第3章 堕ちた心 後編
「おはようございます佑人さん。そろそろ起きましょう。」
「…ぅん。」
有妃の優しい声に起こされ俺は目を覚ました。目の前には微笑みを浮かべた有妃がマグカップを持っている。
「おはよう有妃ちゃん…。」
「はい。昨日はご苦労様です。どうぞ。これ飲んでください。」
ホルスタウロスミルクにアルラウネの蜜、その他魔界特産の栄養価の高い果物をブレンドした有妃特製のドリンクを手渡してくれた。
当然と言うか普段は、ホルスタウロスの「母乳」とアルラウネの「体液」である事から俺がこれを飲むことには良い顔をしないのだが、交わる前後の栄養補給と言う事ではむしろ積極的に飲むことを進めてくる。
その結果、結局は毎日のようにこれら「母乳」と「体液」を飲む事になっているのだが、両方とも魔界の名産品と言っても過言ではないくらいの美味なので大歓迎だ。
寝起きと言う事もあり、甘く優しい味わいのドリンクを飲みながら俺はしばらくぼうっとしていたが、ふと気が付いた。
「あれ、今日は何曜日?もしかしてもう月曜…」
一瞬俺は焦る。金曜日の夜に送別会から帰って来た後、ずっと交わり続けていた為、今が何曜日か全く見当がつかなかったのだ。
「安心してください。まだ日曜の昼前ですから大丈夫ですよ。でも、明日は仕事ですよね。もう起きないと今日の夜眠れなくなっちゃうと思いまして。」
動揺した俺を落ち着かせるように、有妃は両肩を優しくぽんぽんと叩いた。
「そっか。ありがとう有妃ちゃん。それじゃあ土曜日は一昼夜ずっとやりっぱなしだったって事か…」
先日の記憶が徐々に戻ってくる。俺が気絶するまで風呂場で有妃を犯し続けた後、寝室に戻ってからも交わりつづけ、さらに眠りながらも有妃に犯しぬかれたのだ。
でもその割には疲労はあまりなく、何かから解放されたかのような爽快感だった。
「私としたことが佑人さんに無理をさせてしまったみたいで…。お疲れではないですか?」
有妃が心配そうに俺を見た。でも無理をさせるとは言っても、翌日の仕事に影響が出ない様にちゃんと気遣ってくれる有妃がとても愛おしかった。
「大丈夫。心配しないで。逆になんかすごく気分がいいんだ。これも有妃ちゃんが魔力を入れてくれたおかげかな。」
俺は笑って答えた。有妃も穏やかに微笑むと、ふいに俺の耳元でささやいた。
「有妃ちゃん、じゃなくて有妃、って言ってくれないんですか?」
「…いや、それは…。」
「私はあなたの精液便所の有妃ですよ。孕むまで犯してくれていいんですよ。」
有妃はそう言うとからかう様に笑った。俺は先日の事を思いだした。獣の様になった俺は有妃の事を平気で呼び捨てにして、さらには酷く下品な言葉で罵ってしまった。当然だが、いつもはこんな言葉を有妃には絶対に使っていない。
白蛇の魔力の影響とはいえ、さすがに酷い事をしてしまった。俺は申し訳なく思い頭を下げる。
「昨日はごめん…。あの時はどうかしていた、って言っても許されないよな…。」
「いいえ。違うんです。謝らないで下さい。全部私の魔力が原因なんですから。」
有妃はかぶりをふると俺の手を優しく握った。そして蛇体を俺に巻き付けそっと引き寄せる。
「それに…とっても素敵でしたよ。いつも私に巻き付かれてよがっている佑人さんも可愛いですけれど、ケモノになって私を荒々しく犯し続ける佑人さんがすごく新鮮で。かっこよかったです…。」
有妃は少し恥ずかしそうな笑顔を見せると俺にキスをした。
「かっこいいって…。冗談きついよ、有妃ちゃん。」
「有妃、って呼んで下さい。佑人さんは私の旦那様なんですから。」
思わぬことを言われた俺は戸惑い口ごもってしまった。
「えっ…。」
「言ってください。」
「いや…。ちょっと待ってくれよ。大体有妃ちゃんの方が俺のご主人様と言ってもいいぐらいじゃないか。旦那様と言われても実感なんかないよ。」
有妃は呆れた様な表情を浮かべた。あなたはいったい何を言っているのですかとでも言いたそうだ。
「全くもう…。いいですか佑人さん。確かに私はあなたをお護りしていますし、色々御指導する事も多いですけれど、だからと言ってあなたが私の旦那様であると言う事実に全く代わりは無いんですよ。そんな変なこと言わないで下さい。」
そう言った有妃はむくれて見せると、俺の頭を優しい手つきでぽんと叩いた。そして、お仕置きですよと言って小さく笑う。
「ほら、そう言って旦那様の事をお仕置きするじゃないか。これが旦那様に対してふさわしい態度なのかな。」
