読切小説
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剣麗粘堕〜純潔の肛淫〜

 山から吹き下ろす風が木々をざわめかせ、湖面を波打たせていく。
 鳥たちの囀りには生まれたばかりであろう小鳥の声も混じり、頂点に達しつつある春の太陽を快く迎えているように思えた。湖に注ぎ込む緩やかな川で、ちゃぽんと魚が飛び跳ねる。

「良い風ですね」
「……ああ」

 後ろから掛けられた淑やかな声に、振り向きもせず答える。
 地面に突き刺した釣り竿と、水面に伸びる釣り糸を監視してるからだ。釣り竿つってもその辺に転がってる長い木の棒に糸巻いただけだがね。
 こんな雑なやり方じゃあ当然だが、恐らく、今日も釣果ゼロに終わる。それでいい。俺の本業は別にあるから、釣りなんて暇なときにやる趣味の一つでしかない。例え釣れても戻すだけ。
 無駄なことをやるのは、個人的には落ち着く。この仕事は冷静さが重要で、リラックスできりゃそれこそなんでもいいんだけど。たまたま湖があったから今回は釣りだった。
 座っていて凝ってしまった身体をぽきぽきと小気味よく鳴らしつつ、背後にいる彼女――長年連れ添ってきた仕事の相方をちらりと一瞥する。少々の邪な感情と共に。

「ぁむ。んん、これ美味しいですね。どこのお店でしたっけ」
「大通り二番の中央広場近く、メロヤおばさんのパン屋。あのおばさん、いいって言ってるのにいつもおまけしてくれるんだよな。あんなんじゃ潰れるぞ」
「ふふ。ロビンは優しいんですもの。おまけしたくなるんですよ」
「そうかい……」

 焚き火の前でサンドイッチをつまむ、一人の女性。
 両足を揃えて座り、膝を抱えながら食事する姿は素直に微笑ましいと思う。

 きりりと芯の通った、狼を彷彿とさせる美人顔に、艶のある黒い髪を短くしてセミショートボブに整えてあるのがよく似合ってる。彼女の近くに鎮座する特注のロングソードも美しく、例えば彼女が剣を佩いている時の立ち姿は美術品並に様になっていた。
 口調だって恭しく、どんな者にも敬意を払う。礼儀正しさは彼女の人気の一つだ。
 残念なのはその服装というか、鎧くらいなもの。
 服の表面に小さな鉄板を隙間なく鋲打ちした鎧――ブリガンダインアーマーに、ところどころ泥が染みついた茶色い羊毛のサーコートを着用している。
 女性の平均よりも高めな身長とあいまって、全体的な仰々しさは放浪の騎士そのもの。もっとちゃんとした鎧を着せてやりたくなる。悲しいことにそんな大金はないんだが。
 本人の身体的特徴をあまり言ってやりたくないが、こいつは胸もかなりデカい。そのせいでアーマーもサーコートも微妙に丈が足りず、へそが見えてしまってる。本人は大して気にしてないっぽいが、こっちのほうが心配になってくる。恥ずかしい。
 アーマースカートもあまり金を掛けられず、膝上二十センチほどのマイクロミニ丈になってしまっている。一応、グリーブに関してはそこそこのものなので爪先から膝までを完璧に防護できてるが、それが却ってふともも丸出しの痴女にさせてしまった。
 で、痴女といえばこれが一番問題だが、こいつ、パンツを履かない。
 今も――本人は俺の視線を気にしてないので――三角座りで持ち上げられたスカートの中から無垢な縦筋がコンニチハしてやがる。コンニチハじゃないだろ。サヨナラしろ。

 深く嘆息しながら湖に向き直り、額に手を当てる。
 こいつがパンツを履いてないことに気づいたのは、いつだろう。
 けっこう昔から一緒に居て、この仕事――冒険者を一緒に始めて。
 気安い仲だとは言っても、俺は気配りできる男だ。不用意なことは言わないし、それがデリケートなことなら尚更。あと単純に、パンツ履けなんて指摘するのが恥ずかしい。
 冒険者をやってく以上、こいつが変なことに巻き込まれないためにも、恥を忍んで女性もののパンツをそれとなく彼女の荷物に潜り込ませたこともある。何度も。
 それでも頑なにパンツを履かない。たぶん、俺が言うまではずっとこのまま。
 歩くたびにひらっひらとスカートが揺れるし、だいたい後ろを歩くことが多い俺にとってはマジで気が気じゃない。俺以外の誰かに見られるのは心底ごめんだ。……なんて思いつつ、ぷりぷりな丸出しのケツとその谷間から見えるケツ穴をガン見してんだけども。
 ……俺も年頃の男子、青年ですんで、そりゃあもうそういうことに使うし、最近はもう諦めている。その分、変な虫が寄りつかないように全力で守っているが。
 けれど、こいつは剣の腕が立つ。自身の実力を謙遜も買いかぶりもせず、ただ身についたものとして扱う。だからか、逆に俺が守られる始末。情けない。
 この際言ってしまうか、と振り返って――

「なあ、フレア」
「んふ。なんですか、ロビン?」
「……いいや。なんでもない」
「呼んでみただけってことですか? えへ、そんな、恋人みたいなことしなくたって」
「うるさいな……」

 ……こっちをじっと見ながらニヤニヤしているフレアに、なんか妙な圧力を感じて、目を背けた。
 頭の中にいつもチラついている仄暗い可能性に、少し背筋が粟立つ。
 まさかな。そんなわけはあるまい。なにも、こいつに限って。
 凜々しく美しく、吟遊詩人には「剣麗フレア」なんて謳われる、才色兼備の完璧な彼女が――わざと局部を見えるような座り方をして、いつでも見せびらかせるように短いスカートを履いて、それを愉しみたくて鎧も更新しないなんて、ないよな。
 宿に泊まる際に一部屋でいいと彼女が言うのも、寝るときには無防備な寝間着を着て熟睡してるのも俺が信頼されているだけ。野営で自分が寝たあとは妙に身体が気怠いのは、俺は野営が苦手というだけ。着替えの下着を確認すると時々パンツだけ消えているのは、きっと魔物の仕業だろう。

 湖に俺の顔を映し、身体を映す。
 安くて動きやすいって理由で買ったボロいレザーアーマー。イケてるとは言えない顔。弓だけはいいもの使ってるが、ただ材木がアララギなだけで、もっと上のグレードはある。
 誰がどう見たって、後ろの剣麗サマにゃあ勿体ない男だ。豚に真珠、旗に腕押しだ。
 それに、世界はとにかく生きることに金が掛かる。冒険者なんて収入が安定しないもんだから、ぱーっと使うことだって出来やしない。質素倹約で、フレアには窮屈な思いをさせてるだろう。誕生日も祭日も、幼馴染みの親友だってのにろくなプレゼントを送ってやれない。
 恨まれる疎まれるのならありえるだろうが、フレアがこんなしょぼい男を好むはずがない。

「…………」
「ふんふふーん♪ 釣れますかー?」
「……いいや。なにも」
「ごゆっくりどうぞー♪」
「釣りはもういい」
「えぇー」

 なのにどうして、こいつは楽しそうなんだか。

 ……ダメだな。フレアのことを考えると無駄にネガティブになる。
 釣り竿を取って回収し、竿だけ叩き折って湖に放り、バッグに糸と針だけ収める。
 代わりに地図と羊皮紙を取り出して、改めて今日の仕事を確認することにした。

「今日の目標、スライムでしたよね?」
「半分正解。今日の目標は、そのスライムがどんなやつか見に行くだけだ」
「でも、倒してしまってもいいんでしょう?」
「……なんかその言い方、フラグっぽいからやめとけ」

 羊皮紙にはいろいろとめんどくさい契約と、「不明目標の確認(推定:スライム属)」なんて書かれてある。この不明目標ってのがきな臭い。
 依頼者は薬草採取中の雨宿りにとある洞窟を使い、ひとまず焚き火で暖を取ることはできたものの、変な音に気づいて辺りを見渡すと、そこには謎のぷるぷるしたものが。ろくに見もせずにビビって逃げて、冒険者ギルドが動くハメになったらしい。
 もしもスライムがコロニーを作っていたらさっさとしばいて大人しくさせようということで、対処できる俺たちが確認に向かわされることになった。俺たち二人じゃダメでも、それはそれで即応できるように人員が待機しているらしい。頼りになるもんだな。
 攻撃・撤退の正確な判断ができて、非常に強力な一個人。剣麗はそんな感じで便利だった。

「楽な仕事だ。こうしてダラダラできるのはありがたい」
「ええ。思えば、二人一緒にゆっくりできる時間は久々かもしれません」
「貧乏は暇無しだからな。フレアは人気者だし」
「や、やめてください。私は女性に護身術を教えているだけです」
「わかってるよ。冗談抜きに、お前はすごい奴だろ。いろんな奴に頼られるのも当然だし、俺はお前が頼られることに悪い気はしない。貴族や王族にだって送り出せる、いい女だぜ」
「……いえ。そんな。私は――……」
「なんだ?」
「……全部食べました。いつでも行けます」
「はいよ」

 年頃の娘だってのに、こいつには浮いた話がない。
 そろそろ本気で俺がお膳立てしてやらなきゃダメかな。せめて、フレアと同じくらいのいい男が居れば。

 ともかく、まずは今日の仕事だ。
 正直、この依頼はあまりよろしくない予感がする。
 いくら剣麗なんて言われてても、フレアは人間だ。ミスだってする。
 情報だって少なすぎる。自分の足で見て確かめてこいなんて、罠に掛かりに行くのと同じ。
 さっさと逃げられるよう準備しとくべきかな。せめてフレアだけでも。

「そういえば、ロビン」
「ああ? なんだよ」
「帰ったら、長めの休養取りませんか?」
「……いいけど、なんかあんの?」
「ここのところしばらく、遊ぶこともできてなかったな、と思ったんです。けっこう貯金してますから、どこへだってロビンを連れて行けますよ!」
「その貯金、お前の鎧に使えよ……」
「これは気に入ってるのでいいんです! それよりどうですか、旅行」
「魔界とかはやめてくれよ」
「わかってますって」

 そういえばそうか。
 フレアの名前が売れて、ふたりで別の仕事をすることも増えて、長期休暇なんて取ってなかったな。
 ちょうどいい機会かもしれない。俺とフレアがどうしたいか、はっきりさせよう。



――――――――――――――



 そこは山の中ほどにある洞窟で、動物たちや魔物が頻繁に寝床にしていることで有名な場所だ。
 以前はワーバットの大群が住み着き、これを冒険者たち総出で追い払ったこともある。その時に出来たワーバットと冒険者のカップルは両手の指じゃ足りないくらいだったそうな。
 野生の魔物娘は寝床作りに適した場所を探している。この洞窟はそこそこ優良物件らしく、定期的に巡回しなくちゃいけないらしい。男を宛がってやりゃ喜んで出ていくからな、あいつら。

