002 - それは伝染したのだった
２０１Ｘ年、１１月上旬のことだった。
にて、友人・西塔ヨシキと、自分...大葉タケルは連絡を取り合っていた。
そのＲＩＮＥで話している話題は、専門学校時代の友人、久村マサトが「そのうち暇を見て会えないかー？」と、連絡をしてきたことである。
タケル：にしても、マサトのやつ、どうしたんだろうな？
ヨシキ：さぁ...。だけど、電話口での訳わからんテンションがヒントだと思うが。
タケル：そうだ、電話といえば、マサトと話してたら、ちょっと呼ばれてるから切るわー、そうか、それじゃ仕方ないなーって、話終わったことがあるだけどさ。
ヨシキ：だけどさ？
タケル：そのとき、あいつの名前読んだの、女の声なんだよな。すっごい綺麗な声の。
ヨシキ：......まさかとは思うが。
タケル：だよなー、彼女が出来たのかもしれんなー...。
ヨシキ：...俺らも彼女見つけたほうがいいのかな？
タケル：いやいやいや、無理したところで、ズルい女に引っかかってもダメだし、焦るべきではないと思うの。
ヨシキ：だよなぁ...。
と、こんな流れの会話をしていた。
それから、５日後。
社会人になってから、たまに三人で集まってはなんか食べに行っている喫茶店『トルーパー』で落ち合うことになっていた。
「早いな、タケル」
「ちょっと、変な予感がしてよ...」
「気持ちは分かる」
ヨシキは、俺の座っている席（四人がけのテーブル席）に着いて、頬杖をついた
そんな会話をしていると、喫茶店のマスターがじきじきに、注文していたコーラを持ってきた。
「おう、どうした？ そんな眉間に皺よせてよ？」
「マスター、マサトの野郎に彼女ができたかもしれん...」
「へぇー、マジか。あいつにもいよいよ春がきたか...」
自分のことでもないのに、ちょっと嬉しそうなマスター。
こういう人だから、地元の人に愛される店を作れたのかもしれない。
その時、チリンチリンと鈴が鳴り、マサトと......明らかに日本人じゃない女が入店してきた。
俺は飲んでいたコーラを吹き出し、ヨシキはガクッと頬杖から落ち、マスターはカクンと脱力した。
「マサト......その人は誰だ？」
「あぁ彼女は、ワタクシの嫁ちゃんでーす♪」
「「「嫁ェ！？」」」
唖然とする俺たち三人。
彼女も通り越して嫁ですか？
「...で、どこの人？」
「どこで知り合った？」
「いつ式挙げた？」
「......彼女はブラジル人でよ、電車男みたいな馴れ初めだと思ってくれれば。籍を入れただけなので、あしからず」
「ブラジル人で、電車男ねぇ...」
「っていうか、今の間はなんだ」
ちょっと怪しいと思ったのは、俺だけではないはず。
その証拠に、マスターとヨシキも釈然としなさそうな顔である。
「まぁ、それは置いといて、ヨシキかタケル、どっちかの側に移ってくれない？」
「...あぁ、いいけどさ...」
そう言って、ヨシキが俺の隣に来て、二人が隣り合って席に着いた。
その時、チリンチリンと音が鳴り、黒づくめ...ちょうど、喪○福造みたいな格好の二色の髪の女が店に入ってきた。
「ごきげんよう、マスター。いつもの頼めるかい？」
「あぁ、黒づくめの姉ちゃん、わかった、今持っていく」
カウンター席に着いた女に、マスターが返事する。
それを不思議そうに眺めていたマサトは、マスターに問う。
「マスター、あの人は？」
「黒づくめの姉ちゃんか？ ひと月前から毎日この店に通っている常連さんだよ」
こともなげに説明するマスター。
それをマサトは聞いていたのだが、とんでもないことを言い出した。
「...ちょっと挨拶してくるか」
「おい、彼女連れでナンパか？」
思わずツッコンだ。
「ちっがうよ！！ あの人のおかげで、結婚できたからさ、お礼にと思ったんだよ」
「......どういうことだ？ 電車男はどうした？」
ヨシキのツッコミに、ハッとした顔になるマサト。
「......まぁ、お前らになら真実を教えても構わないかな......ねぇ？」
そう言って、嫁さんに同意を求めるマサト。
「そうですね、見た感じ、マサトさんと似たような方々ですしねぇ」
「どういう意味だ...」
若干、一緒にはされたくない。
「...よし、挨拶が済んだら説明してやっから、ちょっと待ってろ」
そう言って、マサトは女に近づいて、肩を叩いて話し始めた。
...ペコペコ頭を下げてお礼を言っているが、そんなにすごい女なのだろうか？
しばらくして戻ってきたマサト（と、その嫁さん）に質問を開始する。
「で、本当の馴れ初めはなんだ？」
「それはだな...」
マサトは変な出会い方をして、あの女に会ったこと、その女から変なカードを買ったこと、そのカードを使ったことで、嫁さんと出会ったこと、嫁さんが世間一般に『魔物』と言われる生命体であること...を、説明された。
「という感じだ、オーケー？」
