連載小説
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第百五話・進撃の信仰(前編)
許さない…

許さない…

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…

この私を……

この私……?

ワタシとは何だ…

わからない………

わからないけど……わかるものがある…

頭の中にこびり付いた………アレの顔…

アレは殺さなければならない……

アレを殺さなければ……眠れない…

解き放て……

今すぐオレを解き放て…!

ああ、そうか………ワタシとはオレのことだった…

オレを解き放て……

アレを……

アレを守る者すべてをオレが殺し尽くしてやる…!

殺して、潰して、殺して、潰して、殺して殺して殺してやる…

それにしても腹が減った…

これっぽっちのメシでは足りない…

『ごぐんっ……みちっ…ぺきっ………ぐちゃぐちゃ…』

ああ………、これだ……この味だ…

アレの味ならどんなに美味だろうか…

アレの大事にしている………

アレの大事にしている……何だっけ…思い出せない…

ああ、何でも良いや…

アレの大事にしているアレも喰ってやったら……

アレはどんなに素敵な顔をしてくれるだろうか…

ああ、そんなことより腹が減った……

腹減った憎い腹減った憎い腹減った許さない腹減った殺してやる…

早く早く早く早く早く早く早く……

この檻檻檻檻……開けろ…

全部喰い殺してやる…

『………ごりっ……ごりゅ……あ………悪魔……ぶちん…』


―――――――――――――――――――――――――――――――――


『戦争とは、これだから面白い』
そう時代を皮肉るように言い放った歴史家は誰だっただろうか。
その言葉に全面的な賛成は出来ないが、現代の多くの歴史家は肯定の意味で首を振る。
戦争という状況は、その人間の真実を曝け出す。
人々の目に映る姿が真実なのか。
それとも頼りない鍍金で飾り付けた虚構なのか。


神聖ルオゥム帝国新皇帝・紅龍雅の耳に、ムルアケ街道でセラエノ軍と旧フウム王国残党軍(旧王国義勇軍とも呼ぶ)との戦闘が始まったという情報が届くよりも2時間程早く、ヴァルハリア・旧フウム王国連合軍総司令官、フィリップ=バーントゥスクルの下にその報告が入った。
『戦略を崩す戦力』として敵に称賛されたのは誰であろう、あらゆる時代を通じて殺人鬼の代表格として名を上げられる、惨殺者・キリア=ミーナの若き日の姿だったのである。
彼女の活躍により、一時的とは言え旧王国義勇軍は優位に立ち、ロウガ率いるセラエノ軍を圧倒し、彼らは予言者アドライグの導きで帝国から1000の増兵をしたにも関わらず、徹底防戦を余儀なくされたのである。
もっともこの後、優位に気を良くした義勇軍は慢心し、決定的な隙を見せてしまったがために、ロウガの指揮の下でアスティア、アドライグ、クーレスト、フュニリィ、そしてヴァルハリア騎士団を退団し当てもなく放浪していたリオン=ファウストという歴史の悪戯としか思えない戦士たちが打って出たために、この戦闘は龍雅の予想した通り、超短期決戦で幕が下りるのである。
しかし、この時点では『ムルアケ街道の味方、圧倒的有利』と『義勇兵キリア=ミーナ、神敵の将を討つ』という味方の耳に入れば、イチゴによって奈落の底まで落ちた士気を一気に逆転出来る程の喜ばしい情報だったにも関わらず、フィリップ王はこの情報が広まらないように、情報を持って馳せ参じた使者を秘密裏に暗殺してしまったのである。
「……これ以上、我が名が落としてたまるものか。」
暗殺を決行したのは、彼と彼の派閥の貴族たちである。
フィリップ王は恐れたのである。
度重なる失策によって、彼の権威は連合軍の士気同様に落ちている。
彼自身、理解していたのだと思われる。
この連合軍の危うい結束は、ヴァルハリア教会大司教ユリアスの宗教的権威によるところと、貧しい身分出身である新鋭の英雄ヒロ=ハイルのカリスマ的な指揮によるところが大きいということを。
だからこそ、ムルアケ街道における自らの指揮によらない軍功、無位無官のキリア=ミーナが彼自身成し遂げられなかったセラエノ軍将軍の討伐という、大きな功績を知られる訳にはいかないと思ったのだろう。
もしもこの情報が連合軍将兵に知れ渡っていたら、連合軍は勇んで進撃を開始し、遷都を唱え、大移民を開始した帝国は、自分たちが行った神速の行軍を自ら味わうことになり、凄まじいヴァルハリア領民兵の凄惨な攻撃に晒されていたであろう。
その結果、民のほとんどは虐殺されていたはずだと推測出来る。
だが、史実はそうはならなかった。
フィリップ王は情報を隠匿し、図らずも帝国の民の命を、大勢救ったのである。
もっとも………、このように部下や無官の兵の功績を妬むような器の小ささが、このルオゥム戦役後すぐに訪れる彼の死因の一つになるのであるが…。



