第5章 夜明け
第5章 夜明け
勝った。クラーヴェ帝国はもう堕ちたも同然だ。我々魔物娘はほぼ全ての公的機関の制圧に成功した。
クーデターを成功させるには、まず軍や国のシステムを統制する機関を速やかに、手段を問わずに制圧する事にある。
元老院議会室を後にしたボク達は魔方陣による召喚術を駆使して陸軍本部や帝国議会堂を始め、国直営の機関を次々と堕としていった。
情報伝達もままならないまま、静かにこの国は変わっていく。
大多数の国民は今国が落とされてる事にすら気付いていないだろう。
あとは周りを固められて四面楚歌にある皇帝を始めとする国を動かす老人達に無理やりにでも親魔物国化を認めさせればいい。その辺りの外交的な事はカルミナお姉様に任せよう。彼女ならきっと上手くやってくれる。
そして今、軍隊の兵舎を侵略中であり、ここがボクの最終目的地であり、最後に取っておいた最終目標が、例えるならショートケーキのイチゴが居るのだ。今正に必死にもがいている最中だろう♪
歩けばすぐ横の物陰では若い男性職員がサキュバスに襲われている。
柱の陰ではラミアと初老の男が睦み合っていた。妻に先立たれたやもめさんだろうか?お幸せに♪
トイレの洗面台では蒸せ返るほどの陰気に当てられた女性職員がレッサーサキュバスとなって、意中であろう若い男性職員を裸に剥いている真っ最中だ。いいぞ、いいぞ♪もっとやれ♪
簡易礼拝室ではシスターとダークプリーストがレズプレイ中で、その横で祭司が男根をいきり立たせた状態でイスに縛り付けられていた。
参謀室では下士官の男性とデビルが組んず解れつ交わっていた。
父親に会いに来たと思われる男の子はリザードマンとサラマンダーに2人がかりで貪られていた。
皆、思い思いに快楽を求め、睦み合い、愛し合っていた。これが有るべき姿、これぞまさに幸福だろう。
みなさまご馳走さまです。お腹いっぱいです。
(ハンナ・エーデルバッハから魔物娘各部隊へ。制圧した施設を閉鎖、情報を統制、封鎖せよ。完了次第、施設内での自由行動を許可します。みんな楽しんでね♪)
(((((やった〜❤❤❤)))))
通信魔法の魔力周波数が歓喜で乱れたのか、ノイズに混じって水音やら喘ぎ声が聴こえる。みんな上手くやった様だ★
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くそ!!何がどうなっているんだ?此方の行動を全て把握してると言わんばかりに的確な位置に敵が配置されている。まるで誰かの手の平でおどらされてる様だ。
同行していたフランツ中尉は作戦行動中にいなくなった...いや、煙のように忽然と姿を消してしまった。館内廊下の角でしゃがみ、安全を確認した時、振り向いたら消えていた。そこには彼のライフルが残されているだけだった。
誰かが辿り着き、俺の命令を待っている事を信じて、1人身を隠しながら練兵場倉庫までのルートを行く。そんなに離れてはいない筈だが、今はひどく遠くに感じる。手元には残弾1発のライフルと士官用の拳銃、腰に差したサーベルが1本。
そんな状況になったのはかれこれ1時間ほど前に遡る。俺、フレデリック・リヒターはその時、陸軍練兵場兵舎にてフランツ少尉から大隊の訓練終了の報告を受けていた。
コンコンコンコン...ガチャリ...
『リヒター少佐。…少佐?』
『ああ…悪い、フランツ中尉か...なんだ?』
『訓練終了です。』
『そうか...わかった。撤収作業終了次第、本部に定時連絡の電報を。後は明朝の点呼まで自由行動とする。隊のみんなに伝えてくれ。ご苦労だったな』
『了解しました。...少佐、最近少し根を詰め過ぎてませんか?無理しないで下さい。...古い仲間もだいぶ減って…行方不明のエーデルバッハ中佐の事も...』
俺は拳をぎゅっと握りしめたまま、下士官に応える。
『…あれは戦争だったんだ、仲間の事は仕方ないさ。それに、あそこで勝たなければもっと被害が出たんだ。俺たちがそんな顔してたら散って行った仲間に申し訳がたたない。...俺は大丈夫だ。』
俺は自らにも言い聞かせるように、言った。
『そうですよね!...すみません、変なこと言って。少佐、失礼します!』
フランツは敬礼して去って言った。明るくていい奴だ。俺は窓の外を見て、曇り空を眺める。ああ言ったは良いが俺自身の心の整理がつかない。まるでこの曇り空の様に、霞みがかったままだ。
あの時、俺の手でヨハンを殺した。あいつは戦争の中で、快楽を感じている様だった。俺はそんなあいつに嫌悪感を露わにし軽蔑した事もあった。あいつもそんな自分を嫌っていた。そうなるきっかけを作ったのは他ならぬ俺だ。俺が士官学校に入りさえしなければこうはならなかっただろう。誰よりも優しく、誰よりも繊細なあいつを変えてしまった。
1つ確実に言える事があるとすればあの時ヨハンを撃たなかったなら、あいつは人の形をした何かになっていた。もう戻れない所に足を踏み入れている。俺はそれに目を背け続けていた。ただ、ヨハンは自分自身の事を1番わかっていた。死んでラクになりたかったのかもしれない。だから、あいつは俺に...
『あれで良かったんだ…』
自分に言い聞かせるようにつぶやいた。ライフルの引き金があんなに重いと感じた事は無い。血は繋がってなくてもヨハンは大切な弟なんだ。その弟を...俺は...
バタン!!
いきなり背後で大きな音がした。反射的に腰のリボルバーを構えるとそこには、血相を変えたフランツが立っていた。
『はぁ.....何事だフランツ中尉!』
『大変です!敵が侵入しました!!』
『!!...状況は!!?』
『何処からともなく魔物が現れ、連絡室を制圧されました。私が危ない所にコリンズ曹長が助けに入って...私は急ぎ知らせに』
『フランツ、直ちに緊急無線を使用。第1戦闘配備と大隊の各部隊に伝えろ。練兵場倉庫に集結。臨時司令室を設置。クラーク大佐に援軍を要請。帝国陸軍本部にもだ!急げ!』
『了解!』
フランツは兵舎に常備してある大きなジュラルミンケースに入った携帯式緊急無線を取り出して通信作業をはじめる。その間にライフルとピストルの弾を確認する。まずは戦闘態勢を整えなければならない。ここ司令室から練兵場倉庫まではそこまで離れていないが、敵の進入を許してしまった以上、安全に移動出来ない。そしてフランツの報告から伝令室のある管制塔は占領されているはずだ。俺は練兵場倉庫までのルートを考える。
『少佐、ダメです!どこも応答しません!』
『なんだと!?...仕方ない、災害用の緊急放送を使え!!』
『しかし、敵に此方の動きが筒抜になります!』
『命令を伝えられないよりはマシだ!俺がやる。お前は脱出準備をしろ!終わったらすぐ行くぞ!!』
『ッ...!…了解…』
壁に設置されたガラスの小窓をガシャン!!と叩き割り中のレバーを下げ受話器を取る。
ジリリリリリリリリリ!!!!!!
