開花する姫君
「紗木田さんっ! あの、どうか僕と付き合って──」
「ゴメン無理っ!!!」
七戦、七敗。
草木 茂安(くさき しげやす)はその結果を噛み締め、涙を飲むように空を見上げた。
──昼休みにサキュバスの紗木田さんに想いを告白し、玉砕。
その放課後、心なしかいつもより重い通学鞄を手に持ちながら茂安はうつむいて溜息を吐いた。
「魔物娘」という存在が現代社会に現れ、なんだかんだあって適応するようになってからだいぶ経つ。
運命の相手との交わり──ありていに言えばセックス──を重んじる彼女たちのおかげで、
現役高校生のカップル成立率、ついでに非童貞率は以前の比にならないほど上昇した。
茂安はそんな魔物娘社会において、数少ない「非モテ」である。
小学生の頃近所のクラーケンお姉さんに告白し、フラれたのを皮切りに、
同じ委員会の一反木綿さん、よく遊んでいたワーウルフちゃん、バイト先のサイクロプス先輩など、
いいな、と思った女性に積極的にアプローチをかけているのだが、決して「友達」以上の関係には進めずにいた。
そして、今日。サキュバスの紗木田さんで七人目である。
魔物娘の多くは人間に好意的である──という情報をあてにしているわけではないが、
同年代の友人たちが次々と「運命の相手」を見つけていく様子を見ると、
茂安の心には、なんで僕だけ、という思いが沸き上がらないはずもなかった。
「はぁ……」
三度めの溜息をつくと、家についていた。
自室に戻り、制服を着替え、鞄を置く。
自動操縦じみた動きを沈んだ心のままこなすと、四度目の溜息をついて階下に降りた。
気分は最悪。気持ちはどん底。今の茂安を救うのは、物心ついたころからずっと続けている「趣味」しかなかった。
温室の扉を開くと、むっとした暑気が肌全体に舞い込んでくる。
目に入るのは一面の緑。鉢植えの花々もあれば、竹の枠組みに絡む蔓草もあり。それと草花の香りにつられたフェアリーが、何匹かあたりを飛び回っていた。
「植物生育」──植物学者の父から任されている温室の管理は、茂安の長年の趣味になっている。
研究に必要な魔界植物が主な生育対象なのだが、茂安が趣味で買ってきた百合やチューリップ、盆栽なども併せて置かれており、
温室の中は、様々な木々や花々が入り乱れて育つ不思議な世界を形作っていた。
「ほら、水だよ。……うん、だいぶ元気になって来たみたいだ。こっちは……少し元気過ぎるかな。剪定しないと……」
ホースで温室に雨を降らせながら、茂安は植物たちをひとつひとつ観察し、様子を見ていく。
生き物と同じで、植物にも調子の良しあしというものがある。長年生育を続けてきた茂安は、もはや一目見ただけである程度の様子を把握できる優れた観察眼を持つまでに至っていた。
「……はい。お水の時間ですよ、姫」
一通り温室を巡り終えると、茂安は最後に中央にでんと置かれた大きめの鉢に水を向けた。
立派な焼き物の鉢のなか、大きな葉を中心から外側に向けて放射状に伸ばしている、どことなく赤道直下の国々を思わせるような植物である。
その植物は、名前を「リュウゼツラン」という。
中南米を主な生育地とする多肉植物で、その堂々たる様子から茂安は敬意をこめて「姫」と名付け、呼んでいる。
茂安が小学生の頃、父が海外土産として買ってきたのが出会いである。
計算すれば、およそ六年近い付き合いになるだろうか。
リュウゼツランは花を咲かすまで数十年かかり、それまでは緑の葉しかない一見華のない植物である。
だが、それでも茂安はそのリュウゼツランを気に入っていた。
花を咲かせずとも、鉢の上でどん、と構えるこの貫禄。
このリュウゼツランが何年目のもので、あと何年で花を咲かせるのかなんて分からないけれど、
このまましっかりと育て上げ、自分が大人になるころに花の咲くのをを見てみたいな、などと考えてもいた。
翌日、紗木田さんがクラスの男と付き合い始めたのを聞いた。
放課後、他校の男子に絡まれてるのを助けてもらい一目惚れしたのだそうだ。
お幸せに、と誰に言うでもなく呟き、茂安はその日三度空を仰いだ。
早足で帰ったので、その日は溜息二度で家に着いた。
自動操縦に身を任せ、汚れてもいい服装に着替え、階下の温室へ。
今日は蔓草と盆栽の選定でもしようか──と温室に向かう土間の最中で、ふと、いつもより温室に集まるフェアリーが多いことに気づく。
くすくす、くすくすと笑い声。
フェアリー・サーキットを描くように上機嫌で飛び回る彼女らは、みなが一様に
女王様が生まれた。女王様が生まれた。
と、言い交しては笑い合っていた。
なんのことだろう、と思いながら温室の扉を開く。
いつも通りのむわっとした暑気が肌を刺し──そして茂安の鼻孔を、甘い匂いがくすぐった。
「…………ようやく戻りましたか、私の騎士」
少し幼さの残る女性の、しかし低く厳かな声が聞こえる。
目線をまっすぐ正面に向けると、温室の正面、中心部にリュウゼツランの鉢植えが置かれていた。
放射状に伸びた葉は昨日見たものよりもずっと大きく、異常なほど巨大に育っている。
人一人寝ころべるくらい大きな葉の上には、円形のベッドのように丸い葉が敷かれ、
そしてその中心には涼やかな目をした女性がひとり、座っていた。
肌は茶褐色、美しく長い脚は腿から先がリュウゼツランの中に飲み込まれており、植物と一体化しているように見える。
大きく突き出た張りのある臀部は、腰で大きくすぼまり壺口にも似た美しいラインを形成する。
両胸に張り出した乳房は両手のひらでおさまらないほど大きく、その先端は長い金色の髪で覆い隠されていた。
輪郭はほっそりと面長、顔はやや吊り上がった細く小さな目と、すっと一本筋の通った鼻立ちが凛とした女性という印象を与える。
唇は褐色肌に映える薄いピンク、瞳の色はルビーの紅。細い眉に、腰まで届くような豊かな金髪を無造作に垂らしていた。
「え……あのっ、うわっ!?」
いつもの温室、リュウゼツランの鉢植えに座る全裸の見知らぬ美女。
あまりの理解を越えた状況に、ずり、と思わず身を引いたその瞬間。
温室を飛び回るフェアリーたちが茂安の両手をがっしりと掴み、有無を言わさずその身体を鉢植えの前まで運び上げた。
「今、立ち去ろうとしましたか? ……意外と小心なのですね、まったく」
女性はその細い指先を茂安の方に差し向けると、リュウゼツランの葉を触手のように伸ばし彼の身体に巻き付ける。
