第12章 ふたりの愉しい?休日は…
「ごめん有妃ちゃん。なんか気持ちが落ち着かないんだ…。」
「よしよし佑人さん。大丈夫ですよ〜。何も心配しないでくださいね。私がずうっとこうして差し上げますから…。」
休日の昼下がり、俺はひたすら有妃に甘え続ける。甘いうずきと切なさを抑えきれずに、愛する人の肉体を抱きしめ続ける。有妃もそんな俺を当然のように受け入れて、蛇体に優しく包み込んでくれている。俺を愛撫する手も心地よい。今にも心がとろけそう。
前日は当然のように有妃に魔力を入れられていた。数え切れないほど有妃の中で精を吐き出していた。今は暴風のような欲情は治まっていたが、有妃を求める渇望感は静まることは無かった。張り裂けそうな気持ちのままに俺は有妃に溺れる。
浮気を疑われたあの日。初めて有妃に白蛇の炎を入れられてから、それが今では当たり前になってしまった。毎週のように魔力を注がれ続け、今では依存状態になってしまっている。すさまじい快楽と気持ちの高揚感を拒むことは出来ない。
また、俺に魔力を入れた日を境にして、有妃の不安定な様子は嘘のように治まった。これは本当に幸いだった。有妃が日々を穏やかに過ごしてくれることが何より大切なのだから。
「ごめんね有妃ちゃん。毎週毎週こんな風になってしまって…。」
「もう…。また謝ったりして。私は佑人さんがこうなって下さって嬉しいんですよ。何も気になさることはありません。」
有妃は頭を下げる俺を見て優しく笑ってくれた。
もちろん以前から有妃に抱きしめられて、安らぎと心地よさに溺れはしていた。だが、今では満ち足りない何かが俺の心を突き動かすようだ。俺はためらうこと無く有妃の胸に顔を埋めた。極上の柔らかさと温かさ。甘酸っぱい匂いが顔を包む。
「うふふっ。とっても可愛いですよ…。佑人さんが甘えてくだされば、私はそれだけで大満足なんです。」
有妃は俺を安心させるように穏やかな声でささやく。何の心配もいらないとばかりに胸に抱き、蛇体の拘束を強める。たったそれだけの事で、荒れ狂う俺の心は平静を取り戻した。
そのまま俺は有妃に抱かれ続けた。心地よさに体を弛緩させ、惜しみなく与えてくれる愛情の中を漂う。有妃は幼児の様に身を委ねる俺を見て訥々と語り出した。
「謝らなければならないのは私の方ですよね。佑人さんが私に酷いことをしないなんて、わかりきっていたはずなのに。あのときは気持ちが抑えきれなくて、結局佑人さんを縛り付ける事になってしまいました…。」
「ううん…。君のことを理解しようとしなかった俺が悪いんだ。」
有妃は悲しそうに微笑むとかぶりを振った。
「あの。佑人さんつらかったら我慢しないで言ってくださいね!私が何でもしますから…。」
「有妃ちゃんのしたいことをしていいよって前から言っていたじゃないか。そんな気を遣ってくれなくても大丈夫だよ。」
「いいえ!私には責任があるんです。佑人さんは絶対に幸せにしますから…。後悔はさせませんから…。」
有妃はなだめる俺を無視して思い詰めたようにつぶやき続ける。労るように俺の頭を何度もなでてくれる。どことなく腫れ物に触るような手つきに、なぜか泣きたくなってしまう。
「ねえ有妃ちゃん。俺は有妃ちゃんと出会えたときから幸せなんだよ。こうして君と一つになれて嬉しいんだ。」
俺は有妃の手を取るとそっと握りしめた。有妃ははっとした表情を見せると俺の手を握り返してくれる。柔らかく繊細な手が心地よい。
「ありがとうございます佑人さん…。」
有妃は俯くと何度も頭を下げた。俺の全身を包む蛇体は再度拘束を強める。その温かさにいつしかまどろみに落ちていた。
有妃に抱きしめられながらの至福の昼寝だったが、それも目覚める時は来る。意識が戻った俺は相変わらず有妃の蛇体に包み込まれていた。目覚めに気がついた有妃は優しく笑ってくれた。
「おはようございます。お目覚めですか佑人さん?」
「………ん。」
有妃は俺を蛇体でぐるぐる巻きにしながら、何やらパソコンをいじっていた。俺は半分寝ぼけながら聞いてみる。
「何やっているの有妃ちゃん?」
「いえ。たいしたことじゃ無いんですけれどね。写真が色々溜まってしまったので整理しようかと思いまして。」
「へえ…。」
俺は何気なくパソコンの画面を見た。いくつもの画像データがあったが、たちまち目が釘付けになった。そこには美しい女性の姿があった。
健康的な小麦色の肌。さらさらのセミロングの黒髪。スタイルは抜群。そんな彼女は上品そうな紺のビジネススーツを着こなしていた。タイトなスカートから除く足はすらりと伸びている。つぶらな黒い瞳に良く通った鼻筋。驚くほど整った顔立ちだ。
写真は色々あったが、一番多いのはその美麗な女性の姿。彼女が周りの人達と談笑したり、仕事をしていたりする様子が何枚も写されていたのだ。旅行中と思われる写真もいくつかある。知らぬ間に見入ってしまった俺に、有妃は照れくさそうな笑みを見せた。
「ああ…。昔の私を見られるのはなんか恥ずかしいですねえ…。」
「ええっ!?これ有妃ちゃんなのっ!」
俺は驚きの声を上げた。
「まあ佑人さん。そんなに驚かれるなんてひどいです…。」
有妃は抗議するように口を尖らせた。でも、あまりにも目の前の有妃と違う。有妃は今でも必要に応じて人化の術を使っている。蛇体で無い姿を見るのは珍しいことでは無い。でも、白銀の髪と深紅の瞳、透き通るような肌…。魔性の美しさの有妃と、写真の清楚だが躍動感溢れる有妃とでは全く違う。
俺はつい何度も写真と目の前の有妃を見比べてしまった。確かに写真の女性は有妃の顔立ちなのだが…。困惑している俺の様子に有妃は苦笑する。
「もう…。わかりました!確かこの当時の服は残っているはずですから、今から着替えてきますねっ。」
「本当?」
「うふふっ。証拠を見せて差し上げますのでお待ちくださいね…。」
悪戯っぽい表情を見せると有妃は部屋を出て行った。
「ど…どうでしょう佑人さん?」
「………っ!」
どことなく不安な声が聞こえる。その方を見た俺は息をのんだ。写真の美しい女性がそのままの姿でそこにいた。艶やかな黒髪。整った目鼻立ち。健康的な肌。着ている紺のスーツはつややかだ。そして肉付きの良い長い足を包むストッキングがなんとも艶めかしい。俺は突然の美女の登場に言葉を失った。
「佑人さんっ。なんとかおっしゃってくださいよぉ…。」
その女性は恥ずかしそうな顔をして俺の目の前に近づくと、真正面から見つめてきた。
彼女の黒い瞳と目が合うと、久しく感じたことの無かった緊張を覚える。
「………。」
ここまで美しい…美しい人間姿の女性に近づかれるなんて今まで記憶に無い。今までの貧しすぎる女性経験ではなおさらだ。俺は目の前にいるのが誰かを一瞬忘れていた。
俺は何も言うことが出来ず黙り込んでしまう。目の前の女性はぎこちない様子を見て取ったのか朗らかに笑ってくれた。
「もしかして佑人さん緊張なさっているんですか?大丈夫!私は有妃ですよ。あなたの有妃ですから…。」
女性は俺の緊張を解きほぐすように優しく抱きしめ、労るように愛撫してくれる。彼女の心地よい香りに、いつもの優しい有妃の香りに包まれた俺は正気を取り戻した。
「そうだよね。有妃ちゃんだよね。俺も馬鹿だなあ…。有妃ちゃんに緊張したりして。」
「いいえ〜。佑人さんと初めてお目にかかった時を思い出して懐かしかったです。」
「そ、そう?」
「はい。とっても不安そうで護ってあげたくなりました。佑人さん可愛かったですよ!」
有妃はからかうようにくすくす笑うと頭を撫でてくれる。俺は苦笑いするしかなかった。
