連載小説
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第三十四話〜これってさーせん?〜
〜冒険者ギルド モイライ支部 ロビー〜

女という物は一度ヘソを曲げるとなかなか機嫌が治らないもので、なだめすかし、欲しい物を買い与え、何回も接触を持って初めて許されるケースが多い。
それはこの世界の魔物も変わらないらしく、ひとりぼっちにされたメイは酷くご機嫌ナナメだった。

「悪い、置いてきぼりにして。」

結局俺は、旅の館の往復券(このクエストで配給されるはずだったもの)を使ってアタゴニアまで行き、メイの分の転送代を払ってモイライまで戻って来た。その転送代とアニスちゃんへの返済で報酬は全てパー。結局エクセルシアを手に入れただけで儲けは完全に無くなっていた。

「う〜……」

おまけにメイの機嫌は最悪。人間椅子+頭ナデナデでも機嫌が直らない。
ときたま膨らませた頬を指で押して空気を抜いてみるが、すぐにまた膨らみ始める。

「悪かったってば。ごめん。」

ゴスゴスと俺の胸板に後頭部を打ちつけてくる。ていうか角が痛い痛い。

「アニキー!なんでアタイ達連れて行ってくれなかったんスかー!」
「つれてけー!」
「けー!」

おまけにゴブ三もご立腹。こいつらに黙って行ってしまったとはいえ、連れて行く余裕が無いことも事実。
第一こいつらの分まで宿代は払えなかっただろうから毎度野宿しかない。
別に野宿は問題無いのだが、後に控えている物が物だったのでなるべく体力を温存したかったというのもある。
……尤も、宿泊する段階でかなり体力を削られたあたりあまり変わらなかったかもしれないが。

「しかたねぇだろ。そこまで連れて行く資金無かったんだから。」

おまけに言うなればこれからの生活費も無い。どーすんだこれ。

「そんなアルテア君に大チャーンス!」

ミリアさんが後ろから両肩を叩いてくる。
満面の笑みをたたえ、ぐにぐにと俺の肩を揉んできた。あんたはどこぞのセクハラ部長か。

「今ジパングの冒険者ギルドから連絡が来てね、人手不足だから人を送ってほしいって要請が来ているのよね〜♪」
「つまり何か?出張費出すから行って来いと?」
「その通り♪」

休む暇がねぇ。

「アニキー!今度はアタイ達も連れてって……」
「それは無理ね〜……彼以外の出費はできないし。」
「そんなぁ……」

ガックリ項垂れるゴブ三長女。

「あにぃ、またどこかいく?」
「悪いな、今回は連れていけないらしい。」

頬をぷっくりと膨らませるメイ。
あぁ、どんどん好感度が下がっていく。

「今からか?」
「えぇ、今から。でも今日はクエストを受けるには遅いから向こうに着いたら休んでいいわよ。」
「了解……行くぞ、ラプラス。」
『了解。』

俺が立ち上がろうとすると、ミリアさんに押しとどめられた。

「ちょいまち。その子はミミック通信網で送って行きなさい。」
「あん?何でだ?」

彼女は人差し指を振って現状を伝える。

「どうにも旅の館の転送陣の調子が悪いらしいのよ。重い手荷物はなるべく別手段で送ってくれって通達が来ているわ。」
「いきなりか。さっきまでは普通に行けたのに。」
『先ほど、転送時の座標の乱れが3ミリ程増えていました。安全を考慮するのであれば従っておくほうが得策だと推測します。』

まぁ確かに地面の下の方に座標がずれたら大変か。
俺は受付横の宝箱を開ける。
中から元気よくミミックが飛び出してきた。

「はーい!毎度どうも、ミミック通信網でーす!」
「こいつをジパングの冒険者ギルド……あ〜、どこの?」
「エドサキよ。」
「エドサキの冒険者ギルドへ。一応何も出ないと思うけれど引き金には手を触れるなよ?」

そう言って鵺をシアに渡す。
かなり重かったらしく、彼女は少しよろけた。

「はいは〜い。この子はこちらで梱包しても構いませんか〜?」
「お任せするよ。じゃあな、ラプラス。向こうで会おう。」
『了解。』

シアが宝箱の蓋を閉めるのを確認すると、ミリアさんから紹介状を貰ってギルドを出た。


去り際に、ミリアさんとメイが何かを話しているのを見たが、何を話していたのだろうか。



〜旅の館 江戸崎側〜

「…………」
「あの、何でしょう?」

俺は酷い違和感に頭を痛めている。

「あのさ、もうちょっと空気読もうぜ。」
「はい?」

さすがジパングともあって旅の館の中も土間風の床に畳や襖など和風家屋なのだが……。

「なんでお前はいつものテンプレ魔女なんだよ!もうちょっとこう和服とか浴衣とかさ!雰囲気にあった服を着ろよ!」
「いえ、これが制服ですから……。」

自分でも理不尽な事を言っているのは解っているのだが、納得いかなかった。



〜華の都 江戸崎〜

「お〜……昔の日本だ。」

それは古い絵画でしか見たことない日本家屋が軒を連ねる街だった。
木造建築による長屋がそこかしこに並び建ち、大通りには絵に書いたように呉服屋、茶屋、飯屋などが並んでいる。
絵画と違うのはそこかしこに人間ではない者が歩いている所と、若干大陸風の家屋がある事だろうか。


