姉の場合
「はぁ、早く授業終わってくれないかしら。」
お昼が終わって午後の授業。
だいたい、この時間になると弟である創也さんの顔が浮かんできます。
まぁ、私は毎日、片時も創也さんのことを考えていないことなんて無いんですが。
早く家に帰って、お洗濯物を入れて、干したての創也さんのおぱんつを・・・もとい、洗濯物を畳まないと。
「・・・であるからして・・・っと、時間もいい頃だし授業はここまで。」
と、最後の授業が終わりを告げて先生が教室を出ていく。
あとはホームルームだけ。
早く、創也さんに会いたい。
まるで、初恋をした女の子のように胸の鼓動がトクットクッと高鳴ります。
いえ、初恋をした女の子のように・・・ではなくて、初恋をした女の子なんです・・・私。
初恋の相手は、自分の弟。
別にいけないことなんて思いません。
私たち魔物娘は恋した相手が、どんな境遇であろうともどんな人であろうと、この気持ちを突き通すものなんです。
さて、ホームルームになって早く帰ろうとした矢先、私に声が。
「お疲れ、結。少しいいか?」
声の方を向くと、ドラゴンの魔物娘が。
彼女は、私の親友でもあり、幼馴染の鳳華。
親友ではあるんですが、油断ならない方でもあります。
主に、恋敵的な意味で。
「どうしたんです?」
「いやぁ、実は、時間があれば、手伝って欲しい案件があってだな。」
申し訳ないような顔をして言う鳳華。
彼女がこういう顔をするときは、本当に困っている時の顔なので、手伝ってあげることにします。
でも・・・。
「そうだ、創也のことなら心配するな。私が代わりに面倒を・・・。」
「それなら手伝いません。」
「冗談だ、冗談。ついさっき私から連絡しておいた。」
それなら大丈夫でしょう。
でも、私の創也さん成分が空になりかけなので、早くこの案件を片付けてしまいましょう。
「ただいま戻りました。」
案件を片付けて帰宅。
私が玄関を入って言うと、軽い足取りで近づく人が。
「お帰り、姉さん。」
私の愛しの弟、創也さん。
いてもたってもいられず、靴を脱いで、靴を揃えることもせず、創也さんの胸に飛び込みます。
「創也さん♪」
「おっと、姉さんもお疲れ様。」
「創也さん成分補給です。」
「はいはい。どうぞ。」
と、私の背中に手を回して優しく抱きしめてくれます。
もうこれだけで、私の下着が大変なことに・・・コホン
押し倒したいのは山々ですが、お互いの気持ちが重なるまで我慢です。
まぁ、我慢できずに自分で慰めてしまうことが多々ありますが・・・コホンコホン。
抱きつくのもこのくらいにして、早くお夕飯を作らなければ。
遅くなった分、創也さんの好きな物を一品入れましょう。
作っている最中にふと、リビングでテレビを見ながらくつろぐ創也さんの横顔が目に入りました。
少し、幼さがありつつも意志の強そうな目をしてて、でも優しそうな雰囲気を感じさせる、そんな横顔。
結婚したら、この横顔が、また違うように見えるのでしょうか?
