読切小説
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策略派デビちゃん
俺……相田幸太はとことん生きる事に疲れてしまった。

理由は、会社の激務で疲れたからである。

俺の努めている会社はいわゆる「ブラック企業」という訳では無い。
福利厚生などは一通り揃っていて、給料も悪くは無い。

しかし会社の特徴として、社員の間では行き過ぎた「実力至上主義」が横行している。

有能な人間はとことん優遇され、無能な人間はどこまでも冷遇される。
それだけならまだ良かった。

俺は仕事に対して情熱を持っていたが、社員としての実力がそれに付いて来なかった。
それ故に、有能な人間の足を引っ張ってしまう事が何度かあった。

だが、その結果として俺への「イジメ」が発生した。

俺は仕事を干され……何一つまともな事をさせて貰えず、
誰にでも出来る「雑用」しかやらせて貰えなくなったのだ。
そして、毎日のサービス残業の強要。
有能な同期が、上司の目の前で、俺に対して舌打ちをしようと誰もソイツを咎めない。
その上、周りの人間からは事あるたびに無能や給料泥棒と呼ばれた。

要は、俺が会社の中で「見せしめ」として扱われていたのだ。
相田のようになりたく無いのなら、会社に対して利益を出せる社員になれ……と。

そして何よりもタチが悪い事に、上司は狡猾だった。
言動の1つ1つが、ギリギリで「パワハラ」扱いされないように計算し尽くされていた。

上司は、分かっているのだろう。
自分達が、俺に対して訴えられかねない事をしているという事。
そして、俺が「まともな手段」で誰かに助けを求めた所でどうにも出来ない、と。

だから俺は「まともでは無い手段」で会社に対する復讐を行う事にした。





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俺は、車でとある山道を訪れた。
カードレール越しには、崖が広がっている。

俺がここから飛び降りれば、自殺は容易だろう。

車の中には、俺の「遺書」が入っている。

遺書の内容は、俺が今まで会社で受けた「イジメ」を事細かに記したもの。
自分で纏めてみて、ノート7冊分もの内容になるとは思っていなかった。

俺は知り合いの何人かに「生きる事に疲れた」といったような事をそれとなく伝えてある。
それにより俺が行方不明となれば、警察は俺の自殺を疑うハズ。
そして、俺の車から「遺書」が見つかれば警察の捜査が会社に入るだろう。

警察の捜査によって、俺に対して「イジメ」を行った連中が捕まるか、クビになるか。
そうなれば俺にとっては幸いだし、仮にそうならなかったとしても、会社の評判はガタ落ちだろう。

勿論、これは俺の計画が上手くいった場合の話である。
むしろ、そうならない確率のほうが遙かに高い。

だが、俺に躊躇は無い。

俺の家族は既に事故や病気で全員他界している。
失うものなど、何も無い。

そう思って、
俺が靴を脱ぎ、ガードレールに足を掛けた途端……。

「ちょっと待ってよ、お兄さん」

突然、後方から光が怪しげな発せられ、俺はそれに反応して振り返る。

「あたしと、少しお話しない?」

するとそこには、奇妙な少女が佇んでいた。





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「……という訳だ」

「ふうん、成程ねぇ」

俺は奇妙な少女に「なぜ自殺をしようとしたか」を聞かれ、
今まで自分に起こった事を掻い摘んで話した。

少女は、俺が今からやろうとしている事を「脆弱な人間のやる事だ」と嗤うと思ったが、そんな事は無く、むしろ俺の話を最後まで真剣に聞いてくれた。

俺はそんな少女の事が気に入って、随分と饒舌になってしまった。

「……それにしても」

「ん?」

「物怖じしないんだね、お兄さん」

「そうか?」

少女の見た目は俺から見れば奇妙としか言いようが無かった。
人ならざる青肌の体。
黒い目球に、赤い瞳。
蝙蝠のような翼と、先端が尖った尻尾。
「悪魔」という言葉を体現したかのような少女。
少女の年齢は、見た感じ15歳前後か?

だが、おかしいのはここから。
少女の格好がほとんど裸に近いものであり、
そしてそんな少女が、わざわざ俺の自殺を止めたという事。
そもそも、どうしてコイツはこんな山道に居るのだろうか?