「(大陸ではあまり見ない種類の魔物が沢山いるな……。)」

河童が八百屋をやっていたり(キュウリの数が物凄いことになっている)、呉服屋で女郎蜘蛛が売り込みをしていたり(おまけだと言って服を付けようとしている)、烏天狗が警羅中だったり(目がどう見ても男物色中)と活気もかなりある。

「とりあえずギルドだ、ギルド。鵺を受け取りにいかねぇとな。」



〜江戸崎冒険者ギルド支部 ロビー〜

「……で、何でお前がいるんだよ。」

受付にいたのはいつもモイライで受付をしている魔女だ。

「受付が私じゃないとアルテアさんが寂しがると思って来ちゃいました。てへ♪」
「てへじゃねぇ。お前向こうの受付どうすんだよ。」
「私がここにいる間はアニスちゃんがやってくれているそうです。ここは潔く彼女に看板娘を譲って……」
「誰もお前を看板娘だと思ってねぇから。」
「酷い!?」

いつもの受付とのプチ漫才をしていると、受付脇の宝箱が開いてシアが出てきた。

「お届け物でーす!あ、アルテアさんはっけーん。」

そう言うと宝箱の中から出てきて木箱を俺に渡した。

「釘打ちされている訳ではありませんのですぐ開くよ。ではボクはこれにて!」

手を振って宝箱の中に戻って行く。

「これでようやく落ち着くな。さて開封……」

<ドパァン!>

箱に手を掛けた矢先、大きな音が鳴り響く。
ギルド入り口の引き戸が勢い良く開き、外から人相の悪い男が数人入ってきた。

「カチコミじゃあ!神妙にしろやぁ!」
「ウチらのシマで勝手なことすんなやコラァ!」
「おどれらブチ殺すぞコラァ!」

やたら頭の悪そうなチンピラが何か喚いている。
ギルドの中にはほとんど人がおらず、ほんの数人の侍風の男がげんなりとした表情で闖入者を見ている。

「アルテアさん、腕前のお披露目ってことでこの人達蹴散らしたらどうです?」
「んだな。んじゃ、ラプラス!ショータイムだ!」

俺は蓋を跳ね上げて中身を掴み、それをゴロツキ共に突きつける。
それを見た奴らは驚愕しているようだ。



〜ミミック通信網中継局〜

ここはギルド本部に設けられたミミック通信網の倉庫兼休憩室だ。
ここには各地から集積された荷物が保管されている。

「シアちゃ〜ん、あたしが頼んだつぼまじんショッピングの荷物もう届いてる〜?」
「アイちゃん……通信網を私用で使うのやめようよ……。」

シアは届いていた木箱をアイに渡す。
木箱には特に焼印は押されていない。

「へへ〜これこれ。悪戯道具No37。本物そっくりアヒルさん!待ってたのよ〜。」
「なんでまたしょうもない物を頼んだの……」

呆れ返るシア。しかし、悪戯道具にしては妙に重い。

「本当にこれってその悪戯道具なの?」
「もちろん。さぁ、ご開帳〜♪」

アイが木箱の蓋を開けるとそこには……。

『ここはどこですか?マスターはどこに?』

黒光りする巨大な何かが入っていた。



〜江戸崎冒険者ギルド支部 ロビー〜

<ガァガァ>

「「「「……………………」」」」
「………………(滝汗)」

箱の蓋を跳ね上げ、中から飛び出した物をキャッチ、ゴロツキに向けたのはいいのだが……。

「(なぜやたらリアルなアヒルのおもちゃが入っているんだ?)」

そう、アヒルだ。羽の一枚一枚が本物と遜色ない手触り。細部も精巧に作られていて人形職人も唸らせる逸品になっている。おまけに関節も可動可能。
辺りに響き渡る沈黙。空気が物凄く痛い。

「(ええい!ここで何か起死回生の一手を打たなければ……そうだ!)」

物凄く真剣な顔つきでアヒルの口をゴロツキに向ける。
足をグリップに見立てて、トリガーを引くマネをする。

「ばーん!」
「「「「ぶふぅ!」」」」

その場にいた全員が吹き出した。

「っ!」

アヒルを投げつけゴロツキの懐に潜り込み、当て身を食らわす。ひるんでいる両脇の二人をダブルラリアットで吹き飛ばし、倒れこんだところで金的。近くにあった湯呑みをひっつかみ(中身がかなり熱い)倒れているもう一人に投げつける。熱さに悲鳴を上げたところで頭を踏みつけて沈黙させる。当て身のダメージから復帰しようとしているゴロツキを手を組んだハンマーで地面に叩きつけて頭を踏みつける。

「一丁上がり!」
「「「「うぉい!」」」」

一斉にツッコミを食らった。

「く、クソ……」

先程金的を食らわせたゴロツキがもぞもぞと動き、懐から何かを取り出した。
その先端のピンを抜いて適当な場所へと放る……ってまさか!

