12日目(中)
「重いな……」
両手でどうにか引っ張り上げながらトランクを部屋まで運ぶ。
魔法でも使って重さを感じなくしていたのか、詳しくは知らないが、ただの人間の俺が運ぶには少々骨が折れる。
どうにか階段を越えて一息ついていると、どうにもトランクの中が気になってしょうがない。
いかに仲がいいとはいえ、親しき中にも礼儀ありと言うし……しかし、気になる。
「ちょっとだけ見るぐらい……」
トランクを開けようと手を伸ばそうとした時、きぃぃ、と部屋のドアが開く。
驚いて振り向くと、力が入らないのかふらふらとしながら、ハルが部屋から顔を出した。
「お、おい、危ないぞ」
慌てて駆け寄ると、ぽすん、とこちらに体を預けてくる。
「ハル、調子悪いなら、休ん」
声をかけて抱きかかえようとした瞬間。
くん、と足をすくわれ転ばされる。
「って……おい、ハ」
しりもちを付いて、何をするんだと抗議しようとする瞬間、柔らかいものが唇を塞ぐ。
「ん……ふぅ」
唇を離して満足そうに唇を拭うハル。蕩けた表情は変わらないが、何となく雰囲気が違う。
「なぁ……俺もう駄目なんだよ……」
馬乗りになり、涎を滴らせながら服を脱いでいく。シャツに手をかけて一気に脱ぐと、ぷるん、と小振りな胸が零れる。桃色の乳首はぴんと立ち、乳輪もぷっくりと膨らんでいる。
「っはぁぁぁ……♡」
脱いだシャツを顔に当てて、すーはーと息をしながら腰を動かして股を擦り付けてくるので、そのたびに胸がぷるんぷるんと目の前で踊る。
「昨日もっ、お前のシャツ匂いながらオナニーしてっ、一晩中イキっ放しでっ♡」
言いながらも動きは鈍らず、あまりに大量に出ているせいか履いているショートパンツの生地を超えて愛液が染み出し、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立て始めている。淫蕩なその様を見て、むくり、と愚息が起き上がり始める。
「……ケント。俺の尻に何か当たってるんだけど、これ、何だろうなぁ♡」
ぐりぐりと、尻を押し付けて煽ってくる。
「っ、ハル、おい……」
「どんどんデカくなってきてるぜ?イイんだろ?正直になろうぜ♡」
「お前なっ、いい加減に……しろ!」
腰に腕を回して抱き寄せ、ぷるぷると誘うように揺れていた胸にしゃぶりつく。
「ひんっ!?あっ、あーっ♡♡♡」
乳首を吸い、口の中で転がし、甘噛みして、舌先で弾く。その度にぴんと背筋を張って仰け反り、快楽で絶叫している。
快楽から逃れようとしているのか俺の頭を押しのけようと腕を伸ばしてくるが、尻尾をやや乱暴にしごいてやると一気に力が抜ける。
「イった!イったから!ちょっとすとっ、ぁ♡ひっ♡♡♡」
ぐりぐり尻尾を弄っていると、ぴっとりと尻尾が絡みついてくる。しごけなくはなったが、小刻みに引っ張ってやるとハルが嬌声を上げながら、俺の顔をさらに胸に強く押し付けるように抱きしめてくるので、それに応じるように場所を変えながら、乳首を強めに噛んでいく。
「あ゛っ♡それ駄目っ♡噛んだらっ、イ、くっ♡」
耳元で、そんな風に喘ぎ続けられると、頭がおかしくなりそうだ。
もう、我慢が出来ない。
「ぁ……ぁぇ?」
口を離して、絶頂に合わせてゆるんだ尻尾から手をほどくと、蕩けた顔で見上げてくる。もう終わりかと言わんばかりだが……そんな訳、あるはずがない。
左手でぱんぱんに膨れ上がった逸物を、ズボンから出す。窮屈にしまわれていたせいか、ぼろん、とでもいうように勢いよく出てくる。
そうして、馬乗りから抜け出し、ゆっくりと立ち上がってハルを見下ろす。それに伴ってハルの視線が上から下へゆっくりと上がる。
完全に、視線は逸物に釘付けになっている。
「これが、欲しかったんだろ?」
「っ……♡」
逸物で頬を叩いてやると、ぺたりと床にへたり込んで、息を荒くしながら股間を手で押さえこんだ。たったこれだけで、軽く絶頂でもしたのかもしれない。
「口、開けろよ」
「ぁ……♡」
だらしなく涎を垂らしながら、思いっきり口を開ける。そんなハルの頭を手で押さえ、ぷるぷるとした唇に亀頭を合わせ……
じゅぽんっ!
