連載小説
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ジャズ・ナイト・バー 魔法のスティック アルプ
ジャズ・ナイト・バー 

やぁ、今日はいい時に来たね。

不思議そうな顔をしているね?……あぁ、そうか。記者さんは"夜は初めて"だったね。

今日は黄金の日。さぁ、もうすぐ魔法が始まる。こっちに。そこの席に着いてくれ。生憎とシートベルトはないけどね?

3……2……1……

どうだい?凄いだろ?……ふふふ♪その顔を見ればボクは満足さ♪

毎週黄金の日の6時に、1夜の魔法がかかってこの店はキャバレーになるんだよ。

ハーレム・ジャズ・タレント・ナイト♪
(一流ジャズ・メン達の夜の宮殿)
エブリ・ゴールデー♪♪
(毎週黄金の日。ポロリもあるよ)

カランカラン……

やぁ、ルゥ。キミはいつも1番乗りだね。

あぁ、彼?ジパング……じゃなかった。向こうの世界のジャパンと言う国から来た記者さんだ。

ねえ、まだリハーサルまで時間があるんだろ?記者さん、ルゥに話を聞いたらどうだい?彼は超一流のジャズ・メンだ。担当はドラム。きっと面白い話が聞けると思う。……ふふっ♪決まりだね?最初のドリンクはサービスするよ。おすすめのカクテルさ。……ルゥ、もちろん君にも。

あぁ、そうだ。これからルゥに取材と言う事はここの飲み代、経費で落ちるんだろ?……そうか。さぁ、ジャンジャン飲んでくれたまえ♪

ふふふ……♪♪




魔法のスティック




煌めくスポットライトの下で、タキシード姿の少年が一心不乱にドラムを叩いている。共に演奏しているのは歴戦のジャズ・メン達。

少年から生み出されているのは、最も人々の心に興奮を煽るジャングル・ビート。

曲はもう終盤。

心を揺さぶるアド・リブ。

スタンドプレーの始まりだ。

哀愁を醸すサクソフォーン。

魂を叫ぶブラス・セクション。

洗練されたウッド・ベースとピアノ。

そして、燃えるようなドラム。

少年にソロが回ってきた時、全ての楽器が演奏を止め、全ての観客が押し黙った。その場にいた全ての者が固唾を飲んで聴き入っていた。

バスドラム、タムタム、スネア・ドラム、シンバル、その全てを超絶技巧のオンパレード、圧倒的なセンスで操る。余りの激しさに遂にスネア・ドラムから火の手が上がる。

そうして、音楽はクライマックス。少年は炎のドラムを叩き切った。

一瞬の沈黙の後、割れんばかりの大喝采。

少年の元に何人ものセクシー美女が雪崩れ込む。

ズレたメガネを戻しながら、首の右横の美女に目を向ける。見つめ合う2人。

そして……。

『オキロネボスケ!!』

『………へ????』

左の美女に目を向けると………

『ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!』

美人が大口を空けて喉ちんこを激しく振り、ベルのような騒音を撒き散らす。

『オキロネボスケ!!』

『ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!』 




『う、うわぁぁああああああああああ!!!!』

ガッ……ガシャン!!……チーン…………

ベキッ……

『ぁぁぁああああああ………あっ………』

なぁ、人には運命の日ってのがあるだろ?

そう……その日の朝俺は、ベッドから叫び声を上げて飛び起きたんだ。

あ、そうそう。これは俺の話しだろ?今回はこのまま語り部口調でやらせてもらうよ。苦情?そんなもん作者に言ってくれ。

それで、寝ぼけて手に持っていたドラムスティックで目覚まし時計を叩き割った。2回目の悲鳴はその時の。因みにこれで3台目だった。

……そう。夢だ。さっきのは夢。魔法のドラムスティックで観客を湧かせる素晴らしい夢。ハロー、クソッタレの現実。

ん?魔法のドラムスティックを知らない?魔法のドラムスティックってのはそれでパーカッションを叩けばどんな奴でも踊り出す魔法の道具さ。本当にあるかはわからないお伽話の道具さ。

でも俺はいつかそれを使ってジャズ・バンドで売れっ子になるのがこの時の夢だった。……残念ながら寝ながら握りしめてたのは普通のボロいスティックだったけど。

それはさておき、眠い目を擦って壁に掛けてある時計を見て飛び上ったよ。

8:35分。またギリギリだ。親方にどやされる。いつものように歯を磨きながら作業着に着替えて、もろもろカバンに詰め込んで……あ、勿論スティックは忘れない。休憩中に叩けるだろ?それで、死んだ親父に手を合わせたらトースト咥えてダッシュさ。