『私はリヒター少佐だ。各隊、第1戦闘配備、各隊、第1戦闘配備!現在、この館は魔物による襲撃を受けている。敵数、所属共に不明!練兵場倉庫に武装集結せよ!集結完了まで極力戦闘を避け、単独で行動するな!小隊規模での行動を徹底しろ!以上!!』
ガチャン!!
『行くぞ!!』
放送が終わり、倉庫に向かい俺たちは駈け出した。
その有り様がこの今の状況だ。外部の状況が分からないが、フランツが行なった通信無線、第1師団はともかく陸軍本部にも繋がらないとなると大規模なクーデターの可能性がある。しかも、完全に軍内部の者だ。襲撃のタイミングと敵の配置が良すぎる。おそらく、帝都の主要な機関は落ちている、若しくは機能していないだろう。
俺は身を隠し、鼠のように這いずり回り、何とか練兵場倉庫へと辿りついた。
ギイィィ...
重い扉を開ける。外の明かりから僅かに見える光景は常軌を逸していた。...人と魔物が獣の様に交わっていた。どれもこれも知った顔ばかりだ...
その中には下半身が蜘蛛の魔物、アラクネに四肢を抑えられながら犯されているフランツの姿があった。
『フランツ!!…くそっ!!』
呆気に取られている俺の耳に魔物達の声が聞こえてくる
『ふふふふ...いい男♪』
『あっ、本当だ〜』
『きゃははは♪』
『クスクス...美味しそう☆』
すると
カツン
カツン
カツン
カツン
カツン
足音が聞こえてくる。だんだんとそれが近づくにつれて、首から冷たい汗が背中に蔦ってくるのがわかる。
『やぁ、フレデリック大尉。いや、今は少佐かなぁ?』
背後からの聞き覚えのある声に、俺は思わず振り向いた。全ての思考が一瞬止まった。
『.......ヨハン...?』
俺がそういうと、ヨハンは何時もの様にクスクスと笑う。
『ただいま、フレデリック兄さん』
『ヨハンなのか!?...そんな...嘘だ!ありえない...あの時、確かに..俺が...!』
認めたくないが、今現実に目の前に居るのは確かにヨハンだ。顔も、声も、仕草も笑い方も全て俺の知ってるヨハンだ。然し、直感が告げている。目の前に居るのはヨハンだけどヨハンじゃない。様々な思考と、様々な感情がないまぜになる。
ただ、ヨハンがこの場に居るという事は、何らかの形で今回の一件に関わっている可能性がある。
『あの時はありがとう...。約束を守ってくれて。でも、お兄ちゃんがちゃんと殺してくれなかったから死にぞこなっちゃった...だから、責任取ってね...❤』
ヨハンの金の瞳が妖しく光ったその瞬間に、強烈な目眩と眠気が襲ってきた。どうやら催眠魔法らしい。
身体が言うことを聞かない。ガクンと世界が傾く
幻だろうか?意識が闇に融ける瞬間、ヨハンが本物の悪魔に見えた。
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んちゅ❤…ちゅ……んぁ❤…ずちゅ…んちゅ❤
ん?......気持ちいい…俺は…いったい...
!?
『ん?...気がついた❤』
眼を開けるとヨハンが俺の股間を咥えこんでいた。
『おい!ヨハン!!お前、何やって...ッ!』
手首と足首をロープで拘束されて、全裸でベッドに寝かされている。
『無駄だよ?お兄さんは逃げられないし、逃がさないよぉ?』
『何!?どういうことだ?…それに、此処は何処だ?さっきの魔物達はいったい...うっ…』
俺の頭の中は ? で埋め尽くされている。
ヨハンは俺の股間を扱きながら上目遣いで喋りだした。
『ふふ…ボクとしては、今そう言うの抜きに楽しみたいんだけど...いいよ♪お兄さんの為に教えてあげる★』
ヨハンが俺のモノに触れる度に信じられないような快感が頭の中を走る。口を魚のようにパクパクさせて目を白黒させることしか出来ない。
『ちゅ❤…まず、此処はボクの秘密の場所。特別にフレデリック兄さんを連れて来たんだぁ♪それから、練兵場兵舎を襲撃したのはボクだよ。ついでに言うと、軍本部を襲ったのもボク。他にも通信局や警察本部に帝国議会堂に聖クラーヴェ主神大聖堂...他にもいっぱい。ぜーんぶ、ボク達魔物でやったんだよ♪』
『クーデターじゃないか!?何の為に…うぅっ…やめっ…』
『ビクビクして可愛い❤...1番の理由はフレデリック兄さんをボクのモノに、ボクをフレデリック兄さんのモノにする為だよ♪』
『なっ…男同士だろ!?そんなのおかし...あ、ぐっ…やめっ...』
『あぁー…苦しそうだから1回スッキリしよっか★』
ヨハンの目が光る。なんとも言えない恐怖心が頭の中を這い回るも、抵抗出来ない。
『んぁ…』 パクっ…
『あぁぁぁぁぁぁー!!!!』
びゅるるるるるるるるる
ヨハンが咥え込んだ瞬間に何かが弾けるように、精液を吐き出した。1人でする時とは比べ物にならないくらいの精液の量、時間の長さ、性的な快楽が俺を襲った。
『ヨ…ハ…ン…』
意識を失いそうになりながら、こうなった原因を作った張本人に眼を向けてみれば、俺の男根を喉奥まで頬張ったまま小刻みに痙攣するヨハンの姿があった。
『ぷはっ♪…なに…これぇ❤フェラでぇ……逝っちゃったぁ❤』
ヨハンは快楽に震える身体を抑えるように顔の両側に手を当て、恍惚とした凶悪な笑顔で微笑んでいた。
美しい…
そう思った。そして次の瞬間、血は繋がっていないが、自身の大切な弟に対して自分がそういった性的な願望を持っていたということを自覚して嫌悪した。冷静になった頭が恨めしい。
『ヨハン...どうしてだ?俺たちは兄弟なのに...』
『もう、兄弟じゃないよ。』
『!?...そうか……』
『あぁ、違う違う!そんな悲しい顔しないでよ。そういえば、まだ言って無かったね。』
『…?』
『…むかーしむかし、ある所に軍隊を指揮する小さな指揮官がいました。小さな指揮官は戦争大好き病で、来る日も来る日も戦に明け暮れました。小さな指揮官はそんな自分自身が大嫌いでした。ある時、自分の中の悪魔を恐れた小さな指揮官は自分の部下に自分を鉄砲で撃つように頼みました。部下はその通りにして小さな指揮官の胸を打ちました。…っとここまでが僕とお兄ちゃんのお話。でも続きがあるんだ』
『?』
『瀕死の小さな指揮官を魔物が見つけて、助け出しました。魔物の国で手当を受けて寝ている小さな指揮官に白い悪魔が会いにきました。小さな指揮官は白い悪魔に自分を殺してくれと頼みましたが、白い悪魔は小さな指揮官を悪魔に変えてしまいました♪』
