ふぉー・ゆー
――意識が浮上する。目を開く。見慣れた天井と部屋に入ってくる朝の陽光と、
「ぐうぅ〜〜〜……ふすぅぅぅぅ」
……うるさい寝息が、寝ぼけた頭を徐々に覚醒させていく。腹の辺りが重いし、寝汗じゃ済まされない湿り方をしている。服を着ていないのが幸運だ。
「クウカ、起きろ。邪魔だ邪魔だ」
「ふごっ」
ぶさいくな寝顔をこのまま眺めるのも良かったが、こいつはどこでも寝ることができるんだ。今眺めなくたって良いと判断し、起こす。腹の上に乗った頭をぽすぽすと優しく叩き、彼女の毛を撫でて整えてやる。すぐに彼女もぱちぱちと大きな瞳を瞬かせ、次いで大きなあくびを吐き出す。
「ふぐわぁあ……ぅ。うぁーっ、ごすじん、おぁよ……」
「おう、おはよう」
上体を起こしてぐっと伸びをし、とても眠そうに挨拶をしてくるクウカ。彼女が離れたことで、朝の寒さがびしびしと肌を刺してくる。思わず身震いしながら、こちらも身体を起こす。
「んー？ごすじん寒い？」
「お前は年中暑そうだな」
とぼけた頭の割には、こちらの仕草をよく見て気遣ってくれる。こちらのちょっとした震えを見て、問いかけながら腹へと抱きついてきた。彼女の綺麗な毛並みに再度包まれ、温かい体温が伝わってくる。視界の端ではふさふさと毛が生えた尻尾が左右にゆっくりと振られ、こちらを見上げてくる彼女の目は不安に揺れている。
顔立ちは可愛い女の子でも、身体には犬の毛が生えているし、犬の耳も犬の尻尾もある。茶系の毛色に身を包み、その下の肌は目を奪われるほど白く美しい。
「かぜ？ごすじん、かぜひいちゃった？だいじょぶ？」
すこしクウカに見とれていたが、眼前にクウカが黒い瞳で覗きこんできて、思わず笑みが溢れる。もちろん、風邪なんかを発症したわけじゃない。ちょっと寒かっただけだ。それでも彼女は大げさに心配して、全力でこちらを温めようとする。彼女はいつだって、主人の危機には全力を尽くして対処しようとする。
彼女は遊ぶときも寝るときもこちらのことを見ているし、こちらのことを考えてくれている。もっさりした毛に包まれた小さな身体で、常に忠犬であろうとしてくれる。そんなコボルドのクウカがたまらなく愛しくて、
「ん、大丈夫だ。クウカはいい子だな」
「わぁ！わぅんわぅん♥」
ぐいっと両手で脇腹から持ち上げて、抱きしめてやる。右手で首を撫で、左手で背中を擦る。こうするだけで、彼女は甲高い声で嬉しそうに鳴く。尻尾もぶんぶん振り回し、こちらの肩口に顔を埋めてくる。彼女が嬉しいなら、こっちだって嬉しい。130センチほどしかない体躯を抱きしめていると、心がとても安らいでいく。
数分ほどそうしてやるが、彼女から身体を離すことはないのでそのまま首根っこを掴んで無理やり引き剥がし、不満げな表情のクウカを無視して朝の支度に向かう。
「ごすじぃーん……」
「後でまた構ってやるから、そこで寝てな」
「ふぁーい……くうん」
こっちだって後ろ髪を引かれる思いだ。縋りつくような声のクウカを一蹴し、寝させてやる。主人の布団に包まれながら寝られるんだから、寂しい思いはしないだろう。顔を洗って飯を作ってやって、それから散歩。日課をこなすために早寝早起きする。飼い犬のためならなんとやら、だ。
☆
「ふんふんふふーん♪」
鳥のやかましい囀り合いの中、クウカと手を繋いで昼前の林道を歩く。手を繋ぐと言ったって、こちらが引っ張られる形なのは変わらない。彼女がもっと幼いころは首輪だったが、彼女が成長してオツムが成長したことである程度はこちらに従ってくれるようになり、首輪は窮屈だろうということで付けなくなった。代案として手を繋いで散歩することを提案したら、彼女は諸手を上げて飛び上がった上にすごい勢いで腹を見せてきた。