ん?女の子とバッタリ??あるわけ無いだろそんなの。あいにくと、ここはロボットマンガでも日常系アニメでもない。チンケなノベルの中だ。

えーっと……そうそう。たしか人魔歴1966年だったか。

その時の俺はまだまだ夢みがちな18歳のチンチクリンの青二才で、住んでる所と言うとニューシャテリア・シティのキングス地区。掃き溜めみたいな霧の国系移民のスラム街。仕事は工事現場で土方の真似事さ。

兄弟多くてさぁ……カツカツだったんだよ。でもお袋が頑張ってくれてさ。ハイ・スクールはなんとか卒業出来たんだ。小さい弟や妹達は大学に通えるといい。プロのジャズ・ドラマーになりたいと思ってたけど、その時は夢のまた夢だった。

まぁ、それでも週に一度、金曜日の夜はキャバレーで叩かせてもらってたんだ。いつか、魔法のドラムを叩く事を夢見て。

走って、走って、タイムカードを押したのは8:58分だった。

『アルフォンス・ルゥ!!まーたギリっギリだな!!さぁ、仕事だ仕事!じゃんじゃん稼ぐぞ!ガハハハハ!!』

あ、遅れたけどアルフォンスってのは俺の名前な?アルフォンス・ルゥ。そこんとこよろしく。ルゥ(留)っのは名前っぽいけどファミリーネームだ。霧の国系の名前は短いんだよ。お袋なんかラン・ルゥ(蘭留)だぜ?

親方のベッジさんには世話になってるし、良くしてもらってた。……遅刻したらもれなくゲンコツが付いて来たが。

工事現場での仕事は、ビルの鉄骨のビスを締めたり、高所に資材を運んだり、クレーンに合図出したり色々だ。

そんで、この日も汗だくで午前中の仕事を終えて休憩に入る。サンドイッチで手早く昼食を済ませてドラムの練習をするのが日課で、叩くのは鉄骨やドラム菅や空のペールバケツとかガラクタ。

『おい、またか!?……向こうでやってくれ!ドラムも良いけど、塗装を覚えろ。』

それで向こうで練習すると……

『うるさいぞアル!……そんな事よりクレーンの操縦を覚えな!』

そんでまた向こうに行くと……

『ルゥ!飯の邪魔だ!……まったく!ヘタで食えないドラムより、ハンマー打ちのひとつも上手くなったらどうだ?』

とまぁ、いつもの事だ。歓迎されて無かった。

その日も仕事を終えたら汗だくで、冷たいシャワーを浴びて、でも寝坊したから着替えなんて持ってなくてさ?仕方ないから作業着着直していつものようにそのまま家に帰る筈だった。

俺が住んでた場所は、さっきも言ったけどニューシャテリアのキングス地区。掃き溜めみたいな霧の国系移民のスラム街だ。お世辞にもお上品な所じゃあ無い。

家の5ブロック程手前の路地でヨボヨボの黒人のジーさんがチンピラに絡まれてたんだよ。

チンピラ連中は俺と同じ霧の国系だった。マフィアみたいでさ?まったく何をしでかしたのやら。黙って通り過ぎようとしたら連中、銃なんて物騒なもん出したんだ。

ダダダダ!!!ダダダダダダダダダダダダ!!!!

俺はその時、近くにあったアルミ製のゴミ箱ひっくり返してドラム・スティックでしゃにむに叩きまくったんだ。そしたら奴さん達、マシンガンの音と勘違いしたのかケツまくって逃げてったんだ。

『ブラーヴォ!!ブラーヴォ!!いやー助かったよ。ボーヤは命の恩人だよブラザー!』

連中が遠くに行って戻って来ないのを確認したら、ジーさんが靴を踏み潰した様なくしゃっとした顔で手を叩いて喜んだんだ。

『……必死だっただけ。上手くいって良かったよ……なぁ、ジーさん何やらかしたの?アイツら相当ファンキーな友達だよね?』

今度は苦笑いになってプラプラと手を傾げたんだ。

『まぁ、ちょっとな?……それよりボーヤ、大した腕前だ。』

『まだまだだよ。練習すると皆に向こうでやれ!とか言われるよ。』

『ははっだろうな。』

まったく、褒めてんだか貶してるんだか。

『でもいつか、プロのジャズ・マンになって魔法のドラムスティックを叩くんだ。』

『魔法のドラムスティックだって?……それならウチにあるぞ?』

『本当に!?信じられない!!』

『本当だ。……叩いてみたいか?』

『叩いてみたい!!』

『じゃ、ついて来い。』

それで俺はそのジーさんについて行ったんだ。ジーさんはジョン・ドゥって名乗ったよ。まぁ、偽名だろうな。今でも本名は分からないんだ。名無しのジョンだぜ?

