべている。

「んふ…ぢゅぅ…ちゅ…ぇろ〜…ん…ぁむ…くすくす、いい声…もっと聞かせて♥」
「んっ…くぁっ…ハァッ…うぁ…ま…って、ヘルマ!」
「ぢゅ、ぢゅるぅ〜…んはっ…どうしたのかしら?ふふ♥」
「そこは…もういいから…もう終わりに…」
「そう…なら次は反対側ね♪」
「まっ…あ、ぐぅ…っ!」

彼の静止も意味をなさず、彼女は今度は彼の反対側の乳首を丹念にしゃぶり、舐め上げる。

「ぢゅ…れぅ…ぇぉ…はぷ…ちゅ…ぢゅるる♥」
「あ、あぁぁっ!」

彼が喘ぐ声を荒らげる度に、彼女の唇が、舌が彼の乳首を攻め立てる。
ゾクゾクとした快感は、いつの間にかジンジンとした痺れのような甘い快感へと変わっていた。
舐めていない方の乳首は指で優しく摘まみ、あるいは傷つけないように爪先でカリカリと優しく刺激を与え続けていた。
射精感とはまた異なる快感がこみ上げ、それが身体中を駆け巡り、支配するような感覚に浸る。

「まて、まって…本当にこれ以上は、ぐうぅっ」
「れぉ〜…ぢゅ…んふふ、続けるとどうなっちゃうのかしら?くすくす♥…ちゅ…れぅ…れぉ〜…」
「ふっ、ぐぅ…あぁ……ぁ、え?」
「んふふ…はい、綺麗になったからおしまい♪」

身体中を駆け巡る快感が爆発する寸前で、彼女の唇が、手が彼から離れる。
もうちょっとで、そんな瞬間に終わってしまった切なさが彼の胸中を満たしていたその時だった。
あまりに淫らに、そして艶かしく笑う彼女から放たれる、決定的な一言。

「私のエプロンの下…そんなに気になるかしら?」
「っ!」
「くすくす、貴方の熱い視線に…気がついてないと思ってた?」
「いや…その…むっ」

浮かべた笑みはそのままに、彼女は言い訳をしようとしている彼の唇に人差し指を重ねる。
彼の口が止まったことを確認すると、彼女は笑みを浮かべたままその人差し指を彼の身体をなぞるようにゆっくりと下げていく。
唇からゆっくりと喉を通り、胸を通り、そして腹部を通り過ぎ、尚も止まらない。
荒くなる吐息の中、彼女の手を止めることはできなかった。
心の奥底で、彼女に触れて欲しい、もっと気持ちよくしてほしいという欲望が溢れ出てくる。
そして彼女の指は彼の不自然に盛り上がったパジャマのズボンの膨らみへと達する。

「あ、ああぁっ!!」
「こんないやらしい匂いさせて…こぉ〜んなに固くして…くすくす、気づかないはずがないわ♥」

限界にまで勃起した彼のペニスの先端部を人差し指で円を描くようになぞりながら、彼女はねっとりとした声で囁く。
パジャマの上からこすられているだけなのに、気が飛びそうな程の快感に晒される。
心の奥底で望んでいたことであると同時に、彼女のような幼い少女に自分の性器を触られるという禁忌を前に、彼の理性は容易く瓦解していく。

「でもね、私にはわかるよ…こんな風に触られるだけじゃ物足りないよね…ふふ♪」
「あ…ぅあ…ぐ…」
「こんな時はどうすればいいのかなぁ?…くすくす、貴方はちゃんと…言えるよね?♥」
「ヘル、マ…頼む、手で…手で触って…」
「んー?手で触ってほしいの?こうかなぁ?くすくす♥」

嬉しそうな笑みを浮かべたまま、彼女は彼のズボンの膨らみに手を添えると優しく撫でる様に手を動かす。
無論、彼女は彼の本当の望みは分かっていた。
だが、今の彼の言葉では彼女を動かすにはあまりに欲望が足りなかった。
まだ理性が残っている彼には、最後の一歩が踏み込めていない。
だからこそ、彼女はその一歩を踏み込ませるために、彼の膨らみからは手を離さないまま、彼の耳元で囁く。

「ほら…聞かせて?貴方の欲望を…貴方が心の中に隠してる言葉を…」
「ハァッ…ハァッ…ハァッ」
「私が叶えてあげるよ?貴方の望みを何でも叶えてあげる。恥ずかしいことなんてなにもないよ?」
「ハァッ…ぁ…あぁぁっ」
「言っちゃおう?全〜部吐き出しちゃおう?貴方の本当にして欲しいこと…♥」
「触って!直接、直接触って…ほしい!」
「触るだけ?触るだけでいいの?貴方がして欲しいことは本当にそれだけ?」

時折彼の耳を舐めながら囁かれる彼女の甘い誘惑。
彼女の言葉は彼の欲望をゆっくりと、確実に引き出していく。
それは耳を傾けてはいけない、禁忌の声。
一度踏み込めば決して戻ることの出来ない堕落の道への始まり。
それはまさしく、悪魔の囁きだった。
そして彼は、その声に耳を傾け、そして応えてしまう。

「ヘルマの手で!その手で!イかせて欲しいっ!!」

彼の言葉を聞いた彼女は、きっと今までに見せたどの笑顔よりも素敵で、魔物らしい笑みを浮かべていた。
彼の膨らみに触れているとは逆の手で優しく彼の頭を撫でながら、耳元で優しく囁く。

「くすくす♥ちゃんと言えたね、良い子良い子♪ じゃあ…」

もはや理性が溶け落ち、快楽に染まりきった彼に優しく口付けをする。

「い〜っぱい気持ちよくしてあげる♥」

彼女に言われるがままにズボンを脱ぎ、パンツまで脱ぎ去った彼をベッドに座らせると、彼女も彼の対面に座る。
彼の足の上に彼女の足が重なるような状態で向き合う二人。
荒い呼吸に合わせるように、脈動を繰り返す彼のペニスをうっとりとした表情で彼女が見つめる。
ぬらぬらとした先走りでコーティングされた彼のペニスに、彼女の両手がそっと添えられる。

