我が家のお姉さんの親友さん
ドラゴンの習性。
大切なもの、希少な物、輝く物を収集し、それを守る習性。
それは、どの国、どの地方に住むドラゴンなら持っていて当然の習性だろう。
かくいう私も、その習性の持ち主なのだが、正直、驚いている。
何が言いたいかというと、その習性というものは、魔物にとっては本能のようなものだ。
その本能をも容易く二の次にさせるような出来事があったのだ。
一目惚れ。
私の幼馴染の弟。
彼に一目惚れをしてしまったのだ。
それはドラゴンでいう『宝物』を見つけた時の感情では?・・・か。
そう言われれば、そうだな、としか言えないな。
だが、どんな輝いた宝石でも、どんな貴重な物でも、それ以上に彼は輝いて見えたのだ。
それを経験した私は・・・。
「ほら、創也!今日もお姉ちゃんに甘えてもいいのだぞ!」
「そ、それは鳳華先輩が甘えたいだけじゃ・・・?」
「せ、ん、ぱ、い〜?前に私は創也になんて言ったかな?」
ギュ〜!
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!お姉ちゃんです!」
「うむ!よろしい!それならば、もう一度、訂正して言ってみろ。」
「ほ、鳳華お姉ちゃん・・・。」
「よし!特別に許してやろう!」
「でも、抱きつくのはやめてくれないんですね。(汗)」
幼馴染の弟を自分の弟のように接するようになった。
一人っ子で、弟が欲しいな、と思っていたのだ。
まさか、こう都合よく弟が手に入るとは・・・!
このまま、私の旦那様として迎えるのも・・・♥
「あぁ!また鳳華は創也さんにべったり!早く離れてください!」
「いいではないか。いずれ、そういう関係になるのだ。
今から予行演習していても構わないではないか。
という訳で、創也をください!お義姉さん!」
「誰がお義姉さんですか!創也さんは誰にも渡さないし、どこにもお婿に行かせません!
私のお婿さんになっていただくんです!」
超えなければいけない壁が目の前にいるのだがな。
幼馴染の稲荷の結。
ドラゴンに稲荷とは、珍しい組み合わせではあるが、腐れ縁なのだから仕方ない。
小さい頃からの縁ではあったが、結の人間不信のこともあり、私がよく、結と一緒に行動していたのだ。
小さいながら、高い魔力を持っているドラゴンが近くにいれば、何かと融通が利くしな。
とにかく、結の人間不信は、相当なものだったのだが、ある時を境に結は変わった。
それはもちろん、いい意味でな。
笑顔が絶えなくなり、自分から積極的に動くようになった。
ハキハキと話すようになり、自分の意見を言えるようになった。
原因は・・・まぁ、結が白状というか、言いたくて我慢が出来なかったが正しいだろう。
私の弟は最高だ、など、弟の笑顔はどんな宝石よりも輝いて見える、などなど。
そんなことを言われたら、弟が欲しい私にとっては会いたくなるではないか。
機を見て結にお願いして、家にお邪魔させてもらったのだが・・・。
まぁ、そのあとは先に話したとおりだ。
「今日から私がお姉ちゃんだ!」
ガバッ!
「え?えぇ!?どういうこと?姉さん?」ワタワタ
「そんなことは私が許しません!私がお姉ちゃんなんです!
それと、早く創也さんから離れてください!
創也さんが困っているでしょう?鳳華!」
「それは違う、嫌がっているかどうかは創也が決めることだ。どうなんだ創也は?」ムギュムギュ
「・・・・・。////////」
「・・・・ほら。」
「ほら。じゃなりません!早くは〜な〜れ〜て〜く〜だ〜さ〜いぃ!!」
あれからというもの、結はあからさまに警戒するようになったし、なかなか二人きりにさせてくれないし。
だが、私は負けん!
