姉弟の後日談
かち、こち、かち、こち。
無機質な時計の音。
「すぅ……んふ……すー……」
耳元に聞こえるくすぐったい寝息。
薄暗い室内。カーテンの隙間から少しだけ差し込む陽。
シーツのぬくもり。横幅二人分に膨らんだ掛け布団。
隣で気持ちよさそうによだれを垂らす、実の姉。
「むへ……すふー……くー……種子島……」
黒豹のような耳と手足に、サソリのそれを十倍禍々しくしたような尻尾、サキュバスと同じようなコウモリ羽。マンティコア、と呼ばれる魔物娘。ついでに言うとおっぱいと尻がでかくて常に薄着。性格が最悪な上にブラコン。それが実姉。
で、がっしりと腹や腰をホールドされて抱き枕にされている。動けない。
「……………………」
現在時刻、十三時二十八分。
グッド昼ーニング、おそようございます。お腹からそんな挨拶が鳴った気がした。
それではいつもの行きましょう。息を大きく吸って、
「はよ起きろやクソ姉貴ィィ――――――ッ！！」
「でけぇ声出すなうるせェェ――――――ッ！！」
毎週恒例、家でぐーたらする休日が始まった。
☆
ブランチを食べ終わって十四時。
することもなしにソファに寝転がってテレビを流し見していると、まだ眠たげな表情で姉が近寄ってきて同じように寝転がる。俺の上に。
「重」
「ザコ」
「デブ」
「ボンキュッボンで辛いわー」
俺の胸に顔を擦り付けて耳をぴこぴこ動かして、モーニングスターみたいな尻尾がゆらゆら揺れる。薄いタンクトップ越しに胸が押しつけられてるけど、性欲よりは眠気のほうが強くてまだ反応しない。外出するとき以外の姉は基本的に下着姿で、今は「どこで売ってんのそれ」って聞きたくなるくらいきわどいショーツを履いてる。
エロい格好だけど、死ぬほど姉とセックスしまくったせいで裸も見慣れてるし、いつの間にかこういう服装は布がある分だけ普通だなと思うようになった。
そうして姉をぼーっと見つめてると、でかいあくびをテレビへ。つられてあくびを出しながら、姉と同じように視線をテレビへと戻す。暇そうにこっちをつつく、姉の爪。
「構えよ」
「だるい」
「つまんな。キスしよ」
「なんで」
「いいから」
大きな肉球が俺の頬をぐいとひっぱり、顔が無理矢理に姉の方に。
特に拒否することもなく、柔らかな唇を受け入れる。
音を立てず重ねるだけなのに、温かさがゆったりと浸透してくる。
一度口を離しても、すぐにまた押しつけてくる。欲深い姉が二度や三度のキスで満足するはずもない。十五分ほどキスし続けて、姉はようやく顔を離す。僅かに赤らんだ頬。獣爪で愛おしそうになぞられる、艶のある唇。
得も言われぬ恥ずかしさがあって、テレビに目を逸らす。
「……ブラコン」
「うっせ。シスコン」
「どこが」
「好きだろ」
「うーん……カレー並みに」
「シスコン」
「ばーか。ブラコン」
俺の首に顔を埋めて、ぐりぐりと頭を動かす姉。猫がにおいつけてる時っぽい。しょうがなく背中をぽんぽん叩いてやると、尻尾が嬉しそうにくねくねダンスし始めた。
「なあ」
「なんだよ」
「濡れそうなんだけど」
「ちゃんと洗濯しろよ」
「……なんで昼はダメなんだよ」
「ヤり始めると姉ちゃん夕飯忘れるだろ」
「たしかに」
「飯食って風呂入ったらって毎日言ってんじゃん」
「んー……」
不服そうな息を漏らしながら、首筋に小さくキスしてくる。
そのくすぐったさから逃げるように顔を巡らせて、またテレビに目が行く。
「んんー……構えって」
「セックスしたいだけだろ」
「当たり前だろ」
「恥じらいを持て」
「今更すぎんだろばーか。半勃起で我慢してるのわかってんだぞ」
「そりゃあ……」
また姉を見て、じっと睨んできているその顔を眺める。
この世に二人といない、自分だけの姉。姉弟の禁断の恋、なんてクソみたいなもんじゃない。そもそも魔物娘に近親相姦なんて概念はない。あるのはただ、男と女。そういう点で言えば目の前の姉は最高に魅力的な女性で。むしろ抑え込めてることを褒めるべき。
そんなようなことを言うと負けた気がするので、何も言わない。
「……なんだよ。黙んなよ」
「ゲームでもしろよ」
「やなこった。オマエで遊ぶ」
「ブラコン」
「褒めんな」
こっちの両腕を取って、包むように姉を抱えさせられる。
ぴー、と音が鳴るくらい勢いよく鼻で吸って、すごく満足そうに息を吐く姉。においフェチというか、こういう系の魔物娘はにおい重視というか。そういうアレな性分だから、前に洗濯前の俺のパンツを吸ったり舐めたりしゃぶったりしてたこともあった。
俺も似たようなもんだけど。汗がしみこんだ服を思う存分嗅がせてもらったりわざわざ吸湿性の高い服を買ってやって着てもらったりするけど。
こう考えると業が深いな。欲望に素直なだけなのに。
「なあ。おやつは」
