読切小説
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一番近くに居たいよ
「ベイビーアイラブユーだぜ」

ボクはそんな言葉をキミに届ける。

「お前の言葉って軽々しいんだよな」

キミはなんだか納得していない顔で、それでもどこか嬉しそうに返してくれる。
それがボクにはとても嬉しくてキミを抱きしめる。

「なんだよ」
「いやーボクって世界一、いや宇宙一の幸せ者なのかもしれないって思ってね」
「はいはい、そういうところが軽いっての」

キミは気づいて無いかもしれないけどボクの言葉はいつだって本心なんだよ。

「軽いかな?結構ボクとしてはいつでも本気で言ってるつもりなんだけどな」
「はぁ、俺みたいな根暗野郎のどこが良いのか理解できないよ。ただの幼馴染だから勘違いしてるだけじゃないのか?」
「またキミはそうやって自分の事を外れくじみたいに言って自虐しないでよ。ボクにとってはキミの存在が一等賞、キミがいなきゃボクの人生が無意味になってしまうっていうのにさ」
「根暗には眩しいんだよお前みたいな存在」
「ボクにとってもキミは太陽のように眩しい存在だよ♪ だってほら、キミの傍にいるだけでこんなにもドキドキして繋いでる手が熱くなるんだから」

ボクがそう言うとキミの手も熱くなる。

「ボクの勝ちだね」
「何がだよ‼」
「キミの方が恥ずかしがったから、甘いセリフを言う勝負だったんじゃないの?」
「そんな勝負してねえよ、どうしてそんなお気楽な考えができるんだか」
「失礼だなぁ、ボクだっていつも悩んでるんだよ」
「例えば?」
「寝る前にもしかしたらこの世界が夢の世界で起きたらキミがいないかもしれないとか、どうやったらキミは喜んでくれるかな?とか」
「……この手を握ってくれるのはお前ぐらいしかいないっての」
「そんなことないよ、キミは自分で分かってないだけでとても素敵な人なんだから。だからキミがボクの手を握ってくれたは本当に嬉しかったんだから」

だからキミに毎朝出会うときに安心するんだ。夢じゃなかった、キミにまた出会えた幸せだなって思えるんだ。

「俺の事を過大評価しすぎだろ」
「そんなことないよ、ボクには実際にそれだけ大きな存在なんだよキミは。だから何度でも伝えるよ、ボクはキミを愛してるんだよ」
「……」

真っ赤になって黙ってしまうキミの顔を覗き込む、これはこれでちょっと楽しいかも。


「ねぇ、好きだよ。愛してるよ。ベイビーアイラブユーだよ」
「……わかった、わかったから。そんなに連呼するな、恥ずかしい」
「えーボクはキミの返事が聞きたいな。ボクは沢山言ったんだから一回ぐらいキミの答えを聞かせてよ」
「……そういう言葉は軽々しく言うものじゃないっていうか」
「だったら本気で言えばいいんだよ、それなら軽くならないよ」
「いや、お前本気で言ってるのに軽いじゃん」
「あれ?本気で言ってるのは伝わってるんだ?へぇ?」
「うっさい、言葉にすんのには俺には勇気がいるんだよ。ってか遅刻するからさっさと行くぞ」

結局、返事は濁されたままで今日も朝が過ぎる。

それだけでも伝わってくる。繋いだ手から伝わる熱が、鼓動がキミの言葉にできない返事を教えてくれる。

願わくば終わりが来るまでこの繋いだ手が離れませんように。
20/01/24 05:46更新 / アンノウン

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