「お前ら物陰に隠れろ!爆弾だ!」

咄嗟に近くのちゃぶ台を立てて即席のバリケードを作る。
爆発、閃光。強力な衝撃波がそこかしこにばらまかれる。

「クソ……カミカゼとか馬鹿なことしやがる……」

バリケード代わりのちゃぶ台から這い出した俺は愕然とした。



〜ミミック通信網中継局〜

「どどどうしようマズいってこれ!」
「おおおおおお落ち着いて!今すぐに送れば大丈夫だから!」
『落ち着こうというのならばまず貴方が落ち着いてください。』

すぐに鵺を木箱に戻し、蓋を閉めてポータルへとはいろうとする……が。

「あれ……何で?」

すぐに立ち止まってしまう。

『どうかしましたか?』

木箱の中からラプラスが問いかけた。
シアが真っ青になって震えている。

「エドサキの宝箱への道が……無い。」



〜江戸崎冒険者ギルド支部〜

宝箱が……木っ端微塵に破壊されていた。

「うぉぉぉぉぉおおおおおおい!どうしてくれるんだテメェ!まだ鵺受け取ってねぇんだぞ!?」

ゴロツキをガクガク揺らすが、返事がない。

「気絶していますね……役人に引き渡しましょうか。」

受付嬢が使いっ走りらしき少年に伝言を頼んでいる。

「どうすんだこれ……鵺受け取れねぇぞ。」

木っ端微塵に吹き飛んだ宝箱を呆然と眺める。

「この街に他のミミック通信網用の宝箱って無いのか?」
「いえ、私に聞かれましても……」

だよなぁ。

「この街のミミック通信網はそれだけだよ。」

後片付けをしている一人のギルド員が話しかけてきた。

「というかジパングで置いてある所はここしか知らないなぁ……誰か他に置いてある場所知っているか〜?」

<いや、しらーん>
<領主の城に置いてあるとか言われているけど無かったみたいだぜ〜>
<お〜い、ちりとりと箒持ってきてくれ〜。湯呑みが粉微塵だ〜。>

襲撃後だというのになんだこのゆるい雰囲気は。

「ここじゃあいつら……御鞠組の襲撃は日常茶飯事でね。どうもあいつらの裏取引を俺らが潰すのが気に入らないらしい。普段は俺らが追い払うんだが……まぁさっきは助かったよ。」
「いや、いいんだが。どうするかな……。」

得物が無いのでは大した仕事ができない。
折角人員不足だからってこちらに来たというのに。

「宝箱の新しい奴がくる見込みはあるのか?」
「ありませんね。あれってミミックが通りやすいように専門の職人が作っている奴ですから。本土に連絡して新しい箱を取り寄せるとしてもアルテアさんの出張期間終わっちゃいますよ?」
マジかよ。

「こういう時の保険ですよ。はい、こちら。」

そう言うと受付嬢はチケットを一枚取り出した。

「こいつは?」
「武器を紛失した冒険者用の割引券です。半額はギルドが持ってくれます。」
なるほどね。

「自分に合う武器があるかどうかは分からないが……ま、探してみるよ。」

チケットをひらひら振ると、ギルドを後にする。

「いってらっしゃいませ〜」



〜江戸崎 鍛冶屋通り〜

江戸崎の近くには良質の砂鉄が取れる山があるため、鍛冶屋が多い。
たたら製鉄とか言ったっけな。

「しかしまぁ……。」

見事に日本刀、槍、手裏剣のオンパレードだ。

「どれもイマイチなんだよな。」

そもそもインファイトが苦手な俺に飛び道具以外のものを使えという方が間違っている。
だからといって手裏剣なんて消耗品が使えるわけがない。無くしたらお終いである。

「せめて使い心地が鵺に似た武器があればいいんだけど……」
んなもんあるわけが……。

<なぁあんちゃん、騙されたと思ってこいつ使ってみてよ〜!>

妙に幼い売り子の声が聞こえて来る。
声がした方を見ると、ドワーフが何かを売っている。

「(ま、冷やかすぐらいなら見てもいいか。)」

その武器はどうにも売れないらしく、一つだけ残っている。

「売れないみたいだな。」
「あ、よかった!これに興味を示してくれる人が……」

ドワーフの言葉が途切れた。

「あ、あんた!あの時の!」
「あん?」

俺ってこんな奴の知り合いいたっけ?

