読切小説
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百合サバト!
ルツ「今日も来ない…。」

退屈そうに溜息をつくバフォメット。

彼女の名はルツという。この「バフォ様を愛でる会」の長である。

窓を見ているのは本人曰く

「最近は冒険者なんかが来なくて暇なので誰か来ないか見てる」らしい。

ちなみに「バフォ様を愛でる会」とは彼女が付けた名前ではなく、
別にちゃんとした名前があるが、敢えてスルーする。

リリィ(退屈そうなバフォメット様可愛い…!)

ミナ(シャッチャーン!)パシャッ

リリィ(現像したら私にも分けてね!)

ミナ(勿論よマイシスター!)

ロア(よくやるわね貴方達…。あ、私にも分けてね?)

リリィ(ロア姉いつの間に!?)

ロア(ステルス魔法程度使えなくてビデオが撮れますか!)

仲良くルツを盗撮する魔女3人。

「バフォ様を愛でる会」内で仲が良いことに定評があるらしい。

彼女たちは姉妹ではなく、ルツの定めたこのサバトの方針が

「皆が家族のように仲がいいサバト」である為

自然と「マイシスター!」などと言うようになるらしい。

尤も大抵の理由はそうではなく、

このサバトの魔女という魔女全てがルツを崇拝(というよりアイドル扱い)し、

事ある度にルツに萌えているので、

家族もしくはそれ以上の絆で結ばれている為である。

ちなみに、彼女たち三人が撮った写真は高値で売れている。

他の魔女からは

「隠密行動は限りなく下手だがカメラの腕は超一流」と呼ばれる程。

しかしロアだけはステルス魔法が使えるので別である。

端から見れば仲良く幼女が物陰で戯れているようにも見えるが

それでも盗撮は盗撮である。盗撮ダメ、ゼッタイ。

ルツ「まぁ、来ないほうが楽と言えば楽だけど…。
   閉じこもってばかりだと、体が鈍るわね…」

リリィ(バフォメット様の欠伸!欠伸よ!)ヒソヒソ

ロア(ちょっと黙りなさい!ビデオカメラに収めてるんだから!)

ミナ(ダビングしてね!)

ロア(OK!)

ルツ「この辺から物音が聞こえたなー何かあるのかなー(棒」

リリィ(こっちに向かって来る!)

ミナ(感づかれたというの!?早く逃げなきゃ!)

リリィ(逃げなきゃって言われてもミナが邪魔なのよ!)

ロア(来ないうちに気付かれないように逃げるのよ!)

リリィ(私たちはロア姉みたいにステルス魔法が使えないもん!)

本人たちは気付かれていないと確信しているが身を隠している柱から

明らかに体がはみ出ている上、カメラのフラッシュを切り忘れている

為冒頭の時点で既にルツは気付いている。つまり手遅れ。

ルツ「覚悟はできた?」

二人「いやあああああああああああぁぁぁぁ!!」

魔女1「またあの二人の声が…」

魔女2「あの二人絶望的に隠れるの下手だからね…」

ロア「危なかったわぁ」

魔女1「ロア姉さんお疲れ様です!今日の収穫は?」

ロア「ばっちりよ!良いのが撮れたわ!」

魔女2「楽しみです!」

魔女4「あの二人ってどうしてこうも…」

魔女3「そもそも隠れる気ないんじゃないのアレ?」

魔女2「ステルスも録画も出来る、ロア姉さんって凄い、改めてそう思った」

ロア「何はともあれ平和なのは良い事よね…」

魔女4「その平和もこのバフォ様を愛でる会きっての魔法部隊のお陰よね」

魔女3「あんなのが周りを囲ってるんだからそりゃ冒険者も近づけないわね…ふふっ。」

ロア「後でちゃんと報酬をあげないとね。撮れたてのバフォ様ムービー。」

今日もバフォ様を愛でる会は平和です。
12/08/06 01:18更新 / イトスギ

■作者メッセージ
初投稿のバフォメットSSです。楽しんでいただけたら幸いです。

ダンピールたんかわいいです。

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