連載小説
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12日目(上)
「ぁっ…ぐっ…」

びくりと腰が跳ね、愚息から何度目になるか分からない射精をする。
それでもなお硬いままのそれを扱き、残った分を絞り出す。

「くそっ…まだ治まんねぇぞ…」

ハルが帰ったあとしばらくは、どうしてあんな事をしてしまったのかと悩んでいたのだが、ハルの体を思い出している内にどうしても我慢できなくなってしまった。
それまでは良かったのだが、一度抜いても治まらず、二度三度抜いてみたものの全く萎える気配がない。
それどころか、ハルの体の柔らかさや匂い、女の子のような仕草…全てが鮮明に思い出され、さらにそれ以上の想像を掻き立てる。
頭の中で、華奢な体を押しつぶすように乱暴に抱き、綺麗な体を汚し、貪り尽くす。
そうして空想の中で、何度もハルを嬲り続けた。


「…あれ?」

気が付くと、床の上に倒れていた。
情けないことに、オナりすぎで気絶してしまったらしい。
どれ位続けていたかも覚えていない。
部屋の中は酷い臭いだし、そこらじゅうに精液が飛び散って乾いた痕がかなり残っている。

「今何時だ……?」

乾いてない部分を踏まないようにしながら、部屋を移動して時計を確認する。
十時過ぎ。どんだけ気絶してたんだ…?
それにしても、この時間ならハルが来ててもいいはずだが…
まぁ片付けの時間が出来たし、良しとしよう。
そういって、大量のティッシュペーパーを用意し、まずは床を拭き始めた。



「う〜……」

ガラガラと荷物を詰め込んだキャリーバッグを引きながらケントの家を目指す。
ゆらゆら揺れる尻尾と無駄に広がった羽が通行人の視線を集めている…のではなく、ふらふらと足元が覚束ない女の子が体と同じぐらいの大きさの鞄を引きずっているという物珍しさで注目を集めているんだろう。
先程から親切そうな人は心配そうに見てくるし、明らかに下心満載の奴は下卑た笑みで近づいて来る。
まぁそんな糞共は少し突き飛ばすだけで壁に激突して気絶させてるけど。
それにしても……体が、疼く。
アルプにしてくれた親愛なる妹ちゃんによると、濃い魔力を急速に摂りいれた事でレッサーサキュバスに近い状態になってしまっているとか。
簡単に言えば媚薬特盛マシマシコースだ。歩くだけで声が漏れそうになる。
おまけに八割近く人間やめてるせいか、着ているケントの服の残り香でもくらくらする。
昨日散々使ったしもう慣れたかと思ったが、考えが甘かった。
胸は膨らみケントの服で擦れて、少なくない快楽を送ってくる。
それに加えて匂いに反応して下腹部がきゅんと疼き、愛液だらだらのせいで下着はびしょ濡れ。
歩くたびに太ももで擦れて、感覚が敏感になっていく。
これは本格的にまずいかもしれない。
とにかく一歩一歩進んで、早く着くように頑張ろう……
すぐ会いに行こうと早めに家を出たにもかかわらず、30分程の距離を一時間以上かけて、よたよたと進んでいた。


「っし、あらかた片付いたかな?」

30分ほどかけて、自分の撒き散らしたものを片づけた。
臭いの元は無くなったので、あとは換気だけだ。
それにしても……

「遅いな。ハルの奴。すぐ来ると思ってたんだが」

昼過ぎに来るという事もあったが、夏休みだしこちらに入り浸ると思っていた。
だからこそ(下心が無いとは言わないが)泊まれと言ったのだし、ハルはハルで待ちきれずに朝から来てもおかしくない。
……夏休みの間に、男女の関係になるのは正直避けられないだろう。
あそこまでされては自分も我慢できると思えないし、魔物になったからには向こうも我慢できないだろう。
そもそも昨日の時点でかなり限界近かったしな。

「実際、嫌な訳じゃないしな」

元が男の体とはいえ、そもそもが女の子っぽい雰囲気もあったし、今の顔も体もストライクだ。
……思い出したらまたムラムラしてきた。
まずいな……いつ来るか分からないし、もう一回は出来そうにない。

「どうしたもん……」

ピンポーンと、チャイムが鳴る。

「おっ、来たか」

丁度良かった。迎えに行くとしよう。


どうにか辿り着き、チャイムを鳴らすことが出来た。
……が、快楽に耐えきれず、歯がカチカチと鳴ってしまっている。
とんとんと階段を降りる音が聞こえてくる。
どうやら迎えに出て来てくれたようだ。