「んぐぅっ!?」
何の遠慮もなく、喉奥まで逸物を突き入れた。
「んぐっ、ぅっ」
「うぉっ……」
最奥まで逸物が届くと、それだけでイキそうな快感が走る。
ねっとりとした涎が全体に絡みつき、潤滑剤として快楽を増幅させる。
ハルはハルで魔物の性なのか、歯を立てずに奥まで咥えこみ、経験豊富な女性のようなテクで攻めてくる。
ぐぽんっ、じゅぶっ、じゅぽっ
唾液が絡みつき、喉奥まで飲み込まれ生暖かく包み込まれた上に、淫らな音を出しながら顔を引いては寄せて吸い付いてくる。
長く楽しみたいという心とは裏腹に、体は早くも限界が近づいていた。
「や、ばいっ……」
一旦止めようとハルの頭を手で押さえこむと、思い通りにピストンは止んだ。
が、今度はピストンに頼らず、バキュームと舌だけで刺激を再開し始める。
ぶ、じゅっ、ぶぼっ、ぶちゅっ
下品な音を立てながらチンコに吸い付き、舌をゆっくりと這わせて精を搾り取ろうと貪り始める。
「あー、くそっ、無理だ。出るぞっ、ちゃんと飲めよっ!」
「っ〜♡♡」
返事をしようとしたのかも知れないが、そんなものを気にする前に思い切り頭を引っ掴み、最も奥に精を放とうと押し込む。
その瞬間、目の前がちかちかするような感覚と共に、どくん。と一度大きく跳ねる。
そのまま間髪おかずにびくり、びくりと何度も痙攣する。それに合わせて奥に溜まっていた熱いものがハルの中に吐き出されていく。
その度に腰が引け、快楽を逃がすかのように肺から空気が絞り出されていく。
「っ、ふぅ……」
どさりと座り込み、壁に背を深く預けて何度か深呼吸する。下半身丸出しだが、腰が抜けたというのか力が入らない状態なので仕方ない。
「……」
「……ハル?」
妙に静かだと思えば、床に座り込んだままぼんやりとしている。その目は気が抜けてしまったように焦点が合っていない。
「おい、ハル?」
「……?……ぁ、っ!?」
声をかけると、ようやく反応を示す。
「どうした?どっか具合でも」
「ば……」
「ば?」
「ばかやろぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
凄まじい声が、家中に響いた。
「このスケベ、変態!」
「だから、お前もノリノリだったじゃねーかよ……」
「そ、それでも我慢するのが親友ってもんだろ」
「お前なぁ……」
がしがしと頭をかきながら、呆れたようにこちらを眺めてくる。
その視線に耐えきれずに目を逸らすが、よこからぐにぐにと頬を掴まれる。
「あんだけ誘っといて自分は悪くねぇってのは無理があるんじゃねーのか?あーん?」
「いふぁい!いふぁいって!」
「まったく……」
指が離されると、後を引く痛みで頬がぴりぴりとする。
……その痛みで、ほんの少し気持ちよくなったのも、魔物化の影響だろう。
「で、荷物広げなくていいのか。必要なら手伝っ」
「いい!いいから!」
トランクに手を掛けようとした手を慌てて掴む。
「そ、それよりお腹すいちゃったんだけど」
「ん?あぁ……そうだな。昼飯食ってなかったしな」
時計を見ると、3時。正直ケントの、あ、アレを摂取したから空腹感は無いが、言い訳としては上々だろう。
「何か食いたいもんあるか?」
「え?いや、特に……」
「んじゃ、適当におにぎりでも作るわ」
そう言って、部屋を出ていくケント。それを見てから、慌ててトランクを開く。
「と、とりあえずまずは着替えだけまとめて出して……」
数日分の普段着と下着が詰まったマジックパックを引きずり出す。
それはいいが、残りが問題だ。
ピンク色の、棒状や小さい卵型等形状が様々な機械だの、滑りを良くする液体だの、女子用の制服や水着等々……
見られてしまえば、ほぼ確実に使われるだろう。
「いやそれ自体は別にいいんだけどさぁ……」
こうなんとなく、悔しいじゃないか。どうせならこちらが主導権を……
「おい、ハル」
「ひゃひっ!」
「どうした?」
「な、なんでもない!それよりケントは?」