それからずっと、こうして恋人のように手を繋いで散歩している。最初は気恥ずかしかったが、嬉しすぎて弾けてしまいそうなほどのクウカの笑顔を毎日見せられたら恥ずかしいなんて言えなくなる。
「ごすじんごすじん！」
「ん、なんだ？」
「えへへー、くうか、ごすじんだいすき！」
「お……おう、ありがとな」
極めつけはこれだ。不意に振り返って抱きついてきて、尻尾を小刻みに振り回しながら大好きという言葉をぶつけてくる。思ったこと感じたことはすぐに伝える、彼女らしい振る舞いだとは思うが、あまりにも可愛いせいでついそっけない対応をしてしまう。
でも、彼女はこちらの反応など気にしない。というよりも、自らの主人に大好きと言って拒否されなかったことだけで頭がいっぱいになってしまい、こちらの反応の薄さなんて気にならないくらい嬉しい、といったところだろうか。
「えへへへへへぇ〜〜、わふわふ♥」
こちらの腕に頭を寄せ、ぐしぐしと擦りつけてくる。彼女のこの反応、帰ったら大変だろう。少し覚悟しておかねばなるまい。
散歩道はそろそろ折り返し地点だ。ずっと共に歩いている内に、彼女の縄張りを自分も認識出来るようになってきた気がする。彼女色に染まってきた、というと少しくさいか。「飼い主はペットに似る」って言葉もあるが、さすがに縄張りが認知できるのは似るどころの話じゃない。
「ごすじん、かえったらおしごと？」
「いや、今日はやらない。食料は当分保つし、休める時は全力で休まないとやってけないからな」
「そうだよねー、かりにいくのつかれるもんねー」
今日は珍しく、先走ってこちらを強く引っ張ったり道端で変な遊びをしたりしない。それどころかこちらと足並みを合わせて、世間話まで振ってくる。尻尾は相変わらず小刻みに振り回されているから、何を考えているかはわかりやすい。コボルドである彼女でも羞恥心は存在するし、一般常識もある程度持ち合わせている。もちろん主人が教えたから身につけたものではあるが。
「でもぉー……わう、やっぱりやすみのひでも、運動はしないと……いけないよね？」
「……おう、そうだな」
ちら、ちら、となにか言いたそうな表情でこっちの顔を伺うクウカ。何が原因でスイッチが入ったんだろうか。朝に抱きしめたのがいけなかったのか、それとも布団かぶってもぞもぞしているところを布団ごと持ち上げて居間に連れて行ったのが拙かったか。だが、このバカ犬が可愛いんだから仕方がない。ついつい構ってやってしまう。この犬にしてこの主人あり。親馬鹿と言われても甘んじて受け入れる。
「それでぇー……うぅー」
「わかったわかった」
間伐のために作られた林道の真っ只中で発情されても、応えたいのはやまやまだが非常に困る。これなら朝の内に……と思ったが、その時は寝ぼけていたし、散歩したことで身体も覚醒して今更発情したのかもしれない。
普通の魔物なら、一旦発情してしまうと有無をいわさず襲い掛かってくる。そういった被害はよく聞くし、やはり魔物は滅ぼすべきであると過激な主張をする主神教団の一派もいる。だが、コボルドという種族は違う。魔物の中でも飼い慣らされた種族であり、主人を定めた彼女たちは常に忠犬であろうと心がける。
だから。
「ごすじん……ごすじぃん……」
切なそうに身体を震わせていても、押し倒して強制しようとしない。彼女たちには十分そのための力があるというのに、振るおうとしない。自分がそう躾けたのではなく、彼女が自らに「主人に迷惑をかけない」という厳命をかけているだけ。無視してやれば自分で発散して、また元通りになるだろう。そういう選択肢だって取ることは出来る。