葉は多肉植物とはいえ尋常でないほど強靭で、抵抗を許さず、しかし優しく茂安を葉のベッドの上に運んだ。
「姫の前で挨拶もせずに去る騎士が、どこにいるというのですか」
ぴんと立ったその女性は冷たい、しかしどこか甘さの残る目で座り込む茂安の姿を見下ろす。
豊かな土の色を思わせる褐色の肌が茂安の視界いっぱいに広がり、そしてその肢体から発せられるむせ返るほどの甘い香りが鼻孔いっぱいに広がっていた。
くらくらするほどの色香に戸惑いながらも、茂安は彼女の言葉にはっと気づき、目を丸くする。
「姫って……もしかして、姫なの?」
「ええ。貴方が小さなころからずっとそばにいて、貴方が慕い続けたこの姫です。
……見た目がちがうというのは、そんなにも人を惑わせるものなのですか?」
姫は屈み、まだ戸惑った様子の茂安を覗き込むように目を合わせる。
二つの豊かな乳房が触れそうなくらい近くにぶら下がり、茂安は緊張と興奮からごくりと唾を飲み込んだ。
「そりゃあ……あ、いや、でも……」
茂安は自身が腰かける葉のベッドに手を触れる。
触れると少し押し返す、弾力のある多肉植物の葉。それにベッドの周りに広がる棘のある葉。
何より、目の前の女性の姿と雰囲気。他を寄せ付けない堂々たる風格と、それでいながら内側に優しさを感じる様子。
「……ごめん。確かに、見たら分かるよ。間違いなく姫だ」
「そうでしょう。まあ、私の騎士ならば当然ですね」
姫はそう言うと両腕を胸の前で組み、巨大な両乳房を重そうにその上に乗せる。
たぷん、と揺れる柔らかそうなそれに、茂安は下腹部が熱くなってくるのを感じていた。
「あのっ、えと……その『騎士』って、僕?」
「もちろん。幾年もの間陰日向なく私のそばで私を守り、支えてくれた忠義の徒……。
貴方こそ、この姫が騎士と呼ぶに相応しいというものでしょう?」
臆面もなくそんな事を言う姫に、茂安は少し恥ずかしげに顔を赤くする。
守る、支えるといったって、せいぜい毎日の水やりと葉につく虫を払ってあげたくらいのことしかしていないのだが。
とはいえ……。茂安にとって植物の世話は、とりたてて褒められることもなく、それでも数年間ずっと続けてきた唯一無二の趣味である。
育ててきた娘から直接そんな風に言われることは、決して悪くは感じない。
むしろ、じんわりとした暖かさを茂安の心のうちに感じさせていた。
「……でも、どうして急に人間に……。これ、魔物娘『アルラウネ』の姿だよね?」
茂安は魔物娘の種類に特別詳しいほうではないが、植物好きとして、その名前は覚えていた。
植物が魔力を受け、魔物娘に変化すると「アルラウネ」なる魔物になる。
本来は緑色の肌をしていると聞いているが……。リュウゼツランから変化した特性なのだろうか。と、茂安はなんとなく分析していた。
「あれ……待って、この髪の色……姫、もしかして……」
「気づきましたか。……ふふ、流石は私の騎士」
どこか自慢げに姫は微笑むと、人差し指を立てて茂安の鼻先に差し向ける。
「見せてあげましょう」
それから姫は少しだけ力を入れるようにいきむと、その人差し指の上に瞬く間に花が咲いた。
爪から付け根にかけて、天をめがけてまっすぐに咲く黄色い花である。
「リュウゼツランの花……姫、咲いたの!?」
「ええ。貴方の騎士としての働きによって」
そう言って左手ですくい上げた彼女の髪は、人差し指の花の色と同じ、輝かしい黄色をしていた。
指先の花の香りに夢中になる茂安。その姿にうっとりと目を細めながら、姫は言葉を続ける。
「……花を咲かせた私たちが、行うのはたったひとつ」
口元に薄く笑みを浮かべると、彼女はそのまま茂安をベッドに押し倒した。
もともと、頭一つ分身長の高い彼女である。魔物娘としての力の差もあり、茂安は抵抗する間もなく彼女の胸の中に顔を埋めさせられる。
「ふっ……むごっ……!?」
「『受粉』です。私の騎士よ。貴方の長年の忠義に報い──私の花に触れ、ここに受粉することを許します」
「──!?」
どきり、と心臓が跳ねる。
受粉は、花の内側にあるめしべにおしべが作り出した花粉を付着させる行為。
そしてそれは、新しい種を生み出すための行為に他ならない。
「ちょ、ちょっと姫、、それって──!?」
「開花することは、少し前から分かっていました。でも、私はたった一人で受粉したくはない。それが、植物として生まれた宿命だとしても」
柔らかな葉のベッドに押し倒され、彼女の甘い匂いと土の匂いが交じり合って鼻孔をくすぐる。
下から見上げた姫の顔は影になっているが、それでも今までの威風堂々とした表情とは少し違う、
緊張したような、覚悟を決めるような、少女めいた愛らしさを顔からにじませていた。
「私は、種を作るなら……貴方とともに、貴方の精を受けて作りたいと、思ってしまったのです」
ふわり、と長い髪が宙に浮いたと思うと、彼女は一糸まとわぬ姿のまま、茂安の身体に身を寄せる。
痛いほど強く抱きしめるその力を受けて、茂安は今まで感じたことのない暖かい気持ちが胸に広がっていくのを感じていた。
「魔力干渉、というものなのでしょうかね。次の日にはもう、私の身体は変わっていました。
貴方からの種を受け取るための、魔物娘としての姿に。
……騎士。ねえ、私の騎士。突然なのは、分かっているのです。でも……」
ほのかに潤んだ、熱を帯びた目で姫は見つめる。
「……姫の願いを……どうか、叶えてはくれませんか?」
茂安の頭に今まで育ててきた姫との記憶がフラッシュバックする。
小学生の頃、大きな鉢植えの中でしゃんと胸を張っていた姫の姿。
毎日世話をするごとに大きくなり、昔は大きすぎるくらいだった鉢植えも今では葉を受け止めきれず、溢れさせてしまっている。
毎年は咲かないリュウゼツラン。しかしその姿はいつも誇らしげで、そんな姫が、茂安はずっと──好きだったのだ。
「姫」
ひくん、と震える肩を抱いて、茂安は笑みを浮かべる。
「嬉しいよ。……その、僕は初めてだから、上手に出来るか分からないけど……それでも、いいなら」
ぱああ、と花咲くような笑みが浮かぶ。
そしてすぐに、姫は取り繕うような澄まし顔に。それでも喜びが抑え切れないらしく、どこか弾んだ声で茂安の声に応えた。
「ふふ、それなら問題ありません。
この姿になってから、どうしてか、ヒトとの受精行為に関する知識が次々と浮かんでくるのです。……例えば、そう。こんなこと──とか」