今は弟ですが、結婚すれば夫・・・もう胸がキュンキュンしてしまいますね。
もう創也さんのことが好きで好きで堪らない。
でも、こんな幸せな気持ちを感じる時にふと、思い出すことがあるんです。
昔の私。
実は、昔の私は創也さんのことをよく思っていませんでした。
今思えば、なんてバカなことを考えていたんだろうと思います。
少し、昔の話をしますね。
私のお父さん・・・前の、ですが、反魔物過激派が事件を起こしてしまって、その事故に巻き込まれてしまったんです。
大怪我を負ったお父さんは病院に運び込まれましたが、手遅れで。
事件を起こしたのは人間と聞いたとき、私は人間不信に陥ってしまいました。
そこから人間を信用することができなくなってしまって、幼馴染の鳳華をはじめ、魔物娘の方たちとしか交流を持ちませんでした。
そんなある日、お母さんが私に、再婚するという話を持ちかけたんです。
私ははじめ反対しました。
お母さんの説得で、とりあえず、会ってみるだけでも、とそれだけ承諾して会うことにしました。
お母さんの連れてきた男性は、柔和そうな、優しそうな人でした。
その時について来ていたのが、今の愛しの弟、創也さんです。
その男性と一緒にいるお母さんは、本当に幸せそうな顔をしていて、嘘偽りの無いことは目に見えていました。
しかし、まだ納得がいかなかった私は、考えさせて欲しいと言って、その場をあとにしました。
自分の部屋に行く途中に、一緒に来ていた創也さんは私に声をかけてきました。
「あの・・・。」
「なんですか?」
不機嫌丸出しに、返事をした私を気にするふうでもなく、創也さんは笑顔でした。
「俺は創也っていいます。初めまして。」
創也さんのお母様のことは、お母さんから話は聞いていました。
だからなのでしょうか。
挨拶した時の笑顔が気に入らなかったんです。
「その・・・お父さんのことは聞きました。本当に辛い思いを・・・。」
「・・・・あなたに何がわかるんですか!」
創也さんの言葉を遮るように、私は大声を上げました。
そこから創也さんに詰め寄って、ひたすら創也さんに溜まっていたものをぶつけました。
どうして、お父さんが死ななければならなかったのか。
どうして、人間はこんなことをするのか。
どうして、あなたは辛い思いをしていたのに、そこまで笑顔でいられるのか。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
ひたすらにぶつけて、落ち着いたのを見計らって創也さんは真剣な表情をして口を開きました。
「人間を信用しろとは言いません。あの事件で大勢の方がなくなり、その引き金を引いたのは人間です。信じろという方が無茶な話です。
でも・・・。」
「!?」
創也さんの突然の抱擁。
私は突然の事に声を出せず、ワタワタ。
でも、構わず創也さんは話します。
「もし、我慢できなくなったらいつでも、ぶつけてください。俺は・・・俺たちは絶対支えて見せます。なんで、溜め込まないでください。」
もう涙が止まりませんでした。
正直なところ、信じたいと思っていたんですが、何かきっかけが欲しかったんだと思います。
そのきっかけを創也さんは作ってくれた。。
そこからでしょうか。
創也さんを気にし始めたのは。
考え事をしている間にお料理もあと少し。
いい匂いに釣られて来たのか、隣に近づいてくる創也さん。
「姉さん、今日の晩御飯は何?」
「今日は創也さんの好きな物を作ってみました。」
「おぉ!!」
それを聞いた創也さんは、人懐っこそうな笑みを浮かべます。
喜ぶ顔見たさに必死にお料理の勉強をした甲斐がありました。
この笑顔だけで、ご飯3杯はいけますね、なんて。
「さぁ、出来ましたので席についてくださいね。」
ご機嫌な様子で席に着き、私もあとに続きます。
私の特等席である創也さんの隣に。
「はい、あ〜ん。」
やっぱり食べさせてあげたいというのは全世界の姉の気持ちだと思います(`・ω・´)
でも、やっぱり恥ずかしいのか、なかなか言うことを聞いてくれません。
がっかりしていると、結局は折れてくれる優しい弟。
私は、こんな弟が大好きです。
さて、翌日の朝。
朝ごはんを済ませて、弟と一緒に登校。
弟分を補給できたので、今日一日は頑張れそうです。
確か、昨夜は攻防戦に負けたのでは?・・・ですか?
お姉ちゃんは、こうと決めれば、それを実行するためには手段を選ばないのです!
