不思議の国の探偵事務所
「大変だよ!アリスっ!事件だよ!大変だよっ!!」
慌てふためいた様子で丘を走るワーラビット。その先には、アリス探偵事務所という看板を掲げた家があった。ワーラビットが扉を開けると、少女が椅子に座って、午後のお茶をしているところだった。
「アリス!大変なんだよ!人間の男が、今日の朝、全裸で見つかったんだ!気を失って!」
「どーしたんだね!ワトソン君!」
「ボクはワトソンじゃないよ!アリス!とにかく、ハートの女王がカンカンなんだ。このままじゃ、明日の朝には皆んな、首を落とされて処刑されちゃうよ!」
アリスは、ティーカップをテーブルに置くと、ホムホムと言って、部屋を歩き始めた。
「分かったわ。それじゃ、事件の概要を教えてくれないかしら」
◆◆◆◆◆
「事件が起きたのは、昨日の夜だった。場所はお茶会の広場。マッドハッターと、ドーマウスとマーチヘアがお茶会をしていると、人間界から来た男が、ふらっと、そこにやって来た。それが午後の三時。四人はお茶会を一時間ほどしたんだけど、その後雨が降りそうだった為、解散。三匹はそれぞれ家に帰ったんだ。男も、女王の所へ行くと言って、その場を後にした」
「きっと、人間界から来て、戻る方法がわからなくなっちゃったのね」
「そう。ドーマウスが、男から人間界に帰る方法を聞かれたと供述している」
「帰り道にその三匹の内の誰かに襲われたんじゃないかしら」
「ボクもそう思った。でもね、三匹が言うには、その時会ったのは、大人の男だったっていうんだよ。今日発見されたのは、十二歳くらいの男の子なんだ」
「えっ!それじゃ、その男は誰?」
「ボクにも、分からない。でも、それ以降、怪しい人物を見た人はいないんだ」
「なんだか、その男も怪しくなってきたわね。その他に証言はないの?」
「一応あるにはあるんだけど、ジャバウォックとチェシャ猫なんだ」
「うーん。信憑性に欠けるわね。いいわ。話して?無いよりはマシだわ」
「ジャバは、その男と会ったと言っている。彼女が空を飛んでいると、その男を見つけた。筋骨隆々で、なかなか、好みのタイプだったんで、ナンパして、その、あの、家でエッチしてたんだって」
「まあ、大胆!」
「ジャバの事だから我慢できなかったんだろう。二時時間ほど楽しんで、彼は傘をお茶会で忘れたと言って、ジャバの家を後にした」
「うーん。また足取りが途絶えたわね」
「それが、目撃者がいたんだ!」
「チェシャ猫ね!」
「うん。彼女がいうには、その男がお茶会の方向に行くのを木の陰から見たって。それが、昨日の夜八時。それから後の目撃は無い」
「状況から考えると、その男が、発見された男の子と密接な関わりがあるのは、確かね」
「うん。昨日の夜は雨だったし、外を無闇に歩く人なんていなかったからね。でも、どうして男の子は全裸で発見されたんだろう」
アリスは椅子に腰掛けて、紅茶を一口飲むと、目を閉じた。男の子と男、全裸、お茶会、雨。その時、ある閃きが彼女に訪れた。
「あっ、じっちゃんが、降りてきた!」
「アリス、君におじいさんなんていたっけ?」
「冗談よ!でも、真実が分かったわ!現場に行きましょう!」
◆◆◆◆◆
アリス達がお茶会の広場に着くと、トランプの兵隊達に魔物娘達が取り調べを受けていた。男の子は女王の城で眠っているらしい。
「お集まりの皆さん、私犯人分かっちゃいました」
アリスがそういうと、皆んなが騒つく。「アリス探偵、本当に分かったんですか?嘘だったら、女王に首をはねられますよ」とマッドハッター。
「ふふ、心配なさらないで下さい。アリス探偵が、まるっとお見通しです。まず、謎の男の正体です。彼はズバリ発見された男の子です」
「ばんな、そかな!」とドーマウス。
