第9章 お姉ちゃん襲来! 2
え………。このひとが姉?文乃…ふみ姉ちゃんなのか?俺は困惑を隠せない。
「あ…ごめんね。これじゃあわからないよね。」
俺の不審そうな様子を見てとったのだろう。彼女は申し訳なさそうに詫びると、顔を隠していた長い髪を上げた。
髪と同様、ぞっとするほど青白くきめ細かい肌…。魔物らしく整った顔立ち…。どことなく痛々しくも強い眼差し…。
肌の色と眼光は以前と全く違っているが…間違いない…。このひとは…。
「ふみ姉ちゃん!」
俺は思わず声を上げた。
「姉ちゃんっ!一体何があったの…俺、ずっと心配していたんだよ。」
ああ…ようやく会えたっ!嬉しさと驚きのあまり声が大きくなる。そんな俺を見て姉はますます申し訳なさそうにする。
「あ…うん。心配かけてごめんね…ゆうくん…。」
有妃はしばし呆然としていたが、ようやく正気に戻ったようでじっと姉を見つめる。そして何度か匂いを嗅ぐようなしぐさをした。
「佑人さんと相当近い身内の方の匂いですね。お義姉さんに間違いないでしょう…。」
俺の耳元でそっとささやく有妃。
何やらトラブルか?という事で、周囲の客たちの視線も俺達に集中しだす。異常に気が付いたダークスライムの店員。エレンもこちらにやってきた。(ちなみにエレンも素敵な男を見つけたようだ。あれから色々気になっていたので本当に良かった。)
「何かと思ったらまた君たちなの…って思ったけど、あら。文乃さんのお知り合い?」
「はい。そうなんですよエレンさん。」
エレンは呆れた様に語りかけるが、ふみ姉とは顔見知りらしく親し気に話し始めた。
だが、正直言ってこれ以上注目されたくない。俺は有妃と姉の二人に提案した。
「ま、まあここではなんだから…とりあえず店を出ようか?」
「えーと…。それがいいでしょうね。佑人さん。」
「みんなこっち見てるね…。ごめんねゆうくん。騒ぎにしちゃって…。」
周りから注目の的になっている事に気が付いたのだろう。二人ともすぐに同意した。
「それではあらためまして…。はじめまして。このたび佑人さんの妻になりました有妃と申します。ふつつか者ですが今後ともよろしくお願い致します。」
「これはご丁寧に…。はじめまして。佑人の姉の文乃です。こちらこそ弟がいつもお世話になっております。」
有妃と姉はかしこまった挨拶をした。両者の性格を表すかのように丁寧な態度だ。
外で話す様なことでは無い。という事で結局あれからすぐに帰宅した。今は自宅の一室。有妃とふみ姉は向かい合って、互いの目を真正面から見据えている。
有妃はいつもの優しい笑顔。姉も容姿こそ幾分変わったが、かつての様な穏やかな微笑みを浮かべている。
…
…
「そうなんですか。有妃さんは佑人と……」
「はい。佑人さんが勤めていらっしゃる会社の社長が、私の長年の友人で……」
…
…
「それでゆうくん…佑人はね…」
「まあ。佑人さんったらそんな事をしていたんですか…」
「もう。ふみ姉ちゃん。今そんなこと言わなくたっていいじゃないか…」
…
…
談笑している俺達。一見したところ和やかな雰囲気だ。だが、なぜだろう。空気が妙に張りつめている。姉と有妃との間で、互いに対する抑えきれない警戒感がひしひしと伝わってくる。この緊張感は結構きつい…。俺は耐えきれずに、わざとおどけたように語りかける。
「なんかふたりとも顔が強張ってるんですけど〜。堅苦しいのはやめようよ〜。ねっ…。」
俺は無理に明るく振る舞い、何度もふたりを促した。姉も有妃もそんな俺の言葉を受けて、互いに固い笑顔で向かい合う。
有妃の真紅の瞳。ふみ姉の青白い瞳。強い光を放つ眼差しが絡み合う。
