幕間〜ある少女の告白〜
〜ギルド宿舎 アルテア自室〜
クロアとの飲み会の翌日。
あの後帰ってくるなりベッドに倒れこみ、そのまま爆睡してしまった。
幸い二日酔いになることは無かったが、水浴びもせずに寝てしまったので若干体中から汗の臭いがする。
「うへぇ……流石にこれはきついな。」
自分の匂いに顔を顰めつつ、独りごちて起き上がろうとするとTシャツの裾が引っ張られる感触がする。
その大元へ目を向けると……
「……何故にこいつがここにいるんだ。」
エルファが一緒のベッドに寝ており、シャツの裾を握りしめたまま眠っていた。
確かに今までこいつがベッドに潜り込んでくることは無いわけではなかったが、一人で潜り込んでくるのは初めてではなかろうか。
「お〜い、エルファ。こんな所で何して……」
そして、頬をペチペチと叩いて起こそうとした所でふと気づく。
エルファの頬に一筋の跡が残っている。
その跡は目元まで続いており……。
「…………」
「ふぁ……ん……ぁ……兄様ぁ……おはようなのじゃ♪」
一体こいつはどういうつもりでベッドへ潜り込んできたのだろうか。
「エルファ……お前泣いていたのか?」
「ん……?あ、こ、これはじゃな……えと」
慌ててごしごしと擦っているがそう簡単に落ちるわけもなく、跡は付いたままだった。
「お前、一体どうしたんだ?お前が泣くなんてよっぽどの事だろ?」
「な、なんでもないのじゃ!ちょっと怖い夢を見ただけで……見た……だけ……」
そう言っている側からボロボロと涙がこぼれ始める。
拭っても拭ってもこぼれ落ちてくる様は、見るに耐えなかった。
「あ、あれ……なんで、何でとま……ぅ……ぅぅぅ……」
「エル……」
いたたまれなくなり、彼女の小さな体を抱きしめる。
彼女は、まるで寒さに震えるように肩を震わせていた。
「に、にいさま……いま、そんなやさしくしちゃ……だめ……」
「いいから、泣いとけ。泣いてスッキリしとけば何があったか話せるだろ?」
俺がそう言い、抱きしめる力を強くすると彼女は火がついたように泣き出した。
まるで、今までこらえていた分を吐き出すように。
「少しは落ち着いたか?」
「あはは……ごめん。いっぱい泣いちゃった……」
暫くして、ぐずりながらも漸く泣き止んだエルファ。
心なしか口調も変わっている。
「それがお前の素か。」
「うん……口調だけでもそれっぽくしておかなきゃ軽く見られるから。私ってまだまだ若いし。」
彼女も彼女なりに苦労しているのだろう。
齢18で魔術師ギルドとサバトの長となり、その大所帯をまとめるために必死に母の真似をし、背伸びをしてそれらしく振舞おうとする。
彼女の重責はどれほどまでに重かったのだろうか。
「それで……何があった?いや、辛いなら話さなくてもいいが……」
「ううん、聞いて欲しいよ。私自身心に整理を付けたいし……」
彼女は目を瞑り二、三度深呼吸すると咄々と話し始めた。
ある所に、小さな幼い少女がいました。彼女の母は大魔術師とも呼ばれるほどの凄い魔法使いでした。彼女は、幼いながらにもいつか母と同じような大魔術師になるのだと夢見ていました。そんなある日です。
彼女の母親のもとに、一人の少年が連れてこられました。彼はいくつもの呪いにかけられ、苦しんでいました。
彼女の母親は、あっという間に少年に掛けられた呪いをいくつも外してしまいました。そんな母親を見て、彼女はさらに憧憬の念を募らせたのです。
しかし、母親ですら解けない呪いが少年にはまだあと一つかかっていたのです。
少女は彼のことを不憫に思いました。今はまだ何もできない女の子ですが、いつかは彼の呪いを解いてあげたいと思いました。
そして彼女は少年に約束したのです。いつか、その呪いを解いてあげると。
