連載小説
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(43)エルフ
「まったく、いい格好ねえ」
目の前に立つダークエルフの言葉に、私は奥歯を噛みしめた。
頭の中でぎりり、と歯の擦れる音が響くが、手足を縛られた状態でいすに座らせられているという状況に変化はない。
私がいるのは、地下牢めいた一室だった。石積の壁が私の左右と背後を囲んでおり、前方は黒いカーテンで仕切られていた。
そして、カーテンを背にするように、浅黒い肌のダークエルフが立っていた。乳房の下半分と先端を隠す程度の布を胸に巻き、股間をかろうじて隠す程度の下着を太股と腰の境に食い込ませる、淫らな格好をしている。
だが、その一方で私は全裸でイスに座らせられ、両手を背もたれに、両足をイスの足に縛り付けられており、ダークエルフより酷い痴態をさらしていた。
「あら、その目は何かしら?久々の姉妹の再会だっていうのに」
「黙れ。自ら魔に身を投じたお前なんか、私の妹じゃない・・・!」
私と全く同じ顔をした、かつて双子の妹だったダークエルフに、私はそう告げた。
すると彼女は、くすくすと笑った。
「何がおかしい!?」
「いえ、だって・・・エルフの里から追い出されたのに、自分は一丁前のエルフだって顔してる姉さんがおかしくて・・・」
ダークエルフの言葉は、私の胸に深く突き刺さった。
「ち、違う・・・私は、遅かれ早かれお前のようになると思って、みんなに迷惑をかけぬよう自分の意志で・・・」
「そうね、自ら魔に身を投じたわけね・・・私みたいに」
ダークエルフの指摘は、私の言葉を詰まらせた。
「そのくせ、ダークエルフの集落にやってくるほどの度胸もなく、孤独感に苛まれて人里近くに住み着いて・・・もう少ししたら、体の疼きを癒すために、夜な夜な人里に降りてたんじゃないの・・・?」
「ち、ちが・・・」
私の言い訳を先回りして潰すダークエルフに、私はただ否定することしかできなかった。
「じゃあ、あなたが森で会っていた男はなに?」
「っ!」
ダークエルフの指摘に、私は口から心臓が飛び出そうなほど驚いた。
「なぜ彼を・・・」
「ふふ、山菜摘みやキノコ狩りにかこつけて、週に三度も会っていたらわかるわよ」
ダークエルフの言葉に、私の脳裏で彼との日々が浮かび上がった。きわめて危険な毒キノコを採ろうとしていた彼を偶然見つけたのが始まりで、それから食べられる山菜やキノコを教えつつ、一緒に山を歩いていた。
だが、私たちはそんなに会っていたのだろうか?ダークエルフの指摘に、必死に思い返すが、否定しきるだけの材料はなかった。
「今はまだ手も握ったこともないみたいだけど、そのうち彼でキノコ狩りしちゃうつもりだったんでしょ?きゃーやらしー」
「ち、違う・・・!私はそんなつもりじゃ・・・」
「そうね、いつも姉さんが正しくて、周りが悪いのよね。だから今度も、あの男が我慢できずに襲ってくるまで待ってたんでしょ?」
ダークエルフは言葉を紡ぎながらカーテンから離れ、私の方に歩み寄ってきた。
「里を追い出されたのも、双子の妹がダークエルフになったから。あの男と会っているのも、彼が一人じゃ山菜もろくに採れないから。そしていつ襲われるかわからないのに度々会っているのも、彼がそんなことしそうにないように見えるから」
私の眼前で腰を屈め、顔を覗き込みながら、彼女は続けた。
「そうやって、自分はいつも正しいと思っているのよね」
「そんなつもりじゃ・・・」
「いや、悪いって言ってるわけじゃないのよ。むしろ自分が何もかも悪いって思いこむよりずっといいわよ。ベリグー」
親指と人差し指で円を作り、残りの指をまっすぐ伸ばしながら、彼女にっこりほほえんだ。
「だから、これから私がすることも、淫乱で邪悪で自ら魔に飛び込むような愚かな妹がやることだから、気にしなくていいの」
直後、彼女は指を伸ばし、私の肌に触れた。
