外伝〜極限世界ぷちねた劇場そのさん〜
※注意点は前回同様です
〜でっかいことはいいことだ〜
[32話より]
山頂が見えてきた。確かに霧の中に何か大きな人影が見える。
「……ゑ”」
そいつは上半身裸、下半身には黒いビキニパンツ一丁で山頂に仁王立ちしていた。
筋骨隆々の腕を組み、顎は割れ、首にはこれまた大きさに見合った赤いタオルが掛けてある。
そう、そいつは正に……
「アント○オ猪○……だと……」
『異常成長したアント○オ猪○のようです。』
「いや、それ以前にあの人成長止まってるだろ!?」
「突っ込むとこそこじゃないでしょ!?」
〜ビッグドリーム〜
[34話より]
「マズイな……マジで金がない……」
「そんなアルテア君に大チャーンス!」
ミリアさんがクルクルと回転しながらこちらへと近づいてくる。その回転には何の意味があるのだろうか。
「これ、やってみない?」
「こいつは……?」
彼女は一枚のビラを俺に渡してくる。
その内容は……
『マグロ漁船船員募集中!君もでっかいマグロをつかめ!』
「誰がマグロ漁船で働きたいと言った。」
「稼げるわよ?」
稼げるかもしれないけれどなんか意味が違うと思う。
〜想定GUY〜
[34話より]
「…………」
「あの、何でしょう?」
俺は酷い違和感に頭を痛めている。
「いや、うん……なんでもないんだ。」
「そうですか?あ、いらっしゃいませー」
見た目○学生とでも言わんばかりの魔女が華やかな和服に身を包んで受付対応をしている。
てっきりいつものテンプレ姿かと思いきや思いっきり和装だった。
「(おかしい……!ツッコミを入れなきゃならない所の筈なのにツッコミが入れられない……!)」
〜モヒモヒー〜
[34話より]
「おどれらブチ殺すぞコラァ!」
やたら頭の悪そうなチンピラが何か喚いている。
ギルドの中にはほとんど人がおらず、ほんの数人の侍風の男がげんなりとした表情で闖入者を見ている。
「アルテアさん、腕前のお披露目ってことでこの人達蹴散らしたらどうです?」
「んだな。んじゃ、ラプラス!ショータイムだ!」
俺は蓋を跳ね上げて中身を掴み、それをゴロツキ共に突きつける。
それを見た奴らは驚愕しているようだ。……いや、俺も驚いた。
「……火炎放射器?」
トリガー付きのノズル、円筒形の燃料タンク、ノズルとタンクをつなぐチューブ。
それはどう見ても野焼き用の火炎放射器だった。ご丁寧にモヒカンのかつらまで付いている。
「………………」
俺はおもむろにモヒカンのかつらを被るとノズルを手にとってゴロツキへと向け……
「汚物は消毒だー!」
ギルドが燃えました。
〜練り物系〜
[34話より]
<なぁあんちゃん、騙されたと思ってこいつ使ってみてよ〜!>
妙に幼い売り子の声が聞こえて来る。
声がした方を見ると、ドワーフが何かを売っている。
「(ま、冷やかすぐらいなら見てもいいか。)」
その武器はどうにも売れないらしく、一つだけ残っている。
……武器?
それは、あまりにも芳しい匂いがしていた。
中程が程よい香ばしさで焼き目が付き、両端は真珠の如き白。
中は中空になっており、千里先さえも見渡せそうな穴となっていた。
そう、それは正に……
「ちくわじゃねーか!」
「ちくわなめんな!」
〜安定しない看板〜
[34話より]
路地裏の奥まった場所、タマの工房は忘れ去られた駄菓子屋のようにそこに佇んでいた。
「さ、入って入って」
「あぁ、おじゃま……」
ふと、掛けてあった看板に目が行く。
看板と言えば店の顔だ。ドワーフであるならばこんな場所でも立派な物が……
『 ダイ○ハウス
ヘーベ○ハウス セキスイハ○ム
珠家
ミ○ワホーム 』
「アウトー!」
「何、何!?」
〜(i)〜
[34話より]
「んで、合流する予定の奴は……。」
「ここだ。」
前でも後ろでも左でも右でもなく、真上から声が聞こえてきた。
見上げると、ハーピー種らしき女性がホバリングをしている。カラステングだろうか。
そして、俺は見えた物に固まる事となる。
「(履いてない……だと……!)」
〜in coming〜
[35話より]
『さて……来るか?』
拳をガシリと打ち合わせて気合を入れると、ICEに魔方陣が浮かび上がる。
その魔方陣の中から人間の腕が2本、縁を掴んで現れた。
ボサボサの黒い髪がだらりと出てきて地面へと落ちる。
その顔は長すぎる髪に邪魔されて見えず、あまりにも不気味な雰囲気を漂わせている。
「……ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
そのまま上半身が這うようにゆっくりと魔方陣からせり出してくる。不気味な呻き声を放ちながら……
『貞子!?怖!マジで怖!』
電子体であるにも関わらずチビりそうになった。
〜鶏肉〜
[35話より]
そのまま現場に向かう前に腹が減っていたのでそのまま焼き鳥で夕食に。
流石に戦闘前に酒はマズいのでやめておいたが。
「へい、お待ち!」
櫛に刺さった焼き鳥が何本か皿に盛られて出てきた。甘辛いタレがかかっていて美味しそうだ。
「今日のオススメハーピー焼きだ!」
「ぶふぉ!?」
店主の口から飛び出た単語に思わず咀嚼していた鶏肉を吹き出す。
え、何?これあれ?パタパタ飛んでるあのハーピー?