「俺の上でぼろぼろこぼすから禁止」
「言いがかりでしょ」
「とぼけんな」
「……まんこ舐めるよりは清潔じゃん」
「イメージの問題だっつの」
なんて言いつつ、姉を抱えながら立ち上がる。
抱っこ人形みたいにくっついてる姉を落とさないようにしつつ、キッチンへ。
引き出しを開け、お菓子を入れてあるビニール袋からてきとうに取り出す。
「飴いいね」
「これならうるさいやつが黙るからな」
「はー？そういうこと言うならめっちゃ噛み砕くから」
「ちゃんと味わえよ」
「死ね。ばーかばーか」
ソファに戻って座ると、姉は姿勢を変えてこっちに背中を預けてきた。
こっちのほうが背も座高も高いから、いつも包み込んでる感じだ。
袋を縦に破き、あほみたいに口を開けて待っている姉に一つ放り込む。
「ん。あまー」
「そりゃ良かった」
尻尾が胴に巻き付いてきてて、俺を逃がさないようにしてやがる。
いつからだっけな。こいつがこんなべたべたに甘えてくるようになったのって。
――生まれた時には姉は五歳で、思い出せる最低限の時からかなりお姉ちゃん風を吹かしていたような気がする。両親に聞いた分でも、やっぱり姉は最初から俺を溺愛してたそうだ。ピュアな頃の俺も姉を頼り切りになってた気がする。
それが徐々に変わっていったのは、俺が小学校に上がったくらいの頃。
性に目覚めた姉が何も知らない俺を騙くらかして、手だの口だの尻尾だの、一通りの前戯をしてから合体。精通を迎えてからは毎日毎日ヤりまくって、俺が小六になる辺りまではずっと姉優位だった。
帰って宿題をさっさと終わらせて飯風呂を済ませたら、寝るまで五時間くらいセックスし続けたり。姉が寝てる最中の尻尾を無断で借りて、種切れ起こすまで尻尾オナニーしたり。それに怒った姉が次の日に亀頭だけ尻尾被せて肉球でシゴき続けてきたり。俺も姉も、小学生の頃が一番セックスに貪欲だった。
魔物娘の魔力のおかげで、俺はぐんぐん成長した。姉の身長百七十二センチを追い越したのが中学一年。二メートル行くくらいまではさすがに伸びなかったけど。
いろいろと対等になってから、こっち優位の体勢でセックスすることが増えた。でもまだその頃は姉らしい振る舞いをしていて、いろんなところに連れてってくれたり遊びを教えてくれたり、甘えてくることなんてのはなかった。
姉が初めて甘えてきたのは、たぶん俺が高校に上がったとき。両親には姉との関係はすでに知られているものだから、高校進学ついでに二人で暮らせばいい、という話になった。魔物娘向けに安いところもある。春休みの間に引っ越して、同棲が始まった。
で、当然ながら以前よりもひどいセックス漬けの日々だ。朝起きたら五発くらい中出しして、朝飯や出かける準備をしながら尻尾で搾り取られて、高校でも昼休みの時間に抜け出して予め決めていた待ち合わせ場所で交尾。帰ったら二時間くらいずっとキスしながらの玄関セックスして、夕飯もやっぱり尻尾で搾られ、風呂では互いの身体を洗いながらハメ続けて湯船の中でもお構いなしに三発ほど射精して、風呂を上がったらすることもないのでやっぱりセックス。一週間のうちに三十回以上のセックスをしなかった日が一日でもあるかどうか、ってくらいの堕落ぶり。
そんな激しさだから、俺が高校で勉強してる間の姉はかなり人恋しかったんだろう。日常のなにもかもを俺に任せきるようになった。ご飯食べさせて、歯磨いて、身体と頭洗って、トイレ行かせて。悲しいことに、弟は姉に頼られると嬉しい生き物だった。言われるがままに姉を甘やかして、一年後にようやくこのままじゃダメだと気づいた。
しかし時既に遅し。姉はとっくにダメな魔物となっていて、俺もダメな弟になっていた。せめてセックスの頻度を徐々に減らそうと努力して、今ではなんとか就寝前のセックス十五回だけと妥協できるようになったけど。
――だから、そう、二人暮らしを始めたせいだ。姉が甘えてくるようになったのは。
でも俺も姉のことが大好きなので、どのみち甘やかすしかなかった。
「なにぼけっとしてんの」
「…………べつに」
訝しげにこっちを見ながら小首をかしげて、顔くらいに大きい胸がたぷんと揺れる。うちの姉が一番可愛くてエロい。俺はシスコンじゃないけど本当にそう思うのだった。
「なあ。ちんちんケツに当たってんだけど」
「気のせいだろ」
「セックスしたくねーのかよ」
「したいけどダメ」
「矛盾してんだろ」
「してねーよバカ」
腹立つことに条件反射が刷り込まれてて、むにむにした柔らかい尻だったりふかふかずっしりのでかい胸だったりを股間の辺りで押しつけられるとどうしようもなく勃起する。
とはいえ、今じゃ姉も焦らしプレイにノリノリだ。表向きはセックスしたがっちゃいるが、実際のところは夜までのムードを上げてるだけに過ぎない。待たされた分だけ気持ちが良い、というのを実体験させたおかげだ。
