読切小説
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魔物娘といっしょ! お目覚めタイム編!
 ヴァンパイアさんを起こしてみた場合

「ん……あなた……」
「大好き……あなた……」
「すぅ……すぅ……」

 ……後で怒られそうだけど、もう少しそっとしておくとするかな。



 ナイトメアちゃんに起こしてもらった場合

「ひゃぁっ! あっ、やぁっ……!」
「あのっ、そのっ……えっと……その……」
「……ぉ……おはよ……ぅ……?」

 君ってば夢だとあんなに大胆なのに、起きてるとすっごくシャイだよね。



 アントアラクネちゃんを起こしてみた場合

「んん……? なぁに? まだ朝の10時だよぉ……?」
「こんなに早く起こさなくたって良いじゃん……もう一眠りさせてよ……」
「休みの日ぐらいゆっくりしなきゃね……おやすみなさーい……」

 お前は毎日休みじゃないか! こらぁ、起きろぉっ! このニート娘ぇっ!



 マーメイドさんに起こしてもらった場合

「ラララララ〜♪ 愛のこもった朝食〜♪ あなたに食べてほしいの〜♪」
「ささ、あなた〜♪ できましたよ〜♪ 私の手料理を召し上がれ〜♪」
「ふふ……おはようございます、あなた。ちゃんと起きてくださいましたね?」

 ふわぁ……いや、その歌を聴くとね。どれだけ眠くても足が勝手に動くんだよ。



 アルプきゅんを起こしてみた場合

「えへへ……ありがと、起こしに来てくれたんだ」
「あーでもボクまだ眠いかなぁー。まだ布団から出られないかなぁー」
「……キミがキスしてくれないと、起きられないかなぁ。えへ、えへへっ♪」

 こいつ、死ぬほど恥ずかしい真似させやがって……分かったよ。顔、こっち向けて……。



 ワーシープちゃんに起こしてもらった場合

「だんな様〜、おはようございます〜」
「うふふ〜、わたしがお着替えのお手伝いをしてさしあげますね〜」
「あらら〜? だんな様〜? まだおねむなんですか〜?」

 だめ……近づかれたらねむく……ぐぅ……すぴぃ……



 バフォ様を起こしてみた場合

「あ、兄上ぇ……ごめんなさいなのじゃぁ……」
「今度から兄上の言うことをきちんと聞くから……夜にジュースの飲み過ぎは止めるから……」
「だから魔女たちには秘密にしておいてほしいのじゃぁ……兄上ぇ、あ〜に〜う〜え〜……」

 サバトの首領がおねしょだなんて……次から気をつけるんだぞ、もう。



 チェシャ猫さんに起こしてもらった場合

「にゃふふふ……やぁやぁお兄さん、おはよう。気分はいかがかな?」
「気の良い帽子屋から気付けの紅茶を貰ってあるからね。一気に飲むと良い」
「さあ、それを飲んだら早速出発しようか! 不思議の国1名様ごあんなーい!」

 ここっ、ここどこ!? 俺の部屋じゃな、え、ちょ、えええええええええええええ!?



 白蛇さんを起こしてみた場合

「んん……だんなさまったら……おねぼうさんなんですから……」
「あさごはんの……したくができて……」
「……くぅ……すぅ……すぅ……」

 この人、朝だけは弱いんだよなぁ。もしもーし、起きてくださーい。聞こえてますかー?



 サハギンちゃんに起こしてもらった場合

「…………………………………………………………………………」ジーッ
「…………………………………………………………………………」ジーッ
「…………………………………………………………………………」ジーッ

 むにゃむにゃ……ぐぅ……すぴぃ……



 ゾンビちゃんを起こしてみた場合

「……ぅー?」
「ぁー……ぅー……」
「んんー……んー、うぅー……」

 おはよ。さ、一緒に顔洗って寝癖直しに行こうね。



 ワイトさんを起こしてみた場合

「……ぅー?」
「ぁー……ぅー……」
「んんー……んー、うぅー……」



 あらら、寝ぼけて頭の中がゾンビちゃんに戻っちゃってる。



 コボルドちゃんに起こしてもらった場合

「わふぅ! ご主人さま、おはようございますぅ!」
「今日も良いお天気ですよ! お散歩! 早くお散歩に行きましょう!」
「お顔を洗ってさしあげますね! ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ!」

 あ、ありがと……もう綺麗になったから……やめ、止めて……。



 ぬらりひょんさんを起こしてみた場合

「ふわぁ……ん、ご苦労さん。ちゃんと起こしに来るたぁ分かってるじゃないか」
「アタシはちょちょいと着替えてから行くよ。お前さんは朝飯の準備をしておいてくれ」
「おや、もうできてるって? へぇ、ますます感心だねぇ。それでこそアタシの旦那だよ」

 あれ、俺って奥さんいたっけ? ま、いいか。お味噌汁冷めちゃうから早く来てねー。



 キョンシーちゃんに起こしてもらった場合

「〜〜〜〜♪」サラサラ
「えい」ペタッ
「……………………起きた?」

 あのなぁ、人間は札を貼っ付けられて起きるわけじゃないって言ってるだろ?


