読切小説
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何でも売ってる
毎度おおきにー。

キミは良くウチの商品を買ってくね。もうお得意様やんか。
今後共ウチをご贔屓にしてくれるなら、キミの為になんでも揃えるで?
冒険者のキミに有用なマジックアイテムやお薬なんかはいつでも完備してるで。
キミの意中のあの子の為に魔界の植物なんかもすぐ仕入れることも出来るんよ。
さー欲しいものはあるかい?


え、なに?


ウチを買いたいって?あっはっは、冗談よしといてな。
そんなこと意中の女の子に云ったら嫌われるで?
冗談だとしても、ウチは高いでー?金貨10枚は貰わへんと相手してあげへんよ。
そんな大金キミに出せるわけあらへんやろ。


へ?出せる?


ちょ、ちょっと待って。キミ一体こんな大金何処で手に入れたん?
というかそんな大金をウチに使うってアカンやろ!
い、いまのは冗談なんや!本気にせんといて・・・!
お、俺は本気だ!なんて力強く言われても・・・アカン・・・アカンよ。


え、ええと。一遍だけや!一遍こっきり金貨10枚!絶対にまけへんで!
ウチにそんな大金払うくらいだったらどこでも女漁れるやろ!


・・・ほ、本気で払うんか・・・


え、ええとあのその。



や、やさしくして?



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また来たんかキミは。この前で懲りたと思ってたけど。


一度抱いたからってカレシ面するような男じゃなくて安心したわ。
魔物娘だからって女の子が簡単に落ちるとは思わんといてや。
で、今日は何が入用なんや?


・・・またかいな。どうやらウチの魅力に虜になってしもうたようやな。
魅力も何もなかった?しかたあらへんやろ!ウチも初めてだったんや!
それに比べてキミの情けないこと!
自分で買っておいてどうすればいい?なんて女に聞くなや!恥ずかしゅうことこの上ないわ!
・・・ま、ええわ。その目を見ればまた本気なんやろ?仕方あらへんな・・・


・・・金貨一枚でええで。この前のは流石に高すぎたとはウチでも思う。
絶対返さへんけどな。



――――――――――――――――――――――――――――――――



キミも好きものやな。今日は何が欲しいんや?



はいはい、がっつかなくても分かっとるで。ウチが欲しいんやろ?
そんなに求められると流石にウチも嬉しいなぁ。キミが可愛く見えてきたわ。
でもウチも商売。だから貰うものはきっちり貰うで。



・・・銀貨80枚でええよ。



――――――――――――――――――――――――――――――――



いらっしゃい、今日もウチが欲しいんか?


えっ、今日は冒険道具の仕入れ?
い、いややな!ウチ、期待なんかしてへんよ!失礼するわ!
ふん。今日はウチ機嫌悪くなってしもうたなー。雑貨の割引もしてやらへん。
・・・謝られても困るわ。からかっただけって言いたいのはよくわかったわ。
で、どうするんや?うん、そーかそーか。ウチとしたいんか。仕方あらへんな。
誠心誠意謝ってもらったしな。ウチとしても断る理由はあらへんな。商売やし。


・・・銀貨50枚でええわ。



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ああやっときた。いらっしゃい。



今日は、セールや。君にだけ安くするで。
セールの対象はウチが売ってる商品全部や。
・・・まったく、キミはそれしか頭にないんか?ま、予想はしとったけどな。


・・・・・・・・ぎ、銀貨・・・一枚でええで・・・



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キ、キミはウチ以外の所で買い物をしないんか・・・?
ココの所毎日くるやないか・・・



なに?少なくとも女はウチからしか買ってない?
あ、アホ・・・アホやほんと・・・そんな口説き文句あるかいな・・・
今日も、ウチを買いに来たんやろ・・・?


・・・銅貨50枚・・・いや10・・・いや、い、いちまいでええで。





・・・めちゃくちゃにして・・・ええから・・・



――――――――――――――――――――――――――――――――



・・・あ、いらっしゃい。


畏まった顔してどうしたん?

なに?ウチを貰いたいって?買いたい、じゃなくて貰いたい、ねぇ。





ウチは高いで?










ああ、やっぱりキミは用意してきたんね。嬉しいわぁ。



この指輪は死んでも絶対に返さんよ。ウチのアホで愛しい旦那様。




ウチを幸せにしてくださいね。


15/05/30 03:30更新 / うぃすきー

■作者メッセージ
お金の価値は、時代背景や地域、純度によって極端に左右されます。
金貨:約10万円
銀貨:約1000円
銅貨:約10円
くらいの超大雑把なイメージで書いております。
つまり最終的に一回10円。

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