「ほら、アタシだよ!シルヴァリアであんたの連れに間違われた!」

記憶の糸を辿って行くと一人のドワーフに思い当たった。

「あぁ、あの妙にかっこいいドワーフか。あんたこの辺に住んでいたのか。」
「かっこいいって……あんたあの時の連れはどうしたんだい?」
「あいつはあの時のクエストの協力者だよ。別に普段から一緒って訳じゃない。」
「そっか……へぇ」

彼女は納得してくれたようだ。

「所でそいつは何だ?この辺じゃ見ない形の武器だけど……」
「こいつかい?これはアタシの自信作!ちなみに銘はまだ無い!」

彼女はそれを持ち上げ、片手で構える。
形状は無骨なトンファーみたいな物か。色は黒い。

「手元のスイッチを押しながら振ると……」

グリップの先のスイッチを押しながら一回転。バネ仕掛けにでもなっているのか、勢い良くトンファーが伸びてナイフが飛び出してきた。

「凄いだろ?もう一度スイッチを押すと元に戻る。」

スイッチを押すと、元の形状に一瞬で戻った。

「またスイッチを押しながら、今度はグリップを強く握りながらひねる!」

カチリと何かが作動したような音と共に、トンファーの後部から爪が出てきた。

「ミスリルとオリハルコンの合金の爪だよ。軽いし丈夫!ジパングの刀ほどではないけれど、切れ味もある。戻すときもスイッチ一つだ!」

スイッチを押すと、また爪が戻る。

「そのままトンファーにも使えるし……極めつけはコイツだね。」

トンファーの先に格納スペースらしき物が。中から棒手裏剣が出てくる。

「火燐石って石でできた棒手裏剣だ!突き刺さると爆発して燃え上がるちょっとした爆弾だね。」

コンセプトとか形状とか鵺そっくりだな。
これならばうまい具合に使えるかも知れない。

「それ、いくらなんだ?」
「買ってくれる!?金貨300枚だよ!」
高けぇ!

「ちょ、高すぎだろ!確かにいろいろくっついているけど!」
「だって爪の材料高かったし、からくりも色々作るのが大変だったんだ。こんな精巧な武器はサイクロプスだって作れないんだよ!?」

ドワーフだからこそ出来る業ってか。

「にしたって高い。出張費フルでつぎ込んでも出せん。」

出張費として貰ったのは金貨3枚程度。半額で150枚だったとしても50倍だ。出せるわけがない。

「せ、折角興味を示してくれる人がいたのにぃ……」

ガックリと崩れ落ちるドワーフ。なんだか不憫だな……。

「なんならさ、俺がそれを使って宣伝してやろうか?」
「宣伝?」

俺なりに考えた両者に得がある取引だ。

「俺がそいつを使って、どれだけ凄い武器なのか周りに見せつける。ついでにそいつの評価とか改良点を出すよ。んで、あんたは俺の意見を元に改良なりなんなりするといい。で、宣伝で評判が広まればあんたの工房の客足が増えるって寸法だ。」
「とは言ってもなぁ……これ一つしか無いし……。」
「だから言っただろ?宣伝だって。これがあんたの作った武器だとわかったら、工房まで直接買いに来る奴も出てくるかも知れない。ここで風呂敷を広げなくても、な。」

彼女は腕を組んで考え込んでいる。恐らく頭の中ではどれを取れば一番得なのか恐ろしい速度で計算されているのだろう。

「よし、乗った!遠慮無くこいつを使ってくれ!」

そう言うと、トンファーを俺に押し付けてきた。決断早いな。

「アタシはタマってんだ。この路地裏の奥で工房を開いている。用があったら工房まで来な。あんたは……」
「アルテア。アルテア=ブレイナーだ。今はこの街の冒険者ギルドに出張中だな。」

ポケットから身分証を出して彼女に見せる。

「アルテアね。ところで、その武器を扱う自信は?」
「そうだな……。」

俺はスイッチを押しながらトンファーを一回転。ナイフを展開させて演舞じみたことをしてみる。

「問題ないな。元々似たような武器を使っていたし。」
「あの時あんたが担いでいた黒い奴かい。あれはどうしたんだい?」
「……手違いと事故で受け取れなくなった。」
「ご愁傷さま……。で、そいつの名前を決めてやってくれないか?」

武器の名前か……。

「仔鵺なんてのはどうだ?俺の使っている武器に似ているからなんだが。」

そう、それは鵺の縮小版といった感じの武器だ。

「こぬえ?どんな字だい?」
「細かい字だからな……工房に何か書くものはあるか?どうせそこで彫るんだろ?」
「そうだね……こっちだよ。」

〜工房『珠家』〜

工房に案内され、半紙に筆と墨汁を渡される。

「予想はしていたが……本当に筆で書くことになるとは……。」
「この辺で筆記用具と言ったらこれしかないからね。ささ、どんな字?」

ツールから辞書を呼び出して、それを見ながら半紙に書く。

「できたぜ〜。」

筆置に筆を置くと、半紙をひったくるようにして受け取って眺める。

「いいじゃない、これ!早速とりかからなきゃ!」

工房の奥へ仔鵺と半紙を持って行くと、早速トンテンカンテンしはじめた。

「(しかし……)」

暑い。時期はもう初夏に入っており、さらに溶鉱炉の熱で蒸し風呂状態になっている。

「できたよー!」
「早!まだ5分経ってないぞ!?」
「文字を彫る程度、ドワーフにかかりゃ朝飯前って事!はいこれ。」

渡された仔鵺には、達筆とも言える文字で銘が彫られていた。

「いいな、これ。まさに職人芸って感じだ。」
「あんた冒険者だったよね。クエストが1回終わるたびにアタシの所にきてそいつを調整させて。ほぼ試作みたいなものだから不具合があったら困るしね。」
「その辺は理解しているよ。使い心地とか改良点もその時でいいか?」
「おっけー。じゃ、その子を大事にしてやってね。」
「おう。大事に使わせてもらうさ。」