「......頭が追いつかない...」
一番真面目なヨシキが眉間を押さえて唸る。
「で、そのカードの売人があの女？」
「イエス」
ヨシキ・マスター・俺で顔を見合わせる。
それをよそに、マサトはノロケを漏らし始めた。
「でよ、オナニーするにしても、嫁の目の前でして、かつ口の中に出さないと怒られるようになってよ...」
「だって、もったいないじゃない...」
マサトと嫁さんのやり取りを聞いていて...なんかこう、微妙な気分になってきた。
「......で、嫁さんがいると、なんか生活変わる？」
「変わるねー、嫁ちゃん...あっ、名前はロウェナっていうんだけどさ、なんと気合で同じ職場に就職してきたんだよ」
「マジかい...」
「それに料理は美味いし、朝優しく起こしてくれるし？ 家に他に誰もいないときは裸エプロンで料理作ってくれるし...」
それを聞いていて、嫁...もとい、彼女が欲しい方向に思考が動いてきた。
「一応確認するんだけど、あの人から買ったんだよな？」
「そうだよ？ どうした？」
「...俺、ちょっと買ってくるわ」
そう言って、マスターは小走りで行ってしまった。
...そういえば、独身だったっけ。
女と話して５分くらいで、マスターは一枚のカードを片手に戻ってきた。
「...それが例の？」
「みたいたぜ？ 俺のは哺乳類系だ」
「頑張ってよマスター？ 呼び出すのはしんどいから」
「しんどいって？」
「説明書に書いてるから、仕事が終わってからでも読んだほうがいいかな」
「わかった、やってみるわ。あと、俺は仕事に戻るから、あとは好きにしてくれや〜」
マスターはその場から去ってしまった。
「...で、哺乳類っていうと、何が来るの？」
「そうですね、稲荷とかキキーモラとか、あとはバフォメットとかですかね？」
「へぇ、そんな括りなんだ」
二人に会話を見ていたヨシキは、
「...よし、決心がついた」
「は？ なんの？」
「ちょっと買ってくるわ」
「はぁ！？ おい、ちょっと...」
小走りで女の下へと行って、５分くらいで戻ってきた。
「買ってきた」
「お前もかい...」
「ちなみに、種類は？」
「植物型だな」
「植物っていうと...」
「アルラウネやマンドラゴラ、ドリアードとかですね」
「へぇ...」
マジかよ、マスターもヨシキも買っちゃったのかよ...。
なんだこの、俺だけが買わないみたいな感じは...。
でも、冷静に考えると、真面目なヨシキも買うぐらい、彼女がいるといい方向に人生が進むってことだよな...。
それに、結婚したほうが寿命も延びるとかいうしな...。
うーん...。
「どうしたんですか、そんなに難しい顔して」
「...ロウェナさんに聞くんだけど、魔物娘って、どんな特徴があんの？ 魔物娘の代表として、あんたの口から聞きたい」
一瞬キョトンとしたものの、ちょっと笑って口を開いた。
「そうですね、基本的に一途で愛と情に厚くて、一度伴侶として認めたら、永遠に添い遂げる...などでしょうか？」
「............」
...２０代前半で嫁という縛りはできるが、それを差し引いてもお釣りが来る気がするなぁ...。
「...俺も買うかな...」
「なんと三人ともですか」
少し呆れていた様子のマサトだった。
お前は言う権利ないだろ、第一号なんだし。
「で、どれ買うの？」
「どれって、哺乳類と植物系と？」
「あとは、悪魔系はサキュバス、爬虫類系はドラゴン、水棲系はマーメイド、アンデッド系はヴァンパイアなど、エルフ・ドワーフ。トロールなどの亜人系、あとは不思議の国系とか、人と魔物の中間に位置する魔人系、私みたいなのが属する精霊系ですかね」
「そんなにあるのか......うーん......」
爬虫類系......ドラゴンみたいなのが人間型になってるって、想像できんな...。
水棲系......うん、困るね。
アンデッド......日中一緒にいられなそうなのは嫌だな〜...。
亜人...トロールがどんなのかわからないし、いいかな...。
魔人系とかを使って、ダ○テみたいなのが出てきても困るしなぁ...。
精霊系......ロウェナさんとかの他...たぶん、四大精霊とかだよな。
......不思議の国......チェシャ猫とか出てきても、たぶん困るからスルー。
無難に、サキュバスとか出てくる悪魔にするか...。
「...俺、悪魔系買ってくるわ」
「おう、行ってこーい」
マサトに見送られて、俺は女のもとへ歩いて行った。
「...お姉さん、ちょっといいですか？」
「カードが欲しいんだね？」
バレてました。
「で、どれにする？ いろいろあるけど」
「......じゃあ、悪魔系で」
「悪魔系か〜。王道だねぇ」
そう言って、女は一枚のカードを手渡してきた。
「で、お値段ですが、１万４千円で」
「......結構高いですね」