『よっこら……せっ……っと。』

ジョン爺さんは地下鉄のマンホールをガコンと開けるとその中に入ってった。

『おい、来ないのか?来るんだったら、閉めてさっさと来い。』

結局、俺はついて行く事にした。興味本位だけどね。

入り組んだ地下をしばらく進むと開けた所に出て、ちょっとした部屋みたいになっていた。粗末なカーテンを開けると、何処から手に入れたのかプロパンのキッチンにテーブルに椅子が2つ。コートスタンドに姿鏡まであったんだぜ。

それで、その部屋の隅にドラムセットがあって、スネアの上に何でもないように置いてあったんだ。

魔法のドラムスティックが……

『どうだ、凄いだろ?』

『す、凄い!』

綺麗なスティックで、柄には銀の装飾がしてあってさ!俺が持ってたオンボロとは全然違うんだ!後で調べたんだけど、木はドリアードの枝で、柄の銀細工は魔界銀でエルフが拵えたんだってよ。

『ボーヤ、触ってもいいぞ?』

『触っていいの!??』

『同じ事を言うな。なんなら、叩いても良い。』

『叩いていいの!??』

『ボーヤはオウムかなんかか?……いいから、叩け!』

それで叩いたんだけど、ジョン爺さんは腕を組んだまま踊り出さない。

すると彼は笑いながらこう言った。

『ボーヤ、魔法のドラムスティックは初心者には扱えないんだよ。……使えるようになりたいか?』

『使えるようになるの?』

『おお!そうとも。使えるようになるさ。ボーヤはスジが良い。……練習するか?』

『毎日練習します!!』

『オーケー!ボーヤ、使い方を教えてやる!』

それでその日からジョン爺さんのジャズ・レッスンが始まったのさ。仕事が終わったら真っ直ぐにジョン爺さんの所に直行したんだ。あと時々酒を持って行くと上機嫌になる。

どんなレッスンだったか?……そうだな?

『サンキュー、なぁボーヤ。ジャズのリズムは心で刻むんだ。ボーヤの8ビートはただ一定だ。もっと強弱をつけろ。』

『はい先生!』

『先生はやめろ。ジョン爺さんで良い。』

とか……

『ボーヤはスネアとバスドラムしか叩けないのか?スタンドシンバルに、タムタムドラムもある。それに、ブラシにマレットもある。もっと変化を付けろ。』

とか……

『ひっく……。スウィングの起源を知ってるか?酔いどれの千鳥脚だ。ボーヤも飲んでみるか?』

とかなんとか酒を飲まされたり

『スウィングにジャズ・ワルツにジャングル・ビートに……一流なら全て叩け。アドリブもアレンジも大歓迎だ。どうやるかだって?……そんなもん自分の心で感じろ。心臓付いてんだろ??ほれ、もう一回。』

とか、こんな感じだ。

いい加減で、文句ばっかだったけど不思議と上手くなっていったよ。なんでかね?

でもある日地下に行くとジョン爺さんは居なくなってた。荷物も殆ど全部なくなってて、ボロいテーブルの上に置き手紙と一緒にあのドラムスティックが置いてあった。




" 卒業だ。ボーヤ。"




手紙には一言それだけ書かれてあったんだ。

それで、その日は木曜日の夕方で、次の日は久しぶりにキャバレーに行って叩かせてもらったんだ。

『久しぶり、マダム・ポットヘッド。』

『やぁ、ルゥ。久しぶり。今まで何処に居たんだい?ちなみに、ミス。ミス・ポットヘッド。悲しいかなまだ独身さ。』

先代オーナーのポットヘッドさんが出迎えてくれたよ。なんでもその日は、大切なお客様が居るってんで、頑張れって言ってたよ。

この日のメンバーはサックスにクラリネット、トロンボーン2本、それからピアノと歌と俺だ。

それで、久しぶりにセッションをやったんだ。

……やってビックリしたよ。前叩いていた世界とは別の世界なんだ。

音楽で会話するってのかな?