ぬるり、と熱いものが茂安の唇に触れる。
鼻いっぱいに一気に広がる、濡れて湿った肌の匂い。濃いメスの匂い。
舌を入れられている、と気づいたのは、十秒たっぷりと口内をいじめられた後だった。
「ちゅ……♪ んく、んぷっ……。んっ、ぷふ……。
……ふふ。舌を絡め合うのは、悪くありませんね。
受精とは直接関係のない行為ですが……。とても甘く、特別な味がします……。
それに、騎士の匂いや身体をとても強く感じられて……大変好ましいです。もう少し、しておきましょう……♪」
「んぶっ、んうう……んっ、ひ、姫……っ」
葉っぱのベッドの上で、二人は朝顔の蔦のように絡み合う。
宙をさまよう茂安の手はやがて姫の背中を抱き、互いに初めての快楽に戸惑いながら、二人は本能で貪るようにキスを重ねた。
「んく……っ♪ はあ……。れ、る……っ♪
……舌という器官は、なかなか……。『味わう』という行為も、クセになります……♪ ちゅぅ……♪」
「はぁっ、んくっ……」
茂安は目を快楽で蕩けさせながら、姫が差し入れてくる舌を口全体で舐る。
リュウゼツランは茎に大量の糖分を含むというが、姫の口内は脳髄まで溶かす蜜のような危険な甘さに満ちていた。
「ちゅぷ……。ふふ♪ ではそろそろ、花弁を剥いで……騎士の逞しいおしべを見せてもらいましょう♪」
唇を離した姫はじゅる、と口元の唾液を拭い、彼の服に手をかける。
慣れない「手」の動かし方に難儀しつつも、ぷつり、ぷつりとボタンを剥ぎ、茂安の素肌をあらわにしていった。
「まあ……花弁を解くと、中からとても強いにおいがしますね……♪」
「あ、汗臭い……かな」
「汗、というものは、分かりませんが……。蜜蜂も惑わされるようなかぐわしい香りです……♪
ああ……♪ 嗅いでいるだけで、この姫のめしべが潤んでしまいます……♪」
姫は目を爛々と輝かせながら、茂安の胸板に顔を押し付けると思い切り鼻から息を吸い込んだ。
「はああ……っ♪ ああ……これが『オスの匂い』というものですか……♪
……うう。植物として、騎士の毎日のお水を受けるのも良いですが……
こうして『味わい』、『嗅ぐ』ということをするのは……。堪えがたい気持ちよさがありますね……♪
んん、あっ……んふ……っ♪」
悦楽に目を細め、口をだらしなく開きながら、
姫はくちゅ、くちゅと自身の「めしべ」に手を伸ばす。粘着質な水音が、茂安の耳に届いていた。
「ふふ……♪ 見てください、我が騎士……♪
魔物娘としての姫が蓄えた、愛の蜜です……♪ よく、味わってくださいね……♪」
「んぶっ……うあ……」
秘部からぐちょぐちょに漏れ出た愛液を指先に絡め、茂安の目の前で開いて見せつける。
透明の糸を引くその指を強引に茂安の口に押し込むと、苦しそうに呻く彼の姿を見て姫はひどく興奮した笑みを浮かべた。
「ああ……っ、我が騎士が、私のめしべの蜜を……っ♪ そんなに、音を鳴らして啜って……
ううっ、昂ってしまいます……っ♪ ああっ、騎士、騎士っ♪ 姫はもう、我慢できません……っ♪」
すっかり高まった様子の姫は抗いようのない力のまま、茂安の下の衣服を毟り取るように脱がせていく。
下着を脱がせると、既に限界まで屹立した男性のシンボルが天を突くようにそびえたっている。
自らの顔ほどの大きさもあるそれに、姫は吐息を荒くしながらしばらく魅入っていた。
「はぁ……っ、はぁ……っ♪ これが、夢に見た我が騎士のおしべ……っ
幹のように太く、なんて力強い形……♪ 見ているだけで、潤みが止まらなくなってしまいます……っ♪」
震える手で亀頭のあたりを一撫ですると、茂安は苦しそうに呻き、男根を震わせる。
その反応に少しだけたじろぎながらも、姫はやがて淫猥な笑みを浮かべて自身の豊かな乳房に手を這わせた。
「……『ぱいずり』というものをすると、騎士は喜びますか?」
「あ……っ!」
姫の涼やかな声で発せられた低俗なフレーズに、茂安のペニスがひときわ大きく跳ねる。
あからさまな反応に、姫は悪戯っけな笑みを浮かべ、自らの両乳とペニスをちょんちょんと触れ合わせた。
「うああっ、姫……」
「この、熟しきった果実のような柔らかい部分で、おしべを丁寧に刺激すると……男性は、花粉がたくさん出るのですよね?
ふふ、どうか見せてくださいませ。めしべと触れ合う前に、騎士のおしべがどうなるのかを見てみたいのです…♪」
魔物娘としての知識か、姫は豊かな両乳の谷間に茂安のペニスを埋め、たぷたぷと揺らし始める。
週刊誌のグラビアに出ていた女優やアイドルより、よほど大きく、張りのある乳房。
褐色の両乳は姫自身の汗によっててらてらと光っており、その谷間から自身の亀頭が出たり、入ったりする様子は、
未経験の茂安にとってあまりに刺激が強く、一分と経たぬ間に猛烈な射精欲求が立ち上ってくるのを感じていた。
「んふっ、っ、ふう……。なかなか、大変ですね……♪
姫である私が、こんな奉仕をするなんて……。でも、我が騎士に喜んでもらえるなら、それも悪くはありません……♪
……えいっ、今度は、左右に……ねじるように……っ、それっ、それっ♪」
「んうっ、ああっ……出る、出ちゃうよ、姫……っ」
間断ない姫の乳愛撫に射精欲はみるみる高められ、茂安は早くも自身の鈴口のあたりまで精液が登り切っているのを感じた。
姫はそんな彼の様子を愛おしく見つめながら、亀頭の先端から出ている透明な汁を舐め取る。
「うああっ!」
「この透明な汁は……。花粉が出そうなのですね、ふふ……♪
では……次は、騎士の蜜を姫に舐め取らせてくださいませ……♪
んちゅっ、ちゅぶ……んっく、んふ……れろぉ……♪」
「出る、ほんとに……っ、うあっ、姫、姫ぇ……っ!」
「あ……っ♪」
乳の合間に埋めたペニスから、激しく湧き出るような射精が起こる。
精液は先走り汁を舐め取っていた姫の顔に向けて一気に迸り、彼女の唇から眉間まで白い線を引いた。
「はぁぁ……♪ ああ……っ、熱くて、甘い……♪
これが騎士の花粉……、私のめしべが受け取る、大好きな騎士の種……♪
じゅるっ、んじゅ……じゅぶ……っ……んっく♪」
「ひ、姫……すごい……っ、僕の精液、そんな風に……」
白く濁った粘っこい液体を顔に受けた姫は、細長い指先で丁寧に精液を拭い取ると愛おしそうにそれを眺める。
やがて彼女は指先に絡め取ったそれを唇に運び、蜂蜜を舐るように丹念に舐め取り、舌全体で味わうように転がしてから飲み込んだ。
