連載小説
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第五話 怪我の功名 前編
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…!」

薄暗い不気味な雰囲気を醸し出す森を息を切らしながら走り抜ける。
木を避け、茂みを飛び越え、せりでた枝に肌を切りながらも走り続ける。
別に俺は急いでるわけでもなかった、本来ならば彼女達魔物娘を見つける為にもっと注意深く行動しなければならない筈だった。
だが俺は走らなければならない、人間が急いでる以外に走る理由は限られている。
そう例えば…。

「「待ってよ〜っ!」」

何かから逃げている時などだ。

「くそっ、まだ追ってくる?!」

俺は振り返り、自由に飛び回りながら追ってくる二人組みを見る。
その表情は歓喜に満ちており、まるで欲しい玩具を見つけた子供のように嬉しそうだ。

「ふふっ、待ってよ〜、そんなに逃げる事ないじゃない?」
「気持ちよくしてあげるから〜、逃げないでよ〜。」

こっちはそれどころじゃないってのに!!

今俺を追いかけている二人組みはサキュバスと呼ばれる魔物だ。
高い魔力を持ち、遥か昔から存在していたとも呼ばれている古い種族。
魔物娘達の中でも特に性に強く、そのためかその姿は男を虜にするには充分すぎるほどの美貌と身体を持っている。
だが一番厄介なのが彼女と交わった後だ、彼女達は性交する際に自分の魔力を相手の身体に注ぎ込もうとする。
彼女達の魔力を注ぎ込まれた男は彼女達無しでは生きられない身体、『インキュバス』にへと変えられてしまう。
そうなったら最後、俺は自我を失い死ぬまで交尾してしまう“魔物”と化すだろう。

インキュバスについては詳しくは知らないが今俺はそれになるわけにはいかない。
この旅の一番重要な点は…俺が人間でなければならない事だからだ。
ヴェンが今そのための薬を開発してくれている、それまでは彼女達には会いたくはなかったのだが…。

「早く振り切るか、隠れでもしないとっ…。」

俺は走りながら身を隠せそうな場所を探した。
…だがそう簡単に見つかるものでもなく体力だけが消耗していく。
後ろから彼女達の羽音が徐々に近づいてきた!
このまま走っていても追いつかれてしまう…。

「いったいどうすりゃっ…!」

息も絶え絶えになり意識が朦朧としてきた時だった。

「あ、あぶないっ!」

不意に後ろから予想外な声が聞こえ無意識に振り返った。
…だがそれがまずかったようだ。

踏みしめようとしていたはずの地面が消え、俺の身体はふわりと宙へ浮いた。
振り返ると先程のサキュバスの一人が身を乗り出し、俺に手を差し伸べてくる。
時が緩やかになったような錯覚、すべてがゆっくりと動いていく。
俺は反射的にその手を掴もうと自分の手を伸ばした。
…だが虚しくもその手が繋がれる事は無く、二人は虚空を掴む。
彼女はなにか叫んでいたが俺には聞こえなかった。
俺はそのまま彼女から離れるようにして暗い底へと落ちていった。



足を踏み外し、崖から転落した事を俺が知ったのは地面に叩きつけられ、傾斜をごろごろと転がり続けた挙句、森(地形的にどう考えても山)から排出された後だった。

森へと続く道の真ん中で俺は這い蹲るようにして倒れる。
身体を動かそうとするも全身が硬直して動かない、落ちたときの衝撃がまだ残っているのだろう。

「うぅ…がはっ、ぐっ。」

身体が悲鳴を上げ、口から血を吐いて咳き込んだ。
意識が遠ざかっていくのを何とか堪える。
ここで意識を失えば間違いなく死ぬ、こんな死に方は俺はごめんだ。

「これは…まずいか。」

こんなことになるのはあの勇者に切られて以来だな、と一人力なく笑う。
不意にさっきのサキュバスの顔が頭を過ぎった。
あの時俺の手を掴もうとしたのは捕まえようとしたからなのか、それとも助けようとしたからなのか。
どっちにしろ、今ではそれも知りようが無い。