「おう、遅かった……な……」

ガチャリと扉を開けてこちらを見た瞬間、口をあんぐりと開けてフリーズしてしまった。

「っお、はよっ♡」

「お、おいお前……と、とにかく入れ!」

「ん……」

キャリーバッグを引きながらよたよたと内股で歩き、どうにか玄関まで入ったが……足元がふらついてしまう。

「どうしたんだよ、大丈夫か……?」

それを慌てて抱き止めてくれる。惚れるわ……
ただ……

「っ、♡」

そんなに抱きしめられると、ヤバいんだって……♡
ぴくぴくと体が震え、それを不思議に思ったのかケントが顔を覗き込んでくる。
心配そうにこちらを見てるけど……お前のせいだかんな……?
真正面で向き合っているため、ケントの息が顔にかかってくる。
シャツの匂いと違って新鮮で、それのせいでまた子宮の辺りがきゅんきゅんと疼き始める。
あぁ……もう我慢できねぇよ……

「お前顔あかっ」

「んっ♡ちゅっ」

昨日みたいに腕を首に回して、思い切りケントの口の中を楽しむ。
ぐっと体を押し付けると、ぴんと立った乳首が擦れて腰が跳ねる。
じゅるじゅるとケントの涎を啜ると、ぱちんと弾けた様に視界が真っ白になる。

「ぁっ♡、〜っ♡」

ぞくぞくと体が震え、腕がほどけて滑り落ちてしまう。
と、それもケントが支えてくれて、ぐっと体を持ち上げられてお姫様抱っこされる。



「ったく……どうすりゃいいんだ?とりあえず運ぶけど……」

家に来て、いきなりキスされ、気絶した。
いやそんな事言ってる場合じゃなくて。
顔も赤いし、風邪でも引いたのかもしれない。

「……」

ちらり、とハルの体に目が行く。
おそらく愛液であろう、ねっとりとした液体が股間から垂れ、胸は昨日と比べ大きくなって服を押し上げ、その中心ではぴんと突起が自己主張をしている。
愚息が一気に硬くなりズボンを押し上げるが、襲いたい衝動を堪えて部屋に運ぶことにした。



とん、とん、とぼんやりとした意識の中で、階段を上がっている音が聞こえていた。
足と背中を支えて抱え上げられながら、部屋に運ばれているんだろうなぁと適当な事を考えていた。
そのまま組み伏せられ獣のように犯されるならそれがベストだけど……ま、そう上手くはいかないだろうな。
支えられる感じが一瞬だけ無くなり、がくんとなった拍子に腰を支えられる。
両手が塞がり扉を開けられなかったので、片方を放したんだろう。
がちゃりと扉の開く音がしたと思うと、またさっきのように抱えられて、ベッドの上に寝かされる。
そのまま部屋を出て階段を降りていく音が聞こえたので、持ってきていた荷物を取りに行ってくれたのかもしれない。
ぴりぴりした余韻が覚めてきたので身を起こ……

「っ!?♡……っ♡ぁっ♡」

そうとして、今までに無いような快楽が頭を塗りつぶしていった。

「ひっ、ぃ……♡」

ぎゅう、とベッドシーツを掴み、歯を食いしばろうと試みるが、力が入らずに口から涎が垂れる。
濃密な、雄の匂い。
男だった時は嫌なイメージしかなかったこの青臭い臭いも、今の体ではそれだけで体を絶頂に叩き上げかねない劇物だ。
口を覆えば防げると分かっていても、雌の本能がそれを拒絶し、ただただ快楽を享受するためにシーツを掴んで体を固定し、鼻と口で思い切りその麻薬を取り込もうとする。

バクバクと心臓が激しく動き、呼吸は乱れ浅く息を繰り返すだけになる。
その度にケントの雄の……精子の匂いが身体中を駆け巡り、雌として、交尾の為の準備を着々と進めていく。
胸が擦れるとか、抱きしめられるとか、自慰だとか、そんな事で得られるような生温い快楽ではない。

全身全霊、この雄の為にあるのだと。
元々は男であったという事実を全て塗りつぶす程のこの快楽は、そんな考えを体に染み込ませるには、十分なものであった。
14/07/20 01:26更新 / ポレポレ
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遅くなりました。

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