「まいったな…。で、有妃ちゃん昔はこの格好で仕事していたんだ?」
「ええ。会社では今ごらんの姿で勤めておりました。白蛇だという事は隠しておりましたので。」
有妃は俺に身を寄せて穏やかな眼差しで見つめてくれている。いつもの紅い宝石のような縦長の瞳孔とは違う黒い瞳が印象的だ。印象は変わっても有妃が優しい顔立ちの美人さんであることは変わらない。それが普通の人間の姿を取っていると、より親しみやすさが増すようだ。
こんな愛らしく気立ても良い美人なのだ。昔は間違いなくモテたはずだ…。俺はそう確信する。有妃は、私は変人だからみんなに嫌われていたと言っていたが、とても信じられない。立派な男は数多くいたはずなのに、俺のような者を選んでくれたのだ。こちらこそ有妃を幸せにしなければと責任感が沸いてきてしまう。
「んっ?どうしました佑人さん?何も心配なさることは無いのですよ。」
幾分強ばった表情になっていたのだろうか。有妃は俺の頭を抱いて慰めてくれた。俺も当然のように有妃を抱き返した。絹糸のような黒髪を手にとって優しくすく。手触りの良いスーツに包まれた体をそっとなで続ける。ほんのわずか有妃の呼吸が荒くなった。
気のせいだろうか。写真の有妃と比べて、若干体のラインが強調されているように感じる。豊かな胸と腰のくびれが目立ち、ストッキングに包まれた太ももがはち切れんばかりだ。
まるでAVに登場するようなエロいOLのよう。でも、日頃見られないむちむちの有妃の姿は大変よろしい。
「はぁ…。やっぱり昔と比べて太りましたねぇ…。」
有妃は自分の姿に目をやりため息をついた。
「そう?全然そんな風に見えないけれど。」
全く気にならないと言う俺に有妃は呆れたような表情を見せた。
「またまた佑人さんったら!うわあぱっつんぱっつんだあ…。とでも言いたそうな目で見ていたじゃ無いですか・・・。」
「待ってよ。でも、有妃ちゃんすごい素敵だから…」
「いいわけは駄目ですよぉ…。」
慌てて否定する俺に有妃はそっとキスをして口を塞いだ。これはいつもと変わらない有妃の瑞々しい唇を感じる。しばらくは互いの唇を吸い合っていたが、やがて音も無く離れた。
「有妃ちゃん…。」
「何度も言っていますよ。私に嘘は通じませんって。もうおわかりいただいていると思ったのですか…。」
有妃は生真面目な様子だ。俺を見つめる視線を感じると、初めて白蛇の炎を入れられたときの事を思い出してしまった。あのときの冷酷な有妃の眼差しは今でも忘れられない。
それでも有妃は笑って許してくれた。だが、時折見せる有妃の視線に「馬鹿なことをすれば今度こそ許しませんよ。」と言いたげなものを感じてしまうのは気のせいだろうか。
俺はいやが上にも色々な事を思い出してしまった。若干沈んだ気分を晴らしてくれる様に、有妃は陽気に言ってくれる。
「うふふっ。でも私が太ってしまったのは半分佑人さんのせいなんですよ!」
「えっ!?俺のせいなの?」
思いもよらぬ言葉で驚く。もしかして有妃と一緒に晩酌するとき、そのとき色々食べてしまう事でも言っているのだろうか…。有妃は恥ずかしそうに頬を染めた。
「はい。これは幸せ太りです。佑人さんと一緒になれて私はずっと幸せですから…。」
有妃は華やかな笑みを浮かべた。深い想いを込めた言葉と眼差し。
感極まった俺は、柔らかな体をそっと抱きしめた。
「有妃ちゃん…。ここでそんなこと言うなんてずるいよ…。」
「いいんですよ〜。白蛇は大切な旦那様を放さないためなら何だって言うものですから。」
「ずるいけど…。でもありがとう。」
有妃は優しく俺を抱き返してくれる。普段の蛇体の抱擁とはまた違う感触に俺は溺れてしまった。
「ありがとう有妃ちゃん。良いもの見せてもらったよ。」
長い抱擁の後、俺は有妃から身を引こうとした。だが有妃はそんな様子を見て、さも意外だといった顔をする。
「え?これで終わりなんですか?」
「うん。いつもと違った有妃ちゃんを見られて幸せだよ。」
「そのお言葉は嬉しいですけれど…。」
有妃はどうも納得いかないとばかりに眉をひそめる。だが、何かに思い当たったかのように瞳に労りの色を浮かべた。
「余計な気を遣わせてしまいましたね。申し訳ありません佑人さん。」
「有妃ちゃん…。」
どことなく悲しく笑う有妃を見て、俺はまた自分の気持ちを読まれたことに気がついた。ラミア属の白蛇である有妃だ。普段の姿とは異なる足のある姿を求めては、彼女を傷つける事になるのでは無いか。そんな事を考えてしまったのだ。実際日頃夫婦の交わりをするときも、足のある状態では全くした事は無い。
「ねえ佑人さん。この姿の私も、いつもの姿の私も、どちらも本当の私なのですよ。ですから佑人さんが私自身に欲情して下さるだけで嬉しいのです。」
でも有妃は何も心配いらないと優しく諭してくれる。したいことをしてくれていいと熱っぽく語ってくれる。その姿を見た俺はほっと一息ついた。
「有妃ちゃんに嫌な思いをさせたく無かったんだ…。」
「ええ!お気持ちは十分わかっておりますよ。佑人さんやっぱり可愛いです!何も気にしないでいいのに気遣って下さって。」
嬉しそうにニコニコしている有妃を見て俺も安心する。それじゃあ早速と思ったが、ふと気がついた。そもそもこんなシチュエーションはほとんど経験が無い…。
俺の仕事の関係上、スーツ姿のビジネスパーソンの女性自体が非日常の存在だ。
当然のごとくプライベートでもそんな女性に知り合いはいなかった。
エロいスーツ姿の美女の有妃だ。興奮しないわけが無い。だが、その興奮をどうやってぶつけていいものか・・・早い話どうヤッていいのか戸惑ってしまう。俺は体を硬直させ続ける。
全く俺は対女性経験値ゼロだ…。いつもの事ながら辟易していると、有妃が優しく語りかけてきた。
「佑人さんお困りのようですから…普段の姿に戻りましょうか?」
せっかく有妃がくれたご褒美を不意にするなんてとんでもない!俺は何度もかぶりを振る。
「いや!全然困っていないから!今のままの姿でいて欲しいよっ。」
狼狽する俺の姿を有妃はまじまじと見つめていたが、やがて悪戯っぽい笑みを見せた。
「ああ。なるほど…。大丈夫ですよ!佑人さんがご自身の気持ちに正直になられるようにして差し上げますねっ。」
若干意地悪な様子の笑みを崩さずに有妃は右手を前に差し出した。その途端、可憐な指先から青白い炎めいたものが生じた。もう見慣れてしまった有妃の魔力。白蛇の炎だ。
思わぬ事をされて俺は声を上げた。
「え!?ちょっと待ってよ。それ昨日してもらったばかりだし、入れられると結構疲れるから。」
「何もご心配なく…。佑人さんのお世話は全て私がして差し上げます。栄養補給や健康管理も万全ですので。ゆっくりして下さればよいのですよ!」
「だから明日は仕事なんだよ。」
その言葉通りに有妃は色々世話を焼いてくれる。俺はただ甘えていれば良い。だが翌日は仕事なのにこんなことされると体が持たない。急いで指摘した俺に有妃は鷹揚にうなずいた。
「もちろん明日はお休みですよ。桃里さんには私から申し上げますのでご安心下さい!」
「それは確かに有給取れるけど…。」
「ですから佑人さんは何も気兼ねなく気持ちよくなってくださいね。獣のような佑人さんもすごく素敵ですので!」
有妃の表情は蕩けていた。信じられないほど妖艶な眼差しで。しかも性を強調するスーツ姿で手に青い炎を煌めかせているのだ。まるで世に隠れた炎の能力者のようだ・・・。
目の前の有妃がファンタジーの存在でもあるように俺は目を見開いた。
