プロローグ
「ここが今日開店する喫茶店かー」
僕は自分の目の前にある6階立ての一軒屋の前で立ち尽くしながら呟く。
喫茶店の周りには田畑が広がり、喫茶店自体は中世ヨーロッパの農村をイメージしたのかのようなレンガ造りで、一階に大きめの窓が特徴的なお店であった。
遠くには僕のいた街が見え、まるでここだけが世界が変わってしまったかのような雰囲気をかもし出している。
中の人にばれないように窓から覗くと、せわしなくショートよりちょっと長い黒髪の店員さんが同じ場所を行ったり来たりして、お客様はまだかまだかと落ち着かない様子で扉を見ている。
店内は学校の三十人一クラスの教室分くらいの大きさで漫画で出てきたバーのカウンターとイスや机がいくらか見えた。
いざ入ろうと思い、扉を開けようと近づくとその扉にはまだクローズ(準備中)の文字が中央に書かれた大きな板がかかっていた。
(ちょっと早く来過ぎたかな?)
僕はいつもの日課である早朝ランニングから帰った時、母親からこの喫茶店のチラシをもらい、何故かいてもたってもいられなくなってこの店に来たのだ。
「でも、もう十一時なんだよな……」
そう呟くと、遠くからは十一時を知らせる鐘の音が鳴り響いていた。
「ど、どうしようかな……」
お店の扉の前で同じ場所を行ったり来たりを繰り返していると、扉がカチャリと音を立ててゆっくりと少しだけ開いた。
僕は顔をそちらに向けると、先ほど見えた店内の黒髪の店員さんが扉を少しだけ開けて顔を覗かせていた。
「えっと……あの……お店開いていますよ?」
消え入りそうな声で言う店員さん。
「えっ?開いているんですか?扉にはクローズって……」
僕は扉を指差し、言うと店員さんは慌てて外に出て、扉を確認する。
「ああっ!!だから、今まで誰もお客様が中まで入って来なかったんですね。」
店員さんは心底納得してクローズの板を手にとり、裏側を表にかけ直した。
そこには、オープンの文字と今日のオススメとシフト表が記載されていた。
今日のオススメ
ケーキ
こだわりミルクで愛情を籠めて作ったミルクレープ
あなたを魅了するかのような蜜を絡めたパンケーキ
ドリンク
二人の寵愛を受けしアイスミルクティー
本日の宿泊者用メニュー
昼
愛しき未来の旦那様にささげる愛の御膳
Or
一生をあなたに尽くす純情御膳
夜
愛情の姫ごと御膳
深夜
(これは希望者のみとなります)
新たなる目覚め御膳
Or
強烈な愛の嵐御膳
明日の朝食
寿御膳
今日のシフト表
注意・この板は特殊な素材で作られていて現在の店員の状態によって、このシフト表は変動します
バユス・サキ
ミツ・クミ
ガオー
グルー
ゴト・スー
スタス・ウル・ホロ
が現在、指名できます。
僕は宿泊メニューを見て愕然とした。
(ま、まともな料理名が書かれていないぞ……)
入るのを止めるべきかと考えていると、店員さんが不穏な空気を察したのか説明を始めた。
「あの、この店のテーマは愛情と純情ですので……えっと、まぁメニュー担当の頭がちょっと駄目だったということでお願いします。」
冷や汗を流しながら説明する店員さんは深いため息をはく。
(わ、悪いことしちゃったかな?)
僕は店員さんにごめんと謝ると、店員さんはハッとして
「あ〜、コチラこそごめん、気を使わせちゃって……」
と、罰の悪そうな表情になってしまった。
(うぅ、ど、どうしよう……)
僕は多少の居心地の悪さを感じて、今の状況を打破すべく行動に移した。
「え、あ、その、中に入ってもいいかな?」
「えっ?あ、はい!!どうぞ、コチラへ!!」
店員さんは僕の言葉を聞くと、ゆっくりと店の中に入っていく。
僕はその後ろに送れずついて行った。
「それではコチラのテーブルでお待ち下さい。後ほどメニューをお持ちいたしますので。」
店員さんは店の奥のテーブル席に僕を案内すると可愛らしくお辞儀して、近くのスタッフオンリーと書かれた扉を開け、奥に行ってしまった。
僕はふとまわりが気になって店の中を見回す。
(なんか普通の喫茶店って感じとは違う?)
そう、微妙な違和感。
妙に雰囲気が普通の喫茶店と違う雰囲気がする。
(あ、レジスターがない?)
僕は何度も喫茶店を見回して気付いた。
お会計をするレジが無いのだ。
(もしかして先にお支払いする方式なのかな?)