彼女は自分で自分の事を「デビル」だと言っていた。
良く分からないが、彼女曰く……俺達普通の人間が気付いていないだけで、
この世界には彼女と似たような「魔物娘」と呼ばれる人ならざる者がこの世界には沢山居るらしい。

本当に、奇妙だ。

「まあ、少し見た感じが変わってるなって思ったけど。
君が俺の、話し相手になってくれたのはむしろありがたい位さ」

だが、それでも俺が物怖じする理由とはならない。
俺の会社にいる「人の皮被った何か」のような連中よりは大分マシだ。

「あはっ、面白いんだね、お兄さん。
あたし、貴方の事が気に入ったよ」

「そうか、そりゃどうも……?」

俺、気に入られるような事したっけ?

「アタシの名前はディア。
貴方の名前は……?」

「そう言えば俺達、自己紹介とかしてなかったな。
俺の名前は、相田幸太だ」

「うん、ヨロシクね、コータ!」

今更だが目の前に居る少女……ディアに宜しくって言われたぞ、俺。
俺は、これから自殺をするつもりなんだが?

「ところでさ、コータ。
アタシは、貴方がやろうとしている事には問題があると思うんだ」

「……ん?」

そう言えば、さっきもディアに俺が自殺するのを止められたっけ?

「コータのやろうとしている事自体は間違ってない。
でも、やり方が間違った方向にいっちゃってるんだ」

「やり方が間違っている……?」

「さっきも言ったように、アタシはコータが気に入った。
だから、コータの『復讐』の問題点を教えてあげる。
勿論、コレはアタシの気まぐれだから、対価とかは気にしなくて良いよ」

ディアは、さっき俺の自殺を止めようとしてくれた。
そして、今度は俺に対してのアドバイス?
まるで至れり尽くせりだが、何故だ?

「ディアが助言をくれるのなら、有り難く頂くよ」

「よーし。
んじゃ、まず1つ目、コータが傷つく事」

「俺が……?」

「そう。
コータが会社に対して抱いている感情は、正しいんだよ。
優れた人が優遇されるのならともかく、そうじゃない人が過度に虐げられるのはただのイジメ。そしてコータを虐めた連中は『イジメ』をやった上で、コータが誰かに助けを求めれば、それがみんなに『ただの弱音』だと思われるように仕向けてる。
つまり、コータを虐めた連中は自分達が悪い事をしているって分かってんの。
にも関わらず、泣き寝入りみたいな形で貴方が命を落とす必要は無いでしょ?」

「確かに言われてみればそうだが、それは承知の上だ。
これが『1つ目の問題』って事は、他にも問題点が有るのか?」

「んふふ、それじゃあ2つ目。
コータの復讐が『まともな復讐』になるかどうか分からないって事」

「まともな復讐……?
俺が今やろうとしている事が、まともじゃないという自覚はあるけども」

「さっきも言ったように、コータを傷つけた連中はどうしようも無い連中ばっか。
仮に、貴方の策が成功してそいつ等が捕まったとしても、きっと改心せずにコータを恨み続ける。そうならなければ、単に『困る』ってだけ。
……それじゃ、ツマラナイでしょ? 
どうせ復讐をするのなら、相手がコータに手を出した事を心底後悔させる位じゃないと」

蠱惑的な笑みを浮かべながら、サディスティック全開なディアを見て、思う。
――――やっぱりコイツは悪魔(デビル)だ……と。
その事に対して、俺は嫌悪感を抱くどころか、ゾクゾクとした何かを覚えながら口角を釣り上げてしまう。

「そして、3つ目。これが一番重要。
コータの策が成功しちゃうと、これはこれで大問題なのよ」

「ん? 成功したらいけないのか?」

「そうなのよ。
コータが復讐したいと思っている連中だけならまだしも、
そうでない人達まで巻き込むのは意味が無いでしょ?」

「……確かに、そうだ」

俺は会社に対する憎悪と「死んで楽になりたい」という気持ちだけが先行し、
実際にそれを実行した時にどうなるかを客観的に考える事が出来なかった。

もしかしたら、俺の策が半端に成功したりして、
「俺が復讐したいと思っている連中が会社に残り、そうでない者が路頭に迷う」という、
最悪の事態が起こる可能性だって有ったのだ。