「ん?そんな素敵な顔されると色々したくなっちゃうじゃないですか…。」
さもうまそうだと言わんばかりに有妃は舌なめずりをする。
「いやいや違うから!」
魔力を入れられれば圧倒的な快楽と万能感だ。気持ちが高揚し本能剥き出しになってしまうが、有妃は愛情深く受け入れてくれる。魔力が抜けた後の不安定な俺も、有妃は優しく抱いて癒やしてくれる。ただ、魔力プレイの後は疲労が半端ないというだけで。
「ちょっと待ってよ有妃ちゃん!」
「よろしいのですよ。佑人さんの全ては私が喜んで受け入れますから。存分に堪能なさってくださいね!」
週末のお楽しみの魔力プレイだが、二日続けては正直きつい。拒む俺を無視して有妃は燃える手を近づける。有妃は反対側の手でしっかり俺を抱擁している。美麗なスーツ姿に似合わず、拘束力の強さはラミア属そのままだ。逃げようにも逃げられない。
「それじゃあ。えいっ!」
はしゃぐように笑う有妃の青く輝く手が俺に触れた。
心身が熱く燃えたぎり、それでいて妙に冴え渡るような感触。俺に触れた有妃の手から全身に広がった。その瞬間、心にあった色々煩わしく細々した思いが嘘のように消え去った。たちまち猛烈な欲望が沸き起こり、目の前にいる美しい女を犯したくなる。
そうだ。俺はこのメスを好きなように食らえばいい………
「さあ。存分にお好きなことをなさってくださいねっ!」
「もう…。知らないからな有妃!」
歓喜に震える有妃に言葉を吐き捨てると俺はすぐさま襲いかかった。しっかり頭を抱きかかえると口づけする。執拗に唇を吸い強引に舌を侵入させる。
「むっ…。うっ…。」
うめく有妃にかまわずに舌を絡め合い、音を立てて吸い、唾液を交わらせた。
「ちゅっ…。ぴちゅ…。ぴちゃ…。」
唾液でぬめる唇と舌が気持ちよくて、俺は延々と有妃の口を貪り続ける。有妃も俺に応えて夢中になって唇舌を吸い続けてくれた。ずっと味わっていたかったが、官能的な有妃の体はそれを許さずに俺を目移りさせる。
俺は豊かに張った有妃の胸に手をやり執拗にもみしだいた。手になじむ弾力感が心地よい。スーツとブラウスのボタンを乱暴に外し、ブラを上に上げると桜色の乳首に吸い付いた。普段は優しく舐めるように吸うのだが、今は欲望のままに乱暴に吸い上げる。舌で転がし何度も吸い上げた。
「っう…。あぅ。佑人さぁんっ!それ、いいですよぉっ!」
有妃は甘い声で喘いでくれる。泣くようなその声が耳に心地よくて、俺はさらに激しく吸い続けた。
・・・
・・・
豊満な胸を存分に味わった俺は、満足する間もなく有妃に命じる。
「有妃。ソファに座って。」
「これにですか?」
「いいから!」
怪訝な様子の有妃をせかしてソファに座らせた。俺は有妃の下半身をじっと見つめる。
紺のタイトなスカートから膝下がすらりと伸びている。長い足を包むストッキングはつやつやと輝いている。先ほど見たように体のラインが浮き出ており、大変にエロチックだ。俺は有妃の両足に手をやると半ば強引に広げた。
「あっ!佑人さんダメですよ!」
制止する有妃を無視して俺はスカートの中をのぞき込んだ。有妃の秘部の濃い匂いがむっと顔を包む。肉付きが良い太ももはぴっちりとストッキングに覆われていた。俺は何度も撫でて手触りと弾力感を楽しむ。さらさらの感触と肉の密度が心地よい。
肌色のストッキングは、有妃の花弁を隠す純白の下着を覆っていた。だが花弁からは蜜が大量に溢れ出して、下着とストッキングを濡らしている。まるでお漏らしでもしているような淫猥さだ。
「佑人さんっ。そんなに見られると恥ずかしいですから…。」
有妃は小声でつぶやくと頬を染めた。
「何言ってるんだよ?俺にこうされたくて魔力を入れたくせに!」
俺はあざ笑う。下着の上から有妃の割れ目に指を押し入れようと強くねじ込んだ。
「ひいっ!そんなの駄目ですよぉ!」
濡れたような声で有妃は嘆いた。俺はもっとこのメスの淫らな姿を見たくなる。有妃の尖った女芯は下着の上からでもはっきりとわかった。迷わずぐいっとつまみ上げる。
「ぐうっ!」
一瞬獣のような声を上げると有妃は顔をのけぞらせた。下半身ががくがく震え大量の液体が下着からあふれ出す。俺はそのまま延々と有妃の肉芽をこね回した。堅く尖った突起を揉みほぐすように念入りにマッサージする。
「こんなに漏らして気持ちいいか?気持ちいいのか有妃っ!」
「ひぎっ!いいですっ…。佑人さあんっ…。もっとこりこりしてぇっ!」
いつしか有妃も快楽に飲み込まれていた。泣くように声を上げて何度も哀願している。
淫らなその様子は俺にとっても喜ばしい事だ。有妃はこんな痴態は絶対に俺にしか見せないのだから。
だが、今の幸せな日々は、あくまでも幸運に過ぎないのだ…。
堕落神か愛の神が悪戯心を起こしたのか、逆に俺を憐れんでくれたのだ…
そうでなければこの素晴らしいひとと一緒になれる訳は無い…
有妃のよがる様子を眺めながらそう思う。
俺と有妃は夫婦になり、こうして肌を重ねる仲となった。だが有妃が身の回りにいる優れた男を選んでいた可能性は十分にある。有妃がこのスーツ姿で同僚の男とオフィスでヤりまくる。そんな事もあったかもしれないのだ…。
有妃は虚ろな眼差しで乱れている。先ほどの俺を選んでくれてありがたい。といった前向きの気持ちとは異なる思い。暗い負の感情に嫌でも駆られてしまう。
自分でも意識せずに言葉が口をついた。
「有妃は俺のものだ。有妃は俺のものだからなっ!」
俺は悲鳴に近い絶叫をあげる。呆然とした表情の有妃にかまわず腰を抱え込む。ストッキングを破り捨て、下着を無理矢理ずらす。
「足を上げて有妃…さあ早くっ!」
「はっ。はいっ!」
邪魔な下着を脱がせようと有妃をせかす。有妃は焦燥感に駆られた俺につられて慌てて足を上げた。俺は下着を脱がすと、急いで有妃の股間に顔を埋める。肉ひだは震え、先ほど以上に甘く強い匂いを放っていた。
俺は蜜を満々と湛えている花弁を舐めあげた。舐めれば舐めるほど粘液はどろどろと溢れ出す。有妃の味はいつも以上に濃く淫らだ。濃厚な匂いと味わいに、ますます理性が崩壊するようだ。俺は普段なら丁寧に奉仕する過程を一気に飛ばして、艶やかに光る肉芽に吸い付いた。
「うあああっ!だめえっ!突然そんなのダメですよぉ!」
有妃の体が一瞬ぶるりと震える。俺はかまわずに芯を一心不乱に吸い続けた。有妃は絞り出すような叫びを上げ続けているが、それが暗い喜びを満足させる。さらに興奮した俺は有妃の一番敏感な場所の皮をむいて責めを続けた。
「だっ。だめだめっ!激しすぎますよぉ佑人さんっ!そんなにされたら私、もうっ…。」
有妃は快楽をこらえるように俺の頭をぎゅっと抱いている。甲高い声で哀願するのを無視して、俺はとどめとばかりに音を立てて吸い上げた。有妃の体が電気に打たれたように跳ね上がる。
「ぐうっ!いぐ!いぐうっ!」
有妃は獣のように吠えると体をがくがく震わせた。絶頂に達して粘液を吹き出し延々と痙攣し続ける。俺は遠慮無く秘部を吸って、舐めて、妖女の体液を貪り続けた。有妃は若干錯乱したように声を上げる。
「ゆ…佑人さん少し待って!イったばかりだからあ…っひいいいっ!」
達したばかりで快楽が強すぎるのだろうか。先ほどまでは抱きしめていた俺の頭を有妃は引き離そうとした。だが俺は熟れた白桃のような尻をしっかり抱え込み、放されまいと抵抗する。快楽を拒んだ罰として、濁った花蜜を吐き出し続ける花弁に指を突き入れた。ぬめる内部の敏感で膨れた場所を探し当てて、いやらしくも激しくこすり始める。
