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ロスト*ラヴ*クロニクル

- *不マジメな青年とマガンを持つ蛇* -

料理店の仕込みが始まる頃ではありますが
ノエルとアデルの2人も目を覚まし活動を始めます。

2階の借りていた部屋から下の料理店へ下がると
昨日は居なかった人物が朝食を食べていました。


"だ〜か〜ら〜…おっちゃんしつこいぜぇ
オイラにゃあ…まだお相手さんはいやせんぜぇ"


「だけどよぉ…俺はオマエさんが心配なんよぉ
そろそろ身を固めてはみねぇかぁ?"デミ坊"よぉ」


"おっちゃんはいつから色ボケしたんでぃ
大体よぉ、おっちゃんも人の事言えねぇよなぁ?"


「うるせぇっこんな老いぼれなんざぁ…
だからこそ俺はオマエさんが心配になるのよぉ」


"おじさんおはよう!
なんだか朝から元気だね"


"おはようございます。
朝からお客さんなんていい事よね"


「おっオマエさん達!よく寝れたかぃ?
まぁ若い夫婦なんだぁ聞くまでもねぇやなぁ」


"ほ〜ん。なるほどなぁ?
今朝からオイラに妙な世話を焼き始めるの

おっちゃんコイツらの影響受けたかぃ?"


"もしかして君がおじさんの息子さん?"


"・・・。貴方…不思議な格好してるのね"


「おぅよ!コイツが息子も同然の
"デミ坊"さぁ!コイツは中々人と接さなくてなぁ」


"血は繋がってねぇけどなぁ
それからオイラはデミ坊じゃあなくってよぉ

- デミヤム - という名前があるんだぜぇ
いい加減にガキ扱いは勘弁しとくれよぉ"


"でもとても仲良しなんだね"


"デミヤム。貴方、随分と血生臭いのね
一体どれほど血を流してきたのかしら?

おまけにその背中の弓…アーチェリーかしら?"


"オイラとおっちゃんは家族というか
まぁただの腐れ縁だなぁ。そしてだなぁ

お姉さんの質問だがぁ実はオイラはなぁ
猟師って言ってよぉ。その辺で狩りをするのよぉ"


"狩り?それは人間も狩るのかしら?"


「おぃおぃお嬢さんよぉ?初対面だよなぁ
デミ坊に言い過ぎちゃあいないかぃ?

コイツは命の大切さは誰より知ってるさぁ」


"あら。それはごめんなさいね
それにしてもそこまでの装備が必要かしら?"


"むしろ、これが最低限の装備さぁ
この相棒のお陰でオイラは生きているのさぁ"


"デミヤムはすごいね。かっこいい"


"そいつぁありがとよぉ。
それよりおふたりさん。ここへは何用で?"


"ここへは観光に来たのよ
何か珍しい話とかはないかしら?"


"(ノエル…?なんだか目付きが変わったな)"


"う〜ん…ここには珍しい事なんて
毎日起きてるようなモンだからなぁ…

そういやぁおっちゃんよぉ
最近出てきたぁ不審者は捕まったかぁ?"


「確かまだのはずだなぁ
ありゃあ。森に住む魔物娘の仕業だろうよぉ」


"意外とこの辺って危ないのかな?
おじさんも怪我しないよう気を付けてね"


"その心配は要らねぇなぁ
そこのおっちゃんは外に出ねぇからよぉ"


"外に出ない?そんな訳にいかないでしょう?
お店の物や日用品は買いに行くしかないわよ?"


「やかましいなぁ俺はこの通りだから
オマエさんにまかせとるんだろうがっ」


"デミヤム。、おじさんはいつから
あそこの杖を使って生活しているの?"


"う〜ん…多分だけどよぉ
魔物の王の代替わりの時じゃねぇかなぁ?"


"それって私達の先祖が迷惑をかけたのかしら
そのせいなら申し訳ないわ。足を悪くさせちゃって"


「足ぃ?」"なにぃ?"


"あれ?おじさん足が悪いんじゃないの?"


"てっきりそうだと思っていたわ"


"おっちゃんよぉ…見た目が普通なんだから
やっぱ、他の人は気付けないみたいだなぁ"


「がっはっはっ!ふまないなぁおふたりさん
実は俺は足が悪く杖を使ってる訳じゃなくなぁ?

目が見えなくて足元を確認するに使ってるのさぁ」


"えぇ。そうなの!?" "わからなかったわ"


"ま、そのおっちゃんの為にも
オイラはパシりになってるって訳よぉ"


「そろそろ油売ってねぇでよ!仕事行きなぁ
獲物が取れなきゃこのメシは抜きになるぜぇ」


"タダ飯が降って来なくなるのは困るぜぇ
まぁまかしときなぁ。いいの持ってくるさぁ"


〜*〜*〜*〜


"そういえば気になったのだけれど
噂の不審者さんってどんな話なのかしら?"