「当然、納得出来るものではありません!!」
そう言って私、ヒロ=ハイルは軍議の席で声を荒げた。
「ここは騎兵の機動力を最大限に発揮し、大規模な先発隊を結成して敵本拠地である帝都コクトゥに逸早く辿り着くべきです。帝国兵への威嚇と同時に素早く交通と流通を断ち、勢い盛んな帝国兵の勢いを断つべく兵糧攻めと降伏を勧め早々にこの戦を終わらせるべきです。そうでなければ……。」
そうでなければ紅将軍……いえ今は皇帝でしたか…。
彼の鼓舞、彼の号令で帝国兵は、死に体であろうと息を吹き返してくる。
………私は、彼のような男を天子として戴く帝国兵が羨ましい。
彼だけではない。
先帝ノエル=ルオゥム、彼女という天子が何故……。
何故ヴァルハリアに生れ落ちなかったのか…。
彼らならば、このように士気の落ちた兵卒たちも放置しないだろう。
それ故に無理な行軍を控え、士気の回復を図りつつ、さらに兵を募って自軍の水かさを増すことに努め、無為に時間を過ごすこともないはずだ…。
フィリップ閣下は何を焦っているのか…。
兵の回復を無視して、無理な行軍を急がせる。
ただでさえ、大司教猊下が敵のバフォメットに精神的に追い詰められ、何度も発熱を繰り返したおかげで、我々は2日間もこのクスコ川流域で足止めすることになり、すべて帝国軍よりも後手後手に回っていると言わざるを得ない。
それに追い討ちをかけるように深刻なのは、我々に食料を自給出来る能力はなく、他国より多額の金額を払って兵糧を仕入れなければならないために、この地に留まり続ける限り我々の軍はやせ細っていくばかり。
元々ヴァルハリア教会領の食料自給率は低かった。
それに加えて今年の不作で食糧事情は厳しいものになっている。
旧フウム王国軍の存在も我々には重荷であると言っても良い。
だが、それを言っても始まらない。
大司教猊下やフィリップ閣下の意思は徹底攻撃である以上、私にはその意思に沿える策を出すしかないのだが、今の私はひどく反抗的と言おうか、強行的と言うべきなのか、以前程彼らへの忠誠心を私の中に感じることが出来なくなっていた。
これも……あなたのせいなのですか…?
あなたが私にかけた呪いなのですか、紅…龍雅…。
「それを何故、明日の夜明けと共に全軍を動かすと言うのですか。今の騎兵隊の兵錬度であれば、この程度の夜道など問題ではありません。帝都までの敵陣を無視して、間道より帝都を脅かせばそれだけで脅威となれるはず。だというのに、無用に本陣を動かし、怯えて士気の低いままの兵卒まで動かすとあれば進軍は鈍り、2日の道程も余計な時間をかけなければなりません。それに納得し得るお答えを聞かねば、私も納まりが付きません!」
フィリップ閣下が机を叩いて立ち上がった。
その表情には、焦りと憎しみに歪んでいる。
酷いやつれ様だ。
これでは、彼の方が余程悪魔のように見える。
「黙れ、若輩!総司令官たる私が決めたのだ!!」
「だからこそ、納得出来る回答をいただきたいのです!何より納得出来ないのは、ただでさえ先の暴龍や紅…龍雅に痛手を負った我が軍の戦力と機動力の低下は著しいというのに、何故沈黙の天使騎士団を前線から外し、中軍…それもフィリップ閣下の監視下に置くが如き処遇になさるのですか!」
それでは裏切ってくれと言わんばかりではないか。
彼が沈黙の天使騎士団を…、いえ、騎士団長ファラ=アロンダイトのことをクゥジュロ草原での戦闘から快く思っていないのは知っています。
ですが、一時の私情ですべてを決めてしまうのだけは納得出来ない。
事実、ファラ氏はこの軍議への出席を許されていない。
「あの者たちは本来反乱分子なのだ。我が恩情で生かしてやっていることを忘れ、我が最愛の息子を見殺しにした罪、万死に値する!だが、神敵賊軍討伐にはあやつらの武力が必要故に我が監視下に置くのだ!!」
裏切れぬように再び質を取ってな、と悪鬼さながらのフィリップ閣下は言う。
何と……下劣な!
「私情で軍を動かすこと程愚かなことはありません!」
「貴様に戦争の何たるかがわかってたまるか!!」
わかっていないのはどちらだ。
今は内部分裂などしている場合ではないというのに……。
多くの諸侯の前での言い争いなど、私の望むところではないのですが、今沈黙の天使騎士団を戦力から外されることは納得出来ず、彼らの存在なくして私の策は成り立たない。
………私の、策?
いや、我が軍の方針だ。
私はあくまで一上級大将ではないか…。
「……こうしてファラ=アロンダイト氏が軍議に出席を許されていない以上、これ以上フィリップ閣下と言い争っても無駄でしょう。あなたに彼らの戦線復帰を許す気がなく、全軍の兵力を削ってでも彼らを監視下に起きたいのであれば、最早何を言っても無駄のよう…。しかし、お聞かせいただきたい。何故、焦るように全軍を動かすのか!それだけは、納得のいく説明をしていただきたい!」
いつになく強気だ。
まるで私自身が彼に話しかけている気がしない。
まるで……。
まるで私の中の………。
私の中で紅龍雅が語っているようなそんな錯覚だ。
「………………。」
激しい憎しみの表情を崩さないままフィリップ閣下は黙ってしまった。
軍議に出席する他の諸侯も同じように発言を控えてしまう。
彼らも恐ろしいのだろう。
下手なことを言えば、フィリップ閣下の逆鱗に触れるか、同じように私の怒りをぶつけられたのでは、堪ったものではないということだ。
私の怒り…?
私は一体、何に対して怒りを露わにしているのか。
上座に腰を据える大司教猊下をチラリと見る。
まるで自分は無関係であるかのように、深く目を閉じ、まるで瞑想をしているかのような素振りで、この軍議を聞いているのか聞いていないのかと言った風である。
「さぁ、フィリップ閣下!納得出来るお答え……!?」
今一度問い詰めようとした、その時だった。

