読切小説
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ラミアさんの気を揉む日々
一日の終わり。すっかり夜も更けた。最近ではめっきり寒くなってきた。
暖かい部屋の中でうとうとしていたら、外のほうから足音が聞こえてくる。
そう。やっとあいつが返ってきた!
私はビクッと身を震わせ飛び起きると、蛇体を揺らして外に出た。

「お帰りなさい。今日も大変だったわね。 」

ドアを開け、声を上げる私の目の前にいたのはスーツ姿の男のひと。
彼は街灯に照らされながら疲れた表情を見せた。

「ただいまエリカ…… 」

「大丈夫? 最近ずっと帰り遅いじゃないの。」

「うん。ちょっと色々あってね。」

気遣う私に彼は切なそうに微笑んだ。

「う〜。寒っ…… 外にいつまでもいたら凍えそうよ。さ、中に入って。ご飯用意してるから。」

仕事帰りの彼を捕まえて一緒にご飯を食べるのは私の楽しみ。
寒さに震えながらも明るく勧めたけど、彼は申し訳なさそうにかぶりを振った。

「ごめん…… 会社で弁当食べてきたから。」

「え? またなの。いつも弁当ばかりでは体に悪いわよ。」

「あまり食欲もなくて。本当にごめん……」

すこし叱る様な口調になってしまう私だけど、彼は本当にすまなそうに頭を下げる。
彼、最近はずっと残業続き。きっと疲れ切っているのだろう。
可哀そうでそれ以上何も言えなかった。私はため息をつくと話を変えた。

「わかったわ。じゃあちょっと待っていて。すぐ戻ってくるから! 」

私はキッチンに行くと、こんなこともあろうかと用意してあったカップにティーバッグを入れ、お湯を注いだ。
それに生姜、媚薬成分を抜いた虜の果実の汁とアルラウネの蜜を垂らして、すぐに彼のところに戻る。

「はい。私特製のはちみつジンジャーレモンティー! せめてこれを飲んでいって。」

無論はちみつでもレモンでも無いんだけど、説明がめんどくさいので適当に。
まあ、それらより遥かに栄養があるのでべつにいいのだ。

彼は私が差し出したカップを手に取ると静かに飲み始めた。
やがて飲み終えるとほっとしたような顔を見せた。

「ありがとうエリー。あったまったよ。 」

疲れ切っていた彼の顔が元気を取り戻したようだ。すこしは安心する。

「そう。なら良かったわ。じゃあ……ね。夜更かししちゃダメよ。」

「今日もありがとう。まあ、すぐに寝るつもりだけどね。」

「ええと……ね。」

私はおずおずと蛇体の先端を伸ばすと彼の手に巻き付ける。

「あ……うん。」

彼も照れくさそうだったけど、優しく握り返してくれた。
そのまましばらく見つめあう。彼は寂しそうな顔だけど、私も似たようなものだろう。
残念だけど今日もこれでお別れ。彼は仕事で忙しくて満足に話もできない。

私達は名残惜し気に絡み合った手と蛇体を離した。
そのまま背を向ける彼に、私は知らぬ間に声を上げていた。

「待って!」

彼は驚いたように振り返る。

「いい。何かあったら私に言うのよ。絶対に力になるわ。あなたってすぐやせ我慢するから…… 」

「エリーにはいつも世話になっちゃってるね。大丈夫。ちょっと忙しいだけだから。ほんと俺って頼りないよなあ。」

彼はおどけて見せたけど、それはまるで心配かけまいとしているよう。なんかつらい。
私も泣きそうになるのをこらえながら、無理して笑顔で言った。

「わかったわ。ならいいけど風邪とか引かないでよ。それじゃあ……おやすみなさい。」

「エリーもね。おやすみ。」

お互いに挨拶すると彼は向かいの家に入っていく。
ドアを閉める前に振り向きちょっと手を振ってくれた。


















魔王の国とこの国の国交が結ばれて、どれだけの月日が経ったのだろう。
今では私達魔物娘は当たり前のように社会に溶け込んでる。
私も親の代からこの国の住人で、さっきの彼とはずっと一緒に過ごしてきた。

