『そうだ サバト、行こう。』
うん、まずは状況を整理しようか。
異世界に召喚されてマヨネーズを作ってたら幼女に拉致されてしまいました。
いや、そのさ………………なんぞこれ?
「あ、バフォ様。 お帰りなさいませ」
「うむ、ただいまなのじゃ」
幼女に拉致された俺はどこかにある城に連れ込まれました。
とりあえず、俺を拉致した幼女は『バフォ様』と言うらしい。
「……ところで、そちらの方はどなたですか?」
あ、どうも、黒須 直哉です。
ご覧の通り拉致被害者です。
「こやつはわしの客人なのじゃ。 とりあえず客室に放り込んでおくとよいのじゃ」
「はい、了解いたしました」
あくまで客人と言い張りやがりますかコノヤロー。
あのさ、仮にも客人を簀巻きのまま担いで運ぶなんて有り得ないでしょ。
しかも放り込んでおけって、確実に荷物扱いじゃあないですか。
そちらのお嬢さんもそうは思いませんか? こんなの、おかしいですよ。
「まぁ、バフォ様ですから」
……さいですか。
人を拉致しといてその一言で済ませますか。
まぁ、バカ(王様)よりはマシか。 バフォ様かわいいし。
「お、おだてても何も出ないのじゃ///」
おー照れてる照れてる、かわいいなー。
バフォ様、お持ち帰りぃー。 ……持ち帰られたのは俺ですけど。
まぁ、そんなわけで、拉致された俺は客室へと強制的に招かれました。
俺は簀巻きのままソファの上に寝かされています。
あの、そろそろコレを解いてもらえませんか?
「んー、ちょっと待つのじゃ」
バフォ様はそう言いながらパチンと指を鳴らす。
するとテーブルの上にティーポットが現れた。
「ほれ、紅茶じゃ」
いや、紅茶と言われても。
自分、簀巻きのままなんすけど。
「今解くのじゃ」
バフォ様が再び指を鳴らすと俺の体は自由になる。
あの指でどうやって音を出してるのかは非常に気になるが、気にしても無駄だろう。
ん? …………………指?
俺は改めてバフォ様の姿に注目する。
頭の上には大きな角、柔らかな毛皮に包まれた小さな手、そして足に指はなく蹄のようになっている。
「あの…… つかぬことをお聞きしますが」
「? なんじゃ?」
「バフォ様は魔物だったりしちゃいますのでしょうか?」
「うむ、しちゃいますのじゃ」
おーけー、落ち着こうか。
大丈夫、冷静に対処すれば死ぬことはないさ。 ……たぶん。
まぁ、幸い言葉は通じるようだし、今のところ敵意はなさそうだ。
「因みに強さはどれくらいでしょうか?」
「どのくらいかと聞かれると……… んー、そうじゃなー………
まぁ、上から数えた方が早いのは確実じゃな」
バフォ様は薄い胸を張りながら自慢げな様子だ。
おー、バフォ様ってボスキャラですか。
それにしてもだ………
「魔物が女の子の姿をしてるのは図鑑で見て知ってたけど、あれって本当だったんだなー」
「むぅ? 実際に魔物を見るのは初めてなのかの?」
「はい、なにぶん異世界から来たもので」
そもそも、元々の世界には魔物なんていなかったしね。
「さて、とりあえず自己紹介といこうかの。
わしはバフォメットのアリーゼじゃ、皆にはバフォ様と呼ばれておるのじゃ」
「あ、どうも黒須 直哉です。 因みに姓が黒須、名前が直哉です」
「ふむ、ならばナオヤと呼ばせて貰うのじゃ」
「ええ、構いませんよ。 それで、自分は何故拉致されたのでしょうか?」
とりあえず、疑問をぶつけてみた。
まー見当はついてんだけどねー。
「それはの、マヨネーズが美味しかったからじゃ♪」
ってオイ、そんな理由かよッッッ!
「てっきり異世界の人間だからだと思ってたんですが」
「あ…… うむ、本当の理由はそれじゃ、マヨネーズが美味しいかったというのは冗談じゃ。
べ、別に忘れてたわけじゃないのじゃよ。 ほ、本当じゃぞ!」
絶対忘れてたよこの人。
いやさ、別にいいけどね。
「それで、自分はこれからどうなるんでしょうか?」
「む? どうなるとはどういうことじゃ?」
…………………ちょっと待て。
「何か目的があって連れて来たんじゃないんですか?」
「目的?」
おい、そこで首を傾げるな。
あれ? 俺、なんかおかしいこと聞きましたか?