「いっ…いやああああ!今はそれ勘弁してぇ!お願い佑人さあんっ!」
有妃の絶叫が耳に響き渡るが、それがまた最高に気分良い。いつもは優しく穏やかな美声で俺に語りかけてくれる有妃。その有妃が淫獣のように吠えて快楽に溺れているのだ。嬉しくないはずが無い。俺は我を忘れて有妃を責める。
「だっだめええっ!そんなにされるとなんか出ちゃいそう…。だからお願いっ!」
俺は必死に制止する有妃をなおも無視した。熱く指に絡みつく肉壺をいじり、ぷっくりと肥大した肉芽をちゅうちゅう吸う。ふいに思いつき割れ目から指を抜くと、濁った液でずぶ濡れになっている。俺はそれを有妃の尻穴に突っ込むと、何度も前後に抽挿した。
とうとう崩壊は訪れた。
「ぎいいっ!おしりでいぐ!いっぐううっ!いっぐうううううっ!」
有妃は絶頂に達すると、今まで聞いたことが無いほどの凄まじいわめき声を上げた。全身を激しく痙攣させ、貝のような肉襞から潮を大量に噴出させた。すでに理性が崩壊していた俺は、顔に降り注ぐ絶頂の証を存分に貪る。だがそれでは到底満足できなかった。股間を口で吸い、淫らにわななく肉と溢れる汁を同時に味わった。
「ひ…。ひいっ…。ひいっ…。ひいっ…。」
有妃は異様なうめき声を上げていたが、やがてその体が光に包まれ始めた。全身の色素が抜けるように落ちていき、白銀の髪と紅い瞳、透き通るような肌色に変わる。すらっと伸びた両足も溶解して一つになり、長い蛇のような体を形作る。気がつけば普段通りの有妃の姿がそこにあった。
「はーっ。はーっ。はーっ。」
快楽のあまり人化の術が解けたのだろうか?ぐったり横になり荒い息をついている有妃を、俺は黙って見つめ続けた。心に満ちる妙な征服欲を堪能していたが、それに浸る間もなかった。有妃はすぐに起き上がって俺を抱きしめると、蛇体で俺をぐるぐる巻きにしたからだ。
「うわっ!ちょっと有妃!」
有妃の深紅の眼差しからは、到底俺を食らい足りないという欲望と歓喜がうかがえた。蕩けるような声で情欲をぶつけてくる。
「うふふっ。ここまで気持ちよくして下さって嬉しいですよっ…。次は私の番ですねぇ…。佑人さんにも十二分に楽しんでいただきますので…。」
まだ俺の体からは白蛇の魔力は全く抜けていなかった。それと欲情した有妃の体と体液が発する甘く淫らな匂い。頭の中が麻痺する強烈な淫臭に包まれた俺は、当然の様にこう言い放ってしまう。
「無論だよ有妃。満足させてくれなければ困るからな!」
「ご安心ください…。ご満足頂くまで何百回でも搾り取って差し上げますから。」
「ああ。期待してる…。」
有妃は俺をそっと押し倒す。俺達はたちまち終わりの無い悦楽の泥沼に堕ちていった……。
「ん〜。有妃ちゃあん…。」
「よしよし佑人さん。お疲れ様でした。とっても素敵でしたよ!」
あれから魔物娘の本気を出した有妃にいったいどれだけ絞られたのだろうか。
白蛇の魔力もインキュバスの体力も尽きた俺は、いつしか意識を失っていた。
正気を取り戻した時は申し訳なさそうな有妃に抱きしめられていたのだ。
それからはいつも通りに甲斐甲斐しく世話をされて、俺はただ有妃に甘えている。
優しい蛇体の抱擁と労りの愛撫にひたすら溺れる。
「有妃ちゃん気持ちいいよお…。」
「いいんですよ。眠いのならこのままお休みくださいね!」
「うん…。」
温かい有妃に包まれてしばらく夢心地だったが、やがて有妃は柔らかくつぶやいた。
「ふふっ…。今日も佑人さんとってもかっこ良かったです…。」
「そ、そう?」
首をかしげる俺に有妃は満面の笑顔を見せてくれた。
「はい。有妃は俺のものだ!っておっしゃってくれたじゃないですか!それを聞いただけで私は軽くイっちゃたぐらいですからっ。」
あのときは白蛇の炎を注ぎ込まれて異様な状態だったのだ。有妃に激しい事もしてしまった。すでに白蛇の魔力は抜けていた俺だ。色々な気持ちが抑えきれずに有妃の胸に顔を埋める。
「今日はごめん。有妃ちゃん嫌じゃ無かった?」
「もう!すごく良かったに決まっているじゃないですか!謝らなければならないのは私のほうなのに…。」
有妃は慰めるように頭をぽんぽんしてくれた。やがて気持ちも落ち着いた俺を見て有妃は続けた。
「ねえ…。私もう一度聞きたいです!あのお言葉もう一度おっしゃてくれませんか?」
「何を言うの?」
「有妃は俺のものだ!って言ってください!」
思わぬ事になり俺は目を丸くしてしまう。
「いや…でも…。」
「ね。お願いします佑人さん!」
俺を真正面から見つめる有妃の表情は期待に満ちていた。あの言葉はもちろん俺の本心だ。でも半ば錯乱状態の時は言えても、冷静になった今ではかなり恥ずかしい。
「また素敵な佑人さん見たいですよぉ…。」
有妃はじっと俺を見つめ続けている。こんな訴えかける様な顔をされたのでは到底嫌とはいえない。俺はかるくため息をついた。
「わかったよ。有妃ちゃん…」
「めっ!有妃ちゃん、じゃなくて有妃、ですよ!」
冗談っぽく顔をしかめると有妃は人差し指を俺の唇に当てた。
「ごまかそうとしてもダメですからねっ。ちゃんとおっしゃってください!」
「うう〜ん…。」
今でも有妃の事を呼び捨てにするのには全く慣れない。うめく俺に有妃は笑顔で促す。
「佑人さんに有妃って呼ばれると私とっても嬉しいのに…。」
俺はほぞを固めると息を飲んだ。
「有妃…は俺のもの…でいて欲しいな………。ごめんもうダメ!これで限界だから!」
さすがに堂々と断言するのは無理だ…。言葉を濁した俺は叫んで何度もかぶりを振った。
「有妃ちゃん大好きとか君に食べられたいとか俺の事は有妃ちゃんの好きにしていいではダメなの?」
上目遣いの情けない俺を見て、有妃は仕方ないなあとでも言いたそうに苦笑した。
「あらあら、すっかりいつもの佑人さんですねぇ…。でもそんな佑人さんとっても可愛いので許してあげますねっ!」
有妃は再び俺を胸に抱くと何度も頭を撫でてくれる。まるで心優しい姉がダメな弟を慰めるように。まあ、これがいつもの有妃と俺の関係なのだ。別にそれでいいのだ…。
「よしよし佑人さん。有妃はあなたしか見つめていませんからご心配なく!あなたが私の全て。あなたが私の生きがい。あなたが私の命そのものなのですから…。
大丈夫!佑人さんのお気持ちは全てわかっておりますから…。お言葉嬉しかったですよ…。」
有妃は俺の全身を蛇体で包み込む。語りかける声は深い愛情が込められている。俺は体を弛緩させ有妃に全てを委ねた。
その後は有妃に包みこまれて終わってしまったような気がする。抱きしめられていないときは有妃に食事や風呂の世話をされた。俺がうとうとすると抱きかかえられてベッドまで運ばれた。最近ではすっかりあたりまえになってしまったのだが…。
今は有妃に抱かれながら寝る前のひととき。明日も有給が取れたので気分は楽しい。有妃と何気ないおしゃべりをしているが、これもまた楽しい。
「それはそうと佑人さんがコスプレ好きだったなんて知らなかったですよ。言ってくだされば良かったのに…。でも、ごめんなさい。今まで気がつくことが出来なくて…。」
俺の髪をそっと撫でながら有妃はすまなそうに言った。先ほどのOLプレイ?の事だろう。温かく柔らかい手触りを愉しんでいた俺は慌てて否定した。
「まってよ。有妃ちゃんがしてくれるから良いんであって、別にコスプレ好きとかそんなんじゃないからっ!」
「いいえ〜。何も遠慮なさらないで下さいね…。そうです!実家の母が昔巫女をしていたんです!母に服を借りて巫女さんプレイなんてどうでしょう?