茂安がその淫卑な様子に見惚れていると、姫はやがて笑みを浮かべ、葉のベッドの上にごろんと寝っ転がる。
お腹を上にした仰向けの姿は、犬の服従のポーズに似ていた。
茂安の方に足を向け、Mの字に開く。腿から先は葉の中に埋もれて見えないが、彼女はヒトの女性と変わる所のない股ぐらを開き、潤んだ女性器を茂安に見せつけるように開いた。
「さあ、我が騎士……、姫はもう、我慢が出来ません……♪
私達だけの、この檻の中で……
姫の発情しためしべに、貴方のおしべを触れ合わせてくださいませ……♪」
「……ううう、姫えっ!」
「きゃあっ♪」
もはや、二人の心には「受粉したい」という以外の思いはひとつとして無かった。
姫はめしべを広げて待っていて、騎士はおしべを硬く立たせて近づいていく。
茂安は姫の上に乗り、少しでも多くの肌を密着させようと押し付ける。
そんな茂安を姫は心からの愛で迎え入れ、両腕を体に巻きつかせ強く拘束した。
「はぁっ、あぁ…っ、んくっ、ああぁぁ……っ♪」
「ううっ、ああっ……」
言葉すらもなく、互いの吐息だけが近い所で絡みあう。
茂安が自身のペニスに手を添えると、姫は自身の秘所を広げてそれを招き入れる。
亀頭が膣口に触れ、やがてどろどろとした熱い中に少しずつ、飲み込まれていった。
「くぅぅ……っ、熱い、です……我が騎士……っ♪
燃えてしまいそうなくらい……っ、なのに、気持ちいい……っ♪
もっと、突き入れて……、きて、ください……っ♪」
「ひ、姫……っ、奥まで、入れるよ……!」
「んっ、あぁぁぁぁぁっ♪♪♪」
腰をグラインドさせてペニスを最奥まで差し込む。
やがて骨盤と骨盤が噛み合うくらい密着すると、姫は脳まで焼くような刺激にのけぞって悲鳴を上げた。
茂安の身体に回された手に力が入り、痛いくらいに締め付けられる。
「あ……ああ……♪ 私の、中に……、騎士の、全部が……♪」
「うあ、すご……っ、熱くて、絡んでくる……っ」
「ヒトの受粉行為は、こんなにも熱くて、激しいのですね……っ♪
でも、まだ……っ、知っていますよ、騎士……♪
これから、私のめしべで、貴方のおしべを刺激し……
そして花粉を、めしべの中に出すのですね……♪」
「ううっ……、姫……中に出して、いいの……?」
「当然です、もとより、それが目的なのですから……。んっ、また大きく……♪」
姫の言葉に茂安は一層興奮し、一回り大きくなったペニスをゆっくりと引き抜く。
そして膣内から抜ける手前まで引き出し、再び最奥に突き入れる。
姫の膣内は狭いながらもぬめりのある愛液でとろとろになっており、
茂安は自分のペニスでこすり上げるたび、激しい熱と絡みつくような膣内のうねりを感じていた。
「はぁっ♪ んん……っ♪ やっ、ああ……っ♪
我が騎士……っ、もっと、もっと強く姫の事を抱いてください……っ、
跡が残るくらい、強く……っ、貴方を、感じさせて……♪」
「うわあああっ、姫、姫っ、ひめ……っ!」
うわごとのように姫の名を繰り返しながら、茂安は壊れてしまいそうなほどに強く抱きしめる。
手のひらや腕の筋肉が隆起して身体を締め付けると、姫はそれだけで軽く達してしまっていた。
「あぁぁぁぁっ♪ 騎士っ、私だけの騎士……っ、好きです、愛しています……っ
初めて会った時から、ずっと私を守り続けてきてくれた貴方を……
貴方と、ずっと結ばれたかった……っ、しあわせ、っん、姫は、今とても幸せです……っ♪」
「ううっ、も、もう……っ、駄目、出ちゃう……っ」
「ああ……っ♪ ついに、姫のめしべに騎士の花粉が……♪
はいっ、先程のように、一番奥に……。確実に受粉するように、めしべの一番深い所に出してください……っ♪」
「ひ、姫……っ!」
「ん、ちゅっ……。んむ、んぶぅっ♪ あっあっ、あっ……」
受精のため、一番深い所での中出しを願う姫。
その姿にとても我慢ができなくなった茂安は、強引に姫にキスをしながら一際強く、一番奥にペニスを勢いよく差し入れる。
熱く蕩ける膣内がオスの精液を求めてきつく収縮すると、茂安と姫は互いにキスで繋がり合ったまま、最も強い絶頂を同時に受け入れた。
「うあ……っ」
「ああああっ♪♪♪ んっ、は、くぅぅぅ……っ♪♪♪ ああ……っ、
すごい……っ、姫のめしべの中に、勢いよく出ているのが分かります……♪
ん……っ♪ はぁぁ……っ、きもち、いい……っ♪」
長い射精が終わると、茂安は姫の胸の中に倒れ込む。
すっかり疲れ切った様子の彼を、姫は無理やりにでも前を向かせ、それから再び味わうようなキスをした。
「ん……っ、ちゅうう……♪ ……ご苦労様でした、我が騎士。
この姫の受粉にふさわしい、とても素敵な時間でしたよ……♪」
何度も何度もキスを重ねて。
温室のあたたかな日差しを浴びながら、二人はそれからしばらく葉の上で睦みあっていた。
その翌日。
茂安はいつもより上を向いて登校し、楽しく授業を受けていた。
出来たばかりの彼氏とイチャイチャしている紗木田さんを見ても、もう溜息は出てこない。
姫が言うところによると、実は魔物娘になる以前から、姫は茂安に「香り」のようなものをくっつけていたらしい。
すなわち、横取り防止である。
受粉のできる日が来るまで、この男に何人たりとも手を出すべからず、と。
魔物娘は好色ではあるが、誰かともう「つがい」になっている人物には手を出さない。
茂安が七回告白して全敗していたのも、おそらく姫の香りのせいなのだろう。
そう思うことにした。
その日はため息ひとつつかずに家にたどり着いた。いそいそと着替え、温室に向かう。
昨日の行為を経ての下心ももちろん無いわけではないが、それはそれとして、姫やほかの皆の世話もしっかり行いたい気持ちもある。
百合の花に、チューリップに、盆栽。姫以外のどの植物たちだって、どれも茂安にとっては大切なものなのだから。
やたらと飛んでいるフェアリーを不思議に思いながら、温室の戸を開く。
一番正面の奥には、今日も美しく鎮座する「姫」の姿。
彼女はひどく不機嫌そうな、ぶすっとした様子でこちらに視線を向けていた。
なぜだろう、と思う間もなく、右から左から声がかかる。
「あ、あのっ、ご主人様……。私、リリ、です。
そのっ、昨日のお姫様とのこと、見てて、いいなあって……。えと、私とも、よかったら……♪」
「お兄ちゃーん! ボク、リップ!