月日は流れ、少女の魔法の腕はメキメキと上達していきました。
幾つもの魔法や魔道具、呪術や薬などに精通し、魔術師ギルドやサバトの運営を母親から任せられるほどにまで成長しました。
しかし、少年の呪いを解く方法はいつまでたっても見つけられません。
見つけられたのは、とてつもなく大きな代償を背負わせる禁断の魔法しかありませんでした。
やがて少女にも好きな人ができ、その人を含めて色々な仲間たちと楽しく過ごしていました。
少年の事は彼女の頭の中から次第に薄れて行ってしまいました。
そんなある日、彼女はかつての少年の姿を目にしてしまったのです。
彼女は悩みました。彼の呪いを解く方法はあの禁断の魔法しか見つかっていません。
しかし、彼の呪いを解く方法はどんなに探しても見つかるものではありませんでした。
結局、彼女はその魔法の事を少年に伝えることにしました。
彼に会い、魔法の事が書かれた本を渡し、彼女は何度も何度も謝りました。
「ごめんなさい。こんな方法しか見つからなくて、ごめんなさい。」
彼女は何度も何度も謝りました。情けなくて、惨めで、彼女の瞳からはボロボロと涙がこぼれてきます。
そんな少女に少年は頭を撫でてこう言いました。
「ありがとう、助かったよ。」
そう言って、少年は少女を置いてその場を去りました。
少女は自分の無力さと愚かさを嘆き、その場に泣き崩れてしまいました。
「そんな……っ……おばかなおばかな……おんなのこの……おはなし……」
「……そうか。」
これ以上喋らせると彼女が壊れそうだった。
だからそれ以上喋らせない様に彼女を強く抱きしめ、お話の中の少年と同じように頭を撫でてやった。
「お疲れさん……よくがんばったな……」
「兄様……兄様ぁ……」
おそらく腕の中のこの小さい少女は、一人の少年を助けるためにたった一人で調べ続けたのだろう。
月日が経っても見つからない解呪法。焦れば焦るほどに経つ時間。
結局日々の忙しさや出来事に徐々に頭の隅に追いやられ、再び見つけた時に思い出した約束。
彼女の絶望は如何ほどの物だっただろうか。それを考えると彼女が不憫でならなかった。
「……っ……ぅ……何で……何でこんな時に……」
「……?どうした?」
彼女は俺の腕の中で体をもぞもぞと動かしている。
もしかして居心地が悪かったのだろうか。
「何で、何で私って魔物なのかな……兄様の匂いで……体……熱くなって……やだ……こんな時に……」
そう言えば体洗っていなかったっけな〜とかそうなると体臭も倍率ドンだろうな〜とか頭の中に過る。
それでもまぁ、好都合といえば好都合か。
「エルファ。」
「な、何?にいさ……え……」
彼女をベッドに優しく寝かせる。カーテンの隙間から照らす朝日が彼女を照らし、発育途上のようなボディラインを浮かび上がらせる。
「不謹慎とか言われるかもしれないが、今からお前を抱く。今はその事は頭から追いやって、終わったらいつものエルファに戻れ。いつまでもメソメソしているのは精神衛生上よくない。」
「兄様……」
静かに目を瞑った彼女の唇に優しく口付けを落とす。
わずかに開いた唇の間から舌を滑り込ませ、彼女の小さな舌にゆっくりと絡ませる。
静かに、しかし確かな大きさでくちゅくちゅという水音が聞こえてくる。
首に腕を回して抱きついてくるエルファに対し、優しく髪をなでる事で応えてやると嬉しそうに鼻を鳴らして甘えてきた。
「ふぁ……兄様がやさしい……」
「嫌か?」
しかし彼女は首を横に振って俺の胸板へと顔をうずめてきた。
普段は老成した口調で話し、数多のギルドの長と渡り合う歴戦のギルドマスターも今だけは想い人に甘えたがる一人の少女になっていた。
「ほらほら、余りくっつかれても触りにくいだろうが。」
「やぁ……」
……こいつは本当にエルファか?