「こんなエッチなヨダレ零して…くすくす、すごいビクンビクンって震えてるよ♥」
「あっあっ…」
「まだ両手でぎゅってしただけだよ?まだ我慢だから…ね?」

そう告げた後、彼女は顔を前に突き出すと、彼のペニスへと涎を垂らしていく。

「んっ…れぉ…ぇう…んふふ♥」

とろりとろりと、彼女の舌先から零れ落ちた涎は、糸を引きながら彼のペニスへと付着する。
そして彼女の小さな手が、ゆっくりとそれを全体へと広げていく。
彼の先走りと彼女の涎が混ざり合い、最初は小さな、やがて部屋に静かに響き渡る水音を生み出していく。

「ふぅっ…くっ、ぅ…あぁっ!!」
「くすくす…ほら、聞いて…貴方のエッチなヨダレと私の涎が混ざりあったいやらしい音…♥」
「ひっ…くぁっ…うぅ」
「くちゅ…くちゅって音が聞こえる?とっても素敵な音…エッチで淫らで、気持ちよくなっちゃう音だよ」
「あっ、くはっ…ヘルマ、きもち…いっ!」

彼女の声とともに、彼女の手は徐々に動きを早くしていく。
彼女の小さな両手が上下に動く度に、彼の先走りと彼女の涎が混ざり合い二人だけの愛蜜へと変わっていく。
快感のあまり声を抑えることも出来ず、身体は仰け反る。
だが、そんな快感に耐えようとする姿勢を彼女が許すはずがなかった。

「ほら、駄目だよ…ちゃんとこっちを見て?」
「ぁっ…でも…気持ち、良すぎっ…て」
「だぁ〜め♪ほら、私の手元を見て?」

彼女の言葉は不思議と逆らえず、彼女の言うがままに彼女の手元を見る。
彼女の小さな手が、幼い手が彼の限界まで固く大きくなったペニスをしごいている光景は、言葉にできぬほどの背徳感があった。
荒い呼吸は更に荒くなり、快感はさらに高まる。
そんな彼の変化を嬉しそうな笑みを浮かべながら、追い打ちを掛けるように彼に顔を近づけ小さく囁く。
赤く上気した彼女の顔、彼女の甘い吐息、そして心の奥底まで響き渡る声が容赦なく彼を攻め立てる。

「ほら…私の小さな手が貴方のおちんちんを一生懸命くちゅくちゅ、こしこししてるよ♥」
「いっ…が…あっ…ハァッ!ハァッ!」
「くすくす、こんな小さな手で貴方のおちんちんを触ってるんだよ?とってもいやらしい、イケナイこと♥」
「ひっ…く、あ…」
「小さな女の子におちんちん見られて…触られて、興奮して…気持ちよくなっちゃうんだよね、ふふ♥」
「ひぁ…も、げんか…」
「あはっ♪もう我慢できないよね?おちんちん気持ちよすぎるもんね♥」

優しく、だが容赦なく彼を快感で塗りつぶし、快楽に溺れさせる。
両手の動きを更に早くし、最後の追い打ちを掛ける。

「いいよ、全部出しちゃおう?貴方のおちんちんが一番気持ちよくなる瞬間を見ててあげる♥」
「あっああぁっ、ヘルマ!もうっ!」
「ほら、私の目を見て…私の名前を呼んで」
「ヘルマっ!ヘルマぁっ!」
「良い子…とっても素敵な顔…♥」

ふいに彼女が彼に口づけをした、その瞬間だった。
ドクンと心臓が大きく脈打つような感覚とともに、勢い良くこみ上げてくる射精感。

「イッちゃえ♥♥♥」
「あああぁぁぁっ!!」

漸く訪れたその時は、彼の人生の中で間違いなく最高の快感に満たされた瞬間だっただろう。
勢い良く放たれた精液は彼女のエプロンのアップリケにまで勢い良く飛び跳ねる。
あまりの快感に身体は仰け反り、呼吸すらまともに出来ない中で、信じられない量の精液が解き放たれる。
胸に、そして腹部へと何度も解き放たれる彼の精液を、蕩けきった顔で彼女は見つめていた。
彼が射精している間も巧みに手を動かし、快感が、射精が終わらぬように彼を攻め立てる。
やがて長い射精が終わり、勢いのなく溢れ出る精液を零さぬように手ですくい取ると、漸く彼女は彼のペニスから手を離す。

「あ…かは……ぁ…」
「あはぁ♥すっごい…こんないっぱい出るなんて…匂いも凄い濃くて♥」
「ぁ…あぁ…ひ…」
「私のエプロン…貴方の精子に染まっちゃった♥ んっ…ぢゅる…んんぅっ♥貴方の精液…おいし♪」

エプロンに、そして手に付いた精液を舐め取りながら、彼女はうっとりとした幸せそうな笑みを浮かべていた。
一方で彼は、文字通り全てを出し切り、精も根も尽き果てたのか、仰け反った体勢のままベッドへと倒れ込む。
未だに続く甘い痺れのような快感に全身を震わせながら、半ば放心状態となっていた。
暫く何も出来ぬまま、中々引かない快感に悶ていると、ふと視界に彼女が映る。
嬉しそうな、満足げな笑みを浮かべた彼女は、優しく彼に口づけをすると何やら小さく呟く。
その瞬間、彼の視界は重くなった瞼に遮られ、そしてそのまま意識は闇の中へと堕ちていった。

……………

一度崩れた理性はもとに戻ることはなく、心の奥底に押し留めていた欲望はもはや容易く彼女の言葉によって引き出される。
頭の中では、彼女のような幼い少女との性行為を必死に否定するが、欲望はその声を押しとどめる。
彼が欲望を曝け出せば、彼女は満足そうな笑みを浮かべてその望みを叶える。