ね、ね、ボクもお兄ちゃんと受粉したいなっ、いいでしょっ、ねえっ!」
「まったく……子供というのは、慎みがなくて困るのう。
……ああ、茂安よ。今日も髪を整えてくれるかの? 綺麗にしてくれたら、この松が……特別な褒美を、くれてやろうぞ♪」
白いメイド服姿のアルラウネが。
元気いっぱいなショートカットのアルラウネが。
和服姿に、人形のように綺麗な黒髪のアルラウネが。
見たことのある鉢植えの中で、あちこちから茂安に声をかけていた。
「…………我が騎士」
そして、何か多くの意味を含めたような低い声で姫は言う。
「今日のお水が、まだですよ?」
にっこりと笑う。やはり多くの意味を込めて。
依然として投げかけられる、四方からの声。
どうしたらいいんだろうか、と思いつつ、
どうすることもできずに、茂安はとりあえずじょうろに水を汲み始めるのだった。
「ゴメン無理っ!!!」
七戦、七敗。
草木 茂安(くさき しげやす)はその結果を噛み締め、涙を飲むように空を見上げた。
──昼休みにサキュバスの紗木田さんに想いを告白し、玉砕。
その放課後、心なしかいつもより重い通学鞄を手に持ちながら茂安はうつむいて溜息を吐いた。
「魔物娘」という存在が現代社会に現れ、なんだかんだあって適応するようになってからだいぶ経つ。
運命の相手との交わり──ありていに言えばセックス──を重んじる彼女たちのおかげで、
現役高校生のカップル成立率、ついでに非童貞率は以前の比にならないほど上昇した。
茂安はそんな魔物娘社会において、数少ない「非モテ」である。
小学生の頃近所のクラーケンお姉さんに告白し、フラれたのを皮切りに、
同じ委員会の一反木綿さん、よく遊んでいたワーウルフちゃん、バイト先のサイクロプス先輩など、
いいな、と思った女性に積極的にアプローチをかけているのだが、決して「友達」以上の関係には進めずにいた。
そして、今日。サキュバスの紗木田さんで七人目である。
魔物娘の多くは人間に好意的である──という情報をあてにしているわけではないが、
同年代の友人たちが次々と「運命の相手」を見つけていく様子を見ると、
茂安の心には、なんで僕だけ、という思いが沸き上がらないはずもなかった。
「はぁ……」
三度めの溜息をつくと、家についていた。
自室に戻り、制服を着替え、鞄を置く。
自動操縦じみた動きを沈んだ心のままこなすと、四度目の溜息をついて階下に降りた。
気分は最悪。気持ちはどん底。今の茂安を救うのは、物心ついたころからずっと続けている「趣味」しかなかった。
温室の扉を開くと、むっとした暑気が肌全体に舞い込んでくる。
目に入るのは一面の緑。鉢植えの花々もあれば、竹の枠組みに絡む蔓草もあり。それと草花の香りにつられたフェアリーが、何匹かあたりを飛び回っていた。
「植物生育」──植物学者の父から任されている温室の管理は、茂安の長年の趣味になっている。
研究に必要な魔界植物が主な生育対象なのだが、茂安が趣味で買ってきた百合やチューリップ、盆栽なども併せて置かれており、
温室の中は、様々な木々や花々が入り乱れて育つ不思議な世界を形作っていた。
「ほら、水だよ。……うん、だいぶ元気になって来たみたいだ。こっちは……少し元気過ぎるかな。剪定しないと……」
ホースで温室に雨を降らせながら、茂安は植物たちをひとつひとつ観察し、様子を見ていく。
生き物と同じで、植物にも調子の良しあしというものがある。長年生育を続けてきた茂安は、もはや一目見ただけである程度の様子を把握できる優れた観察眼を持つまでに至っていた。
「……はい。お水の時間ですよ、姫」
一通り温室を巡り終えると、茂安は最後に中央にでんと置かれた大きめの鉢に水を向けた。
立派な焼き物の鉢のなか、大きな葉を中心から外側に向けて放射状に伸ばしている、どことなく赤道直下の国々を思わせるような植物である。
その植物は、名前を「リュウゼツラン」という。
中南米を主な生育地とする多肉植物で、その堂々たる様子から茂安は敬意をこめて「姫」と名付け、呼んでいる。
茂安が小学生の頃、父が海外土産として買ってきたのが出会いである。
計算すれば、およそ六年近い付き合いになるだろうか。
リュウゼツランは花を咲かすまで数十年かかり、それまでは緑の葉しかない一見華のない植物である。
だが、それでも茂安はそのリュウゼツランを気に入っていた。
花を咲かせずとも、鉢の上でどん、と構えるこの貫禄。
このリュウゼツランが何年目のもので、あと何年で花を咲かせるのかなんて分からないけれど、
このまましっかりと育て上げ、自分が大人になるころに花の咲くのをを見てみたいな、などと考えてもいた。
翌日、紗木田さんがクラスの男と付き合い始めたのを聞いた。
放課後、他校の男子に絡まれてるのを助けてもらい一目惚れしたのだそうだ。
お幸せに、と誰に言うでもなく呟き、茂安はその日三度空を仰いだ。
早足で帰ったので、その日は溜息二度で家に着いた。
自動操縦に身を任せ、汚れてもいい服装に着替え、階下の温室へ。
今日は蔓草と盆栽の選定でもしようか──と温室に向かう土間の最中で、ふと、いつもより温室に集まるフェアリーが多いことに気づく。
くすくす、くすくすと笑い声。
フェアリー・サーキットを描くように上機嫌で飛び回る彼女らは、みなが一様に
女王様が生まれた。女王様が生まれた。
と、言い交しては笑い合っていた。
なんのことだろう、と思いながら温室の扉を開く。
いつも通りのむわっとした暑気が肌を刺し──そして茂安の鼻孔を、甘い匂いがくすぐった。
「…………ようやく戻りましたか、私の騎士」
少し幼さの残る女性の、しかし低く厳かな声が聞こえる。
目線をまっすぐ正面に向けると、温室の正面、中心部にリュウゼツランの鉢植えが置かれていた。
放射状に伸びた葉は昨日見たものよりもずっと大きく、異常なほど巨大に育っている。
人一人寝ころべるくらい大きな葉の上には、円形のベッドのように丸い葉が敷かれ、
そしてその中心には涼やかな目をした女性がひとり、座っていた。
肌は茶褐色、美しく長い脚は腿から先がリュウゼツランの中に飲み込まれており、植物と一体化しているように見える。
大きく突き出た張りのある臀部は、腰で大きくすぼまり壺口にも似た美しいラインを形成する。
両胸に張り出した乳房は両手のひらでおさまらないほど大きく、その先端は長い金色の髪で覆い隠されていた。
輪郭はほっそりと面長、顔はやや吊り上がった細く小さな目と、すっと一本筋の通った鼻立ちが凛とした女性という印象を与える。
唇は褐色肌に映える薄いピンク、瞳の色はルビーの紅。細い眉に、腰まで届くような豊かな金髪を無造作に垂らしていた。
「え……あのっ、うわっ!?」
いつもの温室、リュウゼツランの鉢植えに座る全裸の見知らぬ美女。
