影をとるか影をとるか、それが問題だ %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d %02 c=15d

影の病

 私が彼を始めて意識するようになったのは、血溜りの中に佇む彼を見てからだった。


「キャアアアアアアアアアア!!」
 女の子の悲鳴が昼下がりの教室にまで聞こえてきた。他のクラスメイト達は皆、何が起きたのか見ようとこぞって教室から出て行った。
 私は、興味が無かったし、どうせ嫌なものだろうと思ったので行きたくなかった。でも、そんな気持ちをお構いなしに他の娘達は誘ってきた。
「ねぇねぇ!行ってみましょうよ!」

「私は別に・・・。」

「いいじゃん?行こうよ!」
 私は、その頃から何処から付いたのか知らない品行方正なイメージに悩まされていた。普段から品行方正、清廉潔白を求められているお嬢様達のグループに組み込まれてしまったからだ。
 私の家は、そこそこ裕福なだけでお金持ちじゃない。彼女達の仲間に入るわけ無いのに彼女達は、まるで私がリーダーのように祭り上げた。
 自分はただの御輿で、ただの隠れ蓑にされていることぐらいは解かった。でも、だからと言って、抜けることもできなかった。怖かったから。
 だからその時も、嫌なのに無理やり合わせて見に行った。

 どうやら、騒ぎの原因は、喧嘩のようだった。一人はクラスメイト、相手は学校でも時々名前が聞こえてくるぐらいの不良グループだった。しかし、喧嘩そのものは、すでに終わっているのか怒声は聞こえなかった。その代わり、ざわざわと落ち着きの無い観衆の声が聞こえてきた。
「おい、やべぇんじゃねぇか?」「誰か先生呼んだのか?」「あいつ、あんなやつだったのか。」
 そんな不安を煽るような声が聞こえる。嫌だなぁ。見たくないなぁ。
「ちょっと、狭いわよ!どいて!」
 取り巻きの一人が頼んでも無いのに前を空ける。その性で喧嘩の現場が目の前に広がった。

 一言で言うなら凄惨と言う言葉が実によく似合う。

 一人はへたり込み、ボトボトとあふれ出す鼻血を必死で抑えようと両手で鼻を覆っていた。
 もう一人は涙を流しながら同じようにへたり込んでいたが、どう見ても両腕に間接が一箇所ずつ多い。
 もう一人はうつ伏せに倒れ、ぴくりとも動こうとしない。
 もう一人はお腹を抱えるように蹲っているが、彼の目の前に広がる嘔吐物を見れば何をされたかは一目で解かった。

「ひっ!」
 最初に見に行こうと誘ったお嬢様はあわてて私の後ろに隠れた。そんなに嫌なら最初から見に来なければいいのに。
 しかし、その時、私は別の人を見ていた。
 その人は、額を中心に顔と前髪を真っ赤な血で染め、口の端を吊り上げるような笑みを見せながら四人を見下ろしていた。
 本当は血なんて見たくも無いけど、その人には何故かとてもよく似合っている様に見えた。
 何故だろう?恐怖心よりもゾクゾクする感覚が私の心を掴んで放さない。
 先生に連れられて、その人が見えなくなってしまってもゾクゾクする感覚がしばらく抜けなかった。

 それがはじめて、山田狂祐を知った瞬間。


 その日から何度か男の人から告白を受けたけど、どうしても彼のことが頭から離れず、皆お断りしてきた。いつの間にか、品行方正の上にプライドが高く、冷徹、媚びてる女が嫌いなんてイメージが上書きされた。それでも私は自分を演じきった。
 自分の影が怖かった。







 しばらく経って、彼からの手紙が下駄箱に入っていた。嬉しかった。余りに嬉し過ぎて回りに取り巻きの娘達が居るのに手紙を開いてしまった。
「ちょっと!それラブレターじゃない!?」「すごーい!本当にこんな事する人いるんだ!」
「誰誰!?送り主は?」
「山田狂祐?」「誰?」
「ほら!この前の喧嘩の!うぇ、あんなのに目を付けられるなんて、かわいそー。」

「そうだ、いい考えがあるわ。伊藤さんも嫌でしょ?あんな、凶暴な人。絶対に諦めさせれるから(ニヤニヤ」

 計画を聞いて、私はとてもじゃないけど同意できなかった。私自身、ラブレターが嬉しかったし、何より彼を悲しませたくなかったから。でも言えなかった。皆、彼を凶悪な人だと思ってる。そんな人が好きだなんて言ったら今度は自分が頭のおかしい人間と思われる。
 怖かった。でも、同時に彼を怒らせて見たかった。
 またゾクゾクとした感覚を味わえるかと思ったから。