「あら、昔どこかの国の上流階級の家庭教師は、雇い主の子供でもある教え子に対しても相当厳しく教育していたそうですよ。それに比べれば私は優しいものです。」
冗談を言った俺に対して、有妃も澄ました顔でそんな薀蓄を披露した。だが、急にしてやられたと言わんばかりの表情で俺を見る。
「佑人さんもなかなかの策士ですねえ。危うく誤魔化されるところでしたよ。でも駄目です。ちゃんと私の事を有妃って言ってください。」
「いや、別に話を変えようとした訳じゃなくて…。」
慌てて言い訳をしたがそれには答えず、有妃は何かを期待するかのような表情でじっと俺を見つめている。仕方ない、これは言わざるを得ないか。
「有妃………。 いやいやいや、やっぱり駄目だよ。照れ臭いよ。」
俺は困った目で有妃の方を見た。有妃も仕方がないなあと言いたそうに苦笑する。
二人が付き合い始めた頃から呼び捨てなどした事が無かったので、正直背中がこそばゆい様な妙な気持ちだ。
「佑人さんは恥ずかしがり屋さんですねえ。無理なら仕方ないですけれど、いつかは有妃って言ってくださいね。」
「うん。いつになるか分からないけれど。」
「もしどうしても言ってくれないようなら、魔力を入れて無理やり言わせちゃいますからね。」
「でも、そうすると俺また獣モードになっちゃうよ。」
俺たちはそう言うと笑いあった。だが昨日有妃の魔力を注ぎ込まれて、気持ちの高揚感は相当なものだった。今まで理性や遠慮で押さえつけられていた欲望を解放し、限りなく叩きつける事が出来る喜悦は凄まじかった。
正直言えばまたあの快楽を味わいたい。また俺に魔力を注ぎ込んでもらいたい。有妃のこの様子では頼めばまたしてくれそうだ。
「有妃ちゃん。君の魔力の事なんだけれど。」
「はい。なんでしょう。」
「また、今度俺に入れて欲しいんだけれど。」
「やめてくださいよ。佑人さん。冗談に決まっているじゃないですか。それは確かに有妃って言って欲しいですけれど…。」
俺が冗談を本気にしたと思ったのか有妃は慌ててそう言った。
「いや、そうじゃないんだ。本当に入れて欲しいんだ。」
「もしかして一昨日の事をまだ気にしていらっしゃっているんですか?いいんですよ。魔力を注ぎ込む必要はありません。
佑人さんには十分私の思いをわかって頂きました。もう何も怒ってませんから。これ以上あなたが悩まれると私も心苦しいです。」
有妃も少々苦しそうに言う。どうやら俺が魔力を注がれる原因となった、送別会の一件をまだ気にしていると思ったらしい。慰めるように優しく愛撫してくれた。
「ううん。きみを困らせるつもりはないんだ。ただ…」
「ただ?」
「白蛇の魔力を有妃ちゃんに注ぎ込んでもらって、俺自身すごく爽快感と言うか解放感があったんだ。それにすごく気持ちよかったし…。」
それを聞くと有妃はため息をつき目に少しサディスティックな色を浮かべた。
「佑人さん。私たちの魔力の事はご存知ですよね?あれは基本的には浮気な殿方を懲らしめるために使うものですよ。そんなものを入れて欲しいってことは、私にお仕置きをしてほしいって事なんですか?」
「いやいや。そうじゃなくて…」
慌てて否定する俺に有妃は畳み掛けるように言う。
「そうなんですよね。佑人さんは私にお仕置きされたいんですよね。正直に言ってくれないとしてあげません。」
「有妃ちゃん…。」
「どうなんですか?私にそういう事をして欲しいんですか?」
有妃は俺の体に蛇体を巻き付けると妖艶な声でささやいた。そして優しく愛撫する。俺も背中がぞくぞくするような興奮を味わい、頭がぼーっとしてきた。
「気持ちいいお仕置きなら…して、欲しい…。お願い。」
心地よい手つきと艶めかしい声に刺激され、とうとう我慢できずにお願いしてしまった。
「もちろんです。可愛い佑人さんには気持ちいい事しかしませんよ。でも、それならちゃんと頼んでください。」
「ちゃんとって?」
「僕の変態おチンチンに気持ちいいお仕置きしてって言ってください。」
思わずまじまじと有妃を見つめた。彼女は俺に言葉攻めをする時に好んで見せる、意地悪な表情をはっきりと見せていた。散々精を搾り取られて欲望が落ち着いている今では言うのに恥ずかしい言葉だが、でもこれを言えば有妃は魔力を注ぎ込んでくれるのだ…。どうしようか困っていた時だった。
「ふふっ。でもさすがにまあ今言わせるのは気の毒ですねえ。いいでしょう。今日は許してあげますが、また二人で肌を合わせる時にはちゃんと言うんですよ。そうすればちゃんとご褒美をあげますからね。」