あまりの理解を越えた状況に、ずり、と思わず身を引いたその瞬間。
温室を飛び回るフェアリーたちが茂安の両手をがっしりと掴み、有無を言わさずその身体を鉢植えの前まで運び上げた。
「今、立ち去ろうとしましたか? ……意外と小心なのですね、まったく」
女性はその細い指先を茂安の方に差し向けると、リュウゼツランの葉を触手のように伸ばし彼の身体に巻き付ける。
葉は多肉植物とはいえ尋常でないほど強靭で、抵抗を許さず、しかし優しく茂安を葉のベッドの上に運んだ。
「姫の前で挨拶もせずに去る騎士が、どこにいるというのですか」
ぴんと立ったその女性は冷たい、しかしどこか甘さの残る目で座り込む茂安の姿を見下ろす。
豊かな土の色を思わせる褐色の肌が茂安の視界いっぱいに広がり、そしてその肢体から発せられるむせ返るほどの甘い香りが鼻孔いっぱいに広がっていた。
くらくらするほどの色香に戸惑いながらも、茂安は彼女の言葉にはっと気づき、目を丸くする。
「姫って……もしかして、姫なの?」
「ええ。貴方が小さなころからずっとそばにいて、貴方が慕い続けたこの姫です。
……見た目がちがうというのは、そんなにも人を惑わせるものなのですか?」
姫は屈み、まだ戸惑った様子の茂安を覗き込むように目を合わせる。
二つの豊かな乳房が触れそうなくらい近くにぶら下がり、茂安は緊張と興奮からごくりと唾を飲み込んだ。
「そりゃあ……あ、いや、でも……」
茂安は自身が腰かける葉のベッドに手を触れる。
触れると少し押し返す、弾力のある多肉植物の葉。それにベッドの周りに広がる棘のある葉。
何より、目の前の女性の姿と雰囲気。他を寄せ付けない堂々たる風格と、それでいながら内側に優しさを感じる様子。
「……ごめん。確かに、見たら分かるよ。間違いなく姫だ」
「そうでしょう。まあ、私の騎士ならば当然ですね」
姫はそう言うと両腕を胸の前で組み、巨大な両乳房を重そうにその上に乗せる。
たぷん、と揺れる柔らかそうなそれに、茂安は下腹部が熱くなってくるのを感じていた。
「あのっ、えと……その『騎士』って、僕?」
「もちろん。幾年もの間陰日向なく私のそばで私を守り、支えてくれた忠義の徒……。
貴方こそ、この姫が騎士と呼ぶに相応しいというものでしょう?」
臆面もなくそんな事を言う姫に、茂安は少し恥ずかしげに顔を赤くする。
守る、支えるといったって、せいぜい毎日の水やりと葉につく虫を払ってあげたくらいのことしかしていないのだが。
とはいえ……。茂安にとって植物の世話は、とりたてて褒められることもなく、それでも数年間ずっと続けてきた唯一無二の趣味である。
育ててきた娘から直接そんな風に言われることは、決して悪くは感じない。
むしろ、じんわりとした暖かさを茂安の心のうちに感じさせていた。
「……でも、どうして急に人間に……。これ、魔物娘『アルラウネ』の姿だよね?」
茂安は魔物娘の種類に特別詳しいほうではないが、植物好きとして、その名前は覚えていた。
植物が魔力を受け、魔物娘に変化すると「アルラウネ」なる魔物になる。
本来は緑色の肌をしていると聞いているが……。リュウゼツランから変化した特性なのだろうか。と、茂安はなんとなく分析していた。
「あれ……待って、この髪の色……姫、もしかして……」
「気づきましたか。……ふふ、流石は私の騎士」
どこか自慢げに姫は微笑むと、人差し指を立てて茂安の鼻先に差し向ける。
「見せてあげましょう」
それから姫は少しだけ力を入れるようにいきむと、その人差し指の上に瞬く間に花が咲いた。
爪から付け根にかけて、天をめがけてまっすぐに咲く黄色い花である。
「リュウゼツランの花……姫、咲いたの!?」
「ええ。貴方の騎士としての働きによって」
そう言って左手ですくい上げた彼女の髪は、人差し指の花の色と同じ、輝かしい黄色をしていた。
指先の花の香りに夢中になる茂安。その姿にうっとりと目を細めながら、姫は言葉を続ける。
「……花を咲かせた私たちが、行うのはたったひとつ」
口元に薄く笑みを浮かべると、彼女はそのまま茂安をベッドに押し倒した。
もともと、頭一つ分身長の高い彼女である。魔物娘としての力の差もあり、茂安は抵抗する間もなく彼女の胸の中に顔を埋めさせられる。
「ふっ……むごっ……!?」
「『受粉』です。私の騎士よ。貴方の長年の忠義に報い──私の花に触れ、ここに受粉することを許します」
「──!?」
どきり、と心臓が跳ねる。
受粉は、花の内側にあるめしべにおしべが作り出した花粉を付着させる行為。
そしてそれは、新しい種を生み出すための行為に他ならない。
「ちょ、ちょっと姫、、それって──!?」
「開花することは、少し前から分かっていました。でも、私はたった一人で受粉したくはない。それが、植物として生まれた宿命だとしても」
柔らかな葉のベッドに押し倒され、彼女の甘い匂いと土の匂いが交じり合って鼻孔をくすぐる。
下から見上げた姫の顔は影になっているが、それでも今までの威風堂々とした表情とは少し違う、
緊張したような、覚悟を決めるような、少女めいた愛らしさを顔からにじませていた。
「私は、種を作るなら……貴方とともに、貴方の精を受けて作りたいと、思ってしまったのです」
ふわり、と長い髪が宙に浮いたと思うと、彼女は一糸まとわぬ姿のまま、茂安の身体に身を寄せる。
痛いほど強く抱きしめるその力を受けて、茂安は今まで感じたことのない暖かい気持ちが胸に広がっていくのを感じていた。
「魔力干渉、というものなのでしょうかね。次の日にはもう、私の身体は変わっていました。
貴方からの種を受け取るための、魔物娘としての姿に。
……騎士。ねえ、私の騎士。突然なのは、分かっているのです。でも……」
ほのかに潤んだ、熱を帯びた目で姫は見つめる。
「……姫の願いを……どうか、叶えてはくれませんか?」
茂安の頭に今まで育ててきた姫との記憶がフラッシュバックする。
小学生の頃、大きな鉢植えの中でしゃんと胸を張っていた姫の姿。
毎日世話をするごとに大きくなり、昔は大きすぎるくらいだった鉢植えも今では葉を受け止めきれず、溢れさせてしまっている。
毎年は咲かないリュウゼツラン。しかしその姿はいつも誇らしげで、そんな姫が、茂安はずっと──好きだったのだ。
「姫」
ひくん、と震える肩を抱いて、茂安は笑みを浮かべる。
「嬉しいよ。……その、僕は初めてだから、上手に出来るか分からないけど……それでも、いいなら」
ぱああ、と花咲くような笑みが浮かぶ。
そしてすぐに、姫は取り繕うような澄まし顔に。それでも喜びが抑え切れないらしく、どこか弾んだ声で茂安の声に応えた。
「ふふ、それなら問題ありません。
この姿になってから、どうしてか、ヒトとの受精行為に関する知識が次々と浮かんでくるのです。……例えば、そう。こんなこと──とか」
ぬるり、と熱いものが茂安の唇に触れる。