「っ!」
「ふふふ・・・」
彼女は笑みを浮かべながら、私の方や背中、二の腕を指で撫でていく。私は一瞬驚いたものの、身をくねらせ肩を揺らし、彼女のくすぐりから逃れようとした。しかし、ダークエルフは私の動きにあわせて巧みに手を移動させ、肌から指先を離そうとしなかった。
徐々にむずがゆさとくすぐったさが肌に生じ、少しずつ体内に浸透していく。
彼女の指が触れた部分がじわり熱を帯び、血流とともに広がっていく。
「やめ・・・なさい・・・!」
体内に広がりつつある感覚に、私はいやな予感を覚えながら、ダークエルフをにらみつつうめいた。しかし、何の意味もない私の視線に、彼女は笑みを絶やさなかった。
「いやぁよ、もうすぐで掘り起こせそうだって言うのに」
「掘り・・・?ひっ!」
彼女の発した言葉の真意を捉えかねていると、ダークエルフの指が肩から鎖骨をくすぐり、乳房の脇を滑っていった。肌を滑るくすぐったさに、思わず声を漏らしてしまう。
「ふふ、やっぱり」
ダークエルフは、笑みを浮かべながら私の乳房の脇から指を離し、肩に再び触れさせた。
「姉さん、私と弱いところ一緒・・・」
「な、何を・・・ひっ!」
耳の裏、うなじとの境目あたりに息を吹きかけられ、私の背筋がぞくりと震えた。
「私、鎖骨とかおっぱいの横とか、うなじのあたりが弱いの・・・だったら、私たち双子なんだから、姉さんも弱いのよね?」
「よ、弱くなんか・・・っ!」
今度は先ほどとは反対側の鎖骨を、ダークエルフの指が滑った。どうにかあえぎ声を噛み殺すが、体の震えだけは押さえられなかった。
「ほら、やっぱり・・・我慢しなくていいのよ・・・」
「誰が、我慢を・・・!」
ダークエルフへの怒りを胸の奥に注ぎながら、私は鎖骨から生じるくすぐったさと、うなじに残る吐息の余韻を堪えた。
「我慢してない?だったらこれは何かしら?」
特に何をするわけでもなく、ぶらりと垂らされていたダークエルフの網片方の手が上がり、私の乳房の先端にふれた。
ダークエルフのそれには劣るものの、それなりの大きさだと思う私の乳房の先端では、淡い色の突起が膨らんでいた。
「乳首、びんびんにして我慢してないだなんて・・・」
「それは・・・」
「姉さん、認めなさいよ。『私は妹と同じ、淫乱な体の持ち主です』って」
耳元に顔を近づけ、片手で鎖骨を、もう片方の手で乳房をもてあそびながら、彼女が囁く。
「どうせ里から追い出されたんだから、欲に忠実でいいじゃない。あなたの妹も、こうなんだから・・・」
ダークエルフはそう囁くと、唇を窄めて再びうなじに息を吹きかけた。
うなじを温い風が撫で、鎖骨と乳房の先端を彼女の指が擦る。
三カ所からの刺激は、私の背中を続々するものが這い上がり、意識の中に飛び込んだ。
「っ〜〜〜!」
私はとっさに目をつぶり、歯を食いしばって快感の波を堪えた。
理性の小舟が刺激の大波に揺れるが、耐えるべきところはほんの一瞬だった。わずかな不満感、と表現するしかない感覚が取り残され、背筋のゾクゾクも体の震えも消え去る。
「はあ、はぁ・・・」
「強情ねえ・・・」
絶頂に至るのを我慢した直後、彼女は顔をすっと近づけ、私の唇に触れた。
「っ!?」
唇同士がふれあった、という事実に意識が至る前に、彼女は顔を離して、口の端を吊り上げた。
「姉さんキスは初めてだったかしら?ああ、同性で身内だから、ノーカンでいいわよね」
妹と唇を重ねてしまった、という事実に、私は言葉にできない衝撃を覚えていた。
「やっぱり初キスは好きな男の人に取っておきたいわよね。それに初キス同士って素敵よねえ」
彼女は何事かをいいながら私から指を離し、カーテンのそばに歩み寄ると、その黒い布をつかんだ。
「というわけで、姉さんの初キスは、私が間接キスでこの人にプレゼントしま〜す」
滑るような動きで、カーテンをつかんだまま彼女は部屋を横切った。
カーテンが開き、その向こうに隠されていたものが私の目に映った。