幼さ全開甘えたがりの別人……な訳はないか。最初はいつもの口調で話していたしな。
それにしてもこう密着していると前の方に手が回せない。
それならばと後ろから手を回して彼女の下着をずらし、秘裂を後ろから撫でてやる。
先程彼女自身も言っていた通り、彼女のそこはわずかにだが潤いを湛えていた。
その液を潤滑油替わりにして膣口の入り口をマッサージしてやる。
指先がざらざらとした壁を捉える度に彼女の体がびくびくと震える。
「んはぁ……兄様……兄様ぁ……」
「エルファ……」
彼女の名前を呼びながら、彼女のもふもふとした耳を空いている手で優しくなでつける。
手触りがよく、いつまでも触っていたい衝動に駆られるが、触れる度にゾクゾクと体を震わせるところを見るにここも性感帯なのだろう。
あまり触りすぎると興奮して押し倒されそうだ。いや、今は別に構わないんだけどな。
こうして抱きつかれているとわかるのだが、エルファの体温は無駄に高い。
俺の平熱よりも1度程高いだろうか?夏場にひっつかれると若干汗ばむほどだ。
そして発生する汗は彼女にとっても興奮作用があるらしく……
「はぁ……はぁ……っすぅ……ふは……ちゅ……ぺろ……」
埋めたまま俺から発散される匂いを嗅いでは興奮して汗を舐めとり、さらに体温が高くなり、俺がまた暑くなって……と見事に悪循環。
さらに彼女の体も甘ったるい体臭が上がってきてこちらの体も反応してしまう。
「兄様……もう、兄様の大きいのが欲しい……」
「あぁ……俺ももう我慢が効かなくなってきた。」
ジーンズのファスナーを降ろし、トランクスの中からモノを取り出す。
彼女の淫気に当てられたからか、はたまた自分の匂いに興奮する彼女を見たからか、俺のモノは全開近くにガチガチになっていた。
彼女の体を片手で持ち上げ、モノに手を添えてゆっくりと秘裂の上へと降ろしていく。
「うく……はぁぁぁぁぁああ♪」
「っ……ぁ……か……!」
以前もエルファとは体を重ねたことがあったが、これはその時とは段違いだ。
『熱い』
最初に感じたのは快感でも、締め付けられるような圧迫感でもなかった。
ただひたすらに溶けそうなほどの熱感。
興奮し、発情しきった彼女の中は驚くほどに火照っていた。
熱さに耐えた次に待っていたのは握りつぶされるかと思うほどの圧迫感と、先端が何か弾力がある物によって吸われているかのような虚脱感。まるで魂を直接吸われているかのようだ。
「える……ちょ、少し手加減して……」
「んく……もっと……兄様、もっとぉ!」
俺の制止も聞かず、膝の上で体を弾ませるエルファ。
深く沈み込む度に先端が狭い肉の輪にくわえ込まれ、そのたびに暴発しかける。
彼女の異様に狭く、下手をすると裂けてしまいそうな膣口に出し入れしているにも関わらず、彼女の表情は蕩けそうなほどに甘く緩んでいる。
「もっと、満たして……!んむ……!」
「ふぐ……!」
もはや彼女自身が自分の気持を抑え切れないのだろう。
激しく上下運動をしながらも俺の口に吸い付いて濃密に舌を絡めてくる。
何の味もしないはずの唾液が、やけに甘ったるく感じる。
「ぷは……エルファ……!エルファ!」
「にいさまぁ!くる、きちゃうぅ!」
体も、心も昂り切っていた。
我慢なんてそうそう続く筈もなく、挿入して2分ももたずに双方の限界が訪れた。
彼女が一際深く腰を落とし、俺の先端が彼女の子宮口に丸呑みされた途端、途方も無いほどの量の白濁が彼女の中に注ぎ込まれる。
体中の水分が根こそぎ吸い取られるような虚脱感にガクガクと膝が震え、彼女も灼熱の子種によって胎内が焼かれるような快感に満たされて全身を緊張させる。
「はぁ……はぁ……つ、疲れた……」
「1回しかしていないのに……くたくただよぉ……」
二人してベッドに倒れ込み、どちらともなく軽く口付けを交わす。
体勢が変わった影響で彼女の秘裂からモノが抜け落ちてゴポゴポという音を立てながら精子と愛液が泡を立てながら溢れてくる。
それを無意識なのか指で掬いとって舐め始めるエルファ。
「ぴちゃ……兄様のあじ……ぺろ……」
その淫魔顔負けの卑猥な様相に力を失くしたはずのモノがまた力を取り戻し始める。
それを見て彼女がうれしそうな、しかし酷く恥ずかしそうな顔をして俯く。