「かっかっか!冗談だ冗談!」
「心臓に悪すぎんだろおい……」
暫くすると辰之助の方にも焼き鳥が出された。
まぁ、うん。普通の焼き鳥だよな。
「こっちはセイレーンだな」
「いやいや、流石にもう引っかからねぇだろ。」
「そうだな。店主、ここは仮にも親魔物領。いくら何でもそのような冗談は……」
『〜〜〜♪』
「「焼き鳥が歌った!?」」
その時、店の奥の暖簾が揺れて2人程人が入ってきた。……ゑ”
「私の……私のお肉〜……」
「返して〜……」
肌の所々が赤黒く変色したハーピーとセイレーンがゆらゆらとこちらへ近づいてくる……!?
「「ギャァァァァァアアアアアアア!!??」」
……俺らが隅に逃げてガタガタ震え始めてようやくネタばらしをされ、焼き鳥屋の大将と常連客が仕掛けた突発性のイタズラだと分かった。
あぁ、心臓に悪い。
〜都合〜
[35話より]
『古に住まいし海竜、ここに目覚めん。象るは水、その役は龍。鋭き牙を以て敵を噛み砕かん!』
……しかし、何も起こらない。
いや、確かに何かが起こっていた。
サフィアの下に水が集まってきて文字が描かれていく……
『本日休業日』
「どうしましょうアルテアさん!術が発動しません!」
「しらねぇよ」
〜もう何も寒くない〜
[36話より]
「早速調査を……と言いたい所だが、この大雪の中じゃ村の中ですら遭難しかねん。何かいい方法は無いか?」
「それなら桔梗に頼めばいいじゃろ。あの子は雪女じゃからこの雪の中でも迷うことはないじゃろ。」
雪女か。確か図鑑で見た限りだと大和撫子然とした魔物だったな。
白い着物に腰あたりまである長い髪と白く抜けるような肌が特徴の美人な魔物だ。
そんな事を考えていると、戸口がガラガラと音を立てて開かれた。
「村長のおじいちゃん、誰か来たみたいだけどお客さん?」
そう、こんなクソ寒い中に真っ裸で……!?
「おぉ、ありがたやありがたや……」
「爺さん拝んでないで何か服着せろよ!見ているこっちが寒くなってくる!」
〜大ちゃん〜
[36話より]
ボードを進行方向と垂直にしてブレーキを掛ける。雪の飛沫を飛ばしながら、停止した。
「とうちゃ〜く!なかなかスリリングだったな?」
「…………」
しかし彼女からの返答がない。振り返ってみると真っ青になってプルプルと震えていた。いや、真っ青なのは元からか?