と、心に誓いを立てている間に、気がつけば、お目当ての教室の前に。
誰がいるかといえば、もちろん創也。
結は勘が強いから早く連れ出さなければ・・・と思っていた矢先、創也がいる方を見ると、違う男子が創也に詰め寄っていた。
「またか。」
私は内心、辟易としながら二人に近づいた。
よく見る光景ではあるんだが、その光景は、私としては、好ましくはない。
将を射んとすればまず馬を射よ。
ジパングのコトワザ・・・だったか。
結を目当てに創也に近づこうとする輩。
結に懸想を抱くことに、反対の気持ちはない。
抱くな、とも言わん。
だが、創也にその気もないのに近づいて、失敗すれば捨てる。
それで、あの子はどれだけ傷ついたのか。
創也は笑顔で話すが、お姉ちゃんは気がついていたのだぞ。
だから、これ以上、創也を傷つかせるわけにはいかない。
「嫌がることをしつこくするのは感心しないな。」
創也ともう一人の間に割って入る。
「あ、あなたには関係のないことです!」
「・・・ほぉ?何か言いたいことがあるのかな?」
しつこいようなら少し魔力を込めて睨んでやれば、相手はビビる。
案の定、走って逃げていった。
「ありがとうございます。鳳華先輩。」
「いや、相手の態度があまりにもあからさま過ぎたからな。これでいい薬になるだろう。」
安心したようにホッとした表情を浮かべた創也。
その表情だけで胸がキュンとなってしまった。・・・が!
聞き捨てならないことがある!
「それと!私を呼ぶときは、名前の後ろに『お姉ちゃん』をつけろと言ったはずだが?」
真面目な性格は好感が持てるが、そこは譲れない。
お仕置きも兼ねて、後ろから強めに抱きしめてやる。
正直な話、何回も間違えてくれた方が、何度も抱きつけるから良いんだが。
これをやった時の創也の困っているけど満更でもない顔が、またなんとも言えない♪
「す・・・すいません。鳳華お姉ちゃん。」
「うむ!分かればよろしい!」
納得のいった私は、創也を離してやる。
創也は、お礼もそこそこに、すぐ立ち去ろうとしたが、お姉ちゃんは、それを許さない♪
がしっ!
「助けてあげたんだ。お姉ちゃんにご褒美があってもいいと思うんだが?」
「逃げきれなかった。」(´・ω・`)
というわけで、大義名分(?)もできたわけだし、街に繰り出すとしよう。
うむ・・・。
上級生に人気らしい創也なのだが、みなの気持ちがわかるような気がする。
年下のくせに、変に気がつく。
先程も、休憩しようと私が提案してすぐ創也は、「飲み物買ってきます。」と言って、買いに行ってしまった。
世話を焼きたいというお姉ちゃんの気持ちに反して、周りに気を使える年下の男性。
真っ先に動こうとする、その行動力はお姉ちゃん的には高得点だ。
創也の心遣いにホクホクと顔をほころばせていると、私に近寄ってくる男が二人。
「今、ひとり?よかったら遊びに行かない?」
「飯も奢るよ?」
まぁ、自分で言うのもなんだが、意外に多かったりするのだ。
こういう輩は。
結と遊びに出かけた時も、声をかけられた。
その時、結は人間不信でもあったから、私が追い払っていたのだ。
「興味はない。早くどこかに行ってくれ。」
「そんなツレないこと言わないでさ。遊びに行こうよ?」
気安く私の腕を掴む男・・・いや、外道だな。
私に触れていいのは、創也だけだ。
そう思ったら、自分が汚された気持ちになって怒りがこみ上げてきた。
久しぶりに派手に追い払うか。
自分の体に魔力を込めていると、私の腕を掴んでいる手を払う者が。
「すいませんが、お引き取り願いませんか?今、俺たちは遊びに来ているんで。」
毅然とした態度で、男二人相手に背を伸ばして言う創也。
男二人は、舌打ちをして、何も言わず去っていった。
やばい・・・。
不覚にもキュンときてしまった!
ドラゴン族は力が強いものが多いから、守られることは滅多にないのだが、いざ、守られる立場にいると・・・いいものだな♥
「お姉ちゃん、だいじょうぶふぅ!」
「お前はぁ!そんなにお姉ちゃんをキュン死させたいのか!?そうなのか!?」
「え?えぇ!?とにかく、離してください!人の目が!」
「そんなもの、見せつけてやればいいではないか!!」ギュッギュッ!
