薬師と神の使い
俺の名前は南雲 義啓(なぐも よしひろ)。薬師を生業としている18歳の男だ。
故郷を出て数年、この山に着き、ここで採れる薬草を使って薬を作ることで生活している。
ある日の昼ごろ俺は山で採れたもので作った薬を売りに山を下りていた。
俺の家は山の中腹にあり、目的の村は家から歩いて20分ほどかかる山の麓にある。
麓までの道を歩いていると左にある林から子供の声が聞こえてきた。
……確かあっちには滝があったな?妖怪に襲われているのかもしれん。
そう思った俺は声がする方へと向かった。すぐに目的の滝が見えた。子供もいるようだ。
襲われているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
近づいていくとその少年は手に持った木の棒を足元の何かに向けて振っているようだ。
「こら!何してる!」
「うわ!何だぁ!?」
俺は少年に近づいて後ろから着物の襟を掴んで持ち上げる。少年は驚いたように声を上げ、手に持っていた木の棒を下に落とす。俺はこいつが何をしていたのか知った。
彼の足元には蛇がいた。それも2尺(約60cm)くらいの真っ白な蛇だ。
子供とはいえ、少しの間叩かれ続けたのだろう。その白い鱗は傷つき、動けないようであった。俺は掴んでいた少年に目を向けるとそいつは何で止めるとでも言うように俺を睨んでいた。
「ここにいるってことは麓の村の子供だな?何をしていた?」
「練習だよ!俺は大きくなったら村を妖怪から守るんだ!そのために練習してるんだ!」
「ふむ、志は立派だな。だが、動物をいじめるのはいかん。」
「なんでだよ!?」
「お前がやっているのは弱い者いじめだ。それこそ、妖怪がやっているのと変わらん。」
俺がじろりと少年を睨むと目を逸らした。それを見て俺は畳み掛ける。
「小僧、お前は知らないようだが、白い蛇は神様の使いと言われていてな。」
「えっ!?」
「その神様の使いをお前は殴って殺そうとしたんだ。何か罰でも当たるかもなぁ。」
「ば、罰って?」
俺の言葉に顔を青くしながら彼は聞いてくる。よしもう一押しだな…。
「さぁなぁ。だが、ここで蛇に謝って二度としないと誓えば許してくれるかもなぁ…。」
「ひぃ!ご、ごめんなさい!二度としないから許してぇ!」
俺が手を離すと彼は地面に土下座して謝る。
「これで神様も許してくれるだろう。だが神様の気が変わる前に家に帰った方がいいぞ。」
俺が言うと青い顔をさらに青くし、全力で村の方に走っていった。俺はそれを見送ると背中の荷物入れを降ろし、薬と包帯を取り出す。もちろん、蛇を治療するためだ。
「こんなところ村人に見られたら気がふれたとでも言われそうだな…。」
俺はそう言いながら鱗に薬を塗りこみ、包帯をその体に巻いた。
そうこうしていると治療は終わった。だが、蛇はどこか痛めたのか動けないようだ。
「やれやれ…。今日は商売できないな。」
そう愚痴った後、俺は蛇を持ってきていた籠に入れ、家に帰る。
知り合いの医者に見せるためだ。彼は呼んだらすぐ来てくれるはずだ。
俺は家に帰ると蛇を柔らかい布の方に移し、彼を呼ぶために狼煙を焚いた。
すると、山の頂上の方から鳥の羽ばたく音が聞こえ、すぐに俺のそばに降り立った。
「わしを呼ぶとは何かあったのかな?」
彼は人ではなかった身長は俺と同じくらいで、山伏衣装を着ている。しかし、その顔にある口は鳥の嘴の様であり、背中からは黒い羽があり、体の一部も同色の羽で覆われていた。
そう、彼は人ではなく、ここジパングでは天狗と言われ、恐れられている妖怪だった。
「ああ、あんた動物の手当てとかできたよな。」
「そりゃあの。なにせこんな山じゃから、人より動物の方が多いからの。」
「ならよかった。見てもらいたい者がいる。」
俺が家に招き入れると彼も入ってくる。そして蛇を着て、驚いたように声を上げる。
「ほぅ、白蛇かい。いったい何があったんじゃ?」
「山の中腹辺りで子供に殴られてたんだ。一応、打ち身の薬で治療したんだが、万が一もあるから見てもらおうと思ってな。」
「お前さんの薬は動物にもよう効くからのぉ。どれどれ…。」
そういうと彼は蛇の身体をなぞるように手を動かす。本人が言うには神通力という力を使って、体の異常を探っているらしい。するとすぐに手を動かすのをやめた。
「ふむ。どうやら異常はなさそうだのう。お前さんの薬の効いているようだの。
ただ明日の朝までは動けないじゃろうから、その間看とってくれんかな。」
「どちらにしろ、今日は家にいるつもりだ。しかし、呼んですまないな。」
「いや、お礼を言いたいのはこちらのほうじゃ。山の者を助けてくれたんじゃからな。」
俺が謝ると彼はほっほっほと言って笑う。だが俺のそれでは気が済まない。
「それでも俺の気が済まない。何か礼をさせてくれ。」
「ふむ……。なら今度お前さんの薬を多めにもらえるかのう?」
それならお安い御用だ。俺が頷くと彼はうれしそうに微笑んだ。
「ありがたいことじゃ。ではわしは帰るがまた何かあれば呼んでくれ。」
「ああ、わかった。」
「ではな。また会おう。さらばじゃ!」
