読切小説
[TOP]
ぬらり姐さんがゆく。
「姐さん、好きだねぇ、『ぬら玄孫』」
「ぬらりひょんが主役格のマンガってそうないからな、大概ラスボスとかだし」
「そりゃそうだ、妖怪の総大将だもん」

我が家のご意見版、朔蘭姐さん。
彼女は魔物娘のぬらりひょんである。
姐さんは、俺と話を合わせるために、俺の部屋にあったマンガをちょいちょい読んでいるようで、中でも『ぬらりひょんの玄孫』がお気に入りらしい。

「でさ、『ぬら玄孫』で言わなくちゃいけないことがあるんだけどさ」
「......超絶嫌な予感がするんだけど」
「これさ、見て見て」

彼女が指さしたページには、
・ぬらりひょんが敵の四国の妖怪と対峙し、ビルの屋上の片隅に一時追い詰められるも離脱
・次に、敵の目の前にいるのに認識させない、反応できない状態になり、相手を倒す
シーンだった。

「......おい?」
「あのさ...あたしもこれ、できんのよ」
「...おい!! まさかな!?」

やめようよ...という俺に対して。

「シてみようぜ、外で」
「いっ...イーヤー!!」






「ということでやってきました、電車に」
「...もうハメてるけどね...」

俺たちはそこそこ人がいる電車の席で、背面座位でイタしていた。
当然、彼女の能力で、俺たちは他の乗客に認識されていない。
腰と尻を打ち付け合う音がだいぶ大きいが、それでもだ。

「おい、舌出しな」
「んっ...」

首を大きく左に回し、左手でこちらの頭を撫で回しながら、唇を奪う。
舌を派手に絡ませあうことで、決して小さいとは言えない水音が社内に響く。

「ぷはっ...自分で言うのもなんだけど、ここまでバレないとはねぇ」
「バレたら警察沙汰だよ? 嫌だよ、世間から変態扱いされるは」
「『なにして欲しい?』って聞かれて、授乳手コキ要求したやつのセリフとは思えないねぇ」
「...忘れてくれ...」

『次はX山です。ホームとの間が空いています。足もとにご注意ください〜』

......停車か...。
ん? X山は女子高が三つあったな...。
...さっきまでは人がまばらだからいいものの......嫌な予感がする。
痴漢系AVと同じ臭いがする!!

停車し、プシューと開いたドアから入ってきたのは、女子高生(人間と、化身している魔物娘。なんでか真の姿が感じ取れる)の軍勢だった。
我先にと空いている席に詰めかけていく。

自分たちの両隣に一人ずつ
(左:人間:図書委員っぽいメガネ娘、
 右:人間:クラスのアイドルっぽそうなカチューシャ黒髪ロングの子)、
正面向かいの席(三人組:アヌビス?、人間、デュラハン?)が座る。

まーじーかーよー。
これはキツいよ、俺の羞恥心が崩壊する、顔から火が出る的な意味で。
...よく今まで発火してないよなとも思うが。

自分の体温が上昇していくことが気づかれたのか、朔蘭姐さんがものすごく悪そうな笑みを浮かべる。
とんでもないことを企んでる顔だ、全力で阻止せねば!!

「おい、今から正面の三人組と両隣だけ術を解くぞ」
「頼む、早まるな!!」
「3、2、1...ゼロ」

姐さんが術を解いた瞬間、正面三人組と両隣二人がビクッとした。
まずい、悲鳴を上げられる......と思いきや、叫ぶのを通り越したしまったようだった。

まぁ、俺はズボン・パンツを足元まで落としてるものの、その上から姐さんが背面座位で乗っているんだ。
姐さんは大胆に足開き、大きな乳房も露出しているという漢女すぎるビジュアルである。
そりゃあ、姐さんの方が目立つ。
女性ばっかで、野郎に姐さんの痴態が見えてないのが救いだが。

左隣の図書委員っぽいメガネ娘(以下、メガネ子)が、おずおずと、だが興味有りげに朔蘭に話しかけてきた。

「なっ、なにをしてい...るんですか...?」
「見てわかんないかい? ダンナと電車内で露出交尾だよ」
「こっ、交尾ですかっ!?」

右隣のクラスのアイドルっぽそうなカチューシャ黒髪ロングの子(以下:黒髪子)が小さく叫ぶ。
...助かった...のか?

