気が付くとそこは………
気がつくと僕はベッドに寝かされていた。
(あれ?ここは?)
周りを見渡せば宿泊者用の個室部屋なのだろうか?
部屋は大体七畳くらいで多少大きめの四角いテーブルとイスが一つずつ置いてあり、二つの扉が見えた。
一つはバスルームと書いてあり、もう一つは覗き穴やチェーン、カギがついていることから、たぶん出入り口だと思う。
(確か、僕は喫茶店にいたはずじゃ?)
そんな疑問を思い浮かべながらベッドから降りようとするとき、誰かに見られているような気がなんとなくだがした。
ふと、上を見上げるとそこには……
半透明の生首が天井から生えていた……
生首さんと目が合うと、生首さんはにこやかに笑いかけて、
「あ〜、ど〜も〜♪おはようございます〜♪♪」
挨拶をしてきた……
「あ……あ……」
(やばい)
不思議そうに僕を見つめてくる生首さん。
「あ?」
(やばいやばいやばい!!)
幽霊、化け物、祟り、僕の頭の中でいろいろなものがぐるぐると回り続ける。
「わあああああああああああああああああああああぁあああああああああああああああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
僕はベッドから逃げ出した。
靴を履くのも忘れ、一目散に出入り口へと走り出し、僕はドアノブに手をかけてドアを押し開け…………開かない!!
何度も何度もドアノブを捻って押してもびくともしない。
慌てて後ろを見て天井を確認すると生首さんは上半身ができているではないか!!
「畜生!!開けよ!!」
(このじゃ取り殺される!!)
ドアに体当たりをかましてこじ開けようとするがドアはびくともしない。
「そのドアは引くと開きますよ?」
僕は後ろからかかってきたその声の通りドアを引くとドアはいとも簡単に開いた。
(これでここから逃げられる……!!)
僕は外に出て、走り出した瞬間足に何か引っかかって転んでしまった。
無様にも転んだ僕は引っかかったものを見ると…………そこには鱗に覆われた物が……
その鱗に覆われた物の先を見ると、途中から人間の体に代わっているではないか!!
しかも、髪の毛に混じり蛇が何匹もいる。
(これは、もしかして……)
昔、童話で読んだことがある。
確か見たものを石に変えるといわれている……
「メ、メデューサだ!!」
僕はとっさに目をつぶり、反転しその場から走り出した。
どれだけ走っただろうか、僕は未だに長い廊下を走り続けていた。
「ど、どんだけ長いんだよ!!この廊下!!」
おかしい、あの店はこんなに大きいはずがない。
「もしかして、一生廊下が続くのか?」
僕は足を止めて廊下のど真ん中に座り込んだ。
「そんな事ないっすから、大丈夫っすよ?」
その声に僕はつられて声の方向を向くと、僕と同じように座り込んでいる女の人がいた。
(さっきまではいなかったのに……)
僕は不審に思い、また逃げようと立ち上がろうとすると……
「今、どうやったっても動けないっすよ?」
女の人が言ったとおりに動けなかった。
(体が動かない……。というより押さえつけられている感じだ……)
「僕をどうするつもりですか?」
「あー、まぁ……ねぇ?」
女の人は僕の問いに声を詰まらせ
「すいませんでしたぁぁぁ!!」
土下座し始めました。
「え?」
その瞬間、僕はいつの間にかソファに座っていた。
「え?え?」
対面のソファには別の女の人が座り、土下座している女の人は地面にいた。
周りを見渡すとまるでどこかの社長室のような豪華な机、豪華な剥製など置いてある。
「えー、初めまして、オーナーの行部と申します。」
対面の女の人がうやうやしく頭を下げる。
「え?え?え?ここは?」
状況が理解できない。
「ここはオーナー室です。先ほどの廊下は幻影でしてって、まだこの説明は後でいいですね。では、今自分がどうゆう状態か説明は……。」
「?」
行部さんは僕の態度で理解したのか目を瞑り大きく溜息をついた。
「とりあえず、あなたはお店に来たことは覚えていますか?」
「ええ、まぁ」
僕がここにいるのもたぶんそのせいだ。
「今はその日から80年経過しております。」
「え?」
荒唐無稽な話に脳が処理できなかった。
(なんて言ったこの人?80年たっている?)