「うん。お願い。」
「あ、でも、さすがに佑人さんの体への負担が大きいので、魔力を入れるにしても週末の一回ぐらいにしておきましょうね。無理をしてはいけませんよ。」
今のこの状態で俺を責めるのは可哀そうだと思ってくれたのだろう。有妃は穏やかな表情に戻ると、出来の悪い弟を教え諭す姉の様な口調で語りかけた。
「それで、この後はどうします?一緒にお買い物しに行きます?それとも家でゆっくりしています?」
話を変えた有妃がたずねてきた。
「今日はちょっと家に居たいかな。」
「そうですよね。さすがにお疲れでしょう。それじゃあちょっと待っていて下さいね。何か精の付くものを買ってきますから。」
そう言って笑うと有妃は早速出かけて行った。
有妃が出かけてしばらく後。俺はのんびりとくつろいでいた。テレビを見たりそれに飽きると新聞や本を見たりしていたが…なぜだろう。妙に心が切なく、苦しく、落ち着かない。そして結局のところは有妃に抱きしめてもらいたい。蛇体で全身を絡みつけてもらいたい。との思いに囚われてしまうのだ。
前日徹底的に犯しぬかれて、枯れるぐらい精を搾られているので今現在肉欲はさほどない。だがそのはずなのに有妃への欲望は完全に消える事無く、常に心の奥底にくすぶり続けている気がする。
…駄目だ。何をしても気が紛れない。早く帰ってこないだろうか。俺はそわそわして、玄関先に出て有妃が帰ってこないか何度も確認しに行くありさまだった。いくらなんでもこれはおかしい。有妃に電話して聞いてみようかと思った時だった。
「ただいま。お待たせしました。」
玄関で帰宅した有妃の声がした。俺はもう我慢できずに迎えに行くと、思い切り抱き着いてしまった。
「突然どうしたんですか?私がいなくてそんなに寂しかったんですか?」
そう言って穏やかに笑うと蛇体を絡み付ける。でも、有妃はさほど驚いた様子では無く俺がこうなる事を承知していたような雰囲気だ。
「ごめん。急にこんなことして悪いとは思うんだけど。何だかもうおかしくなりそうで…。」
「いいんですよ。何も遠慮なんかいらないんですからね。というか佑人さんは遠慮なんかできない体になってしまっているんですから…。」
有妃は口の端を上げて皮肉な表情を見せると、どことなく含みを持たせた言い回しをした。
「え?どういうこと?」
「昨日言いましたよね。白蛇の炎を受け入れた佑人さんはもう私に依存せざるを得ないんですよ。あなたの意志に関わらずね。」
「有妃ちゃん…。」
「あ、でもなんにも心配しないでいいんですよ。いつも私は佑人さんの傍にいますからね。あなたが切ない時にはこうしてぎゅってしてあげますから。」
満面の笑顔でそう言うと有妃は優しく抱擁した。全身を包みこむ蛇体の柔らかな拘束。暖かで甘美な感触。とたんに俺の心から切なさが消え、安らぎに満たされた。
頭の中がとろけるような心地よさに俺も知らぬうちに有妃を掻き抱く。
「有妃ちゃん…。俺、どうなっちゃうの…。」
「大丈夫ですよ。明日までには落ち着きますから。でも、いいんですか?私の魔力を受け入れると毎回こうなっちゃうんですよ?それでも魔力を入れて欲しいんですか?」
有妃は俺を焦らすように、それでいてどことなく不安な表情を浮かべて問いかけた。だが今さら迷うまでもない。喜んで有妃に身を委ねるだけだ。
「でも有妃ちゃんが俺を楽にしてくれるんだろ?だったら安心して任せられるよ。」
「もちろんです。佑人さんが満足するまで、好きなだけ私がこうしていてあげます。」
安心した様な笑みを浮かべると、有妃は嬉しそうに頬ずりする。柔らかな頬と顔に触れる髪の匂いが心地よく、さらに甘い陶酔感が襲い何も考えられなくなる。いや、正しくは有妃の事以外は何も考えたくない。俺は甘えるように有妃の名を呼び、胸元にそっと顔を寄せた。
「んー?どうしたんですか佑人さん。おっぱい欲しいんですか?」
有妃はからかう様に言った。だが特に拒む風では無く、優しい手つきで頭を撫で続ける。俺は我慢できずに有妃の服を上げ豊満な胸をむき出しにすると、桃色の柔らかな乳首を口に含んだ。そして吸い、転がし、ひたすら貪り続けた。
「ふふっ。可愛い…。まるで赤ちゃんみたいです。いいんですよ。佑人さんの気の済むまでしてくれていいんですからね…。」
有妃の甘美な声色。心が恍惚感に包まれ安らぎに満ち溢れる。そして、彼女は俺を安心させるかのように頭を抱きしめるとささやきつづけた。
「もう大丈夫ですよ佑人さん…。何にも心配しないでいいんです…。安心して身も心も委ねて下さい…。」