彼女は主人のことが好きなだけで、何かをやらかしたわけじゃない。ただそういう身体の作りになっているだけであって、彼女は何も悪くない。忠犬のストレスは飼い主が取り除いてやるのが筋だろう。飼い犬のためなら、してやるべきことはしてやる。
「わかってる。帰ったらな」
「きゃふ……えへ……ごすじん、すき」
頭を優しく撫でてやりながら帰路に着く。目を細めてうっとり恍惚の表情のクウカを見ながら帰るのも、なかなか悪くないと思った。
☆
「ちゅ、ぁふ……ちゅ、ちゅぷ、くちゅ…‥ん、はぁ」
カーテンを閉めても漏れてくる昼の光のおかげで、寝室の中は少し暗い程度。たっぷり時間をかけたキスから離れてクウカを見ると、肉厚の舌をだらりと垂れさせていた。きりっとしていた目尻もだらしなく緩み、鼻息も荒い。強く興奮している。欲しがる視線を痛いほど突き刺してくる。
コボルドは共に過ごしてくれる忠犬であると同時に、魔物娘だ。人間の男性と愛を交わし、精液を糧にする。コボルドは雑食のために人間と同じ食事もできるが、精液は彼女たちにとってのご馳走であることは変わらない。
「はぁーっ……はぁーっ……ごすじん、ねぇ……ごすじぃん……」
粘っこく絡みつく、平時のクウカからは考えられない甘い声。自分にやりたいことがある時には、律儀におねだりをしてくる。嫌だと言うはずがないとわかっていても、魔物であると同時に忠犬であるクウカは、主人の意思を尊重してくれる。
「ごすじん、あのね……おちんぽ、ぺろぺろさせて……？」
クウカはこちらの胸に頬を擦りつけ、上目遣いでおねだりする。心臓が激しく跳ねているのが自分でもわかる。いつもしてることなのに脈動が強くなるのは昼間から営む背徳さからなのか。わからないけれど、興奮している。
クウカに許可を出すと、その手で丁寧にこちらのパンツを脱がせてくる。彼女の腕に生えた柔らかい毛が脚を撫で、そんなことでも少し興奮してしまう。これは忠犬とその飼い主が行うただのスキンシップではなく、夫婦の営みなんだ。
すぐにパンツは脱がされ、臨戦態勢に入っているチンポを見てクウカは舌なめずりをする。彼女はすぐには舐めず、鼻をチンポへ近づけて匂いを嗅ぎ始めた。
「すぅぅ〜〜っ……はぁぁぁ〜〜〜〜……♥」
単純に嗅ぐのではなく、呼吸するように。鼻だけではなく呼吸器にもその匂いを満たそうと、クウカはチンポに近づけた鼻で深く深く呼吸を繰り返す。口から息を吐き出すときには、びくびくと震えて快感を隠そうともしない。それだけではなく、感想まで語りだす。
「ごすじんのおちんぽぉ……♥ おさんぽのあとだから、あせの匂いくっさくってぇ……♥♥ おはな、ばかになっちゃう……♥♥」
尻尾をゆらりゆらりゆっくり振りながら、ひたすら匂いを嗅ぐクウカ。こちらはといえば、身を震わせながらチンポの匂いを嗅いでくるクウカが扇情的すぎて、ソレの硬さは弱まるどころかますます興奮してしまう。
やがて十分堪能したのか、一旦鼻をチンポから遠ざけ、厚い舌を露出させる。違う、十分堪能したわけじゃない。まだ彼女には堪能し足りないんだ。
「ごすじんのおちんぽ、いただきます……♥」
そう断って、クウカはチンポに舌を這いずらせ始める。人間の舌よりも大きくて熱くて長いコボルドの舌は、男性器を喜ばせる技を本能から熟知している。裏筋からチンポを包み込むように舌を動かし、棒アイスを食べる時よりも更にねっとりと舌で舐め回してくる。
きゅうん、とクウカが喉を鳴らす。裏筋に沿って舌を這わせていたクウカは、亀頭に達するなり吸い付くように亀頭への愛撫を始める。
「れる、ぐにゅるぅ。ちゅ、れろぉ、ぇろぉ♥」