「返事は、お・こ・と・わ・り♪」
「あんたみたいな乱暴なやつに告白されて私が受けると思ったの?馬鹿じゃない?折角、恋の叶う樹にまでお祈りしたのにねぇ〜♪」

「そう・・・か・・・」

 えっ?それだけ?なんで?怒ってよ!怒鳴り散らしてよ!こんなに酷いこと言ってるのに何で怒らないの!?こんなの・・・嫌だよ・・・。

「うまくいきましたね。」「見てよ。あの情けない顔w」「彼の友達も下品な人ね。似たもの同士だわ。」
「そう・・・ね・・・」
 私は嫌な気分でいっぱいになってそれどころではない。何であんなこと言っちゃったんだろ・・・。
「それにしても、よくあいつが『恋の叶う樹』にまでお祈りしてるってわかったわね?」
「えっ?そ、それは、昨日、歩いてくのを偶然見たから。もしかしてと思って・・・。」
 何で私、彼がお祈りに言ったの知ってたんだろ?確実に行ってる、て確信はあるのに記憶が無い。何だろ、変な感じがする。









「お、おはよう。」
「!!??」

 挨拶された。普通に挨拶された。どうして?昨日、あんな仕打ちをしたのに何で平気な顔してるの?
 私は、彼の顔を見てることが辛くなって顔を背けた。切ないよ・・・。
 周りの娘の話も聞こえない。私は・・・・・・・嫌な女だ。


 彼の寝顔が眩しい。楽しい夢を見てるみたいに健やかな顔をしてる。あの返り血に染まった顔と同じ人だとは思えない。ずっと見ていたかったのに、また彼女達が邪魔する。
「間抜けな顔して寝てるわね。いいわね、庶民は。」「どうせ、寝ることと喧嘩くらいしか頭に無いのよ。」「言えてるぅーw」
 私は、彼女達に引っ張られるように下校した。校門をくぐった時、右手に叩かれたような痛みが走った。
「痛っ!」
「?どうかしたの?」
「う、ううん!何でもない。ちょっと虫に噛まれただけ。」
「?そう・・・。」
 そっと右手を見ると、手で叩かれたような後があり、少し赤くなってる。あの日から何かおかしい。でも、嫌な気分がしない。変なの。



 帰ってからも、何だか落ち着かない。右手がジンジンする。痛くは無いが、だんだんと広がっている気がする。
 ベッドに横たわり右手をかざしていると急に息苦しくなった。
「ぐっ!!か、はっ!んぐぅぅ!」
 息が、できない!でも、何、だか・・・頭、が・・・・・・ジ・・・ンジン、する。
 息苦しさはしばらく続き、最初と同じように唐突に止んだ。
「はぁはぁはぁはぁ・・・」
 死ぬかと思った。でも、やっぱり嫌な気分はしない。こんなのおかしい。私、頭が変になっちゃったのかな?
 すると今度は、下腹部が熱くなり始めた。
「あ、熱い・・・。熱いよ。はぁはぁ。」
 おかしな感覚は夜まで続き、その間中、ベッドの上で身もだえし続ける羽目になった。








 朝からぼーっとする。授業にも身が入らない。昨日の感覚をまだ覚えている性だろう、身体が熱い。
 ふらふらとするのでいつもの取り巻きには保健室に行くと言い、一人で校内を彷徨っていた。
 すると彼に声をかけられた。ハンカチを落としてないかですって?
 彼が見せてくれたハンカチは確かに私が持っているものに柄が似ている。ふらふらしてて落としちゃったかな?
「?あれ?おかしいなぁ。」
 ポケットには確かに自分のハンカチがある。まったくと言っていいほど同じ柄だったけど、別に珍しいものでもないので別の人のものだろう。
「それ、私のじゃないみたい。」
「そ、そうか、解かった。いきなり呼び止めて悪かった。」
 彼は明らかにがっかりした表情を見せた。
 何でだろう?私、悪いことしたかな・・・。
 そこまで、考えて、私は、ハッ!っと気づいた。今なら、お嬢様達もいない。見る限り、私と彼だけ。
 謝らなくちゃ!嫌われたくない。もう遅いかもしれないけど嫌われたくなかった。

「あ、あの!!」
「んあ!?な、何?」
「こ、この前は、その、あんなことしてごめんなさい!!」
「あんなこと?・・・・・・ああ、あれか。いやもう気にしてないから。女の子たちに無理やりやらされたんだろ?」
「え?どうしてそれを?」
「え、あ、いや、なんとなくそんな感じがしたから、かな?」
「それで、その、今度、あの・・・。」

 私、何を言おうとしてるの?でも今しかチャンスが無いし・・・。

「そ、その今度、お詫びに食事でも、、、 「!!ごめん、ちょっと用事を思い出したから、それじゃ!」 ふぇ!?ち、ちょっと!!」

 行っちゃった。そうだよね。自分をふった相手の話なんて、普通、聞いてくれないよね。
 私は、しばらくその場から動けず、誰も居ない廊下で一人メソメソしていた。
 何だか、本当に頭が熱っぽくなってきた。早く保健室に行こ。
 そう思い、歩き出すと、窓の外に二人分の人影が見えた。普段なら気にも留めないが、見えた顔が彼のものだと気づき慌てて窓に張り付いた。