鼻いっぱいに一気に広がる、濡れて湿った肌の匂い。濃いメスの匂い。
舌を入れられている、と気づいたのは、十秒たっぷりと口内をいじめられた後だった。
「ちゅ……♪ んく、んぷっ……。んっ、ぷふ……。
……ふふ。舌を絡め合うのは、悪くありませんね。
受精とは直接関係のない行為ですが……。とても甘く、特別な味がします……。
それに、騎士の匂いや身体をとても強く感じられて……大変好ましいです。もう少し、しておきましょう……♪」
「んぶっ、んうう……んっ、ひ、姫……っ」
葉っぱのベッドの上で、二人は朝顔の蔦のように絡み合う。
宙をさまよう茂安の手はやがて姫の背中を抱き、互いに初めての快楽に戸惑いながら、二人は本能で貪るようにキスを重ねた。
「んく……っ♪ はあ……。れ、る……っ♪
……舌という器官は、なかなか……。『味わう』という行為も、クセになります……♪ ちゅぅ……♪」
「はぁっ、んくっ……」
茂安は目を快楽で蕩けさせながら、姫が差し入れてくる舌を口全体で舐る。
リュウゼツランは茎に大量の糖分を含むというが、姫の口内は脳髄まで溶かす蜜のような危険な甘さに満ちていた。
「ちゅぷ……。ふふ♪ ではそろそろ、花弁を剥いで……騎士の逞しいおしべを見せてもらいましょう♪」
唇を離した姫はじゅる、と口元の唾液を拭い、彼の服に手をかける。
慣れない「手」の動かし方に難儀しつつも、ぷつり、ぷつりとボタンを剥ぎ、茂安の素肌をあらわにしていった。
「まあ……花弁を解くと、中からとても強いにおいがしますね……♪」
「あ、汗臭い……かな」
「汗、というものは、分かりませんが……。蜜蜂も惑わされるようなかぐわしい香りです……♪
ああ……♪ 嗅いでいるだけで、この姫のめしべが潤んでしまいます……♪」
姫は目を爛々と輝かせながら、茂安の胸板に顔を押し付けると思い切り鼻から息を吸い込んだ。
「はああ……っ♪ ああ……これが『オスの匂い』というものですか……♪
……うう。植物として、騎士の毎日のお水を受けるのも良いですが……
こうして『味わい』、『嗅ぐ』ということをするのは……。堪えがたい気持ちよさがありますね……♪
んん、あっ……んふ……っ♪」
悦楽に目を細め、口をだらしなく開きながら、
姫はくちゅ、くちゅと自身の「めしべ」に手を伸ばす。粘着質な水音が、茂安の耳に届いていた。
「ふふ……♪ 見てください、我が騎士……♪
魔物娘としての姫が蓄えた、愛の蜜です……♪ よく、味わってくださいね……♪」
「んぶっ……うあ……」
秘部からぐちょぐちょに漏れ出た愛液を指先に絡め、茂安の目の前で開いて見せつける。
透明の糸を引くその指を強引に茂安の口に押し込むと、苦しそうに呻く彼の姿を見て姫はひどく興奮した笑みを浮かべた。
「ああ……っ、我が騎士が、私のめしべの蜜を……っ♪ そんなに、音を鳴らして啜って……
ううっ、昂ってしまいます……っ♪ ああっ、騎士、騎士っ♪ 姫はもう、我慢できません……っ♪」
すっかり高まった様子の姫は抗いようのない力のまま、茂安の下の衣服を毟り取るように脱がせていく。
下着を脱がせると、既に限界まで屹立した男性のシンボルが天を突くようにそびえたっている。
自らの顔ほどの大きさもあるそれに、姫は吐息を荒くしながらしばらく魅入っていた。
「はぁ……っ、はぁ……っ♪ これが、夢に見た我が騎士のおしべ……っ
幹のように太く、なんて力強い形……♪ 見ているだけで、潤みが止まらなくなってしまいます……っ♪」
震える手で亀頭のあたりを一撫ですると、茂安は苦しそうに呻き、男根を震わせる。
その反応に少しだけたじろぎながらも、姫はやがて淫猥な笑みを浮かべて自身の豊かな乳房に手を這わせた。
「……『ぱいずり』というものをすると、騎士は喜びますか?」
「あ……っ!」
姫の涼やかな声で発せられた低俗なフレーズに、茂安のペニスがひときわ大きく跳ねる。
あからさまな反応に、姫は悪戯っけな笑みを浮かべ、自らの両乳とペニスをちょんちょんと触れ合わせた。
「うああっ、姫……」
「この、熟しきった果実のような柔らかい部分で、おしべを丁寧に刺激すると……男性は、花粉がたくさん出るのですよね?
ふふ、どうか見せてくださいませ。めしべと触れ合う前に、騎士のおしべがどうなるのかを見てみたいのです…♪」
魔物娘としての知識か、姫は豊かな両乳の谷間に茂安のペニスを埋め、たぷたぷと揺らし始める。
週刊誌のグラビアに出ていた女優やアイドルより、よほど大きく、張りのある乳房。
褐色の両乳は姫自身の汗によっててらてらと光っており、その谷間から自身の亀頭が出たり、入ったりする様子は、
未経験の茂安にとってあまりに刺激が強く、一分と経たぬ間に猛烈な射精欲求が立ち上ってくるのを感じていた。
「んふっ、っ、ふう……。なかなか、大変ですね……♪
姫である私が、こんな奉仕をするなんて……。でも、我が騎士に喜んでもらえるなら、それも悪くはありません……♪
……えいっ、今度は、左右に……ねじるように……っ、それっ、それっ♪」
「んうっ、ああっ……出る、出ちゃうよ、姫……っ」
間断ない姫の乳愛撫に射精欲はみるみる高められ、茂安は早くも自身の鈴口のあたりまで精液が登り切っているのを感じた。
姫はそんな彼の様子を愛おしく見つめながら、亀頭の先端から出ている透明な汁を舐め取る。
「うああっ!」
「この透明な汁は……。花粉が出そうなのですね、ふふ……♪
では……次は、騎士の蜜を姫に舐め取らせてくださいませ……♪
んちゅっ、ちゅぶ……んっく、んふ……れろぉ……♪」
「出る、ほんとに……っ、うあっ、姫、姫ぇ……っ!」
「あ……っ♪」
乳の合間に埋めたペニスから、激しく湧き出るような射精が起こる。
精液は先走り汁を舐め取っていた姫の顔に向けて一気に迸り、彼女の唇から眉間まで白い線を引いた。
「はぁぁ……♪ ああ……っ、熱くて、甘い……♪
これが騎士の花粉……、私のめしべが受け取る、大好きな騎士の種……♪
じゅるっ、んじゅ……じゅぶ……っ……んっく♪」
「ひ、姫……すごい……っ、僕の精液、そんな風に……」
白く濁った粘っこい液体を顔に受けた姫は、細長い指先で丁寧に精液を拭い取ると愛おしそうにそれを眺める。
やがて彼女は指先に絡め取ったそれを唇に運び、蜂蜜を舐るように丹念に舐め取り、舌全体で味わうように転がしてから飲み込んだ。
茂安がその淫卑な様子に見惚れていると、姫はやがて笑みを浮かべ、葉のベッドの上にごろんと寝っ転がる。
お腹を上にした仰向けの姿は、犬の服従のポーズに似ていた。
茂安の方に足を向け、Mの字に開く。腿から先は葉の中に埋もれて見えないが、彼女はヒトの女性と変わる所のない股ぐらを開き、潤んだ女性器を茂安に見せつけるように開いた。
「さあ、我が騎士……、姫はもう、我慢が出来ません……♪