 エンジェルちゃんに起こしてもらった場合

「おはようございます! お天気は爽やかな快晴ですよ!」
「さあさあ、起きてください! 目を開くとそこには朝日を浴びて輝く可愛いエンジェルちゃんの顔が!」
「ああ、なんて素晴らしい目覚めなんでしょう! これであなたは今日も一日幸せですね!」

 すみません、頼みますからもっと普通に起こしてください(真顔)



 サキュバスさんに起こしてもらった場合

「あ・な・たー! おっはよー!」
「まあ、あなたったら朝から元気いっぱいなのね! 私も嬉しいわ!」
「それじゃ、おはようのキスしてあげちゃうわね? うふふ……こんなに硬くしちゃって」

 あの、俺の股間に向かって話しかけるの止めてくれません? あ、らめっ、いきなりそんなに吸っちゃらめえええええええええ!



 ヴァンパイアさんを起こしてみた場合 その2

「まったく、何故もっと早く起こさなかったんだ! 今日も私は忙しいのに――なに、夢だって?」
「………………見ていない、見ていないぞ。夢なんてこれっぽっちも見ていなかった」
「変なことを聞いてる暇があるのか! いいからお前はさっさと着替えを持って来い!」

 くすっ……はい、分かりました。すぐに仕度をしますね。



 ヴァルキリーさんに起こしてもらった場合

「おはようございます。すぐに着替えてください。朝の鍛錬が待っていますよ」
「こ、この格好は……! 誤解です! これには深い訳が存在するのです!」
「この裸エプロンは神からのご命令なのです! 決して私の意志ではありません!」

 イエスッ! イエスイエスイエスッ! 神様マジGJ! ふぉおおおおおおおおおおおおおっ!



 白蛇さんを起こしてみた場合 その2

「んん……だんなさまぁ……? おはようございまふぅ……」
「おはようのくちづけをしてさしあげまふ……んちゅぅぅ……」
「すぐに……あさごはんのしたくもしまふね……くぅ……」

 ……ホント、朝だけは弱いんだよなぁ。巻きつかれちゃってるし、こりゃしばらく離れられそうもないか。











 ゲイザーちゃんを起こしてみた場合


 彼女は可愛い。
 すごく可愛い。
 もんのすごく可愛い。
 どこが可愛いかと聞かれれば、山ほど可愛いところがあるのだけれど。
 今日のところは。

「ふわぁ……ちょっと、なに見てるのさ……」

 寝起きの様子が可愛い。

 大きな一つ目をコシコシ擦りながら、たくさんある触手の目玉もシパシパ。
 それでいて寝起きなもんだから、お目々は全部ウルウルだ。
 こらえきれずに欠伸を漏らしたところで、そのお目々からは涙がポロポロ。

 これだけでもう分かってくれると思う。めがっさ可愛い。
 もう朝から僕は彼女のことで頭がいっぱいになるぐらい、とにかく可愛い。
 可愛いぞ。ああ可愛いぞ。可愛いぞ。

「アタシの顔に何かついてるわけ……?」
「違うよ、君の寝起き顔が可愛いと思っただけ」

 相変わらず僕がバカ正直に答えると、彼女はウルウルした目のまま頬をちょっぴり赤く染めた。
 それから、すっかりお馴染みになってしまった、首を軽く横にぷいっ。
 だけど、目だけは僕の方にしっかりと向けられていて。
 唇を尖らして、困ったような、恥ずかしいような、そんな様子でぼそっと。

「キミってば、そういうことばっかり言う……」

 仕方ない。
 だって君が可愛いんだもの。

「……ねえ」

 すると彼女は、まだ赤い顔のままこっちに近づいてきた。

「んっ」

 そして、ちゅっと。
 軽い口付けが僕の唇に。
 ドクン、と大きく心臓が跳ねる。
 戸惑う僕に、彼女は照れくさそうな笑顔。

「ありがと」

 そう言うと彼女はベッドから降りて、フワフワと浮いたまま部屋の外に向かった。

「シャワー浴びてくるね」

 彼女の姿が見えなくなったところで、僕はベッドの布団に突っ込んだ。

 ダメだ、死ぬ。
 彼女が可愛過ぎて死ぬ。
 キュン死する。
 卑怯だ。彼女はものすごい卑怯。
 なんであんな可愛い真似ができるんだろう。

 結局僕は彼女が戻ってくるまでの間ずっと、顔を突っ伏しながらベッドを叩いて悶える羽目になった。
 その行動を見られ、彼女に「バッカじゃないの?」という言葉を頂いてしまったけれど。
 でも仕方ないじゃないか。
 だって、彼女が可愛いんだもの。

 僕にとって、世界一。











 おしまい♪
17/07/18 23:35更新 / まわりの客

■作者メッセージ
今回のお気に入りネタは白蛇さんとヴァンパイアさんかなぁ。
あまり新しい魔物娘ちゃんを入れられないのが少し残念な感じでしたけれど。

ゲイザーちゃん? ゲイザーちゃんはね、特別なの。特別枠なの。

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