まあいわゆる幼馴染ってやつだけど、私のほうが年上なので一応お姉ちゃんだ。
彼、昔は私の事「エリカお姉ちゃん」って言ってくれたのに、いつの頃からかエリカとかエリーとか呼ばれるようになってしまった。

いつまでもお姉ちゃんって言うのは恥かしかったのかな。
せめてさんづけしろとは思うけど、でもそうやって背伸びしているのも可愛い。
今では幼馴染以上の関係に進んでいると思うし、私にとっては夫も同然だ。
私だけじゃなく、もちろん彼にとっても私は大事な存在のはず。
ううん。「はず」じゃなくて確定ね。これは間違いないから。

でも、そうはいっても肝心な結婚はまだ。残念ながら……
当然というか肉体関係もない。

本当は彼に私の体を巻き付けていつも一緒にいたい。
ずっと抱きしめてキスしあって貪る様にセックスしたい。
一日も早く彼の子供を孕みたい。
私だけを見つめて欲しいし彼だけを見つめていたい。
どんな事をしてでも私だけの彼にしたい……

したいしたいばっかりで最近では気持ちが爆発しそう。

でも彼は社会に出て、ずっと夢だった仕事につくことができた。
無理やり縛り付けてしまえば彼の将来を壊すことになる。
私はお姉ちゃんなんだから、彼の人生も考えなければいけないのだ。

彼とは無理しないで関係を進めている。今までもそうしてきた。
私は自分の好意を、言葉と行動でちゃんとアピールしていけばいい。
そう。地道に一歩一歩。

もちろん友達のメドゥーサみたいに 「か、勘違いしないでよねっ! 」 
「べ、別にあんたの事なんて…… 」 みたいな変な意地は張ってない。
彼女いいコなのに意中の人とはいまだ友人どまりだから。

まあ、自分に正直でいよう。いつかきっと愛の女神は微笑んでくれる……


















「あ〜あ。眠れないわあ…… 」

あれからすっかり目が覚めてしまった。眠れずについつい独り言が漏れてしまう。
私はのろのろ起き上がると部屋に置いてある全身鏡の前に立った。
明かりをつけると自分の姿に見入る。

「うん。まあ……特別ブスでもないわよねえ。」

鏡には金色の髪と瞳をしたラミアの姿があった。長い蛇体が気怠そうに床を這っている。
思わず変な事言っちゃったけど、一応魔物娘として並みの容姿は持っているはず。
彼は女性を顔で判断しないと思いたいけど、でもやっぱり美人のほうがいいだろう。

「それに、胸だってなかなかのものじゃない。」

私は胸に手をやって押し上げた。自慢じゃないがおっぱいは結構なサイズだ。
将来はこれで彼に色々してあげられる。
頭を胸に抱いてよしよししてあげる事もできるし、パイズリだって大歓迎。

「でも、よく考えればあいつ蛇は嫌いじゃない……よね? 」

少々うぬぼれて自分に見入っていたが、動く蛇体が目に入り急に不安になる。
でも、彼が子供の頃はよく蛇体でぐるぐる巻きにしたものだ。
そのときだって別に嫌がらずに私に抱かれてくれた。
それどころか温かくて気持ちいいよお、と言っていつも甘えてくれたはずだ。

余計な心配はいらないはずなのに、
でも、それなのに色々気になってしまう。

「まあでも人化の術を使えばいいんだけど…… 」

悶々としていたらくだらない事を考えてしまう。
なんで一緒に暮らしていくのに本来の姿を隠さなければならないんだろう。
ほんとバカバカしい。あ〜あ。なんか疲れてきたな。

