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幸福の女神
幸福の女神







Warning!!

ダークエルフ様に御出演頂いております。

頭に蛆が湧いたファ☆キン作者とダークエルフ様。お察しください。









俺は今、両隣をワーウルフのおっかない憲兵に固められ長い長い廊下を歩いている。

何をやらかしたって?

……下着ドロだ。

高尚な趣味だ。芸術家と言って良い。ブラにパンツ、ストッキングにトレンカ、キャミも最高だ。

少し過去の話しをしよう。

俺は現実の女や魔物娘に興味は無い。しかし、下着は大好きだ。

女共は綺麗な見た目をしていても心の中は醜悪で傲慢で自分勝手で下手に出ればつけ上って、俺みたいなモブから金を巻き上げて、金が無くなれば汚いゴミを見るような目で俺を見てティシュのように捨てる。もううんざりだ。かと言って魔物娘と関係を持とうものなら人生の墓場まっしぐらだ。

しかし性欲は溜まる。

こうなる以前は2次元での自家発電で性欲を賄う事が出来ていた。ひみつのバッフォちゃんの2次創作の薄い本には何度お世話になったかわからない。

しかし何年か前、仕事帰りの深夜に駅の近くの公衆トイレに行った事が俺の人生を狂わせた。

その公園の男子用トイレは今時和式しかなかった。洋式派の俺は迷わず洋式のある車椅子でも入れるバリアフリーのトイレで用を足す事にした。つまり大の方である。

中に入って用を足し、ケツを拭いて、手を洗う。そして鏡に写っていたある物に気がついた。

後ろの折りたたみ式ベビーベッドの隙間から何かヒモみたいな物が出ていたのだ。不思議に思い、見てみると……ティーバックのパンティーだった。男を誘う為のみにデザインされたと思わしきそれは、湿っていて、いや、ぐちゃぐちゃに濡れていて下着としての機能を果たしていなかった。

俺は恐る恐る嗅いだ。

何故そんな事をしたのかは分からないが、嗅いでしまった。

瞬間、甘ったるい雌の香りと刺激臭が脳髄を駆け巡った。

若い女か魔物娘か、少し前までここで致していたのだろう。若い性欲とビリドーを持て余して我慢が出来なかったのだろう。下着としての意味を成さないほどに濡れた破廉恥なティーバック。持ち主はここでパートナーと致した後、女は下着を付けずにノーパンで彼か彼女の自宅かホテルにでもしけ込んでくんずほぐれつしているであろう。

その光景がありありと浮かんでくる。

俺は下着を既にバキバキに勃起した逸物に擦り付け、シゴキ上げた。

妄想が妄想を呼び、分泌してはいけない成分の脳汁がドバドバと脳みそから分泌されているのが分かった。

俺はイッた。それまでの人生で最大最量の絶頂をキメた。

それから俺は我に返った。途端に自分のした変態的行為が恥ずかしくなって処理をした後で逃げる様に家に帰った。

ただ異変があったのはその後だ。

俺は自家発電でイケなくなっていた。ひみつのバッフォちゃんの秘蔵本でもダメだった。あの時の興奮が俺の脳を焼き切ったのだろう。

俺は下着ドロに手を出した。

もう止めよう。これで最後だ。そう何度も思ったが結局やめられ無かった。次第にエスカレートしていった。

出来れば洗って無いやつが良い。しかし、洗ってあるのもそれはそれで良いものだ。

雌の匂いが染み付いたショーツも良いが、汗の染み込んだブラもオツなものだ。股グラにキク。

使用済みのナプキンも良い。生臭いが……例えばそう……ホアグラのような通好みの使用感だ。

ターゲットを絞り込んで、顔を覚えて、戦利品で思う存分に欲望をぶち撒ける。俺は下着を使い、脳内でその女や魔物娘とヤリまくった。

沢山のコレクションに埋もれながら致すと、何人もの女や魔物娘とヤッてるような充実感がする。

昼間は三流商社のうだつの上がらないサラリーマン。勿論騒ぎになったが、これと言った特徴の無いひたすらに影が薄いモブがまさかこんな事をしているとは誰も思わなかったようで、俺の創作活動は恐ろしいほど順調だった。