すごく気持ちがいい。声が出せない。下半身から身体を引き裂くような熱い痺れが全身へと伝播していき、でもそれは決して嫌なものじゃない。ただただ、気持ちがいい。
チンポ全体を舐め回したクウカは、これでもまだ飽きない。顎を開いてチンポが通り抜ける広さを確保し、一息にチンポを限界まで加える。彼女の口の大きさとチンポの大きさは吊り合っておらず、チンポの根本どころか半分ほどまでしか彼女の口には包まれていない。だが、クウカもこちらもそれで十分だ。
クウカはチンポを咥えた状態でゆっくりと頭を上下に動かし始める。たっぷりのよだれと口内に収められた舌と、ぷにぷにと可愛らしい柔らかさの唇。それらがそれぞれ違った気持ち良さでチンポに刺激を与えてくる。口内では舌が蠢き、チンポに巻き付いたり擦ってきたりと変化を加えてくる。唇はチンポに吸い付き、クウカが上下に頭を動かすたびに唇のリングが逐一違う場所を研磨する。そしてよだれがそれぞれの摩擦をスムーズにできるようサポートしている上、暖かさがじんわりと伝わってくる。
こんなの、耐えれるわけがない。
「んぐぷ、ぐぷ、ぐちゅ、ぐじゅっ♥」
チンポがびくついているのを察したクウカは、スパートをかける。射精に誘うための激しいお口ピストン。舌の動きも更に活発化し、抽送と同じ方向へ舌でごしごし擦りつけてくる。だらだらとよだれが溢れ彼女の胸元の栗色の毛を濡らし、彼女の白いお腹へと垂れていく。尻尾がぶんぶんと揺れ、彼女の目は期待と興奮と性欲で満ちている。
「ぐじゅぷ、じゅぶ、ぐぶっ、ぐぶっ、んぶっ♥」
「ぐ、やばっ……出るぞっ……くおお」
「ん、ぶっ♥ んんんん♥♥ んごぐ、ごく、んぐうぅ♥♥」
下半身にも心臓ができたように思えるほど強く脈動し、どくんどくんとチンポの先から精液を吐き出す。射精の度にチンポの先から背骨を伝って、ぞくぞくとした快楽の電弧が脳天へ走っていく。ぶるりと全身が震える。
クウカは精液を受け止め、小さい口で飲み干そうとして必死に喉を動かす。それでも間に合わず、行き場を失った精液がクウカの唇が漏れ出していく。それを勿体無く思ったのか、咄嗟にクウカは両手を顎の下に広げ、漏れた精液を受け止める。吐精の快楽の中でもクウカの嚥下はよく聞こえた。
永遠とも思える数秒が過ぎ、ようやく射精が終わる。もう出てこないとチンポをクウカの口から外し、肩で荒い息をつくクウカを眺める。内股を擦り合わせ、尻尾をぺたりと伏せさせている。
「ごすじん……すごぉい……♥ おひるなのに、いっぱい……♥」
小さい声でそう呟き、両手に乗った溢れた精液をまじまじと見つめるクウカ。この格好も扇情的だが、さすがに射精後は一旦休憩がてらにクウカを弄ってやらないといけない。そのために屈みこんだが、
「ねぇ、ごすじぃん……このぶんならぁ……♥」
クウカはこちらに腹を見せ、手のひらに溜まった精液をクウカのまんこに塗りたくり始めた。見れば、彼女のそこは土砂降りに遭った犬よりも濡れている。雌の淫らに蒸れた匂いが鼻に届く。
彼女は精液と愛液でぐちょぐちょに濡れそぼった肉ヒダを見せつけるために両手で開き、挑発してくる。
「まだまだ、出るよね……？ わたしに子ども、着床させてくれるよね……？ いっぱいいっぱいおまんこで気持ちよくなって、なかだしして、ちゅーしてくれるよね……？♥♥♥」
――こいつめ。こんな挑発をされて、受けて立たない奴は漢じゃない。再度股間に血液が集まっていき、クウカにも負けないくらい先走りを垂らし始める。クウカはそれを見て、尻尾を強く振り回す。
シーツに寝転がるクウカへ、上から覆いかぶさる。
「今日はずっと、主人に尽くす犬にご褒美あげてやるからな」