「まあいいや〜。寝よ…… 」

これというのも彼とずっと一緒にいることが出来ないせいだ。すべてそのせい。
私はため息をつくとベッドに戻った。





















「ごめんエリー…… 今日もいいよ。」

「もう。そんなに謝らないのっ! でもね、ずっと帰り遅いじゃない。無理はしちゃダメよ。もし困ってるのなら私が…… 」

「大丈夫。本当に心配いらないから。っていうか俺、毎日がすごく充実しているんだ。毎日希望に燃えてるというか。」

……


……


あれから彼、ずっと仕事が忙しい。
毎日夜遅くまで残業しているのはもちろん、休日出勤までしてる。
彼自身は毎日楽しいと言っているけど、これはいくらなんでもひどすぎる……

「うーん…… 」

私は暗い部屋で呻き続ける。今も彼とお休みの挨拶をしたばかりだ。
切なくもあり、どことなくうっとりしている様な表情が目に焼き付いている。
まるで何かに魅せられているよう。

「まさか女…… 」

魅了というワードで我ながら嫌な事を想像してしまう。
仕事と嘘ついてこっそり女とでも会ってるのだろうか。
でも、彼には人魔問わず女の匂いはついてないし残り香すらない。
魔法で隠蔽した様子もなければ痕跡もない。

考えすぎよね。ほんと私ってやな性格。
自己嫌悪でため息をついたその時だった。

「魅了?そうよ! 別に女だけが魅了するわけじゃないのよ! 」

ふと思いだすことがあり大声を上げてしまった。

そう。魔物娘がほとんどいなかった頃の話。
この国には「ぶらっく企業」なる恐ろしい会社がたくさんあったらしい。
会社には「ぱわはら」という、独自の魅了魔法の使い手がいたという。
そして社員に魔法をかけて心を奪い、家畜同然にして死ぬまでこき使ったそうだ。

私達魔物娘が住むようになってからは、そんな極悪非道は許せない。って事で徹底的に潰されたそうだけど。
でも、いまでも隠れて酷いことをしている会社はあるらしい。
もしかしたらウチの彼はそのぶらっく企業にいるのだろうか。

ぶらっくなんて大昔の話だとばかり思ってたのに。まさか彼が……
今までは特にひどい会社じゃなかったじゃない。
でも最近の事を考えれば、そうだとしてもおかしくはない。
しかも「ぱわはら」は私たちが使う魔法とは全く異なる体系のものらしい。
察知することは難しいだろう。

「冗談じゃないわ!彼に酷い事するなんてっ! 」

叫び声をあげて蛇体で床を叩いてしまう。
予想以上に大きな音がして慌ててしまったのは恥ずかしい。

絶対に許せないわ。思い知らせてやる。会社にカチコミでもかけてやろうかしら。 
よしっ…… ううん。そんな事の前にやることあるわね。

怒りのあまり殴り込みに行きそうになったけど思い直す。
まずは取り返しがつかなくなる前に彼を救うほうが先。
でも、ぱわはらの魔法を解除する方法なんて知らないし。
私の力でどうにかなるかしら? 

……そうだ。ぱわはらも魅了の魔法には違いないわ。
で、私の声の魔力も魅了の力を持つ。上書きして彼の心を私に向ければいい。
体系は違っても魅了には違いないからなんとかなるでしょ。

彼には無理やり力を使いたくはなかった。
少しずつ関係を進めていきたかった。
でもこうなった以上見過ごすわけにはいかない。

よしっ!今すぐ彼を助けよう。

私は今度こそ気合を入れて起き上がると外に出た。
深夜の寒さにめげずに突撃しようとして彼の家に目をやる。
でも、すでに明かりは消え家は真っ暗。もう寝てしまったのかな。
拍子抜けした私は、しばらくぼけっと立ち続ける。