と、考えていると急に目の前が真っ暗になり、意識が途絶えた。
僕は自分の目の前にある6階立ての一軒屋の前で立ち尽くしながら呟く。
喫茶店の周りには田畑が広がり、喫茶店自体は中世ヨーロッパの農村をイメージしたのかのようなレンガ造りで、一階に大きめの窓が特徴的なお店であった。
遠くには僕のいた街が見え、まるでここだけが世界が変わってしまったかのような雰囲気をかもし出している。
中の人にばれないように窓から覗くと、せわしなくショートよりちょっと長い黒髪の店員さんが同じ場所を行ったり来たりして、お客様はまだかまだかと落ち着かない様子で扉を見ている。
店内は学校の三十人一クラスの教室分くらいの大きさで漫画で出てきたバーのカウンターとイスや机がいくらか見えた。
いざ入ろうと思い、扉を開けようと近づくとその扉にはまだクローズ(準備中)の文字が中央に書かれた大きな板がかかっていた。
(ちょっと早く来過ぎたかな?)
僕はいつもの日課である早朝ランニングから帰った時、母親からこの喫茶店のチラシをもらい、何故かいてもたってもいられなくなってこの店に来たのだ。
「でも、もう十一時なんだよな……」
そう呟くと、遠くからは十一時を知らせる鐘の音が鳴り響いていた。
「ど、どうしようかな……」
お店の扉の前で同じ場所を行ったり来たりを繰り返していると、扉がカチャリと音を立ててゆっくりと少しだけ開いた。
僕は顔をそちらに向けると、先ほど見えた店内の黒髪の店員さんが扉を少しだけ開けて顔を覗かせていた。
「えっと……あの……お店開いていますよ?」
消え入りそうな声で言う店員さん。
「えっ?開いているんですか?扉にはクローズって……」
僕は扉を指差し、言うと店員さんは慌てて外に出て、扉を確認する。
「ああっ!!だから、今まで誰もお客様が中まで入って来なかったんですね。」
店員さんは心底納得してクローズの板を手にとり、裏側を表にかけ直した。
そこには、オープンの文字と今日のオススメとシフト表が記載されていた。
今日のオススメ
ケーキ
こだわりミルクで愛情を籠めて作ったミルクレープ
あなたを魅了するかのような蜜を絡めたパンケーキ
ドリンク
二人の寵愛を受けしアイスミルクティー
本日の宿泊者用メニュー
昼
愛しき未来の旦那様にささげる愛の御膳
Or
一生をあなたに尽くす純情御膳
夜
愛情の姫ごと御膳
深夜
(これは希望者のみとなります)
新たなる目覚め御膳
Or
強烈な愛の嵐御膳
明日の朝食
寿御膳
今日のシフト表
注意・この板は特殊な素材で作られていて現在の店員の状態によって、このシフト表は変動します
バユス・サキ
ミツ・クミ
ガオー
グルー
ゴト・スー
スタス・ウル・ホロ
が現在、指名できます。
僕は宿泊メニューを見て愕然とした。
(ま、まともな料理名が書かれていないぞ……)
入るのを止めるべきかと考えていると、店員さんが不穏な空気を察したのか説明を始めた。
「あの、この店のテーマは愛情と純情ですので……えっと、まぁメニュー担当の頭がちょっと駄目だったということでお願いします。」
冷や汗を流しながら説明する店員さんは深いため息をはく。
(わ、悪いことしちゃったかな?)
僕は店員さんにごめんと謝ると、店員さんはハッとして
「あ〜、コチラこそごめん、気を使わせちゃって……」
と、罰の悪そうな表情になってしまった。
(うぅ、ど、どうしよう……)
僕は多少の居心地の悪さを感じて、今の状況を打破すべく行動に移した。
「え、あ、その、中に入ってもいいかな?」
「えっ?あ、はい!!どうぞ、コチラへ!!」
店員さんは僕の言葉を聞くと、ゆっくりと店の中に入っていく。
僕はその後ろに送れずついて行った。
「それではコチラのテーブルでお待ち下さい。後ほどメニューをお持ちいたしますので。」
店員さんは店の奥のテーブル席に僕を案内すると可愛らしくお辞儀して、近くのスタッフオンリーと書かれた扉を開け、奥に行ってしまった。
僕はふとまわりが気になって店の中を見回す。
(なんか普通の喫茶店って感じとは違う?)
そう、微妙な違和感。
妙に雰囲気が普通の喫茶店と違う雰囲気がする。
(あ、レジスターがない?)
僕は何度も喫茶店を見回して気付いた。
お会計をするレジが無いのだ。
(もしかして先にお支払いする方式なのかな?)
と、考えていると急に目の前が真っ暗になり、意識が途絶えた。
12/05/14 11:36更新 / tounoki
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