楽しかったです
「分解させてくれ！！！」
「お断りします」
返された言葉に臆することもなく、ドワーフは再度声を張り上げる。
「そう言わず頼む、分解させてくれ」
「お断りします」
「大丈夫、ちゃんと元通りにするから」
「それは当たり前です」
「痛くしないから」
「そう云う時は痛いことをする時です」
「お手入れしないと」
「メンテナンスは自分で出来ます」
「だけどさ、自分で出来ない時も」
「ご心配には及びません、その時はベルツにしてもらいます」
オレを見ながらアンテは答える。
「ならさアタシにも触らせてくれてもイイだろ」
「体に触る位ならかまいません、ですが内部機構までとなりますと」
そこで一度口を噤むと頬を朱く染めて答える。
「私の・・・その、か・・・身体の中に触れていいのはマスターのベルツだけです。ですのでお断りします」
折り目正しくペコリと頭を下げて答えるアンテを見てさすがゴーレムと妙なところで感心する。
しかしそんな言葉でドワーフは引き下がらない。俯くとブルブルと身体を震わせる、それからゆっくりと顔を上げて目に涙を浮かべながら訊ねる。
「グスッ、如何してもダメ？」
対してアンテは一瞬答えに詰まるが眼を逸らして何とか切り抜けることに成功する。
「泣いてもダメです」
「ヒクッグシュ！本当に？」
「・・・・・出来ません」
「ウ、ウワ～～～～～ン！！！！やだやだやだ、遣らせてくれなきゃやだーー！！！」
その場に仰向けに倒れ込むと両手両足を振り回して、ジタバタと騒ぎ出す。頭も振り回し駄々をこねる子供に成って暴れ出す。部屋の中央でしているので頭を打ち付けることは無いが、そんな姿を見ていると何だかこっちが悪いことをしている様な気がしてくる。
案の定アンテもその光景にオロオロと慌てだす。
「あ、あの如何か落ち着いて下さい。そんなに暴れると危ないですよ」
両手を揃えてまあまあと宥めだすと、ドワーフはさらに激しく暴れ出す。
「やだやだやだーーーーーー！！！！！やらせてくれなきゃやだーーーー！！！！ワ～～～～～ン！！！！！」
「ああもう如何すれば良いのですか？」
「させてやればいいんだろ」
オレの発言にアンテは目を向いてしまう。
「ベルツ、本気で言っているのですか！」
「泣き止ませるのに一番の解決法ったら本人がしたいことをさせるもんだろ」
「そ、それはそうですが・・・」
「（ニヤリ）ウワ～～～ン！！！」
「それともこのままにしておくか」
「それはいけません！」
（コクコク）
それではと首を捻り、うーんと腕を組んで考え込む（振りをする）。
「殴ってだまらせる」
「却下です、暴力はいけません」
（ブルブル）
「口を塞ぐ」
「息が出来なくなります」
（殺す気か！）
「アメ玉を渡す」
「持ってません」
（ガックリ）
「ぬいぐるみを使う」
「用意してません」
（ガーーン）
「子守唄を歌う」
「レパートリーで１００曲以上あります」
（目覚ましをセットして置かないと）
「何か別のことで気を逸らすか」
「別のこと？」
（？？？）
「もちろん二人の濡れ場ｗ」（ゴキャッ！！）
「次の案を提示してください」（そういうことは二人っきりでするものです）
（うう、見たかった）
「うーん、そうだ！アンテの母乳ｗ・・・次の案を考えます」
「お願いします」（氷の視線を緩める）
（飲んでみたかったも）
「よし、サバト最新の夜の友グッズを買ってきて」
「私は行きませんよ」（ベルツがいるのに必要無いですから）
（新作が出たんだ、後で買ってこよ）
その後もアンテとああでもないこうでもないと言い合いながらちらりと横を見遣ると、ドワーフは両手で顔を覆いながらこちらの様子を窺っている。時々肩を震わせたり泣き声を出したりしているが、泣いている気配は無いみたいだ。
頃合だとみたオレは懐からある物を取り出すと、高々と掲げてみせる。
「こうなったらコレしかない」
「それは何ですか？」
（何だろう？）
「アヌビス監修ジャイアントアント撮影サバト製作【ユニコーンも御奨め！性夜の導きパートⅣ 特集ああ素晴らしき肉体美・鉱山夫編】だ！」
「・・・・はい？」
（何だって～～～～～！）
「しかも初回限定版！鉱山夫のアレ、モザイク無しバージョンだ！！」