「わぅん♥ あふ、ご主人……だいすき♥」
「ぐうぅ〜〜〜……ふすぅぅぅぅ」
……うるさい寝息が、寝ぼけた頭を徐々に覚醒させていく。腹の辺りが重いし、寝汗じゃ済まされない湿り方をしている。服を着ていないのが幸運だ。
「クウカ、起きろ。邪魔だ邪魔だ」
「ふごっ」
ぶさいくな寝顔をこのまま眺めるのも良かったが、こいつはどこでも寝ることができるんだ。今眺めなくたって良いと判断し、起こす。腹の上に乗った頭をぽすぽすと優しく叩き、彼女の毛を撫でて整えてやる。すぐに彼女もぱちぱちと大きな瞳を瞬かせ、次いで大きなあくびを吐き出す。
「ふぐわぁあ……ぅ。うぁーっ、ごすじん、おぁよ……」
「おう、おはよう」
上体を起こしてぐっと伸びをし、とても眠そうに挨拶をしてくるクウカ。彼女が離れたことで、朝の寒さがびしびしと肌を刺してくる。思わず身震いしながら、こちらも身体を起こす。
「んー？ごすじん寒い？」
「お前は年中暑そうだな」
とぼけた頭の割には、こちらの仕草をよく見て気遣ってくれる。こちらのちょっとした震えを見て、問いかけながら腹へと抱きついてきた。彼女の綺麗な毛並みに再度包まれ、温かい体温が伝わってくる。視界の端ではふさふさと毛が生えた尻尾が左右にゆっくりと振られ、こちらを見上げてくる彼女の目は不安に揺れている。
顔立ちは可愛い女の子でも、身体には犬の毛が生えているし、犬の耳も犬の尻尾もある。茶系の毛色に身を包み、その下の肌は目を奪われるほど白く美しい。
「かぜ？ごすじん、かぜひいちゃった？だいじょぶ？」
すこしクウカに見とれていたが、眼前にクウカが黒い瞳で覗きこんできて、思わず笑みが溢れる。もちろん、風邪なんかを発症したわけじゃない。ちょっと寒かっただけだ。それでも彼女は大げさに心配して、全力でこちらを温めようとする。彼女はいつだって、主人の危機には全力を尽くして対処しようとする。
彼女は遊ぶときも寝るときもこちらのことを見ているし、こちらのことを考えてくれている。もっさりした毛に包まれた小さな身体で、常に忠犬であろうとしてくれる。そんなコボルドのクウカがたまらなく愛しくて、
「ん、大丈夫だ。クウカはいい子だな」
「わぁ！わぅんわぅん♥」
ぐいっと両手で脇腹から持ち上げて、抱きしめてやる。右手で首を撫で、左手で背中を擦る。こうするだけで、彼女は甲高い声で嬉しそうに鳴く。尻尾もぶんぶん振り回し、こちらの肩口に顔を埋めてくる。彼女が嬉しいなら、こっちだって嬉しい。130センチほどしかない体躯を抱きしめていると、心がとても安らいでいく。
数分ほどそうしてやるが、彼女から身体を離すことはないのでそのまま首根っこを掴んで無理やり引き剥がし、不満げな表情のクウカを無視して朝の支度に向かう。
「ごすじぃーん……」
「後でまた構ってやるから、そこで寝てな」
「ふぁーい……くうん」
こっちだって後ろ髪を引かれる思いだ。縋りつくような声のクウカを一蹴し、寝させてやる。主人の布団に包まれながら寝られるんだから、寂しい思いはしないだろう。顔を洗って飯を作ってやって、それから散歩。日課をこなすために早寝早起きする。飼い犬のためならなんとやら、だ。
☆
「ふんふんふふーん♪」
鳥のやかましい囀り合いの中、クウカと手を繋いで昼前の林道を歩く。手を繋ぐと言ったって、こちらが引っ張られる形なのは変わらない。彼女がもっと幼いころは首輪だったが、彼女が成長してオツムが成長したことである程度はこちらに従ってくれるようになり、首輪は窮屈だろうということで付けなくなった。代案として手を繋いで散歩することを提案したら、彼女は諸手を上げて飛び上がった上にすごい勢いで腹を見せてきた。