「ふん。夕飯どうすんの」
「なんか食べたいもんある？」
「オマエはないのかよ」
「ピザ食いたい。姉ちゃんは」
「ん。ピザでいいんじゃね」
懐からスマホを取り出して、一緒にメニューを眺める。
「やっぱクワトロ系？」
「味がたくさんある方が楽しいしな」
「だよな。アタシこれ、チーズのやつ」
「肉は？」
「どうせオマエも肉って言うだろ。肉のやつとチーズのやつで二つ」
「二人分にしてはちょっと多いんじゃねーの」
「食えるだろ」
「まあ」
二つともサイズLで、けっこうな値段するけど注文。
もともと二人とも、セックス以外に趣味がない。だけど俺はバイトしてるし姉も働いてるもんだから、金が貯まる一方。食生活はかなり大雑把。
「コーラは？」
「姉ちゃんが買ってこいよ」
「ざけんなオマエ買ってこい」
「無くてもいいだろ」
「ビールでもいいから買ってこいって」
「やだよめんどい」
「つかえねー」
姉は不満げに眉を寄せて身体をソファに横たえる。胸が重力に引っ張られてぐにゃりと変形してて視線が吸い寄せられそうだ。ブラジャーなんて文明的なものは姉の辞書にはないんだろう。外ではともかく家じゃ慎みなんか全くない。
俺の膝に頭乗っけて、じっとこっちを見てくる。期待してやがんなこいつ。
俺もソファに身体を預け、深く息を吐く。
……平日は家に帰ってもすぐに姉に捕まってベッドに連れ込まれるもんだから、こうして少しでも精神的に落ち着ける時間は必要だ。姉とのセックスが嫌なわけじゃないけど、それにしたって一息つく時間はほしい。暇で暇で仕方なくて退屈でなにもすることがなくて、そういう時間があるおかげで時間に厚みを持たせることができる。
「なあ」
「ん」
「そろそろ一回くらいは帰省したほうがいいかな」
「……んー。姉ちゃんがそうしたいならいいけど」
「元気してるか、ってたまに電話が来るんだよ。出てきてから一回も帰ってないじゃん」
「誰のせいだよ……」
「だからアタシが帰ってみようっつってんじゃん」
「なるほどね。いいよ。夏？」
「オマエのこともあるしな。夏でいいよ」
「うい」
そんなことならついこないだのゴールデンウィークにでも言ってくれりゃいいのに、とは言わなかった。その時は二人で旅行に出かけてたから。
夏か。夏なあ。
「そういやさ、俺ちゃんと地元の花火大会見たことないんだけど」
「そうか？」
「姉ちゃんが毎年ずっとセクハラしてきていっつもセックスしてたじゃん」
「ああー。まあそりゃな。せっかく浴衣着てるんだから当たり前だろ」
「せっかくだし、花火大会に合わせて帰ろうぜ」
「へいへい。オマエを束縛してたアタシも悪いからその辺は融通してやるよ」
「ありがたいことで」
礼の代わりなんてつもりじゃないけど、姉の頬を撫でる。
本当にバカだったよな、あの頃は。昔を懐かしんで、微笑みが零れた。
☆
ピザを食べ終わって食休み。
俺が皿とコップを洗っている間に、姉は風呂を沸かしていた。
「今日はどうすんの？一回？」
「んー……アタシ的には二回」
「水道代も考えろよ」
「大丈夫だろ、どうせそんな変わんねえ」
風呂に入ると互いの匂いが一時的に落ちる、というのはセックスライフ的には重要な要素だ。風呂に入ったあとでするのはさっぱりした爽快感があるけれど、風呂に入らずにするのだって気持ち悪いほどに気持ちが良くなる。
だから毎日確認を取る。風呂に二回入る日はそんなにないとは言っても、気分の問題はその日によって変わりすぎる。聞かないよりは聞くほうがいい。
空いた時間で歯を磨いたりトイレに行ったり軽くベッドメイクしたり、十分ほどなにかしてるうちに風呂が沸く。
「お先ー」
「先もなにもねーじゃん」
姉が脱衣所に入るのを追って自分も入り、二人揃っていそいそと脱ぎ始める。小さい頃から姉と一緒に入り続けていると言って笑われたのは中学生の頃までで、それからは誰にも言ってない。姉とそういう関係だ、というのは親友にさえ告げていなかった。
どうせあとで洗うんだからと身体はシャワーで流す程度に留めて、二人で浴槽に浸かる。二人分の体積でギリギリ溢れない程度の湯だ。
「んふ……はぁ」
「ん……パイプ詰まるからやめろ」
「弟はワガママだなぁ」
「姉ちゃんだろ……」
こいつは常に飢えてる。俺とのセックスを求め、セックスがダメならキスで、キスもダメならと身体を触れさせる。狭い浴槽なのにわざわざ向かい合って抱きついてきて、のぼせそうなキスを繰り返してくる。
ちょうどよく縦筋と裏筋がかみ合うように腰を小刻みに擦り付けて、このあとのセックスを意識させてくることも忘れていない。一物は当然ながら大きくなっているけど、このくらいの刺激じゃ射精には全然物足りないのが腹立つ。物足りなさを覚えさせるためにやってるんだ、こいつは。
