heartstrings
アパートの階段を息を切らして駆け上がる、約束の時間はとうに過ぎていた
最後の一段を右足で踏み込み、手前から二番目の扉に休む間もなく駆け込む
「…やばい、２時間も遅れてる」
時間に厳しい彼女のことだ、相当怒っているだろう
汗で身体に張り付くYシャツを無理やり引きはがしながら、PCのボタンを一瞬躊躇しながらも指を押し込んだ
「時間すぎると面倒なんだよなぁ…ユリニオさんは」
フォォン…と、慌ただしい俺と対象にPCは静かに起き上がる、そのまま流れるようにマウスを動かしスカイプを起動させる
「…うわ」
ログインして３秒でかかってきた、どれだけ連続ダイヤルしているんだこの人…
俺は恐る恐るビデオ通話を選択する
「遅い！」
起動した途端不機嫌を絵にかいたような顔をした金髪ロングの碧眼が怒号と共に画面いっぱいに表示された
「約束は九時半だったろう！どれだけ待たせるのだ！」
「あー…いや、すいません…急に残業入って」
予想通りの反応に俺は若干おざなりにマイクを調整しながら謝罪する
画面の向こうには青と白で構成された西洋風の鎧を身にまとった女性がうつされている
その側頭部と背中からは普通の人間に似つかわしくない籐黄色の美しい翼がフヨフヨとなびいている
ヴァルキリーと呼ばれる彼女に初めて会ったのは数か月前の交通事故の日、死にかけた俺を手違いで迎えに来てしまったのがきっかけだった
俺の魂をファンタジーな世界に連れていき、そこで輪廻転生させるつもりだったらしい
その時に「次また迎えに行く」ために勇者前世とどうしてもコンタクトを取りたいと言い出した彼女に丁度設定したばかりのスカイプのアカウントを教えてみた
結果、あっさりと彼女の方から電話がきた、異世界の壁がスカイプに破られるとは夢にも思わず電波の底力を見せつけられた気がした
それ以来仕事が終わるたびにこうしてスカイプを通して雑談をしている
ちなみに画面の向こうの背景はもやがかかったようになっていて焦点がうまく合わない、天界とスカイプだなんて不思議だがやろうと思えばできるものなんだなぁ
「…ってなかんじで急な残業だったんです、大変だったんです」
俺はその日のこと、大体は愚痴でできたストーリーを彼女に話す
なんだかんだいいながらちゃんと聞いてくれるのでやはりヴァルキリーって天使なんだなと感じる、ユリニオたんマジ天使
「はぁ…相変わらずだな、勇者前世の貴様を監視するのが仕事とはいえ…そんなに大変な任務なら早く死んでこちらにくればよかろうに」
「いやぁ、それはちょっとまだ遠慮したいです…」
「なにをいう、タクよ…貴様は仮にも未来の世界を救う勇者の前世だぞ？これはとても光栄なことなのだ、貴様が死んで私の世界に来て生まれ変わることでどれだけのものが喜ぶと思っているのだ」
「そんなこと言われても」
「貴様の戦場の近くの高層ビルとやらからちょいと飛び降りればあッという間に勇者だぞ？カッコいいぞ勇者は、ほらデスクワークで疲れた羽をのばすには丁度いいぞ」
「それで飛び降りたら違う意味で勇者です」
羽伸びすぎてもげるわ
天界の騎士様が飛び落り自殺を薦めるとか、ヴァルキリーって天使とかと同類じゃないのか…
彼女は側頭部から伸びた頭羽を撫でながら俺の怪訝な顔を一瞥する
ほんの少しの間その綺麗な碧眼に見つめられていたが、おもむろに息を吐きだすと言葉を続けた
「そういえば初めて会ってずいぶん経つな…」
「そうですね、あの事故から半年くらい経ちますかね？」
「最初見たときは貴様など
『町の中にいると魔王が世界をほろばすなんてまるで嘘みたいよね』
などとぬかす住民Aくらいの生まれ変わりじゃないかと思っていたな」
「ド○クエか何かですか」
「３のアリ○ハンだ」
「詳しいですねユリニオさん…」