しかしディアはそういった事を冷静に考えた上で、
俺に対して伝えたい事を的確に伝えてくれる。

彼女には、いくら感謝しても足りない位だ。

「俺、生きる事に疲れて周りが見えなくなっていたよ。
俺を止めてくれて本当にありがとう、ディア」

「んふふ、どういたしまして……ってね。
でも良いのかい? 悪魔の言う事をホイホイ信じちゃって……さ」

「う〜ん。
俺にとっちゃ、むしろそれが良かったのかもしれないな」

「……どういう事?」

ディアの目が、突然真剣なものに変わる。

「下手な人間相手なら、アドバイスとか貰っても『お前に俺の何が分かる!?』って逆ギレしていたかも知れない。でもディアみたいなのが相手だと、何もかも見透かされているような気がして、自分に正直になれるんだ」

俺の身の上話をした時間を含め、会って10分も経っていない相手に対して的確なアドバイスが出来るという事は……ディアが実際に俺の何もかもを見据えていたからだろう。

「…………」

俺の答えに、ディアは何も言わない。
彼女は何かを考えこんでいるようだ。

夜の山独特の静寂が俺達2人を包む。

「……よし決めた!
ねえコータ、あたしと『契約』しない?」

ディアの表情が、元に戻った。
いや、会った時よりも明るくなっている……?

「契約、か。
とりあえず、その内容を聞かせて貰えるか?」

「あたしが、コータの願いを何でも叶えてあげる。
その代わり、コータの全てを私に頂戴?」

ディアの提案した「契約」は至ってシンプルだった。

「ディアの言った、願い事なら『何でも』って部分を詳しく頼む」

「勿論、会社に対する復讐でも構わないよ?
さっきあたしが言った問題点全部解決した上での復讐も全然OK!
『世界中の金を全部自分の物に』みたいなアタシにも叶えられない願いはあるけど、
コータはそういう事頼む人じゃないって話してて分かったし」

「お、おう。
要は、ディアが叶えられる範囲の願い事なら何でも良いって事か。」

「その辺の詳しくはアタシと要相談って所だね」

成程。俺の願いは既に読まれていた……か。
ようやく、分かった。
ディアが俺にわざわざアドバイスをくれたのは、
俺が自分の全てを悪魔に捧げてでも叶えたい願いを持っている人間……。
つまり、俺が彼女にとって都合の良い「カモ」だったからだ。

ただなんとなく、今の彼女からはそれだけでは無いという感じもするが。

「……分かった。
ディア、俺と契約を結んでくれ」

彼女が俺の事を「カモ」としか思っていないとしても。
ディアは結果的に、俺の愚行を止めてくれた。
俺の命が、彼女の為に使われるのであれば悔いは無い。

「コータがアタシと契約して、叶えたい願いは何?」

「勿論、それは俺の会社への復讐。
ディアがさっき言った問題点を全部解決した上で、
俺を虐めた連中を懲らしめて……心底後悔させてやりたい。
連中が、二度と実力至上主義なんて考えられないように……徹底的に……!」

そもそも、俺は「命を捨ててでも叶えたい願い」があったから此処に来たのだ。
それを、より確実に叶えられるチャンスがあるのなら……食い付かない訳が無い。

「アタシなら……コータの願いを叶えられるけど、対価を払う覚悟はある?」

「対価なら、俺が先に払おう。
俺の命と、財産全てをディアに捧げる。
だから、必ず会社の連中に制裁を……」

俺としては、願いの代償として「命や財産」を全てディアに払うのは当然だと思っていた。
しかし……。

「ちょっ、ちょっと待ってよ!?
何で、コータがアタシに命を……?」

「ん……?」

ディアは今までに無く焦った顔だった。
まるで心外だと言わんばかりの雰囲気も出している。

「……あー、はいはい。成程、分かった。
コータがあたしに会っても全然物怖じしないから忘れてたけど、
コータ達はあたし達の事全然知らないんだもんね」

「良く分からんが、
俺がディアの気分を悪くするような事を言ったって事か?」

「まあそうだけど、気にしなくて良いよ。
今からコータの誤解を解いてあげる」

……ディアから語られた「魔物娘」の真実は俺の想像を遙かに超えていた。

「ディアの世界に居る『魔王』がサキュバスに、ねぇ……?」

「そうだよ」

ディア曰く、
彼女の居た世界は魔法とかが普通にあるファンタジックな異世界らしい。
そして、その世界での魔王がサキュバスとなってから「魔物」は女性の姿へと変化して、
男性の精液を何よりの糧となった……らしい。
さらに、ディア達のような「魔物」は男性をただの餌として見ているのでは無く。色々な意味で「心から愛している」……と強調された。