「んぷ、は……なあ、なあ」
「ダメだっつってんだろ……」
「いいじゃんかよ……大好きなんだよ、オマエのことがさぁ……」
「浴槽ん中はダメなだけなんだって」
「……じゃあ、じゃあさ。今入れて浴槽出て、そこで一発だけなら、いいんだよな」
返事をする前に、姉は腰を僅かに上げて、手慣れた仕草で膣の中に飲み込んでいく。どうしたんだと姉の顔をよく見ると、やけに赤い。のぼせそうになってんのか。
挿入された瞬間に姉の表情は蕩けて、心底嬉しそうに笑顔を浮かべた。一日中待ってたもんな。つっても六時間くらいだけど。このまま姉がのぼせたらあとで欲求不満になるし、ということで姉の望み通り抱え上げて浴槽から出る。
「あっ、んふっ……も、なんか、すぐいきそ……っ」
「我慢。ほら、尻尾俺に巻き付けて」
「んん……はっ、ふぅっ……！ すごいじんじんくる……」
浴室の壁に姉を押しつけて、それでもちょっと安定しにくいので尻尾を巻いてもらう。しがみつくっていう点では、マンティコアの尻尾は伸縮自在で便利なものだ。
片手を姉の手と結び、指と指を絡ませる。もう片方の手は尻を支え、腕に脚をかけさせる。
「動くぞ」
「うん――うぁ、はふっ、はぁぁあ……っ」
最初はあえて緩慢に腰を打ち付ける。それだけでもぬるぬるとした肉圧が神経を摩擦してくるが、これはまだ助走だ。少しずつ、ぱちんぱちんと肉同士がぶつかる音の感覚が早くなり始める。
姉は熱い息を吐き出して、恍惚に身体を震わせていた。子宮にぶつけるたびにゆさりと姉の脂肪が揺れて、豊満な胸が運動エネルギーを持て余し気味に首を振る。ぎゅうぎゅうと膣肉も収縮し、精液をねだるように子宮口が亀頭にキスしてくる。長年親しんできただけあって、姉の膣はぴったりと俺の形を覚え込んでいた。
「あぅ、はぁっ……すき、すきっ、これすき……」
「腕、首に回して」
「んふぅっ！ ちんぽ激しっ、ああぁっ、頭ばかになるっ……」
「もともとばかになってんだろうが、クソ姉貴っ」
「だって、ううぅっ、奥いいっ……はぁ、だって、オマエが大好きなんだもん……」
言い訳がましく、想いを口にする。初めてセックスしたその日から今に至るまで、姉は決して自分の想いを偽ったり茶化したりなんかしなかった。ただひたすらに愛してるから子どもが産みたい。純粋な生物的欲求。
実際のところは俺が職につくまではそうしないつもりらしいけど、それはそれで興奮する。愛を語り合って形作ろうとする行為を、ただ快楽を貪るためだけに貶めている。両手両足の指を使っても足りない回数のセックスを、刹那的な欲望に費やしている。爛れた関係に溺れて、溺れ続けることを愉しんでいる。なんて素晴らしい享楽。
どんな蜜よりも甘くて甘い堕落。実姉と交わる停滞した時間。
「出す、中に出す……」
「ぅんっ、中ほしっ、んぅんっ！ ぁ、いくぅっ……！」
「っ、…………！」
「んひぃ！ ぅ、ぁはあっ！ うぁ、ぃ、〜〜〜〜〜〜〜っ！」
最後に亀頭を子宮に突き刺して、ひどい量を射精する。
同時に絶頂した彼女の膣がでたらめに肉棒をこねくり回してくるせいで、焼け付くような脈動だけでなく尿道全体を引き絞られて全身の神経に甘い痺れを伝播させられる。がくんがくんと全身を痙攣させて悦ぶ姉。尻尾を巻き付けてなかったら崩れ落ちてそうだ。
そうしてひとしきり絶頂を堪能し終わると、シャワーを手に取って汗を流す。
「ん……さんきゅ……」
「腰抜けてないよな」
「たぶん。シャワーもきもちい……」
「じゃあ抜くぞ。っつか、そろそろ尻尾離して」
「あ、ごめん。ん、ふっ……」
こんなもんじゃまだまだ萎えないけど、でも浴室で交わってたら風邪引く。それは姉もわかってるので、名残惜しげにしながらも大人しく膣を緩めてくれる。そうして身体を離して、汗を流し終えたらタオルを取って身体を拭く。
「なあ、オマエ拭いてよ。からだ」
「自分で拭けよ」
「たまにはいいじゃん。小学生の頃は鼻の下伸ばしながら拭いてたろ」
「昔は昔。二人ともガキじゃないんだぞ」
「へへっ。シスコン」
「うっせ」
髪の水気を切ってやり、身体も優しくタオルで拭う。嫌だと言ってもやっぱり姉を甘やかしてしまってる。
止めた方がいいんだろうけど、この先もずるずると甘やかし続けてしまうんだろう。だって、二人の関係だってそうだ。甘々にゆるゆると、互いを結びつけ合う。
姉に甘やかされていた昔も。姉を甘やかしている今も。姉と二人で甘やかす未来も。
愛おしくて愛おしくて仕方がない。
「うしっ。今日は抜かず二十連発だな」
「無茶言うな。出すの俺だぞ」
「いけるいける。オマエもインキュバスならそれくらい余裕だろ」
「本気かよ……」
「いいだろ？」
「はいはい」
「へへへ。愛してる」
このあと滅茶苦茶セックスしまくった。
