連載小説
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後編・現
 何ということでしょう。大嫌いな昼間だというのに、私は今最高に幸せな気分でした。


「どこか痒いところはない?」
「へいき、です……」

 リズミカルにハサミが鳴り、私の髪を少しずつ切り落としていきます。レヴォンさんは私のボサボサ頭を、夢の中とは似つかないだらけた髪を丁寧に撫でながら散髪していました。彼の手の感触だけでうっとりしてしまいます。その手つきの一つ一つに、レヴォンさんの優しさがこもっているかのよう。目がとろんてなっちゃいそう……。

 目を覚まして慌てる私に、レヴォンさんは優しく声をかけてくれました。私はとにかく頭を下げてひたすら謝り、謝って謝って謝りまくりました。主に窓ガラスのことを。
 ですが彼は一言も咎めず、それどころか私の髪を切ってくれると言ったのです。そして定休日だというのに、この朝からお店で散髪を始めてくれたのです。信じられないことばかりで、嬉しすぎて……何の言葉も出てきません。

「やっぱりイリシャちゃん、いい髪してるね」

 不意に、思ってもみないことを言われました。

「いい感じに自然のウェーブがある。少し手入れをすれば凄く奇麗な髪になるはずだよ」
「そ、そんな、こと……」

 ある訳がない……そう思っていても口が動かなくなってしまいます。無駄に大きい胸の内側で、心臓が激しく脈打っていました。嬉しさと恥ずかしさとその他諸々が入り交じり、軽いパニック状態です。
 でもレヴォンさんはそんな情けない私を見ても、笑ったり呆れたりしませんでした。

「昨日、目覚まし時計で起きたときに君を見てさ、思ったんだ。ああ、この子奇麗な髪だなって。あと、自分が嫌いなタイプだなって」
「ぅぅ……」

 一番最後の言葉は全くもってその通りでした。この人もあのバーテンダーさんと同じで、いろいろな人を見てきたから分かるのかもしれません。でもそれなら、どうしてこんなにも優しくしてくれるのでしょう。現実の私より可愛い女の子なんて、いくらでも見てきたはずなのに。

「夢の世界で、君は本当に輝いていた。君の髪に包まれて、沢山の君に囲まれて、本当に気持ちよかった」

 アソコの毛を剃り合ったのもね、とレヴォンさんは小声で付け足しました。現実で言われると顔から火が出そうです。

「で、でも……本当の、私、こんな……ひゃっ!?」

 レヴォンさんは突然、私の背中……下半身の、馬の方の背中に手を起きました。

「ここ、股がってもいいかな? その方が切りやすそうだから」
「は、ハイ!」

 レヴォンさんがゆっくりと、私の背によじ上ります。ケンタウロス種は軍馬や競走馬みたいに大きくないとはいえ、当然あぶみなんて着けてないから少し苦労していました。やがて彼の体重が背にかかったとき、体が密着するのを感じました。夢の世界とは違う私の体を、レヴォンさんはそっと撫でてくれています。

「……イリシャちゃん、昼の世界で奇麗になるのは無理だって思ってる?」
「だ、だって私……半分馬だし、胸が大きすぎるし、弱虫だしっ……!」
「イリシャちゃん」

 そっと、彼の素敵な手で口を塞がれました。鏡に映るレヴォンさんは優しげな、それでいて力強い眼差しで私を見ています。ああ、この目だ。この目と手が、私の胸を高鳴らせたんだ……初めて彼の姿を見たときを思い出し、私の体がジンと熱くなりました。

「この界隈の仲間……調香師のヒューイーや仕立屋のオーギュとかと、よく話すんだ。完全に魅力のない人に服や香水を作ったり、髪を切ってあげても無駄だって。僕らは石の彫刻を彫っているわけじゃないからね」

 まるで突き放すようにレヴォンさんは言います。彼がそんな言い方をするなんて意外だったけど、彼のいう「完全に魅力のない人」に私は含まれていないのだろうという気がしてきました。だって彼がこんなにも丁寧に私の髪を切り、優しく撫でてくれているのですから。

「人間でも魔物でも、その人の魅力を引き出すのが僕らの仕事なんだ。ゼロから一を作ることはできなくても、一を百にすることはできる」

 再びチャキ、チャキとハサミが鳴り、髪が花びらのように散っていきました。レヴォンさんは話しながらも手元をじっと見て、作業に集中しています。
 彼に見とれつつ、私はウルリケちゃんが正しかったことを確信しました。彼は私の良いところを……自分でも気づかなかったところを見てくれていたのでしょう。