「我慢なんてしちゃ駄目…貴方の望みを叶えるために私は居るの♪」

優しく包み込まれる優しい言葉。

「くすくす、小さい女の子にこんなことされたかったの?イケナイことされて気持ちよくなりたかったの?あはっ♥」

羞恥心と背徳感を刺激する甘くねっとりとした囁き。

「ほら、イッちゃおう?気持ちよくなっちゃおう?身も心も蕩けた貴方の顔を見せて…♥」

彼の理性と心を堕とす、禁忌の誘惑に彼が抗う術など何一つ無かった。
堕ちていくほどに、彼女は嬉しそうな笑みを浮かべながら彼を優しく包み込む。

今日も恋人のような甘い口づけを交わしながら、彼女に甘やかされ、なすがままに彼女の愛を受け入れる。
既に彼の体調不良も完全に回復しベッドに寝ている必要はなかったが、身の回りの世話を全て彼女がしてくれるおかげで起きる必要がなかった。
寝ていれば彼女が優しく寄り添い、甘い口づけや耳を甘噛したり、焦らすように彼の股間部をその小さな手で弄っていく。
エプロンを身に着けたままの彼女に身体を触られることはもはや日常と化していた。
背徳的な感覚は収まること無く、彼女のねっとりとした、それでいて官能的な言葉責めに日々増大していく。
快楽に堕ちていく一方で、彼の欲望は未だ満たされていなかった。
日に日に増大していく、彼女のあられのない、無垢な姿をその目に焼き付けたいという思い。
エプロンの隙間から見えそうで見ることの出来ない、そのもどかしさは彼のその思いを膨らませていく。
そんな燻る思いを心に押し留めていた彼のことを、いつの間にかベッドの上にまで来ていた彼女が優しく抱きしめる。
ベッドの上にで上半身だけ起こしていた彼の顔を、小さく柔らかな胸と腕で優しく包み込むように。
顔に感じるほのかに柔らかい感触と、彼女の優しい甘い匂い。

「むぐっ…!?」
「あはは♪ 最近ずっと私の胸元ばっかり見てる…くすくす♥」
「む、もが…」
「隙間から見ようとしてるの気がついてないと思った?ふふ…ぜ〜んぶお見通しなんだから♪」

全てが彼女の掌の上の出来事だったのだと、今まさに彼は気がつく。
日に日に僅かに緩み、隙間が広がっていくのは、偶然ではなく故意に彼女が調整していたことだった。

「私のおっぱいがそんなに気になるんだ…くすくす♥」
「む…ぷぁ…いや、えっと………気に…なる」
「ふふ、ずいぶん素直に言えるようになったね…えらいえらい♪…でもね」

彼の頭を撫でながら、彼女はにぃっと妖しくそして嬉しそうな笑みを浮かべる。

「お願いがあるなら…ちゃんと言葉にしないとだめって言ったよね?」
「あ…その…ヘルマの…」
「んふふ♥ 私の?」
「胸を…」
「くすくす…だぁ〜め♥胸じゃ私どこかわからないわ♪」
「そんな…う…ぅぅ」
「言えないならお願いは聞けないよ?……そうだ!今日は一日中こうしてよっか。ずっと貴方のことを抱きしめてあげる…いっぱい貴方の頭を撫でて、貴方のことを好きって何度も言い続けてあげる…♥」

それは、決して悪い提案ではなかった。
きっと彼女にそうされたなら、射精とは異なる、しかし同等以上の快感と満足感に包まれることは目に見えていた。
だがそんな提案ですら今は霞むほどに、彼の抱いていた思いは膨れ上がっていた。
涙すらこみ上げてきそうな程に必死な表情を浮かべながら、彼は彼女に懇願する。

「言う!言うから…頼むよ、ヘルマ…お願い…します」
「…よしよし♪ ごめんね、ちょっとだけ意地悪だったね、でも…もう、ちゃんと言えるよね?」

優しく頭を撫でながら、先ほどとは違う、柔らかく温かな笑みを浮かべて彼女は告げる。

「ほら…聞かせて?淫らでいやらしい言葉で貴方の欲望を…私だけに言える恥ずかしい言葉で言って?」
「あ…ああぁっヘルマの、ヘルマのおっぱいが見たい、見たくて堪らないんだ!全部見たい!もう…」
「見るだけでいいの?貴方はそれで満足しちゃうの?貴方の欲望はそんなに底浅いのかしら…くすくす♥」
「舐めたい…触りたい、しゃぶって…それで…僕だけのものにしたい!ヘルマの全部を僕で染め上げたいッ!!」
「あはっ♥ やっと言ってくれた♪貴方の心の中の素敵な欲望…やっと全部出してくれた♥」

心の底から嬉しそうな笑みを浮かべると、彼女は彼を片手で抱きしめたまま、もう片方の手を自分の首の後へとまわす。
布が擦れるような音が、もはや見ずとも彼女が何をしようとしているのか理解する。
シュッという短い音とともに、首の後で結ばれていたエプロンの紐が解ける。
だが、胸元で彼を抱きしめているせいで、エプロンは未だ彼と彼女の身体を隔つ壁として存在している。
だから彼女は、彼を抱きしめている手を離し、彼の両肩に手を添えるとそっと互いの身体を離す。
重力に従い落ちるエプロンは腰で結ばれた紐で止まっていたが、彼が熱望していた彼女の胸は遂に曝け出される。

「あ……」
「んっ…♥ふふ、見られ…ちゃった…♥」

どこか嬉しそうな声の彼女と、目の前の光景に言葉を失う彼。
二次性徴期の女児を思わせる、膨らみかけのまだ熟れていない未発達の乳房。
それでいて、その小さな胸に合わせた控えめな乳首はぷっくりと膨らみ、見た目とは裏腹に彼女も雌であると主張していた。