いつしか俺の部屋はコレクションで溢れんばかりになっていた。

俺は心の楽園を手に入れた。安息の地を得たのだ。

しかし、それはある日突然終わりを迎えた。

盗みに入った所でドジを踏んでしまった。……いや、ドジじゃない。相手が悪かったのだ。

俺が下着を盗もうとした相手はゲートの向こうから来た偉いさんで、なんでもまおーさまの娘のリリムって魔物娘らしい。俺はそいつの勝負下着を盗もうとした。

恋人(予定)とのデートで使うつもりだったらしい勝負下着を盗まれた事に本気で怒った魔物娘のお姫様に、俺はあっさり捕まって警察に突き出された。

裁判になって俺の芸術はワイドショーに取り上げられた。盗んだ下着とその他もろもろ1000点以上。あろう事かエロDVDや薄い本まで晒された。マスコミは俺を女の敵だの精神異常者だの好き勝手に報道して面白がった。奴らマスゴミは視聴率が取れればそれで良いのだ。プライバシーのクソもへったくれもありはしない。

俺を守ってくれる筈のサキュバスの弁護士も『残念だけど、アナタには弁護の余地が無いわ……』とか抜かしやがった。

裁判の結果、永久弱体化刑と刑執行後に強制的に更生施設に入る事になった。

以上回想終わり。

俺は変な薬でショタにされた後、性欲を抑える魔法効果があると言う貞操帯を付けられて、簡素な白い服に着替えさせられて裸足で歩いている。靴は万が一逃げられると困るのと武器になるから危険だと言う。

そうして暫く歩くと白い部屋に連れられた。

部屋の真ん中には水晶?が置かれた台座がある。他は何にも無い。

『喜べ。お前には幸福が与えられるだろう。』

右脇を固めているワーウルフの憲兵さんがまるで汚物を見る様な目で俺を見ながらそう言った。

俺は首を傾げた。この犬っコロの言っている事が分からない。

『……ご愁傷様。』

今度は左の憲兵が小さく憐れんだ。

『……精神病院にでも入るんじゃ無いのか?』

『間違っていない。囚人25601号。お前が入る更生施設はお前専門の看守が作り上げたパンデモニウムの個人世界にある。』

すると俺が疑問を口にする前に台座に乗せられた水晶が輝いて部屋を真っ白に染めた。

光に目を閉じて、暫くしてから目を開けると信じられないことに、俺の目に映ったのは海のように巨大な湖だった。

『……はぁ??』

思わずアホみたいな声が出た。こんな所があの部屋の中にある訳がない。それより、俺の目がおかしくなったのか。コントラストの強い、明るくて暗い色の世界が鮮やかにどこまでも広がっている。まるで絵画の中に居るような、目に付き刺さるように激しく鮮やかで、描かれたような全ての色。

暫く立ち尽くし、とりあえず歩き出そうとしたその時。

『お前は誰?』

その女は俺の前に居た。いつの間にか。どこからか現れた訳でも無く、ごく自然に、そこにあるように俺の前に立っていた。

褐色の肌に白色の長い髪、ギリシャ彫刻の様に整い過ぎた顔には冷たい紫色の瞳。黒いローブを身に纏っていた。

『アンタ誰?』

俺は目の前の恐る恐る聞いた。

『私はフェルミナート。』

表情を見る限りでは怒っていないようだったが、彼女は眉一つ動かさず、瞬きすらしない。俺は気味が悪くなった。

『そうですか。……じゃ、俺は失礼します。』

ここがどこだかわからない。俺は施設に行く筈だこんな所に送られる筈は無い。

『勝手な事をするな。』

後ろのフェルミナートが静かにそう言った。その瞬間俺は動け無くなった。

『出て行かせない。お前は私の奴隷にする。』

『何勝手な事言ってんだお前っ!俺を此処から出せ!ここはどこなんだ!』

俺は喚き散らしたが、どうやっても動く事が出来なかった。

『ここはパンデモニウムの中にある私の個人世界。この世界に置いて私、フェルミナートは全知全能。私に逆らう事は出来ない。喜ぶが良い。お前を神の奴隷にしてやる。』

フェルミナートは俺の頭を髪ごと引っ掴むと容赦なく俺を何処かに引きずって行く。

『何しやがる!はなせ!はなしやがれ!!』

『……うるさい。口も悪く言葉も汚い。』

無表情のままフェルミナートは呟くと俺の喉をどこからか取り出した鞭で叩いた。

『ぎゃっっ!!』

『奴隷は口をきかなくてよろしい。私は口の悪い奴隷の口を閉じる主義だ。』

途端に俺は声が出せなくなった。鯉のようにパクパク口を開けるだけで精一杯だ。身体は動かない。声も出せない。俺は抵抗を諦めて大人しくフェルミナートに引き摺られる事にした。