「自分の魅力と、僕の腕を信じてみてよ」


















 ………







 ……







 …










 ……髪を切られ、眉も少し剃られ、顔を奇麗に洗われて。それはとても幸せな時間で、あっという間のことでした。やがてレヴォンさんが背中から降りて終わりを告げ、目の前にある鏡に私の姿が映りました。

「わ……!」

 思わず息を飲みました。そこにいるのは確かに自分のはずなのに。そしてここは確かに現のはずなのに。
 奇麗に切りそろえられた髪は緩やかに波打ち、夢での私に勝るとも劣らない美しさを放っていました。コンプレックスの一つでもあった馬の耳もその髪を引き立て、レヴォンさんがそこまで考えて散髪していたことを実感します。心無しか目鼻立ちもくっきりとし、肌までもが奇麗に見えます。
 私はまるで生まれ変わったかのような、新しい体を授かったかのような錯覚を覚えました。でもこれは間違いなく私の、イリシャというナイトメアの姿。全て現実であり、本当の私自身なのです。

「気に入ってくれた、かな……?」

 声をかけられ、急に恥ずかしさがこみ上げてきました。夢の中でなら平気で体を晒していたのに、現実でこんなに奇麗になってしまった自分に緊張してしまうのです。
 でも、彼への返事は決まっていました。

「嬉しいです……とても……!」

 そう答え、思わず彼に抱きついてしまいました。胸を押し付け、頬を寄せて喜びに浸る私を、レヴォンさんも優しく抱きしめてくれました。
 夢の中でしかできなかったことが、彼とのふれ合いが現実になった……そのことが胸を高鳴らせ、情欲が湧き起こってきます。魔物の本能、そしてレヴォンさんがくれた小さな自信が、私を突き動かします。

「レヴォンさん……」

 おずおずと下半身に触れようとした私の手を、レヴォンさんはさっと掴みました。

「いけない子だね」

 笑みを浮かべ、レヴォンさんは言います。

「愛し合う二人が最初にすることは?」
「あ……」

 ちゅっ、と唇が触れ合います。入り込んで来たレヴォンさんの舌に口の中を責められ、その動きに翻弄されます。夢の中でやったようにレヴォンさんをいじめてあげたいのに、上手く舌を動かせません。ぎゅっと目を閉じ、ただひたすら甘い恍惚感に浸るしかありませんでした。

「ん……みゅ……♥」

 彼に抱きしめられている安心感から、耳がパタンと寝てしまいます。夢の中で彼に好き放題するのとは違う、メチャクチャにされてしまうことへの期待が高まってきました。

 やがて唇が離れます。名残惜しそうに、糸を引いて。息を整えていると、レヴォンさんが私の胸にそっと触れてきました。

「わ……夢の中と同じだ。柔らかいね」
「あぅぅ……♥」

 褒めてくれているのだと分かっていても、やっぱり恥ずかしさがこみ上げてきました。さらにむにゅっと胸を揉まれると、彼の手からはみ出すおっぱいがとてつもなく恥ずかしかったです。夢でなら悦びつつも彼をからかってあげるのに、今はただ甘い刺激と羞恥に身を震わせることしかできません。
 そんな私を、レヴォンさんは楽しそうに見つめています。

「恥ずかしいの? 夢の中では平気であんなことしてたのに」
「だ、だってぇ……ひぅ♥」

 服の上から激しく揉まれ、大きな塊は彼の手の中で形を変えます。その快楽に敏感に反応してしまい、私は彼にしがみつくようにして喘ぐばかり。蹄をカタカタと鳴らして気を紛らわせても、現実でレヴォンさんに胸を揉まれているという興奮は収まりません。

「イリシャちゃん、裸になってよ」
「は、はい……」

 言われるがままに服を脱ぎ始める私。まるで操られているかのように従順。
 ああ、これじゃ駄目なのに。私がレヴォンさんの服をはぎ取って、もったいつけるように自分の体を見せつけて、犯して犯して犯しまくってあげなきゃいけないのに。彼の言いなりになる情けない自分を、悦んでしまう心がありました。そしてその気持ちはどんどん、私の表側へ出てきます。

「ぬ、脱ぎました……」

 一糸まとわぬ姿となり、レヴォンさんの前に立っている……それが現実だというだけで心臓が爆発しそうでした。大きな胸が鏡に映りましたが、以前のように不釣り合いな感じはありません。レヴォンさんは私のスタイルまで計算して髪を整えてくれたのです。それでも胸と、すでにお汁を滴らせているアソコを隠さずにはいられませんでした。

