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第9章 お姉ちゃん襲来! 3
 「ええと。どこから話せばいいかな…。」

 考えを整理しているのだろう。ふみ姉は呟くと小首を傾げる。俺と有妃はそんな姉を無言で見守った。

 「あ、そうそう…。ゆうくん有妃さんと一緒になる、ってメール送ってくれたでしょ?」

 「うん。」

 「大体そのあたりからかな。色々動き始めたのは………。あっ。」

 確認するかのようにしゃべっていた姉だったが、ふいに後悔する様な眼差しを俺に向けてきた。

 「ゆうくんごめんね…。結婚のお祝いしてあげられなかったね…。ほんと、お姉ちゃん失格だよ…。」

 「待ってよ。そんな事はいいんだよ…。俺こそふみ姉が大変なのに何も出来なかった…。」

 あの時はふみ姉にとってもつらい時だったのだ。俺は手助けする事すら出来なかった…。それなのに気遣ってくれる姉に、俺の方こそ申し訳ない気持ちになる。

 「ううん。お姉ちゃんは大丈夫だから!それで…遅くなっちゃったけど、結婚おめでとうっ!」

 「……ありがとう。ふみ姉ちゃん。」

 ふみ姉は華やかに笑って祝福してくれた。その笑顔を見ていると、俺の心の中の苦いものが洗い流されていく。

 「本当によかったよぉ…。ゆうくん。」

 感極まったかのような姉は、腕を広げて俺を抱きしめようとしてきた。恥ずかしい話だが…実家に姉がいた頃はよく抱きしめてくれたものだ。格好悪いからやめて、と言いながらも本当はぎゅっとされるのが心地良かった。一瞬姉の体の温かさを期待して身を委ねそうになる。

 「えっ!? あっ!」

 だがそんな俺の思いはたちまち肩透かしを食った。姉は小さく叫ぶと慌てたように俺から身を引いたのだ。
 ふみ姉は何度か匂いを嗅ぐと、遠いものを見るかのような眼差しで俺を見つめた。

 「そっか…。そうだよね…。ゆうくんも有妃さんから可愛がってもらっているんだよね…。」

 切なそうに語る姉…。一瞬何事かと戸惑った俺だが、すぐに刑部狸の咲さんとのやりとりを思い出す。そうだ…。もう俺には有妃の、愛する妻の匂いがしみ付いているのだ。
 魔物の夫となった男の体からは、妻である魔物の匂いが威嚇するように漂うのだそうだ。この男はわたしのものだから絶対に手を出すな!という…。

 俺から有妃の匂いを嗅ぎ取ったふみ姉は、もう以前のように抱きしめる事が出来ないことを理解したのだろう。悪い事をしてしまったと言わんばかりに目を伏せた。

 「ごめんね…。ほんとうはゆうくんの事ぎゅっとしてあげたいんだけど…今のわたしはそれが出来ない事はわかるよね?」

 優しく諭す姉を俺もつらい思いで見つめる。互いに既婚者になった俺と姉だ。いくら姉弟とはいえ、抱きしめ合うような事をするべきでない事は良く分かる。
 だが子供の頃いつも癒されてきた姉の抱擁。もうそれを二度と味わう事が出来ないことを思い知り、寂しい気持ちを抑えきれない。

 思わず感傷に浸ってしまう俺…。その姿を見て有妃は一つため息を着いた。

 「ふふふふふっ…。いやですよお…。そんなこときになさらないでよろしいのに……。」

 抑揚のない有妃の声に驚く。思わず見つめると妙に苦しそうで思い詰めた様な表情…。ぎょっとする俺に気が付いた有妃は笑顔を見せたが、それがまた口角を無理やり上げた様な引きつった微笑み…。

 ああ、これは間違いなく無理している…。言葉とは裏腹に俺と姉が抱擁しあう事など認めたくないのだろう。有妃は気を遣って心にもない事を言っている。おそらく先ほど感情的になってしまった事が頭を離れないのだろう。