彼女と握手すると俺は工房を後にした


―仔鵺を手に入れました。―


「妙な偶然もあったものだな……。」

俺は仔鵺をクルクルと回しながらギルドへの道を歩く。
様々な武器を扱うために生まれた鵺。
様々な武器を使うことの出来る仔鵺。
しかもこの仔鵺、俺の評価次第ではまだまだ強くなるという。

「強く育てよ?楽しみにしているからな。」



〜江戸崎冒険者ギルド ロビー〜

「ただいまっと。」
「お帰りなさいアルテアさん。それが調達した武器ですか?」

受付嬢が迎え入れてくれた。

「あぁ、面白いぜ?まるで鵺の子供みたいだ。」

目の前でナイフを展開してみせる。まるで手品でも見たかのように目を白黒させる受付嬢。

「変わった武器ですね……。というかまともな武器って使えないんですか?」
「こういうのに慣れちまったからな。ミリアさんから聞いたんだが今日は特に仕事は受けなくていいんだろ?早いところギルドの宿舎に行きたいんだが……。」

俺がギルド宿舎の場所を訊こうとすると、彼女は申し訳なさそうに目を伏せる。

「そ、それが……ですね……。」

〜クエスト開始〜
―違法な取立てから助けて!―
『御鞠組の取立てで娘さんが連れ去られた家があったらしい。                      
 無論借金の形だとしても人身売買はご法度だ。しかし、奴らは腕の立つ用心棒を従えているらしく、私達役人ではどうにも取り押さえることができないんだ。                        
 自分たちの無能を自覚した上でお願いする。取立てで連れ去られた娘を助け、その上で奴らを取り押さえて欲しい。                                                 
                                                   江戸崎警邏隊』


「これはアレか。緊急依頼って奴か。」
「はい。今現在このギルドに出向しているのがアルテアさんだけなので、動けるのが貴方しかいないんですよ。」

さっきまでは二、三人いたと思うんだが……。
今はどこへ行ってしまったのか一人もいなかった。

「あいつらはどうした?さっきまでその辺で茶飲んでいただろ?」
「全員酒盛りだそうです。」
頭が痛くなってきた。

「とにかく、今動けるのが俺だけって事か。休んでいいとは言われているがお願いしますと。」
「そういう事です。頼めますか?」
是も否もない。

「俺が行かなきゃ誰が行くんだよ。どの道出張費だけじゃ生活費にならないんだ。ついでにやらせてもらうさ。」
「有難うございます!場所は江戸崎城下町の北倉庫街です。倉庫の場所は倉庫街に着いたら教えてくれる人がいるので、その人に聞いてください。」
「了解。んじゃ、行ってくる。」

引き戸を開いてギルドを後にする。

「いってらっしゃいませ。気をつけてくださいね?」

後ろ手に手を振り、街の雑踏へと踏み込んでいく。目指すは倉庫街だ。



〜江戸崎北区 倉庫街〜

「指定の場所はここだな……って多いな。」

見渡すかぎり蔵、蔵、蔵、蔵。

「んで、合流する予定の奴は……。」
「ここだ。」

前でも後ろでも左でも右でもなく、真上から声が聞こえてきた。
見上げると、ハーピー種らしき女性がホバリングをしている。カラステングだろうか。

「(黒……か。)」
「何を見ているのだ貴様は!」

急降下からのゲンコツ。羽傷めないのかね?

「あだだ……スカートなのに真上にいるお前が悪いんだろうが……。」
「まぁいい……私は楓。この江戸崎の奉行所で警邏隊の隊長を務めている。お前が冒険者ギルドから派遣された者だな?」
「あぁ、アルテア=ブレイナーだ。人呼んで冒険者ギルドの漫才師ってね。」

彼女は羽で頭を押さえている。

「なぜギルドはこんな奴を送り込んだのだ……。どう見てもただの馬鹿ではないか。」
「失礼な。ただの馬鹿と演じる馬鹿は全然質が違うんだぜ?」
「自慢できることか!とにかく、問題の倉庫はこっちだ。せめて雇った分は働いてもらうからな。」

そう言うと彼女はトコトコと道を歩き出す。

「(あの足じゃ人間みたいには歩けないわな、そりゃ)」

カラスのように歩く足は意外と可愛らしい。

「遅れるなよ?ここいらは道が入り組んでいて迷いやすい。」
「へいへい。んじゃ、参りますか。」

俺は彼女と並んで歩き出す。サクっと捻ってサクっと帰ろう。



〜御鞠組偽装倉庫〜

「ここだ。奴らはこの倉庫へと入っていった。中にいるのはゴロツキが5人に用心棒が一人。こういう任務に回されると言うことはそれなりに腕が立つのだろう?」
「うんにゃ、格闘戦は苦手だ。正直苦戦するかもしれん。」