それとも佑人さんの昔のお嫁さんの。テレビの中にいるお嫁さんのコスプレでもしましょうか?あの双子のリリムのコスプレなんて良さそうですねぇ。」
何か勘違いしたのか有妃は大はしゃぎで勧めてくる。個人的に二次元のものを三次元にされても違和感を覚えてしまうほうだ。コスプレにはさほど興味は無かった。
無論有妃のようなスタイルの良い美人なら何を着せても似合うはず。夫の欲目なのだろうが、間違いなくその確信がある。
有妃が喜んでしてくれるのなら、コスプレもまた楽しいだろう。
でも、少なくとも今は気が乗らない。それが無くても心を満たすものがあるのだから…。
俺は一つ咳払いして言う。
「いや。本当にいいんだよ。」
「佑人さん。私の足のこと、まだ気になさっているのですか?」
気遣うよう眼差しの有妃に俺はそっと首を横に振った。
「ううん。そうじゃないんだ…。有妃ちゃんにこうしてぎゅってされて、ぐるぐる巻いてもらえるとすごく安心するんだ。全てを守られているようでほっとするんだ。
だから今はそれを愉しむだけで十分かな。ほかのものはいらないんだよ…なんて。」
恥ずかしい台詞を言ってしまって照れくさい。俺は有妃の視線から逃れてしまう。
少し黙っていた有妃だったが、やがてかすれた声で訥々と言った。
「あの…。私はこの間佑人さんを、この体で…締め付けてしまいました。酷いことをして…怖がらせてしまいました。その私に…そこまでおっしゃて下さるのですか?」
俺に白蛇の魔力を入れた時の事は、まだお互い完全に消化しきれないのだ。そんな時の有妃は、蛇体を丸めて申し訳なさそうに縮こまってしまう。今も申し訳なさそうに俯く有妃に俺はそっと口づけした。
「怖い有妃ちゃんも素敵だったから…。」
「もう…。私に嘘は通じないんですよ。でも佑人さんこそこんな事言うなんて反則です。」
顔を上げた有妃は切なそうに微笑むと、蛇体の巻き付きを強めて抱擁してくれた。
優しく温かいが絶対に放すことの無い。白蛇の拘束による愛情。
今の俺はこれさえあれば何もいらない。
「ありがとうございます…。本当にありがとうございます…。」
有妃は俺を抱いて泣きそうな声でつぶやき続ける。いつしか俺も有妃の声を子守歌にして、穏やかな眠りに堕ちていった。
「よしよし佑人さん。大丈夫ですよ〜。何も心配しないでくださいね。私がずうっとこうして差し上げますから…。」
休日の昼下がり、俺はひたすら有妃に甘え続ける。甘いうずきと切なさを抑えきれずに、愛する人の肉体を抱きしめ続ける。有妃もそんな俺を当然のように受け入れて、蛇体に優しく包み込んでくれている。俺を愛撫する手も心地よい。今にも心がとろけそう。
前日は当然のように有妃に魔力を入れられていた。数え切れないほど有妃の中で精を吐き出していた。今は暴風のような欲情は治まっていたが、有妃を求める渇望感は静まることは無かった。張り裂けそうな気持ちのままに俺は有妃に溺れる。
浮気を疑われたあの日。初めて有妃に白蛇の炎を入れられてから、それが今では当たり前になってしまった。毎週のように魔力を注がれ続け、今では依存状態になってしまっている。すさまじい快楽と気持ちの高揚感を拒むことは出来ない。
また、俺に魔力を入れた日を境にして、有妃の不安定な様子は嘘のように治まった。これは本当に幸いだった。有妃が日々を穏やかに過ごしてくれることが何より大切なのだから。
「ごめんね有妃ちゃん。毎週毎週こんな風になってしまって…。」
「もう…。また謝ったりして。私は佑人さんがこうなって下さって嬉しいんですよ。何も気になさることはありません。」
有妃は頭を下げる俺を見て優しく笑ってくれた。
もちろん以前から有妃に抱きしめられて、安らぎと心地よさに溺れはしていた。だが、今では満ち足りない何かが俺の心を突き動かすようだ。俺はためらうこと無く有妃の胸に顔を埋めた。極上の柔らかさと温かさ。甘酸っぱい匂いが顔を包む。
「うふふっ。とっても可愛いですよ…。佑人さんが甘えてくだされば、私はそれだけで大満足なんです。」
有妃は俺を安心させるように穏やかな声でささやく。何の心配もいらないとばかりに胸に抱き、蛇体の拘束を強める。たったそれだけの事で、荒れ狂う俺の心は平静を取り戻した。
そのまま俺は有妃に抱かれ続けた。心地よさに体を弛緩させ、惜しみなく与えてくれる愛情の中を漂う。有妃は幼児の様に身を委ねる俺を見て訥々と語り出した。
「謝らなければならないのは私の方ですよね。佑人さんが私に酷いことをしないなんて、わかりきっていたはずなのに。あのときは気持ちが抑えきれなくて、結局佑人さんを縛り付ける事になってしまいました…。」
「ううん…。君のことを理解しようとしなかった俺が悪いんだ。」
有妃は悲しそうに微笑むとかぶりを振った。
「あの。佑人さんつらかったら我慢しないで言ってくださいね!私が何でもしますから…。」
「有妃ちゃんのしたいことをしていいよって前から言っていたじゃないか。そんな気を遣ってくれなくても大丈夫だよ。」
「いいえ!私には責任があるんです。佑人さんは絶対に幸せにしますから…。後悔はさせませんから…。」
有妃はなだめる俺を無視して思い詰めたようにつぶやき続ける。労るように俺の頭を何度もなでてくれる。どことなく腫れ物に触るような手つきに、なぜか泣きたくなってしまう。
「ねえ有妃ちゃん。俺は有妃ちゃんと出会えたときから幸せなんだよ。こうして君と一つになれて嬉しいんだ。」
俺は有妃の手を取るとそっと握りしめた。有妃ははっとした表情を見せると俺の手を握り返してくれる。柔らかく繊細な手が心地よい。
「ありがとうございます佑人さん…。」
有妃は俯くと何度も頭を下げた。俺の全身を包む蛇体は再度拘束を強める。その温かさにいつしかまどろみに落ちていた。
有妃に抱きしめられながらの至福の昼寝だったが、それも目覚める時は来る。意識が戻った俺は相変わらず有妃の蛇体に包み込まれていた。目覚めに気がついた有妃は優しく笑ってくれた。
「おはようございます。お目覚めですか佑人さん?」
「………ん。」
有妃は俺を蛇体でぐるぐる巻きにしながら、何やらパソコンをいじっていた。俺は半分寝ぼけながら聞いてみる。
「何やっているの有妃ちゃん?」
「いえ。たいしたことじゃ無いんですけれどね。写真が色々溜まってしまったので整理しようかと思いまして。」
「へえ…。」
俺は何気なくパソコンの画面を見た。いくつもの画像データがあったが、たちまち目が釘付けになった。そこには美しい女性の姿があった。
健康的な小麦色の肌。さらさらのセミロングの黒髪。スタイルは抜群。そんな彼女は上品そうな紺のビジネススーツを着こなしていた。タイトなスカートから除く足はすらりと伸びている。つぶらな黒い瞳に良く通った鼻筋。驚くほど整った顔立ちだ。
写真は色々あったが、一番多いのはその美麗な女性の姿。彼女が周りの人達と談笑したり、仕事をしていたりする様子が何枚も写されていたのだ。旅行中と思われる写真もいくつかある。知らぬ間に見入ってしまった俺に、有妃は照れくさそうな笑みを見せた。
「ああ…。昔の私を見られるのはなんか恥ずかしいですねえ…。」
「ええっ!?これ有妃ちゃんなのっ!」
俺は驚きの声を上げた。
「まあ佑人さん。そんなに驚かれるなんてひどいです…。」
有妃は抗議するように口を尖らせた。でも、あまりにも目の前の有妃と違う。有妃は今でも必要に応じて人化の術を使っている。蛇体で無い姿を見るのは珍しいことでは無い。でも、白銀の髪と深紅の瞳、透き通るような肌…。魔性の美しさの有妃と、写真の清楚だが躍動感溢れる有妃とでは全く違う。
俺はつい何度も写真と目の前の有妃を見比べてしまった。確かに写真の女性は有妃の顔立ちなのだが…。困惑している俺の様子に有妃は苦笑する。
「もう…。わかりました!確かこの当時の服は残っているはずですから、今から着替えてきますねっ。」
「本当?」
「うふふっ。証拠を見せて差し上げますのでお待ちくださいね…。」
悪戯っぽい表情を見せると有妃は部屋を出て行った。
「ど…どうでしょう佑人さん?」
「………っ!」
どことなく不安な声が聞こえる。その方を見た俺は息をのんだ。写真の美しい女性がそのままの姿でそこにいた。艶やかな黒髪。整った目鼻立ち。健康的な肌。着ている紺のスーツはつややかだ。そして肉付きの良い長い足を包むストッキングがなんとも艶めかしい。俺は突然の美女の登場に言葉を失った。
「佑人さんっ。なんとかおっしゃってくださいよぉ…。」
その女性は恥ずかしそうな顔をして俺の目の前に近づくと、真正面から見つめてきた。
彼女の黒い瞳と目が合うと、久しく感じたことの無かった緊張を覚える。