天界にも二次元的な文化ってあるのだろうか？
「まぁ俺もまさか自分の来世がそんな大層なものとは思わなかったですし」
「そうだな…私も意外だったさ、勇者の前世を迎えに行って来いと言われたからどんな立派な人間だろうと実際に来てみれば…これだからな、こんなにも体からモブ前世オーラがにじみ出ているとは」
「さっきからひどい言われようですね…」
愚痴を聞いてもらった分の嫌がらせなのだろうか、ちょっと楽しそうですらある
天使とは思えない毒舌で貶めてくるユリニオたんマジ小悪魔
てかモブ前世オーラってなんですか？常時みりょくとかすばやさとかあがっちゃうヤツですか、モブなのに
「まぁ実際手違いみたいなもんですから…今日も仕事できなくて遅れてしまったし、そろそろ本気でくたばった方がいいかもですね」
「そうだな…練炭とかどうだ？」
「どれだけ俺のこと死なせたいんですか」
「え…？そ…そんなの…貴様に早く会いたいからに決まっているだろう！」
「可愛くいってもだめですから」
急にもじもじと体を揺らすユリニオさんを一蹴する
あっさりと返されたせいか彼女は照れ顔を早々に崩してチッと軽く舌打ちをする、自分の美貌の使い方分かってるから立ちが悪いよ
「冗談に決まってるでしょう…そんな思い付きで死んだりしませんよ」
「まぁ、いい加減な理由で死なれても勇者前世っぽくないからな…モブだろうと人生は大事にしないといけないからなっ！」
「…ハハハそうですね」
何もいいこと言えてねぇよ、とはいわなかった
なぜか得意げに語る彼女に思わず乾いた笑いが出てくる、勇者前世っぽい人生て
この人話し始めたころよりは柔らかくなったけどホントこの人毒舌だな
俺は少し咳払いをすると画面の向こうの彼女の方に向き直った
これは一度しっかり宣言しとかないといけないかもしれない
こんな俺でも最近思うことがあるのだ
「ユリニオさん」
「…どうした？急に改まって」
「申し訳ないけど、俺はまだ当分死ねません…大切な家族や友人がいます、やり残したこともまだたくさんあります」
「…そうか」
残念そうに彼女はそう答える
「死んでとっとと勇者にバトンタッチした方がいいのはわかってます、それでも今いる環境の人たちをないがしろにするような人間が前世なんて…未来の勇者に申し訳ないと思うんです、なにより俺個人としてそんな恩知らずなことはできないです
だから、勇者前世として精一杯の生きる努力はしたいと思っています」
淡々と話す俺に彼女はまっすぐにこちらに碧眼を向けながら清聴してくれている
彼女のこういうところはとても好きだ、誠意をもって人に付き添い成長させてくれる力を持っている
俺はそんな彼女をみると、こっぱずかしいことを言ってるのはわかっていても彼女ならきっと全部聞いてくれる、そう感じてしまうのだ
「でも…俺はそのうちきっと死にます、何十年か先にはいつか必ず…そのときそちらに向かいます、そうしたら一緒にご飯を食べて…剣の修行をして…世界を旅しましょう」
死といういつか必ず未来、こちらの世界を去らなくてはいけない時を思うと悲しくなることもある
記憶だって死んだらそれまでだ、俺は生きて生身の彼女に会うことはできないだろう
しょせんは前世であり、モニター越しで彼女を見守るだけで俺自身が勇者になるわけではないのだ
ただそれでもいいと半分あきらめのような納得はしている
死の向こうで、俺自身の終わりのその先に彼女が待っていると思うと
なんとなくだけど恐さも寂しさも和らぐ気がするのだ
俺の言葉を受け止めた彼女は反芻するように頷いた
「…ああ、わかった、多少長いが…貴様が貴様なりの人生を全うするまで…私はずっと待っているからな」
「はい」
「でもなるべく早く全うして死んでくれ」
「この流れでその返しですか」