彼女達は元居た世界の宿敵である「主神」を倒した後、
さらなる勢力拡大の為にこの世界に来たのだそうだ。

ディアの言った事が本当かどうかはまだ分からないが、
とりあえずパズルのピースは1つはまった。
ディアがほぼ裸同然の格好をしているのは、彼女が「サキュバス」に近い存在だからなのだろう。

彼女の体はどちらかと言えば少女のものだが、
それから放たれる色香は、そこらの娼婦をはるかに超えている。
正直、男の体には非常によろしく無い。

俺はディア達魔物が「男の精液を糧とする」と聞いた時から、
愚息を制御する事が出来なくなっていた。

俺は、今の話の流れから察するに、
ディアが「契約の対価として俺の精液を貰う」と言うのだと予想した。
俺の命が目的ならそもそも俺の自殺を止めたりしないだろうし、財産が目的なら俺が死んでから奪えば良いだろう。

……俺自身の思考回路が、ピンク色に染まってしまっている……!?
これも、ディアの人ならざる力なのだろう。

けしからん身体をした裸同然の人外少女が、俺の精液を啜る……。
そんな事を想像した男の身体がどうなるかは、火を見るより明らかである。

「あ〜れ〜れ〜?
コータのおちんぽ、膨らんでない?」

「うっ……、こ。これは……!」

結果、俺の一物はズボンの中で勃起してしまう。

「な〜んだ、コータもすっかりその気じゃん」

「うぐ、すまん……!」

「謝らないでよ。悪くないに決まってるじゃん?
……ここまで話せばだいたい予想が付くと思うけど、アタシがコータから契約の対価として貰うのは『精液』だけど、それだけじゃないよ?」

「え?」

「コータには『こっち側』に来て貰うよ。
……要は、人間辞めて貰うって事」

「さっきの説明で言ってた『インキュバス』ってやつだっけ?
男が、そっちの世界の魔物と交わり続けるといずれそうなるんだよな?」

「……うん」

ディアは、さっきよりも心なしか元気が無さそうだ。

「なら、むしろ大歓迎だ」

「…………え?」

俺はさっきまで……人としてまともに生きる事から逃げようとしていて、
今度は人ならざる者と手を組んで自分の望む復讐をしようとしている。
俺は、俺がまともな「人間の心」を持っているとは思えない。

……そんな奴が「人」として生き続けた所で、それにどれだけの価値が有るのだろうか?

「俺の望む復讐をディアが叶える事と、ディアが望むモノを俺が提供出来る事。
それが出来るのなら、俺は何にだってなろう」

俺の答えは、ディアにとって満足に足るものだったのだろう。
彼女は、今日見た中で一番明るく、そして爛れた笑みを浮かべた。

「……んふふふ、契約完了……!」

彼女が指を鳴らすと、俺の見ている景色が闇へと変わる。
月明かりすら届かぬ闇の中で、ディアの姿だけがはっきりと見える。

「人払いの魔法は掛けたから、此処には誰も来ないよ。
アタシは既に、準備万端……!」

そう言ってディアは着ている服を脱ぎ捨てて俺の車のボンネットに座り、
両足を広げて淫らに俺を誘う。

勃起した綺麗な乳首。
ムダ毛ひとつ無いディアの女性器。
どちらも、彼女の青肌をさらに鮮やかにしたような色である。
くぱぁ……と、彼女の指によって開かれたディアの女性器からは、既に愛液がとろとろと溢れ、太ももを伝っていた。

「綺麗だ……!」

「ふふ、ありがと」

そんな彼女を見て……俺の理性は消し飛んだ。
俺はディアと同様に来ている服を脱ぎ、彼女に覆い被さる。

「ん……!」

「んむ……❤」

俺とディアは、互いに吸い寄せられるように口付けをした。

「挿れるよ……?」

「うん……!」

俺の一物が、ディアの女性器に挿入される。

「うおっ、キツい……!?」

「あっはぁ……❤」

その時に感じた饒舌しがたい快感と、何かを突き破る感覚。
ディアの膣内は熱く、俺の一物に吸いつくような締め付けを与え続ける。

「ディア、初めてなのか……?」

「もっちろん! 
これからよろしくね、旦那様!」

「……こちらこそ、よろしく頼む……!?」

魔物が精液を糧とするのなら、
ディアは男と「する」のに慣れているのかと思ったが、どうやら違ったようだ。

どうしてディアが俺に「初めて」を捧げてくれたのか、
どうして俺を「旦那様」と呼んでいるのかは、分からない。
如何なる理由があるにせよ、純潔を貰った以上……責任は取らせて貰おう。

