読切小説
[TOP]
魔物娘にツンデレになってもらった
 オーガさんがツンデレた場合

「べ、別にオレはお前のことなんて好きでもなんでもないっつーの!」
「ただオレは男とヤリたいだけで……そう、これは仕方なくなんだからなっ!」
「分かったらとっととアタシにヤらせやがれこの野郎! おい待て逃げんなコラぁっ!」

 ひいいいいぃぃぃぃ!? なんか顔を真っ赤にして追いかけてくるうううぅぅうぅぅ!?



 テンタクルちゃんがツンデレた場合

「べ、別に私はあなたのことなんて気になったりしてません!」
「ただ私の触手でドロドログチャグチャに気持ち良くしてあげようかと思っただけです!」
「私の触手にかかればきっとあなたもメロメロに……な、何でもないです! 何でもないですから、こっちに来てください!」

 あはは……せっかくだけど強制触手地獄に落とされるのは勘弁願いたいなぁ。



 ドラゴンさんがツンデレた場合

「べ、別に私はお前のことを宝物だなんて思ってないんだからな!」
「ん、どこに行こうとしてる? 何っ、一人で山を下りて街にまで買い物だとっ!?」
「ダメだダメだっ、山から滑り落ちたりでもしたらどうするっ! ええい、私が送っていってやる! いや、着いて行くぞ!」

 嬉しいことに俺への扱いはすごく丁寧なんだよなぁ、ホント。



 アルプきゅんがツンデレた場合

「べ、別にボクは女の子になんてなりたくなかったんだからね!」
「ただキミが他の女の子と話をしてると胸が痛くなって……って、何言わせるのさバカぁ!」
「とにかくボクももう女の子なんだから優しくてしてよね! ほら、約束してよ!」

 小指を差し出されたんだけど……えっと、指切りをすれば良いのか?



 ミミックちゃんがツンデレた場合

「べ、別に私はあんたなんかにこの宝箱を開けてほしくなんかないんだからねっ!」
「だから絶対に開けちゃダメよ!? どんなに開けたくなってもダメなのよ!?」
「いくらこの中にキュートでプリティーな美少女がいるからって開けちゃダメなんだからね!?」

 開けるなって言ってるし帰るか。お疲れ様でしたー。



 マーメイドさんがツンデレた場合

「べ、別に私は貴方のために歌っているのではないのですからね!」
「ただ私はこの場所で歌うのが好きで、貴方をここで待っているわけではないのです!」
「あっ……もう行ってしまわれるのですか? し、仕方ないからまた聴きにきても良いのですよ……?」

 明日もまた来ますね。貴女の歌を聴いてると心が安らぎますから。



 アリスちゃんがツンデレた場合

「べ、別にアリスは頭をなでられたって嬉しくなんてないんだからねっ!」
「そんなになでられたって……ふみゅっ! きゃっ、ひゃっ、ふみゃっ♪」
「お、おにいちゃんってば! アリスのことバカにして、もうっ!」

 ああもう、アリスってばホント可愛いなぁ。



 ネレイスさんがツンデレた場合

「べ、別に私はあなたを迎えに来たんじゃないんだからね!」
「ちょっと海底散歩に付き合ってもらうだけ! 本当にそれだけなのよ!」
「分かったら早く海に飛び込みなさい! まだるっこしいわね、ええいっ!」ドボーンッ!

 ガボッ、ガボボボボボボボボボボッ!? ガボ、ガボォッ!(ちょっ、いきなりはないんじゃない!? 死ぬ、死ぬぅっ!)