「…ふぅ。」

少しずつ身体の硬直は解け、這いずりながら何とか木に持たれかかる事が出来た。
俺はここで動けぬまま時を過ごさなければならない。
ヴェンに助けを呼ぼうとも考えたが…止めた。
無駄な心配は掛けたくないし、何より彼女達を不安にさせてしまう。
俺の勝手な見解だが多分死にはしない、ここで夜を明かせば何とか動けるほどにはなるだろう。
そう思っていた矢先だった。

ガサ…ガサガサ。

目の前の茂みから何かが姿を現した。
角の生やした少女?…少なくとも人間では無さそうだ。
彼女は俺の姿を捉えると無邪気そうに駆け寄ってきた。
そして俺が動けない事を悟ると意地悪そうに微笑む。
俺も同時に引きつった笑みを浮かべる、全身から嫌な汗が滲み出るのがわかった。
どうやら…今日は厄日だったようだ。

最後に俺が見たのは、彼女が手に持っていた巨大な棍棒を俺に振り落ろす姿だった。



「…ぅん?」

薄暗い洞窟の中で俺は目を覚ました。
藁の上で身体を起こした時、掛けられていた毛布がずり落ちた。
起き上がると自分の身体が包帯まみれになっている事に今更気づいた、頭も湿った布のような物が巻かれている。
辺りを見回すと少ないが家具が置かれており、壁には鉱石を材料にした装飾品や武器などが飾ってある、どうやらここは誰かの部屋らしい。
とりあえず一から状況を整理してみる、まず俺はあの時どうなったか?

「俺は…確か魔物の少女に鈍器で殴られて、それから…。」

それからの記憶が一切無い。
恐らく俺は気を失った後、彼女にここへ連れてこられたのだろう。
今の状況ではそれぐらいしか思いつかない。

次にここはどこか?
岩肌が見えている限り洞窟であるというのは分かる。
ただ、どこの洞窟なのか?までは解らない。
倒れていた所から遠くないといいが…。

最後に連れて来られた目的だ。
大方、食事が目的だろうが彼女達にしては随分律儀だな、普通ならその場で襲うはずだが…気絶させてから運んだのは何か意図があるのだろうか?
それに治療されているって事は俺はよっぽど大事にされているらしいな。

「…じゃあ一体何の為にここへ?」

考えてみても何も分からない、今はこれが限界だろう。
とりあえず、ここから出る事を考えないとな。
そう考え、俺が立ち上がった時だった。

「すごい…もう動けるんだ?」
「?!」

俺が驚いて振り向くと俺をここまで連れてきた張本人である少女が立っていた。

「くっ!」

俺はすぐさま壁に掛けてあった武器、石斧を取り身構えた。
俺の行動に少女は急にあたふたとし始めた。

「ちょ、ちょっと待って!別にあたしはあんたを取って食おうなんて思ってないよっ!」

手を忙しなく動かし、危害を加えるつもりは無いと少女は言った。
俺は構えたまま話を続ける。

「人の頭を鈍器で殴りつけた奴の言う台詞じゃないな?」
「そ、それは悪かったって…ほら、そのお詫びに怪我の手当てとか寝床も貸してあげたじゃん?あんたボロボロだったしさ…。」
「…それで手当てして動けるようになったら襲うつもりだったんだろ?」
「え?!…なんでわかったの?」
「…ほんとにそうだったのかよ。」

冗談でカマかけてみたが当たってるとは思わなかった。
俺は彼女を睨み付けてるとおどおどした調子で言ってきた。

「だ、大丈夫、今は襲わないから!あんたの手当てが先。…包帯の替えを持ってきたから手当てさせて?」
「…信じろと?」
「こんな可愛い子を信じられないなんてお兄さんも荒んでるね〜?」
「…。」
「ごめん、ちゃんとやるからそんなに睨まないで…。」
「やれやれ…。」

