IFストーリー〜ウェディング・ウォー〜
結婚は人生の墓場だとはよく言う。
俺はまだ結婚は考えていないし、自分の事だけで精一杯な訳だから「結婚なんてどうだ?」などと聞かれても「落ち着いたら考える」としか返し様がない。
ただ……結婚を断るのがこんなにも大変だとは夢にも思わなかった。
〜冒険者ギルド ロビー〜
雷が落ちたかと思うほどの大音量と共にギルドのドアが開かれる。何事かと目線を向けるとそこには息を切らせて立っているミストがいた。
ズカズカと中へと入って来てむんずと俺の首根っこを掴むと問答無用でギルドの外へと引きずっていく。……ってちょっとまてぃ!
「ちょ、ミスト!?いきなり何をする!?」
「何も言わずに来てくれ。大変な事になった!」
かろうじて足の先で鵺のストラップを引っ掛け、手元へと引き寄せる頃には既にギルドの外まで引っぱり出されていた。
かろうじて体勢を整えて立ち上がり、事情を聞きながら旅の館へと足を進める。
『きゃー、ひとさらいー』
「棒読みで言っても説得力ねぇっての。何があったって言うんだよ……もう」
「先日貸し出して貰った鎧の事で大騒ぎになってしまった……収拾を付けなければ騒ぎが膨れ上がってしまう!」
ミストが借りた鎧といえば……なんだったか、あの白い鎧の事か?
「あの鎧がどうした……ってまさか、失くしたんじゃないだろうな?」
「失くした程度で済むのであればどうにでもなる。作ればいい……問題はもっと別の所にある」
足早に進んでいるが故かあっという間に旅の館まで着いてしまった。詳しい事情説明も無いままだ。
「別の所?」
「いつかはこうなるだろうと……いや、私自信こうなる事を望んでいなかった訳ではないのだが……」
手早く手形のようなものを受付に渡すと殆ど足を止めること無く一つの魔方陣まで進んでいく。その魔方陣は他の物とは違い、陣の前に看板が立てられていた。
『魔王城城下町直通』、と。
「お前と私の縁談が推し進められてしまっている。このままでは数日中に場所を問わずに結婚式が挙げられてしまうぞ!」
「な……」
「なんですとぉぉぉぉおおおお!?」
〜魔王城城下町〜
「ちょ、もっと詳しく説明しろよ!」
「エンゲージ・ガードを借りた際にある書類が混ざっていた……」
紫色の空の下、いろんな魔物で賑わう城下町を突き進んでいく。目的地はミストの所属する騎士団の詰所だ。
「結婚宣誓書だ。その宣誓書に署名した際に対象と1ヶ月以内に結婚式を挙げないと……」
「挙げないと……?」
困ったような、しかし嬉しそうな声色で告げる。本来は祝福すべき、しかし俺にとっては投獄宣告にも等しい事実を。
「そこがいかなる場所であろうと……例え戦場であろうとお構いなしに私の所属する騎士団が押しかけて私とお前の結婚式を全力で挙げる事になる……!」
「……ゑ”!?」
つまり……俺が朝のコーヒーを飲んでくつろいでいる時に山ほど軍が押しかけ、強制的にミストと結婚させられる……?
もしその場にフィーやエルファがいたりしたら……
「最悪血が流れないか!?」
「団長がお遊びで作った決まりがまさかここまで自分の首を締めることになるとは……迂闊だった」
とは言えこいつは結婚することに反対なのだろうか。
何も言わなければエスカレーター式に俺と彼女は結婚することになっていた筈なのだが……
「で、強制的に結婚することになるのであればこっちから行って挙げてやるって話なのか?」
「いや、この話を取り止めさせる。望まない訳ではないがまだ時期尚早だ」
苦虫を噛み潰したような表情でそう告げる彼女。まぁ本人にとっても不本意であればそうなる……のか?