照れくさいのをごまかしながら遠い未来の約束を結ぶ
「…あ、そうだ、タク…もうひとつだ」
「…なんでしょう？」
「嫁さんはもらうんじゃないぞ？」
「…生涯独身決定ですか」
「あ、あたり前だ！///私を差し置いて結婚する気か貴様！勇者前世のくせに！」
「わかりましたわかりましたから、しませんから」
楽しい時間はあっという間に過ぎていく、そろそろ風呂に入ったりしないといけない
勇者前世は明日も元気にお仕事なのだ
「じゃあ、明日も早いしこのへんで、未来の勇者のために明日もがんばりますかー」
「ああ、さっさと寝ろ、そしてそのまま死ね」
「ブレないですねユリニオさん」
「当たり前だ、ヴァルキリーがいつも堕落すると思うなよ？」
「まぁ堕落ものは好きですけど」
「くたばれ変態」
「あ、今の言い方いいですね」
「どうしようもないな貴様」
「ハハハ…」
そんなやりとりを名残惜しいように感じながらも、俺はビデオ電話を切ろうとする
「あ、そうだ…タクよ」
「まだ何かあるんですか？」
彼女がボソボソと言いよどみながらつぶやく
「あー…実はな、えー言い忘れてたのだが…実は『神の声』から連絡が来てだな
それによると…貴様は前世といえど、勇者の素質を持つ魂だからな
別にリセットをしなくてもいいらしい…
つまり…『記憶を持ったままニューゲーム』というのができるらしい」
「……」
「だからな…記憶の心配はいらないからな
その点は安心するといい
…で、その…さっきは待っていると言っておきながら
勝手な個人的な気持ちを言わせてもらうとだな……
できれば、今すぐにでも…こっちにきてほしい♥」
―――――
「…――では次のニュースです、本日○○区の△△ビルの屋上から飛び降り未遂を実行した男の身柄が確保されました
男は終始『俺は勇者になるんです！』『ユリニオさんに会いに行く』などといった謎の言葉を連呼しており……」
最後の一段を右足で踏み込み、手前から二番目の扉に休む間もなく駆け込む
「…やばい、２時間も遅れてる」
時間に厳しい彼女のことだ、相当怒っているだろう
汗で身体に張り付くYシャツを無理やり引きはがしながら、PCのボタンを一瞬躊躇しながらも指を押し込んだ
「時間すぎると面倒なんだよなぁ…ユリニオさんは」
フォォン…と、慌ただしい俺と対象にPCは静かに起き上がる、そのまま流れるようにマウスを動かしスカイプを起動させる
「…うわ」
ログインして３秒でかかってきた、どれだけ連続ダイヤルしているんだこの人…
俺は恐る恐るビデオ通話を選択する
「遅い！」
起動した途端不機嫌を絵にかいたような顔をした金髪ロングの碧眼が怒号と共に画面いっぱいに表示された
「約束は九時半だったろう！どれだけ待たせるのだ！」
「あー…いや、すいません…急に残業入って」
予想通りの反応に俺は若干おざなりにマイクを調整しながら謝罪する
画面の向こうには青と白で構成された西洋風の鎧を身にまとった女性がうつされている
その側頭部と背中からは普通の人間に似つかわしくない籐黄色の美しい翼がフヨフヨとなびいている
ヴァルキリーと呼ばれる彼女に初めて会ったのは数か月前の交通事故の日、死にかけた俺を手違いで迎えに来てしまったのがきっかけだった
俺の魂をファンタジーな世界に連れていき、そこで輪廻転生させるつもりだったらしい
その時に「次また迎えに行く」ために勇者前世とどうしてもコンタクトを取りたいと言い出した彼女に丁度設定したばかりのスカイプのアカウントを教えてみた
結果、あっさりと彼女の方から電話がきた、異世界の壁がスカイプに破られるとは夢にも思わず電波の底力を見せつけられた気がした
それ以来仕事が終わるたびにこうしてスカイプを通して雑談をしている