「またまた、ご冗談を……」
「冗談ではございません。うちの店員の一人が案内したときに、気化したとある薬を散布しまして、あなたは一時的に昏睡状態に陥ってしまったのです。しかも、その時散布した量が適量の二十倍以上の量だったために、あなたは80年という月日を眠ってしまいましたのです。」
行部さんは申し訳ありませんと言わんばかりに弱弱しく言う。
「しかし、僕は老人になっていませんよ?」
そう80年の月日がたっているのだ。
僕は20歳になったばかりで80年もたっていれば100歳の老人になっているはずだ。
「あぁ、それはメデューサ種のフランコさんが一時的に石に変えていたので当時の姿のままですよ。
それに、外を見ればどんな世界に変わったのか分かります。」
行部さんは僕の手を引き部屋の外に行き窓をさす。
僕は外を窓から覗くとそこには……
赤い月と黒い土が見え中世ヨーロッパの町並みが見え、下半身が蛇のような女性や下半身が蜘蛛のような女性もいれば、猫耳の女の子や犬耳を生やした女性が街中を歩いていた。
「なんだよ……これ……」
僕は愕然とした。
自分の知っている世界ではない。
足元が崩れるような感覚に囚われ、僕はその場にへたり込んでしまった。
「ここはあなたが住んでいた場所です。」
「え?」
自分の家はこんな高いビルではない、一戸建ての……
「実は、ここら一帯を魔界交流都市として採用されたために、大幅な改革がされまし……」
「ちょ、ちょっと待って!!魔界交流都市?」
「ああ、そうですね。魔界というのは……」
行部さんは僕が80年の眠っていた間のことを細かく教えてくれた。
簡単にまとめると
異世界とのつながりができたこと。
もともとデー・モンハ・ウースはこちらの情勢を探るものだったとの事
魔物と呼ばれる美しいモンスター娘達の事
僕の街が友好の証として魔界交流都市となった事
以上のことを教えてくれた。
「えっと、じゃあ僕の親は……」
80年たっているんだ恐らく……
「ご存命ですよ?」
行部さんは調査済みですよと付け加えて一枚の紙を僕に渡す。
「え?僕の親ですよ?僕が来る前は45くらいだから125歳ですよ、今!!」
凄い長生きしてるんだな……
うちの親は……
「魔物としてですが」
「は?」
え?魔物?うちの親は人間ですけど?
「魔物に転生といいますか、変わったといいますか、とりあえず人から魔物になれると覚えていてください。」
行部さんから渡された紙を見る。
その紙には写真が添付されており、そこには……
悪魔のような羽と尻尾を生やした母親の姿がそこにあった。
詳細データ
現在住所……レスカティエ
年齢……121才
レスカティエで一戸建てを慰謝料で購入
その後、魔力によってサキュバス化し、現在は魔物人生を大いに楽しみ歩んでいる
なお、息子さんについてはこちらで好きにしていいとおっしゃっており、あわよくば襲ってもよいとの事。
「うぉい!!」
俺は最後の無責任の言葉に疑った。
(なんだよ最後の、襲っていいとか……
もともと両親とも豪快な気質だったけど、ここまでとは……)
僕は落胆を示すとともに紙を行部さんに返そうとしたとき一番下の追記に気がついた。
追伸(行部さんへ)・もしできるのならば調査部に息子さんをください。
こちらはいつでも準備万端です。
童貞らしいので全力でお願いしますです!!
僕はこの日、戦慄というものを初めて味わった。
(あれ?ここは?)
周りを見渡せば宿泊者用の個室部屋なのだろうか?
部屋は大体七畳くらいで多少大きめの四角いテーブルとイスが一つずつ置いてあり、二つの扉が見えた。
一つはバスルームと書いてあり、もう一つは覗き穴やチェーン、カギがついていることから、たぶん出入り口だと思う。
(確か、僕は喫茶店にいたはずじゃ?)
そんな疑問を思い浮かべながらベッドから降りようとするとき、誰かに見られているような気がなんとなくだがした。
ふと、上を見上げるとそこには……
半透明の生首が天井から生えていた……
生首さんと目が合うと、生首さんはにこやかに笑いかけて、
「あ〜、ど〜も〜♪おはようございます〜♪♪」
挨拶をしてきた……
「あ……あ……」
(やばい)
不思議そうに僕を見つめてくる生首さん。
「あ?」
(やばいやばいやばい!!)
幽霊、化け物、祟り、僕の頭の中でいろいろなものがぐるぐると回り続ける。
「わあああああああああああああああああああああぁあああああああああああああああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
僕はベッドから逃げ出した。
靴を履くのも忘れ、一目散に出入り口へと走り出し、僕はドアノブに手をかけてドアを押し開け…………開かない!!
何度も何度もドアノブを捻って押してもびくともしない。
慌てて後ろを見て天井を確認すると生首さんは上半身ができているではないか!!
「畜生!!開けよ!!」
(このじゃ取り殺される!!)
ドアに体当たりをかましてこじ開けようとするがドアはびくともしない。
「そのドアは引くと開きますよ?」
僕は後ろからかかってきたその声の通りドアを引くとドアはいとも簡単に開いた。
(これでここから逃げられる……!!)
僕は外に出て、走り出した瞬間足に何か引っかかって転んでしまった。
無様にも転んだ僕は引っかかったものを見ると…………そこには鱗に覆われた物が……
その鱗に覆われた物の先を見ると、途中から人間の体に代わっているではないか!!