愕然とする楓。まぁここぞという時にこれでは呆れもするだろう。

「本当に冒険者ギルドはなぜこんな阿呆を送ってきたのだ?事に及ぶ前からこれでは腰抜けも同じではないか。」
「そうは言うがな、お前カラステングだろ?神通力とかそんなんで軽く捻れなかったのか?」

そう言った途端彼女が焦り始める。

「わ、私はいいのだ!隊長だし、周りに優秀な部下もいるからそいつらを動かせば事足りる……。」
「大方監視能力ばかり強くて腕っ節のほうがからきしなんだろう。普通に戦えるのならばギルドに頼み込むまでもないだろうしな。」

<グサッ>

「うぅ……。」

物凄いヘコんでいるよ。

「ま、あんたはここで高みの見物でもしてろ。後は俺が片付ける。」

そう言うと、蔵の扉を蹴破る。安普請の扉は向こう側へ真っ二つに折れ曲がった。
俺が蔵の中に踏み込んでいくとゴロツキがずらりと俺を取り囲む。

「おう、あんちゃん。ここがぁ誰の持ちモンかわかってんのか?何勝手に壊しくさってんじゃワレ。」

俺は肩をすくめて片目を閉じる。

「さぁ?少なくとも俺はここが誰の物かなんて興味ないし、言われた通りの仕事を済ませるために来ただけだからな。売られそうな子がいるのってここでいいんだよな?」
「あぁ!?誰がそないなコトしとるん言うんじゃ?わいらはここで商品の管理をしとる一般市民やぞ?」

ゴロツキが意気がるが、ぶっちゃけE-クリーチャーの方が何倍も怖い。

「その商品が問題だって言っているんだがなぁ……。大人しく降参してくれないか?その方が手間が省ける。」
「おんどりゃぁ舐めくさりやがってぇ!てめぇらいてこましたれぇ!」

短刀をそれぞれ構えてこちらに突進してくる。

「駄目駄目だな。0点。」

刺さる直前で身をかがめると、お互いが腰だめに構えた短刀で相討ちになっていく。それを纏めて足払いで薙ぎ払い、仔鵺を振るってナイフを展開。足をなで斬りにして無力化完了。

「がぁぁぁぁぁああああ!?足、わいの足がぁぁぁぁああああ!」

短刀を投げ捨てて足を庇うゴロツキ達。
足を押さえてゴロゴロと転げまわっている。

「煩いから黙ってろ。」

的確にこめかみを蹴りつけて黙らせる。あっという間に沈黙した。
互いに刺した腹は……まぁ急所からは外れているか。

「こいつら殺す価値も無いな。三下もいい所だ。」

あまりの呆気無さにため息を付いていると、奥から隻眼で浪人風の男が音もなく出てきた。

「随分と見事な手際だな。」
「お褒めの言葉あーりーがーとーうっと。あんたが用心棒か?」
「いかにも。佐々木辰之助だ。」

律儀に自己紹介をする男。
ここは相手の流儀に乗っておくか。

「アルテア=ブレイナーだ。冒険者ギルドから派遣されてきた。」
「大陸のか。わざわざ遠い所からここまで来るとは……左遷か?」
「出張だ。左遷じゃねぇ。」

そこだけは訂正させてもらう!

「正直胸糞の悪い仕事だが……こちらにも理由がある。悪く思うな。」

辰之助が刀に手を掛ける。鯉口が切られ、中から鈍く光る刀身が姿を表した。

「胸糞悪いならやめりゃあいいのに……。ま、事情は後でゆっくりと、な。」

俺も仔鵺を腰だめに構えて、左手を添える。

「いざ……参る!」

辰之助が腰の刀を抜き放ち、こちらへと突進してくる。

「悪いな。」

仔鵺の収納スペースから火燐を取り出し、投げつける。
それが全て切り払われ……

<ボンッ!>

「ぐぅっ!?」

爆発した。ひるんだ隙に肉薄し、刀を持っている手を仔鵺で打ち据える。

「最初からまともに打ち合うつもりは無いんでな。」

刀を取り落とした所を右ストレートで顔面を撃ち抜く。勢いに乗せて仔鵺を一回転。ナイフ展開。
脇差しが差してある腰の帯を切り落とし、落ちた刀を踏みつけて叩き折る。踏みつけた勢いに乗せて右フック。ナイフを格納して一回転、こめかみを打ち据える。