そう言うと彼は家を出ていく。すぐに飛び立つ音がしたから帰っていったのだろう。
おれはそれを見届けると家に帰り、蛇の様子を見る。
先ほどと変わらないが、なぜか穏やかな印象を俺は受けていた。
次の日の夜、白蛇は動けるようになったのか、部屋の中を動くようになっていた。
見つけて二日目には外に出ていき、少しするとどうやら獲物を捕まえたのか、腹の一部が膨れており、そのまま柔らかい布を引いた籠の中で丸まった。消化するためだろう。
そして傷が治っても蛇はずっと家にいた。とはいっても体にできた傷は少し残ってしまった。
特に下腹部には大きめの傷が残っている。
また俺が家にいる間は俺の腕などに巻きついてくることが多かった。
どうやらその中でも首に巻きつくのが好きらしく、俺が薬を調合している間はずっとそうしていることが多かった。寝ているときも腕に巻きついてくるのだ。
蛇が来てから神様のご加護でもあるのか、うれしいことに仕事もはかどるようになった。
そんな蛇に愛着がわき、俺も暇なときはずっと一緒に居るようにした。
……しかし、その生活も長くは続かなかった。
半年もするとその蛇は姿を見せなくなった。彼もいつか帰ってくるだろうと蛇の寝床であるあの籠を用意していたが、帰ってくることは無かった。
そして蛇と会ってから2年後、異国の魔王が代替わりして妖怪がすべて女性になった。
「ふぅ。これで今日の分の薬もできたな。」
今日は雨が降っていたせいで薬草が取れなかった俺は昨日取った薬草を磨り潰し、別のも
のと混ぜて薬を作っていた。
……あれから2年半も経ったが、あの白蛇は元気にしているだろうか?……
居なくなってすぐ、俺はあの天狗にいろいろ聞いたのだが、彼は「おそらく彼女の仕える者に呼ばれたのだろう。」と悲しそうな顔をして言った。おそらくもう帰ってこないだろうとも言っていた。そんな彼も1年前死んでしまった。彼はすでに200年くらい生きてたらしく寿命だったのか、作った薬も効かず死んでいった。
俺は思い出を振り払うように首を振った後、寝るための準備を始めた。
そんなときだった。扉がどんどんと叩かれる。こんな大雨が降っている中、夜遅くに扉が叩かれたのだ。俺は警戒しながら扉を開けるとそこには女性がいた。
まず目についたのはその長く白い髪だった。艶やかなその髪を腰のあたりまで伸ばし、その中から常人より長い耳が覗いている。そして凛とした顔に赤色の目が映えている。
その肌には傷はなく、まるで雪の様な白くだった。そんな彼女は雨に長い間当たっていたせいか、その美しい髪は体に張り付き、着ている白色の巫女服もぴっちりと体に張り付き、その大きな胸が透けて見えていた。
「こんな夜にどうなさったのですか?」
俺は彼女を見ないように目をそらしながら尋ねる。彼女は俺の目を見て言った。
「私は旅の者で白穂(しらほ)と言います。この山を越えたかったのですが、越えないうちに雨が降り、夜になってしまいました。どうか一晩泊めていただけないでしょうか?」
彼女は私より身長が小さいので俺を見上げるような視線で見てくる。
「それはお困りでしょう。ささ、上がってください。急ぎ、風呂も用意しましょう。」
「……何からないまで迷惑をかけてすみません。」
頭を下げる彼女に俺は最近村に来た商人から買って棚に入れていた布(タオルというらしい)を手渡す。土間に上がり、体を拭き始めた彼女を見て、俺は風呂を沸かすために奥に向かった。
一刻後、彼女が風呂に入っている間に俺が寝る部屋の向かいの部屋に彼女の布団や寝間着を用意しておく。そしてその準備が終わると、俺はいろいろ調べ始めた。
「何からないまでありがとうございます。」
「いえいえ、旅は道連れ、世は情けと言いますから、気になさらずに。」
彼女が手をつき、深々と頭を下げるのを見て俺は言う。
「ですが、もう夜も遅いですし、明日に備えて寝ることにしましょう。」
「……わかりました。おやすみなさい。」
そう言って互いに布団を引いてある部屋に下がる。そして明かりを消し、布団に入った。
そして二刻ほどたっただろうか…。部屋の襖がスーッと開き、誰かが入ってくる。
そのまま足音を忍ばせて布団に近づくとその布団に覆いかぶさった。
しかしその中にはだれも居ず、襲撃者は途方に暮れた。
「そこまでだ。」
俺は声を上げるとそばの行燈に火を灯し、明るくする。そこには俺の布団に覆いかぶさるようにこちらを見ている白穂がいた。俺は詰問するように問いかける。
「白穂殿、こんな夜半に何用かな?」
「いえ…そ、その?」
「君は旅をしているといったが、それは嘘だろう?何をしに来たのかは知らないが、
この家には金目のものはないぞ。それとも俺の命を狙いに来たのか?」
「ち、違います!」
「では何をしに来た?」
俺が問いかけると彼女は顔を赤らめると意を決したのかこっちを見つめ言った。
「よ、夜這いに来ました……。」
「……は?」
彼女が言った言葉に俺は当然予想しているはずなく、唖然とする。
何か気まずい空気がその場に流れる。彼女の顔はどんどん赤くなっていく。
「あ、あの…。何か言ってくれませんか?」
「……俺に何を言えと?」
いきなりそんなことを言われ、どうすればいいのか俺にはわからない。