「くすくす…固まっちゃってどうしたの?遠慮なんていらないんだよ?これはもう…貴方だけのもの♪」

その言葉にはっとした彼は、荒い吐息を抑えられぬままゆっくりと彼女の小さなその胸に吸い付く。

「あんっ♥」
「(なんだこれ…甘くて…柔らかい…)」

彼女と同程度の見た目の女児に同じことをしようものなら、即座にお縄につくような禁じられた行為。
母乳など出るはずのないその胸は、しっとりとした肌触りとマシュマロのような柔らかさ、そしてほんのりとした甘さがあった。
度を越した興奮を前に、もはや思考はろくに働かず、必死に彼女の胸に吸い付く。

「んっ、あっ、んきゅぅ…ふぁ…んもう…おっきな赤ちゃんみたい…くすくす♥」
「ハァッ、ハァッ…ぢゅるる…ぢゅ…」
「んんぅっ♥あはっ…気持ちいい♥もっと…ほら反対側もまだあるんだよ?」

その言葉に従うように反対側の乳房にも貪欲に、必死に吸い付く。
空いている乳房は指で優しく、それでいてその柔らかさ、肌触りを堪能する。
舌先で、指先で転がす彼女のぷっくりとした乳首は、次第にその硬さをましていく。
手で容易く覆うことの出来る小さな胸は、見た目とは裏腹にどれだけ触ろうと、どれだけしゃぶりつくそうとも、飽きることはなかった。

「ふっ…くぅん…ひゃ…んふふ…上手だよ…私今とっても気持ちいいよ…♥」
「ハァッハァッハァッ…!ヘルマ…もっと…」
「んふふ…私も我慢できなくなってきちゃった…♥」

そうつぶやいた彼女は、胸に必死に吸い付く彼の顔を優しく離すと、ゆっくりと彼の目の前で立ち上がる。
彼の唾液まみれになった胸と、その下に腰紐だけで支えられているだらしなく垂れたエプロン。
彼女の小さな胸にまだ心残りがあるのか、彼女の胸と顔を必死に見つめる彼。

「ほら…目の前をちゃんとみて…貴方の目の前には…何があるかしら?」
「え…目の前…あっ」

その瞬間、彼女はエプロンの腰紐の結び目を勢い良いよくひっぱる。
全ての支えを失ったエプロンは、重力に従ってそのまま彼女の足元へと落ちていく。

「あ…ヘルマ…の」
「くすくす…私の大事な所…ぜ〜んぶ貴方に見られちゃった…♥」

むっちりとした、それでいて決して太くなどない、程よい肉付きのフトモモ。
幼さの残る身体とは裏腹に、特に女性らしさが浮かぶ丸みを帯びたその下半身。
そしてその間にある、穢れを知らない一筋のワレメ。
擬似的なものではなく、生まれてから一度も陰毛が生えたことがないとひと目で分かる彼女の下腹部。
ワレメから溢れ出る透明で粘度の高いその汁は、フトモモどころか膝近くまで垂れ落ちていた。

「貴方と同じ…エッチな涎が止まらないの…くすくす♥」
「あ…あぁっ…凄い、綺麗…」
「あはっ♪ありがとう…優しくだよ?私の一番大切で恥ずかしい所…貴方の好きにして♥」

その言葉を聞いて、彼はゆっくりと彼女のワレメへと近づける。
暑い熱気のような、むわりと香る彼女の雌の匂いに頭がクラクラとしながらも、それを胸いっぱいに吸い込む。
息を吐くことすら忘れかねない甘美な匂いに酔いしれながら、彼は震える舌を彼女のワレメへと伸ばす。
未だトロトロと零れ落ちる彼女の蜜を掬いとるように、彼女のワレメに沿って舌先を滑らす。

「きゃっ…んんぅっ♥」
「っ!」

舌が触れた瞬間に溢れる彼女の嬌声と愛液。
口中に広がるふんわりとした微かな甘さと、本能に働きかけるような強い中毒性に、夢中で彼女の秘所へ舌を伸ばす。
くちゅ、ぢゅ、ぴちゃりと、彼の舌が動く度に彼女の愛液は溢れ出て、それを彼がまた舐めとる。
もっともっとと思う内に、彼の両手は彼女のお尻へと伸び、柔らかな丸尻の柔らかさを堪能しつつ、彼女の身体をぎゅっと引き寄せる。

「んっ、あっあっ、ひぅん♥あふっ、ん、きゃぅ…あぁっ…気持ちいいよぉ♥♥」

彼女の喘ぐ声が聞きたい、彼女の愛液をもっと飲みたい、彼女の身体をもっと味わいたい。
その思いが、更に彼女を攻め立てる。

「んっあっ、ふぁ…んっくぅっ♥…あ、ひぅっ…おいし、い?私のおまんこ…♥」
「フーッ!フーッ!」
「あはぁっ♥嬉しっ…くすくす、んっ…きゃふ、ふぁ…あんっ…ひゃうぅ♥」

次第に彼女の声も、余裕がなくなってきたのか、言葉よりも喘ぐ声が多くなっていく。
彼が彼女をぎゅっと引き寄せる様に、彼女も彼の頭を両手で己の秘所へ押し付ける。
次第に大きくなっていく彼女の喘ぎに応えるように、必死に彼女の秘所に舌を這わせる。

「あっんんっ♥ひぅ、あぁっ、きゃっ♥…んんぅっ…だめぇ…気持ち、良すぎてぇ…イッちゃ…」
「(ヘルマが…僕の舌で…あああああ見たい、ヘルマのイク瞬間が見たい!!)」
「きゃうぅん、やっだめ♥舌激し…イッちゃ、ひっ、あっあっんんぅ♥…あ、ああっ♥」

がくがくと震える足に、引けていく腰が、彼女が限界間際であることを如実に表していた。
そんな彼女を逃さないように、そしてトドメと言わんばかりに強く彼女の秘所に吸い付く。
その瞬間だった。