寝静まったあと、こっそりと創也さんのベッドに潜り込んで、しっかりと補給させていただきました。
もちろん、起きる前に退避行動をすることは忘れません。
もう・・・お姉ちゃんは押し倒されても喜んで従いますのに・・・コホン
さて、学校に近づくにつれて、生徒がちらほらと見えてきました。
挨拶も程々に、熱い視線も集まります。
察しが悪い方ではないので、どのような視線かは分かりますが、創也さんからの視線以外、興味はありませんので、気付かないふりをします。
「それじゃ、姉さん。ここで。」
「少し待ってください。」
「?」
どんな日でも大切な行為は忘れません。
学校が始まる前に、弟に抱きつく。
これは全世界の姉の大切な儀式なのです(`・ω・´)
視線を感じますが、そんなこと知りません。
満足して離れたら、顔を真っ赤にした創也さんが慌てて自分の教室に走っていきます。
それを見て、胸の中がいっぱいになったところで、後ろから声をかけられました。
「おはよう、結。相変わらずだな。」
「おはようございます。鳳華。」
幼馴染の鳳華。
さっきの光景を見ていたみたいです。
「ブラコンもここまでくれば対したもんだな。」
「そんなこと言うあなただって、違う意味でブラコンではないですか?」
「確かにな。」
そう、実は彼女も創也さんを狙っているのです。
初めて、私の家に鳳華が遊びに来たとき。
たまたま居合わせた創也さんに一目ぼれしたらしく、
「今日から私がお姉ちゃんだ!!」
と暴走したことがありました。
まぁ、一人っ子によくある兄弟・・・弟欲しい病ですね。
気持ちはよくわかるんですが、弟を・・・創也さんを渡すわけにはいきません。
と、話をしている間に教室につきました。
私の教室は、比較的、魔物娘が多く、よく集まっては話(主に下ネタですが)をしています。
しかし、この教室は少々困った魔物娘がいるんです。
「そうだ、結ぇ〜。今度、あんたの家に行っていい?」
「それなら私もついていこうかな?」
「んじゃ、あたしも〜♪」
「・・・まぁ、理由はわかりきってはいますが一応、理由をきかせてもらってもいいですか?」
「それはもちろん、弟くんとお近づきに・・・。」
「それならばダメです。」
「えぇ〜、なんでよぉ!ケチ!」
「何とでも言ってください。創也さんは私が守ります!」
まぁ、こういう事なんです。
お姉さん方に、創也さんは何気に人気が高いんです。
柔和そうな雰囲気の優しい性格。
でも、責任感が強く、やることはしっかりやる真面目な所が先輩お姉さんをひどく刺激するらしく、狙っている魔物娘が多いんだとか。
まぁ、これも気持ちは分かりますが、何が何でも創也さんは(以下略
「しまった・・・私としたことが。」
授業が終わってすぐ、創也さんの教室に訪れた私は、自分の失態に気づいてしまいました。
創也さんがいない。
同じクラスの方に聞いてみると、鳳華が創也さんを連れてどこかに行ったみたいなんです。
この私を出し抜くと・・・さすが鳳華といったところでしょうか。
「そんなことを言ってる場合ではありません!早く探さなくては!」
そう言って私は街へ走り出しました。
「さて、どういうことか説明してくれますね。」ニッコニッコ
「はひぃぃぃぃい。」
創也さんをリビングで正座をさせて、お説教。
まぁ、理由を聞く限りでは創也さんは少しも悪くはないんですが、お姉ちゃんをほったらかしにした罪は大きいです。
別に、羨ましいから怒ってるわけではないんです!
ほったらかしにされて寂しかったわけではないんですぅ!
「そ、それなら、今度の日曜日、一緒にお出かけしない?ちょうど買いたいものがあったし。」
「えぇ!いいんでs・・・。」
ここまで言って、はっと気づきました。
危ない危ない。
これは、いつもの創也さんの伝家の宝刀。
今日は絶対に騙されないんですから!