「あぁ、具梅干しとシャケぐらいしかないんだけどいいか?」
「う、うん」
「分かった」
どうやら、背中で隠したおかげでバレなかったようだ。
とにかく、この大量のグッズはしばらくトランクに放り込んでおこう。
「あ、あとこれか……」
プラスチック製の容器に、ハート型の果物がぎっしりと詰め込まれている。
表の市場に出回る事は無いが、魔界産製品が扱われる場所では必ずと言っていい程多く扱われている、虜の果実の詰め合わせだ。
容器越しにも分かる程に瑞々しく、見ているだけで涎が出そうになる。
妹ちゃんからは魔力の定着率を良くするために定期的に食べるよう言われていたが、それが果実の主効果ではない事を知っているので少し躊躇う。
「と、とりあえず一口だけ」
容器を開けて、ぷるりとした果実を口に含む。歯を立てると、その瞬間濃厚な甘みが口の中に広がる。
「うまっ……」
高級フルーツと比べても遜色無いんじゃないだろうか。食べたこと無いけど。
魔界に行けばこれがそこらから勝手に生えてくるなら、いつかケントを連れて魔界に行くのもいいかもしれない。
一日一つ食べればいいだろうし、これもトランクに保存しておこう。
それ以外にも手鏡や櫛など、身だしなみを整えるのに必要な物がまとめて入っていたので、それも出しておく。
「へー。今俺こんな見た目なのか」
自分の顔をまじまじと見入る。元々童顔だった分それほど大きく変わってはいないものの、所々丸みを帯びていたり、まつ毛が長くなっていたり女らしさがにじみ出ている。
虜の果実の効果で、ここからさらに女っぽくなっていくのかもしれない。
「……ん?」
んべー、と口の中も見ていると、舌に何か、紋章のようなものが刻まれている。
「なんだこりゃ」
当然舌に入れ墨を入れた記憶もないし、昨日見た時もこんなの無かった気がする。魔物化の影響だろうか。
「おい、できたぞ」
「ん?あ、うん」
お盆に乗せて持ってきたケントを手伝い、テーブルに並べる。
お腹、そんなに空いてないんだけどな。
「んじゃ、いただきます」
「いただきます」
まぁ、いくつか食べるぐらいなら……
そう思って、一つ目のおにぎりを口に含――
「っ〜〜〜!?」
「ど、どうした」
おにぎりが舌に触れた途端、背筋をぞくぞくとした快感が走る。
「ひ、ひたをひゃんららえ」
「なんだ。舌噛んだのか。見せてみ」
「まっ」
ぐいと口を開けられ、中をまじまじと見られる。
「ん、そんな深く噛んだ訳じゃなさそうだな」
「はっ、ぁっ……」
口の中を見られている。それだけで、下腹部がじわじわと熱くなってくる。
「まったく、おにぎりで舌噛むか?ドジだなぁ」
「ほ、ほうああ」
そう言って、再びおにぎりを食べ始めるケント。
じくじくと後を引く熱を感じながら、記憶の端っこに引っかかっていた記憶を引き上げる。
快楽のルーン。ただでさえ伴侶のスキンシップに弱い魔物娘を敏感にさせる魔力紋章。
腰とか足とかが多いもんだけど、多分キスが好きだからだろうな……
何度も感じた、ケントの感触を思い出す。絡め取られて執拗に精を刷り込まれるように、ざらざらとした表面が口の中を蹂躙していくあの感覚。
向かいにいる、ケントの咀嚼に目が奪われる。虜の果実のせいだろうか。また欲望が強く――
「どうした?進んでないけど」
「えっ、あ、いや……」
「舌、痛いのか」
「ん、いや別……!」
その時、アイディアが閃く。
「そうなんだよ。ちょっと辛くてさ」
「そうか。ならどうする?お粥にでもするか」
「いや、そうじゃなくて、さ」
「ん?何か他に」
「お前がさ、食わせてくれよ」
「……は?」
「だからさ、お前が噛んで、俺に口移しで……」
「いやいやいや、お粥でいいだろ。汚いし」
「汚くねーよ。つーかお前の口移しじゃなきゃ嫌だ。それ以外出しても食べないから」
「お前さっきは俺にあんなこと言っといてそれかよ」
「そんなの……」
照れ隠しに決まってる、という言葉は飲み込む。ケントを煽って襲わせるのもまだ十分に味わっていないし、少し我儘に振る舞った方が……