しばらくそのまま見つめあっていたが、やがて両者はほっとため息を着いた。
「ごめんなさい佑人さん…。お義姉さんが間違いなく旦那さんがいらっしゃって、その方の事を心から愛しておられるのがわかりましたから…。」
「お姉ちゃんもだよ。有妃さんがゆうくんの事。本当に想ってくれているのが良くわかったから…。心配かけちゃってごめんね。」
ふたりは俺を見つめて切なそうに笑った。
だが、俺と有妃の馴れ初めの事。俺の子供の頃の事。話と言ってもその程度の事だ。有妃と姉がいう様な、深刻そうな話はしていなかったはずだが…。これではまるで心を読みあう能力者の様だ。
疑問に思った俺はつい口にしてしまう。
「あの。ふたりともそんな重い話はしていなかったと思うけど…。」
ふみ姉は何をいまさらとばかりに俺を諭すように言う。
「あのね。ゆうくん。お姉ちゃんも最近わかったけど、魔物になると色々信じられない事が出来ちゃうんだよねえ…。これは有妃さんもわかるわよね。」
「はいっ。お義姉さんがおっしゃるとおりですよ。佑人さん。」
有妃も心から同意すると言わんばかりにうなずいた。
まあ、そうだよな。わかっていた事だけど魔物娘って…。本当にご都合主義に近い様な、不思議な力を発揮するんだよな…。
俺は感心した様な。呆れた様な眼差しで二人を見つめてしまった。
ふたりともすっかり打ち解けたようだ。先ほどとは打って変わって穏やかにおしゃべりしている。
「…弟って昔からこういう性格だったから。色々心配でほっておけなくて…。もし有妃さんが一緒になって下さらなかったら、わたしのものにしていたはずですよ〜。」
そう言って冗談っぽく笑う姉だが、有妃の顔色が突然変わる。妙に気色ばんだ様子だ。
「だっ…。だめですよぉ〜!佑人さんは私のものですっ!たとえお義姉さんといえども絶っ対に渡しませんっ!!」
有妃は突然俺に抱き付き蛇体でぐるぐる巻きにすると、姉に向けて不快そうに言葉を送った。俺は再び緊張感と急な圧迫感を感じて戸惑う。
「あ…冗談ですよ有妃さん…。わかって。今のわたしは夫がいるのよ…。でも、気分悪くさせてごめんなさいね。」
つらそうに、そして申し訳なさそうに詫びる姉。その姿を見て有妃は冷静さを取り戻したようだ。慌てたように何度も頭を下げて謝る。
「ごっ…。ごめんなさいっ!私ったらいったい何を…。本当に申し訳ありませんっ!」
「ううん。そんなに謝らないで。有妃さんが佑人の事を大事に想ってくれている証みたいなものですから。逆に嬉しいですよ〜。」
平謝りする有妃に、ふみ姉は優しく慰める様に語り続ける。
「今のわたしは有妃さんの気持ちが良く分かるはずなのにね。旦那さんを取られそうになったらどれほど恨みに思うかも…。それなのに変なこと言って、ごめんなさい…。」
そう言った途端、姉の体から一瞬青白い炎が立ち上ったかのように思えた。予想もしてなかった事で俺は驚く。だが炎めいたものは一瞬で消え、姉も笑顔を浮かべた。ふみ姉の肌は炎と同じ青白い色…。
困惑した俺は有妃の様子を伺うが、何かを察したかのようにうなずいている。
気のせいか?いや。そんな訳無いが、今はふみ姉の話を聞くのが先だ。俺はそっと問いかける。
「そういえばふみ姉ちゃん。旦那さんって。あの…駆け落ちした…。」
「もちろん!お姉ちゃんにとって旦那さんは彼しかいないよぉ〜。」
満面の笑みでうなずくふみ姉。
「それじゃあふみ姉はあの男と仲良くしているんだね。良かった…。」
「うん!今はとっても仲良し!」
「ふ〜ん。それだとあいつはふみ姉が魔物になる事は承知した。って事だよね?あれはもうインキュバス化しているの?」
姉は幾分むっとした表情で俺を見つめた。