「……でも、魔物娘が出入りしているようには見えませんよね」
「そうだな。動物の足跡がいくつかあるが……」

 どれも長居はしてないな。
 松明を洞窟の奥へと掲げてみるが、暗闇を無くすには物足りない光量だ。
 空気が肌にまとわりついてくる感覚と、天井からわずかに滴ってくる水粒と、それから足下でぐちゃぐちゃと入出者記録してる泥。スライムにはお似合いのシチュエーションか。

「もしかしたら、この洞窟でスライムが自然発生したとか」
「そんなことあるんですか?」
「物に魔力が宿って、って話はあるだろ。スライムもそうなのかは知らないけどな」

 魔物娘については不明瞭な点が多すぎる。
 世の中には魔物娘のすべてを網羅した本なんてのもあるらしいが、そうそう出回ってるもんじゃない。一般人の認知なんて、ほとんどイメージの産物でしかない。
 情報のソースはもっぱら、噂話、吟遊詩人、どこぞの野郎の自慢話。信憑性は推して知るべし。
 今回だって、情報元が頼りないしな。どれもこれも結局は自分で見て確かめるしかない。

 フレアを先頭に、警戒をしながら洞窟を進んでいく。
 聞こえるのは泥を踏みしめる足音と水滴のみ。スライムが音を立てるかって思うが、暗くて見えないとなると耳を立てておきたくなる。心臓の音が邪魔くさい。
 五感は常に鋭敏にしておく。それが生存の鍵になる。フレアだって同意見のはずだ。
 犬や猫ほど感度いいわけじゃないが、勘と経験も合わせればそれなりのセンサーになる。
 ……そんなわけで、洞窟の奥から甘ったるい匂いが漂ってきたとなると、二人揃って武器を構えてしまう。

「いるな」
「ええ。魔物ですね」
「お邪魔だと気まずいんだが」
「どうでしょう」

 魔物娘は甘い匂いを放つ。
 全員が全員そうだってわけじゃないが、人間を誘う上で甘い匂いを餌にするのはサキュバスの常套手段だ。今や魔力はサキュバスに犯されているわけで、他の魔物娘が似たようなことをできても不思議じゃない。
 これは特にキツい。女性が好むような、菓子や果物や蜜といった匂いだ。
 フレアに限って甘さに惑わされることはないだろうが、やつらにとっては少しでも気を緩ませることができればいい。サキュバスは人をおちょくる戦い方を好むしな。
 改めて気を引き締めて、前進を再開する。

 ――そうしてしばらくすると、ようやくお目当てのものが視界に入る。
 天井には亀裂が走っており、そこから差してくる暖かな太陽が、最奥に鎮座した物体を示していた。
 一言で言えば、桃色のゼリー。ぷるぷると丸くわずかに潰れていて、間の抜けた顔のようなものがあり、魔物娘に見られる女性的な要素はなに一つない。
 胸も、腹も、尻も、手も足もない。精を得る手段がわからない。
 のほほんと日向ぼっこしているだけの、ただの丸いゼリーだった。

「……」
「……えっと。どうしますか」
「関わったらヤバそうな気がする。逃げるか?」
「ですが、未知数のまま逃走するのは」
「だよなあ。つっつくだけでもしとかないと、報酬もらえなさそうだ」

 逃げたやつの心境がとてもよくわかる。
 いまどき女性型の身体つきをしていない魔物なんて、明らかにヤバいもんだ。
 なにしてくるかわからないというのもあるし――最悪、殺される可能性だってある。
 だが、俺たちはまだ逃げられない。どういう相手か見極めなきゃな。少し怖い。
 それだけじゃない。内心、ちょっとだけワクワクもしていた。
 大人になっても珍しいものが見られるなんて、冥利に尽きるだろ。

 矢筒から取った矢を弓につがえ、ぎりぎりと引き絞る。
 相手は動かない。あまり聡くはないのか、それとも昼寝中ですかね。
 もしそうだったら心苦しいが、こっちに構ってもらおう。
 矢から指を離した瞬間、ひょうと鋭く風を切って飛んでいく。狙い過たず、ずぶりと粘液に沈んだ。

「まあ効くわけないよな」

 びくりと身体を震わせる、なんて人間的な反応した変なスライムは、ようやくこちらに気づく。
 口っぽいのを引き結んで、その両横が膨れてる。もしかして怒ってないか、こいつ。
 再度身体をうねうね震わせて、ぺっと身体から矢を吐き出し、こちらにずりずりと近づき始めた。
 既に剣を抜いたフレアの顔はこっちから見えないが、大丈夫だろうか。
 あいつ、けっこうかわいいもの好きだし。あのスライム、仕草を見てる分にはフレアの琴線に触れるぞ。

「おい、油断するなよ!」
「わ、わかってます! かわいいとか思ってません!」
「やっぱか……」

 フレアは様子見に徹する。
 無理して倒す必要がない相手だ。切り込むよりも、攻撃のパターンを一つでも多く見ておきたい。
 それ故の静観だが――。

 ずりずり。
 ずりずり。

「……おっそ! 動くの遅すぎだろ! かたつむりか!」
「ゆ、油断しないでくださいよロビン!」
「声が緩んでるぞフレア!」
「だ、だってぇ!」

 子犬や子猫ががんばって小さな足で走るのを見ている気分になる。和む。
 なんなんだこのスライムは。や、これでも本人的には必死っぽいが。
 威嚇するように触手のようなものを伸ばして、精いっぱいのアピールを――。

 にょろにょろ。
 にょろにょろ。

「……緊張感ねえな本当!」
「で、でも、なんか私のこと見てます!」
「魔物は男だけを狙うってわけじゃねえからな。もしかしたら魔物化専門のスライムとか」
「うぅ……。なんか、そう言われると急に嫌になってきたのですが! 斬っちゃいますからね!?」
「ああ、もういいよ。やっちまえ」

 どう見てもまともな相手じゃないが、危害を加えてくるような相手でもない。
 魔物ってのはちょっと懲らしめてやればしばらく大人しくなるものだし、スライムなら再生も早いだろ。
 フレアは大きく息を吐いたあと、軽い調子でスライムに向かってジャンプし、

「――ふっ!!」

 八の斬撃。
 六の刺突。
 三の蹴打。
 それらをまばたき一つの間に加えた。

 反撃の隙どころか、防御する暇さえない連続攻撃。
 それはスライムを細切れにしてぼこんと弾き飛ばす、無慈悲な必殺だった。

 ……怖えよ! そこまでやらんでもいいだろ!
 とは言わず、

「よし。じゃあさっさと帰るか」
「はい。なんて報告しましょうね?」
「どうすっかな……」

 身体に飛び散ったスライムの粘液を大して厭わずに戻ってくるフレアを苦笑して迎える。
 こいつは無駄なことはしない。恐らく、斬ってる最中になにかに気づいたんだろう。
 数回斬る程度だったのを変更して、突くなり蹴るなりも加えたように見えた。
 ま、帰りの道中にあっちから理由を言ってくるだろう。フレアのことはなにも心配していない。
 ただ、フレアの頬についた粘液だけは拭ってやることにした。

「ほら。こんなのつけたまま戻ったら、剣麗はスライムを食べるなんて噂されるぜ」
「あ――……ふふ。じゃあ、私はロビンがキザな人だって噂を流しましょうか」
「やめてくれよ。冷やかされるのは未だに慣れないんだぞ」

 フレアの頬から俺の指先に移動させた、さっきのスライムの粘液をまじまじと見つめる。本体から離れてもぷるぷるとゼリー状を維持していて、甘い匂いも変わらない。
 こうしてみると、新種の蜜だと言われてもおかしくないな。
 蜜、か。そう思うとどんな味がするのかっていう好奇心も沸いてきて、いやでもさすがに、

「はむっ」
「うおっ!? ちょ、おい!」
「んふ、甘い! 美味しいですよ、これ!」
「マジに食べるやつがいるかよ!」

 悩んでる間にフレアが俺の指ごと口に含んで舐め取っていった。
 指を擦っていく舌の感触と、フレアの口内の生暖かさ、艶のあるフレアの唇――本来なら意識してしまう彼女の粘膜も、だけどこれは反応してる場合じゃない。
 甘さにふにゃっとした笑顔を浮かべているフレアの肩を揺すって、吐き出させようとする。

「ぺってしなさい! 子どもじゃねーんだから!」
「もう飲み込みましたー。冗談抜きで甘くて美味しいですよ? ロビンも食べましょう!」
「いらねーって! 毒があるかもまだわかってねーのに!」
「大げさですね。安心してください、私はこの通りへっちゃらです!」
「茸とスライムは素人判断が一番危ないって教わっただろ!」
「素人じゃないですー。剣麗ですもーん」

 なに言っても聞かない! 唇を尖らせて、笑いながら俺から逃れようとフレアは身を捩る。
 くそ。自分の頬が緩むのを止めることができない。
 ――こいつ、俺とふざけるのを楽しんでる。昔みたいに。
 同じ村に産まれて、同い年だからっていっつも一緒に遊んで、笑いあって喧嘩してまた遊んで。
 こうして笑いながらとっくみあうのは、いつぶりなんだろうか。
 おかしさと懐かしさで目頭がじんと熱を持つ。
 そうだ。そうだったな。

「ロビンは昔から臆病ですからね。私が食べさせてあげますよ」
「お断りだっつの、ばーか」
「人生の八割損してますって」
「割合がデカすぎだろ」

 バカなことして、喧嘩して、笑いあう。
 その時のフレアの、心の底から嬉しそうな笑顔が、俺は大好きだったんだ。

「はは――なあ、フレア」
「なんですか、ロビン?」
「帰ったら、ちょっと……まあ、なんか、話そうぜ。いろいろ」
「……はあ、もう。今更ですか?」
「や、なんつーか……」
「せっかく一緒に冒険者になって、度胸がついたかなーって思ってたのに……遅いですよね」
「…………」

 今更か。今更だよな。
 顔を背けて目を瞑ったフレアの横顔に、何も言えなくなる。
 けれど、すぐにフレアは片目を開けて、いたずらっ子みたいな笑顔を浮かべて。

「元からロビンに甲斐性なんて期待してないので、早いも遅いもないんですけどね?」
「……久々に泣かしてやろうか、おい」
「こわーい。ふふっ」

 上機嫌に逃げて、くるりと振り返るフレア。

「お話は帰ってから、で……え、あれ」

 その身体がぐらりと揺れて、どさりと崩折れる。

「は?」

 脳が真っ白になり、理解を拒もうとする。
 だが身体に染みついた経験は、弓を構えて背後にいるスライムを射抜く判断を下す。
思考が停止していても、矢を抜き取ることはできる。
 声が震えていても、弓につがえて狙いを定めることはできる。
 油断していた相手でも、一切の躊躇なく攻撃することはできる。