無機質な時計の音。
「すぅ……んふ……すー……」
耳元に聞こえるくすぐったい寝息。
薄暗い室内。カーテンの隙間から少しだけ差し込む陽。
シーツのぬくもり。横幅二人分に膨らんだ掛け布団。
隣で気持ちよさそうによだれを垂らす、実の姉。
「むへ……すふー……くー……種子島……」
黒豹のような耳と手足に、サソリのそれを十倍禍々しくしたような尻尾、サキュバスと同じようなコウモリ羽。マンティコア、と呼ばれる魔物娘。ついでに言うとおっぱいと尻がでかくて常に薄着。性格が最悪な上にブラコン。それが実姉。
で、がっしりと腹や腰をホールドされて抱き枕にされている。動けない。
「……………………」
現在時刻、十三時二十八分。
グッド昼ーニング、おそようございます。お腹からそんな挨拶が鳴った気がした。
それではいつもの行きましょう。息を大きく吸って、
「はよ起きろやクソ姉貴ィィ――――――ッ！！」
「でけぇ声出すなうるせェェ――――――ッ！！」
毎週恒例、家でぐーたらする休日が始まった。
☆
ブランチを食べ終わって十四時。
することもなしにソファに寝転がってテレビを流し見していると、まだ眠たげな表情で姉が近寄ってきて同じように寝転がる。俺の上に。
「重」
「ザコ」
「デブ」
「ボンキュッボンで辛いわー」
俺の胸に顔を擦り付けて耳をぴこぴこ動かして、モーニングスターみたいな尻尾がゆらゆら揺れる。薄いタンクトップ越しに胸が押しつけられてるけど、性欲よりは眠気のほうが強くてまだ反応しない。外出するとき以外の姉は基本的に下着姿で、今は「どこで売ってんのそれ」って聞きたくなるくらいきわどいショーツを履いてる。
エロい格好だけど、死ぬほど姉とセックスしまくったせいで裸も見慣れてるし、いつの間にかこういう服装は布がある分だけ普通だなと思うようになった。
そうして姉をぼーっと見つめてると、でかいあくびをテレビへ。つられてあくびを出しながら、姉と同じように視線をテレビへと戻す。暇そうにこっちをつつく、姉の爪。
「構えよ」
「だるい」
「つまんな。キスしよ」
「なんで」
「いいから」
大きな肉球が俺の頬をぐいとひっぱり、顔が無理矢理に姉の方に。
特に拒否することもなく、柔らかな唇を受け入れる。
音を立てず重ねるだけなのに、温かさがゆったりと浸透してくる。
一度口を離しても、すぐにまた押しつけてくる。欲深い姉が二度や三度のキスで満足するはずもない。十五分ほどキスし続けて、姉はようやく顔を離す。僅かに赤らんだ頬。獣爪で愛おしそうになぞられる、艶のある唇。
得も言われぬ恥ずかしさがあって、テレビに目を逸らす。
「……ブラコン」
「うっせ。シスコン」
「どこが」
「好きだろ」
「うーん……カレー並みに」
「シスコン」
「ばーか。ブラコン」
俺の首に顔を埋めて、ぐりぐりと頭を動かす姉。猫がにおいつけてる時っぽい。しょうがなく背中をぽんぽん叩いてやると、尻尾が嬉しそうにくねくねダンスし始めた。
「なあ」
「なんだよ」
「濡れそうなんだけど」
「ちゃんと洗濯しろよ」
「……なんで昼はダメなんだよ」
「ヤり始めると姉ちゃん夕飯忘れるだろ」
「たしかに」
「飯食って風呂入ったらって毎日言ってんじゃん」
「んー……」
不服そうな息を漏らしながら、首筋に小さくキスしてくる。
そのくすぐったさから逃げるように顔を巡らせて、またテレビに目が行く。
「んんー……構えって」
「セックスしたいだけだろ」
「当たり前だろ」
「恥じらいを持て」
「今更すぎんだろばーか。半勃起で我慢してるのわかってんだぞ」
「そりゃあ……」
また姉を見て、じっと睨んできているその顔を眺める。
この世に二人といない、自分だけの姉。姉弟の禁断の恋、なんてクソみたいなもんじゃない。そもそも魔物娘に近親相姦なんて概念はない。あるのはただ、男と女。そういう点で言えば目の前の姉は最高に魅力的な女性で。むしろ抑え込めてることを褒めるべき。
そんなようなことを言うと負けた気がするので、何も言わない。
「……なんだよ。黙んなよ」
「ゲームでもしろよ」
「やなこった。オマエで遊ぶ」
「ブラコン」
「褒めんな」
こっちの両腕を取って、包むように姉を抱えさせられる。
ぴー、と音が鳴るくらい勢いよく鼻で吸って、すごく満足そうに息を吐く姉。においフェチというか、こういう系の魔物娘はにおい重視というか。そういうアレな性分だから、前に洗濯前の俺のパンツを吸ったり舐めたりしゃぶったりしてたこともあった。
俺も似たようなもんだけど。汗がしみこんだ服を思う存分嗅がせてもらったりわざわざ吸湿性の高い服を買ってやって着てもらったりするけど。
こう考えると業が深いな。欲望に素直なだけなのに。
「なあ。おやつは」
「俺の上でぼろぼろこぼすから禁止」
「言いがかりでしょ」
