第3話
1
なぜこんなことに…。
ここは俺たちの通う学校、秋津高校の2階、男子トイレ、その個室の一つだ。
授業中の、誰もいないはずのトイレの中で卑猥な水音と艶やかな声が響いている。その音は個室の壁を越えトイレ全体に、下手をすれば廊下にまで漏れているだろう。
「んちゅ♡じゅっ♡、…やっぱりユートの美味しい…♡」
口いっぱいに頬張ったモノから口を離した俺の幼馴染のユキが嬉しそうに言う。その蕩けた表情はとても正気とは思えない。
「ユキ!もっと声とか音とか抑えてくれっ…!」
絞るようになんとか声を出す。
「ダメだよ…こんな美味しいの、我慢なんてできないよっ♡」
そう言ってもう一度俺のモノを咥え込む。
本当に、一体どうしてこんなことになってしまったのだろうー。
2
話は昨日に遡る。
俺の幼馴染、ユキこと泉雪弥が魔物娘になり、屋上で彼女に精を分け与えたその日である。
その後、魔力を使ってもとの姿に戻ったユキとラーメン屋へ行き、家まで帰る帰り道だ。
「あそこのラーメン屋意外とうまかったな、今度は別のメニューも食べに行ってないか?」
普段と変わらない口調でユキに言う。
今日は俺にとっても、ユキにとってもいろんなことが起こりすぎた。つい先程にも屋上であんな事があったあとである。
だが、どんなことが起こってもユキはユキであり、俺はその親友なんだ。
だからこそいつもと変わらずユキに接し、いつもどおりの日常を送ろうと決めたのであった。
「確かに美味しかったけど…でも…。」
「あっ、なんでもないよ!、確かに他のメニューは気になるよね、また行こうよ!」
どうやらユキにはあまり口に合わなかったらしい。
そんなふうにに他愛ない話をしていると、俺たちの住むアパートに到着した。
階段を登り、俺たちの部屋の前に来る。
「とりあえず、明日からのことを話し合おう。」
「一旦、荷物おいて着替えたらそっちの家に行くぞ。」
そう言って一度別々の家へと別れた。
荷物を置き制服から部屋着に着替え、隣のユキの家に向かうのだった。
3
「お邪魔しまーす。」
そう言ってユキの家に入る。
隣の部屋ということもあり、間取りはうちと一緒だ。基本的に両親がいなく、一人暮らしのユキには広すぎるように思える。
だが実際のところ冒険家だという両親が海外から送ってくる発掘物や曰く付きのオブジェなど、統一感のないものが家中に溢れ、ほとんどの部屋が倉庫代わりになってしまっている。
廊下を進み、家の中で唯一生活感のあるユキの部屋に入る。
半袖のTシャツとジャージを着たユキの姿は、角と尻尾の生えた魔物娘の姿に戻っていた。
「もう変身解いちゃったのか?」
「うん、なんか体の中の力がどんどん消費されてくような感じがするんだ。」
「きっとこれがリリムさんが言ってた魔力なんだと思う。」
「それに変身してるとなんだかずっと暖かくない厚手のコートを着ているみたいで…、不思議な感じになるから…。」
そうか、今のユキにとってはこっちの姿が本来の姿で男に変身しているほうが違和感があるのか…。
なぜか少し悲しい気分になり、改めてじっくりと今のユキの姿を見る。
今までは特徴的な角や尻尾ばかりに目が行っていたが、男の時に比べて身長が小柄に、体も華奢になっている。それに髪の毛ももとより少しだけ伸びている気がする。元々童顔だった顔立ちはより女の子のようになり、よく見ると瞳の色が紫かかった色に変わっている。
その瞳をじっと見つめると、リリムさんを初めて見たときに感じたような吸い込まれ、魅了されるような感覚に陥る。
「ユート…、そんなにじっと見られるとちょっと恥ずかしいよ…。」
気付けば夢中で全身を観察していたようだ、照れくさそうにユキが言った。
「あぁ…ごめん。これからどうするかって話だったよな。」
いつもの座布団に腰を落ち着け、俺とユキは話し始めたのだった。
4
「そういえば、親父さんから貰ったていうネックレスはどこにあるんだ?」
ユキがこんな事になった原因、まずはそれについて尋ねる。
「あー…、それね、なんか体の中に取り込んじゃったみたいで…。」
「見てもらえればわかると思うんだけど…」