「女の人が初めての時ってすごく痛いんだろ。……大丈夫か?」

「魔物娘は基本的に、処女喪失の時には痛みを感じないんだよ。
痛みを感じるどころかさっきはイッちゃったし。
……だから、コータも全力で動いて良いよ?」

「確かに、痛がっているようには見えないな。んじゃ、動くよ?」

「うん、来て!」

俺が腰を動かす度に、ディアの膣にあるヒダ全てが俺の一物を的確に扱き上げる。

「こりゃ、すげぇ……!
すっごく、気持ち良い……!」

「アタシも気持ち良いよ、コータぁ……❤」

「うおおおっ!
ディア、ディアぁ……!」

「ああん❤
ふふっ、そんなにがっつかなくても、あたしは逃げないよ」

「ちがっ……! 何だコレ!?
自分でも、腰が止めらんねぇ……!?」

一物に感じる未知の快感により、俺はあっという間に射精してしまう。

「うくっ、う、おおおっ……!」

「ああっ、あん! ああぁん……❤」

ディアの膣内での射精は今までで一番長く、そして気持ち良い射精だった。
俺は、射精の快感だけで一物が再び完全勃起するという初めての体験もしてしまった。

「収まりそうに無いな……! 二回目行くか?」

「もちろん!
まだまだ、いっぱい出して……!」

「おう!」

俺がさっき出した精液とディアの愛液が混ざってローション代わりになり、俺の一物に更なる快感が襲いかかる。 

「あはっ❤ アタシのおっぱいも触って、コータぁ……!」

「ん、りょーかい」

ディアの胸は、俺の手に吸い付くように柔らかい。
ディアを愛撫するはずが、結果的に俺のほうが気持ちよくなってしまった。

二回戦が始まって5分も経っていないのに、愚息がもう射精体制に入って来ている。

さっきはあっという間に射精してしまったが、
今度はディアにも気持ちよくなって貰わなきゃな……!

「俺……さっきまで童貞だったからテクとか無えけど、精一杯がんばるよ……!」

「んふふ、嬉しいよコータ!
でも、魔物娘にとっては、コータがアタシを愛してくれる事が何よりの快感なの❤
だから、いっぱい愛して……!!」

「ああ、好きだよディア……!」

俺の「好きだよ」という言葉に対して礼を言うかの如く、ディアの締め付けが強まる。

俺はディアとさっき会ったばかりだが、俺が彼女を愛しているという気持ちに偽りは無い。
自分でもちょろいと思うが、俺はもう既にディアの虜である。

「ディア、イッてくれ……!」

「うん、アタシ、イっちゃう……!」

ディアの狭い膣内の一番奥に何度も亀頭をぶつける。
俺が彼女の子宮に向かってそのまま白い欲望を盛大にぶち撒けた。

「うおおぉお……!!」

「あはっ❤ イク、イっちゃう……!
ああ、あっはああぁあ……❤」

大量の射精をしたが、まだ俺のチンポが萎える気配は無い。
若干の余裕を見せながら蠱惑的な笑みを浮かべるディアもまだまだイケるのだろう。

「3回目、行こうか……?」

「にひひ❤ 何度でも良いよ、コータ……!」

……俺達は3回戦に突入し、その後もひたすら交わり続けた。





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「はぁ……はぁ……! ぜぇ……!
ディア、満足して貰えたかな……?」

「あははは……!
最高だよ、コータ……❤」

ディアとのセックスを続けて、どれ位経ったのかは分からない。
射精が5回を超えた後は数えていない
俺の愚息はまだイケるのだが、先に俺の身体に限界が来てしまった。

……むしろ、当然である。

俺の身体は今既に「インキュバス」とやらになり始めているのだろう。
そうでなければ今頃はとっくに腹上死のハズだ。

「ういしょ、んお……!?」

俺がディアの膣から一物を引き抜くと、それのサイズが倍程になっていて、
彼女の性器からは愛液と共に俺が出した精液が溢れ出ていた。

疲労により意識が混濁し、倒れそうになる俺をディアが抱きしめる。

「ありがとう、コータ。
こんな私を、こんなに愛してくれて……❤」

「それは俺の台詞だよ……!」

もう、俺は心身共にディア無しでは生きて行く事が出来ないだろう。
それが本当に正しいのかどうかは分からないが、これだけは言える。
……俺は今、幸せだ。

そんな事を考えながら、俺はぶっ倒れた。





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俺が再び目を覚ました時、そこは俺の車の中だった。
助手席にはディアが心配そうに俺を見つめていた。