それからずっと、こうして恋人のように手を繋いで散歩している。最初は気恥ずかしかったが、嬉しすぎて弾けてしまいそうなほどのクウカの笑顔を毎日見せられたら恥ずかしいなんて言えなくなる。
「ごすじんごすじん！」
「ん、なんだ？」
「えへへー、くうか、ごすじんだいすき！」
「お……おう、ありがとな」
極めつけはこれだ。不意に振り返って抱きついてきて、尻尾を小刻みに振り回しながら大好きという言葉をぶつけてくる。思ったこと感じたことはすぐに伝える、彼女らしい振る舞いだとは思うが、あまりにも可愛いせいでついそっけない対応をしてしまう。
でも、彼女はこちらの反応など気にしない。というよりも、自らの主人に大好きと言って拒否されなかったことだけで頭がいっぱいになってしまい、こちらの反応の薄さなんて気にならないくらい嬉しい、といったところだろうか。
「えへへへへへぇ〜〜、わふわふ♥」
こちらの腕に頭を寄せ、ぐしぐしと擦りつけてくる。彼女のこの反応、帰ったら大変だろう。少し覚悟しておかねばなるまい。
散歩道はそろそろ折り返し地点だ。ずっと共に歩いている内に、彼女の縄張りを自分も認識出来るようになってきた気がする。彼女色に染まってきた、というと少しくさいか。「飼い主はペットに似る」って言葉もあるが、さすがに縄張りが認知できるのは似るどころの話じゃない。
「ごすじん、かえったらおしごと？」
「いや、今日はやらない。食料は当分保つし、休める時は全力で休まないとやってけないからな」
「そうだよねー、かりにいくのつかれるもんねー」
今日は珍しく、先走ってこちらを強く引っ張ったり道端で変な遊びをしたりしない。それどころかこちらと足並みを合わせて、世間話まで振ってくる。尻尾は相変わらず小刻みに振り回されているから、何を考えているかはわかりやすい。コボルドである彼女でも羞恥心は存在するし、一般常識もある程度持ち合わせている。もちろん主人が教えたから身につけたものではあるが。
「でもぉー……わう、やっぱりやすみのひでも、運動はしないと……いけないよね？」
「……おう、そうだな」
ちら、ちら、となにか言いたそうな表情でこっちの顔を伺うクウカ。何が原因でスイッチが入ったんだろうか。朝に抱きしめたのがいけなかったのか、それとも布団かぶってもぞもぞしているところを布団ごと持ち上げて居間に連れて行ったのが拙かったか。だが、このバカ犬が可愛いんだから仕方がない。ついつい構ってやってしまう。この犬にしてこの主人あり。親馬鹿と言われても甘んじて受け入れる。
「それでぇー……うぅー」
「わかったわかった」
間伐のために作られた林道の真っ只中で発情されても、応えたいのはやまやまだが非常に困る。これなら朝の内に……と思ったが、その時は寝ぼけていたし、散歩したことで身体も覚醒して今更発情したのかもしれない。
普通の魔物なら、一旦発情してしまうと有無をいわさず襲い掛かってくる。そういった被害はよく聞くし、やはり魔物は滅ぼすべきであると過激な主張をする主神教団の一派もいる。だが、コボルドという種族は違う。魔物の中でも飼い慣らされた種族であり、主人を定めた彼女たちは常に忠犬であろうと心がける。
だから。
「ごすじん……ごすじぃん……」
切なそうに身体を震わせていても、押し倒して強制しようとしない。彼女たちには十分そのための力があるというのに、振るおうとしない。自分がそう躾けたのではなく、彼女が自らに「主人に迷惑をかけない」という厳命をかけているだけ。無視してやれば自分で発散して、また元通りになるだろう。そういう選択肢だって取ることは出来る。