バフォメットとは幼い少女への背徳を広めるために熱心にそれを説く種族なのだが、彼女のそういった行動はあまり見たことがない。
彼女は、そういった類のものを体現することで知らしめるのだ。
腕の中にすっぽり収まるような体躯。純粋に兄と認めた者に甘える少女の魅力。はにかみながらも好意を示すいじらしさ。
もし、俺が言葉でそういったものを説かれたとしたら見向きすらしなかっただろう。
「兄様ぁ……」
「わかっている。今日はなぜだか1回じゃ治まりそうもない。」
仰向けに寝かせた彼女の膣口へ自身を宛てがい、一気に突き入れる。
彼女の中は最初の1回の熱さ、締め付けに加え、今度は自身で出した子種の粘性により快感がさらに倍増していた。正直我慢するのが辛すぎる。
「っく……はぁ……はぁ……頭が……焼ききれそうだ……。良すぎて……!」
「兄様……深いぃ……♪」
それでもなんとかゆっくりとだがピストン運動を行う。
その度に蠢き、形を変える彼女の中に圧倒され、それでも尚動かし続ける。
「(自分で言い出して……頼るように仕向けた手前で情けない格好ができるかよ……!)」
彼女の手と自分の手の指を絡め合わせ、ゆっくりと確実に彼女を感じさせるために責め続ける。
そんな俺に、彼女は絡めていた指を外して俺の頬を撫で上げた。
「エルファ……?」
「我慢、しなくてもいいよ?本当はもっと激しく動きたいでしょ?」
俺は、そんなに何かに耐えるような顔をしていたのだろうか。
心配させないようにしていたのにこれでは本末転倒ではないか。
思わず激しく彼女の中を突きたい衝動に駆られるが、ふと思い出す。
こいつの初めては、どんなものだったかを。
「いや、このままでいい。何も心配する事はないさ。」
今日は、可能な限り優しくしよう。
たとえその場限りの愛情だったとしても彼女にはそれを享受してもらいたい。
繰り返し彼女の狭い膣内へとモノを突き入れていく。決して激しくなく、それでいて刺激が弱すぎないように。
そうする内に彼女の膣壁がヒクヒクと蠢き始めた。おそらく、絶頂が近づいてきているのだろう。
「に、にいさまぁ……もっと、もっと突いてぇ……」
「エルファ……っ……」
こちらも射精感がかなり近くなってきた。
少しでも下手な動きをするとあっという間に決壊しそうだ。
「も、やさしいのはいいかぁ……はげしくしてぇ……めちゃくちゃにしてぇ……♪」
「く……あぁ、わかった……っ!」
こちらも、彼女も、ジリジリと炙られるような快感に限界を感じていたようだ。
突き込めばあっというまに最奥へ到達するような短い幼膣を長いストロークで、強く激しく責め立てる。
「はぁぁぁぁああああ!♪にいさまっ!イク、いっちゃうぅぅぅううううう!」
「ぐ……ぉぉぉおおおおおお!」
突き入れている際に双方が絶頂に上り詰め、俺は子種を、彼女は潮を吹き上げ、それでも尚動きは止まらずに快感を貪っていく。
「っ、える……ぐぅ……!」
「にゃぁぁぁあああ!♪でてりゅう!だしにゃがら突かれてるぅ!♪」
一際強く付き入れると、彼女の子宮口を押し広げて亀頭が彼女の子宮内部まで突き刺さった。
瞬間、今までで一番濃い、まるでゼリーの塊のような子種が彼女の中へと解き放たれた。
「はひ……♪にゃ……にぃ……ふぇ……♪」
「っ……はぁっ……はぁっ……ぅ……!」
彼女を押し潰さないように彼女の隣へと倒れこむ。
疲労でもはや指一本動かすことができない。
お互いに荒い息を吐きながら行為の後の気怠い空気に身を委ねる。
「にいさまぁ……んにゅぅ……」
変な鳴き声を発しながらエルファが俺にしがみついてくる。
方法がアレだったとはいえ、少しは気分が晴れたようだ。
ほっとしてふと視界の端のアラート表示に目が向く。
『ICE耐久力15% 現在復旧中。』
今更ながらに滝のように冷や汗が流れた。
二人を拭ったタオルは後で洗濯。
汚れてしまったシーツはリネン室前の籠へ投入。ちなみにこういった汚れのシーツは日常茶飯事の如く出されるので誰も気にする者はいない。
寮母が夜な夜なそのシーツを持ちだして自慰にふけっているなんて噂があるが……おそらくは都市伝説だろう。誰も目撃した奴がいないのだから。