…ぐ…ぅお…お…おおおおおおおおおおおおっ!!

地獄の底から響くような叫び声…。
いや、これは雄叫びか。
「何だ…!一体、これは何の声なんだ…!?」
「ひぃぃ!!!」
諸侯たちがざわめいた。
ある者は怯え、ある者は身を隠すように机の下に潜り、ある者は悲鳴を上げる。
「おお……、フウム公…。これはまさか…。」
何か知っているらしいフィリップ閣下の家臣が恐る恐る彼に訊ねかけた。
「うむ……!」
フィリップ閣下もあの地獄の雄叫びを、まるで救いの声を聞いたかのように顔に喜びの表情を浮かべ、ただ短く頷いて唇の端を歪めた。
何なんだ…。
あの声は一体…。
そして終始沈黙を保ち続けていた大司教猊下がついに口を開いた。
「諸侯たちよ。案ずることはない。あの声は神が……猛っておられるのだ…。我らの正義を体現する神が、この戦いを欲し、この戦いで邪悪を滅ぼすことを欲しているに過ぎないのだ。」
「馬鹿な!」
私らしくもない。
感情を露わに、私はただそう叫ぶ以外出来なかったのだから…。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


馬鹿馬鹿しい。
フィリップ王の監視が目を光らせている中、沈黙の天使騎士団団長の帷幕の中で、リトル=アロンダイトは珍しく荒れたような姿でテーブルに伏せていた。
眠っているようにも見えたのだが、時に苛立ちからテーブルを叩く。
「やはり……あの時、連合軍からの離脱を勧めるべきだった!」
あの時、というのはフウム王国が新体制に移行して、多数の騎士団が離脱していった混乱期のことであり、多くの騎士団と同様に離脱しておけば…とリトルは悔やんでいた。
だが、彼はそれを義父ファラに伝えることが出来なかった。
あの当時、ファラ=アロンダイトは死に場所を求めているようにも見えた。
彼が義母と呼ぶ堕天使ネヴィアを失って以来、まるで罪を購うように死地を求めて戦いに身を投じるファラの姿を思うと、ただ不利になるからと言って連合軍を離脱することは、あまりに恥知らずではないかと思えていた。
何に対して恥知らずなのか。
それは何者でもない。
ファラ=アロンダイトという、リトル=アロンダイトがもっとも敬愛する男、義父と呼び誇りとする大人物に対して申し訳なく思ってしまったのである。
「それでも……今は義母さんが…生きているとわかった…。わかったのに…、わかったのに僕らはどうして命を狙われなければならないんだ…!クソぉ…僕らは生き延びなきゃいけない。約束の日が訪れるまで、僕らは生き延びなければいけないんだ…!」
前身であるガウェイン騎士団が滅んだ日。
自分自身が人質に取られ、むざむざ義父に惨めな処遇を受けさせてしまった日。
義母を守れなかった日。
彼は誓ったのだ。
あの日の悔しさを忘れないと…。