ヨハンは軍服を脱ぐと小さく呪文を唱える。すると角や真っ黒な翼や尻尾が生えた。白目の部分が真っ黒に染まり、月の様な金色の瞳を爛々と輝かせて俺を見る。
『ボク、女の子になっちゃった❤』
『なっ!!?』
目を丸くして、言葉を失うことしか出来ない。あるはずのモノはなくなっていて、代わりに可愛らしいスリットが引かれている。肩や腰は丸みを帯び、控えめな胸があり、丁度成長過程の女子のような...いや、少年と少女の間のような危うい美しさを備えたそれは、雄とか雌とかを超越した美しい生き物のようだ。
『人間が魔物になる時、通常男の人はインキュバスっていうのになるらしいけど、男の子が好きな人や、女の子になりたい人はアルプっていう魔物娘になるんだって♪今のボクはヨハンじゃない。ハンナだょ❤』
『どういうことだ?…』
『鈍なぁ、お兄ちゃん。ずっとずっと...男の子だった頃から好き...。孤児院で1人だったボクに手を差し伸べてくれた時から。お兄ちゃんの手を握っていると心が落ち着いた。ぎゅっとしてくれた時幸せだった。軍隊で上官に犯された時も...たぶんお兄ちゃんの事を考えてた。』
ヨハン...ハンナは真っ直ぐと俺を見ていた。
『魔物娘になって、女の子になって、フレデリック兄さんと結ばれる身体になって初めて思ったんだ...生きてて良かったって!!でもね?お兄ちゃんと幸せになるにはこの国が邪魔なんだ。ずっとずっと戦争を続けているこの国が...!!今までずっと当たり前だと思っていたことが、許せなくなったんだぁ。だって、この国には愛がないから...』
『だから、クーデターを起こしたのか?』
『そうだよ。もうほぼ成功したんだ。あとは、魔物娘に囲まれて四面楚歌になった皇帝達が魔王と友好を結んで魔物娘を受け入れれば万々歳だ』
『そんな...俺たちの守ろうとしたものが無くなるのか!主神教国も黙ってないぞ?また戦争が起きる...護らなきゃいけない国の人達がまた苦しむことになるかもしれない!』
『…お兄ちゃん、その護るべき人間達が何したか知ってる?』
『なに…?』
『フレデリック兄さんは何であの時援軍が来なかったか知ってる?』
心なしか、ハンナが悲しそうな目をした。
『あの時から薄々感づいていたんだけど、此処に来る前に軍本部を制圧したんだ。その時に元帥のおじいちゃん達にお話を聞いたんだ…。ボク達の大隊はボクの思った通り捨て駒だったんだ。元々援軍を送るはずないんだ。ボク達が負けて皆殺しにされた後にランドル軍は鉱山を占領するでしょ?その後でランドルに奪われた鉱山を主聖軍とクラーヴェの連合軍で奪い返す予定だったんだ。』
俺が今の今まで信じて守ろうとして来たものがガラガラと崩れていく。
『ボクとボクの大隊は、クラーヴェが教会側の要望すなわち、ランドルへの介入の手助けをする見返りとして、鉱山の利権独占と教会からの安全保障をもらう為の生贄だったんだよ。』
『そん…な……』
『ボクはボクを殺そうとした人達を許せなかったんだ。だって、ボクを殺して良いのはフレデリック兄さんだけだから...。もうお兄ちゃんが護ろうとしたものはないんだよ?その人達もお兄ちゃんは要らないって...だから、もう辛い思いをしなくていいんだよ?お兄ちゃんにはボクがいるんだよ?例え世界中の人がお兄ちゃんの敵になってもボクはお兄ちゃんの見方だよ…』
ハンナは包み込むように覆い被さり、俺の腹の上に乗る。吸い込まれそうな白黒目に浮かぶ月のような金色の瞳を涙で濡らしながら。
『ヨハ…ハンナ…。俺は…』
正直、どうしていいかわからない。
『ボクはフレデリック兄さんが欲しい。欲しくて堪らない…だから、お兄ちゃんをレイプするね…』
ハンナは自らの秘部を俺のそそり立つ男根に当てがった。すでにその小さな割れ目は愛液でグチャグチャに濡れていて、火のように熱い。触れ合うだけで気がおかしくなりそうな快感が走る。
『待ってくれ…正気に
『正気だよ。…いや、もともと壊れてるのかも…可笑しいよね?お兄ちゃんにとってはボクは弟でしかないのに…ボクはお兄ちゃんと1つになりたいと思ってる。愛してる。だから、これはボクの我儘。しょうがないんだよ?全部ボクのせい…フレデリック兄さんは悪くないんだよ?
だから…
一緒に堕ちよう?』
ずっ...ブチン!!
『『ーーーーーーーーッ!!!!!』』
びゅるるるるるるるるるるるる!!!!
何の躊躇も無く勢いよく腰を下ろした。その瞬間、爆弾が破裂する様な快楽の爆発に襲われた。こんなものに耐えられる筈がない。俺はハンナの中に盛大に己の欲望をぶちまけてしまった。
一方ハンナは大きく仰け反りピクピクと痙攣をしていた。
『かっ…ひゅ……は…あ…ぁ…あぁ❤❤❤❤❤❤』
ハンナが声にならない嬌声とも悲鳴にも似た声を上げる。
彼…いや、彼女は仰け反らせていた身体を起こしした。
『フレデリック兄さん…いきなり中出しなんてヒドイよ…❤意識が飛びそうになっちゃった♪』
中に入る瞬間に盛大に何かを突き破った感じがあったのは気のせいでないらしく、結合部からは一筋の赤い血が垂れていた。
『お前…血が…!?』
『ふふふ♪優しいねフレデリック兄さん❤縛られて、抵抗も出来なくされて犯されてるのに...。大丈夫だよ…ちょっと痛かったけど、とってもキモチイイよ❤嬉しいんだ…お兄ちゃんに初めてをあげられて♪今からボクはお兄ちゃんのオチンチンで逝き続けるよ❤❤❤』
ハンナは淫らに微笑みながら、そう告げた。
パチュン
パチュン
パチュン
彼女が腰を動かす度に、水音が響く。キツかった膣は今や纏わりつくように、陰湿なまでに快楽を探求している。人間の女では有り得ない、快楽を貪るように特化して出来ているそれは、ぴったりと、型取りをしたかのようにお互いの形を認識しているようだ。
『すごい、すごい、すごい、すごい!!!ボクの身体が全部っ…ああ❤…んぃ…ぁは❤お兄ちゃんのモノになっちゃった♪♪』
『ああ!…うぐ、…っああ!!』
『全部っ!全部受けとめるからぁ!!…あぁ❤…お兄ちゃんはぁ!…えんりょしないでぇ…ボクの中に…出し続けてぇ❤❤❤』
『で…で、る!!ぐぁぁぁ!!!』
びゅる、びゅくびゅくびゅくびゅく!!!
射精は一向に衰えないどころか、快楽と共にますます出る量が増えている様な気がする。
『あぁ❤…あぁ美味しいぃぃ❤❤お腹がタポタポ…♪さいこぉだよぉ、フレデリック兄さん❤』
パチン!