「少しはスッキリしたか?」
自室で律儀に待っていたエルファに声を掛ける。彼女の顔はどこか晴れやかだった。
「うん、おかげですっきり。ありがと、兄様。」
彼女の頭を撫でてやるとフサフサとした尻尾が左右に激しく揺れる。
今回気づいた事だが、彼女は俺と二人きりだと普段より感情を表にだすようになるようだ。
他人より心を開かれていると思うと、自然と嬉しくなる。
「それじゃ、朝飯にしよう。今日は何を食べるかなぁ……」
「マッキーの朝セットがなかなか美味しいって。サバトの魔女達の間では評判になってるよ。」
「うし、それにするか。行くぜ、エルファ。」
「うん!」
それ以来、エルファは俺と二人きりになるといつものババ言葉ではなく歳相応の少女のような話し方をするようになった。
それがまた一つ心を開いてくれたようで嬉しかったのは内緒だ。
『…………声を掛けるタイミングを逃してしまいました』
クロアとの飲み会の翌日。
あの後帰ってくるなりベッドに倒れこみ、そのまま爆睡してしまった。
幸い二日酔いになることは無かったが、水浴びもせずに寝てしまったので若干体中から汗の臭いがする。
「うへぇ……流石にこれはきついな。」
自分の匂いに顔を顰めつつ、独りごちて起き上がろうとするとTシャツの裾が引っ張られる感触がする。
その大元へ目を向けると……
「……何故にこいつがここにいるんだ。」
エルファが一緒のベッドに寝ており、シャツの裾を握りしめたまま眠っていた。
確かに今までこいつがベッドに潜り込んでくることは無いわけではなかったが、一人で潜り込んでくるのは初めてではなかろうか。
「お〜い、エルファ。こんな所で何して……」
そして、頬をペチペチと叩いて起こそうとした所でふと気づく。
エルファの頬に一筋の跡が残っている。
その跡は目元まで続いており……。
「…………」
「ふぁ……ん……ぁ……兄様ぁ……おはようなのじゃ♪」
一体こいつはどういうつもりでベッドへ潜り込んできたのだろうか。
「エルファ……お前泣いていたのか?」
「ん……?あ、こ、これはじゃな……えと」
慌ててごしごしと擦っているがそう簡単に落ちるわけもなく、跡は付いたままだった。
「お前、一体どうしたんだ?お前が泣くなんてよっぽどの事だろ?」
「な、なんでもないのじゃ!ちょっと怖い夢を見ただけで……見た……だけ……」
そう言っている側からボロボロと涙がこぼれ始める。
拭っても拭ってもこぼれ落ちてくる様は、見るに耐えなかった。
「あ、あれ……なんで、何でとま……ぅ……ぅぅぅ……」
「エル……」
いたたまれなくなり、彼女の小さな体を抱きしめる。
彼女は、まるで寒さに震えるように肩を震わせていた。
「に、にいさま……いま、そんなやさしくしちゃ……だめ……」
「いいから、泣いとけ。泣いてスッキリしとけば何があったか話せるだろ?」
俺がそう言い、抱きしめる力を強くすると彼女は火がついたように泣き出した。
まるで、今までこらえていた分を吐き出すように。
「少しは落ち着いたか?」
「あはは……ごめん。いっぱい泣いちゃった……」
暫くして、ぐずりながらも漸く泣き止んだエルファ。
心なしか口調も変わっている。
「それがお前の素か。」
「うん……口調だけでもそれっぽくしておかなきゃ軽く見られるから。私ってまだまだ若いし。」
彼女も彼女なりに苦労しているのだろう。
齢18で魔術師ギルドとサバトの長となり、その大所帯をまとめるために必死に母の真似をし、背伸びをしてそれらしく振舞おうとする。
彼女の重責はどれほどまでに重かったのだろうか。
「それで……何があった?いや、辛いなら話さなくてもいいが……」
「ううん、聞いて欲しいよ。私自身心に整理を付けたいし……」
彼女は目を瞑り二、三度深呼吸すると咄々と話し始めた。
ある所に、小さな幼い少女がいました。彼女の母は大魔術師とも呼ばれるほどの凄い魔法使いでした。彼女は、幼いながらにもいつか母と同じような大魔術師になるのだと夢見ていました。そんなある日です。
彼女の母親のもとに、一人の少年が連れてこられました。彼はいくつもの呪いにかけられ、苦しんでいました。