カーテンの向こうにいたのは、私と同じような姿勢でイスに拘束された、山で会う彼だったからだ。
「っ!」
猿ぐつわを噛まされた彼の姿に、私の口から声にならぬ声が漏れ、彼も目を見開く。
そして、彼の目が一糸纏わぬ私を見まいとするかのように、視線をさまよわせた。
「ふふふ、びっくりした?」
イスに腰掛ける彼にしなだれかかりながら、ダークエルフはほほえんだ。
「姉さんの体が、この子に抱いてほしい、この子の精液欲しい、って泣いているのに、姉さん我慢するんだもの。かわいそうじゃない?」
しなだれかかるダークエルフに彼の視線が向けられるが、彼は肩に押し当てられる彼女の乳房に目を移しては顔に視線を移すを繰り返していた。
「だから、私が姉さんの代わりに、姉さんの体のお願いを叶えて上げるわ」
ダークエルフはそういうと、彼の猿ぐつわをずらし、彼が何かを言うよりも先に露わになった唇に、自身のそれを重ねた。
「あぁぁ!」
両手を背もたれに、両足をイスの脚に縛り付けられているのも忘れ、私は声を上げて立ち上がりそうになった。
だが、予想外に大きな声とイスの揺れる音では、二人の接吻を止めることはできなかった。
ダークエルフは目を閉じ、彼の唇に吸い付き、顔を小さく左右に揺らしていた。
一方彼は目を見開き、眼前に迫るダークエルフの顔と、私の方とを交互に見ていた。彼は必死に顔を揺らし、ダークエルフの接吻から逃れようとしていたが、彼女に離すはなかった。
「ん・・・んちゅ・・・」
二人の唇の間から、唾液と舌の絡み合う音が響く。同時に、粘膜が触れ合い体液が混ざっていく感覚に、彼の股間が勃起していく。
「やめて、やめて!」
濡れた音をかき消そうと声を上げるが、私の耳は音を拾った。
ダークエルフの接吻に彼が勃起していくのを見まいと顔を逸らすが、私の目は彼の股間を凝視していた。
そして、たっぷり数分は唇を重ねると、ダークエルフはようやく顔を離した。
「ぷはぁ・・・」
二人の唇の間を唾液の糸が張り、垂れ下がって切れた。
「ふふ、姉さんとこの子の初間接キス・・・おめでとう、姉さん」
唇をてらてらと濡らす唾液を舐めとってから、彼女は私の方を向きながら、微笑んだ。
「え、エルフさん・・・ごめんなさい・・・」
彼が、接吻によって顔を上気させたまま、どこか虚ろな目でそう紡いだ。彼の一言は、私の胸の奥に食い込むようだった。
「ほら姉さん、この子も謝ってるわよ?『気高いエルフ様に劣情を抱いていてごめんなさい』って。ほら、姉さんと間接キスしただけで、こんなにして」
ダークエルフは嘲るような口調で、彼の股間の屹立を示した。
「本当なら、姉さんのあそこに精液ぴゅっぴゅしたいんでしょうけど、姉さんは清くて気高いエルフだから、君とそういうことできないのよ。ごめんね〜」
彼の肉棒に指を触れさせ、軽くもてあそびながら、彼女はそう言った。
「ち、違う・・・」
「違う?ああ、君、姉さんじゃなくて私にぴゅっぴゅしたいのね!」
彼が心の内に抱いていた劣情を否定しようとすると、ダークエルフはそれを曲解した。
「私は姉さんと違って、気持ちいいの大好きだから、いっぱいぴゅっぴゅさせて上げる・・・」
彼女は腰に手を伸ばすと、骨盤の上に食い込む紐に指をかけ、股間をわずかばかりに覆う下着をおろした。
はらり、と布と紐が両足の間に落ち、彼女の尻の谷間から股間までがさらされる。
「はい、お待たせ・・・」
彼女はひょい、とイスに腰掛ける彼の太股をまたぐと、首をひねって私の方をみた。
「じゃあ、清廉潔白な姉さんの代わりに、私がこの子とセックスするわね。ホントは間接セックスさせて上げたかったんだけど、双子だから体も同じだし、別いいわよね?」
「やめて、やめて・・・!」
ダークエルフの理屈のよくわからない言葉に、私はなぜか涙を目に浮かべながら、彼女を止めようとした。
「いやよ。姉さんが素直にならなかったから、こうなったの」