「ひっ…イッ…く…ふああぁぁっ♥…あっ…あぁぁっ♥♥」

彼女の一際大きな声が部屋に響き渡り、彼女が身体を大きく仰け反らせる。
強く吸い付いた彼女の秘所からは、勢い良く彼の口内に温かくサラサラとした液体が溢れ出る。
零さないように、それでいて一滴残らず吸い上げるようにして、彼女の放ったそれを飲み干す。

「(これ…ヘルマの潮、かな?…僕がイカせたんだ…ヘルマを…こんな…こんな小さな娘のマンコを舐めて…)」

胸中で目の前で起きている光景をどこか冷静に理解する反面、理解した内容が余りに官能的でどこか現実離れした感覚を覚える。
だが、視線を上に向ければ、身体を何度も何度も大きく震わせながら、荒い吐息をはく彼女の姿があった。
顔を赤らめ、蕩けた表情を浮かべながら嬉しそうに笑う彼女の姿が。
名残惜しそうに、そっと彼女の秘所から口を離すと、彼女へと声をかける。

「ヘルマ…その、大丈夫?」
「イッちゃった…貴方に舐められて…イッちゃったよぉ…気持ちよすぎるよぉ…あふぅ♥」
「ヘルマ…凄いその…可愛かった…」
「っ♥♥」

その瞬間、彼女に押し倒され、ちょうど彼のお腹の上に彼女がのしかかるような体勢になる。
上気した顔でとても艶かしく舌なめずりする彼女に、ぞっとするほどの淫猥さを覚える。

「もう…我慢できなくなっちゃった…あはっ♥…ねぇ私の目を見て?」

彼女のその言葉に従い、その目を見た瞬間だった。
彼女の目が妖しく光輝いたかと思えば、急に身体中が金縛りにあったかのように彼は身体が動かせなくなる。
自分の身体に起こった変化に戸惑っている彼を他所に、彼女は彼のふとももの上まで移ると、パンツごと彼のズボンを脱がす。
限界まで怒張し脈動する彼のペニスが顕になると、それをうっとりとした表情で彼女が見つめる。

「こんなパンパンになって…んふふ♥先っぽからもこんなにお汁垂らして…いやらしいおちんちん♥」

愛おしそうな目でそれを見つめると、勃起したペニスを自分の下腹部へと当たるように手を添える。
もし彼女の膣内に挿れた時にどこまで届くのかがひと目で分かってしまう、そしてその光景が改めて彼女の幼さを、あどけない少女であることを認識する。
それが更に興奮を呼び、彼のペニスは力強く脈動する。

「くすくす…こんな興奮して…お腹の中まで貴方のおちんちんのビクンビクンって震えが伝わっちゃうよぉ♥」

下腹部と手で挟みながら、既に先走りでコーティングされた彼のペニスを優しくこすり始める。
自分の手に、下腹部に彼の先走りを塗りたくるようにしながら、手と腰をくねらせる。
少女特有のぷにぷにとした柔らかな感触と小さな手が生み出す感触に、思わず喘ぐ声が漏れてしまう。
そしてその度に襲い来る快感と、膨れ上がる彼女への挿入したいという邪な思い。

「くすくす…気持ちいい?」
「ああぁ…すご…気持ちいい!」
「ねぇ…ほら見てぇ♥」

ふと止まった彼女の手。
片手はペニスを抑え、もう片方の手は自分の頬に添えて、幸せそうな蕩けた笑みを浮かべている。
彼が口に出さなかったことを、彼女は容易く口にする。

「貴方のおちんちん…私の膣内に入れたら…こんなとこまで届いちゃうよぉ…♥」
「っ!」
「すっごい奥まで届いちゃうの…私のちっちゃなおまんこ…貴方のおちんちんでいっぱいになっちゃうよぉ…あはっ♥」
「ぁ…でも…それは…っ」

崩れ落ち、だがまだ消えていない理性が、あまりに禁忌であまりに魅力的な彼女の誘いを必死に否定する。
だが必死に耐える彼の理性を粉々に砕こうと、彼女の淫らな言葉が彼の心を揺さぶる。

「ねぇ?しちゃおう?とってもイケナイ、とっても気持ちいいことしちゃおう?」
「でも…でも…あ…あぁぁ…」
「私のおまんこでいっぱい気持ちよくなっちゃおう?くちゅくちゅでとろとろのえっちな貴方だけのぷにぷにおまんこ…♥」
「あ…ぅ…」
「挿れちゃおう?カチカチのおちんちんぎゅーってしてあげる♥ とろとろに蕩けたおまんこで一番気持ちいい射精しちゃおうよぉ…♥」
「ハァッ!ハァッ!…ぐぅっ!」

誘惑はあまりに甘美で背徳的で淫らだった。
彼女が口を開く度に彼の心の理性は欠片すらも溶け落ち、彼女の悪魔的な誘惑に首を縦に振りたくなる。
だが、そうしてしまえばもう戻れなくなる、そんな確信が彼の理性を必死に繋ぎ止めていたのかもしれない。
しかし頭では分かっていても心は既に折れており、小さなきっかけで堰は容易く切れてしまう。
彼女の魔法で身体を動かすことも出来ず、彼女の誘惑からは目を離すことが出来ない。
そして見せつけるように、彼女は膝立ちで彼のペニスに跨る。
ほんの少し彼女が腰を下げれば、容易く互いの性器が触れ合うギリギリの状態。
そのまま彼女は、自分の手で自らの秘所を、音を立てるように弄り始める。

「んっあっあっんんぅっふあぁっ♥きゃふっ、んっふっ…ひゃぅっ♥」
「あぁぁ…」
「ぐちゅぐちゅっていっぱいエッチなお汁が溢れちゃうよぉ…おまんこが切ないよぉ…ひぅっ♥」
「あ…あぁ…いれ…あああっ!」