そうだ。あの子は過酷な労働から解放されてやっと眠りにつけたんだ。

ふとそんなことを思うと、彼に対する哀れみと共に涙が溢れ出してきた。
せっかく気持ちよく寝ているのに、無理やり起こしたら可哀そすぎる。
まあいいわ。明日の朝にしましょ……
私は肩をすくめてすごすごと家に戻った。


















で、翌朝。私は頃合いを見計らって、呼び鈴も鳴らさず彼の家のドアを開けた。
一応カギはかかっていたけど、私の解錠の魔法にかかればワケはない。
勝手知ったる他人の家、すぐに彼を見つけて声をかける。

「おはよう! ちょっといい? 」

「っ? え、エリー? 」

「何よ化け物見る様な顔して。まずは挨拶! 」

「あ……う、うん。おはようエリー。 」

突然の闖入者にびっくりした彼だったが、私はお姉ちゃんらしく小言を言う。 
驚きながらも素直に挨拶を返してくれるのが可愛い。

「なにかあったの? 俺、今から仕事行くんだけど…… 」

すでに出勤の準備は済んでたようで、彼はスーツ姿に身を固めていた。
忙しい時間を邪魔されて少し迷惑そうだけど、かまわずに言葉を続ける。

「ごめんね…… あなたが苦しめられているのに気が付けなくて。 」

私は深々と頭を下げて謝った。そう。これは明らかに私のミス。
いつも近くにいるんだから、もっと早く気が付かなければダメだ。

「エリーどうしたの? なんで謝るの? 」

「ねえ。今のあなた、邪悪のぶらっく企業に魅了されているのよ。気が付いてないの? 」

「本当にどうしたの? 何の事かマジでわからないんだけど。 」

彼は唖然としていて全くわかってない様子だ。相当の重傷みたい。
説明は後でいいから早く助けよう。これ以上見ていられない。
覚悟を決めた私は息を吸い込む。精神を集中して魔力を練り上げる。
はちきれそうなほど増幅させると、そして一気に開放させた。

「だいじょうぶ。わたしがたすけるから…… 」

魔力は声となって唇からあふれ出た。
彼への想いと愛情を込めた私の声は、部屋いっぱいに響き渡る。

「エリー…… 」

彼は目を見開くと唇をわななかせた。
そして私のほうに一歩進み出ようとしたけど、足元がふらつき倒れそうになった。

「よいしょっと…… 」

私は声を上げると彼が倒れる前に受けとめた。
そのまま優しく抱きしめると、蛇体で幾重にも巻き付く。

「あの。エリー。俺…… 」

「うん。いいの。私がぎゅーってしてあげるから。このままでいればいいのよ。 」

彼の目はとろんとしていて我を忘れているよう。
体の力も抜けて、ぐったりして私に身を預けている。
よし……成功したわ。無事彼は堕ちてくれた。あとはじっくりと「治療」すればいい。

「よしよし。もう大丈夫よ…… つらかったわね。あとは私にまかせなさい。 」

私は彼を慰めると、そのまま抱きしめ続けた。
苦しくならないように気を付けながら蛇体での拘束を強める。
胸で頭を抱いてあげて、背中を優しくぽんぽんと叩く。

「えりー…… 」

彼は何か言おうとしてるけど言葉に出来ないよう。うっとりとした目で私を見てる。
うん。こうしてみると彼ほんと可愛い。なんか子供の頃を思い出すな……

「いいのよ。何にも心配しないで。お姉ちゃんがいるんだからね…… 」

あちゃー…… 
昔を思い出してたら、ついお姉ちゃんなんて言っちゃった。
彼が小さい頃はお姉ちゃんぶって、よくこうして抱きしめてあげたから。

「いや…… あの……今のはねっ。 」

しどろもどろになる私だけど、彼は全く気にした様子もない。
相変わらずぼんやりと私を見つめてる。

あっ……

いつの間にか彼、私の体に手を回してぎゅって抱きしめてくれてた。
そのまま胸に顔を埋めて甘えてくれる。
いや待って。これってなんのご褒美ですか!