「皆さんはこの不思議の国にずっといるので分からないかもしれませんが、人間界からこの不思議の国に来る時に、必ず、来訪者は、鍵のある部屋に通されます」
「ああ、庭の前にある、あの家か!」と、マーチヘア。
「はい。そこには、二つの魔法がかかったアイテムがあるのです。小さくなる液体が入った小瓶と大きくなるケーキです。男の子は両方、もしくは、大きくなるケーキを食べてしまった。彼が大男になってしまったのは、そのせいです」
ワーラビットが証拠の食べかけのケーキを皆んなに見せる。
「これが証拠です。鍵のある家にありました。分析したところ、この魔法の効果は約1日です!」
「なるほどな!ケーキの効果が切れたとしたら、筋骨隆々の男が、普通の男の子になったのも説明できる。でもさ、私と会った後、お茶会の場所に行ったその男は、どうなったんだよ!」
とジャバ。
「まず、昨日の雨は、ジャバが男と交わった事により、人知れず、媚薬の雨に変わっていました」
「でも、ここにいる全員、雨の夜、外には出てないって証言してるんですケド!」チェシャ猫が続く。
「いえ、この中に一人だけ、昨日の夜、お茶会の場所に向かった人がいます!トランプで言えば、ジョーカー。そして、その人が犯人です!」
皆んなが騒つく。アリスが続ける。
「それは、私です!」
「えっ!?アリス?」とワーラビット。
「そう、ジョーカーは、私です!!昨日の夜、お茶が切れたので、お茶をくすねる為に、ここに来ました。あいにく傘を持たずに出かけた私は媚薬の雨を浴びてしまい、男と鉢合わせ、そのまま男とエッチをした。だから、彼は全裸だったのです!その証拠に、私、昨日の夜の記憶がありません!」
「あ、朝帰り!」とワーラビット。会場の皆の開いた口が塞がらない。
「これが今回の事件の真相です!(ドヤッ!)真実はいつも一つ♡」
慌てふためいた様子で丘を走るワーラビット。その先には、アリス探偵事務所という看板を掲げた家があった。ワーラビットが扉を開けると、少女が椅子に座って、午後のお茶をしているところだった。
「アリス!大変なんだよ!人間の男が、今日の朝、全裸で見つかったんだ!気を失って!」
「どーしたんだね!ワトソン君!」
「ボクはワトソンじゃないよ!アリス!とにかく、ハートの女王がカンカンなんだ。このままじゃ、明日の朝には皆んな、首を落とされて処刑されちゃうよ!」
アリスは、ティーカップをテーブルに置くと、ホムホムと言って、部屋を歩き始めた。
「分かったわ。それじゃ、事件の概要を教えてくれないかしら」
◆◆◆◆◆
「事件が起きたのは、昨日の夜だった。場所はお茶会の広場。マッドハッターと、ドーマウスとマーチヘアがお茶会をしていると、人間界から来た男が、ふらっと、そこにやって来た。それが午後の三時。四人はお茶会を一時間ほどしたんだけど、その後雨が降りそうだった為、解散。三匹はそれぞれ家に帰ったんだ。男も、女王の所へ行くと言って、その場を後にした」
「きっと、人間界から来て、戻る方法がわからなくなっちゃったのね」
「そう。ドーマウスが、男から人間界に帰る方法を聞かれたと供述している」
「帰り道にその三匹の内の誰かに襲われたんじゃないかしら」
「ボクもそう思った。でもね、三匹が言うには、その時会ったのは、大人の男だったっていうんだよ。今日発見されたのは、十二歳くらいの男の子なんだ」
「えっ!それじゃ、その男は誰?」
「ボクにも、分からない。でも、それ以降、怪しい人物を見た人はいないんだ」
「なんだか、その男も怪しくなってきたわね。その他に証言はないの?」
「一応あるにはあるんだけど、ジャバウォックとチェシャ猫なんだ」