「ゆうくん。あいつとかあの男とかあれとか、そんな酷いこと言うのは、めっ…。だよっ。」
ふみ姉は子供にお説教するかのように穏やかに諭す。昔の姉を思い出し、俺の心に甘いものが満ちて行く。
大好きな姉を散々苦しめた男だ。夫として認めたくはないが、お説教モードに入った姉には昔から逆らえない…。
「あの…。ふみ姉ごめん…。」
俺は姉に叱られた時する様にそっと謝る。
「はあい。わかってくれればいいんだよ〜。」
ふみ姉は笑ってくれた。昔と同じ温かく優しい笑顔を見ていると、無性に泣きたくなってしまう。俺は涙をこらえて言葉を続ける。
「それで…。ええと…旦那さんはふみ姉が魔物になる事は承知したの?まさかふみ姉…無理やり魔物化されたとか…」
「ううん!違うよ〜。魔物になったのは間違いなくお姉ちゃんの意思だから。彼には事後承諾みたいな形になっちゃたけど、今では喜んでくれているよ。
だからゆうくんは何も心配しないでいいんだよ〜。」
不安な俺を安心させるかのように語りかけるふみ姉だが。先ほどから微妙に言葉を濁しているのが気になる。どうしよう…。でも、やはり何があったか聞いておきたい。
有妃も姉の事が気になる様子で、俺を促すかのように何度かうなずいてみせた。
「あの…ふみ姉ちゃん。無理にとは言わないけど、何があったか教えてくれないかな?ずっと姉ちゃんの事心配だった…。力になりたいんだ。」
「お義姉さん…。何かお困りではないのですか?私に出来る事があるのならば何でもおっしゃって下さい。」
俺と有妃はふみ姉を気遣う様に問いかける。姉は切ない眼差しをすると、申し訳なさそうに頭を下げた。
「本当にごめんね…。色々ありがとう…。今までの事全部話すね。」
「あ…ごめんね。これじゃあわからないよね。」
俺の不審そうな様子を見てとったのだろう。彼女は申し訳なさそうに詫びると、顔を隠していた長い髪を上げた。
髪と同様、ぞっとするほど青白くきめ細かい肌…。魔物らしく整った顔立ち…。どことなく痛々しくも強い眼差し…。
肌の色と眼光は以前と全く違っているが…間違いない…。このひとは…。
「ふみ姉ちゃん!」
俺は思わず声を上げた。
「姉ちゃんっ!一体何があったの…俺、ずっと心配していたんだよ。」
ああ…ようやく会えたっ!嬉しさと驚きのあまり声が大きくなる。そんな俺を見て姉はますます申し訳なさそうにする。
「あ…うん。心配かけてごめんね…ゆうくん…。」
有妃はしばし呆然としていたが、ようやく正気に戻ったようでじっと姉を見つめる。そして何度か匂いを嗅ぐようなしぐさをした。
「佑人さんと相当近い身内の方の匂いですね。お義姉さんに間違いないでしょう…。」
俺の耳元でそっとささやく有妃。
何やらトラブルか?という事で、周囲の客たちの視線も俺達に集中しだす。異常に気が付いたダークスライムの店員。エレンもこちらにやってきた。(ちなみにエレンも素敵な男を見つけたようだ。あれから色々気になっていたので本当に良かった。)
「何かと思ったらまた君たちなの…って思ったけど、あら。文乃さんのお知り合い?」
「はい。そうなんですよエレンさん。」
エレンは呆れた様に語りかけるが、ふみ姉とは顔見知りらしく親し気に話し始めた。
だが、正直言ってこれ以上注目されたくない。俺は有妃と姉の二人に提案した。
「ま、まあここではなんだから…とりあえず店を出ようか?」
「えーと…。それがいいでしょうね。佑人さん。」
「みんなこっち見てるね…。ごめんねゆうくん。騒ぎにしちゃって…。」
周りから注目の的になっている事に気が付いたのだろう。二人ともすぐに同意した。