「あばばばばばばばばば!!」
何があっても、創也を守っていこう。
あらためて、私は、そう心に誓った。
・・・時々は守ってもらいたいとは思うがな♪
大切なもの、希少な物、輝く物を収集し、それを守る習性。
それは、どの国、どの地方に住むドラゴンなら持っていて当然の習性だろう。
かくいう私も、その習性の持ち主なのだが、正直、驚いている。
何が言いたいかというと、その習性というものは、魔物にとっては本能のようなものだ。
その本能をも容易く二の次にさせるような出来事があったのだ。
一目惚れ。
私の幼馴染の弟。
彼に一目惚れをしてしまったのだ。
それはドラゴンでいう『宝物』を見つけた時の感情では?・・・か。
そう言われれば、そうだな、としか言えないな。
だが、どんな輝いた宝石でも、どんな貴重な物でも、それ以上に彼は輝いて見えたのだ。
それを経験した私は・・・。
「ほら、創也!今日もお姉ちゃんに甘えてもいいのだぞ!」
「そ、それは鳳華先輩が甘えたいだけじゃ・・・?」
「せ、ん、ぱ、い〜?前に私は創也になんて言ったかな?」
ギュ〜!
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!お姉ちゃんです!」
「うむ!よろしい!それならば、もう一度、訂正して言ってみろ。」
「ほ、鳳華お姉ちゃん・・・。」
「よし!特別に許してやろう!」
「でも、抱きつくのはやめてくれないんですね。(汗)」
幼馴染の弟を自分の弟のように接するようになった。
一人っ子で、弟が欲しいな、と思っていたのだ。
まさか、こう都合よく弟が手に入るとは・・・!
このまま、私の旦那様として迎えるのも・・・♥
「あぁ!また鳳華は創也さんにべったり!早く離れてください!」
「いいではないか。いずれ、そういう関係になるのだ。
今から予行演習していても構わないではないか。
という訳で、創也をください!お義姉さん!」
「誰がお義姉さんですか!創也さんは誰にも渡さないし、どこにもお婿に行かせません!
私のお婿さんになっていただくんです!」
超えなければいけない壁が目の前にいるのだがな。
幼馴染の稲荷の結。
ドラゴンに稲荷とは、珍しい組み合わせではあるが、腐れ縁なのだから仕方ない。
小さい頃からの縁ではあったが、結の人間不信のこともあり、私がよく、結と一緒に行動していたのだ。
小さいながら、高い魔力を持っているドラゴンが近くにいれば、何かと融通が利くしな。
とにかく、結の人間不信は、相当なものだったのだが、ある時を境に結は変わった。
それはもちろん、いい意味でな。
笑顔が絶えなくなり、自分から積極的に動くようになった。
ハキハキと話すようになり、自分の意見を言えるようになった。
原因は・・・まぁ、結が白状というか、言いたくて我慢が出来なかったが正しいだろう。
私の弟は最高だ、など、弟の笑顔はどんな宝石よりも輝いて見える、などなど。
そんなことを言われたら、弟が欲しい私にとっては会いたくなるではないか。
機を見て結にお願いして、家にお邪魔させてもらったのだが・・・。
まぁ、そのあとは先に話したとおりだ。
「今日から私がお姉ちゃんだ!」
ガバッ!
「え?えぇ!?どういうこと?姉さん?」ワタワタ
「そんなことは私が許しません!私がお姉ちゃんなんです!
それと、早く創也さんから離れてください!
創也さんが困っているでしょう?鳳華!」
「それは違う、嫌がっているかどうかは創也が決めることだ。どうなんだ創也は?」ムギュムギュ
「・・・・・。////////」
「・・・・ほら。」
「ほら。じゃなりません!早くは〜な〜れ〜て〜く〜だ〜さ〜いぃ!!」
あれからというもの、結はあからさまに警戒するようになったし、なかなか二人きりにさせてくれないし。
だが、私は負けん!