ハンナが指を鳴らした。すると、俺を縛っていたロープが解ける。
ズルン…とハンナは中に収まっていたぺニスを引き抜いた。ゴプリと音を立てて収まり切らなかった精子が溢れる。
『ん…もったいない♪』
するとハンナはベッドの上で脚を開き此方を誘うような視線を送る。
『もう自由だよ?逃げてもいいよ...でも…』
クチュ…
ハンナは自らの秘部を指で押し開けると淫らに蕩けた顔で微笑んだ
『お兄ちゃんはどうしたい?』
俺は…
ズッ...
『『ぁぁぁぁぁぁああああああああ❤❤❤❤❤❤❤』』
俺は目の前の雌に自分の分身を一気に突き入れた。
『はぁー❤はぁー❤』
『ふー!!ふー!!』
見つめ合い、無理やり抱き寄せ腰を打ち付ける。それでも、ハンナは感じているらしく、蕩け切っただらしない表情と一突き事に噴き出る愛液がそれを物語っていた。
『あっ❤あっ❤あっ❤好き!大好き!!愛してる!!お兄ちゃん!!フレデリック兄さぁぁあん!!!』
『ハンナ!ハンナっ!!』
むちゅ❤ん…ふっ❤ちゅぱ❤くちゃくちゃは❤
んんんん…❤❤❤❤
何処からと唇を重ね合う。甘い感覚と快楽が心を満たし続ける。中毒性があるとしか思えない程に依存していくような感覚に僅かな恐怖があるが、もう後には引けない。俺とハンナは引き返せないところに2人で脚を踏み入れた。
ハンナを抱きすくめて、彼女の胸に顔を埋めると、今の今まで気付かなかったが、胸に銃傷が付いていた。
『あぁ、これ?フレデリック兄さんが撃ってくれた時の傷だよ。もっと綺麗に治るらしいけど残したんだ。ふふふ♪キスマークみたいでしょ♪』
ドロリとした絡みつく様な愛情が、俺の独占欲を満たす。
『絶対に❤消えない❤キスマークっ…あぁっ!激しぃ…』
激しく腰を打ち付ける。艶かしい喘ぎ声と皮膚と皮膚とが奏でる拍手の様な音が鳴り続ける。一心不乱に腰を振り、快楽を貪る。ハンナを感じ続ける。何度も何度もハンナの中に欲望を注ぎこんだ。
『ハンナぁ!!愛してる!!愛してる!!!あぁぁぁぁぁぁー!!!!』
ドクドクと溢れる様に出る何度目かわからない絶頂。愛しい彼女は底無しの愛で受け止める。
『嬉しい…その言葉を待ってた…ずっとずっと…❤』
体はとうに限界を迎えていて、瞼が重く感じる。気怠さに身を任せてハンナを抱き締めたまま、沼のような心地よい微睡みえと落ちて行く。彼女は脚を絡ませて俺を更に奥に導くと耳元で囁くように言った。
『もう離さないよ。ずっとずっとずっとずっとずっとずーーーっと一緒だよ♪フレデリック兄さん❤だから安心してね♪』
そして、2人の心臓の音だけがこの部屋の全てになった。
。
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花火が空へと打ち上がり、お祭りムード真っ最中だ。魔物娘と人が手を取り合っている。
ボク達魔物娘が来て、この国は変わった。革命は密かに、そして速やかに行われて、ボクとお兄ちゃんが結ばれた日の翌日には皇帝と首相がカルミナお姉様と会談を行い、翌週には条約を結び、親魔物国化を宣言した。
一滴の血も流さなかったボク達の革命は後の世に無血革命と呼ばれた。
フレデリック兄さんはボクとのセックスで1発でインキュバスになったらしく、ボクとおなじ白黒目になった。カッコイイ♪ボクはというと、アルプは普通、パートナーが出来て暫くすると胸やお尻が大きくなってより女らしくなるらしいけど、あまり変わらない。少女と少年の丁度真ん中くらいの感じだ。まぁ、元から女っぽい容姿だったけど…カルミナお姉様によると、人間の時にかかっていた持病のハイランダー症候群と、フレデリック兄さんが男の子であったボクの面影を強く望んでいるのが原因らしい。
フレデリック兄さん曰く、『多分、俺もヨハンだったお前に対して性的な欲望を持っていたのが原因…じゃないか?』とのこと。
それを言われた時、顔から火が出そうだった。そのあと、ドロドロになるまでお互いを貪り合ったのは言うまでもない。
元帥のおじいちゃん達元老院の皆んなは魔物化して(無理やり)若返った奥様方に鉄の処女ごとプレゼントされた。今ではすっかり昔の姿を取り戻し、立派なインキュバスとなっている。
ただ、准将さんは(やっぱり)独り身だったらしく、カルミナ国の上層部のお姉さん達が准将さんの処遇をどうしようと悩んでいる間に、鉄の処女の中身の触手が魔力を溜め込みすぎてテンタクルになっていたらしく、後ほど中で15〜6歳まで若返った准将さんとグチャグチャに睦み合ってるのを発見されたそうな。
大隊の皆んなは、あの時の襲撃で全員伴侶を見つけた(強制的に)みたいで陸軍基地や兵舎は局地的な魔界と化している。フランツ中尉は退役してアラクネの奥さんと一緒に軍服を作っている。
皆んなそれぞれ形は違うけど、幸せになったようだ。
そして
『ハンナ・エーデルバッハから各隊へ!第1戦闘配備。魔界銀弾装填!魔界銀銃剣装着!魔力砲準備!独身部隊へ告ぐ、お婿さんお持ち帰り準備!!』
‘‘うおおおおおおおおおおおお!!!!!”