「覚えてない。とにかく口移しだ」
「お前なぁ……」
はぁ、と溜息を付いて自分の分を飲み込むと、立ち上がってこちらに移動する。
「そんなに我儘だったっけお前」
「女の子は我儘なもんだろ?」
「はいはい」
文句を言いながら俺の分を口に含み、咀嚼し始める。それを眺めていると急に腰を抱かれ、それにこちらが反応する前に、ケントの口が重ねられる。
「んっ、ぁっ」
舌で割り込まれ、どろどろのお粥みたいになったご飯が送り込まれてくる。それが舌を通過するたび下腹部がきゅぅと疼き、回された腕が触れている部分も熱を帯びて、理性を削り取っていく。
口が離れると、次を催促するようにぺしぺしと足を叩く。
「ほほはひふはっへほ……」
大人しく待ってろ、だろうか。こんなに気持ちいい事を待てとは、ずいぶん酷――
「むぐっ、んん……」
そんな考えを叩き潰すかのように、次が送り込まれる。快感で腰が跳ねると、がっちりと掴まれて固定されてしまい、そのせいで快感が逃せず身体を駆け巡る。
「ふぅ。地味にめんどいなこれ……」
「ぁ、やくっ♡ちょ、らいっ♡」
「分かった分かった」
とろとろしたものがとめどなく溢れ、子宮が痙攣するような感覚が下から押し寄せてくる。
そちらに気を取られればすぐさま舌で割り込まれ、頭を快楽で蕩けさせてくる毒のような液体が流し込まれる。
上手く呑み込めず口の端から少し垂れていけば、ケントがそれを舐めとり口へと運んでくる。
次第に何度飲まされたかも分からなくなり、ただ口移しされるのを甘受するだけになっていく。
ちゅっ、ちゅるっ、じゅるっ、くちゅっ。
目を瞑ると、その音だけが耳に響く。回数を重ねる度に一回の密着時間が伸びていき、お互いを貪るようになる。
二人がどろどろに溶けて混じり合ったように感じているとき、それに気づく。
もう何度も経験しているような浅い絶頂と、それとは別の、きちんと達した絶頂。それとは比べものにならない、煮えたぎるような何かが背中を昇ってくる。
あっ、これっ、やば、い。絶対やばい、ヤバい。こんなの耐えきれない、む、りっ
つぅ、と背中をなぞられ、脊髄が弾けたかのように快楽の波が押し上がってくる。ぞわぞわと込み上げてきたものがその衝撃で一気に背中を駆け巡り、脳髄までせり上がってくる。
あっ、くるっ、くる、クるっ!イ、っ……
「ぁっ、っ〜〜〜♡♡♡♡」
ぱちん、と視界が弾け、頭の中で火花が起きる。声にもならないような声が口から洩れ、がちがちと歯が鳴り、快感を耐えるようにケントの体にしがみ付き、思い切り抱きしめる。
こんなっ、一人じゃ味わえっ
「あ゛っ♡、まっ、てっ♡」
追い打ちをかけるように尻尾を触られ、多少引き始めていた快感をまた頭に引き戻される。
「んあっ♡いっ、ぎっ♡あっ♡」
顔中ぐちゃぐちゃにしながら、その暴力的な快楽に身体を滅茶苦茶にされていく。
「あ˝っ、イっ、た、からっ♡て、とめっ♡♡」
「飯食わせてやったんだからもう少しいいだろ」
「も、むりぃ♡おかし、くぅっ♡なるっ♡」
「おー。おかしくなっちまえ」
「っ♡♡あっ、くる♡♡くっ♡るっ〜〜〜〜♡♡♡♡」
じわりと頭が真っ白になって、力が抜けてぐったりとなる。夢見心地のふわふわとした感覚の中で、今まで感じたことの無いぐらいにリラックスする。
と、それと同時に嫌な予感を覚える。
ふわりとした状態の、このリラックスした感じ、どこかで……?
ちょろっ……
「ぁ、ぇ……?あ、ぃやっ、まっ」
気付いたときには、遅かった。いや、気付いたとしても、力が抜けきった状態では耐えきれなかっただろうし、どうしようもなかった。
ちょろちょろと流れ出る液体は、とめどなく溢れ、下着、ズボン、その下にあったケントの足を濡らしていく。
「あっ、やべっ、やりすぎたか。すまん、ハル」
そんなケントの呟きは、なんの慰めにもならなかった。
15/09/11 02:37更新 / ポレポレ
戻る
次へ