ちなみに画面の向こうの背景はもやがかかったようになっていて焦点がうまく合わない、天界とスカイプだなんて不思議だがやろうと思えばできるものなんだなぁ
「…ってなかんじで急な残業だったんです、大変だったんです」
俺はその日のこと、大体は愚痴でできたストーリーを彼女に話す
なんだかんだいいながらちゃんと聞いてくれるのでやはりヴァルキリーって天使なんだなと感じる、ユリニオたんマジ天使
「はぁ…相変わらずだな、勇者前世の貴様を監視するのが仕事とはいえ…そんなに大変な任務なら早く死んでこちらにくればよかろうに」
「いやぁ、それはちょっとまだ遠慮したいです…」
「なにをいう、タクよ…貴様は仮にも未来の世界を救う勇者の前世だぞ？これはとても光栄なことなのだ、貴様が死んで私の世界に来て生まれ変わることでどれだけのものが喜ぶと思っているのだ」
「そんなこと言われても」
「貴様の戦場の近くの高層ビルとやらからちょいと飛び降りればあッという間に勇者だぞ？カッコいいぞ勇者は、ほらデスクワークで疲れた羽をのばすには丁度いいぞ」
「それで飛び降りたら違う意味で勇者です」
羽伸びすぎてもげるわ
天界の騎士様が飛び落り自殺を薦めるとか、ヴァルキリーって天使とかと同類じゃないのか…
彼女は側頭部から伸びた頭羽を撫でながら俺の怪訝な顔を一瞥する
ほんの少しの間その綺麗な碧眼に見つめられていたが、おもむろに息を吐きだすと言葉を続けた
「そういえば初めて会ってずいぶん経つな…」
「そうですね、あの事故から半年くらい経ちますかね？」
「最初見たときは貴様など
『町の中にいると魔王が世界をほろばすなんてまるで嘘みたいよね』
などとぬかす住民Aくらいの生まれ変わりじゃないかと思っていたな」
「ド○クエか何かですか」
「３のアリ○ハンだ」
「詳しいですねユリニオさん…」
天界にも二次元的な文化ってあるのだろうか？
「まぁ俺もまさか自分の来世がそんな大層なものとは思わなかったですし」
「そうだな…私も意外だったさ、勇者の前世を迎えに行って来いと言われたからどんな立派な人間だろうと実際に来てみれば…これだからな、こんなにも体からモブ前世オーラがにじみ出ているとは」
「さっきからひどい言われようですね…」
愚痴を聞いてもらった分の嫌がらせなのだろうか、ちょっと楽しそうですらある
天使とは思えない毒舌で貶めてくるユリニオたんマジ小悪魔
てかモブ前世オーラってなんですか？常時みりょくとかすばやさとかあがっちゃうヤツですか、モブなのに
「まぁ実際手違いみたいなもんですから…今日も仕事できなくて遅れてしまったし、そろそろ本気でくたばった方がいいかもですね」
「そうだな…練炭とかどうだ？」
「どれだけ俺のこと死なせたいんですか」
「え…？そ…そんなの…貴様に早く会いたいからに決まっているだろう！」
「可愛くいってもだめですから」
急にもじもじと体を揺らすユリニオさんを一蹴する
あっさりと返されたせいか彼女は照れ顔を早々に崩してチッと軽く舌打ちをする、自分の美貌の使い方分かってるから立ちが悪いよ
「冗談に決まってるでしょう…そんな思い付きで死んだりしませんよ」
「まぁ、いい加減な理由で死なれても勇者前世っぽくないからな…モブだろうと人生は大事にしないといけないからなっ！」
「…ハハハそうですね」
何もいいこと言えてねぇよ、とはいわなかった
なぜか得意げに語る彼女に思わず乾いた笑いが出てくる、勇者前世っぽい人生て
この人話し始めたころよりは柔らかくなったけどホントこの人毒舌だな
俺は少し咳払いをすると画面の向こうの彼女の方に向き直った
これは一度しっかり宣言しとかないといけないかもしれない
こんな俺でも最近思うことがあるのだ
「ユリニオさん」
「…どうした？急に改まって」