「とぼけんな」
「……まんこ舐めるよりは清潔じゃん」
「イメージの問題だっつの」
なんて言いつつ、姉を抱えながら立ち上がる。
抱っこ人形みたいにくっついてる姉を落とさないようにしつつ、キッチンへ。
引き出しを開け、お菓子を入れてあるビニール袋からてきとうに取り出す。
「飴いいね」
「これならうるさいやつが黙るからな」
「はー？そういうこと言うならめっちゃ噛み砕くから」
「ちゃんと味わえよ」
「死ね。ばーかばーか」
ソファに戻って座ると、姉は姿勢を変えてこっちに背中を預けてきた。
こっちのほうが背も座高も高いから、いつも包み込んでる感じだ。
袋を縦に破き、あほみたいに口を開けて待っている姉に一つ放り込む。
「ん。あまー」
「そりゃ良かった」
尻尾が胴に巻き付いてきてて、俺を逃がさないようにしてやがる。
いつからだっけな。こいつがこんなべたべたに甘えてくるようになったのって。
――生まれた時には姉は五歳で、思い出せる最低限の時からかなりお姉ちゃん風を吹かしていたような気がする。両親に聞いた分でも、やっぱり姉は最初から俺を溺愛してたそうだ。ピュアな頃の俺も姉を頼り切りになってた気がする。
それが徐々に変わっていったのは、俺が小学校に上がったくらいの頃。
性に目覚めた姉が何も知らない俺を騙くらかして、手だの口だの尻尾だの、一通りの前戯をしてから合体。精通を迎えてからは毎日毎日ヤりまくって、俺が小六になる辺りまではずっと姉優位だった。
帰って宿題をさっさと終わらせて飯風呂を済ませたら、寝るまで五時間くらいセックスし続けたり。姉が寝てる最中の尻尾を無断で借りて、種切れ起こすまで尻尾オナニーしたり。それに怒った姉が次の日に亀頭だけ尻尾被せて肉球でシゴき続けてきたり。俺も姉も、小学生の頃が一番セックスに貪欲だった。
魔物娘の魔力のおかげで、俺はぐんぐん成長した。姉の身長百七十二センチを追い越したのが中学一年。二メートル行くくらいまではさすがに伸びなかったけど。
いろいろと対等になってから、こっち優位の体勢でセックスすることが増えた。でもまだその頃は姉らしい振る舞いをしていて、いろんなところに連れてってくれたり遊びを教えてくれたり、甘えてくることなんてのはなかった。
姉が初めて甘えてきたのは、たぶん俺が高校に上がったとき。両親には姉との関係はすでに知られているものだから、高校進学ついでに二人で暮らせばいい、という話になった。魔物娘向けに安いところもある。春休みの間に引っ越して、同棲が始まった。
で、当然ながら以前よりもひどいセックス漬けの日々だ。朝起きたら五発くらい中出しして、朝飯や出かける準備をしながら尻尾で搾り取られて、高校でも昼休みの時間に抜け出して予め決めていた待ち合わせ場所で交尾。帰ったら二時間くらいずっとキスしながらの玄関セックスして、夕飯もやっぱり尻尾で搾られ、風呂では互いの身体を洗いながらハメ続けて湯船の中でもお構いなしに三発ほど射精して、風呂を上がったらすることもないのでやっぱりセックス。一週間のうちに三十回以上のセックスをしなかった日が一日でもあるかどうか、ってくらいの堕落ぶり。
そんな激しさだから、俺が高校で勉強してる間の姉はかなり人恋しかったんだろう。日常のなにもかもを俺に任せきるようになった。ご飯食べさせて、歯磨いて、身体と頭洗って、トイレ行かせて。悲しいことに、弟は姉に頼られると嬉しい生き物だった。言われるがままに姉を甘やかして、一年後にようやくこのままじゃダメだと気づいた。
しかし時既に遅し。姉はとっくにダメな魔物となっていて、俺もダメな弟になっていた。せめてセックスの頻度を徐々に減らそうと努力して、今ではなんとか就寝前のセックス十五回だけと妥協できるようになったけど。
――だから、そう、二人暮らしを始めたせいだ。姉が甘えてくるようになったのは。
でも俺も姉のことが大好きなので、どのみち甘やかすしかなかった。
「なにぼけっとしてんの」
「…………べつに」
訝しげにこっちを見ながら小首をかしげて、顔くらいに大きい胸がたぷんと揺れる。うちの姉が一番可愛くてエロい。俺はシスコンじゃないけど本当にそう思うのだった。
「なあ。ちんちんケツに当たってんだけど」
「気のせいだろ」
「セックスしたくねーのかよ」
「したいけどダメ」
「矛盾してんだろ」
「してねーよバカ」
腹立つことに条件反射が刷り込まれてて、むにむにした柔らかい尻だったりふかふかずっしりのでかい胸だったりを股間の辺りで押しつけられるとどうしようもなく勃起する。
とはいえ、今じゃ姉も焦らしプレイにノリノリだ。表向きはセックスしたがっちゃいるが、実際のところは夜までのムードを上げてるだけに過ぎない。待たされた分だけ気持ちが良い、というのを実体験させたおかげだ。