俺はわざとらしくため息をつくと石斧を元の場所に戻し、その場に座り込んだ。
彼女はほっとした後、てけてけと近づき俺の身体の包帯を変えてくれた。
作業してくれている間に俺は彼女について色々と聞いてみた、いくつか分かった事をまとめてみる。

彼女はゴブリンという種族で洞窟などに住んでいる亜人だ。
子供のような見た目をしているがこれが成体だと言うのだから驚きだ。
彼女達の特徴はその身体に似合わないほどの怪力、俺もこいつにやられたらしい。
彼女のほかにもここには沢山のゴブリンがいるらしく、皆で協力して生活をしているのだという。
彼女が獲物を探しに森へ入ろうとしたところで俺を見つけ、最近人間がご無沙汰だったらしく、嬉しさのあまり勢い余ってやってしまったと彼女は言っていたが本当かどうかは定かではない。

「でもそれならどうしてその場で襲わなかったんだ?」
「いくらなんでも怪我してる奴を襲ったりなんかしないよ、それに見つけた獲物は初めにリーダーに渡すのが決まりなんだ。」
「リーダー?お前たちのか?」
「そ、リーダーのプリン様、リーダーはすごいんだよ!?私たちの代表に相応しいんだ!」

リーダーの事を聞くと彼女は良くぞ聞いてくれたと言わんばかりに嬉しそうに話した。
よっぽどリーダーを信頼しているらしい。

「ほぅ?どうすごいんだ?」
「なんといってもねぇ、大きいんだよ。」
「大きい?」

彼女の言葉に俺は身の丈2、3メートルあるゴブリンの少女を想像した。
いや…そんな巨大な魔物はあまり聞いたことが無い。
もっと別の何かだろうと思い俺は頭を振って想像を消した。

「ま、もう動けるみたいだしこれからあんたをリーダーのところへ連れて行くよ、丁度手当ても済んだ事だし。」
「おい、今は襲わないんじゃなかったのか?」
「少なくとも“あたし”は襲わないよ?大丈夫、リーダーは温厚な方だから。」
「断ったら?」
「ここにいる皆が一斉にあんたを輪姦することになるけど良い?あたしはそっちでも構わないんだけどね〜にひひ♪」
「…連れてってくれ。」
「一名様ご案内〜♪」

そういって彼女は俺を部屋の外へと連れ出した。
彼女の拘束なのか愛情表現なのかは分からないが、俺は彼女に手を繋がれたまま洞窟内を歩いている。
捕虜というよりは子供に連れ回される親みたいな状況だ。

「ねぇねぇ?」

しばらく歩いた所で彼女が話しかけてきた。

「手当てしてるときに思ったんだけど…あんたの身体って傷だらけだったじゃん?どうして?」
「あぁ、森で崖から落ちたんだよ。」
「え?!あんなとこから落ちたの?!良く無事だったね…普通死ぬよ?」
「なんとか助かったんだよ、それよりあそこは森というよりは山じゃないのか?なんで皆森って言うんだ?」
「あそこはね、元々森だったんだけど地盤の影響で崖が出来たり地割れが起きたりするんだ、だからだと思う、それと手当てしてるときに見たんだけど…。」
「ん?」

彼女は俺のほうをじっと見つめながら言った。
いや、正確には俺の肩の方を見ていた。

「肩の傷。」
「肩?…あぁ、これか。」

俺は包帯をずらし彼女に肩の傷を見せた、二年前勇者によって切られた裂傷だ。
傷は塞がってはいるものの肩から胸に掛けて跡が残ってしまっている。
それを彼女はまじまじと見つめている。