彼女の母親は、あっという間に少年に掛けられた呪いをいくつも外してしまいました。そんな母親を見て、彼女はさらに憧憬の念を募らせたのです。
しかし、母親ですら解けない呪いが少年にはまだあと一つかかっていたのです。
少女は彼のことを不憫に思いました。今はまだ何もできない女の子ですが、いつかは彼の呪いを解いてあげたいと思いました。
そして彼女は少年に約束したのです。いつか、その呪いを解いてあげると。
月日は流れ、少女の魔法の腕はメキメキと上達していきました。
幾つもの魔法や魔道具、呪術や薬などに精通し、魔術師ギルドやサバトの運営を母親から任せられるほどにまで成長しました。
しかし、少年の呪いを解く方法はいつまでたっても見つけられません。
見つけられたのは、とてつもなく大きな代償を背負わせる禁断の魔法しかありませんでした。
やがて少女にも好きな人ができ、その人を含めて色々な仲間たちと楽しく過ごしていました。
少年の事は彼女の頭の中から次第に薄れて行ってしまいました。
そんなある日、彼女はかつての少年の姿を目にしてしまったのです。
彼女は悩みました。彼の呪いを解く方法はあの禁断の魔法しか見つかっていません。
しかし、彼の呪いを解く方法はどんなに探しても見つかるものではありませんでした。
結局、彼女はその魔法の事を少年に伝えることにしました。
彼に会い、魔法の事が書かれた本を渡し、彼女は何度も何度も謝りました。
「ごめんなさい。こんな方法しか見つからなくて、ごめんなさい。」
彼女は何度も何度も謝りました。情けなくて、惨めで、彼女の瞳からはボロボロと涙がこぼれてきます。
そんな少女に少年は頭を撫でてこう言いました。
「ありがとう、助かったよ。」
そう言って、少年は少女を置いてその場を去りました。
少女は自分の無力さと愚かさを嘆き、その場に泣き崩れてしまいました。
「そんな……っ……おばかなおばかな……おんなのこの……おはなし……」
「……そうか。」
これ以上喋らせると彼女が壊れそうだった。
だからそれ以上喋らせない様に彼女を強く抱きしめ、お話の中の少年と同じように頭を撫でてやった。
「お疲れさん……よくがんばったな……」
「兄様……兄様ぁ……」
おそらく腕の中のこの小さい少女は、一人の少年を助けるためにたった一人で調べ続けたのだろう。
月日が経っても見つからない解呪法。焦れば焦るほどに経つ時間。
結局日々の忙しさや出来事に徐々に頭の隅に追いやられ、再び見つけた時に思い出した約束。
彼女の絶望は如何ほどの物だっただろうか。それを考えると彼女が不憫でならなかった。
「……っ……ぅ……何で……何でこんな時に……」
「……?どうした?」
彼女は俺の腕の中で体をもぞもぞと動かしている。
もしかして居心地が悪かったのだろうか。
「何で、何で私って魔物なのかな……兄様の匂いで……体……熱くなって……やだ……こんな時に……」
そう言えば体洗っていなかったっけな〜とかそうなると体臭も倍率ドンだろうな〜とか頭の中に過る。
それでもまぁ、好都合といえば好都合か。
「エルファ。」
「な、何?にいさ……え……」
彼女をベッドに優しく寝かせる。カーテンの隙間から照らす朝日が彼女を照らし、発育途上のようなボディラインを浮かび上がらせる。
「不謹慎とか言われるかもしれないが、今からお前を抱く。今はその事は頭から追いやって、終わったらいつものエルファに戻れ。いつまでもメソメソしているのは精神衛生上よくない。」
「兄様……」
静かに目を瞑った彼女の唇に優しく口付けを落とす。
わずかに開いた唇の間から舌を滑り込ませ、彼女の小さな舌にゆっくりと絡ませる。
静かに、しかし確かな大きさでくちゅくちゅという水音が聞こえてくる。
首に腕を回して抱きついてくるエルファに対し、優しく髪をなでる事で応えてやると嬉しそうに鼻を鳴らして甘えてきた。
「ふぁ……兄様がやさしい……」
「嫌か?」
しかし彼女は首を横に振って俺の胸板へと顔をうずめてきた。
普段は老成した口調で話し、数多のギルドの長と渡り合う歴戦のギルドマスターも今だけは想い人に甘えたがる一人の少女になっていた。
「ほらほら、余りくっつかれても触りにくいだろうが。」
「やぁ……」
……こいつは本当にエルファか?