「し、仕方ないじゃないですか!やっとあなたに会えたんです!」
「ん?失礼だが俺たちは初対面じゃないか?」
俺が言うと彼女は悲しそうな顔をする。そして何か決心したような顔になった。
「この姿ではわかりませんね。…あの、何かあっても驚かないでくれますか?」
「?何をするか知らないが、約束しよう。」
俺が頷くと、彼女は目を閉じた。すると彼女の身体が光り出す。
光が消えると彼女の身体が変わっていた。上半身は変わらないが、下半身が人間ではなく髪と同じ色の蛇体になっていた。そして、その人と蛇体の切れ目の下側に見覚えのある傷があった。それはあの白蛇に着いていた傷に酷似していた。
「……君はあの時の白蛇か?」
「はい、お久しぶりです。義啓様。」
彼女はにっこりと笑っていった。しかし俺は少し怒りを感じていた。
「あの時、なぜいなくなったんだ?」
「私たちシロヘビは蛟様と呼ばれる龍に仕える巫女なんです。私はある仕事を命じられていたのですが、子供に襲われ殴られました。その時あなたが来て救ってくれたんです。」
「ああ、そうだったな。」
「はい、あの時命を救われた私は気が付けばあなたと一緒に居たいと思うようになってました。ですが、私がいつまでも帰ってこないことを訝しく思った蛟様に見つかってしまい、連れ戻されたんです。」
「それが消えたあの日か…。」
「はい。私は仕事をないがしろにしたことの罰として、牢に閉じ込められました。
私はあなたに会うことはできないと思ってましたが、ある日それが変わりました。」
「変わった?」
「はい、異国にいる魔王が代替わりしたんです。その影響で私は今の姿になりました。
そして昨日、蛟様は私を牢から出してくれたんです。彼は「すまなかった。これからは自分の思うように生きていい。」と言いました。そしてあなたに会いたかった私はここに来たんです。」
「……急にいなくなった理由はわかった。…だが、なぜ正体を隠した?」
「…急にこんな姿になった私を見て拒絶されるのが怖かったんです。だから…。」
「…正体を示して嫌われるのなら、いっそ襲ってしまえばいい…と?」
俺が言うと彼女は俯いて頷く。そして再び上げた顔は涙で濡れていた。
「ご迷惑をかけてすみません。…こんな私は嫌いですよね…。
すみませんでした。今すぐ出ていきますね…。」
「……待てよ。」
そのまま、部屋を出ようとした彼女を俺は後ろから抱きしめることで防ぐ。
「俺もお前に言いたいことがある。出ていくなら、それを聞いてからしてくれないか?」
「…ひっく……何ですか?」
俺は彼女の前に回り込んで、抱きしめる。彼女は驚いたように身を竦ませた。
「…言うのが遅れてごめん。……おかえり、白穂。こんな俺でよければ一緒に暮らさないか?」
「…私、ここに居ていいんですか?」
「居ていいんじゃない。俺が君に居て欲しいんだ。」
俺が言うと彼女は目を見開いた。その目からさらに涙があふれる。
白穂は俺の首に手を回して抱きついてくる。俺はそれを受け止めた。
「…ひっく……ひっく…ひっく…」
「好きなだけ泣いていい。俺が全部受け止めてやる。」
俺の腕の中で彼女はずっと泣き続けた。
「落ち着いたか。」
「…はい、ありがとうございました。」
半刻ほど泣き続けた彼女はその赤い目を腫らしていた。それと……。
「なぁ…。体を離してくれないか?」
「嫌です♪やっとあなたと触れ合えたんですから♪」
白穂を抱きしめていた俺は気が付けば彼女の尻尾に巻きつかれ、体がほとんど動かなくなっていた。白穂は興奮しているような息遣いをしながら徐々に顔を近づけてくる。
「おい、何を!?」
「っん♪」
白穂は俺の頭を抱きしめるように固定して自身の口を俺の口を塞ぐように重ねた。
驚いている俺を尻目に彼女は蛇のような長い舌を俺の口の隙間にねじ込まれてくる。
「…んちゅ…ん…はぁ…あむぅ…♪」
白穂の長い舌は俺の口内を蹂躙するように暴れまわる。歯茎を舐るように舐め回したかと思うと次の瞬間には歯を擦り上げてきた。そして奥に縮こまった俺の舌に絡みついてきた。
その舌使いと注ぎ込まれる彼女の唾液によって俺は何も考えられなくなっていく。
接吻を始めて少し経ち、白穂は口を離した。互いの口を繋ぐように銀色の橋が架かっていた。彼女の白い肌は興奮のせいか上気している。
「義啓様♪どうでしたか?」
「はぁ…はぁ…」
白穂が聞いてくるが俺は答えられる状態ではなかった。仕方ないだろう。これが彼にとって初めてだったのだから。こんな情熱的な接吻をされて彼は何も考えられなくなっていた。その様子を見て白穂は妖艶な笑みを浮かべ、俺に巻きついたまま移動する。
彼女が向かったのは俺が寝るはずだった布団だ。
彼女はいったん俺を離すと自分を布団に横たえて、寝間着を肌蹴た。
俺が目にしたのは雪のように白い肌に建つ大きな胸とその頂点にある仄かな桜色の乳首だった。また人間の下半身にある秘部からは粘り気のある液体が溢れている。
「はぁ…はぁ…義啓さまぁ…もう我慢できませんのぉ…入れてください……。」
「……俺でいいのか?」
いまだ俺が尻込みしていると白穂は笑顔で俺の首に手を巻きつける様に抱きついてきた。