有妃の声は暖かくなだめる様だ。聞いていると、恐怖と絶え間ない快楽によって、疲れ果てた心の糸が切れるような感覚を覚えた。知らぬ間に俺は有妃の胸に顔をうずめて泣いていた。さすがに恥ずかしく涙を抑えようと思ったが、その意思に反して涙は溢れ続けた。
「ごめんなさい…。どうやら私の思った以上に負担をかけてしまったようですね…。何も我慢しないでいいんですよ。思う存分泣いちゃってください。」
惨めな俺の姿を見て有妃は笑う訳では無く、慈しみに満ちた声で慰めてくれた。俺は泣きながらもますます幸せに酔いしれる。そして彼女の優しい眼差しを見たくて思わず顔を上げた。
だが……。そこにはこのオスを骨の髄まで屈服させたと、歓喜するかのような捕食者の笑みが浮かんでいた。正直ぎょっとする。でも…とても綺麗だ。凶暴な美しさとでもいうのだろうか。戸惑いはすぐに消え、有妃の麗しくも残酷な表情に見入って行った。
「すみません。佑人さんが心の底の底から私の事を求めてくれたのが嬉しくって。つい顔に出てしまったようです。」
怯えていると思ったのだろう。有妃は一転して穏やかな表情になると優しく微笑んでくれた。そんな姿を見ると俺はますます呆けたようになり彼女を求めてしまうのだった。
「嬉しい…。これでようやく佑人さんと一つになれました。」
有妃の甘く切ない様な声がいつまでも耳に残っていた……
翌日、俺は会社に行くと昼休みに黒川の所を訪れた。もう後戻りが不可能なほど有妃に溺れるようになっており、先日の事はどうでもよくはなっていた。そうは言ってもしゃくに障るので、一応一言ぐらい言っておこうと思ったからだ。
だがそこに居たのは目にうっとりとした光を帯びながら呆然としている黒川の姿だった。先週見たときよりも明らかに頬もこけている。一瞬話しかけるのをためらったが、俺に気が付いた黒川は安らかな微笑みを浮かべた。
「森宮…。その様子だと奥さんに相当お仕置きされたらしいな…。俺が余計な事を言ったばかりに迷惑をかけて悪かったな。」
黒川は今まで聞いたことが無いほど優しい声で謝ると頭を下げたが、その言葉で俺も彼と大差ないほどの恍惚状態に見えるらしい事がわかった。
「いや。もういいんだ。そういうお前こそ…。大変だったようだな。」
こんな状態の黒川を見ると、さすがに一言文句を言うどころでは無くなってしまった。
「ああ…。帰ってすぐにお嬢様に見破られてな。それからずっとさ…。」
「そうか…。それはまあなんと言うか…。」
二人ともしばらく言葉もなかったが、俺の瞳に浮かぶどことなく憐れみを浮かべた視線に耐え兼ねたように黒川がしゃべりだした。
「でも、誤解しないで欲しいんだが…。あれは、良かった。」
思いもかけぬ言葉だった。黒川の所もそうだったのか。同士を見つけた嬉しさで俺も打ち明ける事にした。
「…実は俺もそうなんだ。本当に良かった…。」
「そうか…。」
「もう有妃…嫁さんから永久に離れられないな…。」
「俺もだ…。」
そう言って二人のインキュバスは卑屈に笑いあった。ちなみに二次会に参加した同僚たちに話を聞いた所、みんな奥さんに泣かれるやら散々搾り取られるやら色々大変だったそうだ。
こうして俺は完全に有妃に支配されるようになってしまったが、だからと言って以前とそれほど何かが変わった訳では無い。正直一抹の不安が無い訳では無かったのだが、俺を心から屈服させたのを期に有妃の態度が急変するわけでもなかった。相変わらず優しく世話焼きで色々気遣ってくれる。毎週入れられる魔力の影響か、週末になると有妃を激しく求めて疼くようにはなったものの、そのたびにいつも彼女が満たしてくれる。
ただ、魔力を注ぎ込まれた後は、それまで以上にべたべた甘えるようになってしまった。そして普段では絶対に頼めないプレイも遠慮なくお願いしてしまう。お姉ちゃんプレイとか、看護婦さんプレイとか、赤ちゃんプレイとか…。他にも人に知られたら恥ずかしさのあまり外に出られなくなる様な変態プレイが多い。だが、有妃はそんな俺を嬉しそうに受け入れてくれるので安心して身を預けている。
そうだ。今日は週末だ。有妃に魔力を注ぎ込んでもらって思いっきり悦楽に溺れよう…。
…コンビニの駐車場でコーヒー片手にエロ妄想にふけっていた俺はふと我に返った。こんな事をしている場合ではない。大体まだ通勤途中なのだ。全く。我ながら一体何をやっているのだろう。俺は舌打ちするとスクーターに乗りこみ会社への道を急いだ。
「…ぅん。」