ボクは戦場にいる。魔王軍の将兵として隣接する反魔物国へと侵略をしている。使っている武器は勿論、全て魔界銀製で戦闘不能にはするけど、殺傷能力を持たない武器だ。皆んな士気が高い。敵軍さん達がかわいそう。
人間は戦争をする。
土地のため
食べ物のため
お金のため
資源のため
主義主張や体制のため
宗教や神様のため
愚かな何でも理由にして、戦争を始めてしまう。
…でも愛があれば争わないで良いかも知れない。皆んなが僕たちと同じように愛し合うことが、睦み合うことが出来れば幸せになれると思う。ボクたちと同じになれば皆んな幸せだ。だからボクは戦場にいる。世界中の人を魔物やインキュバスにする為に。それはきっときっと素晴らしいから。
ボクはいつもの様に笑う
『少将、カルミナ国魔王軍第13師団、各大隊配備完了です。』
フレデリック兄さんだ。今はインキュバスで構成された大隊を指揮している。ボクが暴走しないか心配で追いかけてくれた。またボクの右腕として働いてくれている。ボクの良き夫で、飛び切り優秀なボクの部下だ。ボクだけの…
『フレデリック中佐!砲兵部隊を指揮して敵軍(お婿さん達)の脚を止めよう。独身部隊の霜払いだ♪』
『了解!』
何時もの様にフレデリック兄さんは敬礼して去って行った。カッコイイ❤後で思いっきり可愛がって貰おう❤
さあ、開戦のラッパが鳴る。
夜明けと共に。
もう一度戦おう。
幸福の為に。
end
勝った。クラーヴェ帝国はもう堕ちたも同然だ。我々魔物娘はほぼ全ての公的機関の制圧に成功した。
クーデターを成功させるには、まず軍や国のシステムを統制する機関を速やかに、手段を問わずに制圧する事にある。
元老院議会室を後にしたボク達は魔方陣による召喚術を駆使して陸軍本部や帝国議会堂を始め、国直営の機関を次々と堕としていった。
情報伝達もままならないまま、静かにこの国は変わっていく。
大多数の国民は今国が落とされてる事にすら気付いていないだろう。
あとは周りを固められて四面楚歌にある皇帝を始めとする国を動かす老人達に無理やりにでも親魔物国化を認めさせればいい。その辺りの外交的な事はカルミナお姉様に任せよう。彼女ならきっと上手くやってくれる。
そして今、軍隊の兵舎を侵略中であり、ここがボクの最終目的地であり、最後に取っておいた最終目標が、例えるならショートケーキのイチゴが居るのだ。今正に必死にもがいている最中だろう♪
歩けばすぐ横の物陰では若い男性職員がサキュバスに襲われている。
柱の陰ではラミアと初老の男が睦み合っていた。妻に先立たれたやもめさんだろうか?お幸せに♪
トイレの洗面台では蒸せ返るほどの陰気に当てられた女性職員がレッサーサキュバスとなって、意中であろう若い男性職員を裸に剥いている真っ最中だ。いいぞ、いいぞ♪もっとやれ♪
簡易礼拝室ではシスターとダークプリーストがレズプレイ中で、その横で祭司が男根をいきり立たせた状態でイスに縛り付けられていた。
参謀室では下士官の男性とデビルが組んず解れつ交わっていた。
父親に会いに来たと思われる男の子はリザードマンとサラマンダーに2人がかりで貪られていた。
皆、思い思いに快楽を求め、睦み合い、愛し合っていた。これが有るべき姿、これぞまさに幸福だろう。
みなさまご馳走さまです。お腹いっぱいです。
(ハンナ・エーデルバッハから魔物娘各部隊へ。制圧した施設を閉鎖、情報を統制、封鎖せよ。完了次第、施設内での自由行動を許可します。みんな楽しんでね♪)
(((((やった〜❤❤❤)))))
通信魔法の魔力周波数が歓喜で乱れたのか、ノイズに混じって水音やら喘ぎ声が聴こえる。みんな上手くやった様だ★
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くそ!!何がどうなっているんだ?此方の行動を全て把握してると言わんばかりに的確な位置に敵が配置されている。まるで誰かの手の平でおどらされてる様だ。
同行していたフランツ中尉は作戦行動中にいなくなった...いや、煙のように忽然と姿を消してしまった。館内廊下の角でしゃがみ、安全を確認した時、振り向いたら消えていた。そこには彼のライフルが残されているだけだった。
誰かが辿り着き、俺の命令を待っている事を信じて、1人身を隠しながら練兵場倉庫までのルートを行く。そんなに離れてはいない筈だが、今はひどく遠くに感じる。手元には残弾1発のライフルと士官用の拳銃、腰に差したサーベルが1本。
そんな状況になったのはかれこれ1時間ほど前に遡る。俺、フレデリック・リヒターはその時、陸軍練兵場兵舎にてフランツ少尉から大隊の訓練終了の報告を受けていた。
コンコンコンコン...ガチャリ...
『リヒター少佐。…少佐?』
『ああ…悪い、フランツ中尉か...なんだ?』
『訓練終了です。』
『そうか...わかった。撤収作業終了次第、本部に定時連絡の電報を。後は明朝の点呼まで自由行動とする。隊のみんなに伝えてくれ。ご苦労だったな』
『了解しました。...少佐、最近少し根を詰め過ぎてませんか?無理しないで下さい。...古い仲間もだいぶ減って…行方不明のエーデルバッハ中佐の事も...』
俺は拳をぎゅっと握りしめたまま、下士官に応える。
『…あれは戦争だったんだ、仲間の事は仕方ないさ。それに、あそこで勝たなければもっと被害が出たんだ。俺たちがそんな顔してたら散って行った仲間に申し訳がたたない。...俺は大丈夫だ。』
俺は自らにも言い聞かせるように、言った。
『そうですよね!...すみません、変なこと言って。少佐、失礼します!』
フランツは敬礼して去って言った。明るくていい奴だ。俺は窓の外を見て、曇り空を眺める。ああ言ったは良いが俺自身の心の整理がつかない。まるでこの曇り空の様に、霞みがかったままだ。
あの時、俺の手でヨハンを殺した。あいつは戦争の中で、快楽を感じている様だった。俺はそんなあいつに嫌悪感を露わにし軽蔑した事もあった。あいつもそんな自分を嫌っていた。そうなるきっかけを作ったのは他ならぬ俺だ。俺が士官学校に入りさえしなければこうはならなかっただろう。誰よりも優しく、誰よりも繊細なあいつを変えてしまった。
1つ確実に言える事があるとすればあの時ヨハンを撃たなかったなら、あいつは人の形をした何かになっていた。もう戻れない所に足を踏み入れている。俺はそれに目を背け続けていた。ただ、ヨハンは自分自身の事を1番わかっていた。死んでラクになりたかったのかもしれない。だから、あいつは俺に...
『あれで良かったんだ…』
自分に言い聞かせるようにつぶやいた。ライフルの引き金があんなに重いと感じた事は無い。血は繋がってなくてもヨハンは大切な弟なんだ。その弟を...俺は...
バタン!!
いきなり背後で大きな音がした。反射的に腰のリボルバーを構えるとそこには、血相を変えたフランツが立っていた。
『はぁ.....何事だフランツ中尉!』
『大変です!敵が侵入しました!!』
『!!...状況は!!?』
『何処からともなく魔物が現れ、連絡室を制圧されました。私が危ない所にコリンズ曹長が助けに入って...私は急ぎ知らせに』
『フランツ、直ちに緊急無線を使用。第1戦闘配備と大隊の各部隊に伝えろ。練兵場倉庫に集結。臨時司令室を設置。クラーク大佐に援軍を要請。帝国陸軍本部にもだ!急げ!』
『了解!』
フランツは兵舎に常備してある大きなジュラルミンケースに入った携帯式緊急無線を取り出して通信作業をはじめる。その間にライフルとピストルの弾を確認する。まずは戦闘態勢を整えなければならない。ここ司令室から練兵場倉庫まではそこまで離れていないが、敵の進入を許してしまった以上、安全に移動出来ない。そしてフランツの報告から伝令室のある管制塔は占領されているはずだ。俺は練兵場倉庫までのルートを考える。
『少佐、ダメです!どこも応答しません!』
『なんだと!?...仕方ない、災害用の緊急放送を使え!!』
『しかし、敵に此方の動きが筒抜になります!』
『命令を伝えられないよりはマシだ!俺がやる。お前は脱出準備をしろ!終わったらすぐ行くぞ!!』
『ッ...!…了解…』
壁に設置されたガラスの小窓をガシャン!!と叩き割り中のレバーを下げ受話器を取る。
ジリリリリリリリリリ!!!!!!