 風を切って飛んでいく矢は、再びスライムに命中し――先程よりも大きくなったスライムの内部に沈んで、加害を停止する。フレアに細切れにされたはずの粘液の断片は洞窟内に見当たらず、こちらに向けて触手を伸ばしてるスライムが自己再生したとしか思えなかった。

「――くそっ!」

 立て続けに矢を打ち込むも、むしろ犬に餌を与えているような様相。
 こちらにますます興味を示して、逃がそうとはしない。そういう雰囲気だ。
 図体がデカくなったくせにこちらに近づくスピードは先程の数倍以上でにじり寄ってくる始末。
 スライムから伸びた触手はまるで棍棒だ。ひゅんひゅんと振り回し矢を叩き落とそうとすらしている。
 くそ。くそくそ。こんな相手だったとは。
 矢が足止めにもならない。これは、無理だ。
 弓を放り投げ、倒れているフレアを抱えようと両腕を伸ばし、

「――うおっ、嘘だろ!」

 予想以上に伸びてきた触手が俺の身体を横薙ぎに叩き、そのままぐるぐると巻き付いて縛られた。
 所詮粘液のくせに、ありえない力の強さで拘束してきてやがる。解こうとしてもびくともしない。
 ……が、それだけだ。俺を縛るだけで、スライムはそれ以上なにもしてこない。

「……まさか」

 触手がもう一つ、倒れて呻くフレアへ向かって伸びていき――身体を包んでいく。
 縛るわけじゃない。殺すつもりの荒々しさもない。ただ、包む。
 さっき言った自分の言葉が、瞬時にリフレインした。
 魔物化専門のスライム。
 どう魔物化させるかというなら、例えば女性に取りついて寄生する、とか。

「やめろ! くそ、クレア! 起きろ、振りほどけ! 聞こえてるだろ!」
「…………ぅ、り……」
「くそっ!」

 悲しげな、苦しそうな表情で、フレアは唇を動かした。
 無理。それは即ち、俺たちの敗北を意味していた。

 さっき飲み込んだスライムの粘液がフレアの体内でなにかしている。
 そこからだ。急にこのスライムが活発になったのは。
 どうしてでも吐かせるべきだった。ふざけるとか昔を懐かしむとか、そんな場合じゃなかった。
 俺の失態。俺の責任。それで標的になるのが、フレア。
 どうにもならない。これで終わり。
 ……となるのが、旧世代の魔物たちだったんだろう。

「ぅ、あ、うああああああっ!?」
「フレアッ!?」

 大声を上げる、最愛の彼女。助けたいという心だけが自由だった。
 粘液によってフレアの身体が大股開きになり、こちらに見せつけるように横に倒される。
 鎧や服は邪魔だと判断されたのか、器用に脱がすことまでやってのけた。
 そうしてフレアの裸身がピンク色の粘液の中であらわになる。
 無駄なく鍛えられ、それでいて女性的な丸みを損なわない引き締まった身体。
 片手では収まりきらないほどの大質量ながらも、弛みも尖りもせず美術的に均整の取れた胸。
 むっちりと柔らかそうな太ももは、その下に鍛えられた筋肉を孕み、その太さで女を主張する。
 尻だってそうだ。実戦的な肉体をしている中でも、尻の丸みはとくに男の欲情を誘う。フレアが身を捩れば淫らに揺れ、きゅっと引き締まった筋肉を地盤に固めた脂肪は決して崩れることはない。

「ろ、ロビン……だめ、だめっ……!」

 これ以上なく美しい彼女の、あられもない肢体。
 恥ずかしがって首を振る姿さえも綺麗で、目が釘付けになってしまう。
 だが、スライムの思惑はここからだった。

「あ……あっ、やっ!? やめてくださ、あぁっ♥」
「――ッ!」

 無理に開脚させられ、成熟した身体だというのに未だ男を受け入れたことがなさそうな、いたいけな縦筋が見え……それをスライムは無情にも割り開く。
 なにもかもが曝け出されていた。僅かに黒ずみ、ぷくっと膨れたクリトリス。針も通らなさそうな尿口。恥ずかしげにひくひくとすぼまりを繰り返す、少しめくれて黒ずみのある膣口。
 男の本能が、すぐに理解する。処女のくせにオナニーにばっか耽ってやがったな、と。
 真っ赤に染まったフレアの表情は、懇願するようにこちらに向けられていた。

「みな、いで……っ」

 その言葉を、スライムはお気に召さなかったのだろうか。
 俺とフレアの距離を近づけ、鼻と股肉がくっつきそうなほどにまで動かす。

「う、うううぅぅ…………っ♥」
「お……おま、え」

 それだけじゃない。一時的に粘液を退け、フレアの膣を外気に露出させまでする。
 瞬間、鼻腔にずんと叩き込まれるメスのにおい。甘ったるいスライムのにおいではなく、どこか酸っぱくて男を滾らせる、淫靡なにおいが漂ってきていた。
 にちゅり。粘っこい水音と共に、粘液の羞恥開きから逃れた縦筋の奥底から、とろとろとした透明の液体が滴る。マン肉が充血を始めて赤くなり、その事実を更に意識させる。
 フレアが、発情している。

「ろびん……ロビンっ……♥」
「ふ、フレア……」
「きら、嫌いに……ならないでぇ……っ♥ うううぅ……♥」

 がつんと殴られたような感覚。
 ああ。やっぱりなのか。
 フレアはスライムのせいで発情しているわけじゃなかった。スライムはただ、スイッチを入れただけ。
 どろどろに蕩けた猫なで声で、嫌いにならないで、と願うフレア。
 彼女の身体を支配する欲望は、彼女には制御の仕方がわからなかったんだろう。
 抑える術を知らないまま、制御しきる方法がわからないまま、今日まで過ごしてきた。
 ……俺が、彼女の望むようにしなかったから。

 スライムは更に粘液をフレアの身体に這わせ、大きな胸を持ち上げた。

「ひ、あっ♥ く、ふぅぅっ……♥ だ、大丈夫ですよ、ロビンっ♥ 動けるようになれば、すぐに……はぁっ♥」

 粘液がぐにぐにと胸を刺激し、いやらしく揉み解している。
 全体を搾ることで円錐に歪む様は、ただの脂肪ではなく子を育むための乳であることを如実に表していて、その証として乳輪の先端でくぼんだものがぷくりと浮かび上がる。
 ぴんぴんに腫れて硬くなった乳首が、綺麗な薄いピンク色で咲き誇っていた。子を成したこともなく、誰にも触られていない――神聖ささえある、純潔の色だ。
 フレアの顔はますます赤くなり、その瞳はますます情欲を溜め込む。

「あきらめっ♥ ないでください、ロビン、っひ♥ あっ♥ こんなの、赤ちゃんがおっぱいを求めてるのと同じ――はあぅっ♥ や、乳首っ、そんなっ♥」

 彼女の意思は、まだ折れてはいない。
 唇から漏れる熱っぽい吐息を抑えようともせず、なんとか引き剥がそうと腕や足で抵抗を見せる。フレアの膂力に粘液が引っ張られ多少は払えるものの、しかし粘液の拘束は執拗で、すぐにまた元通りに縛られる。
 性感帯への刺激があることも、フレアにとっては不利だった。
 粘液が乳首をつまみ、先端を回転させる。それだけでフレアの身体は脱力してしまう。

「く、屈しません♥ こんなもの、耐えきってみせま、ふぁっ♥ だ、だから、ロビン! そっ、そこで、んんぅ♥ 見ててくださいっ♥」

 フレアより、俺のほうが拘束は強い。
 樹木の太い幹のような粘液が首から下をすっぽりと包み込んでいて、いくら身体を動かそうとびくともしない。スライムは俺に邪魔されたくないんだろう。
 しかしフレアのほうはといえば、俺よりも拘束が弱い。
 足を広げさせ、腕を固定し、胸を刺激する。スライムは彼女を捕まえるのみならず、堕とさなければならない。そのせいで力が分散し、全身を包み込むなんてことができないのだろう。
 フレアが少しでも本調子を取り戻せば、きっとすぐにでも逃れることができるはず。
 そう信じるほかに、俺ができることはなにもなかった。

 ……だが、それも、フレアの我慢が続けばの話。

「あっ♥ ま、またそこっ……♥ うそ、一緒になんて、むりですっ♥ むり、ぃ♥ やあぁっ♥」

 乳首だけでは埒が明かないと判断したのか、スライムは再度膣に粘液を伸ばす。
 無垢な股スジの合間から顔を出している勃起クリトリスを粘液がつつくと、フレアの身体が敏感に震え、両膝が内股を守ろうとして粘液に抑えられる。
 ここが弱点ですよと教えているようなものだった。

「クリやだぁ♥ ん、はぁ♥ ひっ、ぞりぞりしないでっ♥ ひあぁっ♥ もぉっ、もうダメぇ♥ こんなのだめぇっ♥ クるぅ♥」

 粘液のねぶるような動きはこっちからだって見える。
 一本の触手につぶつぶとしたやすりを浮かばせて、それを使って無慈悲にもクリトリスをごしゅごしゅと磨いていた。触手状の粘液自体はぴったり股に密着しているというのに、クリトリスに触れるやすり部分だけをベルトのように器用に回転させてやがる。
 単調だが、効果は絶大。いじめられたクリトリスが包皮から解放され、フレアの腰が跳ね回る。
 やすりにクリトリスを押し付けるための、もっと快楽に溺れたいと願う腰振り。
 明らかに無意識の動きだ。フレアの雌欲が手綱から外れつつあるようにしか見えなかった。

「イ、んひっ♥ やだ、やだぁ♥ スライムにイかされたくないんですぅっ♥ ん、おぉ゙っ♥♥ ち、ぐひぃん♥ ロビンッ、ろびんろびんろびんんんっ♥♥」

 剣麗――なんて言われてた小娘の凛々しい顔は、今や快楽にまみれて蕩けていた。
 乳首を引っ張られた状態で固定され、その全体をつぶつぶやすりベルトでつねりまわされ、陶器のように美しかった胸が粘液によって快楽の発生装置に貶められる。
 不屈を誓ったその唇で淫靡に喘ぐことの恥辱は、いったいどれほどのものなのか。救いを求めてこっちを見つめてくるフレアの視線に――間違いなく、恍惚が宿っていた。
 錯覚じゃない。フレアはスライムに絶頂させられることを……それを俺に見られることを、被虐の悦びとして享受していた。そうなることを待ちわびていた、夢が叶った少女の目つきで。