有妃の優しい声に起こされ俺は目を覚ました。目の前には微笑みを浮かべた有妃がマグカップを持っている。
「おはよう有妃ちゃん…。」
「はい。昨日はご苦労様です。どうぞ。これ飲んでください。」
ホルスタウロスミルクにアルラウネの蜜、その他魔界特産の栄養価の高い果物をブレンドした有妃特製のドリンクを手渡してくれた。
当然と言うか普段は、ホルスタウロスの「母乳」とアルラウネの「体液」である事から俺がこれを飲むことには良い顔をしないのだが、交わる前後の栄養補給と言う事ではむしろ積極的に飲むことを進めてくる。
その結果、結局は毎日のようにこれら「母乳」と「体液」を飲む事になっているのだが、両方とも魔界の名産品と言っても過言ではないくらいの美味なので大歓迎だ。
寝起きと言う事もあり、甘く優しい味わいのドリンクを飲みながら俺はしばらくぼうっとしていたが、ふと気が付いた。
「あれ、今日は何曜日?もしかしてもう月曜…」
一瞬俺は焦る。金曜日の夜に送別会から帰って来た後、ずっと交わり続けていた為、今が何曜日か全く見当がつかなかったのだ。
「安心してください。まだ日曜の昼前ですから大丈夫ですよ。でも、明日は仕事ですよね。もう起きないと今日の夜眠れなくなっちゃうと思いまして。」
動揺した俺を落ち着かせるように、有妃は両肩を優しくぽんぽんと叩いた。
「そっか。ありがとう有妃ちゃん。それじゃあ土曜日は一昼夜ずっとやりっぱなしだったって事か…」
先日の記憶が徐々に戻ってくる。俺が気絶するまで風呂場で有妃を犯し続けた後、寝室に戻ってからも交わりつづけ、さらに眠りながらも有妃に犯しぬかれたのだ。
でもその割には疲労はあまりなく、何かから解放されたかのような爽快感だった。
「私としたことが佑人さんに無理をさせてしまったみたいで…。お疲れではないですか?」
有妃が心配そうに俺を見た。でも無理をさせるとは言っても、翌日の仕事に影響が出ない様にちゃんと気遣ってくれる有妃がとても愛おしかった。
「大丈夫。心配しないで。逆になんかすごく気分がいいんだ。これも有妃ちゃんが魔力を入れてくれたおかげかな。」
俺は笑って答えた。有妃も穏やかに微笑むと、ふいに俺の耳元でささやいた。
「有妃ちゃん、じゃなくて有妃、って言ってくれないんですか?」
「…いや、それは…。」
「私はあなたの精液便所の有妃ですよ。孕むまで犯してくれていいんですよ。」
有妃はそう言うとからかう様に笑った。俺は先日の事を思いだした。獣の様になった俺は有妃の事を平気で呼び捨てにして、さらには酷く下品な言葉で罵ってしまった。当然だが、いつもはこんな言葉を有妃には絶対に使っていない。
白蛇の魔力の影響とはいえ、さすがに酷い事をしてしまった。俺は申し訳なく思い頭を下げる。
「昨日はごめん…。あの時はどうかしていた、って言っても許されないよな…。」
「いいえ。違うんです。謝らないで下さい。全部私の魔力が原因なんですから。」
有妃はかぶりをふると俺の手を優しく握った。そして蛇体を俺に巻き付けそっと引き寄せる。
「それに…とっても素敵でしたよ。いつも私に巻き付かれてよがっている佑人さんも可愛いですけれど、ケモノになって私を荒々しく犯し続ける佑人さんがすごく新鮮で。かっこよかったです…。」
有妃は少し恥ずかしそうな笑顔を見せると俺にキスをした。
「かっこいいって…。冗談きついよ、有妃ちゃん。」
「有妃、って呼んで下さい。佑人さんは私の旦那様なんですから。」
思わぬことを言われた俺は戸惑い口ごもってしまった。
「えっ…。」
「言ってください。」
「いや…。ちょっと待ってくれよ。大体有妃ちゃんの方が俺のご主人様と言ってもいいぐらいじゃないか。旦那様と言われても実感なんかないよ。」
有妃は呆れた様な表情を浮かべた。あなたはいったい何を言っているのですかとでも言いたそうだ。
「全くもう…。いいですか佑人さん。確かに私はあなたをお護りしていますし、色々御指導する事も多いですけれど、だからと言ってあなたが私の旦那様であると言う事実に全く代わりは無いんですよ。そんな変なこと言わないで下さい。」
そう言った有妃はむくれて見せると、俺の頭を優しい手つきでぽんと叩いた。そして、お仕置きですよと言って小さく笑う。
「ほら、そう言って旦那様の事をお仕置きするじゃないか。これが旦那様に対してふさわしい態度なのかな。」
「あら、昔どこかの国の上流階級の家庭教師は、雇い主の子供でもある教え子に対しても相当厳しく教育していたそうですよ。それに比べれば私は優しいものです。」