「………。」
ここまで美しい…美しい人間姿の女性に近づかれるなんて今まで記憶に無い。今までの貧しすぎる女性経験ではなおさらだ。俺は目の前にいるのが誰かを一瞬忘れていた。
俺は何も言うことが出来ず黙り込んでしまう。目の前の女性はぎこちない様子を見て取ったのか朗らかに笑ってくれた。
「もしかして佑人さん緊張なさっているんですか?大丈夫!私は有妃ですよ。あなたの有妃ですから…。」
女性は俺の緊張を解きほぐすように優しく抱きしめ、労るように愛撫してくれる。彼女の心地よい香りに、いつもの優しい有妃の香りに包まれた俺は正気を取り戻した。
「そうだよね。有妃ちゃんだよね。俺も馬鹿だなあ…。有妃ちゃんに緊張したりして。」
「いいえ〜。佑人さんと初めてお目にかかった時を思い出して懐かしかったです。」
「そ、そう?」
「はい。とっても不安そうで護ってあげたくなりました。佑人さん可愛かったですよ!」
有妃はからかうようにくすくす笑うと頭を撫でてくれる。俺は苦笑いするしかなかった。
「まいったな…。で、有妃ちゃん昔はこの格好で仕事していたんだ?」
「ええ。会社では今ごらんの姿で勤めておりました。白蛇だという事は隠しておりましたので。」
有妃は俺に身を寄せて穏やかな眼差しで見つめてくれている。いつもの紅い宝石のような縦長の瞳孔とは違う黒い瞳が印象的だ。印象は変わっても有妃が優しい顔立ちの美人さんであることは変わらない。それが普通の人間の姿を取っていると、より親しみやすさが増すようだ。
こんな愛らしく気立ても良い美人なのだ。昔は間違いなくモテたはずだ…。俺はそう確信する。有妃は、私は変人だからみんなに嫌われていたと言っていたが、とても信じられない。立派な男は数多くいたはずなのに、俺のような者を選んでくれたのだ。こちらこそ有妃を幸せにしなければと責任感が沸いてきてしまう。
「んっ?どうしました佑人さん?何も心配なさることは無いのですよ。」
幾分強ばった表情になっていたのだろうか。有妃は俺の頭を抱いて慰めてくれた。俺も当然のように有妃を抱き返した。絹糸のような黒髪を手にとって優しくすく。手触りの良いスーツに包まれた体をそっとなで続ける。ほんのわずか有妃の呼吸が荒くなった。
気のせいだろうか。写真の有妃と比べて、若干体のラインが強調されているように感じる。豊かな胸と腰のくびれが目立ち、ストッキングに包まれた太ももがはち切れんばかりだ。
まるでAVに登場するようなエロいOLのよう。でも、日頃見られないむちむちの有妃の姿は大変よろしい。
「はぁ…。やっぱり昔と比べて太りましたねぇ…。」
有妃は自分の姿に目をやりため息をついた。
「そう?全然そんな風に見えないけれど。」
全く気にならないと言う俺に有妃は呆れたような表情を見せた。
「またまた佑人さんったら!うわあぱっつんぱっつんだあ…。とでも言いたそうな目で見ていたじゃ無いですか・・・。」
「待ってよ。でも、有妃ちゃんすごい素敵だから…」
「いいわけは駄目ですよぉ…。」
慌てて否定する俺に有妃はそっとキスをして口を塞いだ。これはいつもと変わらない有妃の瑞々しい唇を感じる。しばらくは互いの唇を吸い合っていたが、やがて音も無く離れた。
「有妃ちゃん…。」
「何度も言っていますよ。私に嘘は通じませんって。もうおわかりいただいていると思ったのですか…。」
有妃は生真面目な様子だ。俺を見つめる視線を感じると、初めて白蛇の炎を入れられたときの事を思い出してしまった。あのときの冷酷な有妃の眼差しは今でも忘れられない。
それでも有妃は笑って許してくれた。だが、時折見せる有妃の視線に「馬鹿なことをすれば今度こそ許しませんよ。」と言いたげなものを感じてしまうのは気のせいだろうか。
俺はいやが上にも色々な事を思い出してしまった。若干沈んだ気分を晴らしてくれる様に、有妃は陽気に言ってくれる。
「うふふっ。でも私が太ってしまったのは半分佑人さんのせいなんですよ!」
「えっ!?俺のせいなの?」
思いもよらぬ言葉で驚く。もしかして有妃と一緒に晩酌するとき、そのとき色々食べてしまう事でも言っているのだろうか…。有妃は恥ずかしそうに頬を染めた。
「はい。これは幸せ太りです。佑人さんと一緒になれて私はずっと幸せですから…。」
有妃は華やかな笑みを浮かべた。深い想いを込めた言葉と眼差し。
感極まった俺は、柔らかな体をそっと抱きしめた。
「有妃ちゃん…。ここでそんなこと言うなんてずるいよ…。」
「いいんですよ〜。白蛇は大切な旦那様を放さないためなら何だって言うものですから。」
「ずるいけど…。でもありがとう。」
有妃は優しく俺を抱き返してくれる。普段の蛇体の抱擁とはまた違う感触に俺は溺れてしまった。
「ありがとう有妃ちゃん。良いもの見せてもらったよ。」
長い抱擁の後、俺は有妃から身を引こうとした。だが有妃はそんな様子を見て、さも意外だといった顔をする。
「え?これで終わりなんですか?」
「うん。いつもと違った有妃ちゃんを見られて幸せだよ。」
「そのお言葉は嬉しいですけれど…。」
有妃はどうも納得いかないとばかりに眉をひそめる。だが、何かに思い当たったかのように瞳に労りの色を浮かべた。
「余計な気を遣わせてしまいましたね。申し訳ありません佑人さん。」
「有妃ちゃん…。」
どことなく悲しく笑う有妃を見て、俺はまた自分の気持ちを読まれたことに気がついた。ラミア属の白蛇である有妃だ。普段の姿とは異なる足のある姿を求めては、彼女を傷つける事になるのでは無いか。そんな事を考えてしまったのだ。実際日頃夫婦の交わりをするときも、足のある状態では全くした事は無い。
「ねえ佑人さん。この姿の私も、いつもの姿の私も、どちらも本当の私なのですよ。ですから佑人さんが私自身に欲情して下さるだけで嬉しいのです。」
でも有妃は何も心配いらないと優しく諭してくれる。したいことをしてくれていいと熱っぽく語ってくれる。その姿を見た俺はほっと一息ついた。
「有妃ちゃんに嫌な思いをさせたく無かったんだ…。」
「ええ!お気持ちは十分わかっておりますよ。佑人さんやっぱり可愛いです!何も気にしないでいいのに気遣って下さって。」
嬉しそうにニコニコしている有妃を見て俺も安心する。それじゃあ早速と思ったが、ふと気がついた。そもそもこんなシチュエーションはほとんど経験が無い…。
俺の仕事の関係上、スーツ姿のビジネスパーソンの女性自体が非日常の存在だ。
当然のごとくプライベートでもそんな女性に知り合いはいなかった。
エロいスーツ姿の美女の有妃だ。興奮しないわけが無い。だが、その興奮をどうやってぶつけていいものか・・・早い話どうヤッていいのか戸惑ってしまう。俺は体を硬直させ続ける。
全く俺は対女性経験値ゼロだ…。いつもの事ながら辟易していると、有妃が優しく語りかけてきた。
「佑人さんお困りのようですから…普段の姿に戻りましょうか?」
せっかく有妃がくれたご褒美を不意にするなんてとんでもない!俺は何度もかぶりを振る。
「いや!全然困っていないから!今のままの姿でいて欲しいよっ。」
狼狽する俺の姿を有妃はまじまじと見つめていたが、やがて悪戯っぽい笑みを見せた。
「ああ。なるほど…。大丈夫ですよ!佑人さんがご自身の気持ちに正直になられるようにして差し上げますねっ。」
若干意地悪な様子の笑みを崩さずに有妃は右手を前に差し出した。その途端、可憐な指先から青白い炎めいたものが生じた。もう見慣れてしまった有妃の魔力。白蛇の炎だ。
思わぬ事をされて俺は声を上げた。
「え!?ちょっと待ってよ。それ昨日してもらったばかりだし、入れられると結構疲れるから。」
「何もご心配なく…。佑人さんのお世話は全て私がして差し上げます。栄養補給や健康管理も万全ですので。ゆっくりして下さればよいのですよ!」
「だから明日は仕事なんだよ。」
その言葉通りに有妃は色々世話を焼いてくれる。俺はただ甘えていれば良い。だが翌日は仕事なのにこんなことされると体が持たない。急いで指摘した俺に有妃は鷹揚にうなずいた。
「もちろん明日はお休みですよ。桃里さんには私から申し上げますのでご安心下さい!」
「それは確かに有給取れるけど…。」
「ですから佑人さんは何も気兼ねなく気持ちよくなってくださいね。獣のような佑人さんもすごく素敵ですので!」
有妃の表情は蕩けていた。信じられないほど妖艶な眼差しで。しかも性を強調するスーツ姿で手に青い炎を煌めかせているのだ。まるで世に隠れた炎の能力者のようだ・・・。
目の前の有妃がファンタジーの存在でもあるように俺は目を見開いた。
「ん?そんな素敵な顔されると色々したくなっちゃうじゃないですか…。」
さもうまそうだと言わんばかりに有妃は舌なめずりをする。