「・・・・・・」（ポカーーーン）
（ほ、欲しい！！！）
「どうだ、アンテはいるか」
「いりません！！！！」
「だったら私にクレ～～～～！！！！」
叫び声とともに飛び上がったドワーフは一目散にオレに駆け寄るとオレが手にしている物＝限定本を奪い取ろうとする。
そのタックルを華麗に躱すと、限定本を左手で頭上に掲げ右手をドワーフの頭に置いて跳びかかるのを阻止する。背の高さがオレの腰辺りなだけに奪い取ることが出来ないと判断すると両手を振って駄々をこね始める。
「チョウダイチョウダイ！それチョウダイ！！」
「ほら、泣き止んだぞ・・・・・なんだ？」
微妙な顔をして距離を取っているアンテにオレは首を捻ってみせる。
それから意を決っした顔付にするとアンテはドアに向かって歩き出す。
「アンテ、何処に行くんだ？」
「取り敢えず酒場です。少々お待ちください、直ぐに生きのいい人を３人程見繕って来ますから」
「このドワーフに紹介するのか？」
「いえマスターの分です。勿論ご命令があればそちらのドワーフの方にも用意できるようにしますが」
では行ってきますと外に出ようとするアンテに慌てて制止の声を掛ける。
「ま、まてアンテ！」
「何でしょうか？ああ、そう言えば好みについて聞いてませんでしたね。ここは髭の濃いオッサン風でしょうか？それとも爽やかイケメン風でしょうか？それとも捻りハチマキの似合うガンコオヤジですか？念の為に申し上げておきますが少年では多分無理ですよ。老人では論外ですし」
くれくれと強請ってくるドワーフを押さえながらアンテの答えを聞いたオレは呆れ果ててしまう。対してアンテはさあ、決めてくださいと詰め寄ってくる。
「どのタイプですか？もし決められないのでしたら一人ずつにしましょう」
「早くソレを私にくれ～～～～！！！」
足下に纏わりつくドワーフに振り回されそうになるのをなんとか宥めながらアンテに中止するように伝える。
「そこまでしなくていいから！っていうかオレにそんな趣味はない！！！」
「ソウナンデスカ？いいんですよ、私に気を使わなくても」
「頼むからソレを、その限定本を私にーーーー！！！］
相変わらずわんわんと騒ぐドワーフを取り敢えず落ち着かせるため、頭を撫で始める。帽子を被っているせいで少し硬い感触が伝わってくる掌でそのまま撫で続けると漸く大人しくなる。
「よーしよし落ち着いて。いい子いい子」
「ふーむ、別にお芝居しなくてもソレだけでよかったみたいですね。・・・あの私も撫でてみたいのですが？」
ネコマタやワーキャットだったら喉をごろごろとならして、ワーウルフやアヌビスだったら尻尾をブンブン振り回しているだろう光景にアンテもウズウズしているらしく手をわきわきと動かしている。
まあまてとアイコンタクトをとると撫でながらドワーフに限定本を見せる。
「なあ、この限定本を渡す代わりに頼みごとをきいてもらえるかな？」
「するする！！何でもする！！だからソレを早く！！」
その言葉に頷くとアンテを手招きして傍らに呼び寄せ場所をゆずる。するとアンテはすぐさま頭を撫で始め、そのまま喉もいじり始める。
「まずアンテが満足するまでそのままでいること」
「わ、わかった。これも限定本のためだ」
「それとオレの質問に答えること」
「わ、私の答えられることなら。取り敢えずそこの椅子に座ってくれ」
ドワーフの指示した椅子に腰かけると向かい側にアンテが座り、膝の上にドワーフを乗せて最速撫で繰り出す。
「は～～。この感覚、この重み、この光景、たまりません！」
膝の上に大人しく座って撫でられているドワーフを見てアンテはうっとりとして頬を緩ませる。ゆっくりと撫でる手は優しさに溢れており見つめる視線は慈しみに満ちている。
（うん、似合ってるよな）
オレが微笑みながら見つめていると、こちらに顔を向けたドワーフが口を開いて訊ね始める。
「それで私に聞きたいことって何だ？」
「ああ。この辺りで古い遺跡や洞窟、採掘場とか知らないか？」
「それならお安い御用だが、何でギルドとかでなく私の所に？」
帽子を脱いで直接撫でさせながら訊ね返すドワーフにオレは素直に答える。