冗談を言った俺に対して、有妃も澄ました顔でそんな薀蓄を披露した。だが、急にしてやられたと言わんばかりの表情で俺を見る。
「佑人さんもなかなかの策士ですねえ。危うく誤魔化されるところでしたよ。でも駄目です。ちゃんと私の事を有妃って言ってください。」
「いや、別に話を変えようとした訳じゃなくて…。」
慌てて言い訳をしたがそれには答えず、有妃は何かを期待するかのような表情でじっと俺を見つめている。仕方ない、これは言わざるを得ないか。
「有妃………。 いやいやいや、やっぱり駄目だよ。照れ臭いよ。」
俺は困った目で有妃の方を見た。有妃も仕方がないなあと言いたそうに苦笑する。
二人が付き合い始めた頃から呼び捨てなどした事が無かったので、正直背中がこそばゆい様な妙な気持ちだ。
「佑人さんは恥ずかしがり屋さんですねえ。無理なら仕方ないですけれど、いつかは有妃って言ってくださいね。」
「うん。いつになるか分からないけれど。」
「もしどうしても言ってくれないようなら、魔力を入れて無理やり言わせちゃいますからね。」
「でも、そうすると俺また獣モードになっちゃうよ。」
俺たちはそう言うと笑いあった。だが昨日有妃の魔力を注ぎ込まれて、気持ちの高揚感は相当なものだった。今まで理性や遠慮で押さえつけられていた欲望を解放し、限りなく叩きつける事が出来る喜悦は凄まじかった。
正直言えばまたあの快楽を味わいたい。また俺に魔力を注ぎ込んでもらいたい。有妃のこの様子では頼めばまたしてくれそうだ。
「有妃ちゃん。君の魔力の事なんだけれど。」
「はい。なんでしょう。」
「また、今度俺に入れて欲しいんだけれど。」
「やめてくださいよ。佑人さん。冗談に決まっているじゃないですか。それは確かに有妃って言って欲しいですけれど…。」
俺が冗談を本気にしたと思ったのか有妃は慌ててそう言った。
「いや、そうじゃないんだ。本当に入れて欲しいんだ。」
「もしかして一昨日の事をまだ気にしていらっしゃっているんですか?いいんですよ。魔力を注ぎ込む必要はありません。
佑人さんには十分私の思いをわかって頂きました。もう何も怒ってませんから。これ以上あなたが悩まれると私も心苦しいです。」
有妃も少々苦しそうに言う。どうやら俺が魔力を注がれる原因となった、送別会の一件をまだ気にしていると思ったらしい。慰めるように優しく愛撫してくれた。
「ううん。きみを困らせるつもりはないんだ。ただ…」
「ただ?」
「白蛇の魔力を有妃ちゃんに注ぎ込んでもらって、俺自身すごく爽快感と言うか解放感があったんだ。それにすごく気持ちよかったし…。」
それを聞くと有妃はため息をつき目に少しサディスティックな色を浮かべた。
「佑人さん。私たちの魔力の事はご存知ですよね?あれは基本的には浮気な殿方を懲らしめるために使うものですよ。そんなものを入れて欲しいってことは、私にお仕置きをしてほしいって事なんですか?」
「いやいや。そうじゃなくて…」
慌てて否定する俺に有妃は畳み掛けるように言う。
「そうなんですよね。佑人さんは私にお仕置きされたいんですよね。正直に言ってくれないとしてあげません。」
「有妃ちゃん…。」
「どうなんですか?私にそういう事をして欲しいんですか?」
有妃は俺の体に蛇体を巻き付けると妖艶な声でささやいた。そして優しく愛撫する。俺も背中がぞくぞくするような興奮を味わい、頭がぼーっとしてきた。
「気持ちいいお仕置きなら…して、欲しい…。お願い。」
心地よい手つきと艶めかしい声に刺激され、とうとう我慢できずにお願いしてしまった。
「もちろんです。可愛い佑人さんには気持ちいい事しかしませんよ。でも、それならちゃんと頼んでください。」
「ちゃんとって?」
「僕の変態おチンチンに気持ちいいお仕置きしてって言ってください。」
思わずまじまじと有妃を見つめた。彼女は俺に言葉攻めをする時に好んで見せる、意地悪な表情をはっきりと見せていた。散々精を搾り取られて欲望が落ち着いている今では言うのに恥ずかしい言葉だが、でもこれを言えば有妃は魔力を注ぎ込んでくれるのだ…。どうしようか困っていた時だった。
「ふふっ。でもさすがにまあ今言わせるのは気の毒ですねえ。いいでしょう。今日は許してあげますが、また二人で肌を合わせる時にはちゃんと言うんですよ。そうすればちゃんとご褒美をあげますからね。」
「うん。お願い。」
「あ、でも、さすがに佑人さんの体への負担が大きいので、魔力を入れるにしても週末の一回ぐらいにしておきましょうね。無理をしてはいけませんよ。」