そして俺の耳に口を寄せて囁いてきた。
「…義啓さまのが欲しいんです…。私をあなたの女にしてくれませんか?」
「…もう止まらないぞ。」
「はい。おねがいしますぅ…。」
その言葉に俺は寝間着を止めていた紐を解き、逸物を露出させる。先ほどの接吻でそそり立った逸物を取り出し、彼女の秘部に当てる。おそらく少し力を入れれば入っていくだろう。
「…行くぞ?」
「はい♪」
ズンッという音と共に何かを突き破って俺の物は彼女の膣内に侵入する。
「んあ!?」
「くっ……!」
侵入した彼女の膣内は熱く、入ってきた物をキュッと締め付けながら、さらに奥へ引きずり込もうと動いている。最奥に到達すると俺は彼女の秘部から血が出てるのに気づき、彼女を気遣うために声をかけた。
「…大丈夫か?」
「ひゃい…だいじょうれすからぁ……うごいてぇぇ…♪」
顔を淫靡な色に染めて、口からは涎を垂らしながら、そんなことを言ってきた。
そんなことを言われて我慢できるわけなく、俺は接吻をしながら勢いよく腰を振り出した。
「んん!?」
いきなり接吻したことに彼女は驚いたようだが、舌を絡ませながら腰を振り出すと最初のように情熱的に舌を絡ませてきた。上ではクチュクチュという音、下からはズチュという逸物を出し入れする音を出しながら俺たちは互いを求め合った。
締め付けてくる彼女の膣内が気持ち良すぎて、女性経験のない俺はすぐに限界を迎えた。
「くっ!白穂出すぞ!」
「だしてぇ!あなたのしんせんなこだねをなかにくださぁい!」
接吻をやめて俺が言うと彼女は離れないように腕と尻尾を巻きつけ、腰を密着させる。
そしてドクンッと脈打つと俺のから勢いよく精子が彼女の中に入っていく。
「きたぁぁぁぁ♪あついのきたぁぁぁぁ♪」
「うぉ!?」
俺が放つと同時に彼女の膣内が尿道にある精子を根こそぎ送り込ませるように蠕動する。
2分ほど出し続けただろうか、ようやく放出が止まると彼女のお腹はぽっこりと膨らみ、彼女は放心したように宙を見ていた。
「はぁ…はぁ…白穂、大丈夫か?」
「おなかのなか、よしひろさまのでいっぱいですぅ……」
「すまない。激しくしすぎたな。」
「いいんですよ…いま、わたしとてもしあわせですからぁ…」
謝ると彼女は嬉しそうな顔で言った。
しかしどうやら俺は限界の様でどんどん瞼が落ちていく。そんな俺を見て彼女は微笑む。
「…いいですよ。これからはずっと一緒ですから…。」
その言葉に安心して、俺は眠った。
「ん?」
目が覚めるといつもの風景がそこにあった。寝間着も乱れていなかった。
「…夢だったのか。まったく、なんて夢だ。」
そうつぶやくと窓を開けた。すでに昼ごろのようだ。どこから夢だったのだろうか?
少し落ち込んだが、ご飯にしようと台所に向かった。
「あ、起きられたんですね♪少し待っていただければご飯できますから♪」
そこには白い尻尾を揺らしながら、頭に三角巾、割烹着を着てお玉を片手に味噌汁を作っている白穂がいた。
「義啓様、昨日の夜はすみませんでした!
一緒に居れることがうれしくてつい襲ってしまいました…。」
ほかほかのご飯、サバの塩焼き、そして味噌汁という伝統的なジパング料理を食べた後、彼女は手をついて土下座した。俺は慌ててそれをやめさせる。
「謝らなくていいよ。あと俺は義啓と呼び捨てでいいよ。」
「で、ですが……。」
言いよどむ彼女に近寄り、俺はその体を抱きしめる。
「俺が言ってるんだからいいだろう。あと、昨日の返事を聞いてないけど?」
「返事?」
彼女がわかってないようなので、俺は笑いながら告げる。
「昨日言った“一緒に暮らさないか?”って言っただろ。あれの返事まだだよね?」
「あっ……。」
彼女は思い出したのか、顔を赤くする。ほほえましいその様子に俺は笑った。
「じゃあ、もう一度言うよ。俺と一緒に暮らしてくれませんか?」
「はい!喜んで!」
輝かんばかりの笑顔で彼女は俺に抱きついてくる白穂を俺は受け止めた。
それから数年、そこに住んでいたが、その後彼らはジパングを出ることにした。
彼らは大陸を渡ってきた人に出会い、大陸の都市に連れて行ってもらうことができたのだ。
そこで彼らはジパングにいるとき生まれた双子の娘たちと一緒にある薬屋を開業した。
この都市に来て数年経ったある朝、彼らは家のベランダから街を見ていた。
「白穂、ここに来てよかったのか?」
「ええ、あなたのいるところならどこでもいいわ。」
「そうか。君と会えて、俺は幸せだ。可愛い子供もできたしな。」
「ええ、私もあなたと会えてよかった。」
彼女は俺の肩に自分の頭を置きながら、俺の身体に自分の身体を巻きつけていた。
「そう言えば会ったばかりの白穂は巻きつくのが好きだったな。」
「違います。私はあなたに巻きつくのが好きなんです。これからもずっと好きですから…。」
『おかーさん、おとーさん!そろそろ準備しないと〜!』
下の階から双子の娘の白玖(はく)と小白(こはく)が呼んでいる。時計を確認すると開店までおよそ10分くらいだった。
「あいつらも呼んでいるし、そろそろ行こうか。」
「ええ、行きましょう。」
そう言って彼らは家に入っていく。
ここに彼らの幸せが続くことを願おう……。