「が……はっ……!」

ふらついた所で足払いを掛け、再度ナイフを展開。胸板を踏みつけてナイフを喉元に突きつけて完了だ。

「チェックメイト。お前の負けだ。」
「……ここまでか。」

全身の力を抜いて両手を上げる辰之助。

「ハラキリはしないのかい?」
「生憎と死ぬ訳には行かない。ある程度条件を飲んでくれれば大人しく捕まるさ。」
「条件?」

俺は辰之助から足をどける。
彼は起き上がると俺を手招きして倉庫の入り口を指さした。

「ここではマズい。こいつらが目を覚まして俺が言っていたことがバレたらお終いだ。」



「んで、条件ってのは何だ?」

俺、辰之助、楓を交えた三人が倉庫の外で顔を突き合わせている。
この男、ゴロツキの用心棒なんてやっているクセに目がやたら真っ直ぐだ。

「俺の女房の行方を追って欲しい。御鞠組に人質に取られている。」
「そりゃまたヘビィな話だな。捕らえられているのはこの街か?」

そう言うと彼は頷いた。

「別に借金の形と言うわけじゃない。女房が妖怪だからというだけで俺の居ない間に拐われ、殺されたくなければ用心棒になれと言われた。」

少なくともこの街は魔物だ妖怪だって理由で迫害される筈はないのだが……

「信じられん気持ちは分かるが、事実だ。一週間置きに手紙が届けられるから生きているのは間違いないが、ヘタな行動を起こしたら命はないだろう。」

どう思う?と、楓の方へと目線を向ける。

「どうやら嘘は吐いていないらしいな。最近の妖怪失踪事件とも合致する。」
「妖怪失踪事件?」

神妙な顔をして頷く楓。
彼女は咳払いをすると事件の概要について話してくれた。



「妖怪が前触れもなく失踪……ね。」

大体の概要はこうだ。
配偶者の有り無し、室内室外を問わず妖怪の失踪が続いていると言う事。
室内にいた妖怪は部屋が荒らされた様子があるが、金品その他にはまったく手付かず。
しかし身代金の要求も無く、犯人からの接触は全くない。

「そういう意味では唯一犯人からの接触があったんじゃないか?何故だ?」
「これでも底々腕が立つ方なのだ。尤も、迷いで上手く刀が振るえなかったがな。」

まぁ確かに動きにぎこちなさがあった気がする。
本気でやりあったら……やられていたのはこちらかもしれない。

「そうなるとあんたがここで負けた事にするのはマズいよな。」
「そうなる……のか?」

彼が失敗したと聞けば彼の妻の命の保証は……できない。
だとすると最善の一手は……

「よし、こいつらに責任を擦り付けちまおう。」
「うん?」
「どういう事だ?」

まぁつまり、と倉庫の中に入って行って倒れているゴロツキの一人を足でつつく。

「こいつらは良心の呵責に耐えかねて娘を開放。あんたは裏切ったこいつらを叩き伏せて帰還。依頼を受けてここに来た俺は既に倒されているこいつらを役人に引き渡した、と」

倒れているゴロツキを後ろ手に縛り付けていく。
手際よく5人を縛り上げ、先端の縄を楓へと渡す。

「楓は部下を呼んでこいつらを牢屋にでもぶち込んでおけばいい。辰ちゃんはこのまま帰って上へ報告な。」
「た、辰ちゃん……」

俺は後の事を楓に任せると、捕まっているであろう娘さんを助け出すことにした。



彼女は蔵の奥の座敷牢らしき所に囚われていた。いたのだが……。

「(どういう目的で拐ったんだろうな……これは。)」

おたふくという面をご存知だろうか。昔の日本で美しい顔として作られたものだ。
ふっくらとした頬とか色白の肌とか日本美人的な顔なのだが、現代人にはそう思えないアレだ。

「有難うございます!助かりました!」

どう見てもそのおたふく顔の少女だった。
下手をしたら新種の妖怪に見えなくもない。
誰得だよ。

「別にいい。仕事だしな。帰りは外のカラステングに送ってもらうといいだろう。」

俺は踵を返してその場を立ち去る。深く関わるとえらいことになりそうだ。

「あの、お名前を……」

やっぱり来たよ、これ。

「河野源五郎だ。別に忘れていい。」

咄嗟に思いついた偽名を言ったが、自分で無いわ〜とか思ってしまった。

「源五郎さん、ぜひお礼を……」
「いらん。じゃあな。」

全速力でその場を離脱。さすがの俺もこれは無理だった。



〜江戸崎冒険者ギルド ロビー〜

「ただいま……。」

あの後、彼女は俺をほぼ等速で追いかけてきて、人の家の庭を走り抜けたり屋根の上を渡り歩いたりとリアル鬼ごっこをしていた。
いや、マジ死ぬかと思った。

「お帰りなさい。随分とお疲れですね……そんなに手こずりました?」
「正直鬼かと思ったぞ。あれ絶対人間じゃないだろ。」
「いえ……今回魔物は絡んでいないはずですが……。」

俺は手を振って否定する。

「別にゴロツキと用心棒はどうってことなかった。問題は助けた娘の方だ。お礼させろって街中でリアル鬼ごっこしていた。」
「あははは……アルテアさんでさえ遠慮する女性がいるんですか……。」
「おい、そりゃどういう意味だ。」

ジト目で受付嬢を睨みつける。彼女は目線を逸らして楽しそうに笑っている。

「どういう意味でしょうね〜♪」

こいつは……。

「……あ、タマん所の工房にこいつ持っていかなきゃならないんだっけ……。」

仔鵺の事をすっかり忘れていた。
オートメンテナンスの鵺とは違い、こいつは機構に狂いがないかをきちんと調べる必要がある。
面倒だが、武器とは本来こういう物だ。それは近代の銃も、大昔に使われた剣も変わらない。