「アルテア、お前には成すべきことがあるのだろう?その妨げになるのかもしれないのであれば……私はそこまでしてお前と結ばれたくはない」
「ミスト……」
あれ、なんでだろう……目からしょっぱい汁が……。
「そういうことは全てに片が付いてからでいい。お前は……自分の成すべきことを成すんだ」
「ありがとう、ミスト……」
あぁ、なんだかんだで彼女も俺の事を考えてくれているんだな。
普段から情熱的で行為に及んだ時にはギブアップしてぶっ倒れるまで絞り尽くすような彼女だけれどいざという時にはかならず守ってくれるのだ。
「だから、お前の用事が済んだ時に改めて求婚させて欲しい。その時は必ずお前と結ばれてみせる」
「……うん、やっぱそうだよな。そう言うと思ったよ」
改めて思ったね。逃げられないって。
「んで、取り下げる為にはどうしたらいいんだ?」
「至って単純な話だ。私が所属する騎士団全員を反対人員全員で叩き伏せればいい。」
「そう、か。んで、反対している奴は?」
「私とアルテアの二人だ」
「……念の為に聞くが賛成派は?」
「……一個連隊、私の所属する騎士団全員だ」
「ちょっと待て」
連隊の定義が俺の知っている物と同じだった場合は……
「3000人程度?」
「あぁ」
「構成は殆ど魔物?」
「7割が魔物、3割が元勇者だ」
「帰るぅぅぅぅううううう!」
殆ど泣きそうな俺の首根っこを掴んで強引に詰所へと向けて突き進む彼女。マジ容赦ねぇ。
「腹を決めろ!これを乗り越えなければくっつけられるまで追い掛け回されるぞ!」
「馬鹿か!?そんなもんに突っ込むぐらいなら各地逃げ回りながらエクセルシア探す方を取るわ!」
普通の軍隊1分隊相手にするにも二人じゃキツすぎるというのに1個連隊……それも総戦力的に見れば旅団クラスの相手に二人で挑むなぞ狂気の沙汰以外の何物でもない。
「第一そんな事態になるなら何故エルファもフィーも連れて来なかった!?少なくとも俺の十人分以上は戦力になる筈だぞ!?」
「……あ”」
「おぃぃぃぃいいいいいい!?」
どうやらこの脳筋、あまりにパニックになりすぎて戦力の補充を忘れたらしい。
なんでこんな判断能力で副団長なんてやってられるの……?
『覚悟を決めましょう、マスター。もはや後には引くことができません』
「今からでも戻って連れてくれば……!」
「済まない、時間切れだ」
無情にも、俺達の目の前には詰所の入り口がそびえ立っていた。
そして、その入口にはミストとはまた別の意匠の鎧を纏った女性が立っていた。
「おかえり、ミスト。その子が貴方の花婿候補?」
「候補は候補だ。しかし……候補で終わらせる」
彼女が背中の大剣を抜き放ち、女性へと片手で突き付ける。
そして高らかに宣誓した。
「我、ミスト=ブランはアルテア=ブレイナーとの婚儀に異を唱え、ここに反婚戦争の宣誓を行う!」
変な風に盛り上がってまいりました。
「……で?」
城下町からほど近いだだっ広い草原の中、俺とミストは割り当てられた天幕でたった二人だけの作戦会議を行なっていた。
天幕の中に涼しげな風が吹き抜けていく。
「勝算は?」
「無い」
『言うまでもありませんね』
結果的に俺達に味方するものは0(当たり前だ。ここでは誰も俺を取り合いしているわけではないのだから)。
3000対2のトチ狂った戦争が開始されようとしている。
しかも相手方には勇者やら高位の魔物やらがうじゃうじゃいる状況。
こちらにはデュラハンと銃兵が一人。
「とりあえず、だ。悪あがきするにしてもなんかしら鍵になるものを上げよう」
・数、質の差で相手方は完全に勝利を確信し、油断しきっている
・少人数故に奇襲がしやすく、行軍が速い
・相手の予測できない未知の攻撃手段を所持
・相手方の手を知り尽くしているミストの存在
「こんな所か」
「出してみれば意外とあるものだな……」
他に確認しておくことはあったか……そういえば。
「ダメージに関する事ってどうなっているんだ?対策が取られていないならあまり致死性の高い武器は使えないんだが……」
「それに関してはこれが解決してくれる」
天幕へ行く前にベルトに付けられた宝石のようなアクセサリを指し示す。
必要な物だからと取り付けられたのだが……
「結界珠(けっかいじゅ)……この宝玉は装備した者への攻撃を完全に無効化する術が施されている。本来は魔界銀の代用品として作られたのだが……」
聞くだけであればなんだか凄いアイテムのようだ。
「過剰にダメージを負いすぎると逆に体を覆う保護結界が硬化を起こして指一本動かせなくなる。故に実戦で使った場合、結界硬化を起こすとそのまま捕虜になるという欠点も出てな……その性質を利用して今回のような模擬戦で広く使われるようになった。大体理解できたか?」