時間は、夜明け前。
体調はかなり良い。

ディアが最初にやったのは、知り合いの「魔物娘」に連絡を取る事。
彼女は俺のスマホを借りて知り合いに連絡した。
連絡した相手は、この世界に来ている魔物娘の中で最も強い「リリム」らしい。
ディアは、俺の事情をリリムに対して大まかに説明した後、これからどうすれば良いかのアドバイスを受けた。

「コータは、アタシの願いを叶えてくれた。
今度は、アタシ達がコータの願いを叶える番だよ。
コータを苦しめた会社を、ぶっ潰してあげる……!」

そう言ってディアは、
俺がこれからすべき事と、自分達がこれからする事を大まかに説明した。
それを聞いた俺は、ものすごーくゲスな笑みを浮かべた。





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ディア達「魔物娘」が俺の会社を潰すまでの手際は見事だった。

俺が自殺をしようとした山道でディアに会ったという事件は、
「ピクニックに来て遭難した少女(ディア)を自殺未遂の男(俺)が救った」という美談としてマスコミに報道された。
勿論これは偶然などでは無く、普段は人間に化けているディアの知り合いが仕組んだ必然である。

冷静に事件を見れば突っ込み所満載だが、
リポーターの「カラステング」や番組プロデューサーの「刑部狸」の手によって、
俺は「悲劇の主人公」として賛美される一方、俺の会社は……イジメにより社員が自殺未遂をするような会社という「悪役」として報道されたが故に、
あっという間に世間は俺達の味方となった。

ただのパワハラによる自殺未遂では、
俺がやろうとした事を「脆弱な会社員の逃げではないか」と言う者も居るだろうが、
イジメやパワハラの詳細を記したノート7冊……という確かな証拠があるが故にそうはならなかった、とプロデューサーの刑部狸さんは語ってくれた。

今回の事態に対して会社は、
俺にイジメを行っていた主犯格として……俺の上司に全ての責任を押し付けて解雇した。

だが、会社は理解していなかったのだ。
人に対して平然とパワハラを続けられる狡猾な人間が、会社ぐるみでやって来た事の責任をいきなり個人に押し付けられて黙っている訳が無いという事を。

「……ってな訳だけど、お願い出来るか?」

「にひひ、りょーかい❤」

しかし、ヤツにさんざん煮え湯を飲まされていた俺はそれを理解していて、
ディアに対して予め上司を何らかの形で見張るように頼んでおいたのだ。

その結果、やはりヤツは行動を起こした。

上司は、俺がやったのと同じ場所、同じやり方で自殺を試みたのだ。
自殺をしようとした俺がディアを奇跡的に助けた(という事になっている)「美談」を、
それのせいで実際に死者が出たという「悲劇」に変えようとしていたのだ。

だがしかし、結局ヤツが行動を起こす事は叶わず、
模倣犯を警戒していたという名目で待機していた(本当はディアの指示で上司を監視してた)「アマゾネス」の婦人警官にとっ捕まり、そのまま彼女にお持ち帰りされたらしい。

上司は晴れて「こちら側」の人間となった。
現在、彼は究極の「主夫」を目指して修行中だとか。

そして「上司の自殺未遂」は俺の時と同じように報道された。
二度に渡る社員の自殺未遂によって、会社の株価と信用は暴落。
……それにより会社は倒産の危機を迎える事となった。

ここまでなら、俺個人が当初計画していた自殺未遂と同じであるが、
「俺達」の攻撃はまだ終わらない。むしろこれからが本番である。

今回の事件のきっかけとなった俺は会社にとって邪魔者だろうが、
俺がまだマスコミにチヤホヤされている以上、扱いを悪くすればまたマスコミにある事ない事を言われると思ったのか、俺はお咎め無しだった。

「お早うございまーす!!」

「う、うむ、今日は元気だね相田君……?」

そんな会社に、俺は「ざまぁ」と言わんばかり態度……、
やけに晴れ晴れとした元気な笑顔で出社を続けた。

当然そんな俺の事を疎ましく思う者は沢山居て、
直接悪口を言う者は居なかったが、陰口を言ったり睨んだりする連中は沢山居た。

「クソっ……!
相田のヤツ、ヒーロー気取っていい気になりやがって」

「フン、これだから脆弱な人間は気に入らんのだ……!」

「…………( ̄― ̄)ニヤリ」

しかし、それこそ俺の狙い通り。
現在俺の会社は倒産の危機を迎えていて、それは「俺が引き起こした自殺未遂のせい」だと多くの人間が思っていたし、俺も周りの人間に対してそう見えるように振る舞って来た。