「お゙♥ イきます♥ イきますイきますイきますひっ♥♥ ぎ、ひ、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ♥♥」

 腰をがくがくと無様に上下させ、背を仰け反らせてフレアは絶頂快楽に打ち震える。
 いつも澄ました顔をしておいて、フレアは快感になんの恐怖も抱かない。勝手知ったるとばかりに、とても気持ちよさそうに歯を食いしばって絶頂を味わっている。
 その間もスライムはやすりがけを止めず、……どんどんと膨張していく。
 先程可能性の一つとして思い描いた、寄生するスライム。栄養として摂取するのが女性の絶頂――その結果として生成される魔力だとしたら。効率よく魔力を生成させる方法を、知っているとすれば。
 俺の予想を裏付けするように、肥大化した寄生スライムが更にフレアに取り付いていく。

「や、やめへっ♥ がひっ♥ お゙へぇ♥ まだイっ、ぎぃ♥ はへっ♥ またイく♥ すぐイきますっ♥♥ おまんこイきますぅうっ♥♥」

 絶頂の余韻すら味わう余地なく、今度は膣内への刺激まで行うようだった。
 伸ばされた粘液の触手が陰唇をかきわけ膣口を叩き、穴に浸透していく。
 処女膜を破るようなことはないようだが、それは却って痛みによる快楽の打ち消しが行われないということを意味する。純潔か、屈辱か――もちろんフレアに選択権はない。
 膣内に侵入した粘液はすぐさま攻撃を開始し、フレアはよがり狂う。
 耐えれるわけがないのか、耐えようともしていないのか。フレアの整った顔を涙と涎と絶頂快楽でぐしゃぐしゃにされたのでは、長年共にしたと言っても判別なんてできっこない。
 正直な絶頂予告はどう考えても俺に見せつけるためだ。なんとなく、そんな確信があった。

「んおっ♥ ほぉぉおっ♥ イぐっ♥ イぐいぐいぐいぐ♥♥ イぎましゅううぅぅぅぅ――っっっ♥♥」

 一分と経たず、あっさりと再度の絶頂を迎えて悦びに跳ねるフレアの肉体。
 あまりにも心地よさそうなアクメ顔を浮かべ、丸出しの女壺を物欲しげにひくつかせ、まるで高級娼婦と見紛うばかりの貫禄がある無様さだ。
 もはや完全にスライムの手玉。抵抗するどころか指一本さえ絶頂に脱力している。
 膣をなぶる粘液の隙間から愛液が吹き出て、メスの臭いが洞窟内にどんどん充満していく。それを至近で食らわされて、自らのオスが張り詰めていくのをどうすることもできない。
 スライムは粘液を更に肥大化させていき、さっきまでのフレアに対する貧弱な拘束力を解消してしまっていた。両腕も両足も縛られスライムの上で磔にされ、当人は絶頂によがるのが精いっぱいで、意思はボロボロに挫けそうだった。

「フレア……」
「ぅぐっ♥ ん゙ふぅ♥ はーっ♥ はぁあ゙ーっ♥ ロビン……っ♥ ごめんらしゃっ、ひぃん♥ ごめんらしゃいっ♥ ごめんらしゃいぃっ……♥」
「っ、謝らないでくれよ……俺が、お前を守れなかったからっ……!」
「ちがうんですっ♥ そうじゃにゃ、んお゙ぉ♥」
「……え?」

 違和感を覚えた。フレアの唐突な謝罪に、そして違うという言葉に。
 そして、気づいた。スライムがフレアの拘束を解いて自由にさせている。両腕も両足も。
 なのにフレアはもがくことも逃げようともせず、むしろスライムに両手をついて上体を起こし、アクメで蕩けた顔を恥ずかしげもなく俺に近づける。視線が交差する。
 気配が変わった。雰囲気が変わった。
 フレアはもう、今までのフレアじゃなくなっている。

「えへっ♥ ぜんぶふわふわして、ぜんぶきもちいいんですっ♥ ほ、ぉん♥ んぐ、ふーっ♥ ふーっ♥」
「……お前」

 絶頂の余韻でぶるりと震えつつも、フレアは確かな言葉で快楽を認める。
 確定的なのは、唇の端から漏れている唾液がほのかにピンク色を混じらせていること。
 既にフレアの体内にはスライムが侵入していて、それが要因で動けなくなったというのに、今こうしてうっとりと俺を見つめる彼女は……かなり元気そうに窺える。

「屈しないんじゃ、なかったのか……」
「屈してませんよぉ♥ でも、この子がとぉっても愛おしくて……♥ だから私が操っちゃえば、屈したことになりませんよねっ♥」
「……嘘を言うな」

 フレアが少し身振りをすると、寄生スライムはその指示の通りに振る舞う。脱ぎ散らかした装備や剣を隅に片付け、ベッドのような平たい楕円に変化し、その上に俺を縛り付けた。
 彼女がスライムを操っているように見えるし、そんなようなことをフレアは言ったが……快楽に蕩けた媚びるような声に、艶やかな吐息、未だ彼女の性感帯を覆うスライムなどが信憑性を失わせた。
 操ってなんかいない。操られているわけでもない。

「……魔物になっちまったのか、フレア」
「くすっ……♥ よく、わかりましたね……♥ でも、ほら、私は私のままです♥ 角や翼なんかも生えてないし、身体が変わったわけじゃないですよ♥ おまんこだって、ロビンがいつもちらちら見てたときのまま……♥♥」
「じゃあ、さっきの謝ってたのはなんだよ」
「ああ……♥ なんだかとっても不安で、私が私じゃなくなるような気がして、それがすっごく気持ちよくって♥♥ 私だけ気持ちいいのが、ロビンに悪いなぁって思ったんですよ……♥ くすくす♥」
「…………」

 胸や尻を見せつけながら、スライムベッドに縛られた俺の隣まで近寄ってくる。
 魔物になったというのなら、彼女の狙いは考えるまでもない。
 愛おしげに俺の頬にキスして、心底嬉しそうな媚び笑いを表情にするフレア。

「ちゅっ♥ ふふ、私たちずぅーっと一緒だったのに、ほっぺにキスすらしたことありませんでしたね……♥」
「………………俺はある」
「……えっ?」
「お前が寝てる間にな。寝言で俺を呼ぶなよ、アホ」

 墓まで持ってくつもりだったが、彼女がもう魔物になったっていうなら、隠す必要はない。
 セックスのことだけ考えてるのが魔物だ。フレアではなくなった。
 だから、せめてもの手向けとして。もしこれを普段のこいつに暴露できてたなら、フレアは恥ずかしすぎてしばらく顔も見せてくれないんだろうな、と思って――

「――え、あ、うぅ……っ? ね、寝てるときに、ですか……?」
「……? そうだ。バカヅラでロビンロビンって、母親を探す子どもみたいに呻いてるぞ」
「い、いっつも……?」
「いっつも。俺がキスしてやると大人しくなるんで寝かしつけるために、こう」
「ぁ、うぁ、そんなっ……やだ、私、そんなはしたない、うぅぅぅぅ……っ!」

 ――あれー?
 顔面を真っ赤にさせて頬を抑えて、ものすごい涙目になってらっしゃる。
 その反応は違うんじゃないか? 普通は笑顔になって襲いかかってくるもんだろ?
 フレアは混乱している。俺も混乱している。

「うぅっ……ひっく。私、もう、お嫁にいけませんよぉ……っ」
「それ、スライムに言うべき言葉だろ……」
「あれくらい普通です! それに私、ロビンに睡眠レイプされるために熟睡してたんですからね!?」
「は?」

 耳がおかしくなったのかと思った。

「お医者さんから処方されたぐっすり快眠できるお薬を毎日飲むなんて、目的はそれしかないじゃないですか! 朝起きたら股から精液が溢れるっていう幸せなシチュエーションを期待してたのに!」
「お薬が必要なのは頭じゃねえか?」
「そもそもロビンは私のおまんこガン見してるくせになんで襲わないんですか!? 依頼をこなすたびに手加減して苦戦してる振りして、帰り際とか宿でレイプできるように疲れた振りしてたんですよ! ぐっちゃぐちゃのどっろどろにレイプするでしょう普通!」
「俺のことそんな奴だと思ってたのかよ!」
「さりげなく誘ってればいつかはオスになるって信じてたんですよ! 私は!」
「今の話のどこで誘ってることになるんだよ!?」

 ちょっと待ってくれ、ひどい頭痛がする。
 まさかなー、とは思ってたけど、予想を遥かに高く超えてきてるんだが。

「ロビンの下着を時々拝借してたのだって、気づいてたでしょう!? 私がトイレでロビンのオスチンポ蒸れ蒸れ下着で種付け交尾妄想オナニーしまくってたというのに、どこ行ってたんですか!?」
「下着が無くなったら買いに行くのが当たり前だろうが!」
「こんなに身近に下着泥棒がいるのに買いに行くなんておかしいですよ! お仕置きスパンキングから愛液を見て強制合意孕ませ生まんこでしょう!? 私をなんだと思ってたんですか!?」
「誰より一番大事な幼馴染だっつの!! お前にそんなことできるか!!」
「ぁ……♥ ま、まぁ、悪いと思ってるなら許しますけどぉ……♥♥」
「今の話で俺に悪い要素あったの!?」

 この流れでもうはっきりわかった。
 こいつ、こっちのほうが素の感情だろ。
 普段の態度は猫被っているというより俺が襲いやすいように大人しくしてただけだ。
 頼めばヤらせてくれそうな幼馴染、っていうポジションを狙って。アホか。アホだ。
 なんつうか、うん。魔物化してもあんま変わってないっぽいな。

「あれだけお膳立てしてたのに、ロビンからされたのが寝てる間にキスだなんて……うぅ♥」
「ほっぺな! ほっぺ!」
「唇よりもっと残酷じゃないですかぁ! どうせキスするなら、ロビンのかっこいいオスチンポで子種待ち子宮にねっとりキス射精されたかったのにぃ……っ♥」
「ッ!?」