「いやいや違うから!」
魔力を入れられれば圧倒的な快楽と万能感だ。気持ちが高揚し本能剥き出しになってしまうが、有妃は愛情深く受け入れてくれる。魔力が抜けた後の不安定な俺も、有妃は優しく抱いて癒やしてくれる。ただ、魔力プレイの後は疲労が半端ないというだけで。
「ちょっと待ってよ有妃ちゃん!」
「よろしいのですよ。佑人さんの全ては私が喜んで受け入れますから。存分に堪能なさってくださいね!」
週末のお楽しみの魔力プレイだが、二日続けては正直きつい。拒む俺を無視して有妃は燃える手を近づける。有妃は反対側の手でしっかり俺を抱擁している。美麗なスーツ姿に似合わず、拘束力の強さはラミア属そのままだ。逃げようにも逃げられない。
「それじゃあ。えいっ!」
はしゃぐように笑う有妃の青く輝く手が俺に触れた。
心身が熱く燃えたぎり、それでいて妙に冴え渡るような感触。俺に触れた有妃の手から全身に広がった。その瞬間、心にあった色々煩わしく細々した思いが嘘のように消え去った。たちまち猛烈な欲望が沸き起こり、目の前にいる美しい女を犯したくなる。
そうだ。俺はこのメスを好きなように食らえばいい………
「さあ。存分にお好きなことをなさってくださいねっ!」
「もう…。知らないからな有妃!」
歓喜に震える有妃に言葉を吐き捨てると俺はすぐさま襲いかかった。しっかり頭を抱きかかえると口づけする。執拗に唇を吸い強引に舌を侵入させる。
「むっ…。うっ…。」
うめく有妃にかまわずに舌を絡め合い、音を立てて吸い、唾液を交わらせた。
「ちゅっ…。ぴちゅ…。ぴちゃ…。」
唾液でぬめる唇と舌が気持ちよくて、俺は延々と有妃の口を貪り続ける。有妃も俺に応えて夢中になって唇舌を吸い続けてくれた。ずっと味わっていたかったが、官能的な有妃の体はそれを許さずに俺を目移りさせる。
俺は豊かに張った有妃の胸に手をやり執拗にもみしだいた。手になじむ弾力感が心地よい。スーツとブラウスのボタンを乱暴に外し、ブラを上に上げると桜色の乳首に吸い付いた。普段は優しく舐めるように吸うのだが、今は欲望のままに乱暴に吸い上げる。舌で転がし何度も吸い上げた。
「っう…。あぅ。佑人さぁんっ!それ、いいですよぉっ!」
有妃は甘い声で喘いでくれる。泣くようなその声が耳に心地よくて、俺はさらに激しく吸い続けた。
・・・
・・・
豊満な胸を存分に味わった俺は、満足する間もなく有妃に命じる。
「有妃。ソファに座って。」
「これにですか?」
「いいから!」
怪訝な様子の有妃をせかしてソファに座らせた。俺は有妃の下半身をじっと見つめる。
紺のタイトなスカートから膝下がすらりと伸びている。長い足を包むストッキングはつやつやと輝いている。先ほど見たように体のラインが浮き出ており、大変にエロチックだ。俺は有妃の両足に手をやると半ば強引に広げた。
「あっ!佑人さんダメですよ!」
制止する有妃を無視して俺はスカートの中をのぞき込んだ。有妃の秘部の濃い匂いがむっと顔を包む。肉付きが良い太ももはぴっちりとストッキングに覆われていた。俺は何度も撫でて手触りと弾力感を楽しむ。さらさらの感触と肉の密度が心地よい。
肌色のストッキングは、有妃の花弁を隠す純白の下着を覆っていた。だが花弁からは蜜が大量に溢れ出して、下着とストッキングを濡らしている。まるでお漏らしでもしているような淫猥さだ。
「佑人さんっ。そんなに見られると恥ずかしいですから…。」
有妃は小声でつぶやくと頬を染めた。
「何言ってるんだよ?俺にこうされたくて魔力を入れたくせに!」
俺はあざ笑う。下着の上から有妃の割れ目に指を押し入れようと強くねじ込んだ。
「ひいっ!そんなの駄目ですよぉ!」
濡れたような声で有妃は嘆いた。俺はもっとこのメスの淫らな姿を見たくなる。有妃の尖った女芯は下着の上からでもはっきりとわかった。迷わずぐいっとつまみ上げる。
「ぐうっ!」
一瞬獣のような声を上げると有妃は顔をのけぞらせた。下半身ががくがく震え大量の液体が下着からあふれ出す。俺はそのまま延々と有妃の肉芽をこね回した。堅く尖った突起を揉みほぐすように念入りにマッサージする。
「こんなに漏らして気持ちいいか?気持ちいいのか有妃っ!」
「ひぎっ!いいですっ…。佑人さあんっ…。もっとこりこりしてぇっ!」
いつしか有妃も快楽に飲み込まれていた。泣くように声を上げて何度も哀願している。
淫らなその様子は俺にとっても喜ばしい事だ。有妃はこんな痴態は絶対に俺にしか見せないのだから。
だが、今の幸せな日々は、あくまでも幸運に過ぎないのだ…。
堕落神か愛の神が悪戯心を起こしたのか、逆に俺を憐れんでくれたのだ…
そうでなければこの素晴らしいひとと一緒になれる訳は無い…
有妃のよがる様子を眺めながらそう思う。
俺と有妃は夫婦になり、こうして肌を重ねる仲となった。だが有妃が身の回りにいる優れた男を選んでいた可能性は十分にある。有妃がこのスーツ姿で同僚の男とオフィスでヤりまくる。そんな事もあったかもしれないのだ…。
有妃は虚ろな眼差しで乱れている。先ほどの俺を選んでくれてありがたい。といった前向きの気持ちとは異なる思い。暗い負の感情に嫌でも駆られてしまう。
自分でも意識せずに言葉が口をついた。
「有妃は俺のものだ。有妃は俺のものだからなっ!」
俺は悲鳴に近い絶叫をあげる。呆然とした表情の有妃にかまわず腰を抱え込む。ストッキングを破り捨て、下着を無理矢理ずらす。
「足を上げて有妃…さあ早くっ!」
「はっ。はいっ!」
邪魔な下着を脱がせようと有妃をせかす。有妃は焦燥感に駆られた俺につられて慌てて足を上げた。俺は下着を脱がすと、急いで有妃の股間に顔を埋める。肉ひだは震え、先ほど以上に甘く強い匂いを放っていた。
俺は蜜を満々と湛えている花弁を舐めあげた。舐めれば舐めるほど粘液はどろどろと溢れ出す。有妃の味はいつも以上に濃く淫らだ。濃厚な匂いと味わいに、ますます理性が崩壊するようだ。俺は普段なら丁寧に奉仕する過程を一気に飛ばして、艶やかに光る肉芽に吸い付いた。
「うあああっ!だめえっ!突然そんなのダメですよぉ!」
有妃の体が一瞬ぶるりと震える。俺はかまわずに芯を一心不乱に吸い続けた。有妃は絞り出すような叫びを上げ続けているが、それが暗い喜びを満足させる。さらに興奮した俺は有妃の一番敏感な場所の皮をむいて責めを続けた。
「だっ。だめだめっ!激しすぎますよぉ佑人さんっ!そんなにされたら私、もうっ…。」
有妃は快楽をこらえるように俺の頭をぎゅっと抱いている。甲高い声で哀願するのを無視して、俺はとどめとばかりに音を立てて吸い上げた。有妃の体が電気に打たれたように跳ね上がる。
「ぐうっ!いぐ!いぐうっ!」
有妃は獣のように吠えると体をがくがく震わせた。絶頂に達して粘液を吹き出し延々と痙攣し続ける。俺は遠慮無く秘部を吸って、舐めて、妖女の体液を貪り続けた。有妃は若干錯乱したように声を上げる。
「ゆ…佑人さん少し待って!イったばかりだからあ…っひいいいっ!」
達したばかりで快楽が強すぎるのだろうか。先ほどまでは抱きしめていた俺の頭を有妃は引き離そうとした。だが俺は熟れた白桃のような尻をしっかり抱え込み、放されまいと抵抗する。快楽を拒んだ罰として、濁った花蜜を吐き出し続ける花弁に指を突き入れた。ぬめる内部の敏感で膨れた場所を探し当てて、いやらしくも激しくこすり始める。
「いっ…いやああああ!今はそれ勘弁してぇ!お願い佑人さあんっ!」
有妃の絶叫が耳に響き渡るが、それがまた最高に気分良い。いつもは優しく穏やかな美声で俺に語りかけてくれる有妃。その有妃が淫獣のように吠えて快楽に溺れているのだ。嬉しくないはずが無い。俺は我を忘れて有妃を責める。
「だっだめええっ!そんなにされるとなんか出ちゃいそう…。だからお願いっ!」
俺は必死に制止する有妃をなおも無視した。熱く指に絡みつく肉壺をいじり、ぷっくりと肥大した肉芽をちゅうちゅう吸う。ふいに思いつき割れ目から指を抜くと、濁った液でずぶ濡れになっている。俺はそれを有妃の尻穴に突っ込むと、何度も前後に抽挿した。
とうとう崩壊は訪れた。
「ぎいいっ!おしりでいぐ!いっぐううっ!いっぐうううううっ!」
有妃は絶頂に達すると、今まで聞いたことが無いほどの凄まじいわめき声を上げた。全身を激しく痙攣させ、貝のような肉襞から潮を大量に噴出させた。すでに理性が崩壊していた俺は、顔に降り注ぐ絶頂の証を存分に貪る。だがそれでは到底満足できなかった。股間を口で吸い、淫らにわななく肉と溢れる汁を同時に味わった。
「ひ…。ひいっ…。ひいっ…。ひいっ…。」