「そういう場所で聞ける話は大概、他のヤツらが入った後だからさ。ウマミが無いだろ、それに盗賊やら魔物娘の家になっている方が確率的に高いから資金稼ぎのときしか行かないことにしているんだ」
「アンタ、冒険者じゃないのか」
「時々な。本業はトレジャーハンターさ」
笑いながら答えると、椅子から少し身を乗り出し悪戯っぽく囁く。
「それに誰かに話したくないか、自慢話をさ？どれだけ長話でも付き合ってやるよ」
その言葉にドワーフはうーんと考え込む。アンテの膝の上で頭を撫でられながら腕組みをしているため、傍目には不機嫌なドワーフを宥めている様にしか見えない。
そのドワーフに見える様に限定本を見せびらかす。右に左に動かすと目だけでなく顔まで勢いよく動かして追いかける。
「落ち着いて下さい。そんなに勢いよく動かれると、じっくりと撫でることが出来ません。ベルツも止めてください」
「いや～、つい面白くてさ。それで如何かな、話の方は」
片手を頭の上に置いて愛想笑いをしながら手の届きそうな距離に差し出す。膝の上で座っていたドワーフが手を伸ばして掴もうとするが、アンテに抱き抱えられてそのまま押さえ込まれてしまう。
押さえ込まれたドワーフがジタバタと暴れ出すが、アンテも両手で力一杯抱きしめて逃がさない様にする。
「ああ、限定本！私の限定本が～～！！は、離して～～～！！！」
それに対して更に抱き着く力を強めるときっぱりと拒否をする。
「駄目です！もっと私に撫でさせてください」
「あ～～も～～！！言う通りにするから！だからその限定本をーー！！それ、この前買い逃して如何しても手に入れたいんだから！！！」
「ほい、了解」
目の前に差し出すと素早く両手で奪い取り抱きしめる。更に頬ずりまでして満面の笑みを称える。
「やったーー！！遂に限定本を手に入れたぞーーー！！」
「良かったですね。おお、良し良し」
「えへへ～～～。もっと撫でて～～～」
すっかり上機嫌なドワーフのお願いにアンテも笑顔で頷くと優しく撫で始める。
「はい、これで如何ですか」
「ふ～～～。気持ちいい～～～。それじゃ～私の武勇伝を聞かせてやるから心して聞きなさい！・・・・トコロでこのままで話さないとダメ？」
「「ダメ！！！！」」
工房の扉を開けて外に出ると指を組んでう～～んと身体を伸ばす。オレの後に続いて外に出てきたアンテが後ろを振り返る。視線の先には顔を朱くして椅子の上に座り込んだドワーフが一人、手に入れた限定本を眺めて笑みを浮かべている。
「それでは失礼いたしました」
「今度来るときもお土産忘れないでね」
その言葉に了解しましたと答えると丁寧にお辞儀をして扉を閉める。それからオレの横に駆け寄ると一緒に歩き出す。スキップして鼻歌を歌いながら隣を歩くアンテはオレの問い掛けに終始笑顔で応じる。
「楽しかったか？」
「はい、もちろんですベルツ」
「満足したか？」
「本当は後半日は撫で回したかったのですが、仕方ないですね」
「感触は？」
「柔らかくて、フワフワで、最高でした。又触りまくりたいです」
手に残る感触を思い出しているのだろう。指をワキワキと動かしている姿は少し、いやかなり危ない姿に見えるので少し横にずれる。が、アンテはそんなことすら気が付かずウフフと笑うとその場でクルクルと回りだしてしまう。
その光景にオレは苦笑いしながら傍らを付いて行くことにする。
「アンテは、ああいった可愛い子が好きなのか？」
「可愛いは正義です！」
ぐっと握り拳で力説するアンテは興奮しているため頬を朱くしている。その身体からも熱気が伝わってくる。
「自分がなろうとか思わないのか？」
「私が可愛がることが出来ませんので却下です。付け加えておきますと、少年好きとか少女好きでもありません。あくまで可愛い物が好きなのです」
ずいっと詰め寄ってくるアンテに取り敢えず落ち着きなさいと伝える。
「顔が近いって、それともこのままキスでもする？オレはいいけど」
「！！！！！ベルツ、そういう冗談は時と場所を考えてください！！！」
朱くなった顔を見せたくないため横を向いているアンテを見たオレが声を上げて笑い出すとはっとした顔になる。
「また私のことをからかったのですね！！！」