「お〜い……どした?」
「…………ちゃった……」
ほとんど聞こえないような声でボソリとつぶやく桔梗。一体何が……
「大きい方まで……出ちゃった……」
俺絶句。集まってくる村人達。
「こうなれば……道連れに君を……!」
「ちょ、マジで離せ!ってこら、あまりくっつくなって……アッー!……」
※お食事中の皆様、済みませんでした。
〜懲りない彼女〜
[36話より]
「俺が貰ってきたんだから一口ぐらいは飲ませろよ……ってもう無いし!?お前らどんだけ早く飲んだんだよ!?」
「「うめ〜!」」
「タマー!タマー!仔鵺と虎牙鎚よこせ!こいつらブチのめす!」
「お〜やれやれ〜」
タマが虎牙鎚と仔鵺をこちらに放り投げたのでキャッチ。
「てめぇらそこに直りやが……」
それは、あまりにも芳しい(ry
「またチクワかよ!」
「練り物なめんな!」
〜金玉の世界〜
[37話より]
朝起きて顔を洗った俺はロビーで緑茶を啜っている。
いつもの朝の一杯の習慣というものはなかなか抜けないもので、緑茶じゃなくても酒と煙草以外の何かしら嗜好品を飲んでいたりするのだ。
ただしルートビアは別だ。あれはいただけなかった。
「…………」
今俺の目の前ではアイシャがこちらをじっと睨みつけている。……はずだ。
しかし如何せんアクセサリがアクセサリなために本気で睨みつけているのか、こちらをからかっているのかが今一わからない。
聞いてみたい。しかし聞く勇気がない。
ここでそれを指摘すれば彼女は烈火の如く怒るかもしれない。
冗談だ、と笑いながら外すかもしれない。
それほどまでに場違い&似合わない一品であった。
「……なぁ。」
「何よ?」
俺は、勇気を出して聞いてみた。そうでないと話が進まないからだ。
「何で鼻眼鏡付けてんの?」
「鼻眼鏡じゃないわよ!視力矯正グラスなのよ!」
「わかった、わかったから。」
なだめて何とか落ち着かせてはみたものの、やはり気になる。どうしても気になってしまう。
そして……
「何で鼻眼鏡つけてんの?」
「だから鼻眼(ry
10回ほどこのやり取りを繰り返していた。
〜しかたがないなぁ〜
[37話より]
「お前も何か食ったらどうだ?」
「………………」
俺の言葉に彼女は特に反応を示さない。
いや、何かに葛藤しているようだ。ここは一肌脱ぐことにしますか。
「ほれ、お前にも。」
バックパックから携帯食料を取り出す。味はプレーン……ほんのりとした甘みが嬉しい割りと好物の部類に入るやつだ。
「いや、別にお腹は空いてないんだけど……いや、空いてる……のかな?」
「んー……気に入らんか?んじゃこっち……」
今度は別の携帯食料を取り出す。
こちらはイチゴ味。女性受けがいいと言われている物で、仄かな酸っぱさといちごの香りが食欲を引き立てる。不味いながらも色々と工夫している辺り製造している所も考えているんだな、うん。
「そういうのじゃなくて……なんていうの、ほら。」
「あぁ!なるほど、あれか。あれは手に入りにくかったな。」
次に取り出したのはオニオングラタン味。絶版という訳ではないのだが生産数が少なく、中々手に入りにくい一品だ。口の中に広がる芳醇なコンソメ味と、活力が出てきそうな玉ねぎの香ばしい香りが食欲をそそる。あぁ、俺が食べたいぐらいだ……
………………
…………
……
「どんだけ持ってるのよ。」
「ん?まだまだあるぞ。」
目の前には山と積まれた携帯食料。
明らかにバックパックに入る容量を超えているが最近は気にならなくなった。
〜TOHU〜
[37話より]
「…………」
「で、貴方はなぜ先程から黙り込んでいるのかしら?」
一人ぶすっとして冷奴をスプーンでつつきまわしているのはアイシャだ。
何故か背後から黒いオーラが湧き出ている。
「別に?アイツが誰といようと関係ないし。別にアイツが特別好きってわけじゃないし。」
ブツブツつぶやきながらスプーンを振り下ろす。
『いてぇ!』
「……え?」
結構力いっぱい振り下ろした筈が、冷奴は依然としてその姿を崩さずにそこにいる。
しかも何か妙な声が聞こえた気がする。
「……何か聞こえなかった?」
「さぁ、気のせいじゃないか?」
「だよ……ね?」
このままにしていても仕方が無いと冷奴を食べるために突付く……
『あふん♪』
「「「「「…………」」」」」
恐る恐る再びスプーンで冷奴をつつくと……
『いやん♪』
「……何、これ」
「さぁ……」
結局食べずに下げてもらったとさ。
〜隠していた事〜
[37話より]
「……さて、ラプラス。お前は俺に話していない事があるんじゃないか?」
『やはり判りますか。隠し事はできない物ですね。』
プリシラが去ったのを確認すると、俺はラプラスを問い詰める事にする。
「当然だ。何年相棒やっていると思っているんだ。」
『こういう時に人間の勘というのは疎ましく感じる物ですね。』
「いいから話せ。お前何を知っている?」
ラプラスは暫し沈黙すると、返答を返してきた。
『先ほどトイレから帰ってきた時からマスターのズボンのチャックが開いていました。』
「そういう事は気づいた時に言えよ!」
12/01/22 10:35更新 / テラー
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