「要するに手加減無用って事か。そっちの方がありがたい。」
ビーム砲でもグレネードでも使い放題というならある程度勝機は見えてくるか。
そして連携を取って戦う上で重要なことが一つ。
「連絡を取り合う方法についてはどうする?通信玉みたいな親機が必要な通信方法は使えないだろうし……」
『それについては先日組み込んだプラグインを使いましょう。通信対象を注視して出たウィンドウからInviteを選択して下さい』
ミストの顔に目線を固定すると、その顔の横に小さめのウィンドウが開く。
項目はInvite、Attack target、Protectの3つ。Inviteに意識を集中するとウィンドウが消失し、代わりにミストがぎょっとした表情で固まった。
「何か……出てきたぞ?何だこれは」
どうやら視界に何かが割り込んできたらしい。
何もない空間に手を彷徨わせて何かを触ろうとしている。
『Accept……一番左の文字が三角形になっている文字列を注視してください』
「ふむ……おぉ!?」
おそらく今のミストの視界には無数のウィンドウが開いているのだろう。
ミストの位置関係を示すものや簡単な負傷状況、周囲のミニマップに所持弾薬状況……この場合ミストは何も銃器を持っていないので0だろうが。
さらに思考を読み取って文字に変換し、テキストボックスに自動で入力するチャットシステム。流石にチャントは専用のソフトをインストールしなければ使えないから無理か。
「まるで魔法だ……一体どうやっているのだ?」
「発展した科学は魔法と区別が付かない……ってね。今は深く考えるな。使えるものは使っとけ」
『こちらの世界の住人用に言語を翻訳しました。大体意味合いは合っていますか?』
「あぁ、問題ない。多少の齟齬はあるが十分通じる」
さて、手札は揃った。ここからどういった手を切ろうか……
騎士団の面々……20数人程度がアルテア達のいる天幕までこっそりと忍び寄る。
彼女らは威力偵察部隊……といってもこの戦力差なのでこのまま攻め落としてしまおうと考えていた。
天幕の中に入ると、二人の姿が完全に消失していた。
その代わりと言わんばかりに地面のあちこちに黒く丸い物体が無数に転がっている。
「変、ね。もう天幕を放棄して遊撃に移ったのかしら」
「ならすぐに見つけられそうだな。アタシが行こうか?」
先行していたミノタウロスとダークエルフが彼らの行く先について話し合っていたその時だ。
転がっていた物体が一斉にオレンジ色の閃光と破片をまき散らしながら爆発した。
「ぐぅ……!?いって……何が起きた?」
周囲を確認すると偵察に来ていた部隊が全て結界の硬化を起こして行動不能になっていた。
してやられた、と思った時には既に遅し。この戦いから威力偵察部隊20名が脱落となっていた。
「あの団長の性格からして最初から全軍を突撃させる事はまず無いだろう。最初に威力偵察を放つはずだ。」
「んじゃあまずはそいつらから『食べ』させてもらいますか」
遠隔操作で起爆できるようにしたM90のグレネードをあちこちに放り捨てていく。
『偵察部隊の到着予測時間は10分後。それまでに移動しましょう。』
「りょーかいっと。んじゃ、行きますか」
そして俺達は敢えて天幕近くにあった触手の森を通って相手陣の天幕へ近づくルートを取る。
どこまでできるか……まぁ負けてもあっちの戦争みたいに命までは取られないから気楽なものではあるのだが。
「偵察部隊が壊滅……?」
「はい、どうも天幕に爆発物が仕掛けてあったようで……追加で送った部隊の報告によると、もぬけの殻の上に先行部隊が全員戦闘不能、と」
その報告を聞いて彼女、ミーア=スターク騎士団長は顎に手を当てて考えこむ仕草をする。
「(報告には聞いていたけど……妙な攻撃手段を持つものね。魔力の痕跡とかも無いのに爆発を起こすなんて)」
「全員に気を引き締めさせて。たった二人だと侮っていると大怪我をするわ」
「はぁ……しかし相手は二人ですよ?いかに副団がついていたとしてもそこまで苦戦するとは……」
「二人、だからよ」
薄々ながらもミーアは危機感を抱いていた。
もしかしたら自分達が相手にしているのは踏めば潰れるようなアリではなく、正体を見せずに柔らかい所に針を突き刺し、後に引く痒みを残す蚊のような存在なのではないか、と。
しかも厄介なことにこの相手には効く殺虫剤が存在しない。
「全く、彼女も私達にとって厄介な相手に惚れてくれた物ね」
触手の森に逃げ込んだ事はワーウルフによってすぐに分かった。
すぐさま追撃隊が編成されて追っているが、その足取りはさほど早くない。
「なんだか無駄な気がするなぁ……きっと触手に絡まれながらヨロシクやっていると思うんだけど」