「いや～～、こればっかりはどんなに頼まれてもヤメラレマセン」
「・・・もしかして先ほどの工房でのことに対する仕返しですか？」
ジト目で睨みつけてくるアンテに素知らぬ顔で殊更笑いかける。
「ソンナコトハゴザイマセンヨ」
「・・・ベルツ、目が笑ってますよ」
「ア～～、バレチャッタ。マア、キニシナイキニシナイ」
明後日の方向を向いてハハハと笑うオレにアンテはため息をつくとしょうがないと自分を落ち着かせることにする。
「兎に角この様なことはしないでください」
「出来ません」
きっぱりはっきり答えるオレにアンテのため息は増々深くなる。
「・・・少しは考えるフリくらいしてください」
「却下！」
反射神経を駆使して答えると力無く項垂れようとしたため、慌てて抱きとめる。
「すまん、悪かった」
「・・・本当に反省してますか？」
抱きしめた腕の中で訊ねてくるアンテに何度も首を縦に振る。
「本当だって、この場は反省してるって」
「・・・この場はということは、真の意味で反省はしてないと？」
「おう！」
「・・・又同じ様なことをすると？」
「当たり前だろ！」
「・・・・・即答しないでください！！！」
声を上げて怒り出すアンテに対してオレは一言。
「でもオレだしな～～」
それを聞いたアンテは、程なくして肩の力を抜くと首を横に振る。
「もういいです。最初から更生出来ないと理解していましたが・・・・」
さすがに遣り過ぎたなと思ったので、向こうにある店の一つを示して話題を変えることにする。
「ほら、アンテ。あの店に入ろ」
「何ですか・・・あの店は！」
「ヌイグルミ屋だよ。好きだろ、そういうの」
「ご機嫌取りですね？」
アンテの不機嫌な返事にもう一つ理由を付け足す。
「限定本を見付けてくれた礼だよ。オレじゃ見つけられなかったからさ」
オレを見たアンテは少し考え込むと、うんと何故か頷く。
「仕方ありませんね。その提案に乗りましょう。但し条件があります」
「あんまり大き過ぎるのとか、値段が高いのはダメだぞ」
投げ掛けた言葉に振り返ったアンテは笑顔で答えると、店の中に入って行く。
「大丈夫ですよ。ベルツも気に入ります」
「・・・？何でオレが気に入るんだ？」
一方そのころ、工房では・・・・・
「すーはーすーはー！！すーはーすーはー！！」
寝室のベットに寝込ろんで、手に入れたシャツの臭いを嗅ぎまくりながら悶えているドワーフが一人。ベットはすでに汗と愛液に涎でグショグショに濡れており、長い間一人でオナニーをしていることが判るほどだ。
手袋をした手で乳首を弄り、シャツを銜えるとチュパチュパとしゃぶりだす。
「ンーーーー！フーーーー！チュッチュッ！ファ！ア！！！！」
背中を震わせて息も絶え絶えになっているとその耳に唐突に声が聞こえてくる。
「ただいまー、今帰ったよ～～」
「ふぁ？」
快感に溶けた頭でぼーーっとしていると、足音が近づいてくる。
「お～～い、何処にいるんだ～～～い？」
（あ～～、そういえば今日は早く帰ってくるて言っていた様な）
そんな事を思っていると、のんびりと話しながら寝室の扉を開けて入ってきたダンナは固まってしまう。
「何だ、ここにって如何したんだ？！」
「ああ～～、お帰り～～～」
蕩けきった顔で答えるドワーフに驚くが、その枕元に置いてある一冊の本を見て更に驚く。
「もしかしてソレはオレが職場で隠し撮りされて、いつの間にか売り出されていたサバト製作【性夜の導き】シリーズの」
「うん、そうだよ～～～」
妻であるドワーフの答えにダンナは天を仰いでしまう。
「ＮＯＯＯＯＯＯＯＯ！！！！！見られたく無かったのにーーーー！！！」
「えへへ～～～・・・・そ・れ・よ・り・も」
ダンナの服を掴むと力任せにベットに引っ張り上げる。勢いよくベットに乗せるとそのまま馬乗りになり、ダンナを押さえ込む。
「今夜はい～～～～っぱい甘えるから、タクサンシテチョウダイネ」
快感に震える声が耳元で囁かれると、ダンナも覚悟を決めて抱きしめる。
「任せろ！！！眠ることなんて出来ると思うな！！！」
「きゃ～～～ん！！！」
・・・・二人の長い夜はこうして更けていきました。
「お断りします」
返された言葉に臆することもなく、ドワーフは再度声を張り上げる。