秘所を弄る指の隙間から溢れ出る愛液がペニスに垂れる度に、当たった部分が熱を持ち、ジンジンとした痺れのような快感を生み出す。
彼女の言葉通りの水音が響き渡り、加速的に彼の理性は溶け落ちる。
彼の本能と欲望がむき出しになり、口からはその思いが溢れかけるほどにまでなっていた。
そんな葛藤の中でふいに水音が止まる。
両手を彼の腹部にあて、遂に彼女が腰を落とし始める。
だが、決して挿入まではしない。
互いの性器が触れる所で止まっている。
何もせずとも愛液が滴り落ちる彼女の秘所を、彼のペニスの先端部に擦り付けるように前後に、そして小さく上下に動かし始める。

「あはっ…♥ほらぁ…みてぇ…貴方のおちんちんと私のおまんこがキスしちゃってる…♥」
「ひっ…が…」
「ぷにぷにのおまんこのお肉…感じる?貴方のおちんちんをもぐもぐしたいっていっぱい涎垂らしてるよぉ…♥」
「ヘルマ…あああぁっ!!」
「くすくす…我慢なんてやめちゃおう?私のおまんこ…いっぱいじゅぽじゅぽしちゃお?…んふふ♥」

もう限界だった。
もう戻れなくてもいいと思ってしまうほどに理性は溶け落ち、我慢はとうに許容できる範囲を超えていた。
最初から彼が抗うことなど不可能だったのだ。
情欲の悪魔に魅入られた時点で彼の理性など、意味を成すことなどなかったのだから。
だから、彼は口にする。
自らの欲望を。
決して口にしてはならない、その欲望を。

「ほら…聞かせて?…貴方の隠してる欲望を…♥」
「挿れ…挿れて…ヘルマ…お願…挿れ、させて…っ」

その瞬間、彼女は艶めかしい、もっとも淫らで淫欲に塗れた、どこまでも魔物らしい笑顔を浮かべる。
そして躊躇うこと無く、そのまま腰を落とし、彼のペニスを根元まで一気に咥え込む。
結合部からは彼女の愛液が溢れ出て、とろりとろりと彼の股間部を濡らす

「ああぁっ♥きたぁ…貴方のおちんちん…やっと貴方とひとつに…きゅうぅっ♥」
「いっ…あっ…」

一瞬何が起きたのか理解すら出来ないほどに、意識が飛ぶほどの快感に襲われ彼は言葉を失う。
一方で彼女は、待ち望んでいた彼のペニスを受け入れた快感に蕩けていた。
両頬に両手を当て、うっとりとした表情を浮かべ、全身を駆け巡る快感に酔いしれていた。

「あ…かはっ…ぐ…」
「すごいよぉ…♥おまんこの中で貴方のおちんちんがビクビクって震えてるぅ…あふぅ♥」
「まっ…て…う、ごか」
「だめぇ…我慢できないっ♥ずっと…こうしたかったんだもん…♥♥」

心深くまで蕩けた彼女はいつものような何処か余裕のある様子はなく、ようやく訪れた快感に浸っていた。
彼も同等以上の快感に襲われ、飛びそうになる意識を何とか繋ぎ止めように必死に彼女へと懇願する。
それすらもあざ笑うかのように、動かせない彼の手を彼女は取ると、自分の下腹部へとあてがう。

「触ってぇ…ほらぁ…ここ…貴方のおちんちんが入ってるのがわかるよぉ…♥固くてビクンビクンって私のおまんこの中で暴れてるのぉ…♥♥」
「ああぁ……ハァッハァッ!」
「イケナイことなんだよぉ…こんなおっきなおちんちんを…ちっちゃなおまんこの奥まで挿れちゃうなんてぇ…♥」
「ヘルマ…やめ…これ以上…刺激されたら…」
「くすくす…刺激されちゃったら…どうなっちゃうのかなぁ…♥」

彼女の言葉を聞いて、彼は後悔に似た感覚を覚える。
もはや彼が何を言おうとも彼女を喜ばせるだけに過ぎない。
頭の中に残った微かな理性は、性行為とその結果を呼び起こし最後の抵抗をしていた。
幼い少女との禁断の行為という背徳感は、快感を生み出すと同時に禁忌の行為であることを強く呼び起こす。
身も心も堕ちていく彼を更に落とすように、彼女は足を広げより結合部が見える様に、見せつけるように腰を動かし始める。

「ほらぁ…貴方のおちんちんが抜けちゃうよぉ…ふわぁ…ぞくぞくってぇ…んんぅっ♥」
「あがっ…蕩け…」
「私も蕩けちゃうよぉ♥…くすくす…今度はゆっくり貴方のおちんちん挿れてあげるね♥」
「ひっ…待っ…待って…」
「だめぇ…待てないもん…♥ほらぁ…私のちっちゃなおまんこが貴方のおちんちん食べちゃってるんだよ…あはっ♥」

ゆっくりと見せつけるような動きは、往復する度にその動きを徐々に早めていく。
動く度に彼女の膣壁はうねり、吸い付き、柔らかく、だが容赦なく彼のペニスを攻め立てる。
必死に我慢しようとしている彼をあざ笑うかのように、全身に膨らむ寒気にも似た快感に、射精感は更に高まっていく。

「あっあっあっ、んんぅっ、あっ、ひゃぅ、んくっ、気持ちいいよぉ♥あっきゃっ、んんぅ♥」
「まっで…ほんとにっ…気持ち、よすぎて…」
「きゃんっ、ひっあっあっ…ぱちゅんぱちゅんって、エッチな音が止まらないよぉ♥」
「ああぁぁっ…で、出ちゃう…抜いて…抜いてぇ!」

彼の静止の言葉も届かず、彼女はリズムよく、それでいて決して同じ快感を与えないように腰を動かし続ける。
互いの身体が触れる度に鳴り響く小気味良い音と、プルプルと震える彼女の幼い小さな胸に劣情は更に膨らむ。
そんな彼女の魔技とも言える腰使いに、もはや彼の絶頂も目前だった。
最後に残った欠片の理性が、彼女の膣内で解き放つことを押さえ込み、必死に抜いて貰うことを懇願する。