だが、俺は会社が潰れる「きっかけ」の一部を作っただけであり、それを引き起こしたのは俺よりもはるかに大きな力を持つ魔物娘達なのだ。

そして会社が大規模なリストラを行う事を社内で発表した。
実力の低い者が全てリストラの候補に選ばれたが、俺はその中に入っていなかった。

会社がより強く実力至上主義を掲げている中で、
実力が無いにも関わらずリストラされていない俺は、
皆の恨みを会社では無く個人に向けさせる為にあえて残されたのだろう。

だ が し か し、
会社内がグダグダになっている間に、俺と魔物娘達の策略が真骨頂を迎える。

このタイミングで動いたのがディアの上司である「リリム」である。

突然だが、ディアの上司であるリリムさんは「M・O・M」という会社の女社長である。
M・O・Mはセクシーなデザインが特徴の服を扱う最近人気のブランドで、女性が女性らしくある為の服のデザインと販売を行っている会社……という事になっているが、
要は「魔物娘による、魔物娘の為の大きな服屋」みたいなものである。

そんなリリムさんは、あっという間に俺の会社を株式で買収してしまった。

硬派な男性向けのスーツのデザインを行っていた俺の会社では、正反対とも言えるM・O・Mに買収されるのは嫌だという者は沢山居たが、骨肉の争いを続けてきた会社内にその流れをひっくり返せる者は居なかった。

結果、会社の経営権はリリムさんが握る事となり、今までの経営体制は尽く崩れた。
予定されていた大規模なリストラも、中止になった。
当然、リリムさんのやり方を「実力主義に反している」という反発があったが、
彼女は「それがあったせいで、お前らの会社は我々に買収されたのだ」というような事言って一蹴した。

その時の首脳陣が見せた表情を今でもよく覚えている。
「鳩が豆鉄砲食らったような顔」と「苦虫を噛み潰したような顔」が混ざり合った、とても愉快な顔だった。

……ざまぁ見やがれ。

そして結局、俺の会社の従業員はM・O・Mの社員(全員魔物娘)によって、
皆魔物娘とインキュバスになり、俺を含む会社員全体の心身が共に強くなった為に業績も以前と比べてさらにアップした。

かつて俺を虐げた会社の連中は……今では皆こう言っている。
実力主義? そんなことより(自分の嫁と)セックスだ!! ……と。

今回の作戦のMVPを俺の独断と偏見によって決めるのなら、
今回の策略を9割以上考えた上で、ここぞというタイミングで皆に的確な助言を出していたディアだろう。

ディアは、俺の願いを魔物娘の勢力拡大に利用したのだ。
俺はディアとセックスをして夫婦となり、
ディア達は会社を乗っ取って自分達の勢力を拡大する。
今回の契約は、どちらにとってもご褒美となるような内容だったからこそ成立した。
まさにWin―Winである。

……とにかくこれで、俺とディアの契約は果たされた。





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現在、俺はディアとの2人暮らしである。

「ん……ちゅ……んむ……!」


「はううぅ……❤」

そして、俺達は絶賛セックス中である。

「はあ、はぁ……!
ディアの膣内、何度ヤっても気持ち良い……!」

「あらひも、きもちいいよぉ……❤
コータぁ、もっと突いてぇ……!」

「あぁ、任せろ!」

「あっ、はぁん❤
そうだよ! もっと激しく……!」

「でぃ、あ……ディア……!
大好きだ……! うっ、出る……!!」

「ああん❤ あたしもコータがだいしゅきぃ……❤
あん、イク、イッちゃう……❤」

もはや完全にインキュバスとなった俺の身体はディアの性欲と対等になり、お互いが満足するまで何度でもセックスをするようになった。
今日のような休日ともなれば休み無しで1日中ぶっ続けで交わる事もある。
そして、これからも俺達は毎日爛れた生活を送るのだろう。

「しかし……今さらこんな事言うのもなんだけれども。
ディアは、俺が夫で良かったのか?」

「何言ってるのさ。
あたしにとって、コータは最高の旦那様だよ」

「……そうか。
俺にとっても、ディアは最高のお嫁さんだよ」

「えへへ」

後から聞いた話ではあるが、ディアはどうやら「過激派」もしくは「急進派」と呼ばれる、
魔物娘の中でも過激な思想を持つ団体に所属していたらしい。
過激派の思想を要約すると「人間は皆魔物娘とインキュバスになるべき」というものだ。