「そう言わず頼む、分解させてくれ」
「お断りします」
「大丈夫、ちゃんと元通りにするから」
「それは当たり前です」
「痛くしないから」
「そう云う時は痛いことをする時です」
「お手入れしないと」
「メンテナンスは自分で出来ます」
「だけどさ、自分で出来ない時も」
「ご心配には及びません、その時はベルツにしてもらいます」
オレを見ながらアンテは答える。
「ならさアタシにも触らせてくれてもイイだろ」
「体に触る位ならかまいません、ですが内部機構までとなりますと」
そこで一度口を噤むと頬を朱く染めて答える。
「私の・・・その、か・・・身体の中に触れていいのはマスターのベルツだけです。ですのでお断りします」
折り目正しくペコリと頭を下げて答えるアンテを見てさすがゴーレムと妙なところで感心する。
しかしそんな言葉でドワーフは引き下がらない。俯くとブルブルと身体を震わせる、それからゆっくりと顔を上げて目に涙を浮かべながら訊ねる。
「グスッ、如何してもダメ？」
対してアンテは一瞬答えに詰まるが眼を逸らして何とか切り抜けることに成功する。
「泣いてもダメです」
「ヒクッグシュ！本当に？」
「・・・・・出来ません」
「ウ、ウワ～～～～～ン！！！！やだやだやだ、遣らせてくれなきゃやだーー！！！」
その場に仰向けに倒れ込むと両手両足を振り回して、ジタバタと騒ぎ出す。頭も振り回し駄々をこねる子供に成って暴れ出す。部屋の中央でしているので頭を打ち付けることは無いが、そんな姿を見ていると何だかこっちが悪いことをしている様な気がしてくる。
案の定アンテもその光景にオロオロと慌てだす。
「あ、あの如何か落ち着いて下さい。そんなに暴れると危ないですよ」
両手を揃えてまあまあと宥めだすと、ドワーフはさらに激しく暴れ出す。
「やだやだやだーーーーーー！！！！！やらせてくれなきゃやだーーーー！！！！ワ～～～～～ン！！！！！」
「ああもう如何すれば良いのですか？」
「させてやればいいんだろ」
オレの発言にアンテは目を向いてしまう。
「ベルツ、本気で言っているのですか！」
「泣き止ませるのに一番の解決法ったら本人がしたいことをさせるもんだろ」
「そ、それはそうですが・・・」
「（ニヤリ）ウワ～～～ン！！！」
「それともこのままにしておくか」
「それはいけません！」
（コクコク）
それではと首を捻り、うーんと腕を組んで考え込む（振りをする）。
「殴ってだまらせる」
「却下です、暴力はいけません」
（ブルブル）
「口を塞ぐ」
「息が出来なくなります」
（殺す気か！）
「アメ玉を渡す」
「持ってません」
（ガックリ）
「ぬいぐるみを使う」
「用意してません」
（ガーーン）
「子守唄を歌う」
「レパートリーで１００曲以上あります」
（目覚ましをセットして置かないと）
「何か別のことで気を逸らすか」
「別のこと？」
（？？？）
「もちろん二人の濡れ場ｗ」（ゴキャッ！！）
「次の案を提示してください」（そういうことは二人っきりでするものです）
（うう、見たかった）
「うーん、そうだ！アンテの母乳ｗ・・・次の案を考えます」
「お願いします」（氷の視線を緩める）
（飲んでみたかったも）
「よし、サバト最新の夜の友グッズを買ってきて」
「私は行きませんよ」（ベルツがいるのに必要無いですから）
（新作が出たんだ、後で買ってこよ）
その後もアンテとああでもないこうでもないと言い合いながらちらりと横を見遣ると、ドワーフは両手で顔を覆いながらこちらの様子を窺っている。時々肩を震わせたり泣き声を出したりしているが、泣いている気配は無いみたいだ。
頃合だとみたオレは懐からある物を取り出すと、高々と掲げてみせる。
「こうなったらコレしかない」
「それは何ですか？」
（何だろう？）
「アヌビス監修ジャイアントアント撮影サバト製作【ユニコーンも御奨め！性夜の導きパートⅣ 特集ああ素晴らしき肉体美・鉱山夫編】だ！」
「・・・・はい？」
（何だって～～～～～！）
「しかも初回限定版！鉱山夫のアレ、モザイク無しバージョンだ！！」
「・・・・・・」（ポカーーーン）
（ほ、欲しい！！！）
「どうだ、アンテはいるか」