「少なくとも、理性あるのなら『セックス』とかいうのかもしれないけど、これはどっちかっていうとねぇ」

わかってんならやめてほしい、言うだけ無駄だろうが。

正面中央の人間の女の子(以下:人間女子)は、真っ赤になり顔を手で覆っている...が、しっかり指の間には隙間があり、俺たちの情事をしっかりと見ている。
その両隣のデュラハンとアヌビスは『なん...だと...』と固まっている。
お堅い種族だし、しょうがない...あとが怖いけど...。

「ほら、見えるか? アタシのアソコが、ダンナのをずっぽりくわえ込んでるのがさ」
「みっ、見えますぅ...」

正面の人間女子がか細い声を絞り出す。
その時、俺は絶頂を迎えてしまった。

「おっ、皆の衆わかるか、ダンナがイッたぞ」
「えっ!?」
「これが男の人のイク...」

やめてー、公衆の面前で絶頂とか...。
いろいろな意味で泣きそうになっていると、

『次はY々崎です。ホームとの間が空いています。足もとにご注意ください〜』

「おっ、次だな。さぁて身支度を整えないと、ほら」

ほらじゃないよ、こらやめねぇかって叫びたい心境だよ。

さっさと姐さんが引き抜いて立ち上がり服装と正していく。
一方自分は、割ともたつきながらだった。
...イッてからすぐ動くとか大変なんですよ?

なんとか服を着終えたタイミングを見計らって、姐さんが俺を、なんとお姫様抱っこしてきた。
この場合、お姫様が抱っこだろうか。

「さらばだ諸君、君たちにもいい出会いがありますように!!」

駅に停車し、扉が空くやさっさと出てしまった姐さん。
まぁ、あの場にいたくないし仕方ないが。




改札を後にし女子トイレの個室に逃げ込んで、姐さんは止まった。
相変わらず俺は抱っこされている。

「ふははは、人前でヤるというのもなかなか新鮮でイイ!!」
「俺は二度とゴメンだけどね...」

げんなりしている自分とは対照的に、姐さんはつやつやになっている。
なまらすげー、いい笑顔です。

「あっはっは...あー、お姫様だっこするのも疲れたな」
「だって改札からトイレまで結構距離があるからね」
「でだ、愛しの姐さんのお願いを聞いてくれるか?」
「...嫌です」
「なんだ、まだ内容を言ってないだろう」
「ろくでもないのだってわかるでしょうが」
「まー、そう言わずにさ」

あーだこーだもめ始めた俺たちだったが...。




「またかよ...」
「だって、ただ歩いて帰宅するだけだとつまらないだろう」
「帰宅することにエロを見出してんじゃないよ...」

俺たちは今、『弁当の売り子を模した体位』、 一般には略して『駅弁』と言われる体位で帰路に着いている。
俗に言う、『頭がフットーしそうだよおっっ』で有名なアレだ。
例に漏れず、一般人からは見えなくなっているが。

姐さんが全力でしがみついているため、大きな乳房が自分に押し付けれる。
ちなみに俺は上半身は、素肌の上に革ジャンを着ており、今はチャック全開である。
姐さんも着物の全面をはだけさせているため、腹と腹までくっついている。

やっぱりデンジャラスだよ、この女...。

そんなことを考えていると、T字路で小学生の集団下校と遭遇した。
今日は自分の休み(シフト勤務だから)だが、世間一般は普通に平日の4時くらいである、だから遭遇したのだろう。

無論、向こうからは見えていない、見えてたら大パニックになってる。
...逆に、俺たちには見えている。
主に担いで歩いている俺には。
姐さんは担がれている状態なので、後ろを向いている。

......俺は姐さんにイタズラしたくなった、イタズラしたいと初めて思った。

立ち止まって180度回って、姐さんが前方を向けるようにした。

すると

「ひっ♥」

という可愛らしい悲鳴と同時に、姐さんの中が思いっきり締まった。
それを刺激に、小学生の声をBGMに姐さんの中に思いっきり出す。

出てる出てる...ごっつ出てる。

絶頂を迎えたのは自分だけと思いきや、姐さんの中が痙攣している。
...姐さんもイッていたようだ。

「......姐さん、恥ずかしがるぐらいならやるなよ...」
「うるさい! うるさい! 恥ずかしがってなんかない! ほら帰るぞ!」
「へーい」

あれ、なんか主導権が逆転してる?
珍しいこともあるもんだ。

そう言いながら、俺はあと少しとなった家への道を歩き始めるのだった...。






数日後。

「おい、今日は休みだから映画でも見に行くか」
「勘弁してください...」

押し負けて結局映画館にいってしまった。


そして、彼氏持ちになり、魔物化した電車内で遭遇した女子高生ズとかち合ったのは別のお話。
17/04/24 20:19更新 / 妖怪人間ボム

■作者メッセージ
どうも、妖怪人間ボムです。

今回の話のコロンブスの卵となったのは、某ぬらりひょんが出てくるジャンプコミックスと、
その二次創作のエロ画像です。

「姐さんならできる、ぜってーできる!」

と思いついたら、気づいたら書き終わっていた。
ぬらり姐さーん、褒めてー!!

だが、ぬらり姐さんの魅力は語りきれるものではない。
あぁ、口惜しや...。

次回もよろしくお願いします。
それでは〜。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33