「イリシャちゃん、やっぱり奇麗だよ。スタイル良いし、髪も肌も……馬の体だっていい毛並みだ」
「そ、そんなに褒めないでぇ……あぅぅ♥」

 褒められて恥ずかしいのに、口元が緩んでしまいました。恥ずかしさと幸せが同居した、夢よりも不思議な空間ができています。このままここにいたら、どうなってしまうのかしら……

「それじゃ、イリシャちゃんがして欲しいことを言ってみて」
「え……?」
「エッチなことをしたいんでしょ? どういう風にしたいのか言ってみなよ」

 ……ああ、この人は怖いです。私が本当にシて欲しいことを、きっともう分かっているのでしょう。現実で会ってから間もないのに、そこまで見抜かれてしまうなんて。

「あ、できるだけエロい感じで言ってみて。その方がやる気でるから」
「はい、分かりました……」

 私は深呼吸をして、右手で恥ずかしい胸を持ち上げて強調します。そして左手は上半身と馬体の境目……お汁の垂れる割れ目をくぱぁと開きます。みっともない姿をレヴォンさんに晒し、彼の視線を味わいながら、心の底に溜まった想いを吐き出しました。

「わ、私に仕返ししてくださいぃ……♥ 夢の中で、私が好き勝手した分を、思いっきりオシオキして……私を味わって、メチャメチャに食べ散らかしてください……♥」
「よし、よく言えました」

 レヴォンさんは再び私の背に載りました。二回目だからか、今度はひょいと身軽に股がります。これから何をされちゃうんだろう……怖くもあるのに、胸を高鳴らせてしまいました。

 彼に手を掴まれたと思うと、何か温かい物を握らせました。棒状で、硬くて、でもどこか柔らかな感触の物。夢の中で一杯触ったはずなのに、現実だとそれはより一層熱く、立派に思えました。

「ちゃんと握っててね」
「はい……♥」

 後ろ手で形を確かめるように、ぺたぺた、すりすりと触ってみます。先端の尿道口を探り当てると、すでにぬるりとした液が出ていました。レヴォンさんが現実の私に欲情してくれているという事実だけで、途方もない興奮がやってきました。夢でならゆっくり焦らして触ってみるのに、今はもう無我夢中で肉棒をしごくこと意外考えられません。気持ちよくなって、気持ちよくなってと思いを込めながら。
 すると突然……

「うひゅぃぃ♥」

 胸にムズムズとした刺激が走りました。何か筆のような、細くてチクチクした物で肌をくすぐられていたのです。それも敏感な乳首を。

「あっ、ひぁぁぁっ♥」

 思わずレヴォンさんのおちんちんをぎゅっと握りしめ、激しく身を震わせます。彼の手は何かを持って、私の胸を盛んに責めていました。

「な、なんれすかこれぇ……!?」
「さっき切った髪」

 私の肩を抱きしめながら、レヴォンさんは楽しそうに答えました。レヴォンさんは私の薄青色の髪で胸全体をくすぐりまわし、ぞわっとした快感を与えてきます。

「んひぃぃっ、ふあぅぅぅ♥」

 右の乳房を散々いじめられた後、今度は左乳房の乳首に髪の先端を押し付けられます。私は後ろ手で必死におちんちんをしごき、くすぐったさを紛らわせました。さらに胸の谷間をくすぐられても、そのくすぐり責めを止めることはできません。私の手は彼の肉棒を気持ちよくしなくてはいけないのですから。

「イリシャちゃんの手、気持ちいいよ」
「あひっ、んみぅぅぅぅぅ♥」

 うなじまで髪の毛でくすぐられ、身をよじらせます。こんなことで気持ちよくなってしまうなんて。私の体、どうなっちゃったんだろう……

「イリシャちゃん、夢の中で言ってたよね。僕は君のものだって」
「は、ひゃい……言いましたぁ♥」

 気が狂いそうな快楽が中断され、レヴォンさんは私の頭を撫でてくれました。私も彼にすり寄って甘えます。

「あのときから、僕もイリシャちゃんが欲しくてたまらなかった。現実の君を見たときもね。……虜にされちゃったんだ、魔物の君に」
「う、嬉しいれすぅ……♥」

 魔物に生まれてよかったと、これほどまでに思ったことはありませんでした。鏡に映った彼と目を合わせながら、後ろ手で肉棒を刺激し続けています。時々ぴくりと震え、先端からぬるぬるが一杯出てきました。指につけて口に運んでみると、ほのかに美味しい甘さが、精の味が感じられます。
 レヴォンさんは私を強く抱きしめてくれました。そしてゆっくりと、言葉を紡ぎます。