「コホン。そんなこと言って誤魔化されませんよ!」
「不肖この弟めがエスコートして差し上げます!」
「うぅ・・・・。」
ずるいです。
創也さんは、私のしてほしいことを容赦なく言ってきます。
「そ、それなら仕方ないですね!」
そんなこんなで許してしまうところに自分で苦笑いしてしまいます。
まぁ、日曜日に創也さんとデートに行けるということで、良しとしますか♪
と、お説教が長くなってしまいましたので、早くお夕飯を作りましょう。
お昼が終わって午後の授業。
だいたい、この時間になると弟である創也さんの顔が浮かんできます。
まぁ、私は毎日、片時も創也さんのことを考えていないことなんて無いんですが。
早く家に帰って、お洗濯物を入れて、干したての創也さんのおぱんつを・・・もとい、洗濯物を畳まないと。
「・・・であるからして・・・っと、時間もいい頃だし授業はここまで。」
と、最後の授業が終わりを告げて先生が教室を出ていく。
あとはホームルームだけ。
早く、創也さんに会いたい。
まるで、初恋をした女の子のように胸の鼓動がトクットクッと高鳴ります。
いえ、初恋をした女の子のように・・・ではなくて、初恋をした女の子なんです・・・私。
初恋の相手は、自分の弟。
別にいけないことなんて思いません。
私たち魔物娘は恋した相手が、どんな境遇であろうともどんな人であろうと、この気持ちを突き通すものなんです。
さて、ホームルームになって早く帰ろうとした矢先、私に声が。
「お疲れ、結。少しいいか?」
声の方を向くと、ドラゴンの魔物娘が。
彼女は、私の親友でもあり、幼馴染の鳳華。
親友ではあるんですが、油断ならない方でもあります。
主に、恋敵的な意味で。
「どうしたんです?」
「いやぁ、実は、時間があれば、手伝って欲しい案件があってだな。」
申し訳ないような顔をして言う鳳華。
彼女がこういう顔をするときは、本当に困っている時の顔なので、手伝ってあげることにします。
でも・・・。
「そうだ、創也のことなら心配するな。私が代わりに面倒を・・・。」
「それなら手伝いません。」
「冗談だ、冗談。ついさっき私から連絡しておいた。」
それなら大丈夫でしょう。
でも、私の創也さん成分が空になりかけなので、早くこの案件を片付けてしまいましょう。
「ただいま戻りました。」
案件を片付けて帰宅。
私が玄関を入って言うと、軽い足取りで近づく人が。
「お帰り、姉さん。」
私の愛しの弟、創也さん。
いてもたってもいられず、靴を脱いで、靴を揃えることもせず、創也さんの胸に飛び込みます。
「創也さん♪」
「おっと、姉さんもお疲れ様。」
「創也さん成分補給です。」
「はいはい。どうぞ。」
と、私の背中に手を回して優しく抱きしめてくれます。
もうこれだけで、私の下着が大変なことに・・・コホン
押し倒したいのは山々ですが、お互いの気持ちが重なるまで我慢です。
まぁ、我慢できずに自分で慰めてしまうことが多々ありますが・・・コホンコホン。
抱きつくのもこのくらいにして、早くお夕飯を作らなければ。
遅くなった分、創也さんの好きな物を一品入れましょう。
作っている最中にふと、リビングでテレビを見ながらくつろぐ創也さんの横顔が目に入りました。
少し、幼さがありつつも意志の強そうな目をしてて、でも優しそうな雰囲気を感じさせる、そんな横顔。
結婚したら、この横顔が、また違うように見えるのでしょうか?