私達だけの、この檻の中で……
姫の発情しためしべに、貴方のおしべを触れ合わせてくださいませ……♪」
「……ううう、姫えっ!」
「きゃあっ♪」
もはや、二人の心には「受粉したい」という以外の思いはひとつとして無かった。
姫はめしべを広げて待っていて、騎士はおしべを硬く立たせて近づいていく。
茂安は姫の上に乗り、少しでも多くの肌を密着させようと押し付ける。
そんな茂安を姫は心からの愛で迎え入れ、両腕を体に巻きつかせ強く拘束した。
「はぁっ、あぁ…っ、んくっ、ああぁぁ……っ♪」
「ううっ、ああっ……」
言葉すらもなく、互いの吐息だけが近い所で絡みあう。
茂安が自身のペニスに手を添えると、姫は自身の秘所を広げてそれを招き入れる。
亀頭が膣口に触れ、やがてどろどろとした熱い中に少しずつ、飲み込まれていった。
「くぅぅ……っ、熱い、です……我が騎士……っ♪
燃えてしまいそうなくらい……っ、なのに、気持ちいい……っ♪
もっと、突き入れて……、きて、ください……っ♪」
「ひ、姫……っ、奥まで、入れるよ……!」
「んっ、あぁぁぁぁぁっ♪♪♪」
腰をグラインドさせてペニスを最奥まで差し込む。
やがて骨盤と骨盤が噛み合うくらい密着すると、姫は脳まで焼くような刺激にのけぞって悲鳴を上げた。
茂安の身体に回された手に力が入り、痛いくらいに締め付けられる。
「あ……ああ……♪ 私の、中に……、騎士の、全部が……♪」
「うあ、すご……っ、熱くて、絡んでくる……っ」
「ヒトの受粉行為は、こんなにも熱くて、激しいのですね……っ♪
でも、まだ……っ、知っていますよ、騎士……♪
これから、私のめしべで、貴方のおしべを刺激し……
そして花粉を、めしべの中に出すのですね……♪」
「ううっ……、姫……中に出して、いいの……?」
「当然です、もとより、それが目的なのですから……。んっ、また大きく……♪」
姫の言葉に茂安は一層興奮し、一回り大きくなったペニスをゆっくりと引き抜く。
そして膣内から抜ける手前まで引き出し、再び最奥に突き入れる。
姫の膣内は狭いながらもぬめりのある愛液でとろとろになっており、
茂安は自分のペニスでこすり上げるたび、激しい熱と絡みつくような膣内のうねりを感じていた。
「はぁっ♪ んん……っ♪ やっ、ああ……っ♪
我が騎士……っ、もっと、もっと強く姫の事を抱いてください……っ、
跡が残るくらい、強く……っ、貴方を、感じさせて……♪」
「うわあああっ、姫、姫っ、ひめ……っ!」
うわごとのように姫の名を繰り返しながら、茂安は壊れてしまいそうなほどに強く抱きしめる。
手のひらや腕の筋肉が隆起して身体を締め付けると、姫はそれだけで軽く達してしまっていた。
「あぁぁぁぁっ♪ 騎士っ、私だけの騎士……っ、好きです、愛しています……っ
初めて会った時から、ずっと私を守り続けてきてくれた貴方を……
貴方と、ずっと結ばれたかった……っ、しあわせ、っん、姫は、今とても幸せです……っ♪」
「ううっ、も、もう……っ、駄目、出ちゃう……っ」
「ああ……っ♪ ついに、姫のめしべに騎士の花粉が……♪
はいっ、先程のように、一番奥に……。確実に受粉するように、めしべの一番深い所に出してください……っ♪」
「ひ、姫……っ!」
「ん、ちゅっ……。んむ、んぶぅっ♪ あっあっ、あっ……」
受精のため、一番深い所での中出しを願う姫。
その姿にとても我慢ができなくなった茂安は、強引に姫にキスをしながら一際強く、一番奥にペニスを勢いよく差し入れる。
熱く蕩ける膣内がオスの精液を求めてきつく収縮すると、茂安と姫は互いにキスで繋がり合ったまま、最も強い絶頂を同時に受け入れた。
「うあ……っ」
「ああああっ♪♪♪ んっ、は、くぅぅぅ……っ♪♪♪ ああ……っ、
すごい……っ、姫のめしべの中に、勢いよく出ているのが分かります……♪
ん……っ♪ はぁぁ……っ、きもち、いい……っ♪」
長い射精が終わると、茂安は姫の胸の中に倒れ込む。
すっかり疲れ切った様子の彼を、姫は無理やりにでも前を向かせ、それから再び味わうようなキスをした。
「ん……っ、ちゅうう……♪ ……ご苦労様でした、我が騎士。
この姫の受粉にふさわしい、とても素敵な時間でしたよ……♪」
何度も何度もキスを重ねて。
温室のあたたかな日差しを浴びながら、二人はそれからしばらく葉の上で睦みあっていた。
その翌日。
茂安はいつもより上を向いて登校し、楽しく授業を受けていた。
出来たばかりの彼氏とイチャイチャしている紗木田さんを見ても、もう溜息は出てこない。
姫が言うところによると、実は魔物娘になる以前から、姫は茂安に「香り」のようなものをくっつけていたらしい。
すなわち、横取り防止である。
受粉のできる日が来るまで、この男に何人たりとも手を出すべからず、と。
魔物娘は好色ではあるが、誰かともう「つがい」になっている人物には手を出さない。
茂安が七回告白して全敗していたのも、おそらく姫の香りのせいなのだろう。
そう思うことにした。
その日はため息ひとつつかずに家にたどり着いた。いそいそと着替え、温室に向かう。
昨日の行為を経ての下心ももちろん無いわけではないが、それはそれとして、姫やほかの皆の世話もしっかり行いたい気持ちもある。
百合の花に、チューリップに、盆栽。姫以外のどの植物たちだって、どれも茂安にとっては大切なものなのだから。
やたらと飛んでいるフェアリーを不思議に思いながら、温室の戸を開く。
一番正面の奥には、今日も美しく鎮座する「姫」の姿。
彼女はひどく不機嫌そうな、ぶすっとした様子でこちらに視線を向けていた。
なぜだろう、と思う間もなく、右から左から声がかかる。
「あ、あのっ、ご主人様……。私、リリ、です。
そのっ、昨日のお姫様とのこと、見てて、いいなあって……。えと、私とも、よかったら……♪」
「お兄ちゃーん! ボク、リップ!
ね、ね、ボクもお兄ちゃんと受粉したいなっ、いいでしょっ、ねえっ!」
「まったく……子供というのは、慎みがなくて困るのう。
……ああ、茂安よ。今日も髪を整えてくれるかの? 綺麗にしてくれたら、この松が……特別な褒美を、くれてやろうぞ♪」
白いメイド服姿のアルラウネが。
元気いっぱいなショートカットのアルラウネが。
和服姿に、人形のように綺麗な黒髪のアルラウネが。
見たことのある鉢植えの中で、あちこちから茂安に声をかけていた。
「…………我が騎士」
そして、何か多くの意味を含めたような低い声で姫は言う。
「今日のお水が、まだですよ?」
にっこりと笑う。やはり多くの意味を込めて。
依然として投げかけられる、四方からの声。
どうしたらいいんだろうか、と思いつつ、
どうすることもできずに、茂安はとりあえずじょうろに水を汲み始めるのだった。
22/02/24 17:09更新 / はなかる