『私はリヒター少佐だ。各隊、第1戦闘配備、各隊、第1戦闘配備!現在、この館は魔物による襲撃を受けている。敵数、所属共に不明!練兵場倉庫に武装集結せよ!集結完了まで極力戦闘を避け、単独で行動するな!小隊規模での行動を徹底しろ!以上!!』
ガチャン!!
『行くぞ!!』
放送が終わり、倉庫に向かい俺たちは駈け出した。
その有り様がこの今の状況だ。外部の状況が分からないが、フランツが行なった通信無線、第1師団はともかく陸軍本部にも繋がらないとなると大規模なクーデターの可能性がある。しかも、完全に軍内部の者だ。襲撃のタイミングと敵の配置が良すぎる。おそらく、帝都の主要な機関は落ちている、若しくは機能していないだろう。
俺は身を隠し、鼠のように這いずり回り、何とか練兵場倉庫へと辿りついた。
ギイィィ...
重い扉を開ける。外の明かりから僅かに見える光景は常軌を逸していた。...人と魔物が獣の様に交わっていた。どれもこれも知った顔ばかりだ...
その中には下半身が蜘蛛の魔物、アラクネに四肢を抑えられながら犯されているフランツの姿があった。
『フランツ!!…くそっ!!』
呆気に取られている俺の耳に魔物達の声が聞こえてくる
『ふふふふ...いい男♪』
『あっ、本当だ〜』
『きゃははは♪』
『クスクス...美味しそう☆』
すると
カツン
カツン
カツン
カツン
カツン
足音が聞こえてくる。だんだんとそれが近づくにつれて、首から冷たい汗が背中に蔦ってくるのがわかる。
『やぁ、フレデリック大尉。いや、今は少佐かなぁ?』
背後からの聞き覚えのある声に、俺は思わず振り向いた。全ての思考が一瞬止まった。
『.......ヨハン...?』
俺がそういうと、ヨハンは何時もの様にクスクスと笑う。
『ただいま、フレデリック兄さん』
『ヨハンなのか!?...そんな...嘘だ!ありえない...あの時、確かに..俺が...!』
認めたくないが、今現実に目の前に居るのは確かにヨハンだ。顔も、声も、仕草も笑い方も全て俺の知ってるヨハンだ。然し、直感が告げている。目の前に居るのはヨハンだけどヨハンじゃない。様々な思考と、様々な感情がないまぜになる。
ただ、ヨハンがこの場に居るという事は、何らかの形で今回の一件に関わっている可能性がある。
『あの時はありがとう...。約束を守ってくれて。でも、お兄ちゃんがちゃんと殺してくれなかったから死にぞこなっちゃった...だから、責任取ってね...❤』
ヨハンの金の瞳が妖しく光ったその瞬間に、強烈な目眩と眠気が襲ってきた。どうやら催眠魔法らしい。
身体が言うことを聞かない。ガクンと世界が傾く
幻だろうか?意識が闇に融ける瞬間、ヨハンが本物の悪魔に見えた。
。
。
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んちゅ❤…ちゅ……んぁ❤…ずちゅ…んちゅ❤
ん?......気持ちいい…俺は…いったい...
!?
『ん?...気がついた❤』
眼を開けるとヨハンが俺の股間を咥えこんでいた。
『おい!ヨハン!!お前、何やって...ッ!』
手首と足首をロープで拘束されて、全裸でベッドに寝かされている。
『無駄だよ?お兄さんは逃げられないし、逃がさないよぉ?』
『何!?どういうことだ?…それに、此処は何処だ?さっきの魔物達はいったい...うっ…』
俺の頭の中は ? で埋め尽くされている。
ヨハンは俺の股間を扱きながら上目遣いで喋りだした。
『ふふ…ボクとしては、今そう言うの抜きに楽しみたいんだけど...いいよ♪お兄さんの為に教えてあげる★』
ヨハンが俺のモノに触れる度に信じられないような快感が頭の中を走る。口を魚のようにパクパクさせて目を白黒させることしか出来ない。
『ちゅ❤…まず、此処はボクの秘密の場所。特別にフレデリック兄さんを連れて来たんだぁ♪それから、練兵場兵舎を襲撃したのはボクだよ。ついでに言うと、軍本部を襲ったのもボク。他にも通信局や警察本部に帝国議会堂に聖クラーヴェ主神大聖堂...他にもいっぱい。ぜーんぶ、ボク達魔物でやったんだよ♪』
『クーデターじゃないか!?何の為に…うぅっ…やめっ…』
『ビクビクして可愛い❤...1番の理由はフレデリック兄さんをボクのモノに、ボクをフレデリック兄さんのモノにする為だよ♪』
『なっ…男同士だろ!?そんなのおかし...あ、ぐっ…やめっ...』
『あぁー…苦しそうだから1回スッキリしよっか★』
ヨハンの目が光る。なんとも言えない恐怖心が頭の中を這い回るも、抵抗出来ない。
『んぁ…』 パクっ…
『あぁぁぁぁぁぁー!!!!』
びゅるるるるるるるるる
ヨハンが咥え込んだ瞬間に何かが弾けるように、精液を吐き出した。1人でする時とは比べ物にならないくらいの精液の量、時間の長さ、性的な快楽が俺を襲った。
『ヨ…ハ…ン…』
意識を失いそうになりながら、こうなった原因を作った張本人に眼を向けてみれば、俺の男根を喉奥まで頬張ったまま小刻みに痙攣するヨハンの姿があった。
『ぷはっ♪…なに…これぇ❤フェラでぇ……逝っちゃったぁ❤』
ヨハンは快楽に震える身体を抑えるように顔の両側に手を当て、恍惚とした凶悪な笑顔で微笑んでいた。
美しい…
そう思った。そして次の瞬間、血は繋がっていないが、自身の大切な弟に対して自分がそういった性的な願望を持っていたということを自覚して嫌悪した。冷静になった頭が恨めしい。
『ヨハン...どうしてだ?俺たちは兄弟なのに...』
『もう、兄弟じゃないよ。』
『!?...そうか……』
『あぁ、違う違う!そんな悲しい顔しないでよ。そういえば、まだ言って無かったね。』
『…?』
『…むかーしむかし、ある所に軍隊を指揮する小さな指揮官がいました。小さな指揮官は戦争大好き病で、来る日も来る日も戦に明け暮れました。小さな指揮官はそんな自分自身が大嫌いでした。ある時、自分の中の悪魔を恐れた小さな指揮官は自分の部下に自分を鉄砲で撃つように頼みました。部下はその通りにして小さな指揮官の胸を打ちました。…っとここまでが僕とお兄ちゃんのお話。でも続きがあるんだ』
『?』
『瀕死の小さな指揮官を魔物が見つけて、助け出しました。魔物の国で手当を受けて寝ている小さな指揮官に白い悪魔が会いにきました。小さな指揮官は白い悪魔に自分を殺してくれと頼みましたが、白い悪魔は小さな指揮官を悪魔に変えてしまいました♪』