「『こっちから売る分には安く売っても構わないが、向こうからくるなら足元を見ろ』と、新人研修で習ったので」
「.....................」
持ち合わせがあったからいいけどさぁ...。
...参考までに、あとでマサトが何円で買ったか聞くか。
「で、これが説明書です」
「ドーモ...」
「あと、クーリングオフは受け付けておりませんので、ご了承ください」
「はーい...」
説明書を渡された俺は、諭吉（と、あと４枚）が去った財布を片手に、席に戻る。
「おー、どうだったよ？」
「結構高いんだな...」
「まぁ、１４００円なら高いよなー」
「...えっ？」
「えっ」
１４００円？ 俺、ぼったくられすぎだろ......。
とは言っても、既に遅すぎるのだった。
――――――――――――――――
その後、不安だった俺とヨシキは、マサトとロウェナさんに召喚の儀式に立ち会ってもらうことを約束させて自宅に帰った。
帰ってきて早々に、ヨシキと二人でマサトにいろいろなアドバイスを受けたあと、自宅にてイチモツから汁を絞っていた。
「これで...５発と！！」
その５発を空のペットボトルに入れ、続けて買ってきた墨汁を流し込む。
そして、それを思いっきり振った。
しばらく振り続けると、混ざり合って、墨汁が変な色になった。
これでいいだろう。
俺はマサトから貰った、一回使って、あと何にも使ってない模造紙に魔法陣を書き始めた。
――――――――――――――――――
それから時間が経ち、ＰＭ ３：００に、約束の時刻となった。
迎えに来たマサトの車には、ヨシキも乗っており、俺が最後らしかった。
そして４人で、町外れの森か林みたいな空き地にやってきた。
「で、ここが嫁ちゃんを召喚した場所だ」
「ここが？」
「で、そこの茂みが嫁ちゃんに初めて犯された場所だ」
「ですねー♥」ｸﾈｸﾈ
「「.........」」
屋外でヤるなよ。
怪訝な顔をしている俺たちをよそに、マサトは口を開いた。
「ところで、どっちから呼び出すの？」
「二人いっぺんに行かね？」
「...それは無茶だと思う...」
「なんで？」
「爆風が凄いんだ...だから俺の車だって、あんな３００ｍも離れた場所に停めてきたんだよ...」
「じゃあ、一人ずつ行くか...」
「なら、先にヨシキが行けよ、俺はあとでいいからさ」
「おっ、悪いなぁ...」
そう言って、ヨシキは魔法陣を書いた模造紙を地面に置いて、拾った石で四隅を固定した。
そして、コソコソと林の奥へ消えて行き、７分ほど経つと、白い液体が付着したカードを片手に戻ってきた。
「おーし、行くぜ」
そう言って、魔法陣の中心にカードを置き、ヨシキは説明書片手に詠唱を始める。
「おい、こっちにこい！！」
「へっ？ なんで？」
「いいから来い！！」
詠唱を始めた途端、マサトは俺と嫁さんの手を引っ張って、ヨシキから車６台分離れた林に連れ込んだ。
そして、木を盾にするように促してくる。
「これだけ離れて、盾もありゃ十分だろ...」
「そんなに吹っ飛ばされるのかよ...」
「少なくとも、召喚する奴の後ろにいるよりマシだよ...」
渋い顔をするマサトから目を離し、詠唱しているヨシキを見る。
既に、３部の詠唱を終えており、魔法陣は桃色の光を発していた。
４部を終え、５部も終えると...。
ドゥゥンッ！！
凄まじい爆風を音が発生した。
そして、吹き飛ばされて俺の縦にしていた木に激突するヨシキ、ここまで届いた爆風とヨシキが激突した衝撃に吹き飛ばされる俺、木を盾にしながら嫁さんを庇い、犠牲を出すことのなかったマサト。
「どうなった！？」
マサトが叫んでいるのが聞こえる。
尻をさすりながら立つ俺と、気にすがりながら立つヨシキ。
土煙が晴れてくると、そこにいたのは...。
「確認させて？」
「あなたが、私たちを召喚した人？」
巨大な百合の花の中に立つ、緑色の肌の女二人だった。
「あれは...リリラウネですね...」
「たしか、結構珍しいやつだっけ」
ちょっと感心している二人をよそに、俺はヨシキに返答するように促した。
「なんか答えてやれよ！！」
「えっ、うん、俺が、君たちを召喚した者で、西塔ヨシキっていいます、はい...」
心なしか、言葉に勢いがない。
「そう♥ 私はリーリオっていうの♥」
「アタシはリーリヤ♥ よろしくね♥」
「よっ、よろしく...」
おずおずと二人に近づくヨシキ。
ふたりの女は、百合の部分から蔦を出して、そのヨシキをツタで拘束してしまった。
「えっ、ちょっ」
「さーて、自己紹介も終わったことですし、召喚後一発目のもらいますかー♥」
「ですなー♥」
「ちょっとここ屋外...聞いてー！！」
ヨシキは抵抗するも、結局抵抗らしい抵抗ができずに、林の奥へと引きずり込まれてしまった。
防音系の魔法？ を使っているのか音が聞こえない...と思ったが、よく耳を澄ますと喘ぎ声が聞こえてくる。