有妃は異様なうめき声を上げていたが、やがてその体が光に包まれ始めた。全身の色素が抜けるように落ちていき、白銀の髪と紅い瞳、透き通るような肌色に変わる。すらっと伸びた両足も溶解して一つになり、長い蛇のような体を形作る。気がつけば普段通りの有妃の姿がそこにあった。
「はーっ。はーっ。はーっ。」
快楽のあまり人化の術が解けたのだろうか?ぐったり横になり荒い息をついている有妃を、俺は黙って見つめ続けた。心に満ちる妙な征服欲を堪能していたが、それに浸る間もなかった。有妃はすぐに起き上がって俺を抱きしめると、蛇体で俺をぐるぐる巻きにしたからだ。
「うわっ!ちょっと有妃!」
有妃の深紅の眼差しからは、到底俺を食らい足りないという欲望と歓喜がうかがえた。蕩けるような声で情欲をぶつけてくる。
「うふふっ。ここまで気持ちよくして下さって嬉しいですよっ…。次は私の番ですねぇ…。佑人さんにも十二分に楽しんでいただきますので…。」
まだ俺の体からは白蛇の魔力は全く抜けていなかった。それと欲情した有妃の体と体液が発する甘く淫らな匂い。頭の中が麻痺する強烈な淫臭に包まれた俺は、当然の様にこう言い放ってしまう。
「無論だよ有妃。満足させてくれなければ困るからな!」
「ご安心ください…。ご満足頂くまで何百回でも搾り取って差し上げますから。」
「ああ。期待してる…。」
有妃は俺をそっと押し倒す。俺達はたちまち終わりの無い悦楽の泥沼に堕ちていった……。
「ん〜。有妃ちゃあん…。」
「よしよし佑人さん。お疲れ様でした。とっても素敵でしたよ!」
あれから魔物娘の本気を出した有妃にいったいどれだけ絞られたのだろうか。
白蛇の魔力もインキュバスの体力も尽きた俺は、いつしか意識を失っていた。
正気を取り戻した時は申し訳なさそうな有妃に抱きしめられていたのだ。
それからはいつも通りに甲斐甲斐しく世話をされて、俺はただ有妃に甘えている。
優しい蛇体の抱擁と労りの愛撫にひたすら溺れる。
「有妃ちゃん気持ちいいよお…。」
「いいんですよ。眠いのならこのままお休みくださいね!」
「うん…。」
温かい有妃に包まれてしばらく夢心地だったが、やがて有妃は柔らかくつぶやいた。
「ふふっ…。今日も佑人さんとってもかっこ良かったです…。」
「そ、そう?」
首をかしげる俺に有妃は満面の笑顔を見せてくれた。
「はい。有妃は俺のものだ!っておっしゃってくれたじゃないですか!それを聞いただけで私は軽くイっちゃたぐらいですからっ。」
あのときは白蛇の炎を注ぎ込まれて異様な状態だったのだ。有妃に激しい事もしてしまった。すでに白蛇の魔力は抜けていた俺だ。色々な気持ちが抑えきれずに有妃の胸に顔を埋める。
「今日はごめん。有妃ちゃん嫌じゃ無かった?」
「もう!すごく良かったに決まっているじゃないですか!謝らなければならないのは私のほうなのに…。」
有妃は慰めるように頭をぽんぽんしてくれた。やがて気持ちも落ち着いた俺を見て有妃は続けた。
「ねえ…。私もう一度聞きたいです!あのお言葉もう一度おっしゃてくれませんか?」
「何を言うの?」
「有妃は俺のものだ!って言ってください!」
思わぬ事になり俺は目を丸くしてしまう。
「いや…でも…。」
「ね。お願いします佑人さん!」
俺を真正面から見つめる有妃の表情は期待に満ちていた。あの言葉はもちろん俺の本心だ。でも半ば錯乱状態の時は言えても、冷静になった今ではかなり恥ずかしい。
「また素敵な佑人さん見たいですよぉ…。」
有妃はじっと俺を見つめ続けている。こんな訴えかける様な顔をされたのでは到底嫌とはいえない。俺はかるくため息をついた。
「わかったよ。有妃ちゃん…」
「めっ!有妃ちゃん、じゃなくて有妃、ですよ!」
冗談っぽく顔をしかめると有妃は人差し指を俺の唇に当てた。
「ごまかそうとしてもダメですからねっ。ちゃんとおっしゃってください!」
「うう〜ん…。」
今でも有妃の事を呼び捨てにするのには全く慣れない。うめく俺に有妃は笑顔で促す。
「佑人さんに有妃って呼ばれると私とっても嬉しいのに…。」
俺はほぞを固めると息を飲んだ。
「有妃…は俺のもの…でいて欲しいな………。ごめんもうダメ!これで限界だから!」
さすがに堂々と断言するのは無理だ…。言葉を濁した俺は叫んで何度もかぶりを振った。
「有妃ちゃん大好きとか君に食べられたいとか俺の事は有妃ちゃんの好きにしていいではダメなの?」
上目遣いの情けない俺を見て、有妃は仕方ないなあとでも言いたそうに苦笑した。
「あらあら、すっかりいつもの佑人さんですねぇ…。でもそんな佑人さんとっても可愛いので許してあげますねっ!」
有妃は再び俺を胸に抱くと何度も頭を撫でてくれる。まるで心優しい姉がダメな弟を慰めるように。まあ、これがいつもの有妃と俺の関係なのだ。別にそれでいいのだ…。
「よしよし佑人さん。有妃はあなたしか見つめていませんからご心配なく!あなたが私の全て。あなたが私の生きがい。あなたが私の命そのものなのですから…。
大丈夫!佑人さんのお気持ちは全てわかっておりますから…。お言葉嬉しかったですよ…。」
有妃は俺の全身を蛇体で包み込む。語りかける声は深い愛情が込められている。俺は体を弛緩させ有妃に全てを委ねた。
その後は有妃に包みこまれて終わってしまったような気がする。抱きしめられていないときは有妃に食事や風呂の世話をされた。俺がうとうとすると抱きかかえられてベッドまで運ばれた。最近ではすっかりあたりまえになってしまったのだが…。
今は有妃に抱かれながら寝る前のひととき。明日も有給が取れたので気分は楽しい。有妃と何気ないおしゃべりをしているが、これもまた楽しい。
「それはそうと佑人さんがコスプレ好きだったなんて知らなかったですよ。言ってくだされば良かったのに…。でも、ごめんなさい。今まで気がつくことが出来なくて…。」
俺の髪をそっと撫でながら有妃はすまなそうに言った。先ほどのOLプレイ?の事だろう。温かく柔らかい手触りを愉しんでいた俺は慌てて否定した。
「まってよ。有妃ちゃんがしてくれるから良いんであって、別にコスプレ好きとかそんなんじゃないからっ!」
「いいえ〜。何も遠慮なさらないで下さいね…。そうです!実家の母が昔巫女をしていたんです!母に服を借りて巫女さんプレイなんてどうでしょう?
それとも佑人さんの昔のお嫁さんの。テレビの中にいるお嫁さんのコスプレでもしましょうか?あの双子のリリムのコスプレなんて良さそうですねぇ。」
何か勘違いしたのか有妃は大はしゃぎで勧めてくる。個人的に二次元のものを三次元にされても違和感を覚えてしまうほうだ。コスプレにはさほど興味は無かった。
無論有妃のようなスタイルの良い美人なら何を着せても似合うはず。夫の欲目なのだろうが、間違いなくその確信がある。
有妃が喜んでしてくれるのなら、コスプレもまた楽しいだろう。
でも、少なくとも今は気が乗らない。それが無くても心を満たすものがあるのだから…。
俺は一つ咳払いして言う。
「いや。本当にいいんだよ。」
「佑人さん。私の足のこと、まだ気になさっているのですか?」
気遣うよう眼差しの有妃に俺はそっと首を横に振った。
「ううん。そうじゃないんだ…。有妃ちゃんにこうしてぎゅってされて、ぐるぐる巻いてもらえるとすごく安心するんだ。全てを守られているようでほっとするんだ。
だから今はそれを愉しむだけで十分かな。ほかのものはいらないんだよ…なんて。」
恥ずかしい台詞を言ってしまって照れくさい。俺は有妃の視線から逃れてしまう。
少し黙っていた有妃だったが、やがてかすれた声で訥々と言った。
「あの…。私はこの間佑人さんを、この体で…締め付けてしまいました。酷いことをして…怖がらせてしまいました。その私に…そこまでおっしゃて下さるのですか?」
俺に白蛇の魔力を入れた時の事は、まだお互い完全に消化しきれないのだ。そんな時の有妃は、蛇体を丸めて申し訳なさそうに縮こまってしまう。今も申し訳なさそうに俯く有妃に俺はそっと口づけした。
「怖い有妃ちゃんも素敵だったから…。」
「もう…。私に嘘は通じないんですよ。でも佑人さんこそこんな事言うなんて反則です。」
顔を上げた有妃は切なそうに微笑むと、蛇体の巻き付きを強めて抱擁してくれた。
優しく温かいが絶対に放すことの無い。白蛇の拘束による愛情。
今の俺はこれさえあれば何もいらない。
「ありがとうございます…。本当にありがとうございます…。」
有妃は俺を抱いて泣きそうな声でつぶやき続ける。いつしか俺も有妃の声を子守歌にして、穏やかな眠りに堕ちていった。
24/01/02 21:36更新 / 近藤無内
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