「う〜ん…?詳しくは知らねぇがなぁ
この近くの森林に殺人者がいるって話よぉ

まぁ人が消えていくってんで魔物娘かもな
って話になってるんだが、どうなんだがなぁ」


"なんだか…物騒な話になってきたね"


"そう、ありがとうね
アデル。さっそくその森へ向かうわ"


"えっ?行ったらダメじゃないの?"


"行くのよ。だって放っておけないもの"


「行くなら気を付けた方がいいなぁ
少なくともデミ坊が仕掛けた罠があらぁ

人間相手用の罠じゃあねぇだろがよぉ」


"親父さんどうもありがとう
それでもね、行かなきゃならない気がするの"


"わかったよ。ノエルについていくよ"


「まぁ気を付けて行ってきなぁ」


〜*〜*〜*〜


2人は街から少し離れた場所にある
小さくはない森林へと向かう事にしました。


"噂の森林はこの辺みたいね
そこまで怪しい雰囲気は感じられないわ"


"ここは気持ちがいいね
森林浴…というやつなのかな"


"魔物娘も何人かいる気がするわ
ここはとても住み心地がいいんでしょうね"


2人は森林をゆっくりと歩いて探索をします。
所々に魔物娘の愛の巣らしき場所を見かけます。


しばらく歩いた所で小さな岩場を生活空間にし
暮らしているであろう魔物娘が家事をしていました。


彼女は鼻歌を歌いながらもテキパキとしていて
滴下に掃除や片付けをしている最中でした。


"そこのアナタ?ちょっといいかしら?"


"きゃあっ!?はいっ!?私でしょうかっ!?"


"ごめんね!驚かせちゃって!"


"あぁ…アナタ。バジリスクよね
ごめんなさいね。急に声をかけてしまって"


"い、いえ。大丈夫。少し驚いただけ
それよりも私に何かご用でしょうか…?"


"この辺で最近おかしい事とかない?"


"私たちは怪しい人物を探しているのよ
最近ここへ来た人間とかいないかしらね?"


"う、う〜ん…。。私は知らない…です
あっ、でも。。ミアは最近帰省してきた…はず"


"ミア?アナタの恋人の名前かしら?"


"い、いえ。彼とはまだお付き合いも…///
ミアはとても優しくてかっこよくて…えへへ❤"


"すごいクネクネし始めたね"


"そのミアという人はどういう人間かしら"


"え、え〜っとね…普段は食べ物を取りに
この森へ来てるんだけどとても動物を大事にしてて

彼が丁度…狩りで動物を倒した時なんか…
「ごめんなぁ…せめて美味しく頂きまさぁ」
なんて言うくらい自分以外も大切にしているの…❤"


"聞いてるだけでも優しさが伝わるね"


"そのミア…という人には会えるのかしら?"


"あ、うん。会えると思います
日中は狩りで忙しそうにしているけれど

月が綺麗な夜に…会いに来てくれるの…///"


"月…今晩は…どうかしらね…"


"きっと今夜は来ると思います
今夜はいつもより綺麗な月が見れる気がします"


"そんな事がわかったりするの?"


"ふふっ。ただの勘ですよ
申し遅れましたが私は - ジャンヌ -です"


"私はノエル。こっちはアデルよ
悪いけど今晩まで彼の話を聞かせてくれる?"


"ジャンヌさん!よろしくね!"


"えぇ、喜んで!一緒に楽しみましょう"


〜*〜*〜*〜


街のはずれで男は1人佇んでいました。
何かを思い出す様に暗く俯いていました。


青年が思い浮かべるは、かつて経験した地獄。


『轟々と炎が踊る。街を人を飲み込みながら。
炎に包まれる街の前で泣き叫ぶ少年を1人残します


ごめんな。少年。


1匹の魔物が小さな子供を憐れみます
それは謝罪か。それとも懺悔だったのか。


せめて、安らかにーー。


そこから少年の意識は闇へと葬られました。』


"オイラにゃあ忘れられねぇよぉ
いくら時代が違うつっても…なぁ…"


青年は頭を抱えてうずくまります。
己の内に潜む、何かを見せないかの様に。


指輪はそれを嘲笑うかの様に、青年を照らします。


【作者より。】


彼が一体どのような石として選ばれたのか
それを彼の人生と共に少しずつお見せします。


相手となる魔物娘も悩みましたとも
彼女しか彼を見つめ続ける事ができないでしょう。


転がり落ちた石は、壊れてようやく動きを止めます。


そのあとは、どうなるでしょうね。
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33