『ここが私の屋敷よ。』

引きずられた先は石作りの砦のような屋敷だ。屋敷からはとんでもなく冷たい風が吹いていた。湖の周りの涼しい風を感じたのはこの屋敷が冷気を放っていたからなのだろう。俺は寒くて震えていたがフェルミナートは相変わらずの無表情で、俺の頭をしっかり掴んで引き摺ったまま屋敷の中に入っていった。

屋敷の中は暗く、泣くほど寒い。あちこち凍りついている。

『さぁ、ここがお前の部屋よ。』

そこは牢獄だった。石作りに白い格子。それにしても、こんなところで一晩も過ごすのは真っ平だ。ベッドはあるが凍りついた石できている。あんなに冷たくて硬いベッドで寝れるわけがない。それより寒くて凍死してしまいそうだ。早くなんとかして逃げなくては。

俺はフェルミナートが牢の鍵を掛けてどこかに行くのを確認すると、すぐ逃げ出そうと氷の格子を何度も蹴った。しかし格子は頑丈にできているらしくビクともしない。俺は諦めずに何度も何度も蹴って蹴って体当たりを繰り返した。それでも壊れる気配がなかった。俺は腹が立って格子を掴んで力の限り叫んだ。

しかし、声は出ない。マヌケにも鯉のようにパクパクとするだけだった。

それより更に悪いことに白い格子を握り締めた手に焼けるような激痛が襲った。俺は音のない叫びを上げて泣きながら手を見ると、まるで火傷でもしたかのように手のひらが腫れ上がっていた。

『おやおやおや?』

俺の行動を見ていたのだろう。フェルミナートがのたうつ俺の前に現れた。

『その格子は氷の女王に特別に賜った魔力個体炭素(ドライアイス)で出来ている。触ると魔力体にヤケドをする。通常は性的に気持ち良いのだけど、額に刻んだ苦痛の烙印で苦しい思いをすると教えていなかったかなぁ?』

フェルミナートに表情は無かったが、何処と無く楽しそうだ。彼女の手には鏡があり、それを見るとショタ化した自分の額に焼印のような紋章があった。苦痛の烙印とやらだろう。

『あぁ、そうだ。腹が減っているだろう。これをお食べよ。遠慮はいらない。』

そう言うと、フェルミナートは山盛りの米をのせた皿を差し出した。食事は出してもらえるのか、と多少の安心を含んで皿を受け取ると、いやにぱさぱさしている米の山は僕の腕に崩れてきた。

なんだ、この米粒は。生きているかのように蠢いている。いや米ではない。虫だ。良く見るとそれは米ではなく、おぞましい動きでひしめき合っている大量の蛆虫だった。

『この世界で奴隷が口に出来るのは、魔界蛆虫だけだ。』

俺が驚いて皿を投げ捨てるとフェルミナートは表情は無いままに嬉しいそうに声だけで笑った。

蛆虫など口にできるわけもなく、俺はできるだけその蛆から遠いところで座り込んだ。あまりの寒さに震えやがて、死ぬかもしれないと思いながらも眠りに落ちた。

そして冷たい痛みに起こされ目を覚ました。壁に寄りかかって寝ていたが、耳が凍て付いた石の壁に張り付いている。無理やり剥がすと耳の皮膚がちぎれて温かい血が流れ出した。しかしそれは一瞬ですぐに凍りつき、俺は寒さと痛さに這いずって泣いた。

フェルミナートが俺を苛む日々がずっと続いた。凍て付いた石のベッドは寝るたびに皮膚が張り付き、一日はそれを剥がす激痛から始まった。

毎日毎日、フェルミナートは俺に理不尽を与えた。蛆虫の食事がでてくる時はまだ良い方だ。酷い時は何ヶ月も食べさせてもらえなかった。水すら飲めない時もあった。毎日毎日、鞭で叩かれて、時には火責めに水責め、釘打ち、焼ごて、鉄の処女、酸の水槽、苦悶の梨……暇だからと様々な拷問にかけられた。極限まで飢えたとしても、拷問でどんなに死にそうでも死ねなかった。どんなに痛くても、辛くても、この世界の神たるフェルミナートの許しがない限り死ぬことも叶わない。

何年かと問われれば100年以上。いやもしかしたらもう300年くらい経っているかも知れない。100年までは数えていたが、もう数えるのも嫌になってしまった。

俺は一度だけフェルミナートの屋敷を抜け出した事がある。フェルミナートが鍵をかけるのを忘れてしまったのだ。俺は最高の機会だと力んで牢屋から脱出して屋敷を飛び出し、力の限り走り出した。