ヨハンは軍服を脱ぐと小さく呪文を唱える。すると角や真っ黒な翼や尻尾が生えた。白目の部分が真っ黒に染まり、月の様な金色の瞳を爛々と輝かせて俺を見る。
『ボク、女の子になっちゃった❤』
『なっ!!?』
目を丸くして、言葉を失うことしか出来ない。あるはずのモノはなくなっていて、代わりに可愛らしいスリットが引かれている。肩や腰は丸みを帯び、控えめな胸があり、丁度成長過程の女子のような...いや、少年と少女の間のような危うい美しさを備えたそれは、雄とか雌とかを超越した美しい生き物のようだ。
『人間が魔物になる時、通常男の人はインキュバスっていうのになるらしいけど、男の子が好きな人や、女の子になりたい人はアルプっていう魔物娘になるんだって♪今のボクはヨハンじゃない。ハンナだょ❤』
『どういうことだ?…』
『鈍なぁ、お兄ちゃん。ずっとずっと...男の子だった頃から好き...。孤児院で1人だったボクに手を差し伸べてくれた時から。お兄ちゃんの手を握っていると心が落ち着いた。ぎゅっとしてくれた時幸せだった。軍隊で上官に犯された時も...たぶんお兄ちゃんの事を考えてた。』
ヨハン...ハンナは真っ直ぐと俺を見ていた。
『魔物娘になって、女の子になって、フレデリック兄さんと結ばれる身体になって初めて思ったんだ...生きてて良かったって!!でもね?お兄ちゃんと幸せになるにはこの国が邪魔なんだ。ずっとずっと戦争を続けているこの国が...!!今までずっと当たり前だと思っていたことが、許せなくなったんだぁ。だって、この国には愛がないから...』
『だから、クーデターを起こしたのか?』
『そうだよ。もうほぼ成功したんだ。あとは、魔物娘に囲まれて四面楚歌になった皇帝達が魔王と友好を結んで魔物娘を受け入れれば万々歳だ』
『そんな...俺たちの守ろうとしたものが無くなるのか!主神教国も黙ってないぞ?また戦争が起きる...護らなきゃいけない国の人達がまた苦しむことになるかもしれない!』
『…お兄ちゃん、その護るべき人間達が何したか知ってる?』
『なに…?』
『フレデリック兄さんは何であの時援軍が来なかったか知ってる?』
心なしか、ハンナが悲しそうな目をした。
『あの時から薄々感づいていたんだけど、此処に来る前に軍本部を制圧したんだ。その時に元帥のおじいちゃん達にお話を聞いたんだ…。ボク達の大隊はボクの思った通り捨て駒だったんだ。元々援軍を送るはずないんだ。ボク達が負けて皆殺しにされた後にランドル軍は鉱山を占領するでしょ?その後でランドルに奪われた鉱山を主聖軍とクラーヴェの連合軍で奪い返す予定だったんだ。』
俺が今の今まで信じて守ろうとして来たものがガラガラと崩れていく。
『ボクとボクの大隊は、クラーヴェが教会側の要望すなわち、ランドルへの介入の手助けをする見返りとして、鉱山の利権独占と教会からの安全保障をもらう為の生贄だったんだよ。』
『そん…な……』
『ボクはボクを殺そうとした人達を許せなかったんだ。だって、ボクを殺して良いのはフレデリック兄さんだけだから...。もうお兄ちゃんが護ろうとしたものはないんだよ?その人達もお兄ちゃんは要らないって...だから、もう辛い思いをしなくていいんだよ?お兄ちゃんにはボクがいるんだよ?例え世界中の人がお兄ちゃんの敵になってもボクはお兄ちゃんの見方だよ…』
ハンナは包み込むように覆い被さり、俺の腹の上に乗る。吸い込まれそうな白黒目に浮かぶ月のような金色の瞳を涙で濡らしながら。
『ヨハ…ハンナ…。俺は…』
正直、どうしていいかわからない。
『ボクはフレデリック兄さんが欲しい。欲しくて堪らない…だから、お兄ちゃんをレイプするね…』
ハンナは自らの秘部を俺のそそり立つ男根に当てがった。すでにその小さな割れ目は愛液でグチャグチャに濡れていて、火のように熱い。触れ合うだけで気がおかしくなりそうな快感が走る。
『待ってくれ…正気に
『正気だよ。…いや、もともと壊れてるのかも…可笑しいよね?お兄ちゃんにとってはボクは弟でしかないのに…ボクはお兄ちゃんと1つになりたいと思ってる。愛してる。だから、これはボクの我儘。しょうがないんだよ?全部ボクのせい…フレデリック兄さんは悪くないんだよ?
だから…
一緒に堕ちよう?』
ずっ...ブチン!!
『『ーーーーーーーーッ!!!!!』』
びゅるるるるるるるるるるるる!!!!
何の躊躇も無く勢いよく腰を下ろした。その瞬間、爆弾が破裂する様な快楽の爆発に襲われた。こんなものに耐えられる筈がない。俺はハンナの中に盛大に己の欲望をぶちまけてしまった。
一方ハンナは大きく仰け反りピクピクと痙攣をしていた。
『かっ…ひゅ……は…あ…ぁ…あぁ❤❤❤❤❤❤』
ハンナが声にならない嬌声とも悲鳴にも似た声を上げる。
彼…いや、彼女は仰け反らせていた身体を起こしした。
『フレデリック兄さん…いきなり中出しなんてヒドイよ…❤意識が飛びそうになっちゃった♪』
中に入る瞬間に盛大に何かを突き破った感じがあったのは気のせいでないらしく、結合部からは一筋の赤い血が垂れていた。
『お前…血が…!?』
『ふふふ♪優しいねフレデリック兄さん❤縛られて、抵抗も出来なくされて犯されてるのに...。大丈夫だよ…ちょっと痛かったけど、とってもキモチイイよ❤嬉しいんだ…お兄ちゃんに初めてをあげられて♪今からボクはお兄ちゃんのオチンチンで逝き続けるよ❤❤❤』
ハンナは淫らに微笑みながら、そう告げた。
パチュン
パチュン
パチュン
彼女が腰を動かす度に、水音が響く。キツかった膣は今や纏わりつくように、陰湿なまでに快楽を探求している。人間の女では有り得ない、快楽を貪るように特化して出来ているそれは、ぴったりと、型取りをしたかのようにお互いの形を認識しているようだ。
『すごい、すごい、すごい、すごい!!!ボクの身体が全部っ…ああ❤…んぃ…ぁは❤お兄ちゃんのモノになっちゃった♪♪』
『ああ!…うぐ、…っああ!!』
『全部っ!全部受けとめるからぁ!!…あぁ❤…お兄ちゃんはぁ!…えんりょしないでぇ…ボクの中に…出し続けてぇ❤❤❤』
『で…で、る!!ぐぁぁぁ!!!』
びゅる、びゅくびゅくびゅくびゅく!!!
射精は一向に衰えないどころか、快楽と共にますます出る量が増えている様な気がする。
『あぁ❤…あぁ美味しいぃぃ❤❤お腹がタポタポ…♪さいこぉだよぉ、フレデリック兄さん❤』
パチン!