「お茶の一杯でも飲んでいったらどうですか?流石に疲れていると思うんですけど……。」
「いや、帰ってからでいいよ。んじゃ、行ってくる。」

再びギルドを後にする俺。幸い、例の怪物は俺の追跡を諦めてくれたようで姿が見えなかった。



〜工房『珠家』〜

「よう、使ってきたぜ。」

工房に入ってタマに仔鵺を渡す。

「もう?で、どうだった?」
「こういう武器を使い慣れている俺だからよかったが……普通に使う分にはちとバランスが悪いかな。同じような重さの同じ形をした武器をもう片手に持てばバランスがよくなると思う。あとは……もう少し遠距離攻撃の手段が欲しいかもしれない。」

本来銃器など発明されていない世界でこういう事を言うのは酷かもしれんが。
しかし、彼女が顎に手を当てて考える辺りアテがあるのだろうか。

「同じ形と遠距離攻撃……ね。うん、やってみる。明日にもう一度ここに来てよ。多分それっぽい物を渡せると思うから。」
「アテがあるのか?」

期待はしていなかっただけに驚きも大きい。

「えげつない程の威力じゃないけど魔力の無い人でも使えるような道具ならね。前に作りかけた奴があるからそれを完成させてみるよ。」

彼女は仔鵺を俺に渡すと工房に引っ込んでいった。

「……帰るか。」

引っ込んだきり帰ってこないタマを待っていたら明日の朝になりそうなので、工房を後にした。



工房からの帰り道。辺りはすでに真っ暗で月明かりしか無い。

「思えば今日は大変だったな……。」

高山登山の次はE-クリーチャー化したミノタウロスを倒し、下山した後はそいつを病院にかつぎ込み、置き去りにしたメイを迎えに行って戻ってきたらそのまま出張。
代わりの武器を調達したら即次のクエスト。終わったらおたふく女と鬼ごっこか。

「オーバーワーク過ぎて死ぬんじゃね?俺。」

ガックリと肩を落とす。
今はラプラスが口癖のように言っていた休めというのが嫌でも分かった気がする。
人間適度に休憩を取らなければいつかは倒れる。帰ったら飯でも食ってさっさと寝よう。


<ゾクッ>


「っ!?」

背筋に走る悪寒。本能的な危機が疲労による倦怠感を一気に消し飛ばす。
邪悪な気配が。路地裏から何かが近づいてくる。
仔鵺を構えて戦闘態勢。そいつは……。

「みぃ〜つけた……だぁ〜ぁ〜りぃ〜ん。」
「っっっっ!?」

夕方のおたふく女だった。

「うわああああああああああああ!!」

全力逃走。任務に関係ない奴の傷害および殺害はご法度だ。
その後もリアル鬼ごっこが展開され、結局俺がギルドに帰りつけたのは翌朝の事だった。
11/08/13 13:46更新 / テラー
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■作者メッセージ
〜あとがき〜

セカンドシーズン突入!
そしてしばらくはエクセルシア探索はお休みです。
基本的にクロス話以外はジパングで起こる予定。

仔鵺の出典元は無限のフロンティアEXCEEDより、『ミズチブレード』。というか見たまんま……。
ナイフ、鉤爪、トンファー、棒手裏剣型爆弾と性能もほぼ一致。
後々機能を追加予定です。

このジパング編、地味に伏線を色々と張り巡らせています。大陸に戻っても残っているので、回収が今から大変そうです……。

恒例の感想返信。この場を借りて謝辞を申し上げます。

>>名無しさん
誤字報告ありがとうございます。速攻で直させて頂きました。
そして彼が歩みを止めることはまず無いでしょうね……自分の甘さで仲間を死なせた事がありますから。
恐らく彼は自分の体がボロボロになったとしても、義手やら何やらを使っても戦い続けると思います。今のところその予定はありませんけどね……w

>>『エックス』さん
主人公の時代背景が似通っているせいかクロスオーバーさせやすいんですよね。
お陰でここでやらなくてもいい話になってしまいましたが……w
「バフォ様宛に荷物が届いてますよ。なんでも別の町のサバトからの試供品だそうです。」
「ふむ……本来別のサバトへ技術の提供は行われない筈なのじゃが……」
「バフォ様はサバトの長になってから日が浅いですから。これで勉強しろって事じゃないですかね?」
「むぅ……若輩の身とはいえ耳が痛いのぉ。」
箱から出した瓶を振りながらラベルを確認するエルファ。
ラベルには、『性別転換薬(男性用)』と書かれていた。
「これは……意味があるのかのぉ……精の摂取対象がなくなってしまうではないか。」
「え〜と……効果は数日で切れるそうです。マンネリ化したカップルが気分転換目的で使うものみたいですね。擬似レズプレイ薬といった所でしょうか。」
同じ魔物の身ながら、魔物の性へのあくなき探究心にエルファは多少戦慄するのであった。
「ふむ……何に使おうかのう……」

>>タカカさん
チートっぽいけれどここまで強力だと逆に爽快感がでてきたりします。
ちなみにバトルに使わないのがミソです。
「俺ミノタウロスなのに……」
「まぁまぁ……」

次回は来週の土曜日。もう一つ新武器が登場予定。
それではまた来週をお楽しみに。

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