「一生、君の髪の手入れをさせてくれ。もう僕から離れないで」

 静かな、でもしっかりとした声。温かな彼の告白。
 私の答えなんて、もう決まっています。

「はい……♥ 私はもう、レヴォンさんだけのものです……♥」
「ありがとう」

 私の頬にキスをして、レヴォンさんは再び毛髪でのくすぐりをはじめました。脇腹の辺りを毛先で撫でられ、むず痒さに身をよじらせます。空いている方の手で私の胸を揉みながら、レヴォンさんはついに……

「ひああぁぁん♥」

 上半身と馬体の境目、私のアソコを髪でつつきました。割れ目をなぞるようにして何度も何度もくすぐられます。

「やぁっ♥ ひゅぅぅぅぅ……あふっ、んひぁぁっ……ぁぁっ♥」
「うっ……!」

 喘ぐ私の背中で、レヴォンさんも声を漏らしました。一生懸命手でしごいてあげた甲斐あって、彼も絶頂が近くなっているのでしょう。手の中でおちんちんがびくびくと脈打っています。

「れ、レヴォンしゃん……気持ひいいれすぅ……♥」
「僕も……だよ!」

 私の胸を激しく揉み、アソコを髪でくすぐりながら、レヴォンさんはとうとう限界に達しそうでした。そして私も散々じらされた挙げ句にアソコを弄られ、もう耐えられそうにありません。
 鏡に映る私は口の端からよだれまで垂らし、とてもだらしなくて淫らな顔。そんな私を、現のイリシャを、レヴォンさんは満喫してくれていました。

「イリシャ、で、出るよ……!」
「だ、出してぇ……わたし、私も……イっちゃうぅぅ……♥」

 波がゆっくりと、押し寄せて……
 私たちを……飲み込みます。

「う、うああぁぁ……!」
「あ、あ、ひ……ぅぅぅうぅぅぅぅん♥」

 ぷしゃっ、という素敵な水音は、レヴォンさんの射精の音なのか、私が潮を吹いた音なのか。彼の手に私のお汁がたっぷりとかかり、私の背中には彼の白濁液がぶっかけられました。

「あ、熱い……背中、熱いよぉ……♥」

 いいニオイが、ぷぅんと立ちこめます。たっぷりとかけられた精液はとてもねばっこく、全然流れ落ちませんでした。
 その香りに頭がぼぅっとしてしまい、脚元がおぼつかなくなります。四つの脚全てががくがくと笑いはじめ、蹄がカタカタ鳴ります。

 レヴォンさんが背中から降りたので、私はその場にごろりと馬体を横たえてしまいました。重力に身を委ねたまま、背中についた精液を指ですくい、口に運びます。

「……どんな味がするの?」
「ん……甘いんです♥」

 レヴォンさんの問いかけに笑顔で答えながら、粘ついた精液をくちゃくちゃと噛むようにして味わいました。レヴォンさんも私の前に寝転び、同じ目線です。
 ああ、私はこの人のつがいなんだ。そう考えると例えようもない喜びがこみ上げ、精液が一層甘く、美味しくなりました。魔物にとって最も美味しい精液は、最も愛している人の精液なのです。

 そんな私を見つめるレヴォンさん。彼は少し考えるような顔をして、やがて口を開きました。

「……イリシャちゃん、お願いがあるんだ」
「はい、何でもします」

 珍しく即答できました。レヴォンさんのためなら何でもするし、今なら何でもできる。そんな気分だったのです。

「僕と一緒に……あの夢の中で、子供たちを追いかけて欲しいんだ」

 少し躊躇って、でもしっかりした声で彼は言いました。

「あの子供たちが誰なのかは思い出せない。でも、思い出さなくちゃいけない気がするんだ。何か、忘れ物をしているような感じでさ」
「……分かりました」

 あのバーテンダーさんが言った通り、私が彼のためにできることがあったようです。そしてそれをするのに、躊躇するはずもありません。
 同時に、ちょっと面白い事を思いついたりして……

「一緒に確かめに行きましょう。それで、その……」

 私はアソコの割れ目を、未だ物欲しそうにお汁を垂れ流しているいけない花びらを指で開きました。レヴォンさんも食い入るようにそこを見つめます。その視線だけで感じてしまいそう。