「気色悪いか?」
「うぅん、それどころか…凄くかっこいい。」
「か、かっこいい?」

俺は呆気に取られて聞き返すと彼女は目を輝かせながら見ていた。

「戦士の証って奴?なんかそれってすごくかっこいいじゃん!ねぇねぇ、どうやって付いたの?誰かを庇ったとか??」
「ま、まあそんな所だ。」

彼女の質問攻めに俺は歯切れの悪い返事をした。
そんなに良い話でもないし「魔王を庇った傷だ」なんていえるはずも無い。
そう考えてると急に彼女はうっとりとした目で俺を見つめた。

「そういえば…名前なんていうの?」
「あぁ、言ってなかったな、アレスだ。」
「アレスか…、あたしはルカ。…ねぇアレス?リーダーに気に入られなかったら、あたしの夫にならない?」
「なんだ?いきなり…。」
「いいじゃん?どうせここから出られないんだし、あたしなら毎晩気持ちよくしてあげるよ?にひひ♪」

そういってルカは前掛けを捲って透けたズボン越しに下着をちらりと見せた。
俺は少し恥ずかしくなり顔を背けた、彼女が恍惚な表情で覗き込んでくる。
…少女と思って油断しないほうがよさそうだ。
と、突然ルカがある部屋で止まった、そこには『リーダーのへや』と彫られている。

「と、着いたよ、中に入って?」
「あ、ああ。」

俺はルカに促され中へと入った。
中はルカの部屋の数倍はあるかと思うほどに広々とした部屋だった。
地面に敷かれたじゅうたん、ふわふわした毛皮で飾られたベッド、そして象牙で出来た椅子、これだけでもリーダーの品格が伺える。

「リーダー、連れてきましたよ?」

その椅子にリーダーらしき人物が座っていた、こちらをじっと見つめている。
俺はリーダーと呼ばれた少女と向かい合った。

「…。」
「…。」

無言の睨み合いが続く中、先に破ったのはルカだった。

「リーダー?」
「…。」
「リーダーってば!」
「…ふぇ?なぁに?」

今存在に気づいたかの様にルカに顔を向けた。
俺を睨んでいたわけではなく、彼女はぼーっとしていただけのようだ。
この少女がほんとに彼女達を束ねるリーダーなのだろうか?

「昨日言ってた人間を連れて来たんですよ、もう忘れちゃったんですか?」
「あ、あぁ、そうだったっけ?」
「もう…でもリーダーのそんな所がすごいな〜。」

何処が凄いのかまったく俺には分からないんだが…。
考えていた理想図が音を立てて崩れていく、…緊張していた俺が馬鹿みたいだ。
そんな考えを余所にリーダーと呼ばれた少女は椅子から降りて俺に駆け寄ってきた。

「ふ〜ん?」
「な、なにか?」

下から興味津々と言った様子で見上げてくる。
俺が視線を下に向けた時、ルカが「凄い、大きい」と言っていた意味をようやく理解した。
身体ではなく身体の一部分が凄い、正確に言えば“胸”が大きすぎるのだ。
少女の身体とは思えないほどの胸部に俺は「おぉ…。」と感嘆の声を漏らした。
俺の視線に気づいたのか、彼女は意地悪そうに笑った。

「ん〜?…わたしのおっぱい、気になるんだ?」
「い、いや…。」

俺はいつの間にか彼女の胸に釘付けになってるのに気づき、慌てて視線を逸らした。
俺としたことが、男の性とは言え情けない。
…だが彼女は許してはくれなかった。

「だ〜め、もっと良くみて?」
「うぉっ!」

彼女は俺に胸を押し付けながら俺を押し倒した。
踏ん張ろうとしたが彼女の力は予想以上に強く、手を押さえられ何も出来ない。
どんなに力を入れても彼女を引き剥がす事は出来なかった、万全ではないとはいえ凄まじい怪力だ、恐らくルカよりも上かも知れない。

聞いたことがある、ゴブリンの中に一際目立って力の強い亜種が存在すると。
確か名前は…ボブゴブリン、特徴は大きな胸か…。
今更こんな時に思い出しても遅いんだがな…。

「リーダー?一様その人怪我人なんだから大事にしてくださいよ?」
「わかってる〜、ルカちゃんはどうする?一緒に食べるの?」
「私は…見回りに行ってきます、ごゆっくり。」