そう言ってシャツの首元を広げ、覗き込むように促す。
言われるがままに覗き込むと、ユキの鎖骨の下あたりに不思議な模様がある。
「ネックレスに込められていた魔術の術式が僕の体の中に入っちゃったみたいで、それがこの模様になって出ているんだって。」
そんなふうに説明をするユキをよそに、俺の目は別のものを捉えていた。
魔術の模様のさらに下、魔物娘になったユキの胸が見えてしまっている。
きめ細やかな白い肌に、小ぶりだが確かな膨らみのある双丘。その頂点には、男だった時とは明らかに違う、ぷっくりとした薄桃色の乳首が見える。
「っ!!」
不意打ちで見てしまった女の体に思わず赤面し、顔を離す。
「あっ…!」
その反応を見たユキも、無防備な自分の状態に気づき、慌てて手で胸を隠し赤面する。
「「…。」」
お互いに無言の気まずい時間が流れている。
「…そうだ!!リリムさんからなんか宝石みたいなの貰ってただろ、話ができるってやつ!」
「それを一回試してみないか!?」
この空気をなんとかしようと、話題を変える。
「そ…そうだね!やってみようか!」
そう言ってユキがリリムさんから貰い受けた宝石を取り出す。
「確かこれも魔力を込めるって言ってたよね…。」
そう言ってユキは宝石に魔力を込め、リリムさんとの通信を始めた。
5
「うーん…。」
ユキが30秒ほど魔力を込めると、突然宝石が光り出し、空中に水色の四角い画面のようなものが現れた。
「すごいな…、SF映画みたいだ。」
普段ならもっとリアクションを取るところだろうが、俺の周りでは今日だけで色々なことが起きすぎている。これくらいのことじゃ大して驚かなくなってしまった。
「これでリリムさんに繋がるのかな?」
どうやらユキのほうもこれくらいのことではもう驚かなくなっているようだ。
10秒ほどノイズが走った後、画面にリリムさんの姿が映った。
「あら、さっきぶりね。私のこと恋しくなっちゃったのかしら?」
画面の向こうのリリムさんは、まるで魔王の城のような部屋で、とんでもなく高級そうな椅子に座っている。
一体どこの場所なんだ…?まあこの人ならどんな場所にいようと不思議ではないか。
「リリムさんに貰ったこれを試してみようってなったんだ、それにまだ聞きたいことがあったし。」
そうだ、彼女には聞かなければいけないことがあったんだった。
「あんたが最後に言ってた、変身が半日しか持たないってどういうことだよ!」
「どういうって…、そのままの意味よ?」
「ユキくんだってわかるでしょ、魔力が減っていく感覚。慣れないうちは消費も多くなっちゃうから、半日くらいで無くなっちゃうのよ。」
「だからユートくんは定期的に精を分けてあげてねってこと。」
と言うリリムさんに
「確かにさっきまで変身してるときはどんどん体の中の力が減ってく感じがあったよ。あのペースでずっと減っていったら一日は持たないと思う。」
とユキが同意する。
「屋上でも行ったように、効率がいいのが精液ってだけで、キスするとか、一緒に抱き合って眠るとかでもいいのよ。」
「ユキくんの体からネックレスを取り除く方法が見つかれば、元の人間に戻れるからそれまで協力してあげてね♡」
そう言ってリリムさんは通信を切ってしまった。
6
リリムさんとの通信が終わったあと、ユキに聞く。
「というか、体の中に入ったっていうネックレスが取れれば元に戻れるのか?」
「うん、そうみたい。リリムさんが方法を探してくれるから、それまでの間誰かに協力して貰えって言われたんだ。」
「それで…どうしよっか…?」
「多分今残ってる分の魔力だと明日1日返信するには足りないと思う。」
「だからもう一回ユートに”協力”してほしいんだけど…。」
もう一回…?
さっきのあれを…?
いや駄目だ、あの屋上での行為をもう一度やってしまえば、俺たちの関係性に何か取り返しのつかないことが起きてしまう気がする。
あれはユキの体が緊急だったから仕方なく行ったことなんだ。俺達が今までと変わらない関係でいるためには、小学生だった時の過ちと同じように、無かったことにしなければいけないんだ。
ならどうする?