もうこんな機会は訪れないかもしれない、と俺は死ぬ気で走り続けた。屋敷の外は湖が広がっていて、緑があるのは湖の周りだけだった。そこから離れると荒れた砂漠がどこまでも広がっていた。

俺は走った。眠りもせず振り返りもせずにとにかく走った。屋敷から遠ざかるにしたがって砂漠はどんどん暑くなっていく、不思議な事に砂漠には夜が来ない。逃げ出してから三日ほど進んだ頃には暑いというよりもはや炎の中を歩いているかのようで、閃光のような日差しが絶え間なく容赦なく延々と俺を刺してきた。皮膚は焼けてぼろぼろになり、ただれてきたがそれでも出口はどこにもない。どこまでも砂しかない。

もう駄目だ。引き返すしかない。

そう思って後ろを向いた時、まるで思い切り伸ばしたゴムを放したかのように、世界が湖という中心点に向かって収縮した。途端、俺はあの涼しい風の吹く湖のほとりに座っていたのだ。

見ると焼けて爛れていた筈の俺の皮膚は何も無かったように綺麗になっていた。

『おかえり。私の奴隷。』

目の前に当然のようにフェルミナートがいた。

俺はもう逃げ出すのを諦めた。

それから時間が経った。どれくらいかはわからない。もう酷く曖昧になっている。

最初に恐怖が消えた。次に不満が消え、怒りが消え、悲しみが消え、痛みが消え、心は深い闇よりも静かになった。何もかも諦め、希望の無い所には絶望はありえず、期待せず、ただ一日の終わりの安らぎと、時々出される食事に無限の喜びを感じた。

そしてある時、多分、おそらく、遂に、不幸せの臨界点を突破してしまったのだろう。ひとつの感情の超越者となった俺はフェルミナートの事を愛おしく思うようになった。この世界の神の奴隷になって久しいが、俺は多分フェルミナートの事を何も知らない。彼女は俺を虐待する時以外はひとりぼっちだ。誰かが訪ねてくる事は俺が知る限り一度も無かった。彼女が造ったと言うこの静止した世界の始まりから、彼女はひとりぼっちなのだろうか?フェルミナートの口振りから彼女も元はこの世界の外側にいたのだ。フェルミナートはただ寂しいだけなのかもしれない。しかし彼女の乏しい表現方法が、パンデモニウムにて個人世界を造れるだけの他と隔絶された能力が、もしくは偏った価値観が、他者を遠ざけて、それにより歪められた人格が正常とかけ離れた行動をさせているだけで、俺を含めたこの世界の外側の人間や魔物娘は彼女の本質をただ理解していないだけなのではないか?フェルミナートは俺と……いや、ただ単に彼女を理解しえる理解者と一緒にいたいだけなのではないか?彼女が突然に、偶然にこの世界に迷い込んだ俺の口を塞いだのは、否定の言葉を聞きたくなかったからではないだろうか?俺を鞭で打ったり、蛆虫を食わせたり、拷問するのはフェルミナートと一緒にいるのにもかかわらず、幸せでない俺を彼女自身が許せないからろうか?

俺はもう遥か昔に彼女がしたことを許している。

フェルミナート……

俺は心の中で彼女の名前を呼んだ。

自身の手を見ると、酷く頼りない白い小さな子供の手がある。その手の持ち主の身体は痩せた小さな子供の身体だ。俺はこの世界で無力に等しく、虫以下の存在だ。そんな俺でもフェルミナートを救えるのだろうか?

彼女には……せめてフェルミナートには幸福になってほしい。彼女を救いたい。

ある日、フェルミナートが牢に食事を持って来た時、俺は力を振り絞って彼女の手を掴んだ。

もし、フェルミナート……君が望むのなら、俺は永久にここに居る。

伝わるかどうかは分からない。しかし俺はフェルミナートの紫色の瞳を見つめて心の中でそう言った。

そして一瞬、フェルミナートが驚いたような表情をすると、世界がガラスが砕けるように崩壊した。

『やっと……やっと私好みに壊れてくれた……』

白い光の中で物理法則を一切合切無視して砕けて堕ちる世界の中で俺は初めてフェルミナートが微笑むのを見た。

それは余りにも美しくて、女神が存在するとするのならそれはフェルミナートなのだろう。

堕ちた世界の果てには巨大な天幕付きのベッドがあって、2人はその上に不時着した。彼女が腕を広げると互いの服が霧の様に消えてしまった。

空気が暖かい。ただそれだけでただ今を感謝して息を吸っていた。

女神は俺の唇を奪う。唇が触れるだけで脳を圧倒的な幸福が支配する。舌が触れ合い絡み合う瞬間、頭の中に快楽の火花がスパークして脳細胞をダメにしていく。思考が蕩けていく。