「それでも現場を取り押さえなければ勝ちにならないだろう?さっさと見つけて戻ろう」
分散して捜索する隊のペアの一つである彼女ら……ワーウルフのシバと元勇者のシークもそのうちの一つだ。一応義務だから追跡はしますけど多分無駄足じゃないか、という風である。
─プツン─
その時、注意していなければ分からないような音を立ててシバの足元の糸が切れた。
耳の良い彼女は何かトラップに引っかかったと気づいたのだが、如何せん判断が遅れてしまった。
頭上から降ってくる『何か』をもろにかぶってしまう。
それは何かの液に塗れた葉っぱを枝ごと束ねた物だった。
「うわっぷ……ぺっぺ!なにぃ……これ?葉っぱ?」
「気をつけろよ?体に傷が付きはしないから良い物の……」
少し抜けているパートナーに和んでいる彼だが、地面を擦るような音に警戒を強める。
「気を付けろ……次に何が来るか……」
「うん……って、うひゃあ!?」
警戒していた所に彼女の素っ頓狂な声が聞こえてきた彼は慌てて彼女の方を見ると……何故か無数の触手に絡みつかれていた。
「ちょと……あふ、そんな所擦らないでぇ……」
「何やって……っ!?」
ぬらぬらとした粘液にまみれ、触手に擦り寄られているパートナーが甘い声で喘いでいた時、果たして彼は我慢できるであろうか。
「しーくぅ……たすけてぇ……♪」
「……(ゴクッ)」
無論、我慢できずに押し倒してしまったのは言うまでもあるまい。
さらに周囲からも同じような声が上がっている辺り、全く同じトラップに引っかかって日頃の欲求不満やら続きやらで盛り上がってしまったのも言うまでもない。
「こうして……これを混ぜあわせて……ぶっかけてと」
そこら辺に自生していた木の実や茸を適当に潰して小枝になすりつけ、所持していたロープを細くほどいてトラップ用のワイヤーとして無数のブービートラップを仕掛けていく。
どうせ魔界の果物だ。効能もエロい物に決まっている。
詳しい効果はともあれ、発情なり欲情なりした魔物娘に触手が寄ってきてくれれば儲けのもの。それにつられてそいつのパートナーである人間、上手く勇者クラスの実力者の足止めも出来れば上出来だ。
「追加の果物を持ってきたぞ」
「ありがとさん。ある程度集まったから作るのを手伝ってくれ」
「心得た」
一緒になってぶちゅぶちゅと果物を潰しては持っていた瓶にぶち込んでかき混ぜ、恐怖の淫乱カクテル(仮)を作っていく。
そんな作業をしていると感心したようにミストがため息をついた。
「今まで真正面からぶつかるような戦いしかしたことが無かったからわからなかったが……なるほど確かに、こういった戦いをされると大人数側はむやみに動きが取れなくなるな」
「相手がでかけりゃでかいほどゲリラ戦術ってのは有効になるからな。いつ襲われるか分からない緊張感や疲れで次第に動きが鈍るのも特徴だ」
そういえば……果物を絞っている内にミストの頬が紅潮し始めたのだが……
「……アルテア」
「勝つまで我慢な。終わったらおもいっきり相手をしてやるから」
「…………♪」
やれやれ。
『卑猥な果実がアルテアの手によって乱暴に握りつぶされる。ミストが物欲しそうな目で頬を紅潮させ……』
「やめろ。間違っていないけどやめろ」
こいつは本当に場を引っ掻き回すようなことしかやらない。
あぁもう。ミストがよだれまで垂らし始めちゃったじゃないか。
「さて、と。やるだけやっては見たが……まだまだ残ってるな」
現在地点は小高い岩山の上。ここからであれば丁度相手方の天幕を見下ろすことが出来る。
絶好の狙撃地点でもあるのだが、万が一外した時の事を考えると無闇に狙撃はできない。
自陣の天幕と触手の森でそこそこの数を片付けたものの、戦力はまだまだ大量に残っている。
E-Weaponも気乗りがしないと全く威力が出ないため、クラスターランチャーによる砲撃も効果が薄い。
「一気に大将の首を捕れれば話は早いのだが……どうやってそこまで攻めこむかが問題だ」
「一気に……ね」
要するに強襲揚陸作戦的な物が必要なのだろう。
今必要なのは中心まで突き抜ける事ができる突破力だ。
『久しぶりに『アレ』の出番ですね』
「今回ほど効果的な物は無い、か。やるか」
鵺を逆手に持ち替え、展開シークエンスを起動する。
出すのは突破力に優れる例のアレだ。
「ブリッツランス!」
『展開』
体の半分を覆うほどの巨大なシェルブースターが光の粒子と共に展開され、先端にこれまた巨大な、大人の腕程の太さはあろうかというスパイクが取り付けられる。
反重力装置が働き、地面から少し浮かび上がれば準備は完了だ。
「ほい、背中に捕まってくれ。」
「……何なのだ?これは」
そういえばミストはこれを見るのは初めてだったか……。
「空飛ぶ乗り物的な何か」