「それではあらためまして…。はじめまして。このたび佑人さんの妻になりました有妃と申します。ふつつか者ですが今後ともよろしくお願い致します。」
「これはご丁寧に…。はじめまして。佑人の姉の文乃です。こちらこそ弟がいつもお世話になっております。」
有妃と姉はかしこまった挨拶をした。両者の性格を表すかのように丁寧な態度だ。
外で話す様なことでは無い。という事で結局あれからすぐに帰宅した。今は自宅の一室。有妃とふみ姉は向かい合って、互いの目を真正面から見据えている。
有妃はいつもの優しい笑顔。姉も容姿こそ幾分変わったが、かつての様な穏やかな微笑みを浮かべている。
…
…
「そうなんですか。有妃さんは佑人と……」
「はい。佑人さんが勤めていらっしゃる会社の社長が、私の長年の友人で……」
…
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「それでゆうくん…佑人はね…」
「まあ。佑人さんったらそんな事をしていたんですか…」
「もう。ふみ姉ちゃん。今そんなこと言わなくたっていいじゃないか…」
…
…
談笑している俺達。一見したところ和やかな雰囲気だ。だが、なぜだろう。空気が妙に張りつめている。姉と有妃との間で、互いに対する抑えきれない警戒感がひしひしと伝わってくる。この緊張感は結構きつい…。俺は耐えきれずに、わざとおどけたように語りかける。
「なんかふたりとも顔が強張ってるんですけど〜。堅苦しいのはやめようよ〜。ねっ…。」
俺は無理に明るく振る舞い、何度もふたりを促した。姉も有妃もそんな俺の言葉を受けて、互いに固い笑顔で向かい合う。
有妃の真紅の瞳。ふみ姉の青白い瞳。強い光を放つ眼差しが絡み合う。
しばらくそのまま見つめあっていたが、やがて両者はほっとため息を着いた。
「ごめんなさい佑人さん…。お義姉さんが間違いなく旦那さんがいらっしゃって、その方の事を心から愛しておられるのがわかりましたから…。」
「お姉ちゃんもだよ。有妃さんがゆうくんの事。本当に想ってくれているのが良くわかったから…。心配かけちゃってごめんね。」
ふたりは俺を見つめて切なそうに笑った。
だが、俺と有妃の馴れ初めの事。俺の子供の頃の事。話と言ってもその程度の事だ。有妃と姉がいう様な、深刻そうな話はしていなかったはずだが…。これではまるで心を読みあう能力者の様だ。
疑問に思った俺はつい口にしてしまう。
「あの。ふたりともそんな重い話はしていなかったと思うけど…。」
ふみ姉は何をいまさらとばかりに俺を諭すように言う。
「あのね。ゆうくん。お姉ちゃんも最近わかったけど、魔物になると色々信じられない事が出来ちゃうんだよねえ…。これは有妃さんもわかるわよね。」
「はいっ。お義姉さんがおっしゃるとおりですよ。佑人さん。」
有妃も心から同意すると言わんばかりにうなずいた。
まあ、そうだよな。わかっていた事だけど魔物娘って…。本当にご都合主義に近い様な、不思議な力を発揮するんだよな…。
俺は感心した様な。呆れた様な眼差しで二人を見つめてしまった。
ふたりともすっかり打ち解けたようだ。先ほどとは打って変わって穏やかにおしゃべりしている。
「…弟って昔からこういう性格だったから。色々心配でほっておけなくて…。もし有妃さんが一緒になって下さらなかったら、わたしのものにしていたはずですよ〜。」
そう言って冗談っぽく笑う姉だが、有妃の顔色が突然変わる。妙に気色ばんだ様子だ。
「だっ…。だめですよぉ〜!佑人さんは私のものですっ!たとえお義姉さんといえども絶っ対に渡しませんっ!!」
有妃は突然俺に抱き付き蛇体でぐるぐる巻きにすると、姉に向けて不快そうに言葉を送った。俺は再び緊張感と急な圧迫感を感じて戸惑う。