Fin
故郷を出て数年、この山に着き、ここで採れる薬草を使って薬を作ることで生活している。
ある日の昼ごろ俺は山で採れたもので作った薬を売りに山を下りていた。
俺の家は山の中腹にあり、目的の村は家から歩いて20分ほどかかる山の麓にある。
麓までの道を歩いていると左にある林から子供の声が聞こえてきた。
……確かあっちには滝があったな?妖怪に襲われているのかもしれん。
そう思った俺は声がする方へと向かった。すぐに目的の滝が見えた。子供もいるようだ。
襲われているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
近づいていくとその少年は手に持った木の棒を足元の何かに向けて振っているようだ。
「こら!何してる!」
「うわ!何だぁ!?」
俺は少年に近づいて後ろから着物の襟を掴んで持ち上げる。少年は驚いたように声を上げ、手に持っていた木の棒を下に落とす。俺はこいつが何をしていたのか知った。
彼の足元には蛇がいた。それも2尺(約60cm)くらいの真っ白な蛇だ。
子供とはいえ、少しの間叩かれ続けたのだろう。その白い鱗は傷つき、動けないようであった。俺は掴んでいた少年に目を向けるとそいつは何で止めるとでも言うように俺を睨んでいた。
「ここにいるってことは麓の村の子供だな?何をしていた?」
「練習だよ!俺は大きくなったら村を妖怪から守るんだ!そのために練習してるんだ!」
「ふむ、志は立派だな。だが、動物をいじめるのはいかん。」
「なんでだよ!?」
「お前がやっているのは弱い者いじめだ。それこそ、妖怪がやっているのと変わらん。」
俺がじろりと少年を睨むと目を逸らした。それを見て俺は畳み掛ける。
「小僧、お前は知らないようだが、白い蛇は神様の使いと言われていてな。」
「えっ!?」
「その神様の使いをお前は殴って殺そうとしたんだ。何か罰でも当たるかもなぁ。」
「ば、罰って?」
俺の言葉に顔を青くしながら彼は聞いてくる。よしもう一押しだな…。
「さぁなぁ。だが、ここで蛇に謝って二度としないと誓えば許してくれるかもなぁ…。」
「ひぃ!ご、ごめんなさい!二度としないから許してぇ!」
俺が手を離すと彼は地面に土下座して謝る。
「これで神様も許してくれるだろう。だが神様の気が変わる前に家に帰った方がいいぞ。」
俺が言うと青い顔をさらに青くし、全力で村の方に走っていった。俺はそれを見送ると背中の荷物入れを降ろし、薬と包帯を取り出す。もちろん、蛇を治療するためだ。
「こんなところ村人に見られたら気がふれたとでも言われそうだな…。」
俺はそう言いながら鱗に薬を塗りこみ、包帯をその体に巻いた。
そうこうしていると治療は終わった。だが、蛇はどこか痛めたのか動けないようだ。
「やれやれ…。今日は商売できないな。」
そう愚痴った後、俺は蛇を持ってきていた籠に入れ、家に帰る。
知り合いの医者に見せるためだ。彼は呼んだらすぐ来てくれるはずだ。
俺は家に帰ると蛇を柔らかい布の方に移し、彼を呼ぶために狼煙を焚いた。
すると、山の頂上の方から鳥の羽ばたく音が聞こえ、すぐに俺のそばに降り立った。
「わしを呼ぶとは何かあったのかな?」
彼は人ではなかった身長は俺と同じくらいで、山伏衣装を着ている。しかし、その顔にある口は鳥の嘴の様であり、背中からは黒い羽があり、体の一部も同色の羽で覆われていた。
そう、彼は人ではなく、ここジパングでは天狗と言われ、恐れられている妖怪だった。
「ああ、あんた動物の手当てとかできたよな。」
「そりゃあの。なにせこんな山じゃから、人より動物の方が多いからの。」
「ならよかった。見てもらいたい者がいる。」
俺が家に招き入れると彼も入ってくる。そして蛇を着て、驚いたように声を上げる。
「ほぅ、白蛇かい。いったい何があったんじゃ?」
「山の中腹辺りで子供に殴られてたんだ。一応、打ち身の薬で治療したんだが、万が一もあるから見てもらおうと思ってな。」
「お前さんの薬は動物にもよう効くからのぉ。どれどれ…。」
そういうと彼は蛇の身体をなぞるように手を動かす。本人が言うには神通力という力を使って、体の異常を探っているらしい。するとすぐに手を動かすのをやめた。
「ふむ。どうやら異常はなさそうだのう。お前さんの薬の効いているようだの。
ただ明日の朝までは動けないじゃろうから、その間看とってくれんかな。」
「どちらにしろ、今日は家にいるつもりだ。しかし、呼んですまないな。」
「いや、お礼を言いたいのはこちらのほうじゃ。山の者を助けてくれたんじゃからな。」
俺が謝ると彼はほっほっほと言って笑う。だが俺のそれでは気が済まない。
「それでも俺の気が済まない。何か礼をさせてくれ。」
「ふむ……。なら今度お前さんの薬を多めにもらえるかのう?」
それならお安い御用だ。俺が頷くと彼はうれしそうに微笑んだ。
「ありがたいことじゃ。ではわしは帰るがまた何かあれば呼んでくれ。」
「ああ、わかった。」
「ではな。また会おう。さらばじゃ!」
そう言うと彼は家を出ていく。すぐに飛び立つ音がしたから帰っていったのだろう。
おれはそれを見届けると家に帰り、蛇の様子を見る。