「ああもう可愛いなあ! 」

あふれ出る思いを隠せずに言葉に出してしまう。
私も彼を抱きしめ返すと、頭を、耳元を、首筋を、背中を。
彼の全部を愛情込めてさすってあげる。

「えりー…… おねえちゃん…… えりかおねえちゃん…… 」

あら?彼からお姉ちゃんって言ってくれた。嬉しいなあ。

「ちゃんとお姉ちゃんって言えていい子ね。このまま嫌な事は全部忘れてしまいましょう。 」

うわごとのようにつぶやき続ける彼に、私は大喜びで言葉をかける。
そう、彼はこのまま甘え続けてくれればいい。私だけを見てくれればいい。
私が彼を癒して、望むもの全部あげて、幸せにしてあげる。

私は魔の声と愛撫で、ずっと彼をよしよしし続けた。


















嬉しい事に彼は昔の頃に返ったみたい。安心して私に抱きついてる。
私も相変わらず全身に巻き付いて、まるで一つになったよう。
彼の温かさを味わっていると心からほっとする。

あれっ?

ふと気が付くと彼の股間が固くなってた。そんなに気持ちよかったのかな?
まあ、ずっと魔力を入れ続けたので当然なんだけどね。

「うふふっ…… どうしたの? おちんちんおっきくなってるよ。 」

「うぅ…… だって…… 」

私がからかうと彼は困ったように目をそらした。
恥ずかしそうに、ろれつが回らない声で言うのが可愛い。

「いいのよ。なにも恥ずかしがらないで。これは健康な男の子なら当然の事なんだよ。」

当然のことながら彼はとっくの昔に成人している。
いい年してるのに性教育はないよねえ。とは思ったけど、あまりにも可愛すぎてやめるにやめられない……

「さ、苦しいでしょ。おちんちん出そうね。」

「やだ。待って…… 」

彼がいやいやする姿も愛らしい。私は十分に堪能しながらズボンに手をかけた。
小さい頃は一緒にお風呂も入ったし、お医者さんごっこ(笑)もしてる。
子供時分のちっちゃく可愛いおちんちんを思い出しながら一気に下ろした。
その途端、彼自身がぶるんと姿を現す。

「え、ええっ……? おお〜っ! 」

私は声を上げてしまった。だって、昔見ていたのとはあまりにも違ってる。
愛らしかった「おちんちん」は姿を変えていた。
ギンギンにそそり立ち、青筋が立ち、雁首がやらしく張っている。

もうこれは「おちんちん」なんてものじゃない。
エロ小説にある「剛直」とか「怒張」とかって言ったほうがいい。
私は息をのむとじっと彼のモノを見つめ続けた。

「うう…… 恥ずかしいから…… 」

俯いて呟く彼を見てると、これまで以上に庇護欲と愛情があふれ出てくる。
それと子宮がとろける様なじんじんとした快感も。
なんかマ〇コから甘いものが全身に伝わってくる。溶けそう……

今まで彼を想って散々アソコいじってきてるけど、こんな熱くうずくなんて全く経験がない。

「もう。何も恥ずかしがることないのに。さ、それじゃあ白いおしっこぴゅーぴゅー漏らしてすっきりしようね! 」

私は欲望のままに体を入れ替えると、そそり立ってる一物をアソコに押し当てた。
あれ?なんか最初の目的と違ってるけどまあいいや。そんなことより今はセックス。

「お、お姉ちゃんまって…… まだしなきゃいけないことあるし…… 」

彼は慌てて言う。
でも、ケモノみたいに濁った眼と、荒い吐息は間違いなく私に欲情してる。
うふふっ。我慢しないでお姉ちゃんで気持ちよくなろっ!
彼が逃げられないように蛇体でしっかり巻き付く。