彼女は主人のことが好きなだけで、何かをやらかしたわけじゃない。ただそういう身体の作りになっているだけであって、彼女は何も悪くない。忠犬のストレスは飼い主が取り除いてやるのが筋だろう。飼い犬のためなら、してやるべきことはしてやる。
「わかってる。帰ったらな」
「きゃふ……えへ……ごすじん、すき」
頭を優しく撫でてやりながら帰路に着く。目を細めてうっとり恍惚の表情のクウカを見ながら帰るのも、なかなか悪くないと思った。
☆
「ちゅ、ぁふ……ちゅ、ちゅぷ、くちゅ…‥ん、はぁ」
カーテンを閉めても漏れてくる昼の光のおかげで、寝室の中は少し暗い程度。たっぷり時間をかけたキスから離れてクウカを見ると、肉厚の舌をだらりと垂れさせていた。きりっとしていた目尻もだらしなく緩み、鼻息も荒い。強く興奮している。欲しがる視線を痛いほど突き刺してくる。
コボルドは共に過ごしてくれる忠犬であると同時に、魔物娘だ。人間の男性と愛を交わし、精液を糧にする。コボルドは雑食のために人間と同じ食事もできるが、精液は彼女たちにとってのご馳走であることは変わらない。
「はぁーっ……はぁーっ……ごすじん、ねぇ……ごすじぃん……」
粘っこく絡みつく、平時のクウカからは考えられない甘い声。自分にやりたいことがある時には、律儀におねだりをしてくる。嫌だと言うはずがないとわかっていても、魔物であると同時に忠犬であるクウカは、主人の意思を尊重してくれる。
「ごすじん、あのね……おちんぽ、ぺろぺろさせて……？」
クウカはこちらの胸に頬を擦りつけ、上目遣いでおねだりする。心臓が激しく跳ねているのが自分でもわかる。いつもしてることなのに脈動が強くなるのは昼間から営む背徳さからなのか。わからないけれど、興奮している。
クウカに許可を出すと、その手で丁寧にこちらのパンツを脱がせてくる。彼女の腕に生えた柔らかい毛が脚を撫で、そんなことでも少し興奮してしまう。これは忠犬とその飼い主が行うただのスキンシップではなく、夫婦の営みなんだ。
すぐにパンツは脱がされ、臨戦態勢に入っているチンポを見てクウカは舌なめずりをする。彼女はすぐには舐めず、鼻をチンポへ近づけて匂いを嗅ぎ始めた。
「すぅぅ〜〜っ……はぁぁぁ〜〜〜〜……♥」
単純に嗅ぐのではなく、呼吸するように。鼻だけではなく呼吸器にもその匂いを満たそうと、クウカはチンポに近づけた鼻で深く深く呼吸を繰り返す。口から息を吐き出すときには、びくびくと震えて快感を隠そうともしない。それだけではなく、感想まで語りだす。
「ごすじんのおちんぽぉ……♥ おさんぽのあとだから、あせの匂いくっさくってぇ……♥♥ おはな、ばかになっちゃう……♥♥」
尻尾をゆらりゆらりゆっくり振りながら、ひたすら匂いを嗅ぐクウカ。こちらはといえば、身を震わせながらチンポの匂いを嗅いでくるクウカが扇情的すぎて、ソレの硬さは弱まるどころかますます興奮してしまう。
やがて十分堪能したのか、一旦鼻をチンポから遠ざけ、厚い舌を露出させる。違う、十分堪能したわけじゃない。まだ彼女には堪能し足りないんだ。
「ごすじんのおちんぽ、いただきます……♥」
そう断って、クウカはチンポに舌を這いずらせ始める。人間の舌よりも大きくて熱くて長いコボルドの舌は、男性器を喜ばせる技を本能から熟知している。裏筋からチンポを包み込むように舌を動かし、棒アイスを食べる時よりも更にねっとりと舌で舐め回してくる。
きゅうん、とクウカが喉を鳴らす。裏筋に沿って舌を這わせていたクウカは、亀頭に達するなり吸い付くように亀頭への愛撫を始める。
「れる、ぐにゅるぅ。ちゅ、れろぉ、ぇろぉ♥」
すごく気持ちがいい。声が出せない。下半身から身体を引き裂くような熱い痺れが全身へと伝播していき、でもそれは決して嫌なものじゃない。ただただ、気持ちがいい。