今のこの状態で俺を責めるのは可哀そうだと思ってくれたのだろう。有妃は穏やかな表情に戻ると、出来の悪い弟を教え諭す姉の様な口調で語りかけた。
「それで、この後はどうします?一緒にお買い物しに行きます?それとも家でゆっくりしています?」
話を変えた有妃がたずねてきた。
「今日はちょっと家に居たいかな。」
「そうですよね。さすがにお疲れでしょう。それじゃあちょっと待っていて下さいね。何か精の付くものを買ってきますから。」
そう言って笑うと有妃は早速出かけて行った。
有妃が出かけてしばらく後。俺はのんびりとくつろいでいた。テレビを見たりそれに飽きると新聞や本を見たりしていたが…なぜだろう。妙に心が切なく、苦しく、落ち着かない。そして結局のところは有妃に抱きしめてもらいたい。蛇体で全身を絡みつけてもらいたい。との思いに囚われてしまうのだ。
前日徹底的に犯しぬかれて、枯れるぐらい精を搾られているので今現在肉欲はさほどない。だがそのはずなのに有妃への欲望は完全に消える事無く、常に心の奥底にくすぶり続けている気がする。
…駄目だ。何をしても気が紛れない。早く帰ってこないだろうか。俺はそわそわして、玄関先に出て有妃が帰ってこないか何度も確認しに行くありさまだった。いくらなんでもこれはおかしい。有妃に電話して聞いてみようかと思った時だった。
「ただいま。お待たせしました。」
玄関で帰宅した有妃の声がした。俺はもう我慢できずに迎えに行くと、思い切り抱き着いてしまった。
「突然どうしたんですか?私がいなくてそんなに寂しかったんですか?」
そう言って穏やかに笑うと蛇体を絡み付ける。でも、有妃はさほど驚いた様子では無く俺がこうなる事を承知していたような雰囲気だ。
「ごめん。急にこんなことして悪いとは思うんだけど。何だかもうおかしくなりそうで…。」
「いいんですよ。何も遠慮なんかいらないんですからね。というか佑人さんは遠慮なんかできない体になってしまっているんですから…。」
有妃は口の端を上げて皮肉な表情を見せると、どことなく含みを持たせた言い回しをした。
「え?どういうこと?」
「昨日言いましたよね。白蛇の炎を受け入れた佑人さんはもう私に依存せざるを得ないんですよ。あなたの意志に関わらずね。」
「有妃ちゃん…。」
「あ、でもなんにも心配しないでいいんですよ。いつも私は佑人さんの傍にいますからね。あなたが切ない時にはこうしてぎゅってしてあげますから。」
満面の笑顔でそう言うと有妃は優しく抱擁した。全身を包みこむ蛇体の柔らかな拘束。暖かで甘美な感触。とたんに俺の心から切なさが消え、安らぎに満たされた。
頭の中がとろけるような心地よさに俺も知らぬうちに有妃を掻き抱く。
「有妃ちゃん…。俺、どうなっちゃうの…。」
「大丈夫ですよ。明日までには落ち着きますから。でも、いいんですか?私の魔力を受け入れると毎回こうなっちゃうんですよ?それでも魔力を入れて欲しいんですか?」
有妃は俺を焦らすように、それでいてどことなく不安な表情を浮かべて問いかけた。だが今さら迷うまでもない。喜んで有妃に身を委ねるだけだ。
「でも有妃ちゃんが俺を楽にしてくれるんだろ?だったら安心して任せられるよ。」
「もちろんです。佑人さんが満足するまで、好きなだけ私がこうしていてあげます。」
安心した様な笑みを浮かべると、有妃は嬉しそうに頬ずりする。柔らかな頬と顔に触れる髪の匂いが心地よく、さらに甘い陶酔感が襲い何も考えられなくなる。いや、正しくは有妃の事以外は何も考えたくない。俺は甘えるように有妃の名を呼び、胸元にそっと顔を寄せた。
「んー?どうしたんですか佑人さん。おっぱい欲しいんですか?」
有妃はからかう様に言った。だが特に拒む風では無く、優しい手つきで頭を撫で続ける。俺は我慢できずに有妃の服を上げ豊満な胸をむき出しにすると、桃色の柔らかな乳首を口に含んだ。そして吸い、転がし、ひたすら貪り続けた。
「ふふっ。可愛い…。まるで赤ちゃんみたいです。いいんですよ。佑人さんの気の済むまでしてくれていいんですからね…。」
有妃の甘美な声色。心が恍惚感に包まれ安らぎに満ち溢れる。そして、彼女は俺を安心させるかのように頭を抱きしめるとささやきつづけた。
「もう大丈夫ですよ佑人さん…。何にも心配しないでいいんです…。安心して身も心も委ねて下さい…。」