「いりません！！！！」
「だったら私にクレ～～～～！！！！」
叫び声とともに飛び上がったドワーフは一目散にオレに駆け寄るとオレが手にしている物＝限定本を奪い取ろうとする。
そのタックルを華麗に躱すと、限定本を左手で頭上に掲げ右手をドワーフの頭に置いて跳びかかるのを阻止する。背の高さがオレの腰辺りなだけに奪い取ることが出来ないと判断すると両手を振って駄々をこね始める。
「チョウダイチョウダイ！それチョウダイ！！」
「ほら、泣き止んだぞ・・・・・なんだ？」
微妙な顔をして距離を取っているアンテにオレは首を捻ってみせる。
それから意を決っした顔付にするとアンテはドアに向かって歩き出す。
「アンテ、何処に行くんだ？」
「取り敢えず酒場です。少々お待ちください、直ぐに生きのいい人を３人程見繕って来ますから」
「このドワーフに紹介するのか？」
「いえマスターの分です。勿論ご命令があればそちらのドワーフの方にも用意できるようにしますが」
では行ってきますと外に出ようとするアンテに慌てて制止の声を掛ける。
「ま、まてアンテ！」
「何でしょうか？ああ、そう言えば好みについて聞いてませんでしたね。ここは髭の濃いオッサン風でしょうか？それとも爽やかイケメン風でしょうか？それとも捻りハチマキの似合うガンコオヤジですか？念の為に申し上げておきますが少年では多分無理ですよ。老人では論外ですし」
くれくれと強請ってくるドワーフを押さえながらアンテの答えを聞いたオレは呆れ果ててしまう。対してアンテはさあ、決めてくださいと詰め寄ってくる。
「どのタイプですか？もし決められないのでしたら一人ずつにしましょう」
「早くソレを私にくれ～～～～！！！」
足下に纏わりつくドワーフに振り回されそうになるのをなんとか宥めながらアンテに中止するように伝える。
「そこまでしなくていいから！っていうかオレにそんな趣味はない！！！」
「ソウナンデスカ？いいんですよ、私に気を使わなくても」
「頼むからソレを、その限定本を私にーーーー！！！］
相変わらずわんわんと騒ぐドワーフを取り敢えず落ち着かせるため、頭を撫で始める。帽子を被っているせいで少し硬い感触が伝わってくる掌でそのまま撫で続けると漸く大人しくなる。
「よーしよし落ち着いて。いい子いい子」
「ふーむ、別にお芝居しなくてもソレだけでよかったみたいですね。・・・あの私も撫でてみたいのですが？」
ネコマタやワーキャットだったら喉をごろごろとならして、ワーウルフやアヌビスだったら尻尾をブンブン振り回しているだろう光景にアンテもウズウズしているらしく手をわきわきと動かしている。
まあまてとアイコンタクトをとると撫でながらドワーフに限定本を見せる。
「なあ、この限定本を渡す代わりに頼みごとをきいてもらえるかな？」
「するする！！何でもする！！だからソレを早く！！」
その言葉に頷くとアンテを手招きして傍らに呼び寄せ場所をゆずる。するとアンテはすぐさま頭を撫で始め、そのまま喉もいじり始める。
「まずアンテが満足するまでそのままでいること」
「わ、わかった。これも限定本のためだ」
「それとオレの質問に答えること」
「わ、私の答えられることなら。取り敢えずそこの椅子に座ってくれ」
ドワーフの指示した椅子に腰かけると向かい側にアンテが座り、膝の上にドワーフを乗せて最速撫で繰り出す。
「は～～。この感覚、この重み、この光景、たまりません！」
膝の上に大人しく座って撫でられているドワーフを見てアンテはうっとりとして頬を緩ませる。ゆっくりと撫でる手は優しさに溢れており見つめる視線は慈しみに満ちている。
（うん、似合ってるよな）
オレが微笑みながら見つめていると、こちらに顔を向けたドワーフが口を開いて訊ね始める。
「それで私に聞きたいことって何だ？」
「ああ。この辺りで古い遺跡や洞窟、採掘場とか知らないか？」
「それならお安い御用だが、何でギルドとかでなく私の所に？」
帽子を脱いで直接撫でさせながら訊ね返すドワーフにオレは素直に答える。
「そういう場所で聞ける話は大概、他のヤツらが入った後だからさ。ウマミが無いだろ、それに盗賊やら魔物娘の家になっている方が確率的に高いから資金稼ぎのときしか行かないことにしているんだ」