先ほどと変わらないが、なぜか穏やかな印象を俺は受けていた。
次の日の夜、白蛇は動けるようになったのか、部屋の中を動くようになっていた。
見つけて二日目には外に出ていき、少しするとどうやら獲物を捕まえたのか、腹の一部が膨れており、そのまま柔らかい布を引いた籠の中で丸まった。消化するためだろう。
そして傷が治っても蛇はずっと家にいた。とはいっても体にできた傷は少し残ってしまった。
特に下腹部には大きめの傷が残っている。
また俺が家にいる間は俺の腕などに巻きついてくることが多かった。
どうやらその中でも首に巻きつくのが好きらしく、俺が薬を調合している間はずっとそうしていることが多かった。寝ているときも腕に巻きついてくるのだ。
蛇が来てから神様のご加護でもあるのか、うれしいことに仕事もはかどるようになった。
そんな蛇に愛着がわき、俺も暇なときはずっと一緒に居るようにした。
……しかし、その生活も長くは続かなかった。
半年もするとその蛇は姿を見せなくなった。彼もいつか帰ってくるだろうと蛇の寝床であるあの籠を用意していたが、帰ってくることは無かった。
そして蛇と会ってから2年後、異国の魔王が代替わりして妖怪がすべて女性になった。
「ふぅ。これで今日の分の薬もできたな。」
今日は雨が降っていたせいで薬草が取れなかった俺は昨日取った薬草を磨り潰し、別のも
のと混ぜて薬を作っていた。
……あれから2年半も経ったが、あの白蛇は元気にしているだろうか?……
居なくなってすぐ、俺はあの天狗にいろいろ聞いたのだが、彼は「おそらく彼女の仕える者に呼ばれたのだろう。」と悲しそうな顔をして言った。おそらくもう帰ってこないだろうとも言っていた。そんな彼も1年前死んでしまった。彼はすでに200年くらい生きてたらしく寿命だったのか、作った薬も効かず死んでいった。
俺は思い出を振り払うように首を振った後、寝るための準備を始めた。
そんなときだった。扉がどんどんと叩かれる。こんな大雨が降っている中、夜遅くに扉が叩かれたのだ。俺は警戒しながら扉を開けるとそこには女性がいた。
まず目についたのはその長く白い髪だった。艶やかなその髪を腰のあたりまで伸ばし、その中から常人より長い耳が覗いている。そして凛とした顔に赤色の目が映えている。
その肌には傷はなく、まるで雪の様な白くだった。そんな彼女は雨に長い間当たっていたせいか、その美しい髪は体に張り付き、着ている白色の巫女服もぴっちりと体に張り付き、その大きな胸が透けて見えていた。
「こんな夜にどうなさったのですか?」
俺は彼女を見ないように目をそらしながら尋ねる。彼女は俺の目を見て言った。
「私は旅の者で白穂(しらほ)と言います。この山を越えたかったのですが、越えないうちに雨が降り、夜になってしまいました。どうか一晩泊めていただけないでしょうか?」
彼女は私より身長が小さいので俺を見上げるような視線で見てくる。
「それはお困りでしょう。ささ、上がってください。急ぎ、風呂も用意しましょう。」
「……何からないまで迷惑をかけてすみません。」
頭を下げる彼女に俺は最近村に来た商人から買って棚に入れていた布(タオルというらしい)を手渡す。土間に上がり、体を拭き始めた彼女を見て、俺は風呂を沸かすために奥に向かった。
一刻後、彼女が風呂に入っている間に俺が寝る部屋の向かいの部屋に彼女の布団や寝間着を用意しておく。そしてその準備が終わると、俺はいろいろ調べ始めた。
「何からないまでありがとうございます。」
「いえいえ、旅は道連れ、世は情けと言いますから、気になさらずに。」
彼女が手をつき、深々と頭を下げるのを見て俺は言う。
「ですが、もう夜も遅いですし、明日に備えて寝ることにしましょう。」
「……わかりました。おやすみなさい。」
そう言って互いに布団を引いてある部屋に下がる。そして明かりを消し、布団に入った。
そして二刻ほどたっただろうか…。部屋の襖がスーッと開き、誰かが入ってくる。
そのまま足音を忍ばせて布団に近づくとその布団に覆いかぶさった。
しかしその中にはだれも居ず、襲撃者は途方に暮れた。
「そこまでだ。」
俺は声を上げるとそばの行燈に火を灯し、明るくする。そこには俺の布団に覆いかぶさるようにこちらを見ている白穂がいた。俺は詰問するように問いかける。
「白穂殿、こんな夜半に何用かな?」
「いえ…そ、その?」
「君は旅をしているといったが、それは嘘だろう?何をしに来たのかは知らないが、
この家には金目のものはないぞ。それとも俺の命を狙いに来たのか?」
「ち、違います!」
「では何をしに来た?」
俺が問いかけると彼女は顔を赤らめると意を決したのかこっちを見つめ言った。
「よ、夜這いに来ました……。」
「……は?」
彼女が言った言葉に俺は当然予想しているはずなく、唖然とする。
何か気まずい空気がその場に流れる。彼女の顔はどんどん赤くなっていく。
「あ、あの…。何か言ってくれませんか?」
「……俺に何を言えと?」
いきなりそんなことを言われ、どうすればいいのか俺にはわからない。
「し、仕方ないじゃないですか!やっとあなたに会えたんです!」