幼さ全開甘えたがりの別人……な訳はないか。最初はいつもの口調で話していたしな。
それにしてもこう密着していると前の方に手が回せない。
それならばと後ろから手を回して彼女の下着をずらし、秘裂を後ろから撫でてやる。
先程彼女自身も言っていた通り、彼女のそこはわずかにだが潤いを湛えていた。
その液を潤滑油替わりにして膣口の入り口をマッサージしてやる。
指先がざらざらとした壁を捉える度に彼女の体がびくびくと震える。
「んはぁ……兄様……兄様ぁ……」
「エルファ……」
彼女の名前を呼びながら、彼女のもふもふとした耳を空いている手で優しくなでつける。
手触りがよく、いつまでも触っていたい衝動に駆られるが、触れる度にゾクゾクと体を震わせるところを見るにここも性感帯なのだろう。
あまり触りすぎると興奮して押し倒されそうだ。いや、今は別に構わないんだけどな。
こうして抱きつかれているとわかるのだが、エルファの体温は無駄に高い。
俺の平熱よりも1度程高いだろうか?夏場にひっつかれると若干汗ばむほどだ。
そして発生する汗は彼女にとっても興奮作用があるらしく……
「はぁ……はぁ……っすぅ……ふは……ちゅ……ぺろ……」
埋めたまま俺から発散される匂いを嗅いでは興奮して汗を舐めとり、さらに体温が高くなり、俺がまた暑くなって……と見事に悪循環。
さらに彼女の体も甘ったるい体臭が上がってきてこちらの体も反応してしまう。
「兄様……もう、兄様の大きいのが欲しい……」
「あぁ……俺ももう我慢が効かなくなってきた。」
ジーンズのファスナーを降ろし、トランクスの中からモノを取り出す。
彼女の淫気に当てられたからか、はたまた自分の匂いに興奮する彼女を見たからか、俺のモノは全開近くにガチガチになっていた。
彼女の体を片手で持ち上げ、モノに手を添えてゆっくりと秘裂の上へと降ろしていく。
「うく……はぁぁぁぁぁああ♪」
「っ……ぁ……か……!」
以前もエルファとは体を重ねたことがあったが、これはその時とは段違いだ。
『熱い』
最初に感じたのは快感でも、締め付けられるような圧迫感でもなかった。
ただひたすらに溶けそうなほどの熱感。
興奮し、発情しきった彼女の中は驚くほどに火照っていた。
熱さに耐えた次に待っていたのは握りつぶされるかと思うほどの圧迫感と、先端が何か弾力がある物によって吸われているかのような虚脱感。まるで魂を直接吸われているかのようだ。
「える……ちょ、少し手加減して……」
「んく……もっと……兄様、もっとぉ!」
俺の制止も聞かず、膝の上で体を弾ませるエルファ。
深く沈み込む度に先端が狭い肉の輪にくわえ込まれ、そのたびに暴発しかける。
彼女の異様に狭く、下手をすると裂けてしまいそうな膣口に出し入れしているにも関わらず、彼女の表情は蕩けそうなほどに甘く緩んでいる。
「もっと、満たして……!んむ……!」
「ふぐ……!」
もはや彼女自身が自分の気持を抑え切れないのだろう。
激しく上下運動をしながらも俺の口に吸い付いて濃密に舌を絡めてくる。
何の味もしないはずの唾液が、やけに甘ったるく感じる。
「ぷは……エルファ……!エルファ!」
「にいさまぁ!くる、きちゃうぅ!」
体も、心も昂り切っていた。
我慢なんてそうそう続く筈もなく、挿入して2分ももたずに双方の限界が訪れた。
彼女が一際深く腰を落とし、俺の先端が彼女の子宮口に丸呑みされた途端、途方も無いほどの量の白濁が彼女の中に注ぎ込まれる。
体中の水分が根こそぎ吸い取られるような虚脱感にガクガクと膝が震え、彼女も灼熱の子種によって胎内が焼かれるような快感に満たされて全身を緊張させる。
「はぁ……はぁ……つ、疲れた……」
「1回しかしていないのに……くたくただよぉ……」
二人してベッドに倒れ込み、どちらともなく軽く口付けを交わす。
体勢が変わった影響で彼女の秘裂からモノが抜け落ちてゴポゴポという音を立てながら精子と愛液が泡を立てながら溢れてくる。
それを無意識なのか指で掬いとって舐め始めるエルファ。
「ぴちゃ……兄様のあじ……ぺろ……」
その淫魔顔負けの卑猥な様相に力を失くしたはずのモノがまた力を取り戻し始める。
それを見て彼女がうれしそうな、しかし酷く恥ずかしそうな顔をして俯く。
バフォメットとは幼い少女への背徳を広めるために熱心にそれを説く種族なのだが、彼女のそういった行動はあまり見たことがない。
彼女は、そういった類のものを体現することで知らしめるのだ。
腕の中にすっぽり収まるような体躯。純粋に兄と認めた者に甘える少女の魅力。はにかみながらも好意を示すいじらしさ。
もし、俺が言葉でそういったものを説かれたとしたら見向きすらしなかっただろう。
「兄様ぁ……」
「わかっている。今日はなぜだか1回じゃ治まりそうもない。」