「ふん。夕飯どうすんの」
「なんか食べたいもんある？」
「オマエはないのかよ」
「ピザ食いたい。姉ちゃんは」
「ん。ピザでいいんじゃね」
懐からスマホを取り出して、一緒にメニューを眺める。
「やっぱクワトロ系？」
「味がたくさんある方が楽しいしな」
「だよな。アタシこれ、チーズのやつ」
「肉は？」
「どうせオマエも肉って言うだろ。肉のやつとチーズのやつで二つ」
「二人分にしてはちょっと多いんじゃねーの」
「食えるだろ」
「まあ」
二つともサイズLで、けっこうな値段するけど注文。
もともと二人とも、セックス以外に趣味がない。だけど俺はバイトしてるし姉も働いてるもんだから、金が貯まる一方。食生活はかなり大雑把。
「コーラは？」
「姉ちゃんが買ってこいよ」
「ざけんなオマエ買ってこい」
「無くてもいいだろ」
「ビールでもいいから買ってこいって」
「やだよめんどい」
「つかえねー」
姉は不満げに眉を寄せて身体をソファに横たえる。胸が重力に引っ張られてぐにゃりと変形してて視線が吸い寄せられそうだ。ブラジャーなんて文明的なものは姉の辞書にはないんだろう。外ではともかく家じゃ慎みなんか全くない。
俺の膝に頭乗っけて、じっとこっちを見てくる。期待してやがんなこいつ。
俺もソファに身体を預け、深く息を吐く。
……平日は家に帰ってもすぐに姉に捕まってベッドに連れ込まれるもんだから、こうして少しでも精神的に落ち着ける時間は必要だ。姉とのセックスが嫌なわけじゃないけど、それにしたって一息つく時間はほしい。暇で暇で仕方なくて退屈でなにもすることがなくて、そういう時間があるおかげで時間に厚みを持たせることができる。
「なあ」
「ん」
「そろそろ一回くらいは帰省したほうがいいかな」
「……んー。姉ちゃんがそうしたいならいいけど」
「元気してるか、ってたまに電話が来るんだよ。出てきてから一回も帰ってないじゃん」
「誰のせいだよ……」
「だからアタシが帰ってみようっつってんじゃん」
「なるほどね。いいよ。夏？」
「オマエのこともあるしな。夏でいいよ」
「うい」
そんなことならついこないだのゴールデンウィークにでも言ってくれりゃいいのに、とは言わなかった。その時は二人で旅行に出かけてたから。
夏か。夏なあ。
「そういやさ、俺ちゃんと地元の花火大会見たことないんだけど」
「そうか？」
「姉ちゃんが毎年ずっとセクハラしてきていっつもセックスしてたじゃん」
「ああー。まあそりゃな。せっかく浴衣着てるんだから当たり前だろ」
「せっかくだし、花火大会に合わせて帰ろうぜ」
「へいへい。オマエを束縛してたアタシも悪いからその辺は融通してやるよ」
「ありがたいことで」
礼の代わりなんてつもりじゃないけど、姉の頬を撫でる。
本当にバカだったよな、あの頃は。昔を懐かしんで、微笑みが零れた。
☆
ピザを食べ終わって食休み。
俺が皿とコップを洗っている間に、姉は風呂を沸かしていた。
「今日はどうすんの？一回？」
「んー……アタシ的には二回」
「水道代も考えろよ」
「大丈夫だろ、どうせそんな変わんねえ」
風呂に入ると互いの匂いが一時的に落ちる、というのはセックスライフ的には重要な要素だ。風呂に入ったあとでするのはさっぱりした爽快感があるけれど、風呂に入らずにするのだって気持ち悪いほどに気持ちが良くなる。
だから毎日確認を取る。風呂に二回入る日はそんなにないとは言っても、気分の問題はその日によって変わりすぎる。聞かないよりは聞くほうがいい。
空いた時間で歯を磨いたりトイレに行ったり軽くベッドメイクしたり、十分ほどなにかしてるうちに風呂が沸く。
「お先ー」
「先もなにもねーじゃん」
姉が脱衣所に入るのを追って自分も入り、二人揃っていそいそと脱ぎ始める。小さい頃から姉と一緒に入り続けていると言って笑われたのは中学生の頃までで、それからは誰にも言ってない。姉とそういう関係だ、というのは親友にさえ告げていなかった。
どうせあとで洗うんだからと身体はシャワーで流す程度に留めて、二人で浴槽に浸かる。二人分の体積でギリギリ溢れない程度の湯だ。
「んふ……はぁ」
「ん……パイプ詰まるからやめろ」
「弟はワガママだなぁ」
「姉ちゃんだろ……」
こいつは常に飢えてる。俺とのセックスを求め、セックスがダメならキスで、キスもダメならと身体を触れさせる。狭い浴槽なのにわざわざ向かい合って抱きついてきて、のぼせそうなキスを繰り返してくる。
ちょうどよく縦筋と裏筋がかみ合うように腰を小刻みに擦り付けて、このあとのセックスを意識させてくることも忘れていない。一物は当然ながら大きくなっているけど、このくらいの刺激じゃ射精には全然物足りないのが腹立つ。物足りなさを覚えさせるためにやってるんだ、こいつは。
「んぷ、は……なあ、なあ」