...さっそく餌食になってしまったらしい、南無三。
「...なるほど、お前さんが茂みで嫁さんに押し倒されたわけがわかった」
「だろ？」
若干、後悔の念に襲われるも、今更中止には出来なかった。
１万４千円の元を取らねば。
「...で、行っていいかな？」
「いいんじゃないの？ ヨシキはあれだし」
「.........」
「.........」
「...やるか。でさ、一個気になってんだけど、これなんだ？」
「ん？ 『特殊詠唱』？ 『強化の属性の付加』？」
マサトと顔を見合わせるも、結局わからなかったので、ロウェナさんに聞く。
「これは...召喚対象を、より強化して召喚する詠唱みたいですね...。おそらく、召喚自体に影響のあるものではないでしょう」
「......使ってみるか」
「そりゃあ無茶だよ！！」
マサトが止めてくる。
「でもその方が、有事の時は助かるんじゃね？」
「でも、絶対に、絶対にやらないほうがいいと思うの！！」
小一時間揉めたが、結局、説得するのは無理と判断したようで、
「お前が買ったカードだ、お前の好きにしろ...」
と、匙を投げたのだった。
「そうさせてもらいます〜」
俺は魔法陣ペーパーを敷いて、石で固定。
それをマサトに見張ってもらっているうちに、林の奥（ヨシキのいるところとは反対）に隠れ、カードに一発ぶっかける。
最後に、詠唱に入る前に確認。
強化の詠唱は......４と５の間に入れるのか。
そうときまれば話は早い。
すぐに詠唱を始めるのだった。
１部、２部、３部、４部と終えると、魔法陣が紫に縁どられた黒い光を発する。
...いよいよ強化の詠唱を口にする時が来たのか。
"されど汝は、その眼を情欲に曇らせ侍るべし"
"汝、淫乱の檻に囚われし者"
"我はその鎖を手繰る者――"
...ん？
情欲？ 淫乱？
引っかかるワードが二つあったが、詠唱を辞めるわけにもいかなかった。
疑問を抱きながら、そんなことを思いながら、最後の詠唱に突入した。
"汝、異なる理を纏う闇天、天魔の國より来たれ"
"真実の愛の守り手よ"
詠唱を終えたその瞬間、閃光と爆風が発生した。
さきほど見ていたこともあり、地面に伏せて爆風を凌ぎ、なんとか吹き飛ばされるのは防ぐ。
爆風が収まってから顔を上げると、そこには、長い黒髪をたなびかせ、豊満な肢体を持つ、青い肌の、悪魔のような特徴を持った女がいた。
「あれは...デーモンですね...」
ロウェナさんの声が聞こえる。
それを悪魔の風貌をした女は、しゃがんで俺と同じ目線に合わせた。
その目は、どこか曇っている。
「あなたが...私の旦那様...？」
「...はい！ はい！！ ボクです！！！ 大葉タケルっていいます！！」
思わず一人称も変わった。
女...デーモンは言葉を返した。
「私は...ダプネー...よろしくね...」
「はい！！」
そして、思わず声のボリュームも上がる。
この人が俺の嫁さんかー...と感慨に浸っていると、デーモン...ダプネーは俺のことを、割と勢いよく突き飛ばした。
土下座から頭だけ上げたような状態から突き飛ばされ、ゴロンと転がった。
「何すんっ............！？」
俺は『何すんだ』と言おうとしたが、よく字面を見て欲しい。
『...』の多さと、語尾の『！？』。
この二つが目の前の状況を物語っていた。
「ハァ......♥ ハァ...♥ ハァッ...♥ ハァッ♥」
ダプネーは、既に出来上がっていた（性的な意味で）。
そして、飛びかかって、ビリビリとこっちの服を破いてきた。
「ちょっ、おい！！ せめて茂みで！！」
「もうっ...待てないっ...おチ○ポ...おチ○ポォォォォッ！！！」
「イヤァァァァァッ！！！」
悲鳴を上げる頃には既に大半の布地を奪われており、茂みに隠れることもできず、日が昇っているにもかかわらず、目を凝らせば道路から見える距離の場所で、犯され始めたのだった。
――――――――――――――
その頃、林の浅いところでは。
「強化って、性欲強化でしたか...」
「...だからやめろって言ったんだよ...」
「.........」
「.........」
「...マサトさん？」
「...わかってる、みなまで言うな。ここではヤりたくないから、車で、な」
「分かりました♥」
そう言って、ふたり仲良く、愛車へ向かうのだった...。
――――――――――――――
同じ空き地で、２組が青姦、１組がカーセックスに落ち着いた。
そして、全員が家に帰ったのは、翌朝の１０時だった。
だが、帰宅するに当たって、マサトの車が４人乗りで帰れず、やむなくタクシーを２台呼ぶことにしたのだった。
服の乱れた or 服が悲惨な状態になった男と、妙にツヤツヤした肌の女を見て、タクシーの運転手が悟ったような顔をしたのは、また別のお話である。