「ん?失礼だが俺たちは初対面じゃないか?」
俺が言うと彼女は悲しそうな顔をする。そして何か決心したような顔になった。
「この姿ではわかりませんね。…あの、何かあっても驚かないでくれますか?」
「?何をするか知らないが、約束しよう。」
俺が頷くと、彼女は目を閉じた。すると彼女の身体が光り出す。
光が消えると彼女の身体が変わっていた。上半身は変わらないが、下半身が人間ではなく髪と同じ色の蛇体になっていた。そして、その人と蛇体の切れ目の下側に見覚えのある傷があった。それはあの白蛇に着いていた傷に酷似していた。
「……君はあの時の白蛇か?」
「はい、お久しぶりです。義啓様。」
彼女はにっこりと笑っていった。しかし俺は少し怒りを感じていた。
「あの時、なぜいなくなったんだ?」
「私たちシロヘビは蛟様と呼ばれる龍に仕える巫女なんです。私はある仕事を命じられていたのですが、子供に襲われ殴られました。その時あなたが来て救ってくれたんです。」
「ああ、そうだったな。」
「はい、あの時命を救われた私は気が付けばあなたと一緒に居たいと思うようになってました。ですが、私がいつまでも帰ってこないことを訝しく思った蛟様に見つかってしまい、連れ戻されたんです。」
「それが消えたあの日か…。」
「はい。私は仕事をないがしろにしたことの罰として、牢に閉じ込められました。
私はあなたに会うことはできないと思ってましたが、ある日それが変わりました。」
「変わった?」
「はい、異国にいる魔王が代替わりしたんです。その影響で私は今の姿になりました。
そして昨日、蛟様は私を牢から出してくれたんです。彼は「すまなかった。これからは自分の思うように生きていい。」と言いました。そしてあなたに会いたかった私はここに来たんです。」
「……急にいなくなった理由はわかった。…だが、なぜ正体を隠した?」
「…急にこんな姿になった私を見て拒絶されるのが怖かったんです。だから…。」
「…正体を示して嫌われるのなら、いっそ襲ってしまえばいい…と?」
俺が言うと彼女は俯いて頷く。そして再び上げた顔は涙で濡れていた。
「ご迷惑をかけてすみません。…こんな私は嫌いですよね…。
すみませんでした。今すぐ出ていきますね…。」
「……待てよ。」
そのまま、部屋を出ようとした彼女を俺は後ろから抱きしめることで防ぐ。
「俺もお前に言いたいことがある。出ていくなら、それを聞いてからしてくれないか?」
「…ひっく……何ですか?」
俺は彼女の前に回り込んで、抱きしめる。彼女は驚いたように身を竦ませた。
「…言うのが遅れてごめん。……おかえり、白穂。こんな俺でよければ一緒に暮らさないか?」
「…私、ここに居ていいんですか?」
「居ていいんじゃない。俺が君に居て欲しいんだ。」
俺が言うと彼女は目を見開いた。その目からさらに涙があふれる。
白穂は俺の首に手を回して抱きついてくる。俺はそれを受け止めた。
「…ひっく……ひっく…ひっく…」
「好きなだけ泣いていい。俺が全部受け止めてやる。」
俺の腕の中で彼女はずっと泣き続けた。
「落ち着いたか。」
「…はい、ありがとうございました。」
半刻ほど泣き続けた彼女はその赤い目を腫らしていた。それと……。
「なぁ…。体を離してくれないか?」
「嫌です♪やっとあなたと触れ合えたんですから♪」
白穂を抱きしめていた俺は気が付けば彼女の尻尾に巻きつかれ、体がほとんど動かなくなっていた。白穂は興奮しているような息遣いをしながら徐々に顔を近づけてくる。
「おい、何を!?」
「っん♪」
白穂は俺の頭を抱きしめるように固定して自身の口を俺の口を塞ぐように重ねた。
驚いている俺を尻目に彼女は蛇のような長い舌を俺の口の隙間にねじ込まれてくる。
「…んちゅ…ん…はぁ…あむぅ…♪」
白穂の長い舌は俺の口内を蹂躙するように暴れまわる。歯茎を舐るように舐め回したかと思うと次の瞬間には歯を擦り上げてきた。そして奥に縮こまった俺の舌に絡みついてきた。
その舌使いと注ぎ込まれる彼女の唾液によって俺は何も考えられなくなっていく。
接吻を始めて少し経ち、白穂は口を離した。互いの口を繋ぐように銀色の橋が架かっていた。彼女の白い肌は興奮のせいか上気している。
「義啓様♪どうでしたか?」
「はぁ…はぁ…」
白穂が聞いてくるが俺は答えられる状態ではなかった。仕方ないだろう。これが彼にとって初めてだったのだから。こんな情熱的な接吻をされて彼は何も考えられなくなっていた。その様子を見て白穂は妖艶な笑みを浮かべ、俺に巻きついたまま移動する。
彼女が向かったのは俺が寝るはずだった布団だ。
彼女はいったん俺を離すと自分を布団に横たえて、寝間着を肌蹴た。
俺が目にしたのは雪のように白い肌に建つ大きな胸とその頂点にある仄かな桜色の乳首だった。また人間の下半身にある秘部からは粘り気のある液体が溢れている。
「はぁ…はぁ…義啓さまぁ…もう我慢できませんのぉ…入れてください……。」
「……俺でいいのか?」
いまだ俺が尻込みしていると白穂は笑顔で俺の首に手を巻きつける様に抱きついてきた。
そして俺の耳に口を寄せて囁いてきた。
「…義啓さまのが欲しいんです…。私をあなたの女にしてくれませんか?」