今は弟ですが、結婚すれば夫・・・もう胸がキュンキュンしてしまいますね。
もう創也さんのことが好きで好きで堪らない。
でも、こんな幸せな気持ちを感じる時にふと、思い出すことがあるんです。
昔の私。
実は、昔の私は創也さんのことをよく思っていませんでした。
今思えば、なんてバカなことを考えていたんだろうと思います。
少し、昔の話をしますね。
私のお父さん・・・前の、ですが、反魔物過激派が事件を起こしてしまって、その事故に巻き込まれてしまったんです。
大怪我を負ったお父さんは病院に運び込まれましたが、手遅れで。
事件を起こしたのは人間と聞いたとき、私は人間不信に陥ってしまいました。
そこから人間を信用することができなくなってしまって、幼馴染の鳳華をはじめ、魔物娘の方たちとしか交流を持ちませんでした。
そんなある日、お母さんが私に、再婚するという話を持ちかけたんです。
私ははじめ反対しました。
お母さんの説得で、とりあえず、会ってみるだけでも、とそれだけ承諾して会うことにしました。
お母さんの連れてきた男性は、柔和そうな、優しそうな人でした。
その時について来ていたのが、今の愛しの弟、創也さんです。
その男性と一緒にいるお母さんは、本当に幸せそうな顔をしていて、嘘偽りの無いことは目に見えていました。
しかし、まだ納得がいかなかった私は、考えさせて欲しいと言って、その場をあとにしました。
自分の部屋に行く途中に、一緒に来ていた創也さんは私に声をかけてきました。
「あの・・・。」
「なんですか?」
不機嫌丸出しに、返事をした私を気にするふうでもなく、創也さんは笑顔でした。
「俺は創也っていいます。初めまして。」
創也さんのお母様のことは、お母さんから話は聞いていました。
だからなのでしょうか。
挨拶した時の笑顔が気に入らなかったんです。
「その・・・お父さんのことは聞きました。本当に辛い思いを・・・。」
「・・・・あなたに何がわかるんですか!」
創也さんの言葉を遮るように、私は大声を上げました。
そこから創也さんに詰め寄って、ひたすら創也さんに溜まっていたものをぶつけました。
どうして、お父さんが死ななければならなかったのか。
どうして、人間はこんなことをするのか。
どうして、あなたは辛い思いをしていたのに、そこまで笑顔でいられるのか。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
ひたすらにぶつけて、落ち着いたのを見計らって創也さんは真剣な表情をして口を開きました。
「人間を信用しろとは言いません。あの事件で大勢の方がなくなり、その引き金を引いたのは人間です。信じろという方が無茶な話です。
でも・・・。」
「!?」
創也さんの突然の抱擁。
私は突然の事に声を出せず、ワタワタ。
でも、構わず創也さんは話します。
「もし、我慢できなくなったらいつでも、ぶつけてください。俺は・・・俺たちは絶対支えて見せます。なんで、溜め込まないでください。」
もう涙が止まりませんでした。
正直なところ、信じたいと思っていたんですが、何かきっかけが欲しかったんだと思います。
そのきっかけを創也さんは作ってくれた。。
そこからでしょうか。
創也さんを気にし始めたのは。
考え事をしている間にお料理もあと少し。
いい匂いに釣られて来たのか、隣に近づいてくる創也さん。
「姉さん、今日の晩御飯は何?」
「今日は創也さんの好きな物を作ってみました。」
「おぉ!!」
それを聞いた創也さんは、人懐っこそうな笑みを浮かべます。
喜ぶ顔見たさに必死にお料理の勉強をした甲斐がありました。
この笑顔だけで、ご飯3杯はいけますね、なんて。
「さぁ、出来ましたので席についてくださいね。」
ご機嫌な様子で席に着き、私もあとに続きます。
私の特等席である創也さんの隣に。
「はい、あ〜ん。」
やっぱり食べさせてあげたいというのは全世界の姉の気持ちだと思います(`・ω・´)
でも、やっぱり恥ずかしいのか、なかなか言うことを聞いてくれません。
がっかりしていると、結局は折れてくれる優しい弟。
私は、こんな弟が大好きです。
さて、翌日の朝。
朝ごはんを済ませて、弟と一緒に登校。
弟分を補給できたので、今日一日は頑張れそうです。
確か、昨夜は攻防戦に負けたのでは?・・・ですか?
お姉ちゃんは、こうと決めれば、それを実行するためには手段を選ばないのです!