しかも、髪の毛に混じり蛇が何匹もいる。
(これは、もしかして……)
昔、童話で読んだことがある。
確か見たものを石に変えるといわれている……
「メ、メデューサだ!!」
僕はとっさに目をつぶり、反転しその場から走り出した。
どれだけ走っただろうか、僕は未だに長い廊下を走り続けていた。
「ど、どんだけ長いんだよ!!この廊下!!」
おかしい、あの店はこんなに大きいはずがない。
「もしかして、一生廊下が続くのか?」
僕は足を止めて廊下のど真ん中に座り込んだ。
「そんな事ないっすから、大丈夫っすよ?」
その声に僕はつられて声の方向を向くと、僕と同じように座り込んでいる女の人がいた。
(さっきまではいなかったのに……)
僕は不審に思い、また逃げようと立ち上がろうとすると……
「今、どうやったっても動けないっすよ?」
女の人が言ったとおりに動けなかった。
(体が動かない……。というより押さえつけられている感じだ……)
「僕をどうするつもりですか?」
「あー、まぁ……ねぇ?」
女の人は僕の問いに声を詰まらせ
「すいませんでしたぁぁぁ!!」
土下座し始めました。
「え?」
その瞬間、僕はいつの間にかソファに座っていた。
「え?え?」
対面のソファには別の女の人が座り、土下座している女の人は地面にいた。
周りを見渡すとまるでどこかの社長室のような豪華な机、豪華な剥製など置いてある。
「えー、初めまして、オーナーの行部と申します。」
対面の女の人がうやうやしく頭を下げる。
「え?え?え?ここは?」
状況が理解できない。
「ここはオーナー室です。先ほどの廊下は幻影でしてって、まだこの説明は後でいいですね。では、今自分がどうゆう状態か説明は……。」
「?」
行部さんは僕の態度で理解したのか目を瞑り大きく溜息をついた。
「とりあえず、あなたはお店に来たことは覚えていますか?」
「ええ、まぁ」
僕がここにいるのもたぶんそのせいだ。
「今はその日から80年経過しております。」
「え?」
荒唐無稽な話に脳が処理できなかった。
(なんて言ったこの人?80年たっている?)
「またまた、ご冗談を……」
「冗談ではございません。うちの店員の一人が案内したときに、気化したとある薬を散布しまして、あなたは一時的に昏睡状態に陥ってしまったのです。しかも、その時散布した量が適量の二十倍以上の量だったために、あなたは80年という月日を眠ってしまいましたのです。」
行部さんは申し訳ありませんと言わんばかりに弱弱しく言う。
「しかし、僕は老人になっていませんよ?」
そう80年の月日がたっているのだ。
僕は20歳になったばかりで80年もたっていれば100歳の老人になっているはずだ。
「あぁ、それはメデューサ種のフランコさんが一時的に石に変えていたので当時の姿のままですよ。
それに、外を見ればどんな世界に変わったのか分かります。」
行部さんは僕の手を引き部屋の外に行き窓をさす。
僕は外を窓から覗くとそこには……
赤い月と黒い土が見え中世ヨーロッパの町並みが見え、下半身が蛇のような女性や下半身が蜘蛛のような女性もいれば、猫耳の女の子や犬耳を生やした女性が街中を歩いていた。
「なんだよ……これ……」
僕は愕然とした。
自分の知っている世界ではない。
足元が崩れるような感覚に囚われ、僕はその場にへたり込んでしまった。
「ここはあなたが住んでいた場所です。」
「え?」
自分の家はこんな高いビルではない、一戸建ての……
「実は、ここら一帯を魔界交流都市として採用されたために、大幅な改革がされまし……」
「ちょ、ちょっと待って!!魔界交流都市?」
「ああ、そうですね。魔界というのは……」
行部さんは僕が80年の眠っていた間のことを細かく教えてくれた。
簡単にまとめると
異世界とのつながりができたこと。
もともとデー・モンハ・ウースはこちらの情勢を探るものだったとの事
魔物と呼ばれる美しいモンスター娘達の事
僕の街が友好の証として魔界交流都市となった事
以上のことを教えてくれた。
「えっと、じゃあ僕の親は……」
80年たっているんだ恐らく……
「ご存命ですよ?」
行部さんは調査済みですよと付け加えて一枚の紙を僕に渡す。
「え?僕の親ですよ?僕が来る前は45くらいだから125歳ですよ、今!!」
凄い長生きしてるんだな……
うちの親は……
「魔物としてですが」
「は?」
え?魔物?うちの親は人間ですけど?
「魔物に転生といいますか、変わったといいますか、とりあえず人から魔物になれると覚えていてください。」
行部さんから渡された紙を見る。
その紙には写真が添付されており、そこには……
悪魔のような羽と尻尾を生やした母親の姿がそこにあった。
詳細データ
現在住所……レスカティエ
年齢……121才
レスカティエで一戸建てを慰謝料で購入
その後、魔力によってサキュバス化し、現在は魔物人生を大いに楽しみ歩んでいる
なお、息子さんについてはこちらで好きにしていいとおっしゃっており、あわよくば襲ってもよいとの事。
「うぉい!!」
俺は最後の無責任の言葉に疑った。
(なんだよ最後の、襲っていいとか……
もともと両親とも豪快な気質だったけど、ここまでとは……)
僕は落胆を示すとともに紙を行部さんに返そうとしたとき一番下の追記に気がついた。
追伸(行部さんへ)・もしできるのならば調査部に息子さんをください。
こちらはいつでも準備万端です。
童貞らしいので全力でお願いしますです!!
僕はこの日、戦慄というものを初めて味わった。
12/10/25 21:21更新 / tounoki
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