「アンタ、冒険者じゃないのか」
「時々な。本業はトレジャーハンターさ」
笑いながら答えると、椅子から少し身を乗り出し悪戯っぽく囁く。
「それに誰かに話したくないか、自慢話をさ？どれだけ長話でも付き合ってやるよ」
その言葉にドワーフはうーんと考え込む。アンテの膝の上で頭を撫でられながら腕組みをしているため、傍目には不機嫌なドワーフを宥めている様にしか見えない。
そのドワーフに見える様に限定本を見せびらかす。右に左に動かすと目だけでなく顔まで勢いよく動かして追いかける。
「落ち着いて下さい。そんなに勢いよく動かれると、じっくりと撫でることが出来ません。ベルツも止めてください」
「いや～、つい面白くてさ。それで如何かな、話の方は」
片手を頭の上に置いて愛想笑いをしながら手の届きそうな距離に差し出す。膝の上で座っていたドワーフが手を伸ばして掴もうとするが、アンテに抱き抱えられてそのまま押さえ込まれてしまう。
押さえ込まれたドワーフがジタバタと暴れ出すが、アンテも両手で力一杯抱きしめて逃がさない様にする。
「ああ、限定本！私の限定本が～～！！は、離して～～～！！！」
それに対して更に抱き着く力を強めるときっぱりと拒否をする。
「駄目です！もっと私に撫でさせてください」
「あ～～も～～！！言う通りにするから！だからその限定本をーー！！それ、この前買い逃して如何しても手に入れたいんだから！！！」
「ほい、了解」
目の前に差し出すと素早く両手で奪い取り抱きしめる。更に頬ずりまでして満面の笑みを称える。
「やったーー！！遂に限定本を手に入れたぞーーー！！」
「良かったですね。おお、良し良し」
「えへへ～～～。もっと撫でて～～～」
すっかり上機嫌なドワーフのお願いにアンテも笑顔で頷くと優しく撫で始める。
「はい、これで如何ですか」
「ふ～～～。気持ちいい～～～。それじゃ～私の武勇伝を聞かせてやるから心して聞きなさい！・・・・トコロでこのままで話さないとダメ？」
「「ダメ！！！！」」
工房の扉を開けて外に出ると指を組んでう～～んと身体を伸ばす。オレの後に続いて外に出てきたアンテが後ろを振り返る。視線の先には顔を朱くして椅子の上に座り込んだドワーフが一人、手に入れた限定本を眺めて笑みを浮かべている。
「それでは失礼いたしました」
「今度来るときもお土産忘れないでね」
その言葉に了解しましたと答えると丁寧にお辞儀をして扉を閉める。それからオレの横に駆け寄ると一緒に歩き出す。スキップして鼻歌を歌いながら隣を歩くアンテはオレの問い掛けに終始笑顔で応じる。
「楽しかったか？」
「はい、もちろんですベルツ」
「満足したか？」
「本当は後半日は撫で回したかったのですが、仕方ないですね」
「感触は？」
「柔らかくて、フワフワで、最高でした。又触りまくりたいです」
手に残る感触を思い出しているのだろう。指をワキワキと動かしている姿は少し、いやかなり危ない姿に見えるので少し横にずれる。が、アンテはそんなことすら気が付かずウフフと笑うとその場でクルクルと回りだしてしまう。
その光景にオレは苦笑いしながら傍らを付いて行くことにする。
「アンテは、ああいった可愛い子が好きなのか？」
「可愛いは正義です！」
ぐっと握り拳で力説するアンテは興奮しているため頬を朱くしている。その身体からも熱気が伝わってくる。
「自分がなろうとか思わないのか？」
「私が可愛がることが出来ませんので却下です。付け加えておきますと、少年好きとか少女好きでもありません。あくまで可愛い物が好きなのです」
ずいっと詰め寄ってくるアンテに取り敢えず落ち着きなさいと伝える。
「顔が近いって、それともこのままキスでもする？オレはいいけど」
「！！！！！ベルツ、そういう冗談は時と場所を考えてください！！！」
朱くなった顔を見せたくないため横を向いているアンテを見たオレが声を上げて笑い出すとはっとした顔になる。
「また私のことをからかったのですね！！！」
「いや～～、こればっかりはどんなに頼まれてもヤメラレマセン」
「・・・もしかして先ほどの工房でのことに対する仕返しですか？」