にて、友人・西塔ヨシキと、自分...大葉タケルは連絡を取り合っていた。
そのＲＩＮＥで話している話題は、専門学校時代の友人、久村マサトが「そのうち暇を見て会えないかー？」と、連絡をしてきたことである。
タケル：にしても、マサトのやつ、どうしたんだろうな？
ヨシキ：さぁ...。だけど、電話口での訳わからんテンションがヒントだと思うが。
タケル：そうだ、電話といえば、マサトと話してたら、ちょっと呼ばれてるから切るわー、そうか、それじゃ仕方ないなーって、話終わったことがあるだけどさ。
ヨシキ：だけどさ？
タケル：そのとき、あいつの名前読んだの、女の声なんだよな。すっごい綺麗な声の。
ヨシキ：......まさかとは思うが。
タケル：だよなー、彼女が出来たのかもしれんなー...。
ヨシキ：...俺らも彼女見つけたほうがいいのかな？
タケル：いやいやいや、無理したところで、ズルい女に引っかかってもダメだし、焦るべきではないと思うの。
ヨシキ：だよなぁ...。
と、こんな流れの会話をしていた。
それから、５日後。
社会人になってから、たまに三人で集まってはなんか食べに行っている喫茶店『トルーパー』で落ち合うことになっていた。
「早いな、タケル」
「ちょっと、変な予感がしてよ...」
「気持ちは分かる」
ヨシキは、俺の座っている席（四人がけのテーブル席）に着いて、頬杖をついた
そんな会話をしていると、喫茶店のマスターがじきじきに、注文していたコーラを持ってきた。
「おう、どうした？ そんな眉間に皺よせてよ？」
「マスター、マサトの野郎に彼女ができたかもしれん...」
「へぇー、マジか。あいつにもいよいよ春がきたか...」
自分のことでもないのに、ちょっと嬉しそうなマスター。
こういう人だから、地元の人に愛される店を作れたのかもしれない。
その時、チリンチリンと鈴が鳴り、マサトと......明らかに日本人じゃない女が入店してきた。
俺は飲んでいたコーラを吹き出し、ヨシキはガクッと頬杖から落ち、マスターはカクンと脱力した。
「マサト......その人は誰だ？」
「あぁ彼女は、ワタクシの嫁ちゃんでーす♪」
「「「嫁ェ！？」」」
唖然とする俺たち三人。
彼女も通り越して嫁ですか？
「...で、どこの人？」
「どこで知り合った？」
「いつ式挙げた？」
「......彼女はブラジル人でよ、電車男みたいな馴れ初めだと思ってくれれば。籍を入れただけなので、あしからず」
「ブラジル人で、電車男ねぇ...」
「っていうか、今の間はなんだ」
ちょっと怪しいと思ったのは、俺だけではないはず。
その証拠に、マスターとヨシキも釈然としなさそうな顔である。
「まぁ、それは置いといて、ヨシキかタケル、どっちかの側に移ってくれない？」
「...あぁ、いいけどさ...」
そう言って、ヨシキが俺の隣に来て、二人が隣り合って席に着いた。
その時、チリンチリンと音が鳴り、黒づくめ...ちょうど、喪○福造みたいな格好の二色の髪の女が店に入ってきた。
「ごきげんよう、マスター。いつもの頼めるかい？」
「あぁ、黒づくめの姉ちゃん、わかった、今持っていく」
カウンター席に着いた女に、マスターが返事する。
それを不思議そうに眺めていたマサトは、マスターに問う。
「マスター、あの人は？」
「黒づくめの姉ちゃんか？ ひと月前から毎日この店に通っている常連さんだよ」
こともなげに説明するマスター。
それをマサトは聞いていたのだが、とんでもないことを言い出した。
「...ちょっと挨拶してくるか」
「おい、彼女連れでナンパか？」
思わずツッコンだ。
「ちっがうよ！！ あの人のおかげで、結婚できたからさ、お礼にと思ったんだよ」
「......どういうことだ？ 電車男はどうした？」
ヨシキのツッコミに、ハッとした顔になるマサト。
「......まぁ、お前らになら真実を教えても構わないかな......ねぇ？」
そう言って、嫁さんに同意を求めるマサト。
「そうですね、見た感じ、マサトさんと似たような方々ですしねぇ」
「どういう意味だ...」
若干、一緒にはされたくない。
「...よし、挨拶が済んだら説明してやっから、ちょっと待ってろ」
そう言って、マサトは女に近づいて、肩を叩いて話し始めた。
...ペコペコ頭を下げてお礼を言っているが、そんなにすごい女なのだろうか？
しばらくして戻ってきたマサト（と、その嫁さん）に質問を開始する。
「で、本当の馴れ初めはなんだ？」
「それはだな...」
マサトは変な出会い方をして、あの女に会ったこと、その女から変なカードを買ったこと、そのカードを使ったことで、嫁さんと出会ったこと、嫁さんが世間一般に『魔物』と言われる生命体であること...を、説明された。
「という感じだ、オーケー？」
「......頭が追いつかない...」