 声までは聞こえない。でも何か女の子と話してる。そっか、私なんかよりいい娘、見つけたんだ。
 ますます気が滅入ってきた。見なければよかった。
 女の子は彼の手を引いて何処かに行こうとしてる。その時、女の子が一瞬だけこちらと目が合った。

 それは紛れも無い自分の顔だった。自分が自分にニヤリと笑いかけている。

 二人はすぐに見えなくなったが、何故だか何処に行くのかはすぐに解かった。身体が熱い。
 考える前に身体が走り、二人の後をつけた。身体が熱い。
 千段階段を二人が上がっていく。社に入る気だ。何故解かったのか何てもうどうでもいい。身体が熱い。
 二人が社に入るのを見計らい、扉に近づいた。ちょうどよく隙間が開いており、中の様子が窺い知れた。


 身体が・・・熱い・・・。


 私が『狂くん』と話をしている。
 ドッペルゲンガー?何それ?いや、そんなことはどうでもいい。あ、抱きついた。何するつもりだろ?いや、それも解かっている。
 『私は』キスをした。狂くんがして欲しそうにしてたから。
 『私は』制服を脱いで狂くんを誘った。でもすぐにぼろぼろに引き裂かれた制服に着なおした。狂くんが何だかがっかりした顔をしたから。
 
 狂くんが私の胸に噛み付き、握りつぶすように揉んできた。

 痛い。

 見てるこっちも痛い。でも、何だか胸がジンジンしてきた。気持ちいい。
「はぁはぁ、あうんんんん!!」
 あ、挿入れられt、
「んぐううううううううう!?あんんんんんん!!」
 必死に声を押し殺す。熱い。自分の性器が熱い。何かが自分の股を引き裂いてる。でも、触ってみても何も無い。あえて言うならびちゃびちゃに濡れてることくらい。
「んぎい!ぐいい、くううううう!」
 歯を立てられてる。痛い、痛いよ。でも、ジンジンが止まらない。
 あ、手がお尻に伸びt
「うあ!?かはっ!あぎぃ!」
 お尻に何か刺さってる!?
 さっと手をやってもやはり何も無い。でも、感覚はある。熱い。ぐにぐにされてる。
 私はとうとう立っていられなくなりその場でペタリと座った。
 前も後ろも何かが入っていて、激しく動いている感覚だけがあり、胸のジンジンもいっそう強くなる。
「だ、ダメ・・・///何か来る!来ちゃうよ!!」
 狂くんが一際大きく腰を突き動かすと、同じタイミングで私の子宮にも圧力がかかった。
「んぎいいいいいいいいいいいいい!!」
 でも、その後来る筈の感覚が来なかった。

 な、何で!?だって、あの娘は・・・

 狂くんに組み敷かれている私の性器からは白いものが溢れ出ている。なのに自分にはその感覚が無い。
 狂くんが熱くて美味しそうなものを私から引き抜く感覚がする。それを口に入れられる感覚もする。
 なのに期待してた味がしない!!

「嫌だ・・・。切ないよ・・・。狂くん、狂くぅん・・・。」

 私は扉に手をかけた。自分の取り分を貰いに。私が私になるために。




                 「はぁはぁ・・・、狂くん・・・。」

戻る / 目次 / 次へ


親「ありのまま起こった事を話すぜ。「伊藤カレンと消えてった友達が心配になり後をつけたら、何故かもう一人伊藤カレンが居て、俺が自分の彼女に犯されていた。」何を言ってるのかわからねーと思うが俺もこの状況が理解できない。頭がどうにかなりそうだ。サバトだとか浮気現場目撃だとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっとエロティックなものの片鱗を味わってるぜ・・・。」
サ「あああん!もっと!もっと突いてぇ!尻尾もってずんずんしてぇ(はぁと」




 ハイ!四話目ッス!いつもより短めですが話の流れからしてここで切るのが一番よかったので平にご容赦を。
 しかし、魔物娘100体突破ですか、いいですなぁ。これからまだまだ増えるとなると、本格的に魔物娘図鑑エロゲが作れるのではないかと、いや、作って欲しいと思いますなぁ。もんむすクエストはプレイ中ですが、ポケッ○・○○スター見たいに図鑑を完成させつつ魅了した魔物娘でバトルと言うのも面白そうですな。

 とまあ、長くなりましたが次回で完結です。今しばらくお付き合いください。

11/04/24 14:37 特車2課

目次 / 感想 / 投票 / RSS / DL

top

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33