「どう見ても翼は付いていないが……いや、お前はこの間翼を持たないにも関わらず飛び立ったのだったか」
尤も今回は『飛ぶ』のベクトルが違う訳だが。
ミストを背中に抱きつかせ(鎧越しでも大きさが分かるって凄い)ブースターに火を入れる。
「ちょっと速いから舌を噛むなよ。あと頭を落とさないように押さえといてくれ」
「速いとはどれぐら……いぃぃぃぃぃいいいいい!?」
推進剤を勢い良く噴射しながら蹴られたように加速し始める。
風を切り、地を抉り、草を蹴散らしながら一直線に天幕目掛けて突っ込んでいく。
『前方に妨害者』
他の魔物達は慌てて道を開ける中、たった一人だけが進行方向に立ちふさがる。
腕を組んで仁王立ちするその相貌は鬼そのもの……というか、オーガだ。
「やらせんっ!」
真正面からぶつかり、スパイクを脇に受け止めて地面を削りながら速度を落とされる。
だが、間一髪天幕近くまでは突入できた。
「へへ……受け止めてやったぜ……」
「うん、惜しいね」
ブースターの噴射を止め、ブリッツランスをオーガごと持ち上げる。
彼女はスパイクを脇で締めて固定したままぶらりと宙に浮いている。
「掴んだのがそこじゃなきゃ、最後まで止められたかもな」
『スパイク射出』
高圧ガスの噴出によって勢い良くスパイクが射出される。
当然しっかりと脇に固定したオーガごと。
「うおおおおぉぉぉぉぉ……」
遠くで土しぶきを上げながら墜落した彼女が見えたが……まぁ、大丈夫だろう。オーガだし。
「凄いね、彼。たった二人で私の下まで防御を打ち破ってここまで来たなんて」
手を打ち鳴らしながら女性──確か騎士団長だったと思う──がこちらへと歩み寄ってくる。
ミストとは少し違う、女性らしい柔らかさというのだろうか。そういった雰囲気をまとう女性だ。
「興味があってもあげませんよ?私が見つけたのですから」
珍しく敬語を話すミストに面食らう間もなく、彼女が大剣を抜き放って盾を構える。
対する団長は……レイピアか。
「手放したくないのであればなおさら分からないわね。黙っていれば彼を自分のものにできるでしょうに。」
「手違いの上に彼の都合を無視して結ばれたとしても、私のプライドが許さない。ただ、それだけですよ」
なんだか置いてけぼりになっている感が半端ない。
第一魔物相手に真っ向勝負だと俺に分は殆ど無いといっていい。
真っ向勝負、であればの話だ。
「ミスト、俺は後ろに下がっているから後は頼む」
「……心得た」
ミストもそれは分かっている。だからこそ、俺が何をしようとしているかが分かるのだろう。素直に俺を下がらせてくれた。
「ゲリラ作戦を展開したかと思えば電撃作戦……どんな豪傑なのかと思っていたのだけど……」
どことなくがっかりした面持ちで息を吐く彼女。まぁ期待に添えたとは思えないからしかたがないのだが。
「女性の陰に隠れて自分は安全な場所に行くなんてね。少し見損なったかも」
「いや……これが『俺達』の……」
ダミーコートを展開したと同時にステルスを起動。
さらにミストのホログラフを無数に投影し、彼女を包囲する。
「戦い方だ」
「覚悟をして頂こう、団長殿。」
「あんだけかっこよく決めてなんであんな決着方法になるんだよ〜……」
「仕方が無かろう。デュラハンに対してはあれが一番効果的なのだから」
あれだけ大見得を切って始まったラストバトルだったが、最終的には姿を消した俺が足止めされている団長の背後へこっそりと忍び寄り、首をもぎ取って戦闘不能にすることで終わった。
精が抜けてしまったことで手近な搾取対象……つまり俺に襲いかかろうとした団長はミストの当て身によって失神。今は医務室で補給剤をガブ飲みしている頃だろう。
俺とミストはというと元々のミストの部屋で楽な格好になってベッドでゴロゴロしている。
彼女はベージュ色の縦セーターにジーンズという割とラフな格好だ。
というか……ミストの私服姿って初めて見たかもしれない。
「それはそうと……これ以上妙な書類にサインしてないだろうな?」
「確認してきたから間違いない。これ以上問題は起こらない筈だ」
ベッドの上に寝転がったミストの胸が上を向いてふるふると揺れている。
何故だろうか……何時もはさほど感じないのに今のミストからはやたらと色気が感じられて……。
「ミスト……」
「何……ん、」
自分が抑えられなくなり、そっと覆いかぶさって彼女の唇を奪う。
彼女としてもまんざらではないのか、口を割って舌がこちらの口の中まで入ってくる。
ねちゃり、と粘ついた水音が耳朶に心地いい。頭の中が溶けそうなくらいの甘い香りで口の中が満たされ、さらに彼女が欲しくなる。
もっと、もっとと互いに求めている内に彼女の首が外れてしまったが、俺がその首を抱え込み、俺が下になることでお互いの口の中を貪り続けた。