有妃の声は暖かくなだめる様だ。聞いていると、恐怖と絶え間ない快楽によって、疲れ果てた心の糸が切れるような感覚を覚えた。知らぬ間に俺は有妃の胸に顔をうずめて泣いていた。さすがに恥ずかしく涙を抑えようと思ったが、その意思に反して涙は溢れ続けた。
「ごめんなさい…。どうやら私の思った以上に負担をかけてしまったようですね…。何も我慢しないでいいんですよ。思う存分泣いちゃってください。」
惨めな俺の姿を見て有妃は笑う訳では無く、慈しみに満ちた声で慰めてくれた。俺は泣きながらもますます幸せに酔いしれる。そして彼女の優しい眼差しを見たくて思わず顔を上げた。
だが……。そこにはこのオスを骨の髄まで屈服させたと、歓喜するかのような捕食者の笑みが浮かんでいた。正直ぎょっとする。でも…とても綺麗だ。凶暴な美しさとでもいうのだろうか。戸惑いはすぐに消え、有妃の麗しくも残酷な表情に見入って行った。
「すみません。佑人さんが心の底の底から私の事を求めてくれたのが嬉しくって。つい顔に出てしまったようです。」
怯えていると思ったのだろう。有妃は一転して穏やかな表情になると優しく微笑んでくれた。そんな姿を見ると俺はますます呆けたようになり彼女を求めてしまうのだった。
「嬉しい…。これでようやく佑人さんと一つになれました。」
有妃の甘く切ない様な声がいつまでも耳に残っていた……
翌日、俺は会社に行くと昼休みに黒川の所を訪れた。もう後戻りが不可能なほど有妃に溺れるようになっており、先日の事はどうでもよくはなっていた。そうは言ってもしゃくに障るので、一応一言ぐらい言っておこうと思ったからだ。
だがそこに居たのは目にうっとりとした光を帯びながら呆然としている黒川の姿だった。先週見たときよりも明らかに頬もこけている。一瞬話しかけるのをためらったが、俺に気が付いた黒川は安らかな微笑みを浮かべた。
「森宮…。その様子だと奥さんに相当お仕置きされたらしいな…。俺が余計な事を言ったばかりに迷惑をかけて悪かったな。」
黒川は今まで聞いたことが無いほど優しい声で謝ると頭を下げたが、その言葉で俺も彼と大差ないほどの恍惚状態に見えるらしい事がわかった。
「いや。もういいんだ。そういうお前こそ…。大変だったようだな。」
こんな状態の黒川を見ると、さすがに一言文句を言うどころでは無くなってしまった。
「ああ…。帰ってすぐにお嬢様に見破られてな。それからずっとさ…。」
「そうか…。それはまあなんと言うか…。」
二人ともしばらく言葉もなかったが、俺の瞳に浮かぶどことなく憐れみを浮かべた視線に耐え兼ねたように黒川がしゃべりだした。
「でも、誤解しないで欲しいんだが…。あれは、良かった。」
思いもかけぬ言葉だった。黒川の所もそうだったのか。同士を見つけた嬉しさで俺も打ち明ける事にした。
「…実は俺もそうなんだ。本当に良かった…。」
「そうか…。」
「もう有妃…嫁さんから永久に離れられないな…。」
「俺もだ…。」
そう言って二人のインキュバスは卑屈に笑いあった。ちなみに二次会に参加した同僚たちに話を聞いた所、みんな奥さんに泣かれるやら散々搾り取られるやら色々大変だったそうだ。
こうして俺は完全に有妃に支配されるようになってしまったが、だからと言って以前とそれほど何かが変わった訳では無い。正直一抹の不安が無い訳では無かったのだが、俺を心から屈服させたのを期に有妃の態度が急変するわけでもなかった。相変わらず優しく世話焼きで色々気遣ってくれる。毎週入れられる魔力の影響か、週末になると有妃を激しく求めて疼くようにはなったものの、そのたびにいつも彼女が満たしてくれる。
ただ、魔力を注ぎ込まれた後は、それまで以上にべたべた甘えるようになってしまった。そして普段では絶対に頼めないプレイも遠慮なくお願いしてしまう。お姉ちゃんプレイとか、看護婦さんプレイとか、赤ちゃんプレイとか…。他にも人に知られたら恥ずかしさのあまり外に出られなくなる様な変態プレイが多い。だが、有妃はそんな俺を嬉しそうに受け入れてくれるので安心して身を預けている。
そうだ。今日は週末だ。有妃に魔力を注ぎ込んでもらって思いっきり悦楽に溺れよう…。
…コンビニの駐車場でコーヒー片手にエロ妄想にふけっていた俺はふと我に返った。こんな事をしている場合ではない。大体まだ通勤途中なのだ。全く。我ながら一体何をやっているのだろう。俺は舌打ちするとスクーターに乗りこみ会社への道を急いだ。
17/03/06 22:58更新 / 近藤無内
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