パサッ

「誰だ!」
帷幕の出入り口を広げる音がして、リトルは身構えた。
フィリップ王の監視が強化されている今、若い彼の神経は少々過敏になっているらしい。
「あ……あの…お邪魔でしたか…?」
怯えたように身を竦めていたのは、最前線の戦場に似つかわしくない慎ましいながらも、素朴で華やかな若さに溢れた女性だった。
「あ……ごめん、カタリナ…。怒鳴ったりして…。で、僕に何か用だった?」
彼女の名はカタリナ。
ヴァルハリア・旧フウム王国連合軍が神聖ルオゥム帝国に侵攻してすぐに、ヴァルハリア領民兵が襲撃した村でファラ=アロンダイトが、白刃を振るって救出した時に生き残った、まだ16歳の村娘である。
残念なことに、一緒に救出された赤ん坊は、手厚い看護の甲斐もなく栄養失調で天に召されてしまったのだが、唯一の生き残りである彼女は、命を救ってもらった恩を返そうと、保護された沈黙の天使騎士団で洗濯や料理などの下働きを手伝うようになった。
「あ…いえ……団長様がリトル様が呼んでいるって言ってまして…。」
「ち……義父上…。」
過去に投獄、幽閉の憂き目にあった経験のある自分はともかく、このような理不尽な処遇に苛立っているであろう若いリトルをファラは気遣い、彼の年齢に一番近く、話し相手に調度良いと思われたカタリナを寄越したのである。
もっとも話し相手として、とは言うものの、沈黙の天使騎士団でカタリナを軍上層部に秘密で保護したは良いが、彼女は少々内気なところと教養のない村娘というコンプレックスが強く、なかなか打ち解けられない時期が長かった。
加えて村での生活が長かったせいだろうか人見知りも激しかったので、こうして普通の会話が出来るようになるとはリトルを初め騎士団員も、おそらくカタリナ本人ですら思いも寄らなかったであろう。
「………じゃあ、来てもらったし…。しばらく僕の話し相手になってくれないかな。」
苛立った気持ちを落ち着けるようにリトルはカタリナに微笑みかけた。
話し相手に、と聞いてカタリナは慌てた。
「え…ええええ!?わ、私みたいな教養がない人より……あ、そうだ!ゲイオルーク伍長でしたらきっとお話が盛り上がると思います!!す、すぐに呼んで…!」
「いや……、僕はあなたと話しが…!」
したいんです、と言いながらリトルは、慌てて騎士団伍長であるゲイオルークを呼びに行こうとするカタリナの細い手首を、思わず掴んで引き止めた。
「あ…。」
「あ…。」
ほぼ同時だった。
二人は短い声を上げて、お互いに手を引いた。
リトルもカタリナも、頬が林檎のように真っ赤になった。
「ご、ごめん!」
「す、すみません!」
謝るのも同時。
そのまま二人は押し黙ったまま、高鳴る心臓の鼓動が静まるのを待っていた。
リトルは思わずカタリナの手首を握ってしまった手を。
カタリナはリトルに掴まれた手首を。
お互いに気付かれないように熱の篭った視線で見詰めていた。
「カ……カタリナ…!べ、別に僕は君にやましい思いは抱いてないんだ!君も知っている通り、今はこんな状況だろ?だから戦争のこととか、これからのことを考えると重たくて苦しいんだ。だから君と話しがしたい!ゲイオルークさんでも良いんだけど、あの人はシモネタが好きだから落ち着かないと言うかそんなことを話したいんじゃなくて君のことをもっと知りたいとかああもう!何言ってるのかわからない!」
「リ、リトル様!落ち、落ち着いて!!」
今までにないくらい混乱しているリトルに、カタリナも同じようにオタオタしていたのだが、そんな真っ赤になって訳のわからない言い訳を口走るリトルの姿を見ている内に、カタリナはやっと明るい笑顔を取り戻して笑い声を漏らした。
3つ年上のリトルのことが、可愛いと思っていたのである。
「カタリナ?」
「あ、ごめんなさい!恩人のことを笑うなんて…。」
「いや、構わないよ。僕も取り乱しすぎた。」
リトルはそう言って頭を下げる。
「じゃあ………とりあえず…カタリナのことを教えてよ。」
「わ、私のことですか?」
「うん、考えたら……僕たちってあんまりこうして話したことなかったし…。」
真面目な顔をしてリトルはカタリナを見詰める。
その真剣な眼差しにカタリナの心臓はまた高鳴り、頬が赤くなった。
二人は恋人ではない。
それどころか二人は自分の心を自覚すらしていない。
ただ、言いようのない好意だけが二人の間には存在していた。
「で…では……私のことでよろしければ…!」
「緊張しないで。とりあえずさ……僕の友達になってくれないかな…?」
騎士リトル=アロンダイトではなかった。
ただリトルという名の少年が、恥ずかしそうに年頃の女の子に笑いかけていた。
文字を覚え始めたカタリナは、この日のことを日記にこう綴ったという。