ジト目で睨みつけてくるアンテに素知らぬ顔で殊更笑いかける。
「ソンナコトハゴザイマセンヨ」
「・・・ベルツ、目が笑ってますよ」
「ア～～、バレチャッタ。マア、キニシナイキニシナイ」
明後日の方向を向いてハハハと笑うオレにアンテはため息をつくとしょうがないと自分を落ち着かせることにする。
「兎に角この様なことはしないでください」
「出来ません」
きっぱりはっきり答えるオレにアンテのため息は増々深くなる。
「・・・少しは考えるフリくらいしてください」
「却下！」
反射神経を駆使して答えると力無く項垂れようとしたため、慌てて抱きとめる。
「すまん、悪かった」
「・・・本当に反省してますか？」
抱きしめた腕の中で訊ねてくるアンテに何度も首を縦に振る。
「本当だって、この場は反省してるって」
「・・・この場はということは、真の意味で反省はしてないと？」
「おう！」
「・・・又同じ様なことをすると？」
「当たり前だろ！」
「・・・・・即答しないでください！！！」
声を上げて怒り出すアンテに対してオレは一言。
「でもオレだしな～～」
それを聞いたアンテは、程なくして肩の力を抜くと首を横に振る。
「もういいです。最初から更生出来ないと理解していましたが・・・・」
さすがに遣り過ぎたなと思ったので、向こうにある店の一つを示して話題を変えることにする。
「ほら、アンテ。あの店に入ろ」
「何ですか・・・あの店は！」
「ヌイグルミ屋だよ。好きだろ、そういうの」
「ご機嫌取りですね？」
アンテの不機嫌な返事にもう一つ理由を付け足す。
「限定本を見付けてくれた礼だよ。オレじゃ見つけられなかったからさ」
オレを見たアンテは少し考え込むと、うんと何故か頷く。
「仕方ありませんね。その提案に乗りましょう。但し条件があります」
「あんまり大き過ぎるのとか、値段が高いのはダメだぞ」
投げ掛けた言葉に振り返ったアンテは笑顔で答えると、店の中に入って行く。
「大丈夫ですよ。ベルツも気に入ります」
「・・・？何でオレが気に入るんだ？」
一方そのころ、工房では・・・・・
「すーはーすーはー！！すーはーすーはー！！」
寝室のベットに寝込ろんで、手に入れたシャツの臭いを嗅ぎまくりながら悶えているドワーフが一人。ベットはすでに汗と愛液に涎でグショグショに濡れており、長い間一人でオナニーをしていることが判るほどだ。
手袋をした手で乳首を弄り、シャツを銜えるとチュパチュパとしゃぶりだす。
「ンーーーー！フーーーー！チュッチュッ！ファ！ア！！！！」
背中を震わせて息も絶え絶えになっているとその耳に唐突に声が聞こえてくる。
「ただいまー、今帰ったよ～～」
「ふぁ？」
快感に溶けた頭でぼーーっとしていると、足音が近づいてくる。
「お～～い、何処にいるんだ～～～い？」
（あ～～、そういえば今日は早く帰ってくるて言っていた様な）
そんな事を思っていると、のんびりと話しながら寝室の扉を開けて入ってきたダンナは固まってしまう。
「何だ、ここにって如何したんだ？！」
「ああ～～、お帰り～～～」
蕩けきった顔で答えるドワーフに驚くが、その枕元に置いてある一冊の本を見て更に驚く。
「もしかしてソレはオレが職場で隠し撮りされて、いつの間にか売り出されていたサバト製作【性夜の導き】シリーズの」
「うん、そうだよ～～～」
妻であるドワーフの答えにダンナは天を仰いでしまう。
「ＮＯＯＯＯＯＯＯＯ！！！！！見られたく無かったのにーーーー！！！」
「えへへ～～～・・・・そ・れ・よ・り・も」
ダンナの服を掴むと力任せにベットに引っ張り上げる。勢いよくベットに乗せるとそのまま馬乗りになり、ダンナを押さえ込む。
「今夜はい～～～～っぱい甘えるから、タクサンシテチョウダイネ」
快感に震える声が耳元で囁かれると、ダンナも覚悟を決めて抱きしめる。
「任せろ！！！眠ることなんて出来ると思うな！！！」
「きゃ～～～ん！！！」
・・・・二人の長い夜はこうして更けていきました。
12/02/22 18:11更新 / 名無しの旅人
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