 「有妃ちゃん。いや、俺は別に………」

 しまった…。有妃を困らせてしまった事に気がついた俺は、すぐに言葉を掛けようとした。だが、それよりも先にふみ姉が慌てて語りかけてくる。

 「ごめんなさい有妃さん!わたしが悪かったわ…。大丈夫!佑人はあなたのものだから。心配しないで落ち着いて…。変な事はしないから…ね。」

 労わる様に語りかけると、ふみ姉は有妃の手を取り優しく握りしめる。有妃も急に力が抜けたように肩を落とすと姉の手を握り返した。

 「お義姉さん…。」

 「本当にごめんなさいね…。わたしが何も考えずに馬鹿な事しようとして…。」

 俺も有妃の肩をそっと抱いて謝る。

 「有妃ちゃん。悪かった…。」

 泣きそうな表情で肩を震わす有妃を、俺とふみ姉はただ優しく慰め続けた。
















 「佑人さん。お義姉さん。あの…ごめんなさい…。」

 「いいえ…。それを言うならわたしのほうこそ…。」

 有妃と姉は互いに申し訳なさそうに頭を下げあっている。まあ、誤解が産まれないで良かった…。ほっとした俺も声をかける。

 「ええと…仲直りもしたところで、ふみ姉の話の続きを聞こうかな…。」

 それを聞いたふみ姉は急に真面目な顔をして俺を見つめた。

 「もう…ゆうくん駄目でしょ。他人ごとみたいに言っているけど、ゆうくんにも責任はあるんだよ。お姉ちゃんと一緒に有妃さんにもう一度謝ろう。」

 ふみ姉の青い眼差しが俺を捕え続ける。宝石のような瞳の色。思わぬ矛先がこちらに向いて慌ててしまう。

 「えっ…。俺も悪かったけど。でも…」

 「言い訳は駄目だよ。お姉ちゃんの言う事を聞こうね。」

 きっかけはふみ姉でしょと反論しようとした俺だが、姉は手を上げて制して穏やかに諭す。やれやれ…。本当に昔から姉には逆らえないのだ。でも有妃の気持ちを考えなかった俺も悪い。素直に頭を下げる。

 「うん…有妃ちゃんごめんなさい…。」

 「はい。良く出来ました。あの、有妃さん。こういう事で勘弁して下さいませんか…」

 有妃は俺と姉の様子を見ていて楽しそうに笑う。良かった…。有妃の屈託無さそうな様子に思わずほっと胸をなでおろした。

 「いいえ。そんな…。誰が悪いわけでもありませんよ…。でもお義姉さんの尻に敷かれている佑人さん…なんか可愛いです。」

 「ふふっ…。これからは有妃さんが佑人を可愛がってあげて下さいね。佑人はそうされるのがとっても嬉しいはずですから…。」

 「はいっ!お任せください!」

 なんか二人は今後が心配になるような会話をしている…。何だかすごく楽しそうだ。でも実際俺は今までも、これからも、有妃に甘く縛られる生活を送っていく事は間違いない。それは俺にとって、たとえようもない喜びであることも間違いないのだ。

 「あ…二人ともごめんなさい。今までの事を話すなんて言いながら腰を折ってしまって…。」

 姉は話が大幅に脱線した事にようやく気が付いたようだ。申し訳なさそうな表情で語り始めた。

 「あの時はうちの人とは久しぶりに仲良くしていたんだよ。そうしたらね………」

 姉の話によれば、その時は旦那の浮気癖が治まっており、ずっと仲良くしていたそうだ。もうこれからは他の女に手を出さない。とも言っており、ふみ姉はその言葉を素直に信じていたようだ。これでようやく穏やかな毎日が送れると思いながら。

 それからしばらく後、旦那は失踪した。無断で姉の名義を使い多額の借金をして…。

 「糞野郎がっ!」

 俺は知らぬうちに叫んでいた。

 「やっぱりあんな奴姉ちゃんの旦那さんなんて言いたくないよっ!ふざけた真似しやがってっ!」

 怒りが抑えきれず激昂する俺を姉は優しく宥める。

 「ね…。落ち着いて。もう済んだ事だよ。今ではもうすっかり反省してくれたから…。ゆうくんは何も怒らなくていいんだよ。」

 「あの。お義姉さん…。いくら夫婦といっても、勝手に名義を使われての借金は返済する義務は無いはずですが…」

 有妃も姉にそっと忠告するが、どうにも怒りが抑えきれない様子が伝わってくる。

 「ああ…。そうですよねえ…。でも、わたし、法律とか全然知らなくて…。借金取りは毎日電話してくるし、家には押しかけてくるし、本当に困ってしまったの…。
 しかも大好きだったひとには捨てられてしまって…。もう何もかも嫌になってしまって…。」

 俯いてため息を着いた姉があまりにも哀れだった。怒りを抑えきれず、思わずテーブルを叩くと鈍い音が響き渡る。有妃ははっとして俺を抱きしめ蛇体で包み込んでくれた。

 「あ…。有妃ちゃんごめん…。」

 「大丈夫ですよ!いざとなったら私が出張りますから!佑人さんは何も心配しないで下さいねっ…。」

 激情に駆られてしまった事を詫びる俺だが、有妃は温かい抱擁と力強い言葉で安心させてくれる。姉も終わった事だから大丈夫だよ、と言って落ち着かせてくれた。

 「ゆうくん。本当にすべて解決したんだよ。わたしを心配してくれるのはとっても有難いけど、その事でゆうくんが嫌な気持ちになるのは、お姉ちゃんつらいから…。とりあえず話を聞いてね…………」
 