一番真面目なヨシキが眉間を押さえて唸る。
「で、そのカードの売人があの女？」
「イエス」
ヨシキ・マスター・俺で顔を見合わせる。
それをよそに、マサトはノロケを漏らし始めた。
「でよ、オナニーするにしても、嫁の目の前でして、かつ口の中に出さないと怒られるようになってよ...」
「だって、もったいないじゃない...」
マサトと嫁さんのやり取りを聞いていて...なんかこう、微妙な気分になってきた。
「......で、嫁さんがいると、なんか生活変わる？」
「変わるねー、嫁ちゃん...あっ、名前はロウェナっていうんだけどさ、なんと気合で同じ職場に就職してきたんだよ」
「マジかい...」
「それに料理は美味いし、朝優しく起こしてくれるし？ 家に他に誰もいないときは裸エプロンで料理作ってくれるし...」
それを聞いていて、嫁...もとい、彼女が欲しい方向に思考が動いてきた。
「一応確認するんだけど、あの人から買ったんだよな？」
「そうだよ？ どうした？」
「...俺、ちょっと買ってくるわ」
そう言って、マスターは小走りで行ってしまった。
...そういえば、独身だったっけ。
女と話して５分くらいで、マスターは一枚のカードを片手に戻ってきた。
「...それが例の？」
「みたいたぜ？ 俺のは哺乳類系だ」
「頑張ってよマスター？ 呼び出すのはしんどいから」
「しんどいって？」
「説明書に書いてるから、仕事が終わってからでも読んだほうがいいかな」
「わかった、やってみるわ。あと、俺は仕事に戻るから、あとは好きにしてくれや〜」
マスターはその場から去ってしまった。
「...で、哺乳類っていうと、何が来るの？」
「そうですね、稲荷とかキキーモラとか、あとはバフォメットとかですかね？」
「へぇ、そんな括りなんだ」
二人に会話を見ていたヨシキは、
「...よし、決心がついた」
「は？ なんの？」
「ちょっと買ってくるわ」
「はぁ！？ おい、ちょっと...」
小走りで女の下へと行って、５分くらいで戻ってきた。
「買ってきた」
「お前もかい...」
「ちなみに、種類は？」
「植物型だな」
「植物っていうと...」
「アルラウネやマンドラゴラ、ドリアードとかですね」
「へぇ...」
マジかよ、マスターもヨシキも買っちゃったのかよ...。
なんだこの、俺だけが買わないみたいな感じは...。
でも、冷静に考えると、真面目なヨシキも買うぐらい、彼女がいるといい方向に人生が進むってことだよな...。
それに、結婚したほうが寿命も延びるとかいうしな...。
うーん...。
「どうしたんですか、そんなに難しい顔して」
「...ロウェナさんに聞くんだけど、魔物娘って、どんな特徴があんの？ 魔物娘の代表として、あんたの口から聞きたい」
一瞬キョトンとしたものの、ちょっと笑って口を開いた。
「そうですね、基本的に一途で愛と情に厚くて、一度伴侶として認めたら、永遠に添い遂げる...などでしょうか？」
「............」
...２０代前半で嫁という縛りはできるが、それを差し引いてもお釣りが来る気がするなぁ...。
「...俺も買うかな...」
「なんと三人ともですか」
少し呆れていた様子のマサトだった。
お前は言う権利ないだろ、第一号なんだし。
「で、どれ買うの？」
「どれって、哺乳類と植物系と？」
「あとは、悪魔系はサキュバス、爬虫類系はドラゴン、水棲系はマーメイド、アンデッド系はヴァンパイアなど、エルフ・ドワーフ。トロールなどの亜人系、あとは不思議の国系とか、人と魔物の中間に位置する魔人系、私みたいなのが属する精霊系ですかね」
「そんなにあるのか......うーん......」
爬虫類系......ドラゴンみたいなのが人間型になってるって、想像できんな...。
水棲系......うん、困るね。
アンデッド......日中一緒にいられなそうなのは嫌だな〜...。
亜人...トロールがどんなのかわからないし、いいかな...。
魔人系とかを使って、ダ○テみたいなのが出てきても困るしなぁ...。
精霊系......ロウェナさんとかの他...たぶん、四大精霊とかだよな。
......不思議の国......チェシャ猫とか出てきても、たぶん困るからスルー。
無難に、サキュバスとか出てくる悪魔にするか...。
「...俺、悪魔系買ってくるわ」
「おう、行ってこーい」
マサトに見送られて、俺は女のもとへ歩いて行った。
「...お姉さん、ちょっといいですか？」
「カードが欲しいんだね？」
バレてました。
「で、どれにする？ いろいろあるけど」
「......じゃあ、悪魔系で」
「悪魔系か〜。王道だねぇ」
そう言って、女は一枚のカードを手渡してきた。
「で、お値段ですが、１万４千円で」
「......結構高いですね」
「『こっちから売る分には安く売っても構わないが、向こうからくるなら足元を見ろ』と、新人研修で習ったので」