チンポ全体を舐め回したクウカは、これでもまだ飽きない。顎を開いてチンポが通り抜ける広さを確保し、一息にチンポを限界まで加える。彼女の口の大きさとチンポの大きさは吊り合っておらず、チンポの根本どころか半分ほどまでしか彼女の口には包まれていない。だが、クウカもこちらもそれで十分だ。
クウカはチンポを咥えた状態でゆっくりと頭を上下に動かし始める。たっぷりのよだれと口内に収められた舌と、ぷにぷにと可愛らしい柔らかさの唇。それらがそれぞれ違った気持ち良さでチンポに刺激を与えてくる。口内では舌が蠢き、チンポに巻き付いたり擦ってきたりと変化を加えてくる。唇はチンポに吸い付き、クウカが上下に頭を動かすたびに唇のリングが逐一違う場所を研磨する。そしてよだれがそれぞれの摩擦をスムーズにできるようサポートしている上、暖かさがじんわりと伝わってくる。
こんなの、耐えれるわけがない。
「んぐぷ、ぐぷ、ぐちゅ、ぐじゅっ♥」
チンポがびくついているのを察したクウカは、スパートをかける。射精に誘うための激しいお口ピストン。舌の動きも更に活発化し、抽送と同じ方向へ舌でごしごし擦りつけてくる。だらだらとよだれが溢れ彼女の胸元の栗色の毛を濡らし、彼女の白いお腹へと垂れていく。尻尾がぶんぶんと揺れ、彼女の目は期待と興奮と性欲で満ちている。
「ぐじゅぷ、じゅぶ、ぐぶっ、ぐぶっ、んぶっ♥」
「ぐ、やばっ……出るぞっ……くおお」
「ん、ぶっ♥ んんんん♥♥ んごぐ、ごく、んぐうぅ♥♥」
下半身にも心臓ができたように思えるほど強く脈動し、どくんどくんとチンポの先から精液を吐き出す。射精の度にチンポの先から背骨を伝って、ぞくぞくとした快楽の電弧が脳天へ走っていく。ぶるりと全身が震える。
クウカは精液を受け止め、小さい口で飲み干そうとして必死に喉を動かす。それでも間に合わず、行き場を失った精液がクウカの唇が漏れ出していく。それを勿体無く思ったのか、咄嗟にクウカは両手を顎の下に広げ、漏れた精液を受け止める。吐精の快楽の中でもクウカの嚥下はよく聞こえた。
永遠とも思える数秒が過ぎ、ようやく射精が終わる。もう出てこないとチンポをクウカの口から外し、肩で荒い息をつくクウカを眺める。内股を擦り合わせ、尻尾をぺたりと伏せさせている。
「ごすじん……すごぉい……♥ おひるなのに、いっぱい……♥」
小さい声でそう呟き、両手に乗った溢れた精液をまじまじと見つめるクウカ。この格好も扇情的だが、さすがに射精後は一旦休憩がてらにクウカを弄ってやらないといけない。そのために屈みこんだが、
「ねぇ、ごすじぃん……このぶんならぁ……♥」
クウカはこちらに腹を見せ、手のひらに溜まった精液をクウカのまんこに塗りたくり始めた。見れば、彼女のそこは土砂降りに遭った犬よりも濡れている。雌の淫らに蒸れた匂いが鼻に届く。
彼女は精液と愛液でぐちょぐちょに濡れそぼった肉ヒダを見せつけるために両手で開き、挑発してくる。
「まだまだ、出るよね……？ わたしに子ども、着床させてくれるよね……？ いっぱいいっぱいおまんこで気持ちよくなって、なかだしして、ちゅーしてくれるよね……？♥♥♥」
――こいつめ。こんな挑発をされて、受けて立たない奴は漢じゃない。再度股間に血液が集まっていき、クウカにも負けないくらい先走りを垂らし始める。クウカはそれを見て、尻尾を強く振り回す。
シーツに寝転がるクウカへ、上から覆いかぶさる。
「今日はずっと、主人に尽くす犬にご褒美あげてやるからな」
「わぅん♥ あふ、ご主人……だいすき♥」
15/08/06 16:25更新 / 鍵山白煙