「…もう止まらないぞ。」
「はい。おねがいしますぅ…。」
その言葉に俺は寝間着を止めていた紐を解き、逸物を露出させる。先ほどの接吻でそそり立った逸物を取り出し、彼女の秘部に当てる。おそらく少し力を入れれば入っていくだろう。
「…行くぞ?」
「はい♪」
ズンッという音と共に何かを突き破って俺の物は彼女の膣内に侵入する。
「んあ!?」
「くっ……!」
侵入した彼女の膣内は熱く、入ってきた物をキュッと締め付けながら、さらに奥へ引きずり込もうと動いている。最奥に到達すると俺は彼女の秘部から血が出てるのに気づき、彼女を気遣うために声をかけた。
「…大丈夫か?」
「ひゃい…だいじょうれすからぁ……うごいてぇぇ…♪」
顔を淫靡な色に染めて、口からは涎を垂らしながら、そんなことを言ってきた。
そんなことを言われて我慢できるわけなく、俺は接吻をしながら勢いよく腰を振り出した。
「んん!?」
いきなり接吻したことに彼女は驚いたようだが、舌を絡ませながら腰を振り出すと最初のように情熱的に舌を絡ませてきた。上ではクチュクチュという音、下からはズチュという逸物を出し入れする音を出しながら俺たちは互いを求め合った。
締め付けてくる彼女の膣内が気持ち良すぎて、女性経験のない俺はすぐに限界を迎えた。
「くっ!白穂出すぞ!」
「だしてぇ!あなたのしんせんなこだねをなかにくださぁい!」
接吻をやめて俺が言うと彼女は離れないように腕と尻尾を巻きつけ、腰を密着させる。
そしてドクンッと脈打つと俺のから勢いよく精子が彼女の中に入っていく。
「きたぁぁぁぁ♪あついのきたぁぁぁぁ♪」
「うぉ!?」
俺が放つと同時に彼女の膣内が尿道にある精子を根こそぎ送り込ませるように蠕動する。
2分ほど出し続けただろうか、ようやく放出が止まると彼女のお腹はぽっこりと膨らみ、彼女は放心したように宙を見ていた。
「はぁ…はぁ…白穂、大丈夫か?」
「おなかのなか、よしひろさまのでいっぱいですぅ……」
「すまない。激しくしすぎたな。」
「いいんですよ…いま、わたしとてもしあわせですからぁ…」
謝ると彼女は嬉しそうな顔で言った。
しかしどうやら俺は限界の様でどんどん瞼が落ちていく。そんな俺を見て彼女は微笑む。
「…いいですよ。これからはずっと一緒ですから…。」
その言葉に安心して、俺は眠った。
「ん?」
目が覚めるといつもの風景がそこにあった。寝間着も乱れていなかった。
「…夢だったのか。まったく、なんて夢だ。」
そうつぶやくと窓を開けた。すでに昼ごろのようだ。どこから夢だったのだろうか?
少し落ち込んだが、ご飯にしようと台所に向かった。
「あ、起きられたんですね♪少し待っていただければご飯できますから♪」
そこには白い尻尾を揺らしながら、頭に三角巾、割烹着を着てお玉を片手に味噌汁を作っている白穂がいた。
「義啓様、昨日の夜はすみませんでした!
一緒に居れることがうれしくてつい襲ってしまいました…。」
ほかほかのご飯、サバの塩焼き、そして味噌汁という伝統的なジパング料理を食べた後、彼女は手をついて土下座した。俺は慌ててそれをやめさせる。
「謝らなくていいよ。あと俺は義啓と呼び捨てでいいよ。」
「で、ですが……。」
言いよどむ彼女に近寄り、俺はその体を抱きしめる。
「俺が言ってるんだからいいだろう。あと、昨日の返事を聞いてないけど?」
「返事?」
彼女がわかってないようなので、俺は笑いながら告げる。
「昨日言った“一緒に暮らさないか?”って言っただろ。あれの返事まだだよね?」
「あっ……。」
彼女は思い出したのか、顔を赤くする。ほほえましいその様子に俺は笑った。
「じゃあ、もう一度言うよ。俺と一緒に暮らしてくれませんか?」
「はい!喜んで!」
輝かんばかりの笑顔で彼女は俺に抱きついてくる白穂を俺は受け止めた。
それから数年、そこに住んでいたが、その後彼らはジパングを出ることにした。
彼らは大陸を渡ってきた人に出会い、大陸の都市に連れて行ってもらうことができたのだ。
そこで彼らはジパングにいるとき生まれた双子の娘たちと一緒にある薬屋を開業した。
この都市に来て数年経ったある朝、彼らは家のベランダから街を見ていた。
「白穂、ここに来てよかったのか?」
「ええ、あなたのいるところならどこでもいいわ。」
「そうか。君と会えて、俺は幸せだ。可愛い子供もできたしな。」
「ええ、私もあなたと会えてよかった。」
彼女は俺の肩に自分の頭を置きながら、俺の身体に自分の身体を巻きつけていた。
「そう言えば会ったばかりの白穂は巻きつくのが好きだったな。」
「違います。私はあなたに巻きつくのが好きなんです。これからもずっと好きですから…。」
『おかーさん、おとーさん!そろそろ準備しないと〜!』
下の階から双子の娘の白玖(はく)と小白(こはく)が呼んでいる。時計を確認すると開店までおよそ10分くらいだった。
「あいつらも呼んでいるし、そろそろ行こうか。」
「ええ、行きましょう。」
そう言って彼らは家に入っていく。
ここに彼らの幸せが続くことを願おう……。
Fin
11/10/02 20:41更新 / まるぼろ