「.....................」
持ち合わせがあったからいいけどさぁ...。
...参考までに、あとでマサトが何円で買ったか聞くか。
「で、これが説明書です」
「ドーモ...」
「あと、クーリングオフは受け付けておりませんので、ご了承ください」
「はーい...」
説明書を渡された俺は、諭吉（と、あと４枚）が去った財布を片手に、席に戻る。
「おー、どうだったよ？」
「結構高いんだな...」
「まぁ、１４００円なら高いよなー」
「...えっ？」
「えっ」
１４００円？ 俺、ぼったくられすぎだろ......。
とは言っても、既に遅すぎるのだった。
――――――――――――――――
その後、不安だった俺とヨシキは、マサトとロウェナさんに召喚の儀式に立ち会ってもらうことを約束させて自宅に帰った。
帰ってきて早々に、ヨシキと二人でマサトにいろいろなアドバイスを受けたあと、自宅にてイチモツから汁を絞っていた。
「これで...５発と！！」
その５発を空のペットボトルに入れ、続けて買ってきた墨汁を流し込む。
そして、それを思いっきり振った。
しばらく振り続けると、混ざり合って、墨汁が変な色になった。
これでいいだろう。
俺はマサトから貰った、一回使って、あと何にも使ってない模造紙に魔法陣を書き始めた。
――――――――――――――――――
それから時間が経ち、ＰＭ ３：００に、約束の時刻となった。
迎えに来たマサトの車には、ヨシキも乗っており、俺が最後らしかった。
そして４人で、町外れの森か林みたいな空き地にやってきた。
「で、ここが嫁ちゃんを召喚した場所だ」
「ここが？」
「で、そこの茂みが嫁ちゃんに初めて犯された場所だ」
「ですねー♥」ｸﾈｸﾈ
「「.........」」
屋外でヤるなよ。
怪訝な顔をしている俺たちをよそに、マサトは口を開いた。
「ところで、どっちから呼び出すの？」
「二人いっぺんに行かね？」
「...それは無茶だと思う...」
「なんで？」
「爆風が凄いんだ...だから俺の車だって、あんな３００ｍも離れた場所に停めてきたんだよ...」
「じゃあ、一人ずつ行くか...」
「なら、先にヨシキが行けよ、俺はあとでいいからさ」
「おっ、悪いなぁ...」
そう言って、ヨシキは魔法陣を書いた模造紙を地面に置いて、拾った石で四隅を固定した。
そして、コソコソと林の奥へ消えて行き、７分ほど経つと、白い液体が付着したカードを片手に戻ってきた。
「おーし、行くぜ」
そう言って、魔法陣の中心にカードを置き、ヨシキは説明書片手に詠唱を始める。
「おい、こっちにこい！！」
「へっ？ なんで？」
「いいから来い！！」
詠唱を始めた途端、マサトは俺と嫁さんの手を引っ張って、ヨシキから車６台分離れた林に連れ込んだ。
そして、木を盾にするように促してくる。
「これだけ離れて、盾もありゃ十分だろ...」
「そんなに吹っ飛ばされるのかよ...」
「少なくとも、召喚する奴の後ろにいるよりマシだよ...」
渋い顔をするマサトから目を離し、詠唱しているヨシキを見る。
既に、３部の詠唱を終えており、魔法陣は桃色の光を発していた。
４部を終え、５部も終えると...。
ドゥゥンッ！！
凄まじい爆風を音が発生した。
そして、吹き飛ばされて俺の縦にしていた木に激突するヨシキ、ここまで届いた爆風とヨシキが激突した衝撃に吹き飛ばされる俺、木を盾にしながら嫁さんを庇い、犠牲を出すことのなかったマサト。
「どうなった！？」
マサトが叫んでいるのが聞こえる。
尻をさすりながら立つ俺と、気にすがりながら立つヨシキ。
土煙が晴れてくると、そこにいたのは...。
「確認させて？」
「あなたが、私たちを召喚した人？」
巨大な百合の花の中に立つ、緑色の肌の女二人だった。
「あれは...リリラウネですね...」
「たしか、結構珍しいやつだっけ」
ちょっと感心している二人をよそに、俺はヨシキに返答するように促した。
「なんか答えてやれよ！！」
「えっ、うん、俺が、君たちを召喚した者で、西塔ヨシキっていいます、はい...」
心なしか、言葉に勢いがない。
「そう♥ 私はリーリオっていうの♥」
「アタシはリーリヤ♥ よろしくね♥」
「よっ、よろしく...」
おずおずと二人に近づくヨシキ。
ふたりの女は、百合の部分から蔦を出して、そのヨシキをツタで拘束してしまった。
「えっ、ちょっ」
「さーて、自己紹介も終わったことですし、召喚後一発目のもらいますかー♥」
「ですなー♥」
「ちょっとここ屋外...聞いてー！！」
ヨシキは抵抗するも、結局抵抗らしい抵抗ができずに、林の奥へと引きずり込まれてしまった。
防音系の魔法？ を使っているのか音が聞こえない...と思ったが、よく耳を澄ますと喘ぎ声が聞こえてくる。