その直後、彼女は太股の上で浮かせていた腰を、すとんと下ろした。
彼女の肉付きのよい尻の下、両太股の間からかろうじて見えていた彼の肉棒が、ダークエルフの褐色の尻に隠れる。
「ああ・・・!」
「ふふ、熱いわ・・・」
彼が声を漏らし、ダークエルフがゆっくりと腰を動かし始めた。彼女の尻が上下に揺れ、彼の屹立が一瞬見え隠れする。
ダークエルフの腰の動きは、暴れ馬に乗る騎手の用に激しいものだった。まるで、彼の屹立を女陰に咥え込んでいるとは思えないほどだが、彼は彼女の動きにのけぞって声を漏らし、時折見える彼の肉棒は彼女の愛液に濡れていた。
「やめて、やめて、やめてぇ!」
掻き毟りたくなるほどの空虚な感覚が胸の奥に広がり、私の口から懇願が溢れでる。
しかし私の言葉は、ダークエルフの動きを止めることはおろか、二人分の吐息を弱めることすらできなかった。
目元から頬を熱い物が垂れ、太股に滴り落ちる。
手首に巻き付く紐を引きちぎらんばかりに腕が揺れるが、イスも紐もびくともしない。
「あぁ、あ、あぁぁ・・・!」
「ふふ、もう出るのね?たっぷりぴゅっぴゅしなさい・・・!」
彼のあえぎ声に、彼女が勢いよく腰を太股にたたきつけ、動きを止めた。
直後、ダークエルフの代わりとばかりに、彼の太股や脚がけいれんし、体が震えた。
「ん、あつぅい・・・」
彼女の尻の下から白く濁った物が滴り落ち、しばしの間をおいて彼女は立ち上がった。
ぬらぬらと光を照り返す液体にまみれた肉棒が露わになり、彼女がくるりとこちらを向く。彼女の下腹から股間のあたりが、白濁に濡れていた。
「あぁぁぁぁ・・・」
彼の放った絶頂の証に、私の口から意味をなさない言葉が溢れだした。
「ふふふ、この子、私にこんなに出してくれたわよ・・・」
ダークエルフは下腹に指を伸ばし、褐色の肌にへばりつく白濁を指先につけると、軽く舐めた。
「ん、苦いわ・・・」
ダークエルフは一瞬眉間にしわを寄せると、気を取り直すかのように私に目を向けた。
「それじゃあ姉さん、私もやりたいことはだいたいやったし、解放して上げるわ」
彼女が何かを言うが、私はぐったりとした彼を見るので手いっぱいだった。大丈夫だろうか、妙な薬が使われていないだろうか。写生の残滓を肉棒の先端から垂らす彼を、私は目に涙を浮かべながら見ていた。
「うーん、ちょっとやりすぎたかしら・・・?」
少しだけ心配した様子を言葉に乗せながら、ダークエルフが歩み寄ってくる。
「とにかく姉さん、姉さんがそれでも清廉潔白な気高いエルフを気取っているなら、帰ってもいいわ。でも、姉さんがエルフのプライドを捨てるなら・・・彼の初めて、取り返せるわよ?」
「・・・・・・」
ダークエルフの言葉が、静かに私の意識に染み行った。
「紐、解くわね」
彼女が指を鳴らすと、私の手足に巻き付いていた紐が、はらりと解けた。
私はゆるゆると立ち上がると、ダークエルフには目もくれず、まっすぐに彼の方へ歩んでいった。
ダークエルフとの行為の余韻に彼は浸ったままだ。肉棒には彼女の体液が絡みついており、嫌悪感を私にもたらした。
だが、私は彼の前に膝をつくと、状態を倒して未だ屹立する肉棒を咥えた。
彼をきれいにするためだ。
「ん・・・んむ・・・」
肉棒に舌を這わせ、塩味のする体液を舐めとり、唾液ごと飲み込んでいく。ダークエルフの汚れが残らぬようにするためだ。
「うぅ・・・」
彼が肉棒を撫でる私の舌に声を漏らすが、私はかまわず続けた。
そして、彼の肉棒からダークエルフの味がしなくなったところで、私は口を離した。
「ぷは・・・きれいになったわ・・・」
「エルフさん・・・」
「こんなことに巻き込んで、ごめんなさい・・・」
いくらか快楽のぬるま湯から抜け出した様子の彼に、私は謝罪した。
「私が態度をはっきりしていれば、こんな目に遭わずにすんだのに・・・」
彼の初キスも、初体験も、あのダークエルフに汚されてしまった。
「代わりに、私が全部塗りつぶして上げる・・・」