 空気がまるきりギャグの流れだったが、そういえばフレアは素っ裸だ。
 膝立ちになって俺の眼前に腰を下ろし、膣と尻穴を惜しげもなく晒してくる。
 二度重ねた絶頂によってメス穴から漏れ出てくる白く泡立った本気汁と、呼吸と同期してぱくぱくと切なくすぼまりをわななかせるケツ穴が視界いっぱいを埋め尽くしてくる。どちらも男を受け入れたことがない薄桃色で、あまりにも扇情的すぎる。
 スライムに剣を持たせて、よく研がれた刀身を鏡面にして太陽光がフレアの股間を照らす。一瞬その行動の意味がわからなかったが、ぬらぬらとした愛液がオイルみたく発情した下腹部をてかてかと輝いてることに気づくと、彼女がなにをしたいのか、見せたいのかがわかってしまった。

「どうですか、ロビンっ……♥ 私のぷにぷに処女まんこ、綺麗ですよね……♥♥ チンポ挿入れたいですよね♥ ずぽずぽ腰振って犯したいですよね♥ 中に射精しまくって、孕ませたいですよねぇっ♥♥」

 肉唇を指で開き、膣の内部までもが光で見えてしまう。
 指の一本さえ窮屈そうなメスガキ程度の処女穴から、男を迎え入れるためにとぷとぷと愛液を淫らに垂らし、膣ひだや肉つぶが次なる快楽を求めてぷっくりと充血していることさえ見て取れた。
それだけじゃない。見られているということへの羞恥からか、くすんだピンクのケツ穴がひとりでにくぱっと開いてかわいらしくひくひくっと呼吸している。不浄の穴だというのに、僅かに縦長に割れた菊座は第三の唇のようにも思える。唇、陰唇、肛唇。どれもこれもキス待ちだ。
 瞬間的に理解する。彼女に付属している穴のすべてがブチ込めばめちゃくちゃ気持ちいいものだということが。オスに媚び、包んでご奉仕し、精液をねだるための構造。
 さっきの乱れに乱れたフレアの痴態で、下半身はとっくに臨戦態勢だが……繋がる穴を視認することで更に一回り硬さを増していく。
 それを察知できないフレアでもない。

「あはぁっ♥ はーっ♥ はーっ♥ ロビンのチンポぉっ……♥ 大好きなロビンの、夢にまで見たチンポがぁ……♥♥ いいですよねっ♥ くんくんにおいかいで、ぺろぺろじゅぼじゅぼなめしゃぶってもっ、いいんですよねぇっ♥♥」
「お、おいっ、フレアっ」
「がまんできませんんっ♥♥」

 全身の拘束は依然として継続された状態だ。淫猥な本性をあらわにした獣を制止することなど不可能。
 恥も外聞もなく、ズボンを履いたままの俺の股間にフレアの顔が埋まる。

「すぅぅぅぅ――――っっ♥♥ は、ぁぁぁあ゙っ♥ イ゙っくぅ♥♥ ん゙ふうううぅぅぅぅ……♥♥」

 最後に身体を清めたのは二日前。それまで動き回ったり寝汗をかいたりして、蒸れた熱気が濃縮されている。顔をしかめるどころか鼻が曲がるほどであろう強い精臭を、フレアは喜々として深呼吸する。
 そしてたったそれだけで絶頂に至り、腰をへこっへこっとみっともなく振るう。
 甘いものを好む女性にとっては、匂いだって味わうために必要なアクセントだ。そんな大事な嗅覚を不潔勃起チンポスメルで陵辱されているのに、フレアは背筋を震わせてマゾアクメを満悦していた。
 自分から飛び込んでこの悦びよう。もしも嫌がるフレアに無理やりさせていたら、こいつはもっとイき狂うのではないか。そうされることを毎日毎夜、願っていたのでは。
 最愛の幼馴染のふしだらな痴態に、思考が汚染されていく。

「はぁっ、すぅぅ――っっ♥ んううううぅぅぅ゙ぅ゙っっ♥♥ こりぇだめっ♥ はひ♥ くしゃいのくせになっちゃう♥ おまんこいれたいのにぃ♥♥ ずっと嗅いでたいよぉっ♥♥」

 俺の股間に顔をくっつけては限界まで吸い込み、顔を離して絶頂に震える。それを何回も繰り返し、フレアの脳細胞がオス臭中毒から抜け出せなくなっていく。
 やめろ、そんなとこ嗅ぐな、などと言っても届きさえしない。
 こっちとしてもやめてほしかった。フレアの顔が押し付けられるたびに布越しに頬肉の柔らかさが裏筋やカリを包み、もどかしさからじわじわと焦らされ高められていく。生殺しの拷問だ。
 それを打破しようとして、こっちから腰を押し付けてしまう。

「すぅ、ん゙んぅっ!? あづ、あぅ♥ あつぅい♥ びくんびくんって、チンポ跳ねてます……♥ 熱くてガッチガチのおさななじみチンポぉ……♥ そうですよね、嗅いでるだけじゃ、勿体ありませんよねぇ……っっ♥♥」

 それが気付けになった、というわけではない。
 彼女の視線が俺の身体を舐め、俺の顔を一瞥し、ぺろりと舌が唇を濡れさせる。フレアのその仕草は次の淫行の予告だった。すぐにスライムが動き、俺の服を剥ぎ取っていく。

「くすっ♥ あぁ、本当に、ロビンのチンポはかっこいいですねっ……♥♥ 亀頭がパンパンで、カリも凶悪にエグくて、こんなの入れちゃったら……♥♥ 私、死んじゃいますよっ♥」
「……お前もしかして、俺のこれ、見たことあるのか……?」
「ありますよぉっ♥ 朝勃ちでびんびんっ♥ になってるロビンのチンポ♥ いつかロビンにしてあげるための、おチンポ様ご奉仕おしゃぶりの練習をさせてもらってましたからぁ……♥」
「バカっ、ぅぐ」

 起きるのがだるい日があったのは、間違いなくそれが原因だったんだろう。なにやってんだ。
 さすがに叱ろうとして、その前にペニスを両手で握られて声が出せなくなる。

「お射精処理手コキも、勉強しようと思ったのですが……私の手は剣ダコができてて、ロビンに失礼だなって気づいたんです。それに……精液お便女なら、手じゃなくて口のほうが適切ですよねっ♥♥」

 俺はフレアの手が好きだ。
 細くてしなやかだけど、剣を握る時は誰よりも頼りになるフレアの掌。
 昔はよく手を引いて遊びに行った。今はフレアに手を引かれて仕事をこなす。
 俺たちの仲を繋ぐ手指は、言われてみれば確かに俺の汚いところを触ってほしくないなと思う。

「あぁーんっ……♥♥ はむっ♥ んむぅーっ♥ うぇろうぇろーっ♥♥」
「ッ……!」
「ぁは♥ らしたくなったら、いつでもひーれふからね♥♥ んじゅりゅっ♥ にゅむにゅむぅ♥♥」

 だからって、いきなり奥まで飲み込むフェラチオするかよ。ファーストキスもまだなくせに。
 しかし練習していたと言うだけあって、一瞬で溶かされるような快楽を送り込まれる。
 ぷりぷりの唇で亀頭を撫でしゃぶり、裏筋に舌を当てながらゆっくり頭を沈めることで、口内の熱をペニスの勃起熱と混ぜ合わせていく丹念さ。敏感に跳ねる肉棒を嘲笑うかのような舌使い。
 頭を引く際には、唇で包皮全体をしっかり掴んでねっとりと引っ張りあげていく。唇がカリ首に到達すればそこで細かく上下に頭を動かし、唇と包皮とカリを擦れ合わせる。
 独学だと言うのに娼婦さながらの熟達したテクニック。加えて弱点も知られているために、あっという間に射精欲求がせり上がってくる。ろくに声も出せない。

「こへ、しゅきでふよねっ♥ んぶ、これをしてあげるといつもすぐ出ちゃうんですよー♥♥ どうです、起きてる時にされるのは気持ちいいですか♥」
「人をっ、おもちゃみたいに……!」
「ぇへへ♥ 私、ロビンのことだぁーいすきなんですっ♥ だからですね、好きな時にいつでも射精させてあげられるようにっ♥ んぐぶ、じゅりゅじゅりゅっ♥ ほんはふーにっ♥♥」
「ぅぐおっ……!」

 やってることは非常に単純ながらも、コンパクトな動きで抵抗を許さない。
 包皮とカリを巻き込んで擦られているだけ。男というのは、それだけでも簡単に射精させられてしまう。
 それを認めたくなくて――フレアの頭を、両手で抑えつける。

「んぐっ!? ぉごっ♥♥ ぐ、ぶふぅ♥」
「う、フ、フレア、悪いっ」
「んふーっ♥ ちゅぶ、ぉえっ♥♥ も、もっろひてぇ……♥♥」

 一瞬驚く。拘束されていた俺の両手が動かせる。手だけではなく、足も。
 そのせいでフレアの喉奥まで叩き込んでしまい、背筋を走る快楽に声を詰まらせるも、フレアの方は息を詰まらせているのだ。心配して声をかけて、すぐに心配したのが無意味だと悟る。
 拘束を解いたのは、俺にこうしてもらうため。被虐にむせび悦ぶフレアの目が嬉しそうに細められていた。
 戸惑う。フレアにそんなこと、と思うものの――

「ん、ぉぶぅっ♥ おごっ♥ んぶふーっ♥ じゅりゅぅーっ♥♥」

 汗で額に張り付いたフレアの黒髪。さらさらでツヤのあるそれを、フレアはいつも大事にしていて。なのに今は乱れた髪を整えようともせず、一心不乱にしゃぶりついてくる。
 顔だって下品すぎる。敵と相対する時は強く凛々しく、守るべき人たちと話す時は朗らかな笑顔で、俺と話す時は年頃の少女みたいに楽しげな表情を浮かべていたフレアの顔。あれが嘘じゃないなら、チンポが極上のエサだと信じ切っているこの表情は、なんだというんだ。
 恍惚そうに目を細めて、鼻からは汚い鼻水が垂れて、唇の端から漏れる唾液を拭おうともせず、ただただチンポを舐めてしゃぶって淫らな嗚咽をしゃくりあげる。

「……わかったよ」
「はへっ?」

 俺が悪かった。こいつにストレスを溜めさせて、こんな顔をさせてるのは俺のせいだ。
 だから――フレアの頭を掴み、喉奥にチンポを叩きつける。

「おごぉぉぉお――――っ♥♥ ぐぼっ♥ ちゅぶっ♥ おえっ♥ ひぎゅっ♥♥」
「唇緩めんな。喉でカリを味わえ」
「ぐぷっ♥ んんぅ〜〜〜っ♥ じゅりゅっ♥ ぐりゅっ♥ げほぉっ♥ ま、まっへぇ……♥」
「待ってほしいと思ってないだろ」
「しょんにゃっ♥ んぶうぅ〜〜〜〜〜っ!?♥♥」