そう言ってルカは足早に部屋から出て行った。
彼女が一瞬悲しそうな顔で俺を見たが、すぐに踵を返し立ち去ってしまった。
俺が「なんだ?」と思っているとリーダーのプリンがそっと耳打ちをしてきた。

「ルカちゃん、あなたの事気になってるみたいだね〜。」
「えっ?」
「普段大人っぽいルカちゃんが、ヤキモチ焼くなんて今までではじめてなんだよ?」
「そ、そうなのか?」

あれで大人っぽいのかと少し疑問に思えたが考えないようにしよう。
彼女達でもやはりヤキモチを焼いたりもするのだろうか?
だとしたら俺の場合とんでもない事になりそうだが…。

「でも〜、わたしも貴方を見て好きになっちゃった、だからルカちゃんには悪いけどわたしが食べてあげる。」
「いつも思うんだがお前たちは好きになる瞬間が早すぎないか?」
「愛に時間は必要ないんだよ〜?」

次第にプリンの息遣いが荒くなり、頬を赤らめはじめる。
それと同時に大きい胸を強く俺に押し付け、撫でるように動かしてくる。

「やんっ、おっぱい出てきちゃった♪」

強くずったせいで彼女の服がはだけ、大きい胸が露になった。服越しでも凄かったが、脱いでみると迫力が段違いだ。
大きく揺れる二つの胸に俺は興奮を隠しきれずにいた。

「ふふふ、今からこの胸で包まれちゃうんだよ?嬉しい?」
「…これは凶器に近いな。」
「ふふっ喜んでる喜んでる♪人間の男って大きい胸が大好きだもんね〜?…触ってみる?」
「あ、あぁ。」

俺は恐る恐る彼女の胸に触れてみた。
滑滑の肌に手が吸い付くような弾力、触れるたびに彼女の身体が震えた。
俺は堪らなくなり、彼女の胸を強く鷲掴み揉みたくった。

「んっ…はふ…、…気持ちい…んっ!」

彼女は胸を弄ぶ俺を見て嬉しそうに微笑んでいた。
そんな事も気にならないほど俺は彼女の胸の虜になっていた。
薄いピンク色の突起物を軽く指で摘んでみる。

「んくっ!そこ…弱い…の。」
「そうか…。」

俺は押し倒されている仕返しも込めて彼女の乳首を強く捻った。

「ふわぁっ!…だめ、乳首だめ〜!」

捻るたびに彼女の身体は跳ね上がりぶるぶると震えた、彼女の顔は淫靡に満ち、駄目といいながらも喜んでいるようだ。
俺は止めを刺すかのように彼女の胸へ顔を埋め、むしゃぶりついた。