 ふみ姉はなおも怒りが消せない俺を慰めると話を続けた。

 自暴自棄になった姉は行くあても無くさまよっていたそうだ…。そして知らぬうちに駅前の魔物カフェ〜狸茶屋に入っていた。店から漂う香ばしいコーヒーの香りが、姉の絶望的な気持ちを慰めてくれたらしい。
 店には幸いにも人間の女性を魔物化する魔物はいなかった。姉はただ一人俯いてコーヒーを飲み続けていたそうだ。
 
 「閉店時間になっても座り込んでいる私に気が付いたのが狸の魔物さんでね…。ほら。ゆうくん知っているでしょ。カフェのオーナーさんなんだけど。その方が私の話を親身に聞いて下さったんだよ。」

 「本当に?」

 思わぬ名前が出てきて驚く。どうやら俺とあの店とは相当強い縁があるらしいと、場違いな感想を抱く。

 「オーナーさんはこれも何かの縁だからと、借金の事も相手と話をつけて下さったの。本当に何から何までお世話になってしまって…。」

 「そうだったんだ…。」

 ようやく落ち着いたかのように姉はほっと息をついた。

 刑部狸が政財界に隠然たる影響力を及ぼしているのは、今では広く知れ渡っている。どんな手を使ったのか知るよしもないが、借金のカタをつけるのも容易なのかもしれない。
 姉の恩人となった方だ。親戚の咲さんに話を通してもらって俺からもお礼に伺おう…。

 そんな事を漠然と思っていたが、話を続ける姉の声が突然重苦しいものに変わる。

 「でもね…。それだけではわたしは駄目だったの…。やっぱりあの人がいないと生きて行けないの。ずっと彼の事を考え続けて、全然気持ちが晴れなくて。」

 どうして?何でそこまでこの人でなしにこだわるんだ…。
一体なぜ?という気持が抑えきれず、俺の口からはつい詰問する様な言葉が出てしまう。 

 「ふみ姉…。どうしてあんな男…ごめん。やっぱりこういうしかないよ。なんであんな男がそんなにいいの?姉ちゃんはもっと素晴らしい人と一緒になって、幸せになるべきなんだよっ…。ごめん、俺にはわからないよ…。」

 気持ちが高ぶった俺にふみ姉は優しい眼差しを送る。昔の姉の…いつも俺を見つめてくれた愛情深い眼差しを。深い蒼色の瞳は以前とは随分変わってしまったけれど、変わらない姉の想いが伝わってきた。

 「ゆうくん。ゆうくんはうちの人の事を誤解しているよ。あの人は本当はとっても優しい良い人なの。優しいけれど弱いだけなの。」
 
 「ふみ姉…。」 

 穏やかに俺を諭すふみ姉。有妃も何かを懐かしむような表情をすると姉に同意する。

 「佑人さん…人を好きでいるのに理由などいらないものです。私にはお義姉さんの気持ちは良く分かります。」

 これって確か有妃との初めての交わりの時に聞いたような…。なんか俺自身の事を言われているようで、納得いかずに口をとがらす。

 「あの…どこかで聞いた言葉なんですけど有妃ちゃん…。」

 「あら…あの素晴らしいひと時の事を覚えていて下さったんですねっ!嬉しいですよ佑人さんっ!」

 「えっ?何か面白そうな話ですねぇ…。」

 あの時を思い出した俺に感激した有妃を見て、ふみ姉も興味深そうに問いかける。

 「はいっ!私と佑人さんが初めて一つになった時の話ですけれど…。」

 「ちょっと有妃ちゃん!?今言う事じゃないでしょっ!」

 おいおい…。こんな事を実の姉の前で言われたら恥ずかしいだろ…。喜んで話し出そうとする有妃を俺は大慌てで止めるが、彼女は全くお構いなしだ。

 「いいえ!私たちにとって忘れられない大切な事なのですよっ!お義姉さんにもぜひ聞いて頂きたいです!」

 「うんうん。わたしも有紀さんとゆうくんの初えっちの話、知りたいなぁ…。」

 「ふ…ふみ姉まで一体何をっ!」

 かつてのは姉は、性について全くと言っていいほど話すことは無かった。だが今は蒼い瞳を輝かせて話の続きを促す。興奮した様に艶めかしく震える声が耳にまとわりつく。
 やっぱり魔物化すると違うんだなあ…。変に納得する俺に構わず二人ははしゃぎ続けた。



















 「………というわけですよ。お義姉さん。」

 「そうだったんですかぁ…。それは良かったですねぇ有妃さん…。わたしも旦那といい事したくなってきましたよぉ…。」

 有妃は俺との初Hの事を何から何まで姉に話した…。俺に甘え倒された事も、抱き着かれて散々匂いを嗅がれた事も、秘部を舐められて絶頂した事も含めて、何から何まで………。ふみ姉は心底羨ましそうにため息を着いた。