...さっそく餌食になってしまったらしい、南無三。
「...なるほど、お前さんが茂みで嫁さんに押し倒されたわけがわかった」
「だろ？」
若干、後悔の念に襲われるも、今更中止には出来なかった。
１万４千円の元を取らねば。
「...で、行っていいかな？」
「いいんじゃないの？ ヨシキはあれだし」
「.........」
「.........」
「...やるか。でさ、一個気になってんだけど、これなんだ？」
「ん？ 『特殊詠唱』？ 『強化の属性の付加』？」
マサトと顔を見合わせるも、結局わからなかったので、ロウェナさんに聞く。
「これは...召喚対象を、より強化して召喚する詠唱みたいですね...。おそらく、召喚自体に影響のあるものではないでしょう」
「......使ってみるか」
「そりゃあ無茶だよ！！」
マサトが止めてくる。
「でもその方が、有事の時は助かるんじゃね？」
「でも、絶対に、絶対にやらないほうがいいと思うの！！」
小一時間揉めたが、結局、説得するのは無理と判断したようで、
「お前が買ったカードだ、お前の好きにしろ...」
と、匙を投げたのだった。
「そうさせてもらいます〜」
俺は魔法陣ペーパーを敷いて、石で固定。
それをマサトに見張ってもらっているうちに、林の奥（ヨシキのいるところとは反対）に隠れ、カードに一発ぶっかける。
最後に、詠唱に入る前に確認。
強化の詠唱は......４と５の間に入れるのか。
そうときまれば話は早い。
すぐに詠唱を始めるのだった。
１部、２部、３部、４部と終えると、魔法陣が紫に縁どられた黒い光を発する。
...いよいよ強化の詠唱を口にする時が来たのか。
"されど汝は、その眼を情欲に曇らせ侍るべし"
"汝、淫乱の檻に囚われし者"
"我はその鎖を手繰る者――"
...ん？
情欲？ 淫乱？
引っかかるワードが二つあったが、詠唱を辞めるわけにもいかなかった。
疑問を抱きながら、そんなことを思いながら、最後の詠唱に突入した。
"汝、異なる理を纏う闇天、天魔の國より来たれ"
"真実の愛の守り手よ"
詠唱を終えたその瞬間、閃光と爆風が発生した。
さきほど見ていたこともあり、地面に伏せて爆風を凌ぎ、なんとか吹き飛ばされるのは防ぐ。
爆風が収まってから顔を上げると、そこには、長い黒髪をたなびかせ、豊満な肢体を持つ、青い肌の、悪魔のような特徴を持った女がいた。
「あれは...デーモンですね...」
ロウェナさんの声が聞こえる。
それを悪魔の風貌をした女は、しゃがんで俺と同じ目線に合わせた。
その目は、どこか曇っている。
「あなたが...私の旦那様...？」
「...はい！ はい！！ ボクです！！！ 大葉タケルっていいます！！」
思わず一人称も変わった。
女...デーモンは言葉を返した。
「私は...ダプネー...よろしくね...」
「はい！！」
そして、思わず声のボリュームも上がる。
この人が俺の嫁さんかー...と感慨に浸っていると、デーモン...ダプネーは俺のことを、割と勢いよく突き飛ばした。
土下座から頭だけ上げたような状態から突き飛ばされ、ゴロンと転がった。
「何すんっ............！？」
俺は『何すんだ』と言おうとしたが、よく字面を見て欲しい。
『...』の多さと、語尾の『！？』。
この二つが目の前の状況を物語っていた。
「ハァ......♥ ハァ...♥ ハァッ...♥ ハァッ♥」
ダプネーは、既に出来上がっていた（性的な意味で）。
そして、飛びかかって、ビリビリとこっちの服を破いてきた。
「ちょっ、おい！！ せめて茂みで！！」
「もうっ...待てないっ...おチ○ポ...おチ○ポォォォォッ！！！」
「イヤァァァァァッ！！！」
悲鳴を上げる頃には既に大半の布地を奪われており、茂みに隠れることもできず、日が昇っているにもかかわらず、目を凝らせば道路から見える距離の場所で、犯され始めたのだった。
――――――――――――――
その頃、林の浅いところでは。
「強化って、性欲強化でしたか...」
「...だからやめろって言ったんだよ...」
「.........」
「.........」
「...マサトさん？」
「...わかってる、みなまで言うな。ここではヤりたくないから、車で、な」
「分かりました♥」
そう言って、ふたり仲良く、愛車へ向かうのだった...。
――――――――――――――
同じ空き地で、２組が青姦、１組がカーセックスに落ち着いた。
そして、全員が家に帰ったのは、翌朝の１０時だった。
だが、帰宅するに当たって、マサトの車が４人乗りで帰れず、やむなくタクシーを２台呼ぶことにしたのだった。
服の乱れた or 服が悲惨な状態になった男と、妙にツヤツヤした肌の女を見て、タクシーの運転手が悟ったような顔をしたのは、また別のお話である。
15/09/18 22:32更新 / 妖怪人間ボム
戻る
次へ