しあわせ! お届けします!
(うぅ〜… んあぁ… やっぱり働いた後のこの一息がたまらないんだよね〜)
自分の仕事を終え、凝った体をほぐすミレイ。
やっている所作は人間と同じといえど、彼女の背中には純白の翼。頭には黄金に光る輪っか。
そう、彼女は「エンジェル」と呼ばれる種族であり、天上界から地上の善い行いを行う人間に対してちょっぴりの幸せを分け与えているのだ。
「あはは〜 ミレイちゃん、おっつかれー!」
「わ、エイミ先輩! お疲れ様です!」
気が緩んでいたとはいえ、こうも無防備な姿を先輩に晒していたとなるとちょっと恥ずかしい。
「今、時間だいじょぶかな? ちょっと話したいことがあるんだけれども…」
「? ええ、構いませんよ」
エイミ先輩はいつも仕事の終りには食事に誘ってくれたりする、いわゆる「気さくな先輩」なんだけど、どうやらいつもと雰囲気が違うみたい。
なにか言いづらそうな雰囲気で、こっちまで緊張してしまう。
「それで… 話なんだけどね? アナタに地上界に降りるように大天使様から言伝を頂いたわ」
「それって!」
「そうよ。今までよく頑張ってくれたからって… あ、コレがその書状ね?」
「わぁ〜! ありがとうございます!」
「コラコラ、お礼は私じゃなくて大天使様にね?」
「あっ!? えへへ…」
ミレイはまだまだ新人のエンジェルではあったんだけれども、今までの功績が認められて地上でも活動できる権限を手に入れた。
地上で活動できるとなると、特定個人に対して大きな幸せを分け与えることが可能になるため見習いエンジェルはこの権限を手に入れるために、日夜頑張っているのだ。
でも、そういった権限を行使するためにはそれなりの制約もあり、それ破ろうものなら厳しい罰が待っているんだ。
「これでアナタも… グスッ一人前のエンジェルだげれども゙… エグッ頑張っでね゙?」
先輩からしてみれば、後輩が一人前になることで感極まるものがあるのだろう。
ミレイはニッコリと微笑み、先輩との抱擁を交わす。
「ありがと… ありがと先輩… わたし、頑張るから…」
「うん… うん…」
次の日の朝、手短に準備を終え天界と地上界を結ぶ門へと向かうミレイ。
さすがに先輩は見送りには来れないだろうなと思いつつもゆっくりと歩みを進める。
いままで過ごしてきたこの場所とも少しの間お別れかな…
やっぱり感慨深くなるものです。
と、黒いバッグを抱えた1人のエンジェルが近づいてきた。
「あ、ミレイさんですね? エイミさんより手紙を預かっていますよ。どうぞ」
「ありがとう」
綺麗な封筒だ。封蝋の代わりにお花のシール。
早速開封し中を読んでみる。
―ミレイへ
せっかちなアナタの事だからもしかしたらこの手紙は届いていないかも知れないけど
もしも届いていたなら読んでくれると嬉しいな。なんてね。
きっとアナタは持ち前の明るさで地上界でも頑張っていくんだと思う。
私はそれを応援し続けるわ。辛くなったらいつでも帰ってきてね。
エイミより―
「ッ…」
「…? どうしました?」
(いけないいけない、笑顔を忘れない!)
「ううん! 何でもないわ! 配達ありがとう。それじゃ行ってくるね!」
「はい、行ってらっしゃいませ。大天使様のご加護があらんことを…」
ちょっと感傷的になっちゃったけれども、先輩からの手紙をポーチに入れ、私は走りだす。
エンジェルはエンジェルにも幸せを分け与えられるんだね!
そして、私の幸せも素敵な人にあげられたらいいな!
「しあわせ! アナタにお届けします!」
この日、1人のエンジェルが地上界へと向けて飛び立った。
自分の仕事を終え、凝った体をほぐすミレイ。
やっている所作は人間と同じといえど、彼女の背中には純白の翼。頭には黄金に光る輪っか。
そう、彼女は「エンジェル」と呼ばれる種族であり、天上界から地上の善い行いを行う人間に対してちょっぴりの幸せを分け与えているのだ。
「あはは〜 ミレイちゃん、おっつかれー!」
「わ、エイミ先輩! お疲れ様です!」
気が緩んでいたとはいえ、こうも無防備な姿を先輩に晒していたとなるとちょっと恥ずかしい。
「今、時間だいじょぶかな? ちょっと話したいことがあるんだけれども…」
「? ええ、構いませんよ」
エイミ先輩はいつも仕事の終りには食事に誘ってくれたりする、いわゆる「気さくな先輩」なんだけど、どうやらいつもと雰囲気が違うみたい。
なにか言いづらそうな雰囲気で、こっちまで緊張してしまう。
「それで… 話なんだけどね? アナタに地上界に降りるように大天使様から言伝を頂いたわ」
「それって!」
「そうよ。今までよく頑張ってくれたからって… あ、コレがその書状ね?」
「わぁ〜! ありがとうございます!」
「コラコラ、お礼は私じゃなくて大天使様にね?」
「あっ!? えへへ…」
ミレイはまだまだ新人のエンジェルではあったんだけれども、今までの功績が認められて地上でも活動できる権限を手に入れた。
地上で活動できるとなると、特定個人に対して大きな幸せを分け与えることが可能になるため見習いエンジェルはこの権限を手に入れるために、日夜頑張っているのだ。
でも、そういった権限を行使するためにはそれなりの制約もあり、それ破ろうものなら厳しい罰が待っているんだ。
「これでアナタも… グスッ一人前のエンジェルだげれども゙… エグッ頑張っでね゙?」
先輩からしてみれば、後輩が一人前になることで感極まるものがあるのだろう。
ミレイはニッコリと微笑み、先輩との抱擁を交わす。
「ありがと… ありがと先輩… わたし、頑張るから…」
「うん… うん…」
次の日の朝、手短に準備を終え天界と地上界を結ぶ門へと向かうミレイ。
さすがに先輩は見送りには来れないだろうなと思いつつもゆっくりと歩みを進める。
いままで過ごしてきたこの場所とも少しの間お別れかな…
やっぱり感慨深くなるものです。
と、黒いバッグを抱えた1人のエンジェルが近づいてきた。
「あ、ミレイさんですね? エイミさんより手紙を預かっていますよ。どうぞ」
「ありがとう」
綺麗な封筒だ。封蝋の代わりにお花のシール。
早速開封し中を読んでみる。
―ミレイへ
せっかちなアナタの事だからもしかしたらこの手紙は届いていないかも知れないけど
もしも届いていたなら読んでくれると嬉しいな。なんてね。
きっとアナタは持ち前の明るさで地上界でも頑張っていくんだと思う。
私はそれを応援し続けるわ。辛くなったらいつでも帰ってきてね。
エイミより―
「ッ…」
「…? どうしました?」
(いけないいけない、笑顔を忘れない!)
「ううん! 何でもないわ! 配達ありがとう。それじゃ行ってくるね!」
「はい、行ってらっしゃいませ。大天使様のご加護があらんことを…」
ちょっと感傷的になっちゃったけれども、先輩からの手紙をポーチに入れ、私は走りだす。
エンジェルはエンジェルにも幸せを分け与えられるんだね!
そして、私の幸せも素敵な人にあげられたらいいな!
「しあわせ! アナタにお届けします!」
この日、1人のエンジェルが地上界へと向けて飛び立った。
10/12/11 00:38更新 / コティ