 サハギンちゃんがツンデレた場合

「…………………………………………………………………………」
「…………………………………………………………………………」
「………………………別にあなたが嫌いで黙ってるんじゃないから」

 うん、大丈夫だよ。君の気持ちはいつも十分伝わってるから。



 アラクネさんがツンデレた場合

「べ、別に私はあなたを罠にかけたりしたんじゃないんだからね!」
「ただあなたが毎日来る道になんとなくクモの巣をかけただけで……そう、偶然! ただの偶然よ!」
「まったく間抜けな男よね、あなたって! 仕方ないから私が今日から面倒を見てあげるわ! 感謝しなさいよね!」

 めっちゃ笑顔で俺のこと簀巻きにしてるんですけどぉ!? 止めてっ、放してええええぇぇぇぇっ!



 ワーキャットちゃんがツンデレた場合

「べ、別にアタシはあんたのことにゃんて好きでもにゃんでもにゃいんだにゃん!」
「だからベタベタにゃんてしにゃ……そ、それはアタシの大好物、マグロのお刺身!?」
「にゃぁ〜ん♥ アタシはあなたのこと大好きだにゃあ♥ 愛しているにゃあ♥」

 マグロの刺身で買える愛か……とほほ、なんだか複雑な気分だ。



 エルフさんがツンデレた場合

「べ、別に私は人間の男になんてこれっぽっちも興味ないんだからね!」
「それどころか聞いてるわよ! 男はエルフを見つけると欲情に任せて酷いことするって!」
「あなたも私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」

 なんか色々変な知識が身についてるみたいだけど、どーするかなぁ……。



 エンジェルちゃんがツンデレた場合

「べ、別に私はあなたのことなんて本当はどうでも良いんですからね!」
「ただあなたが誰にも見向きもされないから、可愛いエンジェルちゃんが幸せにしてあげようと思っただけです!」
「これであなたは幸せですよね! 今日からこんなに可愛いエンジェルちゃんが傍にいてくれるんですから!」

 お、おかしいぞ!? エンジェルってみんなドヤ顔でイラッ☆ってするって聞いてたのに!?



 ホーネットちゃんがツンデレた場合

「べ、別にお前が女王様の夫候補から外れたからって嬉しくなんてないんだからな!」グサッ!
「これでお前の所有権がアタシに移ったからって全く嬉しくなんてないんだからな!」グサァッ!

「だから勘違いするなよな! これは照れ隠しでもなんでもないんだからな!」グサグサグサァッ!

 わ、分かったから……麻痺毒の塗ってあるヤリで突くのは……や、止め……て……。



 白蛇さんがツンデレた場合

「べ、別に私は貴方様のために作ってきたわけじゃありませんっ。お弁当を作りすぎてしまっただけですっ」
「……ところで貴方様、お弁当のお味の方はいかがでしたか?」
「美味しかったですか!? それはそれは……うふ、うふふふふふふふふふふふふ♥」

(俺の好きなおかずばっかりだったけど……た、たまたまか? たまたまだよな?)



 リビングアーマーちゃんがツンデレた場合

「別に私は、あなたに身に着けてもらいたくなんて…………」
「…………………………………………………………………………」
「……………………………………………未使用で新品同然だよ?」

 あ、うん。そ、それじゃ俺と一緒に来る?



 ゆきおんなさんがツンデレた場合

「べ、別に私はあなたをこの小屋に泊めたくなんてないのですからねっ!」
「ただあなたが吹雪のせいで遭難しそうになったから……そう、これは本意ではないのです!」
「ですがあなたが凍えているから仕方なく私が温めてさしあげます! 感謝してくださいな!」

 いや、えっ!? ちょっ、なんで服を脱いでこっちに寄って来るんですか!?