ファラの帷幕の外では騎士団の主であり、リトルの義父親であるファラ=アロンダイトがリトルとカタリナの会話に、こっそりと聞き耳を立てていた。
「………思い…出す……な…。」
首に下げたネヴィアの指輪を、指で弄びながら彼は昔を思い出す。
自分も彼女に出会った頃は…。
そんな思い出を胸に、遠い敵地で待つ恋人を思う。
再び会えたら……。
「その…時は……。」
約束を果たそう。
10年以上果たせなかった約束を。
何よりも尊い誓いを。
今は自嘲してしまう程不遇な我が身ではあるものの、いつの日か恋人を再びその腕で抱き締め、今度こそ二度と離さないと、ファラ=アロンダイトは決意していた。



11/10/06 00:34更新 / 宿利京祐
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■作者メッセージ
おまけ(という名のお茶濁し)

メタルギアアヌビス


ネフェルティータ
「…Lost in BLUE105話の機密を探れって無茶なミッション、命令する方もする方ですが、受ける私も私ですよまったく。」

信州蜜柑のダンボールに身を隠しながらズルズルと、私はLost in BLUEが制作されている宿利京祐の部屋に潜入することに成功した。
いたるところに本、本、本本!
資料本と4コマ漫画が無秩序に山積みされている…。

ネフェルティータ
「情報なんかある訳が……ってこんなところにあった!!」

潜入してすぐ、機密情報は私の足下に転がっていた。
……掃除くらいしなさいよ。

機密情報(ナレーション:宗近)
『えー…こほん。
 Lost in BLUE第105話は色々な伏線の回収作業の開始を意味している。
 前編後編で分けてしまった理由は以下の通り。
 ・1万字超えることが予想されたから。
 ・何となくキリが良いから。
 ・決して今頃になってメタルギアソリッドPWを始めたのが原因ではない。』

ネフェルティータ
「………どっぷりハマって、一番最初のステージで30人以上のスネークを昇天させてしまったクセに。てゆーか、これ機密情報でも何でもないじゃないですかー!!……ん、ちっさい文字で続きが。」

機密文書(ナレーション:宗近)
『追伸・魔物娘の登場しない回を増やさないためにも後書きでネフィーに頑張ってもらおう。その内、学園の方も執筆するのでネフィーにはロウガの生着替え写真でもやってご機嫌とっておけばお手くらいはしてくれるだろう。……んんっ、ネフィーちゃん。私もあなたがお手をするのが見たいのですが?』

ネフェルティータ
「やりません!!」

まったく…人を何だと思っているんですが…!
まぁ、生写真はもらってあげても良いんですよ。

警備兵(サイガ)
「むっ、ダンボールから尻尾!?侵入者か!!」

しまった!
私としたことが、ダンボールから尻尾がはみ出してしまっていたなんて!
こうなったら……。
ざ・ぼす!
あなたに教わったCQCでピンチを切り抜けます。

ざ・ぼす(cv・宗近)
『ねへるちーた、相手の動きをよくみるのです。』

あ、今噛んだ…。
まずは素早く相手の後ろを取る!

警備兵(サイガ)
「ぬほっ、消えた!?」

後ろを取ったら迷わず相手の頚動脈を絞めて気絶させる!

警備兵(サイガ)
「こ…後頭部に肉球がプニプニ!首には柔柔の毛がモフモフ!そして薄いスニーキングスーツ越しに大きなメロンの柔らかな感触が背中にダイレクト!やべぇ、苦しいけど……こいつは…とぉってもヘブンリィ!!」(ガクッ)

やった気絶した!
ありがとうございます、ざ・ぼす!
あなたのおかげでノーアラートクリアが出来ました。
さぁ、後はこの場所から合流地点まで退却するだけ…。
では、皆様。
また『セラエノ ラジオ☆ジャック』か『Lost in BLUE』本編でお会いしましょう♪
任務…完了…(緑川光風で)。

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