 思えば、こいつなりに俺へサインを送ってたんだ。
 欲求不満を溜め込んで、それを俺にだけアピールして発散させたくて。だけど俺が気づかないからずっと溜め込んだままになり、満足いくことがないまま身体を焦がしていた。夜ごとにどんどん憧れが強くなって、水面下で静かに色に狂っていったんだ。
 なら、フレアの望むようにしてやるのが俺の責任なんだろう。
 剣で負けるはずのない相手に屈服させられたい。性欲処理のための道具になりたい。そういったフレアの願いを叶えてやらなくちゃならない。俺は心を鬼にする。

「一発目イくぞ。全部味わえよ」
「へひゃっ♥ しぇーへきぃ♥ んぶっ♥ んぶっ♥ ずずっ♥ ふーっ♥ じゅるるぅ♥」

 フレアの頭をモノのようにして自分勝手に扱い、フレアの口内が必死になってチンポを接待してくる。
 亀頭が膨らみ、快楽がせり上がってくるのを感じる。堪えは効かない。
 舌が裏筋をずりずりと刺激し、喉奥がカリ首をごしごしと扱き、唇が情けない音を立ててチンポに吸い付く。便器女の顔。剣麗なんて賞賛が到底似つかわしくない顔だ。
 もはやなんの躊躇いなく、最後に一突き深々とチンポを飲み込ませ、口内射精を解き放つ。

「んぐふぅ〜〜〜〜っ♥♥ ごぐぅ♥ ごきゅ♥ ごきゅっ♥ ごきゅぅ♥」
「吸うの止めるなッ……フレア……っ!」
「ごぶっ♥ んぐ♥ んぐっ♥ じゅじゅぅ♥ んっく♥ ごきゅ♥」

 ドロドロとした半固形の精液がとてつもない量で溢れ出し、それをフレアは懸命に飲み下す。
 だが量に対して嚥下が追いつかず、頬袋の貯蓄量をオーバーした分の白濁子種が唇とチンポの合間からじわじわと漏れてくる。
 喉に直接鈴口が接しているために、鼻からも精液が漏れ出し、それと空気が混ざりあって鼻提灯が膨らむ。なんて無様さだ。今までフレアが助けてきた人たちは、この姿を見たらどう思うだろう。
 背筋を駆け上がる排泄快楽と満足感に、嗜虐の色も混じる。肩が震え、息が熱を放つ。

「じゅるっ♥ じゅぞぞっ♥ んく♥ じゅるるー♥ んっく♥」
「はーっ……ふーっ……」
「ぷはっ♥ はぁーっ♥ はぁーっ♥ けほっ♥」

 やがて射精も終わると、尿道に残った残滓まで吸い尽くしてからようやくフレアの口が離れていく。
 口の周りが唾液と鼻水と精液でべたべたなのに、まともに呼吸もできず息を荒くしているのに、フレアは半目になりながら精飲の余韻で陶酔していた。僅かに肩を揺らし、腰を震わせ、ぴくぴくと手を痙攣させている。もしかして、イラマチオで絶頂していたのか。
 どこまでもドスケベすぎるフレアの本性。それにアテられたのか、もしくはスライムの魔力か――俺の陰茎はまだまだ硬さを維持して、フレアに穂先を向けていた。

 で、ふと思い立って、スライムに語りかけてみる。

「おい、スライム。俺の言葉わかるか」

 するとベッドからにゅっと触手が伸びて、その先端にさっきと同じ気の抜ける顔があった。
 フレアに寄生する前は人の言葉が理解できるようには思えなかったが、今見てみるとちょっとフレアに顔が似てきてるような気がする。ほんとに気のせいだと思うけども。

「こいつひっくり返して、両手両足縛ってくれないか」
「……ふぇ? ろび、ん……?」

 フレアは意味がわからないというような顔をしているが、スライムは大きく頷いて触手をベッドに戻した。別に思考を共有させているわけではなく、宿主の命令が絶対というわけでもないのか。
 となるとこのスライムは、自分が魔力を得られるんだったらなんでもいいって行動方針なんだろう。それは今の俺にとっても都合がいいし、フレアには災難だろう。
 まあ、気持ちよくなるんだからきっとフレアも嬉しいはずだ。

 再びスライムは四本の触手を出し、それぞれフレアの四肢にがっちりと巻き付く。

「えっ? えっ!? ろ、ろびん! なんですかこれ!」
「お前に暴れられたら困るから、こいつに協力してもらうんだよ」
「な、なにを……ぶえっ」

 両足が高く上げられて、そこからうつ伏せにフレアの身体が叩きつけられる。ちょっと容赦なさすぎないか?
 まあスライムのベッドだから痛くはないだろ。顔が粘液に埋まってぶくぶくしてるけど。
 無防備な背中に張りのある尻肉が山を作って、拘束から抜け出そうとするフレアの努力が男に媚びる尻振りに帰結していく。尻だけ突き出して、左右にくいっくいっと。
 見てる分にはそそるんだが、やりにくい。フレアの隣に寝転がり、口を寄せる。

「怖がるなって。痛いことはしない」
「ひゃっ……♥ ろ、ロビン……耳元で囁かないでくださいっ……♥」
「悪い。謝りたくて」
「あ、ぅう……っ♥ あ、あたまなでなでしたって、誤魔化されませんよ……♥♥ おチンポしゃぶるのが夢でしたけど、さっきのはとっても苦しかったんですからねっ……♥」
「いや、謝りたいのはそっちじゃない。今縛らせてることでもない」
「へっ? じゃ、じゃあ、何に謝るっていうんですか……?」
「……ごめんな。フレアのケツ穴をいじめさせてくれ」
「え、きゃうんっ!?」

 ぽたぽたと垂れるフレアの愛液を手に取り、指を二本だけフレアの肛門に挿入する。
 突然のことに彼女の目が白黒して、ぎゅぎゅっと括約筋が指に噛み付く。だがぎちぎちにキツいというわけではなく、男の太い指二本だというのにあまりにもスムーズな侵入だった。
 やっぱりな。

「フレア。ケツ穴でもオナニーしてたんだな」
「……あぅぅ♥ だ、だって、ロビン……♥ あなたがじーっと私のアナルを見つめるんですもの……♥♥ おまんこもアナルも、えっちな目で見られて……♥♥ ロビンのかっこいいおチンポでぱこぱこってされて♥ びゅーっていっぱい中出しされたくってぇ……♥♥」
「変態マゾのフレアは、それしか考えることがなかったのか?」
「ひう♥ は、はいぃっ……♥ わ、わたしは……マゾメスだから……っ♥ あなたと一緒にいる間、ずぅーっと……♥ おチンポのことと、セックスのことと、オナニーのことばっかり考えてました……っ♥ んっ♥ アナルぅ♥ ひろげるのすきぃ……♥」

 指で気持ちよくさせる気はまったくなく、ただケツ穴を解すためだけに使う。
 上下左右に引っ張ったり、ぐりぐりと回転させたり、指を開いたり。
 たったそれだけの刺激でフレアの唇から「ほぉっ♥」と素っ頓狂な声が時折漏れ、小さな絶頂を迎えているようだった。菊紋のすぐ下からはごぽごぽと愛液が吹き出し、またもスジを潤わせていく。
 申し訳ないが、フレアの愛液はしばらく無駄になる。

「フレアは本当にどうしようもないやつだな」
「そうですぅ……♥ ドスケベマゾメス便器のフレアは、おチンポ欲しがってどうしようもないんですっ♥ ロビンのことが大好きなのにぃ……♥ チンポのことばっかりぃ……♥」
「俺が好きなんじゃなくて、チンポのことが大好きなんじゃないのか?」
「あっ、あぁっ♥ ちが、ちがうのぉっ♥ チンポも大好き♥ でも、でもっ♥ ロビンのことがいちばんだいすきぃっ……♥ かっこよくってぇ、やさしくってぇ♥ ロビンが大好きだから、ロビンのチンポも大好きなんですよぅ……♥♥」
「――意地悪なこと言ったな。ごめん」
「あ……♥♥ ん、ちゅ、ちゅぅ♥♥」

 軽くキスしてやると、ケツ穴をきゅんきゅん締め付けて、小鳥のように唇を尖らせてもっともっととついばんできた。こんなフレアも、素直にかわいらしいと思える。
 俺だって、別にフレアがこんなドスケベだったからって、気持ちが変わったりはしない。
 フレアがチンポを喜んでしゃぶるようなやつでも、俺たちが今まで積み重ねた記憶が消えるわけじゃない。

「……スライムにイかされて、わかったんです……♥ きもちは隠さなくていいんだって……♥ 今までの心地よかった関係も、通過点に過ぎないんだ、って……♥」
「……ああ。そうだな。俺も、さっさと言えばよかった。ごめん」
「謝らないでください……♥ 私だって、ロビンが大好きって、それだけ言えばよかったのにしなかったんですから……♥ そ、それにっ……♥ ロビンの指が、私のアナルに入ってるぅ……♥ きもちよくて、もう、幸せなんですよぉっ♥♥」
「バカ。チンポ入れずに幸せになってどうすんだよ」
「あぅ♥ ち、チンポ、ほしいっ♥♥ えへ、まだ幸せじゃないですねっ♥」

 ほどよく解れて、肛門がかなり柔軟に伸び縮みする。もう良さそうだ。
 腸壁を指の腹でひっかくようにしながら抜き、「んひっ♥」と鳴きながらイくフレアの頬に口付けて、彼女の身体を覆い尽くすように全身で伸し掛かる。
 女性の身体はどこもかしこも柔らかい。フレアは特に胸も尻も大きいので、最高の肉マットレスだ。
 安産型のフレア尻が反り返ったチンポをまるまる挟み込み、尻肉サンドイッチでぞくぞくと快感が走る。

「ロビンのチンポ……♥♥ こ、こんなの、逃げられないぃっ……♥ おチンポされちゃうぅ……♥」
「なあ、フレア。チンポ、どっちにほしい?」
「えっ……♥ えっ、えっ……♥ ど、どっちも……♥♥ やだ、選べませんよぉ……♥ おまんこもケツ穴も、さっきっからうずうずしっぱなしなのにぃ……♥♥ どっちもがいいですっ♥♥」
「ダメだ。今から動けないフレアにチンポを叩きつけまくる。穴だけは自分で選んでくれ」
「ああああっ♥ うそっ♥♥ 寝バックで生ハメレイプするんですかぁっ♥♥ やだやだぁ♥♥ は、はじめてはせいじょーいっ♥ 乙女の初めては正常位なのにぃっ……♥♥」
「わがまま言ってるとチンポなしだぞ」
「ごめんなさいっ♥♥ ごめんなさいごめんなさいぃ♥♥ チンポうれしいです♥ 初めてが寝バックレイプなの嬉しいですっ♥♥ 動けないのにみっちり伸し掛かられて中出しされるのが夢でしたぁっ♥ だから、だからっ♥♥ おまんこにチンポくださいぃっ♥♥」