「…ひっ!駄目…ん、ん〜っ!」

乳首を強く吸い上げた瞬間、彼女の身体がびくんと跳ね、絶頂した。
堪らず彼女は横に倒れこむ。

「はぁ…はぁ…ちから、はいんにゃい…。」

まるで身体がとろけてしまっている様な快楽に彼女は浸っていた。
ズボンからは愛液が滲み出ている。

「…はぁ、はぁ。」

俺は興奮が未だ収まらず、股間はより膨らみを増していた。
横たわる彼女を見た俺はいつの間にか彼女のズボンを下ろしていた。

「え…待って、まだイッた、ばっか…」

彼女の声はもう俺には届かない。
俺はこれから性に忠実な獣になってしまう。
駄目だと思ってももう止まりはしない。
そうして俺の肉棒は彼女の蜜壷へと入っていった…。



「はぅ…気持ちいいのっ…もっと…あんっ。」

とろんとした目で俺と身体を重ねる彼女。
彼女の小さな蜜壷は俺の肉棒をぱくりと咥えている。
動かすたびに愛液が溢れ、いやらしい水音を放つ。

彼女は俺の虜と化しているようだ、同時に俺も彼女…いや、彼女達の為の獣と化している。

「…う、ああ。」

絶頂の時を迎えようとして俺は身体を仰け反ったが彼女はそれを許さず、俺の身体を足で
挟み込み拘束した。

「だめ、…ぎゅっとしてくれなきゃ、あん…やだ。」

抱き寄せられたとき彼女の大きな胸が柔らかく当たり、その感触がきっかけになり俺は射精した。

「くっ、ああ!」
「ふわぁっ!入ってくる…入ってきてる〜。」

彼女と俺は抱き寄せながら肩で息し共に余韻を味わった。
その時初めて俺は正気を取り戻した。



「リーダー?」
「リーダーじゃなくて、プリンって呼んで♪」
「じゃあ…プリン。」
「なぁに?お兄ちゃん。」
「ぶっ!」

しばらくして、俺は彼女に(恒例となりつつある)事情を説明し自由にしてくれないかと頼んだ所、なんと妻にしてくれるならという条件で承諾してくれた。
こちらとしてもかなりありがたいので願ってもないことだったが問題はその俺の呼び方だった。

「なんで…お兄ちゃんなんだ?」
「だって〜、わたしこんな成りだし、お兄ちゃんって昔から欲しかったんだも〜ん。」
「…仕方ないか、でも何かくすぐったい感じがするが。」
「え〜?本当は嬉しいくせに〜?」
「うるせぇ。」
「うにゅ。」

腹いせにプリンの顔を小突いてやると彼女は「えへ〜」と笑った。
喋りからしてどことなくスラミーに似ている。
そういえば皆元気にしているだろうか…。

「最後に確認しておくが本当にいいんだな?」
「なにが〜?」
「だから、俺の妻になって魔王のところに送る事をだ。」
「いいよ〜、わたしがいなくても皆やっていけると思うし、それにお嫁さんになるのはわたしのお願いでしょ?」
「それはそうだが…。」
「そんなことより〜、はやく送って?さみしくなるとやだから。」
「ああ、分かった…。」

俺はケースを取り出し、札を一枚取りヴェンを念じた。
しばらくして彼女から光が溢れだしてくる。
光に包まれながら彼女が口を開いた。

「大丈夫だよ?」
「…え?」

急に彼女とは思えないほどに真剣な口調がプリンから発せられた。
光が強くなる中、彼女は言葉を続けた。

「わたし達が貴方に好意を寄せるのは本能や魔王の命なんかじゃない。貴方に好意を寄せるのは…。」

そうして光が弾け、プリンは向こうへ行った。
俺は彼女が微笑みながら残した言葉を考えていた。

『貴方に好意を寄せるのは…貴方が素敵な人だから。』

「…素敵、ね。」

心を読まれた気がして少し恥ずかしく思ったが不思議と悪い気はしない。
俺と交わった彼女達は決まって俺を夫にしたいと言った。
俺からも頼んではいたが彼女達は嫌な顔を一つせず承諾してくれたからか、逆に不安になっていたのかもしれない。
俺もなんだかんだいいながら彼女達に愛されたいと思ってしまっているんだろう。
いつまでも未練たらしくしてないでそろそろ慣れないとな…。

そう思ってると後ろで物音がした。

「…。」
「ルカ?」

驚いて振り向くとそこにはルカが立っていた。
だが様子がおかしい、なぜこん棒を構えている?
俺が疑問に思っているとその答えを彼女が教えてくれた、殺気を込めた言葉で。

「リーダーを…どこへやったぁ?!」

そういって彼女は俺に襲い掛かってきた。
11/08/21 18:21更新 / ひげ親父
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■作者メッセージ
大変長らくお待たせいたしました、申し訳ないです。
少し仕事や私情で忙しくなりつつあるので少し更新率が落ちると思います。
でも何とか最後まで続けたいので「お、いつの間にか更新してる。」程度にお待ちいただけるととても助かります。

ここまで見ていただいてありがとうございます!

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