「あらあら。何も遠慮しないでいいのに。昔だってお漏らししたら、ちゃんとお世話してあげたじゃない。だから、ね。私のナカでしーしーしちゃお? 」

私はにっこりと微笑むとちんちんの上に腰を下ろした。

ずぷぷっ……

「あっ…… 」

「ひっ…… 」

私と彼は同時に声を上げた。男のモノを入れたのは初めてだけど違和感はない。
あっ…… おちんちんってこんなに熱いんだ。なんかいいかも。
私は彼を感じながらそのまま何度も何度も上下する。

ぐちゅ。

ぐちゅ。

ぐちゅ。

ぐちゅ……

「いっ…… だめ。出る。もうイッちゃうよ! 」

一緒に気持よくなりたくて手加減したけど彼、もう我慢できないみたい。

「ん……いいよ。出しちゃお。気持ちよくイってすっきりしよ! 」

私は悲鳴を上げる彼に優しく射精を促し、ぎゅっと胸に抱いてあげた。

「だめっ…… イく…… 」

あっ……。彼イってくれた。ぷるぷる体震わせちゃって可愛い。

「ううっ。お姉ちゃんの中に出しちゃった。」

彼、今にも泣きそうな声で呟きながら、私の体にしっかりとしがみついた。
子供みたいな声と仕草がとっても愛くるしい。
ますます彼への想いが強くなったけど、それを感じる間もなかった。
彼が身を震わせた直後、私の胎内に甘く熱いものが大量に流れ込んできたから。

「えっ? これって…… い、いいよおっ! 」

いつしか私は獣のように吠えていた。
とろとろの甘い快感がマ〇コから全身に、そして頭に伝わる。
それはたちまち私の脳に染み入り、どろどろに蕩けさせて正気を失わせた。

「おねがい。も……もっと。もっとよ。もっともっとちょうだいっ! 」

想像以上の良さでバカになってしまったみたい。
呪文のようにもっともっととつぶやくと、ピストン運動を再開した。

「まって! おねえちゃんまって…… またイっちゃうからっ! 」

彼は切ない叫び声をあげるけど全然止められなかった。
何度も何度も腰を執拗にぶつける。思う存分彼を貪る。
私と彼のつながってる所から、いやらしくぶちゅぶちゅ音が立った。

そのたびに彼のおちんちんから膣内に、こってりした精があふれ続ける。
精は私の子宮の中もたっぷり満たす。とっても幸せ。
ああ…… このとっても甘くおいしいものが欲しい。とにかく食べたい。

「おねがいっ。すこしやすませてよお…… 」

「いやよっ。まだ全然足りないからもっと食べるの! 」

哀願する彼に耳を貸さず、私は狂ったように彼を犯し続けた……


















「ご、ごめんね…… ほんっとうにごめん! 」

「いや。もういいんだって! 別に気にしてないから。」

お互いに魅了も精の酔いも醒めて、すっかり普段通りになった。
私が両手を合わせて頭を下げると、彼は何度もかぶりを振る。

申し訳なくて一体何度謝った事だろう。
だって、彼を救うつもりが無茶苦茶逆レイプしちゃったから。

あれから正気に戻った私は、気絶してぐったりしてる彼に気が付いた。
恐ろしい事になおも私は彼を犯し続けていた。
大慌てでやめて介抱したけど、幸いな事に彼には傷一つなかった。

魔物娘が男とセックスするときには、自動的に心身保護の魔法がかかる事は知ってた。
でも、実際に経験してみるとそんな形だけの知識なんて忘れちゃう。
みっともなく慌てふためくだけだった。