リズムが見えるんだよ。サックスの動きとか、トロンボーンのアドリブとかクラリネットが次にどんな風に吹くのかとか、歌手の癖とか間ってやつとかさ。あるだろ?そう言うの。あと、ピアノのハーモニーとか手に取るようにわかるんだ。どうやれば彼らが喜ぶのかとか、彼らをケシかけるにはどうすりゃ良いとか。

その日の客は……治安の悪いシャテリアの下町らしく、スーツのイカつい兄ちゃん姐ちゃんしか居なかったけど、みんな踊ってたよ。

『ブラーヴォ!君のドラム、凄く良いね。』

声をかけて来たのは身なりの良いチンチクリンのガキだった。生意気にもスーツなんて着てどこのボンボンかと思ったさ。そしたらオーナーが飛んで来て、丁寧に話し始めたんだ。

マフィアのボスのミケーレさんだって言うんだから驚いたよ。

ミケーレさんに言われてベガシのカジノで叩く事になったんだ。工事現場の仕事も家族の生活も彼は何も心配要らないって言って、すげぇ額出したんだよ。

すぐにベガシのカジノので働いたんだ。

酒に、女にギャンブル。キラキラ……いやギラギラしてたね。

ショーガールのショーで演奏した時、サキュバスの女の子達がウィンクしてさ?そりゃあ、すげぇ所に来たなって思ったよ。

そこで働き始めて3ヶ月が経った時に、事件が起きた。マフィアの御一行サマが押し掛けて来たんだ。

そいつらお邪魔しますの一言も省略して、いきなり天井に向かってマシンガン撃ちやがってよ?

当然周りは騒然。皆逃げ出そうとパニックさ。ショーガールの可愛い子ちゃん達も怯えていたよ。あろう事か、クソ共は可愛い子ちゃんのひとりを殴ろうとしやがった。

ダダダダダダダダ!シャン!ドムドム!シャンシャンダダッダダッ!ドム!ドッシャーーーン!!……ダダッダッ、ダッ、ダダッ、シャン……♪♪♪

そん時さ。何でか分んないんだけど、手が動いたんだ。奴さん達は呆気に取られてアホヅラ晒してた。

リズムを刻むと、最初はピアノから。次にウッドベース、サックス、クラリネット、トランペットにトロンボーンが演奏を始めたんだ。

俺は腹を括ったよ。……正直チビリそうだった。

気づけば逃げ出したと思っていた照明スタッフも正常に仕事していたよ。

俺は煌めくスポットライトの下で、タキシード姿で一心不乱にドラムを叩いていた。運命を共に演奏しているのは歴戦のジャズ・メン達。一生一代の文字通り命懸けのステージさ。

俺のドラムから生み出されているのは、最も人々の心に興奮を煽るジャングル・ビート。

俺たちが作るのは最高のザ・ミュージックだ。

気づけば曲はもう終盤で。

心を揺さぶるアド・リブ。

スタンドプレーの始まりだ。

哀愁を醸すサクソフォーン。

魂を叫ぶブラス・セクション。

洗練されたウッド・ベースとピアノ。

最後に俺にソロが回ってきた時、全ての楽器が演奏を止め、全ての観客が押し黙った。目を向けるとその場にいた全ての者が固唾を飲んで聴き入っていたよ。

バスドラム、タムタム、スネア・ドラム、スタンド・シンバル、その全てをジョン爺さんに言われように心で操った。余りの激しさに遂にスネア・ドラムから火の手が上がったんだ。

そうして、音楽はクライマックス。

皆踊っていた。飛び跳ねてさ。

そん時に思ったよ。





魔法のドラムスティックは俺の手そのものなんだって。





俺は炎のドラムを叩き切った。

一瞬の沈黙の後、割れんばかりの大喝采。雨のように降ってきたんだ。

客の所を良く見ると、黒服のお兄さん達が押し掛けてきたチンピラ共を袋詰めして運んでるのが見えた。

それを見た直後、ショーガールの可愛い子ちゃん達が雪崩れ込んで来たんだよ。今度は夢なんかじゃない。俺にウインクを飛ばして来たサキュバス達だ。

もみくちゃにされてさ?顔中キスマークだらけさ。

すると、カツンカツンと誰かの足音が聞こえてきて、それが近づくと可愛い子ちゃん達は急に俺を舐め回すのを止めて立ち上がって頭を下げたんだ。

ゆっくり立ち上がって、ズレたメガネを戻すと原因が分かった。

黒いフェルトハットを手に持ち、品の良い黒いコート、白いマフラー。下にはストラップのブラックスーツ、赤ネクタイを身につけた少年が居たんだ。両側に黒い服のオークを侍らせて。