彼女の白くさらさらとした長い髪が俺の腹の上に広がり、その絹糸のような手触りが非常に心地いい。時間を忘れて触り続けてしまいそうだ。
「はぁ……はぁ……ちゅ……れる……アルテア……はむ……」
隣でもぞもぞ動く気配がして、何かと視線を向けると彼女の体が自分の胸と股間をまさぐっていた。どうやらキスばかりで我慢できなくなったらしい。
一度キスを中断すると酷く残念そうな声を上げたが、寝そべっている本体の方に手を伸ばし、やわやわと胸を揉み込んでやると途端に蕩けるような表情になった。
もう片方の手をジーンズの中に滑りこませ、下着越しに膣口へと指を触れさせると、くちゅりと粘ついた水音がする。
「もう濡れているな……」
「あんなに粘っこいキスをされてぇ……我慢なんて……♥」
するりとジーンズごと下着を抜き取ると、秘裂と下着の間に細い筋が何本か伸び、重力に負けて切れ落ちる。むわりとむせ返るような雌の香りに心臓がバクバクと跳ねまわる。
誘われるようにそっと、舌で秘裂に沿って這わせると彼女の体がビクビクと震え、ベッドの上に置かれている彼女の頭の表情が気持ちよさそうに歪んだ。
とろとろと蜜を吐き出し続ける膣口に舌を突っ込んでかき回し、ヒクヒクと自己主張をするクリトリスを唇で啄み、物欲しそうに収縮する尿道口を舌先で刺激するたびに奥から止めどなく、どぷどぷと白く濁って粘ついた淫液がこみ上げてくる。
その溢れだした液を指で掬い、彼女の目の前で糸を引かせてみると顔を真赤にして目をそらされた。まぁ、顔はそむけられないからその程度しかできないよな。
「ミスト……入れるぞ」
「来て、くれ……もう、限界……っ〜〜〜〜〜!」
手早くズボンからモノを取り出し、準備万端な彼女の膣内へと突き刺す。
柔肉が歓喜に震え、決して離すまいと幾重にもモノに絡み付いてくる。
最奥まで入るとコリコリとした感触が。その感触を突付くたびにミストが歓喜に震え、終いにはその感触が柔らかくなって亀頭に吸い付き始めた。
「ミスト……っ!きもち、……ふっ……!」
「アルテアぁ……アルテ……っ!?」
今まで気持ちがよさそうに体を震わせていたのだが、何かに気づいたかのように突然全身がこわばる。
「アルテアっ!首!首を元に戻してくれ!」
「お、おぅ……」
わけが分からずにベッドの上に転がっている頭を拾い上げて彼女の頭を胴体部分に嵌めてやる。
すると極度に安堵したようで、こわばっていた全身から力が抜けていくのがわかった。
「一体どうしたんだ?何かに怯えていたみたいだけど……」
「いや、すまない……。分かっているんだ、無意味だって。」
一体何が無意味なのだろうか。酷く恥ずかしそうに目を逸らす彼女がますます訝しく見えてしまう。
「笑わないから何でも言ってみてくれ。俺に直せる事ならなんでもする」
「あ、いや……その……」
そういえばここまで真っ赤になっているミストはあまり見たことが無いかもしれない。
これはこれで新鮮……。
「体だけの私とお前とが繋がっている所を見ていたら……お前が知らない女を抱いて私が手も足も出ない状態で転がされているような感覚に襲われてな……すごく、不安に……んむぅ!?」
要するに、彼女は自分自身の体に嫉妬していた、という事なのだろう。
その嫉妬が可愛くて……普段の凛々しい彼女のイメージからかけ離れていて、その感情が倍加されて殆ど暴走気味に彼女の唇を塞いでいた。
「ん、はぁ……ミスト、可愛いよ」
「ぅぁ……!?」
普段言わないがためか……ミストの顔が一気に真っ赤になる。
その初心な反応が新鮮で、それがまた可愛くて、気持ちが制御できない程に愛しくなる。
指と指を絡め合わせ、ひたすら気持ちをぶつけるように腰を打ち付ける。
「まって、まってぇ……♥そんな事言われたら感じすぎてぇ……♥」
「そっちがミストの素なのか……」
よく見ると首の付け根の接合が上手くいっておらず、隙間から僅かにだが桃色の煙が漏れだしてしまっている。
何時もは一方的に絞られているだけあってこういった彼女の姿は新鮮でいい。
心も体も鎧を脱がされ、むき出しになってしまった彼女はこんなにも柔らかく、そして弱い。
今まで幾度も助けられた彼女とはまるで別人のようだ。
「いつもの強気なミストはどこへいったんだろうな。今日のミストはこんなにも……っ!」
「ひっ……ァァァァァァアアアアアア!」
一際強く彼女の奥を貫いてやると、それだけで歓喜に震えて体を反らせて恍惚の表情を浮かべる。何時もよりも数段感じやすくなっている気がするな。
「感じやすい。これはこれで可愛いからいいんだけどな……」
「にゃふ……もっと、もっと言ってぇ……♥」
「……可愛いぞ、ミスト」
