連載小説
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2,「影少女と初めての街part1」
時刻は夕日が沈む夕方の午後六時ごろ。
大きな門の前にはバイクが一台止まっている。その門では十代と思われる少女と鎧を着た門番が何やら会話をしている模様。

「…では、こちらが入門書になりますので記入してください」
「わかりました、ここにサインを書いたら良いんですね?」
「はい、そちらにお名前を書いていただけたら大丈夫です」

門番が目の前のドッペルゲンガーのユリに入門書とペンを差し出し、それをユリは受け取り入門書に名前を記入してゆく。
入門書を門番に渡したユリはバイクのスタンドを蹴りあげ、バイクに跨る。

「それでは、どうぞお入りください」

門番が門を開けて頭を下げたと同時にユリも頭を下げバイクで門を抜けてゆく。
彼女の目の前に広がるのは活気にあふれた商店街と楽しそうに会話をする人と魔物たちの姿、彼女は内心「アイツと来たら楽しめたかな?」と思っていると見る見るうちに顔が紅潮してゆくのが分かったのだろう首を横に振ってからバイクを走らせた。
先ほど門番から貰った地図を見つつバイクを端に寄せ、周囲を見渡す。
彼女はどうやら眠れる場所を探すために宿を見て回るのだ。
これが彼女が街や村に訪れる度に行うものだ、これは彼女の師たちに教わったこと。

「此処で良いかな?」

彼女は地図を指さし、指定した場所までの道を探す。
ユリは近くを歩いている街の住民たちに場所を聞きながら進んでゆくと目の前に白くて立派な宿を見つけて、入り口付近にある路肩にバイクを止め、防犯の為に影の中にバイクを沈める。
これは、彼女がドッペルゲンガーで『影魔術(シャドウ)』を仕えるからできる業だ。
ユリは宿の扉を肺ってすぐのところにある受付のカウンターに向かった。

「いらっしゃいませ、宿をお使いですか?」
「はい、お願いできますか?」
「えぇ、構いません。そしたら、何日間活用するかと名前をこちらに記入してください」

ユリは受付嬢のマタンゴから紙と羽ペンを受け取り、慣れない羽ペンで紙に利用する日にちと名前を書いてゆく。
書き終わった紙を羽ペンと一緒に渡して指定された部屋の鍵を受け取った。

「0721って…―」

ユリは溜息を漏らし、指定された部屋の方に足を運んだ。
宿の二階に向かい、階段側から二つ目の部屋の前が今回ユリが使用する部屋だ。
『0721』と書かれている為、彼女は鍵を開けて中に入る。
それから彼女は部屋の中を見てゆくことにした。
扉を開けた所には、上着をかけるためのハンガーが壁にかけられており、少し進めばトイレがあり、その逆にはバスルームがあった。
部屋の奥にはテーブルとイス、彼女にとっては大きなベットが置かれている。
彼女は真っ先に向かったのはバスルームだ。
旅で汗をかいた体を綺麗にするためだ。そこは魔物でも女性なので気にかけていることだったようだ。

「……ちょっと一人じゃあ、広すぎかもね〜?」

鼻歌交じりに黒いワンピースを脱いでそれを影に居れる。もちろん、水色の下着たちも同じように影に居れた。
一糸纏わぬ姿となったユリはシャワールームに入り、シャワーから水を出して頭から全体にかけてお湯を浴びてゆく。
一度湯を止めて、最初から置かれていたシャンプーを使って髪を洗ってゆき、その後にリンスを使い、最後にトリートメントをした。
髪についた泡をシャワーのお湯で洗い流したのちに体を洗ってゆく。
まずは初めに背中を影を使って洗ってゆき、手の届く場所を自分で洗ってゆく。
こういうのでは、結構便利で彼女にとってはなんも変哲もないことだ。
そして、シャワーから出て、体についている水滴をバスタオルで拭いてゆき、寝間着様に持ってきた(とってきた)ユリの好きな人のパジャマを着てからベットに座る。
彼女が着ているパジャマは彼女の脚先と手先しか見えないほど大きいためにユリが前かがみになれば、下着は丸見えで少し膨らんだ胸がブラをつけることで形が分かる程度だ。
これは、どこぞのロリコン集団にとってはご褒美だと思われる。

「これ、持って(とって)来ちゃったけど……カイ怒ってるかな?怒らる前に謝らなくちゃ。そうだ、カイに怒られる前に私から起こってみよう♪」

彼女は『カイ』と言う青年を思い出しながらクスクスと笑いつつ、影から抱き枕を取り出した。
こういった抱き枕や衣服はバイクの荷台に伸したりするため、影を使って取り出すのは彼女にとってはメンドクサイのだ。

「なんか、カイのことを思い出したら子宮が痒くなってきちゃった……、カイに会ったら真っ先に運動(性的な意味で)に協力してもらおう」

そこはやはり魔物、好きな異性のことを考えると性的なことがぽんぽん浮かんでくるのだ。
はたしてこんな彼女に『歩く銃器』という異名を付けたのはあながち間違いなのではないだろうか?
彼女はカイのことを思いながらベットに横たわり息を乱しながら右手を股の方に伸ばそうとした時だった。
扉のほうから二回ノックをする音が聞こえた。

『ユリさん、お食事の用意が出来ましたので一回の食堂にまでお越しになってください』
「は、はいッ、わかりましたッ!!」

女性の声が聞こえたと同時にユリはすぐさまに飛び起きてから返事をした。
彼女はパジャマから黒いワイシャツとデニムのショートパンツ、黒いニーソックスを履き、茶色の膝まである軍靴を履いて部屋を出ていった。

――――――

場所は変わって大きな食堂の前で彼女は目を輝かせていた。
和洋中とある三つのカウンター、女性陣には嬉しいスウィーツのカウンター、ドリンクポットが並ぶドリンクコーナー、バーテンダーがカクテルやワインを注ぐバーカウンターなどもあった。

「す、すごい……」
「お気に召されましたかな?」
「……ひゃわッ!?」

声がした方を向いてジャンプをし、影からショットガンを取り出し構えた。
彼女に声をかけた細目の稲荷がそこに居た。

「おやおや、そのような物騒なものをしまってお話をいたしませんか?」
「は、はい、申し訳ありません」

ユリはショットガンを影に直してから目の前の稲荷に頭を下げた。
稲荷は微笑みながらユリの方を見た。

「いえいえ、旅人となればそのような警戒をする方々も少なくはありませんので御気に為さらずに」
「は、はぁ…―」
「おやおや、申し遅れました。私、この宿を経営する稲荷の『ミズナ』と申します」
「はじめまして、ユリと言います」
「はい、宜しくお願いします」

こうして、ユリとミズナはお互いに自己紹介をして席に着いた。
ミズナは、ユリの方を見てから首を傾げた。

「そんなに緊張しなくても構わないのに……」
「あ、えへへッ、久しぶりにこうやってゆっくりと会話をするのが最近は無かったものでして」
「でしたら、ユリちゃんの旅の話を聞きたいのですが?」
「はい、食べながらで構いませんか?」
「はい、構いませんよ」

こうして、彼女たちは席を立って和食カウンターの方に向かった。
13/10/17 16:51更新 / オガちゃん
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■作者メッセージ
はい、オガちゃんです。
やはり、銃を使った物語はなかなか難しいところがありますね?
でも、そこは造っていきながら改善していこうと思いますw
そrではノシ

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