私はその一言で、やっと自分と向かい合えた。
ダークエルフがそうしたように、私も彼の太股をまたいだ。彼の屹立の先端が、両足の付け根に触れ、熱を伝えてくる。
私は少しだけ腰の位置を整えると、ゆっくりと腰を落とした。
熱を帯びた努張が、私の女陰を押し広げ、ゆっくりと入り込んでくる。ダークエルフに体をいじられ、彼の肉棒を見せつけられたためか、私のそこはしとどに濡れており、屹立は引っかかることなく、私の胎内に入っていく。
しかし、それでも指すら入れたことのない膣が押し広げられていく感覚は、息苦しさめいた物を私にもたらした。
そして、膣の浅いところで一瞬屹立が何かに阻まれるが、痛みとともに抵抗が消えた。私の処女を、彼に捧げたのだ。
「・・・ぅ・・・!」
体奥の痛みに顔をしかめながらも、私は腰を下ろした。
そして、私の尻が彼の太股に乗ると同時に、肉棒が私の内側を埋め尽くした。
破瓜の痛みはあったが、彼と繋がっているという満足感が胸を満たし、目元から涙が溢れ出す。それが喜びの涙であるということは、私の内側を満たす幸福感で分かった。
「・・・ん・・・」
ダークエルフの動きを思い出しながら、私は腰を少し動かした。
肉棒の根本近くが、処女膜のあった場所を擦り、僅かな痛みを生じさせる。だが、私は痛みに臆することなく、腰を上下させた。
尻が彼の太股から離れ、再び触れる。尻肉が触れては離れを繰り返す間に、彼の屹立が膣を押し広げ、膨れた先端が体奥にぶつかる。
すると膣の奥、へその少ししたの裏側のあたりに、何かが抜け落ちたような空虚感が芽生えた。私の子宮が、子を宿すための場所が欲しているのだ。彼の精液を、彼の子を。
私は体の欲するまま、体を上下させ、体全体で彼の肉棒をしごいた。ダークエルフの感触を擦り落とし、私の膣を刷り込ませるようにだ。
「あぁ・・・あ・・・」
私の顔の少し下で、彼が声を上げながら苦悶の表情を浮かべた。
私のもたらす快感が、彼を高見へ導きつつあるのだ。
私は、もはや消え去ってしまった破瓜の痛みと、つい先ほどまで自分が処女だったという事実も忘れ、猛然と腰を揺すった。
実際のところ、腰の動きはダークエルフにこそ及ばないのだろうが、気分としては彼女を上回る情熱を込めていた。
そして、私の胎内で彼が限界を迎える。屹立が一瞬膨れ、胎内に熱を帯びた粘液が迸った。
「っ!」
膣の奥から子宮へとなだれ込まんばかりの熱と勢いに、私は腰を沈めたまま動きを止めてしまった。
膣と子宮から背筋に痺れが走り、意識が高みへ突き上げられ、絶頂によって姿勢を保っていられなくなる。私はとっさに、傾きつつあった状態を無理矢理前に倒すと、背もたれに背を預ける彼に覆い被さった。
私の乳房が、彼の鎖骨の少し下に押し当てられ、支えを求めた両腕が彼の背中とイスの背もたれに回る。
「ぅぅ・・・!」
状態の動きに膣の内壁が動いたためか、彼はうめき声を上げ、噴出させる精液の勢いを一瞬増した。
しかし、いつまでも続くかと思い、そうであって欲しいと願っていた射精は、やがて勢いを失って止まった。
後には、腹の奥の温もりと、絶頂後の甘い陶酔感だけが残っていた。
いや、まだあった。
私は、腕の中で荒く息を重ねる彼を見つめた。
まだダークエルフの行為を塗りつぶしたとはいえないが、それでも私の初めてを捧げた事実は変わりない。
これから二人で時間をかけて、彼女のしたことをかき消していこう。
「ん・・・」
私はこれからの日々を思い描きながら、彼と、初めて、唇を重ねた。
12/09/24 15:35更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
言いたいことは分かるが、少し待って欲しい。
(44)ダークエルフを読んでから、話は聞こう。

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