仰向けに寝かせた彼女の膣口へ自身を宛てがい、一気に突き入れる。
彼女の中は最初の1回の熱さ、締め付けに加え、今度は自身で出した子種の粘性により快感がさらに倍増していた。正直我慢するのが辛すぎる。
「っく……はぁ……はぁ……頭が……焼ききれそうだ……。良すぎて……!」
「兄様……深いぃ……♪」
それでもなんとかゆっくりとだがピストン運動を行う。
その度に蠢き、形を変える彼女の中に圧倒され、それでも尚動かし続ける。
「(自分で言い出して……頼るように仕向けた手前で情けない格好ができるかよ……!)」
彼女の手と自分の手の指を絡め合わせ、ゆっくりと確実に彼女を感じさせるために責め続ける。
そんな俺に、彼女は絡めていた指を外して俺の頬を撫で上げた。
「エルファ……?」
「我慢、しなくてもいいよ?本当はもっと激しく動きたいでしょ?」
俺は、そんなに何かに耐えるような顔をしていたのだろうか。
心配させないようにしていたのにこれでは本末転倒ではないか。
思わず激しく彼女の中を突きたい衝動に駆られるが、ふと思い出す。
こいつの初めては、どんなものだったかを。
「いや、このままでいい。何も心配する事はないさ。」
今日は、可能な限り優しくしよう。
たとえその場限りの愛情だったとしても彼女にはそれを享受してもらいたい。
繰り返し彼女の狭い膣内へとモノを突き入れていく。決して激しくなく、それでいて刺激が弱すぎないように。
そうする内に彼女の膣壁がヒクヒクと蠢き始めた。おそらく、絶頂が近づいてきているのだろう。
「に、にいさまぁ……もっと、もっと突いてぇ……」
「エルファ……っ……」
こちらも射精感がかなり近くなってきた。
少しでも下手な動きをするとあっという間に決壊しそうだ。
「も、やさしいのはいいかぁ……はげしくしてぇ……めちゃくちゃにしてぇ……♪」
「く……あぁ、わかった……っ!」
こちらも、彼女も、ジリジリと炙られるような快感に限界を感じていたようだ。
突き込めばあっというまに最奥へ到達するような短い幼膣を長いストロークで、強く激しく責め立てる。
「はぁぁぁぁああああ!♪にいさまっ!イク、いっちゃうぅぅぅううううう!」
「ぐ……ぉぉぉおおおおおお!」
突き入れている際に双方が絶頂に上り詰め、俺は子種を、彼女は潮を吹き上げ、それでも尚動きは止まらずに快感を貪っていく。
「っ、える……ぐぅ……!」
「にゃぁぁぁあああ!♪でてりゅう!だしにゃがら突かれてるぅ!♪」
一際強く付き入れると、彼女の子宮口を押し広げて亀頭が彼女の子宮内部まで突き刺さった。
瞬間、今までで一番濃い、まるでゼリーの塊のような子種が彼女の中へと解き放たれた。
「はひ……♪にゃ……にぃ……ふぇ……♪」
「っ……はぁっ……はぁっ……ぅ……!」
彼女を押し潰さないように彼女の隣へと倒れこむ。
疲労でもはや指一本動かすことができない。
お互いに荒い息を吐きながら行為の後の気怠い空気に身を委ねる。
「にいさまぁ……んにゅぅ……」
変な鳴き声を発しながらエルファが俺にしがみついてくる。
方法がアレだったとはいえ、少しは気分が晴れたようだ。
ほっとしてふと視界の端のアラート表示に目が向く。
『ICE耐久力15% 現在復旧中。』
今更ながらに滝のように冷や汗が流れた。
二人を拭ったタオルは後で洗濯。
汚れてしまったシーツはリネン室前の籠へ投入。ちなみにこういった汚れのシーツは日常茶飯事の如く出されるので誰も気にする者はいない。
寮母が夜な夜なそのシーツを持ちだして自慰にふけっているなんて噂があるが……おそらくは都市伝説だろう。誰も目撃した奴がいないのだから。
「少しはスッキリしたか?」
自室で律儀に待っていたエルファに声を掛ける。彼女の顔はどこか晴れやかだった。
「うん、おかげですっきり。ありがと、兄様。」
彼女の頭を撫でてやるとフサフサとした尻尾が左右に激しく揺れる。
今回気づいた事だが、彼女は俺と二人きりだと普段より感情を表にだすようになるようだ。
他人より心を開かれていると思うと、自然と嬉しくなる。
「それじゃ、朝飯にしよう。今日は何を食べるかなぁ……」
「マッキーの朝セットがなかなか美味しいって。サバトの魔女達の間では評判になってるよ。」
「うし、それにするか。行くぜ、エルファ。」
「うん!」
それ以来、エルファは俺と二人きりになるといつものババ言葉ではなく歳相応の少女のような話し方をするようになった。
それがまた一つ心を開いてくれたようで嬉しかったのは内緒だ。
『…………声を掛けるタイミングを逃してしまいました』
11/11/28 23:16更新 / テラー
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