「申し訳ないけど、俺はまだ当分死ねません…大切な家族や友人がいます、やり残したこともまだたくさんあります」
「…そうか」
残念そうに彼女はそう答える
「死んでとっとと勇者にバトンタッチした方がいいのはわかってます、それでも今いる環境の人たちをないがしろにするような人間が前世なんて…未来の勇者に申し訳ないと思うんです、なにより俺個人としてそんな恩知らずなことはできないです
だから、勇者前世として精一杯の生きる努力はしたいと思っています」
淡々と話す俺に彼女はまっすぐにこちらに碧眼を向けながら清聴してくれている
彼女のこういうところはとても好きだ、誠意をもって人に付き添い成長させてくれる力を持っている
俺はそんな彼女をみると、こっぱずかしいことを言ってるのはわかっていても彼女ならきっと全部聞いてくれる、そう感じてしまうのだ
「でも…俺はそのうちきっと死にます、何十年か先にはいつか必ず…そのときそちらに向かいます、そうしたら一緒にご飯を食べて…剣の修行をして…世界を旅しましょう」
死といういつか必ず未来、こちらの世界を去らなくてはいけない時を思うと悲しくなることもある
記憶だって死んだらそれまでだ、俺は生きて生身の彼女に会うことはできないだろう
しょせんは前世であり、モニター越しで彼女を見守るだけで俺自身が勇者になるわけではないのだ
ただそれでもいいと半分あきらめのような納得はしている
死の向こうで、俺自身の終わりのその先に彼女が待っていると思うと
なんとなくだけど恐さも寂しさも和らぐ気がするのだ
俺の言葉を受け止めた彼女は反芻するように頷いた
「…ああ、わかった、多少長いが…貴様が貴様なりの人生を全うするまで…私はずっと待っているからな」
「はい」
「でもなるべく早く全うして死んでくれ」
「この流れでその返しですか」
照れくさいのをごまかしながら遠い未来の約束を結ぶ
「…あ、そうだ、タク…もうひとつだ」
「…なんでしょう？」
「嫁さんはもらうんじゃないぞ？」
「…生涯独身決定ですか」
「あ、あたり前だ！///私を差し置いて結婚する気か貴様！勇者前世のくせに！」
「わかりましたわかりましたから、しませんから」
楽しい時間はあっという間に過ぎていく、そろそろ風呂に入ったりしないといけない
勇者前世は明日も元気にお仕事なのだ
「じゃあ、明日も早いしこのへんで、未来の勇者のために明日もがんばりますかー」
「ああ、さっさと寝ろ、そしてそのまま死ね」
「ブレないですねユリニオさん」
「当たり前だ、ヴァルキリーがいつも堕落すると思うなよ？」
「まぁ堕落ものは好きですけど」
「くたばれ変態」
「あ、今の言い方いいですね」
「どうしようもないな貴様」
「ハハハ…」
そんなやりとりを名残惜しいように感じながらも、俺はビデオ電話を切ろうとする
「あ、そうだ…タクよ」
「まだ何かあるんですか？」
彼女がボソボソと言いよどみながらつぶやく
「あー…実はな、えー言い忘れてたのだが…実は『神の声』から連絡が来てだな
それによると…貴様は前世といえど、勇者の素質を持つ魂だからな
別にリセットをしなくてもいいらしい…
つまり…『記憶を持ったままニューゲーム』というのができるらしい」
「……」
「だからな…記憶の心配はいらないからな
その点は安心するといい
…で、その…さっきは待っていると言っておきながら
勝手な個人的な気持ちを言わせてもらうとだな……
できれば、今すぐにでも…こっちにきてほしい♥」
―――――
「…――では次のニュースです、本日○○区の△△ビルの屋上から飛び降り未遂を実行した男の身柄が確保されました
男は終始『俺は勇者になるんです！』『ユリニオさんに会いに行く』などといった謎の言葉を連呼しており……」
14/05/16 21:50更新 / とげまる