寝静まったあと、こっそりと創也さんのベッドに潜り込んで、しっかりと補給させていただきました。
もちろん、起きる前に退避行動をすることは忘れません。
もう・・・お姉ちゃんは押し倒されても喜んで従いますのに・・・コホン
さて、学校に近づくにつれて、生徒がちらほらと見えてきました。
挨拶も程々に、熱い視線も集まります。
察しが悪い方ではないので、どのような視線かは分かりますが、創也さんからの視線以外、興味はありませんので、気付かないふりをします。
「それじゃ、姉さん。ここで。」
「少し待ってください。」
「?」
どんな日でも大切な行為は忘れません。
学校が始まる前に、弟に抱きつく。
これは全世界の姉の大切な儀式なのです(`・ω・´)
視線を感じますが、そんなこと知りません。
満足して離れたら、顔を真っ赤にした創也さんが慌てて自分の教室に走っていきます。
それを見て、胸の中がいっぱいになったところで、後ろから声をかけられました。
「おはよう、結。相変わらずだな。」
「おはようございます。鳳華。」
幼馴染の鳳華。
さっきの光景を見ていたみたいです。
「ブラコンもここまでくれば対したもんだな。」
「そんなこと言うあなただって、違う意味でブラコンではないですか?」
「確かにな。」
そう、実は彼女も創也さんを狙っているのです。
初めて、私の家に鳳華が遊びに来たとき。
たまたま居合わせた創也さんに一目ぼれしたらしく、
「今日から私がお姉ちゃんだ!!」
と暴走したことがありました。
まぁ、一人っ子によくある兄弟・・・弟欲しい病ですね。
気持ちはよくわかるんですが、弟を・・・創也さんを渡すわけにはいきません。
と、話をしている間に教室につきました。
私の教室は、比較的、魔物娘が多く、よく集まっては話(主に下ネタですが)をしています。
しかし、この教室は少々困った魔物娘がいるんです。
「そうだ、結ぇ〜。今度、あんたの家に行っていい?」
「それなら私もついていこうかな?」
「んじゃ、あたしも〜♪」
「・・・まぁ、理由はわかりきってはいますが一応、理由をきかせてもらってもいいですか?」
「それはもちろん、弟くんとお近づきに・・・。」
「それならばダメです。」
「えぇ〜、なんでよぉ!ケチ!」
「何とでも言ってください。創也さんは私が守ります!」
まぁ、こういう事なんです。
お姉さん方に、創也さんは何気に人気が高いんです。
柔和そうな雰囲気の優しい性格。
でも、責任感が強く、やることはしっかりやる真面目な所が先輩お姉さんをひどく刺激するらしく、狙っている魔物娘が多いんだとか。
まぁ、これも気持ちは分かりますが、何が何でも創也さんは(以下略
「しまった・・・私としたことが。」
授業が終わってすぐ、創也さんの教室に訪れた私は、自分の失態に気づいてしまいました。
創也さんがいない。
同じクラスの方に聞いてみると、鳳華が創也さんを連れてどこかに行ったみたいなんです。
この私を出し抜くと・・・さすが鳳華といったところでしょうか。
「そんなことを言ってる場合ではありません!早く探さなくては!」
そう言って私は街へ走り出しました。
「さて、どういうことか説明してくれますね。」ニッコニッコ
「はひぃぃぃぃい。」
創也さんをリビングで正座をさせて、お説教。
まぁ、理由を聞く限りでは創也さんは少しも悪くはないんですが、お姉ちゃんをほったらかしにした罪は大きいです。
別に、羨ましいから怒ってるわけではないんです!
ほったらかしにされて寂しかったわけではないんですぅ!
「そ、それなら、今度の日曜日、一緒にお出かけしない?ちょうど買いたいものがあったし。」
「えぇ!いいんでs・・・。」
ここまで言って、はっと気づきました。
危ない危ない。
これは、いつもの創也さんの伝家の宝刀。
今日は絶対に騙されないんですから!
「コホン。そんなこと言って誤魔化されませんよ!」
「不肖この弟めがエスコートして差し上げます!」
「うぅ・・・・。」
ずるいです。
創也さんは、私のしてほしいことを容赦なく言ってきます。
「そ、それなら仕方ないですね!」
そんなこんなで許してしまうところに自分で苦笑いしてしまいます。
まぁ、日曜日に創也さんとデートに行けるということで、良しとしますか♪
と、お説教が長くなってしまいましたので、早くお夕飯を作りましょう。
13/11/21 23:22更新 / 心結
戻る
次へ