耳元でそっとささやいてやるだけで陸に打ち上げられた魚のように体をおどらせる。まるで全身が性感帯のようだ。それこそ聞こえてくる音にすら反応している気がする。
「みんにゃ、みんにゃいってたからぁ……♪」
「何をだ?」
普段では絶対浮かべないような……それこそ今までの行為の中ですら浮かべなかったような至福の表情を浮かべて絡め合わせてある俺の手に頬ずりをするミスト。
「たまには、甘えてみたらって……そうしたらすごくきもちいいのぉ……♥だいすきがとまらないよぉ……」
普段とのギャップによる魅力が心臓を鷲掴みにする。不自然に鼓動が強くなり、彼女の声だけしか聞こえなくなり、彼女の姿しか目に映らなくなる。あぁ、これって……
「俺も、大好きだよ。ミスト」
恋、なのか。
「っ!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
好き、と言った途端に今までよりも一際強く膣内が締り、絶頂が止まらないかのように痙攣し続ける。
今までで一番低く降りてきた子宮口は緩みきって完全に亀頭を咥え込み、強烈な吸引によって子種を根こそぎ絞りとっていく。
感じるのはこれまでのようなエネルギー源としての吸精のような脱力感ではない。
まるで子を孕みたがっているかのような一際甘く、愛おしげな放出感。
一滴たりとも無駄にする気はないのか、接合部からは全く白濁が漏れだす気配がない。
「っは……っは……い、ちゃた……♥」
「ん、お疲れ……」
絡めてある手を解いて髪を撫でてやると、甘えるように額を胸元に擦り寄せてきた。いや、実際に甘えているのだろう。
こんな体験はこの先何回あるか分かったものではない。我に返らない内に目一杯堪能させてもらおう。
「なぁ、アルテア」
「ん〜?」
あの行為の後、そのまま抱き合ってごろごろし、回復したらまた交わり、疲れたら一緒にまた寝転んで休んでを繰り返していたらすっかり夜になってしまった。
「お前は、いつか元の世界に戻るのだろう?」
「……どうだろうな。帰るのか帰らないのか……今はまだはっきりしないかもしれない」
向こうの世界に未練が全くない、と言えば嘘になる。
第一デウスの問題もエクセルシアを全部集めておしまいという訳ではないし、一度戻らなければデウスを倒せないかもしれない。
まだ何も確定しない未来。帰れるかも確定せず、帰るのかも決まらない。
でも、やはり。
「帰る、かもしれない。帰りを待っている人もいるし……やっぱりあそこが俺の世界で、家なんだよ」
「……そう、か」
しかし、ミストの表情は曇らない。それどころか、うっすらと笑みのような表情を浮かべている。
「よし、決めた!」
「何がよ?」
非常に晴れやかな笑顔で─それこそ今まで一度も見せたことの無いような─宣うのだ。
あまりにも非現実的な宣言を。絶対に不可能であろう宣告を。
「お前が元の世界に戻っても、私が連れ戻しに行く!どこに行こうが、どこにいようが必ずだ!」
「おま……自分が何を言っているのか分かっているのか?」
行くなでも、行かせないでもない。連れ戻すと来た。
現実的に見れば行かせない方が成功確率は高いであろうに。
「私を何だと思っている。私という存在そのものが、不可能を可能にする」
それこそ自信満々に、高らかに宣言するのだ。
本当に成し遂げてしまうのではないか、という望みさえ抱かせるほどに。
「私は、デュラハンだ。さらいに来ると言ったら絶対にさらいに来る。世界の壁なんて薄い物をぶち破ってでもな」
〜フェンリルベース アルテア自室〜
「………………」
とても、静かだ。
ここは俺の所属する傭兵組織のV-TOL機内の俺の部屋だ。
ここを訪れるのは約半年ぶり、といった所だ。
ここにいれば落ち着くと思ったのだが、落ち着くどころか気分がどんより沈み込んでそれどころではない。
ラプラスは、いない。帰ってきた途端に不調をきたして今はラボで様子を見てもらっている。
しかし、落ち込む原因はラプラスの事ではない。ぽっかりと開いてしまった俺の隣の事だ。
「何、やってんだ……俺は」
帰れると知った時、焦った。これを逃したら二度とチャンスが無い、とも思った。
だから、必死で帰ってしまった。
帰って、ほっとして、気づいたら隣が寂しかった。
俺は、馬鹿だ。必死になって一番大事なものを忘れる、大馬鹿野郎だ。
「ミスト……」
気がつけば、常に隣にいた。
今まで見せなかったような笑顔を向けてくる事も増えた。
辛い時は励ましてくれた。
全部、全部忘れて、俺は帰ってきてしまった。
廊下の外からカツカツと足音が聞こえてくる。
常に人が動き回っているベース内ではさして珍しい事でもない。
しかし、その歩調や間隔は俺の知る物ではない。