「くすくす…イッちゃいそうなの?♥」
「もうほんとに…限界だから…抜いて…出ちゃう…」
「あはっ…そうだよねぇ♥ くすくす…こんな小さな女の子のおまんこで射精なんてイケナイことだもんね…♥」

そういうと、彼女はゆっくりと腰を上げ始め、最奥で咥えていたペニスをゆっくりと引き抜き始める。
彼女の膣壁がぎゅうぎゅうと締め付け、今にも射精してしまいそうな程の快感を与える。
もう少し、もう少し我慢すれば彼女の膣内から抜ける、そう思った瞬間だった。
亀頭部まで出ていた彼のペニスは、再び彼女の膣内の最奥まで咥えこまれる。

「なっ…あ…か…」
「駄目…駄目なのぉ…♥ おまんこの一番奥で、一番気持ちのいい射精しなきゃだめぇ♥」
「あ…ああああぁぁっ!」
「ほらぁきてぇ♥いっぱいドロドロの精液ちょうだい♥きつきつおまんこの一番奥でイケナイコトしちゃお♥」
「ああぁっ出る!出る出ちゃう!あぁぁっ」

こみ上げる射精管はもはや止めることは出来ない。
もはや理性ではどうすることも出来ず、散々我慢し続けてきた分の濁流が奥底から登ってくるのを強く感じていた。
無理やり尿道が広げられるような、味わったことのない快感の中で、射精の直前に彼女の声が耳に届く。

「イッちゃえ♥」
「あ、がああぁああぁっ!」

獣のような叫びとともに、彼のペニスからは信じられないほどの量の精子が解き放たれる。
射精する音が聞こえるのではないかと思うほどに勢い良く解き放たれた精子は、容赦なく彼女の膣内を白濁へ染めていく。

「ふわぁぁっ♥出てる…貴方の精液…いっぱい出てるよぉ♥」
「あっあっ…ひぎっ…あああぁっ!」
「びゅぐびゅぐ熱いの出てるよぉ…おまんこの中ヤケドしちゃうぅ…ひゃうぅ♥」
「あっ…あぁぁ…うぁ…」
「気持ちいいよぉ…美味しいよぉ♥もっと…もっとちょうだい…あはっ♥」
「あ…かはっ……ぅ…」
「あふ…ひぅ…んっ…ふわぁ♥ おまんこの中…貴方の精液でいっぱいに…なっちゃった…♥ほらぁ♥」

彼女が嬉しそうに彼の手をとり、自分の下腹部へと当てる。
ぷにぷにとした彼女の柔らかなお腹は見た目は変わらないものの、たぷたぷと水のような何かに満たされているような感触があった。
だが、彼がそれに気がつくことはなかった。
禁忌とも言える射精とその背徳感、そして快感に未だ全身を支配され、動くことも思考すらも許される状態ではなかった。
最後に残った理性ごと、彼の欲望を抑えるあらゆるものは彼の精液とともに吐き出されていく。
そんな彼を愛おしそうな、嬉しそうな笑みを浮かべて彼女は優しく見つめる。
時折彼の身体が震える度に嬌声をあげながら、彼の意識が戻るのを待っていた。
5分、10分と待つ間、彼女はずっと幸せそうな笑みを浮かべ続けていた。

「ぁ…ヘルマ…」
「あはっ♥気がついた♪…くすくす、一番気持ちのいい射精しちゃったね…♥」
「うん…うん…」
「ふふ…もう疲れちゃった?ちっちゃなおまんこで全部出しちゃった?もうおねむかなぁ?」

その瞬間、彼女の目が再び妖しく光ると彼の身体の呪縛が解かれる。
身体が自由に動かせることに気がついた彼は、自分の手をそっと動かすと彼女の手を優しく握る。
身体を起こしながら彼女の手を引くと、彼女を強く抱きしめながら彼女の唇を奪う。

「んむぅ…んっ…ちゅ…ぁむ…♥」
「フーッ…フーッ…ヘルマぁ…!」
「あはっ…またおちんちん…固くなったぁ…♥」

今まで彼女の膣内に入ったままだった彼のペニスは、ずっと萎えること無く繋がっていた。
そして今、彼の欲望を抑えるものは何一つ無くなり、彼のペニスは彼女の膣内でさらに固く大きくなっていた。
彼のペニスが脈打つ度に、彼女の口からは甘い嬌声が零れ落ちる。

「もっと…もっと出すぅ…ヘルマの膣内に…出したくて堪らないよぉ…」
「あはっ♥ 素敵…今の貴方とっても素敵だよぉ♥きてぇ…私の膣内にいっぱい出してぇ♥」
「ヘルマぁぁ…」

もはや彼の欲望は止まることを忘れ、ひたすらに禁断の果実を、彼女の身体を貪るように求めた。
彼女もそれに幸せそうな笑みを浮かべながら、蕩けた表情で何度も彼と共に絶頂を繰り返し、肉欲に溺れた。
もはや堕ちる彼を止めるものは何一つ無く、彼女の甘い底無しの愛に彼は何処までも堕ちていく。

……………

まるで蛇口の壊れた水道のように、何度も何度も彼女の膣内を、口を、胸を白く染め上げた。
髪の毛すらも自分の精子がこびりついている彼女を見て、更に湧き上がる欲望。
だが、流石に出しすぎたのか、身体が上手く動かすことが出来なかった。
何とかして彼女を抱き寄せると、蕩けた表情の彼女の唇を何度も奪う。