「あ…冗談ですよ有妃さん…。わかって。今のわたしは夫がいるのよ…。でも、気分悪くさせてごめんなさいね。」
つらそうに、そして申し訳なさそうに詫びる姉。その姿を見て有妃は冷静さを取り戻したようだ。慌てたように何度も頭を下げて謝る。
「ごっ…。ごめんなさいっ!私ったらいったい何を…。本当に申し訳ありませんっ!」
「ううん。そんなに謝らないで。有妃さんが佑人の事を大事に想ってくれている証みたいなものですから。逆に嬉しいですよ〜。」
平謝りする有妃に、ふみ姉は優しく慰める様に語り続ける。
「今のわたしは有妃さんの気持ちが良く分かるはずなのにね。旦那さんを取られそうになったらどれほど恨みに思うかも…。それなのに変なこと言って、ごめんなさい…。」
そう言った途端、姉の体から一瞬青白い炎が立ち上ったかのように思えた。予想もしてなかった事で俺は驚く。だが炎めいたものは一瞬で消え、姉も笑顔を浮かべた。ふみ姉の肌は炎と同じ青白い色…。
困惑した俺は有妃の様子を伺うが、何かを察したかのようにうなずいている。
気のせいか?いや。そんな訳無いが、今はふみ姉の話を聞くのが先だ。俺はそっと問いかける。
「そういえばふみ姉ちゃん。旦那さんって。あの…駆け落ちした…。」
「もちろん!お姉ちゃんにとって旦那さんは彼しかいないよぉ〜。」
満面の笑みでうなずくふみ姉。
「それじゃあふみ姉はあの男と仲良くしているんだね。良かった…。」
「うん!今はとっても仲良し!」
「ふ〜ん。それだとあいつはふみ姉が魔物になる事は承知した。って事だよね?あれはもうインキュバス化しているの?」
姉は幾分むっとした表情で俺を見つめた。
「ゆうくん。あいつとかあの男とかあれとか、そんな酷いこと言うのは、めっ…。だよっ。」
ふみ姉は子供にお説教するかのように穏やかに諭す。昔の姉を思い出し、俺の心に甘いものが満ちて行く。
大好きな姉を散々苦しめた男だ。夫として認めたくはないが、お説教モードに入った姉には昔から逆らえない…。
「あの…。ふみ姉ごめん…。」
俺は姉に叱られた時する様にそっと謝る。
「はあい。わかってくれればいいんだよ〜。」
ふみ姉は笑ってくれた。昔と同じ温かく優しい笑顔を見ていると、無性に泣きたくなってしまう。俺は涙をこらえて言葉を続ける。
「それで…。ええと…旦那さんはふみ姉が魔物になる事は承知したの?まさかふみ姉…無理やり魔物化されたとか…」
「ううん!違うよ〜。魔物になったのは間違いなくお姉ちゃんの意思だから。彼には事後承諾みたいな形になっちゃたけど、今では喜んでくれているよ。
だからゆうくんは何も心配しないでいいんだよ〜。」
不安な俺を安心させるかのように語りかけるふみ姉だが。先ほどから微妙に言葉を濁しているのが気になる。どうしよう…。でも、やはり何があったか聞いておきたい。
有妃も姉の事が気になる様子で、俺を促すかのように何度かうなずいてみせた。
「あの…ふみ姉ちゃん。無理にとは言わないけど、何があったか教えてくれないかな?ずっと姉ちゃんの事心配だった…。力になりたいんだ。」
「お義姉さん…。何かお困りではないのですか?私に出来る事があるのならば何でもおっしゃって下さい。」
俺と有妃はふみ姉を気遣う様に問いかける。姉は切ない眼差しをすると、申し訳なさそうに頭を下げた。
「本当にごめんね…。色々ありがとう…。今までの事全部話すね。」
17/08/27 08:28更新 / 近藤無内
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