「………………帰ってもいいですか?」
「ああ!目的じゃな! うむ、もちろんあるのじゃ!」
本当かよ。 なんか、すげー怪しいんですけど。
……まぁ、聞くだけ聞いてみるか。
「ナオヤよ、わしの弟子になるのじゃ!」
「……それはまた突然ですね」
つーか、なんで弟子?
いや、意味わかんないんですけど。
「ナオヤはこちらに来たばかりじゃろ?」
「はい、その通りですけど」
「ならばこの世界のことをもっと学ぶべきじゃと思わんか?」
「んー、そうですね。 確かに字が読めないとか色々と困りますし」
「じゃろ!ならば、わしが教えてやるのじゃ。 うむ、我ながら名案じゃな」
んー、バフォ様の弟子かー。
どうしよっかなー。 ………お、そうだ。
「バフォ様って、魔術とかに詳しいですか?」
「あたりまえじゃ。
わしは数多の魔女を束ねるサバトの頂点じゃぞ、魔術の扱いは誰よりも得意なのじゃ」
おお、なんだかよくわからんが、とにかくすごい自信だ。
この人の弟子になれば俺にも魔術が使えるかもしれん。
「バフォ様、是非、弟子にしてくださいませ」
俺はバフォ様に頼み込む。
せっかくの『ふぁんたじぃ』だし魔術師になるってのもありだよね。
師匠が魔物で幼女ってのが気になるけど、まあ問題ないよね。
「うむ、それではナオヤよ、これより主はサバトの一員じゃ」
「ありがとうございます」
「なに、気にするでない」
こうして、俺は魔術師としての第一歩を踏み出すことになった。
「さてナオヤよ、まず主にやって欲しいことがあるのじゃ」
「はい、なんでしょうか?」
そして、俺の魔術師としての第一歩は――――――――
「マヨネーズを作って欲しいのじゃ♪」
マヨネーズから始まった。
………いや、まぁ、いいんだけどね。
異世界に召喚されてマヨネーズを作ってたら幼女に拉致されてしまいました。
いや、そのさ………………なんぞこれ?
「あ、バフォ様。 お帰りなさいませ」
「うむ、ただいまなのじゃ」
幼女に拉致された俺はどこかにある城に連れ込まれました。
とりあえず、俺を拉致した幼女は『バフォ様』と言うらしい。
「……ところで、そちらの方はどなたですか?」
あ、どうも、黒須 直哉です。
ご覧の通り拉致被害者です。
「こやつはわしの客人なのじゃ。 とりあえず客室に放り込んでおくとよいのじゃ」
「はい、了解いたしました」
あくまで客人と言い張りやがりますかコノヤロー。
あのさ、仮にも客人を簀巻きのまま担いで運ぶなんて有り得ないでしょ。
しかも放り込んでおけって、確実に荷物扱いじゃあないですか。
そちらのお嬢さんもそうは思いませんか? こんなの、おかしいですよ。
「まぁ、バフォ様ですから」
……さいですか。
人を拉致しといてその一言で済ませますか。
まぁ、バカ(王様)よりはマシか。 バフォ様かわいいし。
「お、おだてても何も出ないのじゃ///」
おー照れてる照れてる、かわいいなー。
バフォ様、お持ち帰りぃー。 ……持ち帰られたのは俺ですけど。
まぁ、そんなわけで、拉致された俺は客室へと強制的に招かれました。
俺は簀巻きのままソファの上に寝かされています。
あの、そろそろコレを解いてもらえませんか?
「んー、ちょっと待つのじゃ」
バフォ様はそう言いながらパチンと指を鳴らす。
するとテーブルの上にティーポットが現れた。
「ほれ、紅茶じゃ」
いや、紅茶と言われても。
自分、簀巻きのままなんすけど。
「今解くのじゃ」
バフォ様が再び指を鳴らすと俺の体は自由になる。
あの指でどうやって音を出してるのかは非常に気になるが、気にしても無駄だろう。
ん? …………………指?