無理やり人間を襲って魔物に変える事を得意とする過激派の中でディアは珍しく策略を得意とする参謀タイプであり、皆に一目置かれていたとか。

だが俺と出会った事でディアの考えは変わり、
「(相手が敵対していた場合を除き)どうしても嫌がる相手は襲わない」位の理性はあって良いんじゃないか? という程度になった為、所属していた組織を抜けたらしい。

彼女曰く、
俺が魔物であるディアに対してほとんど物怖じしなかったり、
インキュバスになりきっていない体でぶっ倒れるまでディアに精を注ぎ続けた事が彼女にとって相当嬉しかったらしく、自分が体験したような喜びを他の魔物娘から奪ってはならない……と思ったが故に、無理矢理人間を襲って魔物娘やインキュバスに変える過激派の考えに共感出来なくなってしまったとか。

だがしかし、過激派と呼ばれるような組織を「バイト辞めます」みたいな感覚で抜けて、
ディアは大丈夫だろうか?





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相田幸太とディアの2人が情事に耽っている最中に、彼らの自宅から数百メートル離れた場所に、数十人(?)の魔物娘が待機していた。
彼女らは、ディアが元々所属していた過激な組織のメンバーである。

「ディアには、我々の組織に戻って貰わねばならない。
彼女の考える策は、我々達の思想をこの世界で叶えるには必要なんだ」

組織のリーダーである、ディアとは異なる「デビル」の言葉に、メンバーの皆が頷く。

「そういえば……どうしてディアちゃんは組織を抜けるって言い出したのかな?」

「男とくっ付いて考え方がかなり温くなったらしい。
自分の為に男が自ら堕落してくれるという喜びを、他の魔物娘から奪うべきじゃないとか何とか……なんと羨ま……コホン! なんと愚かな……!」

メンバーの一人である「ダークスライム」の疑問に、デビルが答えた。
思わず本音が漏れてしまったリーダーに、メンバーの皆は心の中だけで苦笑いを浮かべた。

「それで、どうやってディアを連れ戻すんだ?」

メンバーの中から一人の「ミノタウロス」がリーダーに質問した。

「流石に、我々はディア達がセックスをしている時に乱入する程愚かでは無い……が。
情事が終わって、いわゆる賢者モードとなったディアなら我々の気配に気付く筈だ。
そうなれば、彼女から我々の方に向かって来るだろう。
後は、ディアの考え方が正しく変わるまで快楽の海に溺れて貰うしかあるまい?
……かつて教団側の人間だった彼女が我々の仲間になった時のように、ね……!」

「その必要は無いわ。
だってディアちゃん、貴方達が来るって分かってたんですもの」

「リリム様……!?」

ゲスな笑みを浮かべたリーダーを、どこからともなく現れたリリムが凛とした声で制する。

「新婚さんの情事をぶち壊さなかった事は褒めてあげるけども。
それにしたって、同胞に対して無理やり洗脳まがいの事をするのはおイタが過ぎるわ」

「そ、そんな……?
どうか……どうか、お許しを……!」

「い や よ。
さて、私は貴方達にこれからお仕置きをするけど……、
貴方達はそれでも自分達の考えを変えずにいられるかしら?」

組織のメンバーは自分達がディアに対してやろうとしていた事よりも、
恐ろしく、そして素晴らしい快感をその身に受ける事となったのだった。





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遠くから、微かに聞こえた多数の悲鳴と嬌声。
これを聞いて、ディアは自分の策が成功した事を知った。

「にひひっ、計画通り……!」

「ん? どしたのディア?」

「ううん、大丈夫。
ちょっとした問題が起きたみたいだけど、あたしが動く前にリリム様が解決しちゃったみたい」

「そっか。
まあ、ディアが大丈夫って言うのなら大丈夫なんだろうな。
んじゃ、もう1回シようか?」

「うんっ❤」





〜おしまい〜
14/03/29 10:05更新 / じゃむぱん

■作者メッセージ
こんなデビルちゃんも居たって良いんじゃね? 
……と思ってコレを書きました。

グダグダですが、ご容赦下さい。
3/29 右翼と左翼の違いが良く分からないまま書いていた場所を修正しました。

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