 ずっと一緒で、片思いを抱き続け、いつまでも共に歩み続けた相棒――そのフレアが恥ずかしげもなくセックスをねだる。得も言われぬ支配感に、全身が歓喜した。
 フレアのお望みのままに、腰を引き、チンポの狙いを定める。
 これから一つになる。それを実感したのか、フレアは身体をぶるぶるっと震わせ――チンポの矛先に気づき、ぴたりと動きを止めた。こちらに向けられているフレアの片目は、まるで兎のように縮こまっていて。

「……ぇ? ろ、ロビン……? あのぅ……?」
「なんだ?」
「え、えっとぉ……、お、おまんこに欲しいって言ったんですよ……?」
「ああ。聞こえてたさ」
「じゃ、じゃあ、なんでアナルに亀頭がぴったりしてるんですかぁっ……?」

 フレアは動けない。
 俺に主導権をすべて明け渡し、俺の思いのままに犯されることを本心から望んでいる。
 フレアが俺に絶対の信頼を置いていなければ、そうはならないだろう。
 それがとても嬉しくて、俺は――

「悪いな。選ばせはしたが、お望みどおりにするとは言ってない」

 フレアを裏切って、アナルを犯すことにした。

「んおおおおおおおぉぉぉぉぉっっ!? はぎっ、ひぃっ……か、ぇへっ……」

 S字結腸までを一瞬で貫き通す全力のバックスタブ。
 しっかりと塗り込んだ潤滑愛液のおかげで、指二本より更に太いチンポがずるっと簡単に侵入した。だがゆるゆるというわけではなく、括約筋は驚きできゅうきゅうに締め付けてくるし、腸壁は排泄物よりも大きな異物を追い出そうと包み込むようなマッサージを施してくる。
 びくっびくっと跳ねる彼女の腰つきで細かく全体を扱かれ、ただ挿入しているだけでも極楽のような心地を味わう。フレアの腸内体温が温泉みたいな効果を作り出しているのだ。
 そのフレア自身は、口をぱくぱくと死んだ魚のように開閉し、自分の身に起こっていることが信じられないような顔で虚空を見つめていた。

「言っただろ。ケツ穴をいじめさせてくれって」
「はっ、はひっ……あ、れは……ゆび、だけじゃ……」
「それじゃ俺もお前も満足できない。二人で気持ちよくならないとな」
「うぎぃっ……! おく、ぐりぐりしないれっ……くらひゃぃ……!」
「フレア……泣いてるお前もかわいいんだな」
「えっ……あうっ……♥♥」

 涙を拭い、よしよしと頭を撫でてやる。
 途端に肛門の締まりが緩み、ふにゃりと全身から力が抜けていく。愛おしさがこみ上げる。
 フレアを泣かしたくて意地悪してるんじゃない。フレアが気持ちよくなれるために意地悪しているだけだ。それにやっぱり初体験は特別なものにしたいし、女性の処女なんてこんな薄暗い洞窟で奪っていいものじゃない。いくら魔物になったからといっても、柔らかいベッドがフレアにはお似合いだ。
 頭を撫でてやりながらキスを重ねて、フレアのケツ穴に太さを少しでも馴染ませる。

「ちゅっ……♥ ちゅ、ちゅ♥ ちゅぷ、はぁっ……♥ えへ……♥」
「まだ言ってなかったよな。フレア、俺はお前を愛してる」
「んっ……♥ うれ、しい……♥ ロビン、大好きです……♥ ずっとずーっと、お慕いしていました……♥♥」
「大好きだ。昔からずっと、大好きだった」
「うん、うんっ……♥ 愛してます、心の底から、愛してますっ……♥♥」

 細胞の一つ一つを舐めとるように、ゆっくりと腰を引いていく。カリ首や裏筋や張り出した血管が腸内や肛門をじわりじわりひっかき、背筋を這う快楽の波に耐える。
 フレアの口からは色を含んだ吐息が漏れ、尻穴で法悦を感じる姿を見せてくれる。
 やがてカリが菊をめくりひっぱるところまで来ると、そこでまた一旦休む。

「……大丈夫か?」
「はひ……♥ お尻、きもちいいです……♥♥ 魔物になったから、でしょうか……♥」
「フレアが淫乱なのは前からなんだろ?」
「そ、そうですけどぉ……♥ 人間の時は、お尻でイく女の子じゃないんですよぉ……♥」
「わかったわかった。……じゃあもう突きまくっていいよな」
「えへっ……♥ す、すきにすればいいじゃないですか……♥ だめっていっても、ロビンはうらぎるしぃ……♥ 私に確認とる必要、ないでしょうに……♥♥」
「……正直に言うと、今までフレアのケツマンコとセックスしたかったんだ。もう我慢できそうにない。激しくやるから、文句はあとで頼む……」
「えっ、えっ♥ わ、私のアナル、んにぃひぃっ!? お゙ぉっ♥♥ んおぉぉお゙っっ♥♥」

 これは本心だ。
 フレアのケツを耕しに耕して、生殖できないセックスを貪るようにしてやりたい。そう思ってた。
 結局は俺もフレアも似た者同士だったってことだ。幼馴染ってのはそういうもんなのかね。

 最も浅い部分から狙いを定めた腰を、渾身の力でフレアのケツに叩きつける。
 亀頭のエラがぞりゅぞりゅぞりゅと腸壁を乱暴にかきわけ、休む間もなくまた入り口までカリで腸壁をひっかく。フェラ、イラマチオとは違う、搾るのではなく包むように全体を撫で上げられる快楽が神経を襲って、オスの本能に火を付けていく。
 肛門が不規則に狭窄してくるために、変化に富んだ刺激が竿を絞めて飽きさせない。
 ひっこ抜く際には括約筋に力が込められて、肉の指輪がチンポを慰めているような心地。ただし不慣れな手淫と違い、チンポの一挙動ごとに獣じみた喘ぎで悦ぶメスを組み敷いている征服感が全身を歓喜で震わせる。

「んうぅっ♥♥ はっ♥ おおお゙お゙ぉぉ♥♥ っはへ、へひぃっっ♥♥ ぉ、お゙お゙お゙ぉっ♥♥ たすっ♥ たしゅけてロビンっ♥♥ あたまばかにな、んおおおおっっ♥♥」
「抜かれるたびにイってるじゃねえか……」
「だってぇっ♥♥ ロビンのおチン、ぽおおおぉぉぉんっっ♥♥ はひっ♥ おなか、ぎゅってしててぇ♥ すき♥ すきなんですっ♥ うしろからされるのだいしゅぎひいいぃぃっっ♥♥」
「っ、エロすぎだろ、その顔っ……」

 とろんと眉が垂れ下がり、芯の通った瞳を涙と快楽に歪め、鼻も頬も真っ赤に染められて、表情筋もだらしなく緩みきり、「へっ♥ へっ♥」なんてメス犬みたいな熱く荒い息でどうにか酸素を取り込もうとして、それら全部がチンポがケツ穴から抜かれるだけでアクメに汚れていく。
 もっとイかせたい。もっと狂わせたい。もっともっといじめてやりたい。
 欲望は更に膨れ上がり、ピストンが加速する。筋肉で覆われた腰がフレアの引き締まったケツ肉にぶつかり、ぱちんぱちんとリズミカルなケツハメ音が洞窟で反響を繰り返す。ぶつかればクッションとして平たく広がり、離れれば弾力によって元の丸みに戻っていく尻肉。
 彼女の脳からはもう犯されているのが尻穴であることなんて吹き飛んでいるようだった。

「んおおぉん♥♥ ずこずこされてりゅぅ♥♥ じぶんかってすぎりゅぅぅぅ♥♥ たしゅけてっ♥ だれかあっ♥ レイプされてイくの止まらないんでひゅううんっ♥♥ これだいしゅきぃぃぃ♥♥」
「中に出すまでやめてやらないからな……! 遠慮なくイきまくれッ」
「ふやぁぁっ♥ うれひぃ♥ ロビンしゅき♥ しゅきしゅきっ♥♥ あ゙へっ♥ おっきいのクるぅ♥♥ おおおおおおおぉぉっ♥♥ んん゙ぅぅぅぅ――――っっ♥♥」

 絶え間なく亀頭がS字結腸を叩き、カリが腸壁をこそぎとり、腰が尻肉をスパンキングする。
 好意を抱いている相手、なんて遠慮は無くなっている。全体重を掛けてフレアを押し潰し、全力で肛口を貫く。こんなもの、自慰と相違ない。それが彼女にとってはこの上なく喜ばしいことだから。
 だからこそフレアは絶頂する。胴体を波打たせて、ぴんと伸びた肉付きのいい両足が生まれたての子馬のようにがくがくと痙攣を繰り返す。目が裏返っている辺り、意識まで飛ばしていそうだ。
 だがこっちはまだまだ我慢できるし、この程度で射精していたらフレアの身体に失礼だろう。満足するまでケツ穴でシコり散らす。フレアが何回イこうとも。
 もののついでとばかりに、フレアとスライムベッドの間で所在なさげに弾む巨大な胸を両手で鷲掴む。フレアのように大きすぎる胸は、前から触るより後ろから弄ぶほうがお似合いだ。
 突然のおっぱいへの刺激で、絶頂にアヘっていたフレアも戻ってくる。

「ふあっ♥ お、おっぱいもぉ!? だめですよぉ♥♥ ぱんぱんしながらおっぱいなんてぇ♥ ほ、ほんとにばかになっちゃいますからぁっ♥ おふっ♥♥ も、もまないでぇ♥♥」
「安心しろ。揉むだけにしといてやるからな……つーかデカすぎんだろッ。手に収まんねーじゃねえかよ……!」
「し、知らないですよぉ♥♥ べ、べつにぃ♥ ロビンがセクハラ♥ してくるように、育ててたなんてことはぁっ♥ おっぱい大きくしたくってぇ♥ いろいろ調べたりなんかしてませんからぁっっ♥♥」
「昔から大きいとは思ってたが……何センチあんだよこれ」
「わ、わかんにゃいっ♥♥ ま、前はかったときは、ひゃくよんせんちぃっ♥ んふーっ♥ も、もっと大きいかもっ♥♥」