俺は改めてバフォ様の姿に注目する。
頭の上には大きな角、柔らかな毛皮に包まれた小さな手、そして足に指はなく蹄のようになっている。
「あの…… つかぬことをお聞きしますが」
「? なんじゃ?」
「バフォ様は魔物だったりしちゃいますのでしょうか?」
「うむ、しちゃいますのじゃ」
おーけー、落ち着こうか。
大丈夫、冷静に対処すれば死ぬことはないさ。 ……たぶん。
まぁ、幸い言葉は通じるようだし、今のところ敵意はなさそうだ。
「因みに強さはどれくらいでしょうか?」
「どのくらいかと聞かれると……… んー、そうじゃなー………
まぁ、上から数えた方が早いのは確実じゃな」
バフォ様は薄い胸を張りながら自慢げな様子だ。
おー、バフォ様ってボスキャラですか。
それにしてもだ………
「魔物が女の子の姿をしてるのは図鑑で見て知ってたけど、あれって本当だったんだなー」
「むぅ? 実際に魔物を見るのは初めてなのかの?」
「はい、なにぶん異世界から来たもので」
そもそも、元々の世界には魔物なんていなかったしね。
「さて、とりあえず自己紹介といこうかの。
わしはバフォメットのアリーゼじゃ、皆にはバフォ様と呼ばれておるのじゃ」
「あ、どうも黒須 直哉です。 因みに姓が黒須、名前が直哉です」
「ふむ、ならばナオヤと呼ばせて貰うのじゃ」
「ええ、構いませんよ。 それで、自分は何故拉致されたのでしょうか?」
とりあえず、疑問をぶつけてみた。
まー見当はついてんだけどねー。
「それはの、マヨネーズが美味しかったからじゃ♪」
ってオイ、そんな理由かよッッッ!
「てっきり異世界の人間だからだと思ってたんですが」
「あ…… うむ、本当の理由はそれじゃ、マヨネーズが美味しいかったというのは冗談じゃ。
べ、別に忘れてたわけじゃないのじゃよ。 ほ、本当じゃぞ!」
絶対忘れてたよこの人。
いやさ、別にいいけどね。
「それで、自分はこれからどうなるんでしょうか?」
「む? どうなるとはどういうことじゃ?」
…………………ちょっと待て。
「何か目的があって連れて来たんじゃないんですか?」
「目的?」
おい、そこで首を傾げるな。
あれ? 俺、なんかおかしいこと聞きましたか?
「………………帰ってもいいですか?」
「ああ!目的じゃな! うむ、もちろんあるのじゃ!」
本当かよ。 なんか、すげー怪しいんですけど。
……まぁ、聞くだけ聞いてみるか。
「ナオヤよ、わしの弟子になるのじゃ!」
「……それはまた突然ですね」
つーか、なんで弟子?
いや、意味わかんないんですけど。
「ナオヤはこちらに来たばかりじゃろ?」
「はい、その通りですけど」
「ならばこの世界のことをもっと学ぶべきじゃと思わんか?」
「んー、そうですね。 確かに字が読めないとか色々と困りますし」
「じゃろ!ならば、わしが教えてやるのじゃ。 うむ、我ながら名案じゃな」
んー、バフォ様の弟子かー。
どうしよっかなー。 ………お、そうだ。
「バフォ様って、魔術とかに詳しいですか?」
「あたりまえじゃ。
わしは数多の魔女を束ねるサバトの頂点じゃぞ、魔術の扱いは誰よりも得意なのじゃ」
おお、なんだかよくわからんが、とにかくすごい自信だ。
この人の弟子になれば俺にも魔術が使えるかもしれん。
「バフォ様、是非、弟子にしてくださいませ」
俺はバフォ様に頼み込む。
せっかくの『ふぁんたじぃ』だし魔術師になるってのもありだよね。
師匠が魔物で幼女ってのが気になるけど、まあ問題ないよね。
「うむ、それではナオヤよ、これより主はサバトの一員じゃ」
「ありがとうございます」
「なに、気にするでない」
こうして、俺は魔術師としての第一歩を踏み出すことになった。
「さてナオヤよ、まず主にやって欲しいことがあるのじゃ」
「はい、なんでしょうか?」
そして、俺の魔術師としての第一歩は――――――――
「マヨネーズを作って欲しいのじゃ♪」
マヨネーズから始まった。
………いや、まぁ、いいんだけどね。
10/12/09 18:17更新 / 植木鉢
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