「ごめんなさい。あなたを助けるなんて言っときながらひどい事しちゃって…… あの、責任はちゃんと取るからねっ! 」

初めての体験、彼にとっても大切な思い出にしたかったのに一体なんて事を……
罪悪感からもう一度頭を下げる私に彼は優しく微笑んだ。

「お願い。そんなに謝らないで。俺はお……エリーとこうなれて嬉しいんだよ。」

あらっ。彼、お姉ちゃんって言いそうになった!
さっきまでの罪の意識は消えてとっても嬉しくなる。
彼は急いでごまかすけど私はにんまりして言った。

「お姉ちゃんでいいのよ〜。私は今でもあなたのお姉ちゃんのつもりなんだからっ! 」

抱きしめてぎゅーってしてあげると、彼は照れくさそうに顔を染めた。

「いや。その…… あ、そうだ。エリーなんか誤解してるよ。」

「んん〜。なあに誤解って? 」

もっと恥ずかしがる姿を見てたいけど、余りイジメるのも可哀そう。
話をそらされたけど許してあげる。私は彼に続きをうながした。

「エリーさっきぶらっく企業がどうのこうのいってたでしょ? 」

「ああ。そうだったわね。すっかり忘れてたわ! 」

肝心な事を思い出した私はうなずいた。

「大丈夫。私があなたを守ってあげるから! あんな会社絶対に許せない。私だけじゃないわ。友達には腕ききのデュラハンやアマゾネスもいるし、私以上に魔法が得意なメドゥーサもいるわ。すごい金持ちの刑部狸だっている。みんな人間が苦しめられるのは許せないって思ってるから喜んで力を貸してくれるはずよ。」

「う〜ん…… やっぱり勘違いしてるね。悪いけどいいかな? 」

安心させるように語り続ける私を見て、彼は困ったように首をかしげる。
ちょっと手を上げると巻き付く蛇体から抜け出そうとした。

「うふふっ。だあめ。離さないわよ。 」

彼の温かい体は癖になりそうな心地よさ。放したくなくて急いで抱きしめる。
逃げられないように蛇体で優しくしっかりと拘束してあげる。

「うわっ。そ、そこのカバン取りたいだけだから。ちょっとだけだから…… 」

私にぎゅーってされて必死になる彼を見てるとうずうずする。
でも、ここもまあ許してあげよう。巻き付きを緩めてあげた。

「仕方ないわねえ。ほら。いったい何がしたいの? 」

「あ……うん。 」

彼はカバンを取ると手を入れてごそごそいじっていた。
やがて何やら小箱を取り出すと引きつったような顔をする。

「え。どうしたの? 」

彼は私の目を正面から見つめる。その真剣な眼差しに声も出せなかった。
お互いそのまま黙ってたけど、やがて彼は覚悟を決めたように箱を差し出した。

「あの…… エリー。大好きです。俺と結婚してください! 」

「えっ。ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ! 」





















「そういう事だったの…… 」

私は彼が差し出した小箱を見つめてる。その中には透明な宝石の指輪が二つ。
魔宝石。
彼が贈ってくれた指輪についている宝石の名。

魔宝石は魔界で取れるとっても貴重な宝石だ。
こちらの世界にも持ち込まれているけど、びっくりするほどの高値で売られてる。

魔宝石は最初透明なんだけど、精や魔力を注ぎ込むと、様々な色や輝きに変化する。
婚約するとき互いの精と魔力を込めてリングを交換しあう。そんな人魔のカップルも少なくない。

もちろん私も、彼と婚約するときは魔宝石のリングがいいなとは思っていた。
でも、絶対無理だとも思ってた。
いくらなんでもそんな高価なものを欲しがっては悪いから。

そのあこがれていた魔法石のリングが目の前にある。

「それじゃあこれを買うためにバイトしていたって事ね。 」

「うん。 」

私が問いかけると彼ははにかむ様に微笑んだ。
つまり彼は魔法石のリングのために、仕事が終わった後アルバイトをしていたのだ。
普段の仕事の給料だけでは買えないので、夜も休日も頑張ってバイトしてくれたのだ。
こんな私なんかのために。

