読切小説
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ドラゴンソードキーホルダー
『ドラゴン』それは圧倒的な力の象徴であり、善なるものに仇なす反逆の象徴。
その姿に憧れを抱き、格好良いからとそれを模したものを選ぶのは一部の男性なら通った道だと思う。
かく言う俺もその類だった。だから、理解はできる……できるのだが。

「お前それで何個目だ!!そのキーホルダー!!」

俺は自身の幼馴染である天竜 伊風美(てんりゅう いふみ)に思わず声をかけた。
邪悪な竜の眷属であるドラゴニュートである彼女の漆黒の鱗に包まれた手の中にあるのは剣に巻き付いた竜の装飾が施された金色に輝くキーホルダー。
そう、おみやげ屋でよく売っているあれである。

「全くドラゴンの魅力が分かんないかな?ほら結構有名なアニメでも『スゴイぞー!カッコいいぞー!』とか『強靭!無敵!最強!』とか言ってるじゃん。格好いいものは何個あっても困らないんだよ!!」
「ドラゴンの魅力は分かる、でもな旅行先で毎回それを買うのが分かんねぇんだよ。そのキーホルダーはどこにでも売ってるだろ!!それとどちらかと言えばお前が崇めるドラゴンってそのセリフ言ったやつに三下扱いされてたキャラの切り札の方が近いだろ」

確かに伊風美と一緒にあのキーホルダーに目を輝かせていた時期は俺にもあった、小学校低学年までだけど。
逆に言えば伊風美の精神年齢はそこから成長していないのではないかとも思う。

「……ほ、ほら、おみやげって買うものよりも買った時の思い出が大事な物だし」
「全く同じもの買って区別がつくならな」
「うぐっでっでもボクだって覚えてるし、それぞれ年季の入り方が違うからわかるし……たぶん」
「絶対分かってないやつのセリフじゃねぇかそれ」
「そうだ!!キミがちゃんとご当地のおみやげ買ってるからそれを見れば思い出せるじゃん!!」
「えっそこを俺を頼りにするのかよ」
「だからボクはこの格好いいキーホルダーを買ってもいい、これは天才の発想だな」
「いや、その理屈はおかしいだろ」
「だってボク達恋人関係でしょ?だったら、お互いの物は共有するんだから合ってるよ」

俺初デートのプレゼントこれになるのかよ。
っていうかデートのプレゼント毎回これになりそうなんだけど。

「その理屈が通るんだったらもうちょい別のタイプのドラゴンのキーホルダーにしてくれ」
「むふー、ドラゴンの力に酔いしれるがよい。あっこれ巻き付いてるのが刀だよ珍しくない?」
「それもたまに見るやつだからな」
「もういっその事ご当地仕様のやつとか作ればいいのに」
「お前と小学生ぐらいにしか需要無いぞそれ」
「いや絶対もっと需要あるって、ボクが保証するもん!!」

そう言って尻尾を俺の腕に絡める伊風美の影を見るとなんとなく例のキーホルダーに似てるなと思うのであった。
24/03/09 22:03更新 / アンノウン

■作者メッセージ
伊風美ちゃんはドラゴン裁縫箱やドラゴンエプロンも持ってます。

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