ハンナが指を鳴らした。すると、俺を縛っていたロープが解ける。
ズルン…とハンナは中に収まっていたぺニスを引き抜いた。ゴプリと音を立てて収まり切らなかった精子が溢れる。
『ん…もったいない♪』
するとハンナはベッドの上で脚を開き此方を誘うような視線を送る。
『もう自由だよ?逃げてもいいよ...でも…』
クチュ…
ハンナは自らの秘部を指で押し開けると淫らに蕩けた顔で微笑んだ
『お兄ちゃんはどうしたい?』
俺は…
ズッ...
『『ぁぁぁぁぁぁああああああああ❤❤❤❤❤❤❤』』
俺は目の前の雌に自分の分身を一気に突き入れた。
『はぁー❤はぁー❤』
『ふー!!ふー!!』
見つめ合い、無理やり抱き寄せ腰を打ち付ける。それでも、ハンナは感じているらしく、蕩け切っただらしない表情と一突き事に噴き出る愛液がそれを物語っていた。
『あっ❤あっ❤あっ❤好き!大好き!!愛してる!!お兄ちゃん!!フレデリック兄さぁぁあん!!!』
『ハンナ!ハンナっ!!』
むちゅ❤ん…ふっ❤ちゅぱ❤くちゃくちゃは❤
んんんん…❤❤❤❤
何処からと唇を重ね合う。甘い感覚と快楽が心を満たし続ける。中毒性があるとしか思えない程に依存していくような感覚に僅かな恐怖があるが、もう後には引けない。俺とハンナは引き返せないところに2人で脚を踏み入れた。
ハンナを抱きすくめて、彼女の胸に顔を埋めると、今の今まで気付かなかったが、胸に銃傷が付いていた。
『あぁ、これ?フレデリック兄さんが撃ってくれた時の傷だよ。もっと綺麗に治るらしいけど残したんだ。ふふふ♪キスマークみたいでしょ♪』
ドロリとした絡みつく様な愛情が、俺の独占欲を満たす。
『絶対に❤消えない❤キスマークっ…あぁっ!激しぃ…』
激しく腰を打ち付ける。艶かしい喘ぎ声と皮膚と皮膚とが奏でる拍手の様な音が鳴り続ける。一心不乱に腰を振り、快楽を貪る。ハンナを感じ続ける。何度も何度もハンナの中に欲望を注ぎこんだ。
『ハンナぁ!!愛してる!!愛してる!!!あぁぁぁぁぁぁー!!!!』
ドクドクと溢れる様に出る何度目かわからない絶頂。愛しい彼女は底無しの愛で受け止める。
『嬉しい…その言葉を待ってた…ずっとずっと…❤』
体はとうに限界を迎えていて、瞼が重く感じる。気怠さに身を任せてハンナを抱き締めたまま、沼のような心地よい微睡みえと落ちて行く。彼女は脚を絡ませて俺を更に奥に導くと耳元で囁くように言った。
『もう離さないよ。ずっとずっとずっとずっとずっとずーーーっと一緒だよ♪フレデリック兄さん❤だから安心してね♪』
そして、2人の心臓の音だけがこの部屋の全てになった。
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花火が空へと打ち上がり、お祭りムード真っ最中だ。魔物娘と人が手を取り合っている。
ボク達魔物娘が来て、この国は変わった。革命は密かに、そして速やかに行われて、ボクとお兄ちゃんが結ばれた日の翌日には皇帝と首相がカルミナお姉様と会談を行い、翌週には条約を結び、親魔物国化を宣言した。
一滴の血も流さなかったボク達の革命は後の世に無血革命と呼ばれた。
フレデリック兄さんはボクとのセックスで1発でインキュバスになったらしく、ボクとおなじ白黒目になった。カッコイイ♪ボクはというと、アルプは普通、パートナーが出来て暫くすると胸やお尻が大きくなってより女らしくなるらしいけど、あまり変わらない。少女と少年の丁度真ん中くらいの感じだ。まぁ、元から女っぽい容姿だったけど…カルミナお姉様によると、人間の時にかかっていた持病のハイランダー症候群と、フレデリック兄さんが男の子であったボクの面影を強く望んでいるのが原因らしい。
フレデリック兄さん曰く、『多分、俺もヨハンだったお前に対して性的な欲望を持っていたのが原因…じゃないか?』とのこと。
それを言われた時、顔から火が出そうだった。そのあと、ドロドロになるまでお互いを貪り合ったのは言うまでもない。
元帥のおじいちゃん達元老院の皆んなは魔物化して(無理やり)若返った奥様方に鉄の処女ごとプレゼントされた。今ではすっかり昔の姿を取り戻し、立派なインキュバスとなっている。
ただ、准将さんは(やっぱり)独り身だったらしく、カルミナ国の上層部のお姉さん達が准将さんの処遇をどうしようと悩んでいる間に、鉄の処女の中身の触手が魔力を溜め込みすぎてテンタクルになっていたらしく、後ほど中で15〜6歳まで若返った准将さんとグチャグチャに睦み合ってるのを発見されたそうな。
大隊の皆んなは、あの時の襲撃で全員伴侶を見つけた(強制的に)みたいで陸軍基地や兵舎は局地的な魔界と化している。フランツ中尉は退役してアラクネの奥さんと一緒に軍服を作っている。
皆んなそれぞれ形は違うけど、幸せになったようだ。
そして
『ハンナ・エーデルバッハから各隊へ!第1戦闘配備。魔界銀弾装填!魔界銀銃剣装着!魔力砲準備!独身部隊へ告ぐ、お婿さんお持ち帰り準備!!』
‘‘うおおおおおおおおおおおお!!!!!”
ボクは戦場にいる。魔王軍の将兵として隣接する反魔物国へと侵略をしている。使っている武器は勿論、全て魔界銀製で戦闘不能にはするけど、殺傷能力を持たない武器だ。皆んな士気が高い。敵軍さん達がかわいそう。
人間は戦争をする。
土地のため
食べ物のため
お金のため
資源のため
主義主張や体制のため
宗教や神様のため
愚かな何でも理由にして、戦争を始めてしまう。
…でも愛があれば争わないで良いかも知れない。皆んなが僕たちと同じように愛し合うことが、睦み合うことが出来れば幸せになれると思う。ボクたちと同じになれば皆んな幸せだ。だからボクは戦場にいる。世界中の人を魔物やインキュバスにする為に。それはきっときっと素晴らしいから。
ボクはいつもの様に笑う
『少将、カルミナ国魔王軍第13師団、各大隊配備完了です。』
フレデリック兄さんだ。今はインキュバスで構成された大隊を指揮している。ボクが暴走しないか心配で追いかけてくれた。またボクの右腕として働いてくれている。ボクの良き夫で、飛び切り優秀なボクの部下だ。ボクだけの…
『フレデリック中佐!砲兵部隊を指揮して敵軍(お婿さん達)の脚を止めよう。独身部隊の霜払いだ♪』
『了解!』
何時もの様にフレデリック兄さんは敬礼して去って行った。カッコイイ❤後で思いっきり可愛がって貰おう❤
さあ、開戦のラッパが鳴る。
夜明けと共に。
もう一度戦おう。
幸福の為に。
end
16/09/30 23:38更新 / francois
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