「本当はエリーの誕生日にプロポーズしようと思ってね。指輪の事は隠してたんだ。バイトは今月末で辞めるつもりだったけど、色々心配かけたね。 」

「ううん。そんな……こっちこそありがとう。 」

私は呆然としながらも頭を下げた。そう。早い話私がバカな勘違いしていたのだ。
彼がぶらっく企業でひどい目にあっていると思い込んで暴走してしまったのだ。

やれやれ…… 会社に殴り込みに行こうなんて何言ってんだろ私。
そんなことしなくて良かったわ……

恥ずかしさとほっとしたのでため息をついてしまう。

「あの…… それでエリー。」

「ん。なあに。」

彼はなにかを訴える様な、それでいて不安そうな様子だ。
すっかりお姉ちゃんモードになっていた私は、心配しないでと優しく言う。

「大丈夫。わたしに任せてくれればいいから。安心して! 」

「ううん。いや。さっきの件なんだけど……あの、こんな俺だけどずっと一緒にいてください。 」

彼は照れた様子だったけど、プロポーズの件を思い出させるように頭を下げた。

「え……うん。もちろん喜んでお受けするわ! 」

彼の事、ずっと恋焦がれてきた。ずっと一緒に居られるように願ってきた。
はい以外の返事は有り得ないんだけど、真剣な彼を見てると変に緊張してしまう。

「も、もう。お姉ちゃんは弟のそばを離れないものよ。それと、さっきも言ったでしょ。責任取るって。あと、あなたとってもおいしかったんだもん。手放すわけないでしょ。」

緊張をほぐすために私はわざとおどけてべらべらしゃべり続けた。
彼の手に蛇体を巻き付けてあげると、いつもみたいにそっと握ってくれた。

「エリー。ありがとう…… ありがとう…… 」

彼は握りしめたまま何度もありがとうと言って頭を下げ続けた。
心の底から嬉しそうな様子が伝わってくる。
そこまで想ってくれていて私も嬉しくて、自然と笑みがこぼれてしまう。

本当に素直でかわいい子。もう離れられないな。っていうか離すつもりもないけど。
彼が愛おしくて私はいつしか本音で語っていた。

「ううん。それを言うのは私のほう。私を選んでくれて本当にありがとうね! 指輪もとっても嬉しかったわ。でもね。 」

私の「でもね」という言葉にぴくっと反応した。
その不安げな仕草も妙に可愛いんだけど、誤解されないようにすぐ言葉を続ける。

「ああ、違うのよ。これからは今回みたいな無茶しちゃダメよ。私はあなたがそばにいてくれればいい。あなたの事をぐるぐる〜ってしているだけで大満足なんだから。」

私は彼を抱きしめると言葉通りに蛇体でぐるぐる巻きにする。

「ごめんね。迷惑かけて。」

すまなそうに謝る彼に私は笑顔で言った。

「ううん。迷惑はいくらでもかけてくれていいのよ。ただ、一人で苦しい思いはしないで欲しいの。これからは私に……お嫁さんに何でも話す事っ! 」

身を震わせて涙ぐむ彼をそっと胸に抱いた。心地よい温かさが伝わってくる。
この温かさがこれからはずっと私のものになるんだ。


















「あ、それと指輪に精と魔力を込めあうんだよね。今度二人でやろうよ。 」

彼は思い出したように言った。

「うふふっ。まだそのまえにしなければいけない事あるとおもうわ…… 」

私は想いをおさえ切れずにエロい声になってしまった。
そう。指輪も嬉しかったけど他にもしたいことがある。
いったい何のこと。って言いたそうな彼の唇を私はそっと奪った。

「え、エリー…… 」

口をぽかんと開く彼を見て私は悪戯っぽく笑った。

「わからないの。私達これがファーストキスよ。それと誓いのキス。」

彼は顔を真っ赤にした。私もそうだったかも。













17/11/05 11:41更新 / 近藤無内

■作者メッセージ
ラミアさんリメイク記念のお話ですがいかがでしょうか?
ラミアさんが優しそうで素敵なお姉さんになってましたので、これはもう書くしかないなと(汗

今回もご覧いただきありがとうございます。

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