 ゲイザーちゃんがツンデレた場合



「べ、別にアタシはキミのことなんて……!」

 そう言って彼女は顔を赤くしたまま、ぷいっと横を向いてしまった。
 ご丁寧に背中から伸びる目玉付きの触手達も、いっせいにぷいっ。
 赤い一つ目の見てる先もどこかを行ったり来たり、見事に目が泳いでいる。
 まあつまり、彼女は照れている。

 ふと思い立ったから、彼女のことが好きだと言ってみて。
 そして「僕のこと、好き?」と聞いてみた、というのが現在の状況。
 彼女から素直な言葉を引き出すのは、中々これが難しいのだ。

 常日頃から僕は彼女のことが大好きで、彼女に可愛いだの何だのと口走ることが多いけれど。
 彼女の方はゲイザーの例に漏れずちょっと捻くれ者さんで、ついでに言うと繊細で屈折した面もある。
 相手に心にもない言葉を言ってしまい、後で自分で傷ついてしまったりすることも、ままあることだ。
 そんな彼女だから、「好き?」と聞かて「好き」なんて、簡単に言えるはずがないだろう。

「キミのこと、なんて……!」

 ただ、彼女は僕のことがきっと好きでいてくれている。
 そうでもなければ、僕らはこうして恋人同士として、一緒に団欒のひと時を過ごせているはずがない。
 もう相手が傍にいることが当たり前と感じるぐらいは、僕らは同じ時間を共有してきたと思っている。

「キミの……こと……」

 だからたまには、彼女からストレートな想いを聞きたくもなってしまうのである。
 もし彼女が、僕に好きと言われて嬉しいのなら。
 僕もそのお返しが、少しだけ欲しいのだ。
「好き?」って聞いたら、「好き」って言葉のお返しが。

「僕は好きだよ。君のこと、とっても」
「な……っ!?」

 もじもじとためらう彼女を突き崩すために、僕は追撃の一手を打つ。
 作戦は、押すこと。とにかく愛の言葉で押しまくる。
 これでも僕だって恥ずかしいのだけど、その恥ずかしいのも、彼女のことなら悪くない。

「いつも僕といっしょにいてくれて、本当に嬉しい。大好きだよ、君のこと」
「な、な、な……ぅぁ……」

 赤い顔を更に真っ赤にして、口をパクパクまでさせて、目を見開く彼女。

「大好き。ねえ、君は僕のこと好き?」
「ぁ……ぅ……」

 最後の彼女の防御を切り崩しにいくと、彼女は膝を抱えてうつむいてしまい。
 でも上目遣いになって、じっとこっちの方を見つめてきて。
 か細い声で、呟いた。

「……す……き……」

 あ、ヤバイ。
 これは破壊力がヤバイ。
 また心臓がドキドキしてきた。
 なんで彼女はこんなに可愛いんだろうか。
 もはやこれは反則級だぞ、本当に。

「……好き?」
「うん……すき」

 僕が聞き返すと、彼女は変わらず膝を抱えたまま、でも先ほどよりちょっとばかしハッキリした声。
 表情の方も、顔は赤いままだけど、唇のはしっこが上がってきている。

 これは果たして平等なお返しになっているんだろうか。
 彼女のドキドキより間違いなく、自分の方がドキドキさせられてると思う。
 ああ、顔が熱くなってきた。我ながら彼女には弱すぎる。

「好き?」
「好き」
「好き」
「好きぃ」
「大好き?」
「大好きぃ」

 聞いてるこっちまでニヘニヘ、ニヘニヘとゆるい笑顔に変わっていって。
 彼女も次第にニヘニヘ、ニヘニヘと可愛らしい笑顔に代わっていって。

 ニヘニヘ、好き好き。ニヘニヘ、好き好き。

 間違いなく二人ともおバカだろうなと思いながらも、それでも全く止められず。
 僕らはしばらくの間、ニヘニヘ笑いで互いに「好き」と言い合っていた。







 おしまい♪
17/05/22 21:08更新 / まわりの客

■作者メッセージ
そろそろ普通のSSが来ると思いました?
残念、一発ネタ集でした! 自重? なにそれ? おいしいの?

さて、今回のお気に入りネタはリビングアーマーちゃんです。
まあでも全般的にお気に入りな感じです。

そして、いつもこんなしょうもないネタ集に感想を下さる皆様、それから票を下さる皆様、本当にありがとうございます。
お返しなぞ何もできませんが、またこのネタ集がお気に召しましたら幸いです。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33