戻る / 目次 / 次へ

001.幼いドラゴンの日常

私は今日もお留守番。
外に出たいと言っても中々外に出してくれない。
仕方ないから、色んな人を呼んだ。

剣が得意な人、槍が得意な人、斧が得意な人、格闘が得意な人。
魔法が得意な人、召喚が得意な人、えっちが得意な人は……やめといた。
沢山の人から沢山のことを教えてもらう。
今よりもっと強くなるために。

私にはもう。
それしか残っていないから。




魔法は難しいけど、知っていれば対処がしやすい。
使えたらいいなと思うけど。
やっぱりうまく使えない。

「こんな所にいらしていたのですか」
「うわ、これ全部魔法の本?」
部屋に入ってきたのはエルフとワーウルフ。
弓の先生と格闘の先生。

「そろそろ弓の時間ですよ」
「あと、ご飯の時間だってさ」
私は本を閉じる。
「ちなみに、それって何の本?」
魔物の魔力と雷の魔法の関係についてのお話。

「うわ、ややこしそう」
そのお話の序章。
「え? まさか、その本の塔って」
全部そのお話の本。
そう伝えると、ワーウルフが頭を抱えた。


巣の中は土壁で出来ている。
ドラゴン以外が住むようになってから、床も壁も天井も綺麗になった。
魔法って凄い。

「それにしても。色んな種族が増えましたね」
弓先生のエルフが通り過ぎた人を見て言った。
今の人の種族は、確かバブルスライム。
お掃除の途中なのかな。

色んな人が増えてよかった事。
転送陣を幾つか巣につけたら、色んな人が来るようになった。
美味しい食べ物も増えた。
皆が来て賑やかになった。

「我らの城に汚らしい染みをつけたな? アンデッドの分際で」
「あら? 羽の生えたトカゲにワインの良さを教えて差し上げようとしたのよ」
ドラゴンとヴァンパイアが喧嘩をしてる。

「あ」
「なに、どうかし」
ケンカは駄目。

「は、はいっ」
「……分かりましたわ」
ん、よろしい。

「し、しかし! 我らの城に染みをつけたのですよ!」
スライム系の人が染みも残さず飲んでくれる。
「しかしですね!」
ドラゴンの巣なんだから、多少汚れていても気にしない。

「……わかりました」
「物分りの良い方で助かりますわ」
貴方も、ワインを零さないように気をつけて。
「ええ。重々承知しておりますわ」


ドラゴンの巣に色んな人が増えたら、ケンカも増えた。
人が増えたら争いの種も増える。
それを消して回るのが私の仕事。
難しい事は他の人がしてくれてる。

今日も弓を使って勉強して、ワーウルフ流の格闘を勉強。
明日はインキュバスになった元冒険者の人たちがいろんな戦い方を教えてくれるみたい。
人間の方が色々な戦い方をするから、勉強になる。
魔物は魔物で、種族特有の戦い方が面白い。

私は毎日楽しく過ごしている。
朝起きてから寝るまでずっと何かをしている。
難しい事は分からないけど、それも知りたいからお話しているところによく顔を出す。
魔法を勉強しながら、じーっと話を聞いてる。
魔法の勉強は難しいので、また後で魔女の誰かに聞いてこよう。

「イングラム様は一週間後に来られるそうです」
イングラム。
雷が得意なハーピー。
他の魔物たちに比べるとちょっと強い、私の遊び相手。
1週間後までに雷対策をしておかないと。




夜になった。
性魔術の勉強は夜にするのがいいって聞いた。
今日は一緒に寝る人がいないから試せないけど。
えっちの勉強も大事だからちゃんと読まないといけない。

そうして私の短い1日が終わる。
明日は何をしようかな。

戻る / 目次 / 次へ

13/07/08 22:38 るーじ

top / 感想 / 投票 / RSS / DL

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33