「うーん。信憑性に欠けるわね。いいわ。話して?無いよりはマシだわ」
「ジャバは、その男と会ったと言っている。彼女が空を飛んでいると、その男を見つけた。筋骨隆々で、なかなか、好みのタイプだったんで、ナンパして、その、あの、家でエッチしてたんだって」
「まあ、大胆!」
「ジャバの事だから我慢できなかったんだろう。二時時間ほど楽しんで、彼は傘をお茶会で忘れたと言って、ジャバの家を後にした」
「うーん。また足取りが途絶えたわね」
「それが、目撃者がいたんだ!」
「チェシャ猫ね!」
「うん。彼女がいうには、その男がお茶会の方向に行くのを木の陰から見たって。それが、昨日の夜八時。それから後の目撃は無い」
「状況から考えると、その男が、発見された男の子と密接な関わりがあるのは、確かね」
「うん。昨日の夜は雨だったし、外を無闇に歩く人なんていなかったからね。でも、どうして男の子は全裸で発見されたんだろう」
アリスは椅子に腰掛けて、紅茶を一口飲むと、目を閉じた。男の子と男、全裸、お茶会、雨。その時、ある閃きが彼女に訪れた。
「あっ、じっちゃんが、降りてきた!」
「アリス、君におじいさんなんていたっけ?」
「冗談よ!でも、真実が分かったわ!現場に行きましょう!」
◆◆◆◆◆
アリス達がお茶会の広場に着くと、トランプの兵隊達に魔物娘達が取り調べを受けていた。男の子は女王の城で眠っているらしい。
「お集まりの皆さん、私犯人分かっちゃいました」
アリスがそういうと、皆んなが騒つく。「アリス探偵、本当に分かったんですか?嘘だったら、女王に首をはねられますよ」とマッドハッター。
「ふふ、心配なさらないで下さい。アリス探偵が、まるっとお見通しです。まず、謎の男の正体です。彼はズバリ発見された男の子です」
「ばんな、そかな!」とドーマウス。
「皆さんはこの不思議の国にずっといるので分からないかもしれませんが、人間界からこの不思議の国に来る時に、必ず、来訪者は、鍵のある部屋に通されます」
「ああ、庭の前にある、あの家か!」と、マーチヘア。
「はい。そこには、二つの魔法がかかったアイテムがあるのです。小さくなる液体が入った小瓶と大きくなるケーキです。男の子は両方、もしくは、大きくなるケーキを食べてしまった。彼が大男になってしまったのは、そのせいです」
ワーラビットが証拠の食べかけのケーキを皆んなに見せる。
「これが証拠です。鍵のある家にありました。分析したところ、この魔法の効果は約1日です!」
「なるほどな!ケーキの効果が切れたとしたら、筋骨隆々の男が、普通の男の子になったのも説明できる。でもさ、私と会った後、お茶会の場所に行ったその男は、どうなったんだよ!」
とジャバ。
「まず、昨日の雨は、ジャバが男と交わった事により、人知れず、媚薬の雨に変わっていました」
「でも、ここにいる全員、雨の夜、外には出てないって証言してるんですケド!」チェシャ猫が続く。
「いえ、この中に一人だけ、昨日の夜、お茶会の場所に向かった人がいます!トランプで言えば、ジョーカー。そして、その人が犯人です!」
皆んなが騒つく。アリスが続ける。
「それは、私です!」
「えっ!?アリス?」とワーラビット。
「そう、ジョーカーは、私です!!昨日の夜、お茶が切れたので、お茶をくすねる為に、ここに来ました。あいにく傘を持たずに出かけた私は媚薬の雨を浴びてしまい、男と鉢合わせ、そのまま男とエッチをした。だから、彼は全裸だったのです!その証拠に、私、昨日の夜の記憶がありません!」
「あ、朝帰り!」とワーラビット。会場の皆の開いた口が塞がらない。
「これが今回の事件の真相です!(ドヤッ!)真実はいつも一つ♡」
15/09/15 12:47更新 / yamaneco