 104センチ。子どもくらいの胸囲。嘘じゃないと納得できるスケール。
 腰を振りたくるのをやめてぐいぐいとチンポを奥に押し付けつつ、ひたすらに胸をこねくりまわす。
 持ち上げるとずっしりした重さが掌に満ちて、握ろうとすると指の隙間から柔らかさがはみでていく。乳首に触れずに前後へ擦ることができるくらいだ。病みつきになる。
 フレア自身に満ちてる魔力のおかげか、この量感があっても垂れてるなんてことは全然ない。しかし飛び出しすぎるわけでもない。ほどよく重力に従うこれは、美しさも併せ持つ爆乳だ。
 そうして胸への愛撫を重ねていると、フレアがもじもじと内股をすりあわせてチンポの存在を確かめてくる。

「んふっ♥ ね、ねぇ♥ ロビンっ……♥ おっぱい、きもちいい……?」
「ああ……。フレアは最高の女だな。貪り尽くせる自信がない」
「はぁぅ……♥ うれしい……♥ ロビンのために、がんばったんです……♥ えっちな身体になれるように、いっしょうけんめぇ……っっ♥♥」
「これならもっと早く襲うべきだったな……偉いぜ、フレア」
「あ……♥ ありがとうございます、ロビンっ♥♥ ご、ごほうびに、そのぉ……♥♥」
「わかった。ケツ穴緩めるなよ」
「んひいいぃっ!? そ、しょっちじゃなくてぇっ♥♥ そっちもだけどぉぉぉっっ♥♥」

 再度、ずこんずこんと荒々しい腰使いをフレアに叩き込み始める。
 フレアが求めているのは明らかに乳首への刺激だ。胸を揉んでいる最中、乳首と乳輪だけは避けて刺激していた。ドマゾのフレアは乳首オナニーだってハードにこなしてただろうし、その証拠として小指の爪ほどに肥大した乳首がビンビンに硬くなっているのが見える。
 だが触ってやらない。まだ。その代わり、乳房全体へのマッサージは継続して行う。

「なんでぇっ♥ おっぱいもみもみしながらぁ♥ ぱこぱこするのなんでぇっ♥♥ いじめるなら乳首がいいのっ♥♥ ちくびつねって♥ ちくびつぶして♥ ちくびよしよししてほしいんですよぉっ♥♥」
「俺はこれ、最高にきもちいいぜ……ッ」
「あぅっ♥♥ わ、わたしできもちよくなってくれてるんですかっ♥♥ お゙ぉっ♥ またヤバいのキますぅ♥♥ もみもみしながらぱこぱこされてっっ♥♥ んおおおおっ♥♥」

 胸への刺激が加わって、更に肛門の締め付けがランクアップした。
 フレア自身、だんだんケツを小突かれることに慣れてきたんだろう。先程まで反射的でしかなかった肛門の締まりが、チンポに快楽を送るための収縮になっている。我慢強いとは言っても、ケツ穴が肉幹をシコってくるのには呻いてしまっても仕方ないだろう。
 これじゃ、あっけなく出てしまいそうだ。力を込めてなんとか踏みとどまりつつ、それでもピークに向けて腰の動きを更に加速させていく。尻にぶつかる音が強くなる。
 胸を揉んでいることもあって、ねちっこく最奥をつっつく小刻みなピストンでフレアを高めていく。根本を噛み締める菊穴がまるで精液をおねだりしてるかのよう。

「お゙っ♥ おぉっ♥ こわれりゅ♥ ケツ穴こわれりゅう♥ ケツアクメくるぅ♥ これしあわせぇ♥♥ しあわせすぎていきゅぅっっ♥♥ イきますイきますイきますぅっ♥♥」
「イけっ! 幸せになれッ」
「ひぎっ♥ おっ♥ おおおおおぉぉっ♥♥ イっぐううううぅぅぅ――――っっ♥♥」

 万力が如く、握りつぶされそうなほどに肛穴が閉じる。
 フレアの全身が強すぎる絶頂で身悶えし、尻が左右に動いてチンポに腸壁が押し付けられ、ケツ穴への打ち込みとあいまって射精欲を道連れとして引き上げられてしまう。
 余裕は幾分もない。絶頂の坩堝でもがくフレアにトドメを刺しにいく。
 せり上がった玉袋に、潮を吹き散らすフレアの処女まんこが当たる。大切な純潔を保たせたまま、本来あってはならない肛虐を愛しい人にぶつけるという背信・背徳感。脳がドス黒い悦びでぞくぞくと泡立つ。生殖ではない、ただ快楽を貪るだけの行為。
 両手で乳首を握りしめ、最後の最後まで尿道を駆け抜けてくる精液を堪え続け。

「お゙ううっ♥♥ ちくびぃぃっ♥ あ゙へぇぇぇえっ♥♥ まだイぐうううううんっっ♥♥ とまんにゃいれしゅぅっっ♥♥ けつまんこもぉっ♥♥ すけべちくびもぉっ♥♥ ロビンに服従しましゅううううっっ♥♥」
「出すぞッ……! ケツ穴で孕めマゾ女ッ!」
「らしてっ♥♥ しゃせーひてっ♥♥ けつまんこぉっ♥♥ らぶらぶれいぷでこぢゅくりぃっひいいいんっ♥♥ ほお゙っ♥ お゙ぉぉぉぉ――――っ♥♥ んおおおぉぉ〜〜〜〜〜♥♥」

 激しい射精が愛しいフレアの腸内で爆発する。
 コルクを抜いたビンのような、白濁の瀑流。それが尿道から解き放たれ、彼女の内部を犯し尽くしていく。とてつもない快感に視界で火花が散り、全身の神経が焼き尽くされる。熱い。あまりにも強い快楽に、神経が狂喜乱舞していた。
 貯めに貯めた精液は留まることを知らず、膨らみきったチンポから止めどなくもたらされる液体が美味しいのか、尻穴が根本をちゅっちゅとしゃぶって射精を促進させてくる。一滴も逃そうとしない搾精肛門はメスの本能か。
 おかげで精液の迸りは冷めやらない。睾丸まるごと出てくるんじゃないかと言うほどに、びゅぐびゅぐと音を立てる射精が連続する。メスを一発で孕ませる特濃子種の無駄撃ち。
 全身を支配する多幸感に、獣じみた声が腹の底から鳴く。

「おッ……まだ出るぞ……!」
「うううぅぅ――――っ♥♥ んぎゅううぅぅ――――っっ♥♥ はへぇぇ゙ぇ゙――――っ♥♥ はらみゅぅ〜〜っ♥♥ しあわせええええええっっ♥♥」

 射精してすぐに精液が生産され、それも放たれる間にまた精液が生産され、孕ませループが終わらない。尻穴絶頂によってキツいアクメに曝されたフレアが精液をねだってへこっへこっと無様にケツをくねらせるのも精液の逐次投入の一因だった。

 ――そうして、たっぷり五分ほどの肛門濃縮種付け。
 それをまるごと飲み干したために、彼女の腹が僅かに膨れているのがわかる。
 完全に気をやって、びくんびくんと痙攣し続けるフレア。顔も緩みっぱなし、目の焦点も定まらず虚空をぼーっと見つめて「えへ♥ えへ♥」と余韻に浸り続ける有様。

 ……やっちまった、どころじゃない。明らかにやりすぎた。
 いくら魔物になったからって、フレアはまだ成り立てなんだしやつらと同じ頑丈さがあるわけがない。快楽に関しても、オナニー狂いだったにしてもアナルセックスは未経験のもの。そりゃ耐えられるわけない。不意打ちのオンパレードだったし。
 だらだらと汗が流れてくる。これ絶対あとで土下座しないとフレア許してくれねーぞ。いや許してくれないか。どうすんだ。なんとかして押し切るか。
 俺の動きが止まったのを見咎めて、スライムがにゅるっと顔を伸ばしてきて小首をかしげながら「おかわりは?」なんて顔をしてきた。こいつも畜生だなオイ。

「……まあ、謝っても許してもらえねえならしょうがねーよな。だったら開き直って、これからも幸せにしてやりゃいいかね。今までの分、な」

 夢見心地のフレアをそっと撫でてやって、頬に口付ける。
 幼馴染を愛しく思う気持ちは、魔物になった程度じゃそうそう変わらないもんさ。







 魔物になったやつがなにも隠さずに生きていける場所は、親魔領しかない。
 隠しながら生きるってことは窮屈である。それは俺たち二人の想いからの教訓だ。
 だから移住するまでの行動は早かったし、旅行もお預けになった。
 じゃあなにしてるかっていうと、

「ロビンっ♥ ロビンロビンっ♥ お散歩いきましょう♥ お散歩デートっ♥♥」
「おう……」

 ……なにしてるんだろうなー。
 フレアの変態度はますます加速した。まず、今までの鎧を新調してもっと露出度がひどいエロアーマーを着用するようになった。スカートアーマーも前より更に短く、ケツが丸出しになってる。ただ、「パンツ履いてるほうが興奮する」って言ったらパンツを履いてくれるようになったので、公衆の面前でおっぴろげってことはなくなった。
 プライベートだって、暇な時は散歩をしようとこうして誘ってくるように。ただ、一つ問題がある。
 ……フレアの首に、リード付きの首輪が着けられているんだよな。リードを持つのは当然俺。

「これいる?」
「要りますよぉ〜っ♥♥ 私はロビンのものですって、みんなに教えなきゃっ♥ それにぃ、ロビンに引っ張られると首輪が締まって気持ちいいんですっ♥♥」
「あ、はい……」

 つまり、野外ワンちゃんプレイだけでなく首絞めもセットがいいと仰っている。
 いくら親魔領だっていっても、こういうハードなプレイをしてる輩は俺たちくらいしか見られない。動物系の魔物娘たちからも変な目で見られる始末。手綱を握ってるほうが恥ずかしいってなんなの。
 対して寄生スライムのほうはご満悦だ。なにせ宿主が変態でも栄養さえもらえりゃ問題ないもんな。
 一応、このピンクの問題児が俺たちの役に立つ時もある。例えばフレアが野外露出で興奮しすぎて気を失った時とか。例えばフレアが腰抜かして出先から歩けなくなった時とか。
 ……なんなんだろう。こいつこんなにポンコツだったっけ。バカな子ほどかわいいとは言うが、こいつはバカじゃなかった気がするんですけど。かわいいけどもな。
 悲しいことに、フレアの欲望に付き合ってやれる俺も、結局は同じ変態なんだろうな。
 ま、こういう関係だって悪くない。二人でバカやって、愛しあって、笑いあって。
 そうして隠すことなく、思う存分言ってやれる。

「ロビン、愛してますっ♥」
「――おう。愛してるぜ、フレア」

 そうしてフレアが浮かべる、心の底から嬉しそうな笑顔が、俺は大好きなんだ。
17/11/24 19:07更新 / 鍵山白煙

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これ寄生スライムいる?

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