『ミスター・ルゥ。素晴らしい演奏だった。……君を雇って本当に良かったよ。君は今日、その魔法の手と鋼の心臓でカジノの被害を最小にしてくれた。僕、ミケーレ・コンスタンチ・ジュノヴェーゼとその家族(ファミーリャ)はアルフォンス・ルゥとその仲間の演奏者達に最大限の感謝と敬意を払おう。ありがとう。』

『い、いえ!!』

『さて、ルゥ。君への特別ボーナスだけど……。その4人は君を気に入っているようだし、その4人を自由にする権利と、別途現金を支給しよう。詳しくは僕の馴染みの弁護士から連絡がある。……ついでに婚姻届と結婚式もサービスしよう。』

そう言うと、彼はカッコよく去って行ったんだ。

『ダーリン♪』

後ろを振り返るとミケーレさんが去ったのを確認した4人が目の色を変えていた。どピンクに。それで俺を担いで、すごい速さでベッドルームに連行したんだ。

ベッドルームに入るや否や、ジタバタする俺を1人が抑えてあとの3人が身体をまさぐりながら服を剥いでいったよ。

いきなり唇を奪われて、無理やり舌を絡めて来た。情熱的で乱暴なファーストキスだった。

『もう我慢出来ないっ!!』

って俺の唇を無理くり奪った娘が服も脱がないままショーツを破り捨てて、いつの間にかギンギンになっていた俺のモノを咥え込んだ。

『ぁあ♪ダーリン!アタシ、ジェーン!これからヨロシクネ♪♪』

『あ!ずる〜い!』

『ねね!次、ワタシワタシ♪』

そんな事を両サイドから言われたけど、全然頭に入ってこない。

ジェーンの中は凶悪で、容赦ないんだ。上に乗られて、めちゃくちゃに腰を振りやがる。

『うわぁ……えぐっっ……♪♪』

肉をぶつけ合う湿った音がドラムロールみたいになって、あっという間にイカされたよ。出した時、ジェーンはヨダレを垂らしながら白目むいててさ。そんなジェーンを可愛い子ちゃんのひとりが優しくどかしたとたん、残りのふたりのうちのひとりが俺のを口に放り込んで、もうひとりが口に吸い付いて来やがった。

『あぐっ…??むっう??』

口に何か流し込まれてさ。そしたら、アレがギンギンになったんだよ。

『ほら、コレでまたいっぱいデキルね??』

そしたら、俺のをしゃぶっていた娘が跨って今度は下のお口に放り込んだんだよ。上に乗ったまま、痙攣してさ?多分入れた瞬間にイったんだ。

『あはっ♪……わたしはローラ♪助けてくれてありがと♪大好きダヨ♪♪』

俺にしなだれかかって、耳元で囁いた。ローラはキスが好きみたいで、彼女の中も舐めしゃぶるような感じてさ。そのまま腰を振らずに繋がったまま絞られたよ。トロトロに蕩けた顔が可愛かった。

2人相手にしても全然治らなくて、痛いくらいにギンギンでさ?そしたら、3人目がケツを向けてた。

『ダーリン♪』

俺は黙って彼女の誘われるがまま彼女の中にねじ込んだんだ。

『あ♪か、固ぃぃい♪……アタシ、カミラ♪♪ダーリン!もっと激しくシテっ♪♪』

カミラはマゾの気があるらしくて、俺の乱暴な腰使いでも感じてくれてるみたいだった。

良い形のシリをつい叩きたくなってさ?

パチン!

『ひうっ!?!?……はれ?』

パチン!!

『ひゃうっ♪♪』

叩いたらものすごい締め付けるんだよ。それで、コンガの要領で叩きながら動いたら獣みたいな声をあげて鳴いたんだ。

『ぉ"っお"ぉ"いぎゅっ"!い"ぎゅぅ"ぅ"う"うー!!』

少し赤く腫れたケツを突き出してカミラはイッたんだ。魔物娘の本気の絶頂に敵う訳ないだろ?細い腰を掴んで、しがみつくようにカミラの中に出しちまったさ。

そこまでヤッたとこで、身体が思うように動かなくなっちまったんだ。

無理もないさ。ドーピングしたとは言えそん時はまだインキュバスになってなかったんだ。あんなハードなステージの後、これまたハードな3連戦だ。正直グロッキーだったね。だけどアッチだけはギンギンだ。

