連載小説
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それぞれの日常
―神奈川 チューニングショップ「Silent Sport」―

優「おーい!いるかー!」

優がレジカウンターの前で叫ぶ
すると、カウンターの奥から一つ目の女性が出てきた

?「ん…。」
優「お、いたいた。どうだ?俺のRは?」
?「こっち…。」

彼女はカウンターの奥へと再び入って行った
優もそのあとに続く
そして、ついて行った先には
大きな布に覆われた一台の車があった

?「…今見せる。」

彼女は、その布に手をかけ
一気に引いた

優「おぉ…!」

そこには、完全に生まれ変わったR34の姿があった

?「…とりあえず、注文された分は全部やっておいた…。あと…、注文には無かったけど…、エンジンのチューンにあわせてメーターの辺りも少し新調しておいた…。これはサービス…。」
優「まじで?ありがとう!」
?「お得意様だから…。」

彼女の名はシエラ
この「Silent Sport」を営むサイクロプスのチューナーだ
彼女はチューナーのウデは確かなのだが
例外を含め、気に入った相手にしか対応せず
そこらの走り屋気取りが来たところで
必ず門前払いだ
そのおかげでいつも経営は赤字で生活には四苦八苦しているようだ
ちなみに既婚で旦那さんと二人でこの店を切り盛りしている

シエラ「注文内容は…、まずエンジンのオーバーホール。ブローしてしまったタービンを新品に換装…。各部消耗パーツの新品交換。出力と耐久性、耐熱アップの為に吸気、排気の各パーツを換装。足回りもセッティングを見直ししてブレーキローター、パッドも新品のモノに交換。エアロもC-W●STのモノに変更…、他にも…うんたらかんたら〜(長いので割愛)…。」

シエラが計算機を打ちながら注文内容を確認していく

シエラ「…で大丈夫?」
優「OK、頼んだやつはそれで大丈夫だ。」
シエラ「タービンはH●SのT04Zでよかった…?」
優「ああ」
シエラ「支払い…、これ…。」

シエラが計算機を優に渡す

優「わかった。いつも通りカードで。」
シエラ「全部終わってるから…支払い済ませたら…、乗ってっても構わないから。」
優「サンキュー」

優とシエラはレジカウンターに戻り
支払いを済ませると
早速優は愛車に乗り込み
キーを捻った

キュルキュルキュル…

ヴォォォォォン!!

RB26特有の野太いサウンドが響いた

優「ひょー!最高!!」
シエラ「何かあったらまた来て…。」
優「そういや旦那さんは?」
シエラ「今は…、出かけてる…。」
優「そうか、とりあえずよろしく伝えといて。んじゃ!ありがとな!!」
シエラ「ありがとうございました…!」

優は街道へとアクセルを吹かし、シエラはそのテールに向かって挨拶する
そしてRB26の音はだんだんと遠くへと離れていった――。


―夜―

―神奈川 七曲がり―


隆文「次の遠征、いろは坂だって?」
渉「ああ。言ってなかったか?」

七曲がりの路肩に、ワークスとインプレッサの二台を止めて
二人の男が話している

隆文「初耳だぜ。早く言ってくれよ。」
渉「すまんな、なんせ最近決まったことだからさ。」
隆文「んで、誰が走んのよ?」
渉「俺とセルフィだ。第一いろは坂の連続ヘアピンはインプみたいなラリー車の方が都合がいい。」
隆文「ふーん、つってもいろはみてーな低速ヘアピンだったら俺のワークスでもイケると思うが?」
渉「最後のヘアピンが終わる辺りでちょっと長めのストレートがあるだろ。お前のワークスじゃそこは少しキツイ。それに相手の車もまだわからないからな。」
隆文「そうかい、んじゃ次の遠征の予定はちゃんと俺が走れるようにセッティングしてくれよ。」
渉「はいはい…。お、そうだ。知り合いから聞いたんだけど、最近なんか妙な奴等が峠に出没してるらしい。」
隆文「妙なヤツラ?」
渉「ああ…。全員魔物で、走り屋の男ばかりを狙うレイプ魔集団らしい。走り屋の間では犯し屋って呼ばれているそうだ。」

ここ最近、走り屋の男ばかりを狙う魔物だけで構成された集団の逆レイプ行為が各地の峠で頻繁に起きていた
元々、潰し屋などの行為は各地でちらほらと起きていたが
ここまで頻繁で悪質なものは例を見なかった

隆文「潰し屋ならぬ犯し屋ってか。」
渉「どうにも潰し屋に似てるらしいからな、やり口が。しかも相手が既婚でも平気で襲うそうだ。」
隆文「一応チームのメンバーにも知らせて警戒させるか。」
渉「ああ、そうしたほうがいいだろう。」
隆文「てかさ、さっき一緒に走ってて思ったんだけどお前の車、パンパンうるさくね?」
渉「今度のいろは対策で遠征限定でミスファイアリングシステムを導入してみたんだ。」
隆文「だからあんなにアフターファイアが出てたのか。てか市販のインプでミスファイアなんて出来るのか?」
渉「セッティングしたのはセルフィだから詳しくは知らないけど、確かROMをいじくってアクセルオフの時に燃料を噴射して点火だけ止めるらしいんだ。んで爆発しそこなったガスが熱くなったエキマニに流れ込んでボン!!その爆破の勢いでタービンを回すらしい。」
隆文「ほぉ〜、んで、アクセルしばらく抜いたあとの加速でもターボラグが起きにくくなるってわけか。でもかなりパーツの消耗が激しいだろうに。特にエキマニからマフラーにかけての排気管は。」
渉「だから遠征限定なんだよ。ROMいじっただけでできる事じゃないしな。まずROM自体もそこまで制御できるようなやつに変えなきゃならないし、あとはバイパス管とかいろいろやらなくちゃいけない。」
隆文「よくそこまで出来るもんだなぁ〜、お前の相方は〜。俺の相方ときたらぁ、ずっっっと!!SEXの事ばっかだもんなぁ!!」
渉「かわんねーよ、俺んとこも。しかたねーじゃん魔物だもの。」
隆文「限度があるわ!!限度が!!この間なんて運転しながらヤらされたんだぞ!?」
渉「チャレンジャーだな。」
隆文「まったく!!」

箱根の夜はさらに更けていく―――。

14/04/04 02:39更新 / 稲荷の伴侶
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■作者メッセージ
どうも、稲荷の伴侶です^^

いやー、今回も短い><
イントネーションが湧かないっす><
まぁがんばっていきますm(_ _)m

余談ですが、聖もんむすフェスティバルとマジ恋A-3、予約してしまいました^^
28日が待ち遠しいです><


次回

恐怖の交流戦

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