かちゃりと音がした。貞操帯が外されていた。 

その音を聞いた次の瞬間には俺はフェルミナートに押し倒されていた。身体の中心が熱い。柔らかいベッド。暖かい。幸せ。

じゅぷっ……

フェルミナートに食べられた。そう認識した時、先ず最初に身体を置き去りにして脳が絶頂した。自身の意識と精神に関係なく、圧倒的最上位の快楽と最大級の幸福に塗れた脳汁を垂れ流しながら脳味噌を犯していく。そして脳が絶頂した事に気づいた身体が絶頂する。俺の命が女神の胎に注がれていく。

どくっ……どくどくどく毒どくどく毒毒どくどくどくどく毒どくどくどく毒どくどくどくどくどく毒どくどくどく毒どくどく毒毒どくどくどくどく毒どくどくどく毒どくどくどくどくどく毒どくどくどくどく毒どくどく毒どくどくどく

『あぁ。愛おしい。私の奴隷。私だけの奴隷。』

致死量を遥かに越えた幸福の毒が身体を精神を心を脳を毒侵しにしていく。

フェルミナートが白知のようにうめき声を上げる奴隷を抱き締める。女神が憐れな奴隷を抱いて、俺はその胸に顔を埋めながら意識を手放した。

あれからもうずっとずっと繋がっている。この世界は女神と奴隷だけの終束した世界だ。白い世界。

望めば全てを与えられる。女神様の口から口移しで与えられるドロドロの果実は蛆虫を美味しく食べられる奴隷には極上のご馳走。

皮膚が張り付く凍て付いた石の上でも安眠を手に出来る奴隷にはベッドはまるで天上の至福。

目を開けると女神様の優しい笑顔が。彼女から与えられる快楽はまるで麻薬のよう。

女神様が与えたもうたのは思いつく限りの理不尽と暴力と最上の不幸でした。

それはかつて女神様も体験した事でしょう。

ですから無窮の不幸に到達した2人は最上に幸せで、ずっとずっと笑って。時の止まった世界で永久に永久に世界が終わっても2人はとても、とても幸せに暮らしました。

めでたしめでたし。






その様子をワーウルフの憲兵の2人が震えながら見ていた。

彼女達の目の前にあるのは立方体の人口水晶で、その中には結界が展開されている。

無限空間であるパンデモニウムの空間の一部を呼び出す召喚術式を展開。特別な結界を施した水晶の中に刑執行官が個人世界を造り、対象をその世界に封印する『箱庭の刑』。主に凶悪犯の更生を目的とした刑だ。

件の下着を盗み勝負のデートをフイにした受刑者に御立腹のリリムがこの刑を処するように命じたのだ。

権利の乱用である。

最終的に幸せにするなら、ぶっ壊しても構わない……つーかぶっ壊せ!!!

との事だった。何時の世も理不尽は罷り通るのである。

『これは……。いくらなんでも……』

『理解はしていたが……凄いな。』

2人は戦慄していた。

『け、結果的には幸せになったんですし、結果オーライって事で……』

『あ、あぁ、そうだな。』

水晶の前で手を合わせる彼女達の背中は諦めと哀愁が漂っていた。

22/05/02 01:22更新 / francois

■作者メッセージ
ひやっはーーー!!俺は書きたいモノを書いてやったぜーー!!!
……あ、お読みいただきありがとうございます。
カオスですね。はい。有害ですみません。ですが反省はしていません。
何故こんな話しになったのかと言いますと、友人との議論ですね。
議題は『世界で1番幸せな人間とは?』です。
私なりの答えは最高不幸下において全ての希望を捨て、ただ神(誰かはお察し下さい)への感謝、心の平穏、幸福を感じる事が出来る人間だと結論しました。
不幸の基準値が絶望の臨界点を超越した時、副次的に臨界点以上においての全ての事象現象、状況が幸福になり得ると言うカオス極まりない答えに辿り着きました。
そんな訳でヤバみが発酵しました。私自身、書いててヤバいと思ったよ。
こんな作品を読んで下さいました優しい方々に感謝!
ハレルヤ!!

ではまた!

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