 「見直したよゆうくんっ!知らぬ間に大人になったんだね!」

 恥ずかしさが頂点を超えて何も言う気力を無くした俺…。ふみ姉は心から称賛する言葉を掛けてくれる。姉も有妃も保護者の様な優しく暖かい眼差しで俺を見つめているが、それが妙に生暖かく感じられるのは気のせいか。

 「それはまあ。どういたしまして…。」

 俺は力なく言葉を発した。姉も有妃も楽しそうに笑うが、それを見てむっとする元気も無い。

 だが…そうだった。

 思わぬ暴露話で忘れそうになっていたが、まだ姉の話の途中だったじゃないか…。呆れた俺はお返しとばかりに釘をさした。

 「あの…有妃ちゃん。ふみ姉。話が明後日の方向に飛んでいったんだけれど…。これで二度目だよね…。」

 二人ははっとした様に目を見開くと驚いたように口を開く。

 「ああ〜っ!ごめんなさいゆうくんっ!わたしったらまた何を…。」

 「いいえお義姉さん!私こそ話の腰を折ってしまって…。申し訳ないです…。」

 姉と有妃は済まなそうに謝りあっている。妙に微笑ましいこの光景を見るのも、これで一体何度目だろう。
 今度は俺が生暖かいような暖かいような…そんな眼差しで二人の愛しい妖女を見つめてしまう。

 ふみ姉は呆れた様な俺に苦笑いすると続きを語りだした。

 
 「だから、うちのひとは色々な誘惑にすぐ負けちゃうから…わたしがそばについていなければいけないんだよ。わたしがもっとしっかりしていれば、あの人がバカな事をせずにすんだの。
 そう。わたしがもっと強ければよかった………。
 あの人が逃げられないように…わたしのもとに縛り付けられるぐらい強ければ良かった……。そんな事をうじうじと想ってた…。情けない想いをずっと抱き続けてつらかった…。
 でもね………。
 惨めなわたしはやっと強くなる事が出来た。魔物になる事でようやくその力を手に入れた。これであのひととずうっとずうっと一緒にいることが出来るようになったんだよ………。」

 
 相変らず穏やかに語っていた姉が徐々に変化していく。力強く歓喜に溢れる声が周囲に響き、眼差しは嗜虐的ともいえる昏い光を帯びる。笑顔こそ浮かべていたが、今ではそれは獲物を食らい喜ぶような、残酷で強烈な笑みにしか見えなかった。

 有妃がたまにこういった眼差しで俺を見るけれど。

 そうだ…。

 間違いなくこれは魔物娘の面構えだ。彼女達以外にこんな表情が出来る者に会った事など無い…。

 「うふふふっ…。もうだれにも渡さない…。あの人は…わたしのものっ!」

 ふみ姉は自らの内に秘める力を抑えきれなくなったかの様に、ばっと立ち上がる。熱狂的に語り続けるふみ姉の周りからは、いつしか青白い光がほとばしる。それは姉とその周囲を幾重にも包み込み、燃え上がる炎めいた輝きを見せた。

 身にまとう黒いドレスと青白い長髪は炎に揺らめく。青黒く見える炎の光に映える昏い微笑みと、きめ細やかでぞっとする様な青い肌…。さながら麗しい亡霊とでも言った様なふみ姉の趣だ。

 姿形こそ変わり、魔物らしくエロくもなっていた。だが、つい先ほどまで昔と変わらぬ優しいふみ姉だったはずだ。予想だにしなかった急激な変化…。

 俺はただ言葉を失って見つめ続けた。

 「あはっ…。どうしたのゆうくん?この炎みたいのが怖いのかな?大丈夫。実際に火がついたりする訳じゃ無いから。そんなに怖がらないでね…。」

 俺の強張った表情に気が付いたふみ姉は、幾分穏やかな声でなだめた。有妃も俺の手をそっと握ってくれると、労わるように姉に問いかける。

 「お義姉さん。お見受けしたところお義姉さんは…ウィル・オ・ウィスプになられたようですね………。」













17/03/12 22:28更新 / 近藤無内
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■作者メッセージ
次に続きます。

と言う訳でウィスプお姉ちゃんです。ウィスプさんってとっても素敵な魔物娘さんですよね。
今は白蛇さんとウィスプちゃんの、甘々ハーレム物のSSを読みたくて仕方ありません…
白蛇さんとウィスプちゃんに男が徹底的に可愛がられて、病んだ愛情に溺れてしまう話が読みたいのです。どなたか書いて下されば大喜びなのですが…

おまえが書けよっ!て話は勘弁してください。未熟な私にはあまりにも難しい題材ですので…

今回もご覧頂きありがとうございます。

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