キス…は絶対駄目だろう。確か屋上ではディープキスを長時間続けろとか言ってた覚えがある。そんなことしたら確実に今までの関係性が壊れてしまう。
ユキは元の男の姿に戻れるんだ、そのときに今までと変わらない関係でユキを迎えてあげたいんだ。
そうなると残った手段は一つだ。
「”抱き合って寝る”だな。」
「それが一番ハードル低いだろ、子供の頃はやってたし。」
「そうだね、それが一番無難かもね」
「それにユートと一緒に寝るのってひさしぶりだよね、なんだか懐かしいかも!」
ユキも同意してくれた
「じゃあ一回戻って、夜になったらまた来るよ。」
「母さんには、学校の課題やるとか適当な理由を行って来るから。」
そう言って一度解散する流れとなった。
7
ー翌朝。
男の姿に変身したユキと一緒に学校に向かう。
…眠い。
昨晩はほとんど眠れなかった。
ユキと一緒に寝てみると、どうやら肌の触れ合っている部分から吸精が行われているということが分かり、お互いに肌着のみの状態で寝ることになった。
そうして2人で、できる限り密着するようにベットに入る。
女の体になったユキのすべすべでモチモチとした肌が、香りが、吐息が、温もりが、感情を揺さぶってくる。
「うーん…」
ユキが寝返りをうち、こちら側に体を預け、足を絡めてきた。
…これはまずい!
絡みつくむき出しの足の感触と密着したかすかな胸の膨らみを意識してしまう。素肌が触れ合う部分から感じる、吸精の力を吸い取られるような感覚が妙に心地良い。このまま思い切り抱きしめて押し倒し、全身をまさぐりユキの体をめちゃくちゃにしたい衝動に駆られる。
昨晩はほとんど眠れないまま、股間が反応しないよう、高鳴る鼓動がバレないよう必死に過ごしたのだった。
「昨日色々あったから、一日しか休んでないけど久しぶりの学校な気がするよ」
隣を歩くユキが笑う。
悶々とした夜を過ごした俺とは違い、こいつは昨日気持ち良さそうに寝ていた。精も補充して元気いっぱいのようだ。
「お前は元気そうだな…」
「…?、昨日はユートにいっぱい分けてもらえたからね、調子いいよ!」
「それは良かったよ…」
そんな話をしながら重い体を引きずり、学校に向かうのだった。
8
その日の学校生活は何事もなく過ぎていった。
心配になり、授業中に時折ユキの様子を伺ってみたが特に問題はなく午前中の授業が終わった。
昼休みにユキに調子は大丈夫かと聞いてみると、「思ったよりちょっと魔力の消費が早いかも。」
「でも午後の授業分くらいは持つと思うよ。」
そう言って心配ないと言うのであった。
午後の授業、昨日ほとんど眠れていないこともあり、退屈な授業を子守唄にしながら、ウトウトとしていた。
突然「ガタッ!」という大きな椅子の音に眠りの世界から引き戻される。
音のした方向を見ると、ユキが頭を抑え立ち上がっている。
「ユキ…?」
「せっ先生!具合が悪いので保健室に行ってきます!!」
そう言って返事も待たず足早に教室から出ようとする。何か様子がおかしい。
よく見ると、頭を抱えたユキの指の間には魔物の角が見えている!
変身が解けている!?不味い!!
「先生!俺が連れていきます!」
そう言って立ち上がり、ユキに駆けよる。
その瞬間、腰の部分、制服の隙間からから魔物の尻尾がにゅるりと飛び出してくる。
とにかく今は隠さなければ!
後ろから覆いかぶさるうようにユキを支え、教室の外へと連れ出した。
「ひとまずどこかへ隠れるぞ!」
角や尻尾が出た状態では保健室に行くわけにも行かない、授業中とはいえ廊下にいれば誰かが来る可能性もある。ユキ手を引き男子トイレの個室に駆け込んだ。
9
「ユキ、大丈夫か?」
男子トイレの個室の中でユキに聞く。
「ごめん、ユート…」
「魔力無くなってきて、変身解けそうになって、なんとか維持しようとしたら一気に魔力なくなっちゃって…」
息が荒い、顔も少し赤らんでいる。
「朝は凄い満腹だったのに、だんだん物足りなくなってきてね…」
「お昼ご飯食べたのにね、なんだかずっとお腹空いてるみたいで…」
「ユキ…?いったい何を言ってるんだ?」
そう質問するがまるで聞こえていない。
「午後からずっと、我慢して頑張ってたんだよ…」
「でも急にあんなふうに後ろから抱きつかれて、こんなとこに二人きりにされたら…」
「もう我慢できないよ…♡」
ユキが顔を上げ、目と目が合う。
一瞬だけ変身が解け、紫色になったユキの目が妖し光ったように見えた。
「っ!?」
体が動かない!?口もうまく回らない!!