『皆んなから魔力をもらい過ぎたね?全部出さないと大変。だからホラ……ボクの所においで。』

そん時は意識が朦朧としてて、まるで誘蛾灯に誘われる羽虫みたいにフラフラと4人目の可愛い子ちゃんの所に行ったんだ。

『ふふふ……慌てない♪慌てない♪ゆっくり楽しみましょう?』

『う"ぅぅ"ぁ"あっ……』

入れた瞬間、自分でもよくわからない呻き声が出た。この娘の中はまるで沼みたいで、ひたすらに柔らかくて熱かった。人を駄目にする名器って多分ああいうのを言うんだと思うよ。

『いらっしゃい、旦那様♪もっとくっついて?もっと溺れて?』

腰に足を回されて、手が背中から引き寄せて来るんだ。ギチギチで隙間の無いように抱きしめられてさ。

『ん♪いい子いい子♪……はいぎゅっ……ぱっ……ぎゅーっ……ぱっ……』

ただ抱きしめているだけなのに中がぐちゃぐちゃと動き出したんだ。もうこの時点でとっくに限界でさ?耐えられる訳ないだろ?あっという間にコーナーに追い詰められたよ。

『出そう?出るの?出す時チャーリーって呼んで!チャーリーって呼んで♪』

『チャーリー……ち、チャーリーっ!!』

名前を呼んだ瞬間に、チャーリーの中が豹変して暴力的……いや、殺人的な快楽を与えてきた。俺は中にぶちまけたよ。壊れた蛇口みたいに。

『あっ♪暴れないのっっ♪♪気持ち良すぎてもっ……逃げずに……全部出して♪♪』

チャーリーは子供をあやすように俺の頭を押さえて、もがく俺を優しくがっちり捕まえたんだ。俺にしてみりゃたまったもんじゃないよ。底無し沼にハマった気分だ。もしくは食虫植物に捕まった羽虫の気分を味わったよ。

『全部出したね?えらいえらい♪……じゃあ、おやすみなさい♪』

そのまま意識がプッツリいったよ。さすがにね。その夜最後に見たのはジェーン、ローラ、カミラ、チャーリーの満足そうな色魔の笑顔だ。

その後、諸々忙しかったよ。

まず結婚の手続きが必要で、重婚するにゃ堕落神教会に入らないといけなかった。そしたらそこの神父がよ?神父とシスター達が見てる前で4人とヤらなきゃ結婚認めねーとかぬかしやがる。

ヤッたよ。ヤッたさ!あぁ!ヤッてヤッたぜ!!

それで、弁護士のパーカーさんってサキュバスから諸々の書類の手続きやってもらってさ?いろいろ助かったよ。

それから暫くして、ミケーレさんは約束通りあの夜に演奏した俺を含めてメンバー全員にすげー額の金が振り込まれたんだ。通帳見て目ん玉が飛びでたよ。

それから、あの4人。ミケーレさんの経営する男娼館の元男娼だったんだって聞いた時はひっくり返った。働いているうちに女に……アルプになっちまったらしい。昔の写真を見せて貰ったけど、男なのにすげー美人だったよ。……この話、アイツらには内緒な?干物になるまで搾られちまうよ……。

ミケーレさんのとこはそう言うアルプになっちまった子をベガシのショーガールにしたり、その子達が所属してるタレント事務所とかで働かせたりしていたらしい。今でも、ミケーレさんはその男娼館は手放して無いらしいんだ。

このカフェ・バー『グッド・ラック』にもミケーレさんすげー金を落としてるんだ。俺の雇い主でもあるしねぇ。

ん?

ジョン爺さんは何者かって?結局、何処行ったんだって?

俺が聞きたいよ。世の中には分からない事が沢山ある。彼はそのひとつだ。

ただ、今でも何処かで酔っ払いながら音楽して、俺と同じような夢見るバカに音楽教えてる。そう思うよ。





さて……そろそろリハーサルだ。




良い夜を……記者さん。


22/04/09 22:55更新 / francois
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■作者メッセージ
久しぶりの更新です。

ある日、男の子が魔法使い(メンター)に出会って冒険の果てに運命を切り開く……みたいなお決まりの話しを現代風にアレンジしてみましたがいかがでしょうか?

ついでにハーレムもやってみたかったのは内緒。

また書きますのでよろしくお願いします。

ではでは U・x・Uつ

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