「んぅ…ちゅ…はぷ…♥んぅん…ちゅ…ぇふ…♥」
「んむぅ…ぷぁ…はぁっ…はぁ…ヘルマぁ…もっと…」
「んふふ…ちゅ…んぷ…ふぁ…んっ…えへへ♥」

愛おしい彼女のことを余すこと無く愛し続けて、どれほどの時間が経ったのか。
底無しの沼のように蕩けるほどに彼女の愛は大きくなり、どこまでも甘やかしてくれた。
ずっとこうして甘い誘惑の中に溶けていたい、そう思った時だった。
二人だけの世界に亀裂を入れる、耳を覆いたくなるような電子音が部屋の中で鳴り響く。
最初それが何であるのかすらも理解することが出来なかった彼だが、鳴り響く音に徐々に思考は戻り、そして現実を思い出す。

「ぁ…携帯…会社から…今何時…?」
「もう月曜日の朝みたいね…くすくす、今から会社に行ったら怒られちゃうかしら?」
「会社…あぁ、そうだ会社…」

蕩けた頭にあまりに強く響き渡る電子音は不快でしか無かった。
早く止めなきゃと漸く手をのばす頃には、電話の主も諦めたのか電子音はぷつりと止む。
再び静寂が戻った部屋の中で、どこか寝ぼけ眼にも近い、意識のはっきりとしない彼に彼女は優しく問いかける。

「…会社…行かなくていいの?」
「……」
「貴方が望むなら、今からしっかり準備してあげる。貴方の為にスーツもYシャツもクリーニングしておいたし、靴も磨いておいたわ」
「ぁ…うん…」
「貴方がこの家を出る時は行ってらっしゃいって言ってあげる。家を出る前に、頑張れるおまじないのキスもしてあげるわ」
「うん…うんっ…」
「帰ってきたらまず最初にぎゅーって抱きしめてあげる。貴方の疲れを取るために愛情いっぱいのキスもしてあげるわ」
「あぁ…うん…っ」
「貴方が大好きなご飯をいっぱいつくって、一緒にオフロに入って、ベッドでとろとろに蕩けるまで愛し合って、貴方が眠ってしまうまでずっと耳元で愛を囁いてあげる」
「あ…あぁぁ…」
「そしてまた朝が来たら、美味しいご飯と行ってらっしゃいのキスをしてあげる…でも」

そこで彼女は言葉を区切る。
彼の両頬に手を添え、コツリと額を、鼻を触れさせて優しい笑顔で彼に問いかける。
どこまでも優しくて、どこまでも彼を堕とす、愛情に満ち溢れた優しい誘い。

「貴方が望むのは、本当に望むのはそんな生活かしら?貴方が望む、心から望むことを私だけに教えて?」
「あ…ヘルマ…僕は…」
「笑ったりなんかしない、歯の浮くような甘い言葉でも構わないわ…貴方が今思う正直な気持ちを聞かせて…ね?」
「僕っ…僕は…」

もう堕ちた彼は元に戻ることなどできなかった。

「ヘルマの傍に…片時も離れたくない…ずっと一生…ヘルマの傍で…ずっと一緒に居たい…」
「…それだけ?貴方はそれだけで満足かしら?貴方の思いは…それだけ?」
「そんなこと無いっ…ずっと好きだって…ぎゅっとヘルマを抱きしめて…どんな時も愛し合いたい…愛するよ…ずっと…君の傍で」
「そう…そっか…♪」
「ずっと…君と添い遂げたいんだ…もう君がいれば…なにもいらないから…!」
「そっか…そっかぁ…♪ちゃんと自分の気持ち言えたね…えらいえらい♥」
「ヘルマ…」
「私もおんなじ気持ち♥ ずぅっと貴方の傍で、愛し合いたいの。ずっと、一生…永遠に貴方と愛に蕩けたい…♥」
「うん…うんっ」
「んふふ…どんなときだって貴方の為に…望みを叶えてあげる…貴方の一番傍で♥」

優しく彼女は彼を抱きしめ、彼の頭を何度も何度も優しく撫でる。
そしてもう一度彼に口づけをすると、幸せそうな笑みを浮かべて呟く。

「いこっか…ずぅっと一緒に入られる場所へ…ずっと一緒に気持ちよくなれる場所へ…♥」

そう彼女が呟いた後、二人の周りには魔法陣が現れる。
紫色の怪しい光を放つその魔法陣は、ゆっくりと文字が廻りだし、そして放つ光を強めていく。

「ヘルマ…これは…」
「大丈夫だよ…なーんも怖くないよ…少しだけ遠くにいくための準備だよ…怖かったらぎゅって抱きついていいからね…♥」
「…ううん…怖くない…でも、ぎゅって抱きついていたい…」
「えへへ…いいよぉ♥ じゃあ、いこうね…♪」

その言葉を最後に、魔法陣は一際強い光を放ち、そして一瞬の内にすべてが消える。
二人の姿も、魔法陣も何もかもが消え、残ったのは驚くほどにきっちりと整えられた無人の部屋だけ。
ベッドにあった二人の汗も涎も、精液も愛液も何もかもが、最初からなにもなかったかの様に、まるで霞の様に消えていた。
無人と化した部屋の中で、再びけたたましく鳴り響く携帯電話の音。
誰も出ることのないそれは、やがて鳴ることをやめ、静寂だけがそこに残っていた。
18/02/08 23:23更新 / クヴァロス

■作者メッセージ
今回のお話は如何だったでしょうか?
全ての欲望を笑顔で叶えてくれる意地悪な小悪魔な彼女に、理性も何もかもとろとろにされて搾り取られてしまうお話しでした。

図鑑世界の悪魔らしさってどんなのだろうって思った時に浮かんだのが、
「決して自分からは望みを叶えず、相手が欲望を口にしたときに初めてそれを叶える。そしてその欲望を引き出すためにありとあらゆる手で魅了、誘惑する」
でした。

彼女はそんな思い浮かんだ悪魔らしさを表したものになります。
ご堪能頂けたなら幸いです。


ちなみに私はこれを書き始め後に風邪を引きましたが、デビルは何故か来ませんでした。
皆様も風邪にはお気をつけ下さい。
風邪は治りましたが、優しく看護してくれる魔物娘募集中です。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33