なんだこれは!これも魔法なのか!?
ユキに肩を押される。自由の聞かない体をされるがままに洋式便器の上に座れされる。
ユキがベルトに手をかけズボンを脱がせようとしている。
「ユートの、おっきくなってる…♡」
魔法の影響なのか俺のモノは昨日と同じように最大まで勃起していた。
「いただきまーす♡」
そう言ってユキは体の動かない俺の足の間に座り込み、俺のモノを一気に咥えた。
10
授業中の、誰もいないはずのトイレの中で卑猥な水音と艶やかな声が響いている。
「んちゅ♡やっぱりユートの美味しい…!♡」
俺のモノから一度口を離し、ユキが嬉しそうに言う。その蕩けた表情はとても正気とは思えない。
体は相変わらず動かないが、なんとか声は出せるようになってきた。
「ユキ!もっと声とか音とか抑えてくれっ…!」
「こんなところで誰か入ってきたら…!」
絞るようになんとか声を出す。
「ダメだよ…こんな美味しいの、我慢なんてできないよっ♡」
そう言ってもう一度俺のモノを咥え込む。
逝かせることしか考えていない、容赦のないストロークに、すぐに限界が訪れる。
「うぐっ!!」
大量の精液がユキの口に注がれる。
「んぷっ!きたっ♡じゅる♡」
嬉しそうに尻尾を振りながらごくごく喉を鳴らし精液を飲み干した。尿道に残った精液も、吸い付くように搾り取られる。
「んっ…♡この味すきっ…♡」
体を震わせ、精液を味わっているユキ。
うっとりとして足の間に収まっている彼女をていると徐々に体の自由が戻ってきた。
動けるようになった手でユキの頭を撫でると、嬉しそうに足に頭を擦り付けてきた。
その姿がどうしようもなく愛おしく見えて、また一つ越えてはならない一線を超えてしまったような気がした…。
11
結局保健室で寝込んだのは、吸精の影響でフラフラになってしまった俺の方だった。ユキの方はというと、魔力も回復して変身もかけ直し至って健康そうだ。
だが体調が悪いと言って出ていった手前、教室に戻るわけにもいかず、保健室のベットで休む俺に付き添う形になったのだった。
「ユート、ごめんね。」
「昨日もそうだったんだけど、魔力がなくなると体が言うことを聞かなくなっちゃうみたいで…」
周りに人がいないことを確認してから、ユキが謝ってくる。
「謝らなくていいよ、その体になった影響なんだからユキのせいじゃない。」
「これからは魔力が無くならないように気をつけていこう。」
「それよりもあの時の魔法みたいなのはなんなんだ?体が全く動かなくなったんだけど。」
「魔法?あー…あの時は夢中であまり覚えてないけど、たしかになんか使ったかも…」
先程のことを思い出し恥ずかしそうにながらユキが言う。
「まあ覚えてないならいいんだけど、できればアレはもう勘弁してほしいかな…」
そんな会話をしながら時間が過ぎていくのだった。
12
授業が終わるまで保健室で休み放課後となり、
ユキと2人での帰り道。
「そういえば俺の精液って美味いのか?よく苦い味がするって聞くけど…」
我ながらおかしな質問だなと思う。
「えっ!?おっ美味しいよ…!」
「リリムさんが言ってたみたいに、この体だと美味しく感じるみたいなんだ。」
「確かにに苦いし少し独特の匂いはするけど…、ユートのすっごく美味しいし、毎日飲みたいくらい!」
言い終わってから自分の発言の内容に気づき赤面しているユキ。
「それなら、明日からの“補給”は今日みたいに口でやらないか?」
「もちろん嫌じゃなければだけど…」
こちらも言い終わってから自分の発言に気づき思わず赤面してしまう。だがこれから毎晩抱き合って寝るというのは俺の心体持ちそうにない。
ユキが嫌でないのなら、昨日今日でやってしまっているこのやり方がいいのかもしれない。
「う、うん…いいよ。」
お互いに赤面した顔で、目が合ってしまい思わず顔を背けてしまう。
ユキとの関係ががまた少し変わってしまったような気がするが、なってしまったものは仕方ない。
ユキと俺が可能な限り今までの生活を送れるようにできる限り助けになろうと思う。
そうやって少しだけ変化した俺たちの日常が流れていくのであった…。
21/01/16 22:50更新 / ヤマイシスイ
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