「ココに、挿れたまま……夢を見ませんか?」
「えっ……!?」
「その、ええと……レヴォンさんのソレ、まだ物足りなさそうだから……」

 イったばかりなのに反り返って怒張して、いいニオイを放っているおちんちん。それを指差すと、レヴォンさんも気恥ずかしげに笑いました。

「あー……うん。イリシャちゃんの中に入るまで、収まりそうにない」
「えへへ……えっちな夢の後遺症かも」

 私たちは寝転がったまま抱き合いました。正面から体を密着させると、レヴォンさんの胸板で私の胸がひしゃげ、それをレヴォンさんが上手に揉んでくれます。

「本当、柔らかい……」
「あんっ……♥」

 熱くなっている肉棒を握り、アソコの入り口へあてがいます。亀頭が密着した瞬間、体中がぞくぞくしてきました。
 そしてレヴォンさんがゆっくりと、腰を進めて……

「ひゃぁ……んぅぅぅぅぅ♥」
「うわっ……し、締まる……しかも動いてる……!」

 彼が言うように私の膣はゆっくりと脈動し、おちんちんを奥へ奥へ導こうとしていました。下半身が馬だと自分から腰を振るのが難しいから、このような機能が備わっているのかもしれません。自分でも下のお口で彼のおちんちんを食べているような気分になってきました、

「ふぁぁ……ひぅぅぅん♥」

 ぎゅっと彼にしがみつき、膣内を肉棒が擦れていく感覚に酔いしれます。現実で受け入れるおちんちんは夢の中とほぼ同じはずなのに、どこか生々しくて、熱く淫らな感触です。
 そしてレヴォンさんも、現実の私の中で追いつめられているようでした。夢の中ではお尻の穴に挿入した瞬間果ててしまったくらいだから、多分挿入の感触に弱いのでしょう。でもそれは私も同じことで……

「イリシャ、ちゃん……!」
「んうぅぅ……♥ レヴォンさぁん……♥」

 夢中で頬を寄せ合って感触を楽しみながら、私たちの結合部はジンジン熱くなっていきました。二人とも荒く息を吐きながら、ひたすら抱き合い、快楽に酔うばかり。
 でも私はそんな中でどうにか、体の魔力を操りはじめました。昨日夢で吸った精のおかげで魔力量は増えており、それを口の中に集め、咀嚼するようにして練ります。レヴォンさんも私が何かしていることに気づいたようですが、私は口腔に溜まった魔力を逃がさないよう、何も言わず彼の唇を奪いました。

「ん……♥」

 彼の口に舌を割り込ませ、魔力を全て流し込みます。口移しで飲ませた私の力はあっという間にレヴォンさんの体に染み込んでいきました。

「ぷはっ……酔夢の、キス……♥」
「あ……なん……これは……」

 レヴォンさんは恍惚の表情で身を震わせていました。眠気を誘う力と、男の人を虜にしてしまう魔性の力。その二つを流し込まれ、彼は甘い快感を感じているのです。

「い……イリシャ……ちゃ……」
「はい……んぅっ、出してくださいね……♥」

 眠そうな彼の頭を撫でてあげます。レヴォンさんはゆっくり目を閉じ、そして……射精しました。とろりと濃厚なものが、今度は私の中に入ってきます。夢ではない、現実の私の胎内に、彼の愛の証が……!

「ふぁぁぁ……き、きたぁ……レヴォンさぁん……♥」

 私の嬌声も、もうレヴォンさんに届いているか分かりません。彼はまどろみの快楽の中で、すでにあの夢の町へ旅立つところでした。
 それを追いかけるため、私も再び魔力を集中させます。中出ししてもらったおかげですぐに力は溜まりました。彼と抱き合ったまま、今度はそれを私たちの上、空中に集めます。

「あふ、み……導け、まどろみ……はぁん♥」

 魔力を集めた場所に、それはゆっくりと現れました。ナイトメアの大鎌です。誰にも手を触れられないまま空中に浮かんで、私たちに刃を向けています。

「ふぁぅぅぅ……私は、夜の子……!」

 精液の感触に喘ぎながらも、私は口上を終えました。

 次の瞬間、宙に浮いた鎌が私たち目がけて振り下ろされます。

 現と夢との境界線が切り裂かれ、光を放つ裂け目が現れました。私の体はゆっくりと、その中へ堕ちていきます。レヴォンさんの、素敵な夢の中へ。

 彼の大切な忘れ物を、取り戻すために。


「今、行くからね……レヴォンさん」
12/12/06 23:00更新 / 空き缶号
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■作者メッセージ
ようやっと後編に入りました。
申し訳ないですが、前回のご感想返しは今日帰宅したら行います
さて、出勤だ……。

※すみません、ご感想へのお返事は明日で(滝汗)
ご報告いただいた誤字は修正しました、どうもありがとうございます。
こんなどうしようもない作者ですが見守ってくださると幸いです。

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