「ダメだっつってんだろ……」
「いいじゃんかよ……大好きなんだよ、オマエのことがさぁ……」
「浴槽ん中はダメなだけなんだって」
「……じゃあ、じゃあさ。今入れて浴槽出て、そこで一発だけなら、いいんだよな」
返事をする前に、姉は腰を僅かに上げて、手慣れた仕草で膣の中に飲み込んでいく。どうしたんだと姉の顔をよく見ると、やけに赤い。のぼせそうになってんのか。
挿入された瞬間に姉の表情は蕩けて、心底嬉しそうに笑顔を浮かべた。一日中待ってたもんな。つっても六時間くらいだけど。このまま姉がのぼせたらあとで欲求不満になるし、ということで姉の望み通り抱え上げて浴槽から出る。
「あっ、んふっ……も、なんか、すぐいきそ……っ」
「我慢。ほら、尻尾俺に巻き付けて」
「んん……はっ、ふぅっ……！ すごいじんじんくる……」
浴室の壁に姉を押しつけて、それでもちょっと安定しにくいので尻尾を巻いてもらう。しがみつくっていう点では、マンティコアの尻尾は伸縮自在で便利なものだ。
片手を姉の手と結び、指と指を絡ませる。もう片方の手は尻を支え、腕に脚をかけさせる。
「動くぞ」
「うん――うぁ、はふっ、はぁぁあ……っ」
最初はあえて緩慢に腰を打ち付ける。それだけでもぬるぬるとした肉圧が神経を摩擦してくるが、これはまだ助走だ。少しずつ、ぱちんぱちんと肉同士がぶつかる音の感覚が早くなり始める。
姉は熱い息を吐き出して、恍惚に身体を震わせていた。子宮にぶつけるたびにゆさりと姉の脂肪が揺れて、豊満な胸が運動エネルギーを持て余し気味に首を振る。ぎゅうぎゅうと膣肉も収縮し、精液をねだるように子宮口が亀頭にキスしてくる。長年親しんできただけあって、姉の膣はぴったりと俺の形を覚え込んでいた。
「あぅ、はぁっ……すき、すきっ、これすき……」
「腕、首に回して」
「んふぅっ！ ちんぽ激しっ、ああぁっ、頭ばかになるっ……」
「もともとばかになってんだろうが、クソ姉貴っ」
「だって、ううぅっ、奥いいっ……はぁ、だって、オマエが大好きなんだもん……」
言い訳がましく、想いを口にする。初めてセックスしたその日から今に至るまで、姉は決して自分の想いを偽ったり茶化したりなんかしなかった。ただひたすらに愛してるから子どもが産みたい。純粋な生物的欲求。
実際のところは俺が職につくまではそうしないつもりらしいけど、それはそれで興奮する。愛を語り合って形作ろうとする行為を、ただ快楽を貪るためだけに貶めている。両手両足の指を使っても足りない回数のセックスを、刹那的な欲望に費やしている。爛れた関係に溺れて、溺れ続けることを愉しんでいる。なんて素晴らしい享楽。
どんな蜜よりも甘くて甘い堕落。実姉と交わる停滞した時間。
「出す、中に出す……」
「ぅんっ、中ほしっ、んぅんっ！ ぁ、いくぅっ……！」
「っ、…………！」
「んひぃ！ ぅ、ぁはあっ！ うぁ、ぃ、〜〜〜〜〜〜〜っ！」
最後に亀頭を子宮に突き刺して、ひどい量を射精する。
同時に絶頂した彼女の膣がでたらめに肉棒をこねくり回してくるせいで、焼け付くような脈動だけでなく尿道全体を引き絞られて全身の神経に甘い痺れを伝播させられる。がくんがくんと全身を痙攣させて悦ぶ姉。尻尾を巻き付けてなかったら崩れ落ちてそうだ。
そうしてひとしきり絶頂を堪能し終わると、シャワーを手に取って汗を流す。
「ん……さんきゅ……」
「腰抜けてないよな」
「たぶん。シャワーもきもちい……」
「じゃあ抜くぞ。っつか、そろそろ尻尾離して」
「あ、ごめん。ん、ふっ……」
こんなもんじゃまだまだ萎えないけど、でも浴室で交わってたら風邪引く。それは姉もわかってるので、名残惜しげにしながらも大人しく膣を緩めてくれる。そうして身体を離して、汗を流し終えたらタオルを取って身体を拭く。
「なあ、オマエ拭いてよ。からだ」
「自分で拭けよ」
「たまにはいいじゃん。小学生の頃は鼻の下伸ばしながら拭いてたろ」
「昔は昔。二人ともガキじゃないんだぞ」
「へへっ。シスコン」
「うっせ」
髪の水気を切ってやり、身体も優しくタオルで拭う。嫌だと言ってもやっぱり姉を甘やかしてしまってる。
止めた方がいいんだろうけど、この先もずるずると甘やかし続けてしまうんだろう。だって、二人の関係だってそうだ。甘々にゆるゆると、互いを結びつけ合う。
姉に甘やかされていた昔も。姉を甘やかしている今も。姉と二人で甘やかす未来も。
愛おしくて愛おしくて仕方がない。
「うしっ。今日は抜かず二十連発だな」
「無茶言うな。出すの俺だぞ」
「いけるいける。オマエもインキュバスならそれくらい余裕だろ」
「本気かよ……」
「いいだろ？」
「はいはい」
「へへへ。愛してる」
このあと滅茶苦茶セックスしまくった。
17/03/18 11:53更新 / 鍵山白煙