軍靴が立てるような音ではない。何か金属と金属が打ち合わさるような硬質な足音。
靴底が金属の靴なんて今の時代あるわけがない。そして金属の足がむき出しになるような質の悪い義体持ちのメンバーはフェンリルにはいなかったはず。
つまりこの足音は、メンバーの誰のものでもない。
思わず予備のウェポンラックに掛けてあるハンドガンに手が伸びるが、その伸びる手が止まってしまった。
その足音が、知っている足音だったから。
ギルドにいた時に『彼女』が自室に来るたびに聞いていた足音だったから。
空気が漏れるような音を立てながら、部屋のドアが横へとスライドしていく。
あり得ない光景だった。来ることなんてできない筈なのに……でも、彼女はそんな分厚い壁(薄い壁)を軽々と破り、俺の所まで来てしまった。
「宣言通り、迎えに来たぞ。アルテア」
そこに立っていたのは、この世界ではまず着ることのないような漆黒のフルプレートアーマーに身を包んだ、絶世の美女だった。
いや、深くは言うまい。それが誰なのか、俺にはわかっているのだから。
「ミスト……」
「全く、手間を掛けさせるな。本当に帰ってしまったら追いかけるのが面倒だろう」
まるでイタズラ小僧を叱るかのような軽さで、俺を咎めるのだ。
罪悪感やら感謝やらで頭の中がぐちゃぐちゃになり、目頭が耐えられない程熱くなる。
「みす、とぉ……!」
「ほらほら、大の男が泣くもんじゃない」
「ごめん……ごめん……!」
彼女の胸元に顔をうずめて泣いても、不思議と恥ずかしくはなかった。いや、恥ずかしがる余裕すらも無かったという方が正しいだろうか。
しかし、その涙もある音を耳にしてピタリと止まってしまった。
同時に心臓や内蔵が一気に凍りつくような感覚。
向こうに行くまでは当たり前に聞いてきた足音。しかし今は、最大の敵が迫ってくる足音でもあった。
「ねえ、さん……!」
「ほう、アルテアの姉君か」
俺が向こうに行くと言った時、最後まで反対したのは彼女だ。
結局は折れてくれたが、それだけまだまだ弟離れができていない人でもある。
そんな人がもし俺と親しげにしている女性を見たらどうなるだろうか……。
「丁度いい、挨拶をしにいこう」
「待て待て待て待て!死ぬ!括られる殺される!あの人の前にお前を連れて行ったら二人一緒に死なない程度に折檻されるぞ!?」
しかし、彼女の余裕の表情は消えない。
ごく当たり前のように言い放つその一言は、俺を再びあの時と同じような恐慌状態に陥れた。
「アルテア、反婚戦争だ。姉君を打ち負かして認めさせよう」
「いやだぁぁぁぁぁぁああああああああああ!」
その後の事は、正直思い出したくもない。
ミスト対姉さんの嫁・小姑戦争が勃発した上に戻ってきたラプラスがまさかの嫁側参戦(これはミストと同格に扱って欲しい、という意)。
機能制限を解除した全身義体と全力を出したミストがぶつかり合い、その余波で俺は早々に戦線離脱。簡単に言うと意識を失ってしまった訳だ。意識を失う前に全身が滅茶苦茶痛かったことだけは覚えている。
で、意識を取り戻したら自室でミストが俺の上に乗っかって美味しく頂かれていた訳だ。ラプラスも参加して。ちなみにラプラスについてはまた別の時に話そう。
嫁ができた、とおやっさんに報告するとさっさと引退して嫁さんを大事にしろと向こうの世界に送られてしまった。
今は魔王城の城下町にミストと二人で購入した屋敷に住んで専業主夫なんてやっている。
彼女と二人でべったりか……というとそうでもなく、家にはアニスちゃんやらニータやらがちょくちょく遊びにきて、所属ギルドを城下町に移籍したメンバーが殆ど下宿先にしていたりとこれでは傭兵も冒険者もやめる前と後の変化が全くないような気がしてならない。
「いいのかねぇ、こんな生活で。」
「何、賑やかなのは嫌いではない。それに……」
殆ど無理やりといった勢いで唇が奪われる。別に嫌ではないのだが、妙に気恥ずかしい。
「私が一番だと分かっているのであれば焦る必要は全くないからな♪」
「……最後までお前には頭が上がりそうにないよ……ホント」
それでも、今の生活は気に入っている。
銃とナイフをフライパンと包丁に持ち替え、青いジャケットをエプロンに着替えて日々洗濯物や家の汚れと格闘するのはかつてとは別の意味で充実するものだ。
「そういえばアルテア、おめでたとは何だ?」
「……はい?」
「いや、最近体の調子が悪くて同僚の勧めで病院に行ったらおめでとうと……一体何がめでたいのだ?」
もう少ししたら、家の中がもっとにぎやかになりそうだ。
12/12/18 18:44更新 / テラー
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