と、心に誓いを立てている間に、気がつけば、お目当ての教室の前に。
誰がいるかといえば、もちろん創也。
結は勘が強いから早く連れ出さなければ・・・と思っていた矢先、創也がいる方を見ると、違う男子が創也に詰め寄っていた。
「またか。」
私は内心、辟易としながら二人に近づいた。
よく見る光景ではあるんだが、その光景は、私としては、好ましくはない。
将を射んとすればまず馬を射よ。
ジパングのコトワザ・・・だったか。
結を目当てに創也に近づこうとする輩。
結に懸想を抱くことに、反対の気持ちはない。
抱くな、とも言わん。
だが、創也にその気もないのに近づいて、失敗すれば捨てる。
それで、あの子はどれだけ傷ついたのか。
創也は笑顔で話すが、お姉ちゃんは気がついていたのだぞ。
だから、これ以上、創也を傷つかせるわけにはいかない。
「嫌がることをしつこくするのは感心しないな。」
創也ともう一人の間に割って入る。
「あ、あなたには関係のないことです!」
「・・・ほぉ?何か言いたいことがあるのかな?」
しつこいようなら少し魔力を込めて睨んでやれば、相手はビビる。
案の定、走って逃げていった。
「ありがとうございます。鳳華先輩。」
「いや、相手の態度があまりにもあからさま過ぎたからな。これでいい薬になるだろう。」
安心したようにホッとした表情を浮かべた創也。
その表情だけで胸がキュンとなってしまった。・・・が!
聞き捨てならないことがある!
「それと!私を呼ぶときは、名前の後ろに『お姉ちゃん』をつけろと言ったはずだが?」
真面目な性格は好感が持てるが、そこは譲れない。
お仕置きも兼ねて、後ろから強めに抱きしめてやる。
正直な話、何回も間違えてくれた方が、何度も抱きつけるから良いんだが。
これをやった時の創也の困っているけど満更でもない顔が、またなんとも言えない♪
「す・・・すいません。鳳華お姉ちゃん。」
「うむ!分かればよろしい!」
納得のいった私は、創也を離してやる。
創也は、お礼もそこそこに、すぐ立ち去ろうとしたが、お姉ちゃんは、それを許さない♪
がしっ!
「助けてあげたんだ。お姉ちゃんにご褒美があってもいいと思うんだが?」
「逃げきれなかった。」(´・ω・`)
というわけで、大義名分(?)もできたわけだし、街に繰り出すとしよう。
うむ・・・。
上級生に人気らしい創也なのだが、みなの気持ちがわかるような気がする。
年下のくせに、変に気がつく。
先程も、休憩しようと私が提案してすぐ創也は、「飲み物買ってきます。」と言って、買いに行ってしまった。
世話を焼きたいというお姉ちゃんの気持ちに反して、周りに気を使える年下の男性。
真っ先に動こうとする、その行動力はお姉ちゃん的には高得点だ。
創也の心遣いにホクホクと顔をほころばせていると、私に近寄ってくる男が二人。
「今、ひとり?よかったら遊びに行かない?」
「飯も奢るよ?」
まぁ、自分で言うのもなんだが、意外に多かったりするのだ。
こういう輩は。
結と遊びに出かけた時も、声をかけられた。
その時、結は人間不信でもあったから、私が追い払っていたのだ。
「興味はない。早くどこかに行ってくれ。」
「そんなツレないこと言わないでさ。遊びに行こうよ?」
気安く私の腕を掴む男・・・いや、外道だな。
私に触れていいのは、創也だけだ。
そう思ったら、自分が汚された気持ちになって怒りがこみ上げてきた。
久しぶりに派手に追い払うか。
自分の体に魔力を込めていると、私の腕を掴んでいる手を払う者が。
「すいませんが、お引き取り願いませんか?今、俺たちは遊びに来ているんで。」
毅然とした態度で、男二人相手に背を伸ばして言う創也。
男二人は、舌打ちをして、何も言わず去っていった。
やばい・・・。
不覚にもキュンときてしまった!
ドラゴン族は力が強いものが多いから、守られることは滅多にないのだが、いざ、守られる立場にいると・・・いいものだな♥
「お姉ちゃん、だいじょうぶふぅ!」
「お前はぁ!そんなにお姉ちゃんをキュン死させたいのか!?そうなのか!?」
「え?えぇ!?とにかく、離してください!人の目が!」
「そんなもの、見せつけてやればいいではないか!!」ギュッギュッ!
「あばばばばばばばばば!!」
何があっても、創也を守っていこう。
あらためて、私は、そう心に誓った。
・・・時々は守ってもらいたいとは思うがな♪
13/12/02 21:42更新 / 心結